2011年 04月 03日
「神々と男たち」
クリスチャンに「華麗なるアリバイ/2007」のランベール・ウイルソン。
リュックに「そして、デブノーの森へ/2004」「ミュンヘン/2005」「宮廷画家ゴヤは見た/2006」のミッシェル・ロンズデール。
クリストフに「キングス&クイーン/2004」「96時間/2008」「君を想って海をゆく/2009」のオリヴィエ・ラブルダン。
セレスタンにフィリップ・ロダンバッシュ。
アメデにジャック・エルラン。
ジャン=ピエールにロイック・ピション。
ミシェルにグザヴィエ・マリー。
ポールにジャン・マリー・フラン。
ブリュノに「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「すべて彼女のために/2008」のオリヴィエ・ペリエ。
監督はグザヴィエ・ボーヴォワ。
クリスマス・イヴの夜にとうとう過激派が修道院に乱入して来る。彼らは負傷した仲間を手当するため修道士の一人で医師でもあるリュックを連れ出そうとする。しかし、クリスチャンはリュックは村人と共にあると言い、毅然とした態度でこれを拒否し、コーランを引用しキリスト教とイスラム教は隣人であると説くのだった。クリスチャンの凛とした態度に過激派は立ち去るが、修道士たちはアルジェリアを去るべきかどうか話し合うことになる。最初の話し合いの場で彼らの中には去りたいと訴える修道士が数名いた。やがてフランス本国からは帰国命令が出される。しかし村人から”あなたたちは心の支え”と残留を求められ悩む修道士たち。そして再び彼らは1本のろうそくが灯る質素な食堂のテーブルに集まり話し合いの場を持つ。前回と同じくクリスチャンは一人、一人に留まるか、去るか質問して行く。やがて、彼らは全員一致でアルジェリアに留まることを選ぶのだった。これに続く“最後の晩餐”のシーン…いやいやとてつもなく良かったあのシーンは。
今年に入ってから観た宗教をテーマにした作品は「白いリボン」「ヤコブへの手紙」「サラエボ、希望の街角」「アンチクライスト」の4本。今回のフランス映画は実話であり、キリスト教とイスラム教の垣根を超えたとても厳かな作品で、宗教が非日常的な存在であるわたしでも胸に迫る素晴らしい作品だった。
修道院長クリスチャンを演じるランベール・ウイルソン。彼はハリウッド大作でもおなじみの俳優で、今まで観た作品では浮気なモテ男のイメージが強い。しかしこちらでは僧衣に身を包み、優しいまなざしを絶やさないクリスチャン役が素晴らしく似合っている。ランベール・ウイルソンはシンガーでもあるそう。祈りを唱える彼の声が透き通るように美しかったのもうなずける。
フランス政府から帰国命令が出たにも関わらず留まることを選択した修道士たち。“チャイコフスキーの白鳥の湖”をバックミュージックに、まるで“最後の晩餐”のようにワインを酌み交わす修道士たちの姿が心に残る。
少々ネタばれするが…雪の中に埋もれる墓(十字架)。降りしきる雪の中テロリストたちに連れ去られる修道士たち。その二つの映像が重なったところでエンディングを迎える。とても、とても印象的なラストは脳裏に焼き付く。
フランスで大ヒットし、カンヌ映画祭のグランプリ(2010)に輝いたのも当然であり、”荘厳/神々しい”という言葉がぴったりの作品。
シネスイッチ銀座にて
この度blogを引っ越しました。
楽天へのTBは4月19日より廃止になるそうです。
記事は少しずつ移管していきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
こちらこそいつもTBありがとうございます。
楽天はTB出来なくなったのですね。それもいきなりってヒドいですね。
記事の移管頑張ってくださいませ。
ランベール・ウィルソン,お顔は知っていたけど
名前までは知りませんでした。
年齢を重ねて渋さも出てきましたね。
そっか~~,彼は歌手でもあるのか・・・
リュック役の俳優さんもハリウッド作品でよく見るので
アメリカ人かと思ってましたらフランスの俳優さんでしたのね。
こんな史実があったなんて,知りませんでした。
死の恐怖をも超越した彼らの決断に胸を打たれましたが
そこに至るまでの,一般人となんら変わらない葛藤も
とてもよく描かれていて共感できました。
レス遅くて申し訳ありません。
ランベール・ウィルソンは若い頃からハリウッド映画に出演しているようです。
この方シンガーでもあるということ...この映画を観れば彼の美声が確認できますよね。賛美歌の美しさを堪能いたしました。
リュック役のミッシェル・ロンズデールも色んな映画に出演している息の長い俳優のようです。
ランベールもミッシェルも素敵なフランス人俳優で好きですね。
さてこの映画も胸にズシーンと迫りました。