2022年 05月 26日
「ステイ・クローズ」TVミニシリーズ/8エピソード
「Stay Close」2021 UK

英国郊外の町リビングストンに住むメーガン・ピアースはデイブ・ショーとの結婚を目前に控えていた。そんな彼女の前に、昔の知人が現れる。そしてフォトグラファーのレイ・レヴァインはカメラを盗まれる。一方で、刑事のマイケル・ブルームは、未解決の事件が一人の青年の疾走を彷彿とさせることに気づく…
舞台となるリビングストンは架空の町。メーガンにはパートナーにも話せない過去があった。ストリッパー(ポール・ダンサー)時代の彼女の名前はキャシー。ある日、メーガンのもとに突然ロレインが現れる。刑事のブルームは相棒のエリン・カートライトと共に17年前の失踪と今回の青年の失踪の関係を調べ上げる。
キャシー(メーガン)、ロレイン、レイ、ハリーが繋がり、17年前の過去と現在が結びつく過程がスリリング。
原作はアメリカの推理作家ハーラン・コーベンのスリラー小説「Stay Close」。コーベンの小説は本作以外にもTVシリーズ化され、Netflixで配信している(舞台はヨーロッパが多い)。フランスが舞台の「忽然と/2021」は鑑賞済みで、ポーランド舞台の「The Woods/その森に」を鑑賞したばかり。ハーラン・コーベンは中々面白い。
クシュ・ジャンボがポール・ダンサー。弁護士ルッカ・クインのイメージが強くて何だか合わないけど、キャシー時代はブロンドのカツラを着用。
リチャード・アーミティッジが久しぶり。「ホビット」のトーリンしか観てないけど、年齢を重ねた分nice。
IMCbのTaglinesは「Everyone Has Secrets」。ラストのラストまでそうだった。
テーマソングでNikki Williams(uncredited)が歌う♪You Don't Own Me ♪がドラマにピッタリ。アメリカのシンガーソングライター、Lesley Goreの歌が有名。
メーガン・ピアースに「デッドウォーター・フェル~虚像に殺された家族~/2020」「グッド・ファイト/2017〜2021」のクシュ・ジャンボ。
レイ・レヴァインに「ホビット シリーズ/2012~2014」のリチャード・アーミティッジ。
マイケル・ブルームに「英雄の証明/2011」「ホビット シリーズ」のジェームズ・ネスビット。
ロレイン・グリッグスに「ダークエイジ・ロマン 大聖堂/2010」のサラ・パリッシュ。
デイブ・ショーにダニエル・フランシス。
エリン・カートライトにジョー・ジョイナー。
ハリー・サットンに「ヴィクトリア女王 最期の秘密/2017」「ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢/2020」のエディ・イザード。
Netflix
2022年 05月 24日
「最悪の選択」
「Calibre」2018 UK

幼なじみの男二人が週末にハイランドへ狩猟に出かける。ところがとんでもない悪夢が起こり、人としての本質が問われる事態に直面することになる。
ハイランドで狩猟を楽しむはずだったヴォーンとマーカス。狩猟前夜、地元のバーで二人の女性アイオナとカーラに出会い飲み始める。ヴォーンはパートナーが妊娠中でアイオナとは何も起きなかった。ところがマーカスは酒の勢いでカーラと一夜を共にする。二人は合意の上だったが、後になってカーラの父親ブライアンが”レイプ”を主張し文句を言ってくる。しかしマーカスはそれとは別にもっともっと重大なことを抱えていた。ヴォーンと共に…。その頃ローガンの義理の弟サミーと甥が行方不明になっていることが判明する。
パートナーのメアリーが妊娠中の男ヴォーンと、しがらみのない男マーカス。スリラーのプロットはとてもシンプルで、原タイトル「Calibre/銃の口径」はかなり重要な役割を果たす。しかし邦題の「最悪の選択」はドラマにぴったり!ストーリーもすごく面白く101分があっという間だった。ポスターのシャベルが意味深??
「ナチス第三の男/2017」でジャック・オコンネルとジャック・レイナーが共演している。そのレビューに”オコンネル&レイナーのダブルジャック…それほど顔が似ているわけでもないのだけどなぜか?時折二人の区別がつかない。”と書いている。で、もう人ジャックを加えたい。ジャック・ロウデンも...。ジャック3人の顔は似てないけどなぜか??ごっちゃになる。3人のUK俳優は年齢的にも同世代。
本作はジャック・ロウデンの「ダンケルク/2017」の次の作品。
ヴォーンに「ふたりの女王 メアリーとエリザベス/2018」「カポネ/2020」のジャック・ロウデン。
マーカスに「ベルファスト71/2014」「僕と世界の方程式/2014」のマーティン・マッキャン。
ローガン・マクレイに「ダークエイジ・ロマン 大聖堂/2010」「栄光のランナー/1936ベルリン/2016」のトニー・カラン。
ブライアン・マクレイに「最期の決闘裁判/2121」のイアン・ビリー。
アンガスに「チャーチル ノルマンディーの決断/2017」のジョージ・アントン。
メアリーにテレサ・ブラッドリー。
アイオナにケイト・ブラッケン。
カーラにキティー・ロヴェット。
監督、脚本は マット・パーマー。
Netflix
第75回 カンヌ国際映画祭(2022年)で前途有望な若手俳優に贈られる、ショパール・トロフィーを受賞。

2022年 05月 20日
「ライン・オブ・デューティ」TVシリーズ 5シーズン/29エピソード
「Line of Duty」2012~2019 UK


汚職特捜班が”職務(Line Of Duty)”を逸脱した汚職警官に立ち向かう姿を描いたサスペンス。
若手刑事のスティーヴ・アーノットがテロ対策班に勤務中誤射事件が起こる。上からの隠蔽指示を拒否したアーノットは対策班を終われ汚職特捜班に移動になる。通称AC12と呼ばれるその班は、英国警察内部で不正に手を染める警察官を取り締る部署で、あらゆる手法で汚職警察官を追い詰めて行くことがアーノットの新しい任務だった。
仕事中心の生活でガールフレンドと上手くいかないスティーヴ。仕事に夢中のケイトは幼い息子を夫に任せきり。おまけに浮気がバレて家から追い出されてしまう。そして二人の上司ヘイスティングスは投資に失敗し妻に愛想を尽かされ別居中。日常に少々悩みを抱える3人を軸にサスペンス・ドラマは展開する。
2012年に始まったTVシリーズは英国でとても人気があった刑事ドラマだそう。それぞれのエピソードに英国の有名俳優が出演している。
見せ場はAC12が質問攻めで汚職警官を追求するシーン。攻める側、責められる側の丁々発止の受け答えは圧巻。AC12でPCを駆使して調査にあたる刑事たちの活躍も半端ない。CCTV(防犯カメラ)王国といわれる英国ならではの捜査がスゴいなと思った。
シーズンごとに事件が解決し、関与した汚職警官が逮捕される。でもシーズン1からの汚職警官がどこまでも繋がっている。で、最後まで観れないと困る。Netflixではシーズン5までしか観られない。シーズン6早く配信して欲しい。
「二人の女王 メアリーとエリザベス」のレビューに”ケン・ローチの「SWEET SIXTEEN/2002」でのリアム役が印象的だったマーティン・コムストン”と書いている。マーティン映画は「アリス・クリードの失踪/2009」が一押し!
本作では正義感に燃える刑事スティーヴ・アーノットを好演していてnice。
スティーヴ・アーノットに「ふたりの女王 メアリーとエリザベス/2018」のマーティン・コムストン。
ケイト・フレミングに「THIS IS ENGLAND/2006」「THIS IS ENGLAND’86/2010」「ハミングバード/2013」のヴィッキー・マクルーア。
テッド・ヘイスティングスに「クライング・ゲーム/1992」「ホロウ・クラウン/嘆きの王冠 ヘンリー6世 Part1/2016」「ホロウ・クラウン/嘆きの王冠 ヘンリー6世 Part2/2016」のエイドリアン・ダンバー。
アンソニー・ゲイツに「ピーターラビット2 バーナバスの誘惑/2021」のレニー・ジェームズ。
リンゼイ・デントンに「ボディガード -守るべきもの-/2018」のキーリー・ホーズ。
マシュー・コッタンに「デザート・フラワー/2009」「ワイルド・ローズ/2018」「ザ・イングリッシュ・ゲーム/2020」のクレイグ・パーキンソン。
ダニー・ウォルドロンに「1917 命をかけた伝令/2019」のダニエル・メイズ。
ロズ・ハントリーに「ジョン・F・ドノヴァンの死と生/2018」「All the Old Knives/2022」のタンディ・ニュートン。
ジョン・コーベットに「ホワイトハウス・ファームの惨劇~バンバー家殺人事件~/2020」スティーヴン・グラハム。
パトリシア・カーマイケルに「ゴヤの名画と優しい泥棒/2020」アンナ・マックスウェル・マーティン。
会社経営者ジャッキー・ラバティに「ボディガード -守るべきもの-/2018」のジーナ・マッキー。
Netflix
2022年 05月 19日
ジョシュ・オコナー映画2本...「ゴッズ・オウン・カントリー」「幸せの答え合わせ」
「ゴッズ・オウン・カントリー」
「God's Own Country」2017 UK

英国ヨークシャー。病気で手足の自由が利かなくなった父の牧場を一人で切り盛りする息子のジョニー。孤独なジョニーの心の支えは酒。浴びるように飲んでは祖母に叱られている。そんな折、季節労働者のルーマニア人青年ゲオルゲを雇い入れる。
孤独だったジョニーが優しいゲオルゲに心を開いていく。
ラストにグッときた。胸に迫る素晴らしいヒューマンドラマ。
ジョシュ・オコナーの大熱演が光る。
2019年にシネマート新宿での公開時、観るのをかなり迷って結局観なかった。しかしシアターで「帰らない日曜日/2021」の予告編(5/27公開)を観てジョシュが気になりとうとう鑑賞した。「ザ・クラウン」でチャールズ皇太子役だったのを思い出す。結構ハマっていた。
イアン・ハートの老けぶりに驚き。
ジョニーに「エマ/2020」「ザ・クラウン/2019〜2020」のジョシュ・オコナー。
ゲオルゲに「アンモナイトの目覚め/2020」のアレック・セカレアヌ。
ジョニーの祖母に「ロケットマン/2019」「アンモナイトの目覚め」のジェマ・ジョーンズ。
ジョニーの父に「ふたりの女王 メアリーとエリザベス/2018」のイアン・ハート。
監督、脚本は「アンモナイトの目覚め」のフランシス・リー。
「幸せの答え合わせ」
「Hope Gap」2019 UK


29年間連れ添った夫婦にある日突然危機が訪れる。夫エドワードが妻グレースに、愛する人がいるから別れたいと告白したのだ。全くもって突然の告白に動揺するグレース。彼女はエドワードを愛していたからなおさらだった。週末に帰郷した一人息子ジェイミーは、現実を受け入れられない母グレースを心配し支えようとする。
原タイトルの「Hope Gap」はイーストサセックスにあるビーチの名前。夫婦の心も<Hope Gap>でニクいタイトル。
価値観の違う夫婦っていっぱいいると思う。しかしグレースは自分の価値観をエドワードに押し付け気味かと思った。気の弱い夫は妻に逆らえず沈黙する。妻はその沈黙に耐えられないのだ。そもそも男と女の価値観は違うからどうしようもない。
突然家から出て行った父。ただただ嘆く母。やがて息子が父と母のパイプ役となる。とっても優しい息子を演じるジョシュ・オコナーが実にnice!
ビル・ナイは優柔不断な男が似合いすぎ。アネット・ベニングが強烈。
グレースに「リヴァプール、最後の恋/2017」「ナイル殺人事件/2022」のアネット・ベニング。
エドワードに「マイ・ブックショップ/2017」「ニューヨーク 親切なロシア料理店/2019」「エマ/2020」のビル・ナイ。
ジェイミーにジョシュ・オコナー。
監督、脚本は「グラディエーター/2000:脚本」「マンデラ 自由への長い道/2012:脚本」の脚本家ウィリアム・ニコルソン。
Netflix&wowowシネマ
2022年 05月 16日
「パリ13区」
「Les Olympiades, Paris 13e」…aka「Paris, 13th District」2021 フランス

コールセンターでオペレーターとして働くエミリーは、ホームにいる祖母の所有するアパルトマンに住んでいる。ある日、ルームシェアを希望するカミーユが訪れる。二人はいきなりsexをするが、その後はルームメート以上の関係になることはなかった。一方でノラは法律を学ぶためソルボンヌ大学に復学する。まもなく33歳になるノラは年下のクラスメートに溶け込めずにいたが、ブロンドのウィッグとミニスカートを身につけて、誘われたパーティに現れ大注目を浴びてしまう。ノラはアンバー・スウィーストにそっくりだったのだ…
4人の男女の愛の物語は...台湾系フランス人のエミリー、アフリカ系の高校教師カミーユ、大学に復学したフランス人のノラ。そして元ポルノ女優アンバー・スウィースト。4人が交差し本当の愛を見つける姿に共感を呼ぶ。
アムールの国フランスにふさわしいドラマで、モノクロ(一部カラー)で描いて正解。
ジャック・オディアールの<アムール>をテーマにしたドラマは初めて。今までのオディアールの描く世界とは少し違ったもので新鮮だった。
女性にモテまくるカミーユはフランス人の間では魅力的な人物に違いない。モノクロの<パリ13区>が美しい。
ルーシー・チャンは映画初出演ながらパフォーマンスは大胆。ノエミ・メルランも今までのイメージとは違ってトレビアン。
約20年前にフランスの城を見にロワールに行った時、13区にあるオステルリッツ駅からRER(SNCF)に乗ってトゥールまで行ったのを思い出す。13区に中華街があるのは知っていたけどそこで食事はしていない。パリの街には中華の店がたくさんあり、滞在していたホテル近くの中華屋には行った。で、今回映画を観て13区の林立するビルにびっくり(13区の街で撮影)。
ますます映画のレビューから外れる…「燃ゆる女の肖像」のヒロイン、アデル・エネルが”政治的な理由”から映画界からの引退表明をしたとのニュースに驚いた。素敵なフランスの俳優だったのに残念。
エミリーにルーシー・チャン。
カミーユにマキタ・サンバ。
ノラに「燃ゆる女の肖像/2019」のノエミ・メルラン。
アンバー・スウィーストにジェニー・ベス。
監督は「予言者/2009」「君と歩く世界/2012」「ディーバンの闘い/2015」のジャック・オーディアール。
脚本は「燃ゆる女の肖像」セリーヌ・シアマ/「ルーベ、嘆きの光/2019:共同脚本」のレア・ミシュー/ジャック・オディアール。
ヒューマントラストシネマ有楽町