2010年 08月 08日
「フェアウェル/哀しみのスパイ」

セルゲイ・グリゴリエフ大佐に「ウエディング・ベルを鳴らせ!/2007」の監督エミール・クリストリッツア。
ピエール・フロマンに「世界でいちばん不運で幸せな私/2003」「ナルコ/2004」「戦場のアリア/2005」「美しき運命の傷痕/2005」のギョーム・カネ。
ピエールの妻ジェシカに「セントアンナの奇跡/2008」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「愛を読むひと/2008」のアレクサンドラ・マリア・ララ。
セルゲイの妻ナターシャに「セブン・イヤーズ・イン・チベット/1997」のインゲンボルガ・ダクネイト。
ロナルド・レーガンにフレッド・ウオード。
フランソワーズ・ミッテランにフィリップ・マニャン。
大統領の顧問フィーニーに「パリ、ジュテーム/2006」「インサイドマン/2006」のウィレム・デフォー。
「戦場のアリア」のカップル、ダイアン・クルーガーとベンノ・フュルマンがワンシーンに出演している。
監督、脚本に「戦場のアリア」のクリスチャン・カリオン。

1981年、ソビエト連邦、モスクワ。KGBのセルゲイ・グリゴリエフ大佐は“フェアウエル”というコードネームを持つソ連のスパイ。国家のエリートである彼は何不自由ない生活を送っているが、西側諸国に比べ国の発展が大きく遅れている祖国に危機感を抱いていた。そして彼はソ連の極秘情報を西側の国フランスに流すことを決意する。西側への仲介役はフランス企業のモスクワ駐在員ピエール。電気技師のピエールは上司の命令で仕方なしに動き始めるが、次第にグリゴリエフの志に魅了されて行く…

家族愛にあふれた人間ドラマのようなスパイ映画。胸に迫るストーリーはとても見応えがある。このようなスパイ映画には滅多にお目にかかれない気がする。
“フェアウェル”というコードネームを持つスパイ、セルゲイ・グリゴリエフは妻と息子を愛し、愛人もいたロマンティックな男。
浮気中の妻と反抗期の一人息子を抱え、自らも愛人を作るが決して信念は失わない。ピエールを通じて西側から手に入れたソニーのウオークマンや、その頃黄金期だった“クイーン”のCDを息子にプレゼントしてご機嫌を取る姿(息子に浮気の現場を押さえられたってこともあるけど...)は人間クサく映る。
金も、西側への亡命も望まず理想を追求した“フェアウェル”って感動するくらいクールなスパイだ。
映画の中で“ソニー”のことを“ジョニー”と言ったり、“クイーン”のことは“キーン”と言っていたセルゲイ。80年代のロシア人は世界の“ソニー”を“ジョニー”と思っていたなんて情報無さ過ぎであっと驚く。
セルゲイとピエールのリスクを冒したやり取りが続く前半は観ていてとても興味深く面白い。しかし中盤から各国の首脳であるレーガンやミッテランが登場して来る。これは史実なのでその時に交わされた場面も本当のことであるのだが、それらのシーンに臨場感はない。
レーガンを描くシーンでは元俳優だった彼が自ら出演したハリウッド映画のビデオを繰り返し見る場面は笑いを誘うが、別にあのような陳腐なシーンはなくとも良かったのじゃないかな?
実際のエリゼ宮殿(大統領官邸)が使われた場面でのミッテラン役の俳優は中々似ていた。
“クイーン”の“ウイ・ウイル・ロック・ユー”のライブ・シーンとダブらせて...あれって草原だった?で、シャウトするイゴールの姿は最高にナイス。
エミール・クリストリッツアについては「ウエディング・ベルを鳴らせ!」のレビューにも書いたように私的には俳優のイメージが強い。彼の監督作品「ウエディング・ベルを鳴らせ!」を観た後wowowで放映されていた「ライフ・イズ・ミラクル/2004」を観たが、とてもついて行けなくて途中で挫折した。やはり彼は俳優が良い。「サンピエールの命/1999」の死刑囚役も素晴らしかったが、これでのクリストリッツアの演技はただただ素晴らしい!
お気に入りフランス人俳優ギョーム・カネも作品毎に良い俳優になって行く。
渋谷 シネマライズにて
まさに。
俳優としては初めて観ましたが、ものすごいオーラですよね。
クストリッツアはスパイ役がぴたっとハマってましたね。
俳優としてのクストリッツアは「サンピエールの命」が素晴らしい!です。機会があれば是非。

