「海の沈黙」

「Le silence de la Mer」1947 フランス (2010年デジタル・リマスター版)
a0051234_23365431.jpg

監督、製作、脚本にジャン・ピエール・メルビル。
ドイツ人将校 ヴェルナー・フォン・イーブルナックにハワード・ヴァーノン。
叔父にジャン・マリー・ロバン。
姪にニコール・ステファーヌ。

1941年、ドイツ占領下のフランスの地方都市。ある日、叔父と姪が静かに暮らす屋敷にドイツ人将校ヴェルナーが同居する事になる。音楽家でもあるヴェルナーはフランス文化を愛し、尊敬していた。彼は毎日夜になると叔父と姪のいるリヴィング・ルームに現れ、文学や音楽について語り始める。しかし二人はヴェルナーの会話に加わる事なくひたすら沈黙を守るのだった...
a0051234_23363566.jpg

2008年9月に有楽町の朝日ホールで開催された“フランス映画の秘宝”で初めて日本公開された作品だが、その際には観ていない。
今回岩波ホールで期間限定一般公開中(3/19迄)。
ジャン・ピエール・メルビルの処女監督作品でもちろん白黒映画。
後のフランス、ヌーヴェル・バーグに多大な影響を与えたと言われる作品。沈黙で抵抗を示す叔父と姪の姿が素晴らしい。
ジャン・ピエール・メルビルの監督、脚本映画はリノ・ヴァンチュラの「ギャング/1966」、アラン・ドロンの「サムライ/1967」、「仁義/1970/」と「リスボン特急/1972」を過去に観ている。
ジャン・リュック・ゴダール監督、ジャン・ポール・ベルモンド主演の「勝手にしやがれ/1959」では俳優として出演している。
a0051234_23283851.jpg
a0051234_23361840.jpg

フランスとの融和と結合を望んでいたヴェルナー。しかしパリ滞在中に強制収容所での大虐殺の話を聞かされ、おまけにドイツはフランスを叩き潰すと言う旧友の言葉に愕然とする。やがてヴェルナーは前線への転属願いを受理され旅立って行く...
老人(叔父)のナレーションでストーリーは進む。時折ささやきのような形で叔父と姪の会話が交わされる。しかしヴェルナーとの会話はゼロ。
毎晩9時過ぎになるとヴェルナーは二人のいるリヴィング・ルームに姿を現す。
暖炉の前で紅茶を飲みながら、叔父はゆったりとパイプをくゆらせ、姪は編み物か縫い物をしている。
ヴェルナーは淡々と語り“おやすみなさい”と挨拶し去って行く。しかし彼らはそれに決して返事はしない。
やがてヴェルナーが旅立つ朝、二階に住む彼の部屋のドアにノックの音が響く。一瞬驚くヴェルナー...あの時彼は姪が現れるのを期待していたのではないか?と思った。それはヴェルナーも姪も互いに密かな思いを抱いているかのように見え、スクリーンから二人の気持ちがひしひしと伝わっていたから...。
叔父もまた、ヴェルナーが現れ、毎日話を聞くのを待っていた様子がうかがえる。
屋敷を去る日、6ヶ月間毎晩語りかけた彼らに挨拶に来たヴェルナー。彼は最後に“アデユー!”と姪に別れを告げる。その時初めて姪もヴェルナーに対して最初で、最後の言葉“アデユー!”と返す。あのシーンはトレヴィアン!だった。
神保町 岩波ホールにて
[PR]
by margot2005 | 2010-03-09 23:44 | フランス | Trackback(1) | Comments(2)
トラックバックURL : https://margot2005.exblog.jp/tb/10151266
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from dezire_photo.. at 2017-02-25 21:12
タイトル : 遠藤周作の最高傑作の完全映画化 と 窪塚洋介の完全復活
映画『沈黙-サイエンス』"Silence" by Martin Scorsese   戦後日本文学の金字塔にして、世界20カ国以上で翻訳され、今も読み継がれている遠藤周作の最高傑作といわれる「沈黙」を、アカデミー賞に輝き、世界の映画人たちに尊敬されている巨匠マーティン・スコセッシ監督が、全員でアカデミー賞®受賞6回、アカデミー賞®ノミネート23回の最高のスタッフと、時代考証や美術で日本人チームも参加して江戸初期の長崎を再現し、映画化しました。人間の強さ、弱さとは?信じることとは?そして、生きることの...... more
Commented by Bianca at 2010-03-21 11:59 x
こんにちわ。J.P.メルヴィルの映画は「サムライ」「いぬ」など6,7本見ていますが、とりわけ「海の沈黙」とコクトーの原作の「恐るべき子供たち」が好きでした。ニコール・ステファーヌは両方に出ていますね。
Commented by margot2005 at 2010-03-23 21:00
Biancaさん、こんばんは!
コメントありがとうございます。
さてJ.P.メルヴィルといえば刑事ものってイメージですが、彼の処女作はこんなにも繊細な映画で驚きました。
「恐るべき子供たち」のニコール・ステファーヌ、機会があれば観てみたいですね。
<< 「ルドandクルシ」 ハリウッド発恋愛ドラマ...「... >>