2011年 06月 19日
「バビロンの陽光」

監督、脚本、撮影にモハメド・アルダラジー。
祖母にシャーザード・フセイン。
孫アーメッドにヤッセル・タリーブ。
ムサにバシール・アルマジド。

アメリカ映画でイラクは良く登場するが、イラクでイラク人が作った映画はこれが初めてかと思う。
イラクという国の(2003年、フセイン陥落後から3週間後の物語)映像を観ることなんてないので、改めてイラクは不毛の地、砂漠国だと知らされた。
祖母と、孫アーメッドは車をヒッチし、バスに乗り継ぎ、イラク北部から首都バグダッドを経て空中庭園の伝説が残る古都バビロンを目指す。戦地に行ったまま帰ってこない愛する息子イブラヒムがナシリヤの刑務所にいるはずだから…
しかし収監されてると思われた刑務所にイブラヒムはいなかった。集団墓地でひざまずき、人骨の中からイブラヒムを見つけようと骨を掘り起こす祖母が悲痛の叫びをあげる。哀しみに打ち砕かれた祖母にかけより、優しく抱きしめるアーメッド。過酷な状況でまだ12歳の少年が祖母を慰める姿は痛々し過ぎる。
イブラヒムに会えると信じ、汚い顔は見せられないと、互いが川の水で顔を洗ってやるシーンが素敵だった。それと、ヒッチした車の運転手と、旅の途中、二人が出会うムサ。最初は胡散臭そうに見えた二人の男たちが、実は良い人という展開にも救われる。
祖母役も、孫役も現地で発掘したクルド人。元々見ず知らずの他人であるこの二人。映画の中で本当の祖母と孫にように見えて、物語なのか、ドキュメンタリーなのか分からなくなってしまう。
ラスト、息子を見つけることが出来なかったクルド人の母親は、孫のアーメッドに何度も“イブラヒム!”と呼びかける。彼女は孫の中に息子の面影を見つけたのだろうか?泣きながら”一人にしないで!”と祖母にすがりつくアーメッドの姿が涙を誘う感動のエンディングだった。
ちょっと調べてみたら、二人が目指すナシリヤは大油田地帯。そしてそれらしきものが残るという“バビロンの空中庭園”は世界の七不思議(古代ギリシャ/ローマ時代)の一つだそう。
モハメド・アルダラジーが立ち上げたというイラク・ミッシング・キャンペーンの実写映像と映画がそっくりで驚く。
シネスイッチ銀座にて

