「グリーンブック」

Green Book2018 USA

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1962年、アメリカ、ニューヨーク。ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは粗野で無教養ながら家族を愛するイタリア系アメリカ人。ある時、店の改装で失職してしまう。そんな折、カーネギーホールに住む天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーの運転手兼ボディガードの仕事が舞い込む。雇い主のシャーリーは、なぜか黒人差別が色濃く残る南部での演奏ツアーを計画していた。やがてトニーはグリーンブックを片手に旅立つ…


白人が運転手で、後部座席に座るのは黒人。車がエンストを起こし白人のトニーが修理をしている。「ドライビング Miss デイジー/1989」とは真逆の白人と黒人。道路の向こうでは農作業をする黒人たちが車の二人を呆然と見つめている。


招待されたカントリークラブでの演奏の時、シャーリーの車はVIP用の駐車場に停めることが許されるが、車の持ち主であるシャーリーが白人と同じ場所で食事をすることができない。トイレも別。招待しておきながらなんと!理不尽な振る舞いなのか!と呆れた。しかし招待側の不愉快な振る舞いに演奏をボイコットしたシャーリーがニクい。


ある時、トニーが争いを起こしたことから留置所に連行された二人。シャーリーはホワイトハウスでピアノ演奏をした縁でケネディ政権時の司法長官ロバート・ケネディと知り合いだった。ケネディの口利きで弁護士を通して自由の身になった二人に唖然とする保安官たちの姿が痛快。


黒人に対して良い感情を抱いていなかったトニーが、シャーリーとの旅により友情までも芽生える物語は素晴らしくて感動を呼ぶ。

ラスト、シャーリー抱きつき手紙をありがとう!と言うドロレス。あのシーンはとてもとても感動的だった。


映画は本年度のオスカー作品賞を受賞。授賞式でステージに上がったプロデューサーの一人がこの作品はヴィゴなしには作れなかったと語っていた。そう、まさにそうだった。私としては主演男優賞はラミ・マレックよりヴィゴの方が良かったのでは?と思ったのだけど

体重を増やして役柄に挑んだヴィゴ・モーテンセンはマジで素晴らしかった。演じるキャラがいつもイケてるヴィゴだけど、本作もとってもイケていてナイス


ヴィゴ・モーテンセンはハリソン・フォードの「刑事ジョン・ブック/目撃者/1985」から始まり、「ロード・オブ・ザ・リング シリーズ/2001~2004」の彼はとてもクール。熱烈なヴィゴ ファンってほどでもないが、彼の映画は結構見ている。

「アラトリステ/2006」レビューに”「ダイヤルM1998」が印象的”って書いているが、グウィネス・パルトローの愛人役のヴィゴはスゴくSexy。

「ロード・オブ・ザ・リング シリーズ/2001~2004」と「イースタン・プロミス/2007」は「アラトリステ」鑑賞後にDVDで鑑賞。


二度目の助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリってカリスマ的な魅力を放つ俳優で素晴らしい。

過去にはコメディっぽい映画が多いピーター・ファレリー。本作はユーモアとペーソスを上手く絡め、見ている者に素敵な感動を与えてくれる。


トニー・リップ・バレロンガに「はじまりへの旅/2016」のヴィゴ・モーテンセン。

ドクター・ドナルド・シャーリーに「ムーンライト/2016」「ドリーム/2016」のマハーシャラ・アリ。

ドロレス・バレロンガに「ブロークバック・マウンテン/2005」「パパVS新しいパパ/2015」のリンダ・カーデリーニ。

オレグにディミテル・D・マリノフ。

ジョージにマイク・ハットン。

ジョニーにセバスティアン・マニスカルコ。

監督、脚本、製作は「メリーに首ったけ/1998」「ふたりにクギづけ/2003」のピーター・ファレリー。


TOHOシネマズ日比谷にて



# by margot2005 | 2019-03-22 00:27 | USA | Comments(0)

「ビール・ストリートの恋人たち」

If Beale Street Could Talk2018 USA

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1970年代のニューヨーク。19歳の黒人女性ティッシュは幼なじみのファニーと恋人同士。ある夜、若くてキュートな黒人女性ティッシュが白人の男にナンパされそうになる。逃げ惑うティッシュを助け出したのは恋人のファニー。しかし突然現れた白人警官が言いがかりをつけてくる。その場は収まったが、ある日、レイプの罪をでっち上げられファニーは刑務所へ送られてしまう


無実の罪で収監されたファニー。恋人のティッシュは彼の子供を身ごもっている。ティッシュはファニーに刑務所から出してあげる!と誓い、ティッシュの母シャロンはファニーの無実を証明するため被害者の女性が住むプエルトリコへと赴く。

生まれてくる愛する娘の子供の父親のために立ち上がるシャロンがエクセレント!演じるレジーナ・キングはナイス・キャスティング。本作でオスカー助演女優賞を受賞した。


ドラマは現在と過去を上手く移動して進んでいく。単なるラヴストーリーではなく、理不尽な人種差別に立ち向かう恋人たちの深い愛を描いていて素晴らしい。

ユダヤ人レヴィーが人間がそれぞれに異なるのは母親が異なるからだという言葉が心にしみる一方で、刑務所帰りのダニエルがファニーに白人は悪魔の化身だ!”という言葉は醜い。

映画を見終わって「フルートベール駅で /2013」を思い出した。テーマは違うがどちらも黒人差別が強烈。

アカデミー作品賞に輝いた「ムーンライト」は素晴らしい!作品だったが、本作もまた素晴らしい!

エド・スクラインが黒人を軽蔑、憎悪する白人警官を演じていて、そのふてぶてしい様が見事。

ティッシュ役のキキ・レインがスゴくキュート。


1971年にロバータフラックが歌った名曲”Killing Me Softly with His Song/優しく歌って”が映画のテーマソング。トレイラーでは流れるがなぜか?本編では流れなかった。この名曲は大のお気に入り

映画のBack MusicがGood。


ティッシュ・リヴァーズにキキ・レイン。

ファニー(アロンゾ・ハント)に「栄光のランナー/1936ベルリン/2016」ステファン・ジェームズ。

ジョーゼフ・リヴァーズに「ロスト・イン・マンハッタン 人生をもう一度/2014」のコールマン・ドミンゴ。

シャロン・リヴァーズに「Ray/レイ/2004」「デンジャラス・ビューティー/2005」のレジーナ・キング。

アーネスティン・リヴァーズにテヨナ・パリス。

フランク・ハントに「パトリオット・デイ/2016」のマイケル・ビーチ。

ペドロシートに「ダンシング・ハバナ/2004」「ルドandクルシ/2008」「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー/2016」のディエゴ・ルナ。

レヴィーに「グランド・イリュージョン/2013」「グランド・イリュージョン 見破られたトリック/2018」のデイヴ・フランコ。

ベル巡査に「トランスポーター イグニション/2015」のエド・スクライン。

ダニエル・カーティにブライアン・タイリー・ヘンリー。

監督、脚本、製作は「ムーンライト/2016」のバリー・ジェンキンズ。

原作はジェームズ・ボールドウィンのビール・ストリートの恋人たち


TOHOシネマズシャンテにて



# by margot2005 | 2019-03-20 23:15 | MINI THEATER | Comments(0)

「ともしび」

Hannah2017 イタリア/フランス/ベルギー

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ベルギーの小さな地方都市。穏やかな生活を送るアンナと夫は、今夜も小さなダイニングでいつものように無言で夕食をとっている。長年連れそった老夫婦には信頼があるはずだった。しかしある疑惑を受けた夫はアンナと共に警察に出頭し、夫はその場で収監されてしまう…


アンナの夫はなぜ投獄されたのか?全く何も語られないまま物語は進んで行く。でも途中で何度かヒントがある。

近隣からの罵声/息子の無視/証拠の写真(映像は映らない)ラスト、地下鉄のシーンにはドキドキした。浜辺に横たわる死んだクジラを見つめるアンナのシーンも意味深い。


台詞が極端に少ない。相反してアンナが通う演劇クラスでの発声練習は騒々しい。

アンナは豪邸に暮らすエレーヌの家の家政婦をしている。エレーヌの幼い息子は目が不自由。”本を読んで”とせがむ男の子に”今忙しいから…”と言いながらも望みをかなえてやる。

孫の誕生日にケーキを焼いて息子の家を訪ねる。しかしアンナは玄関で追い返されてしまうのだ。帰りの地下鉄のトイレで号泣するアンナ。

ある日、仕事を早めに切り上げ孫の学校へ赴く。門の陰から校庭で遊ぶ孫をじっと見つめるアンナ。アンナは孫を抱きしめられないぶん、思い切りエレーヌの幼い息子を抱きしめているように見えてとても哀れだ。


シャーロット・ランプリングはこの作品で第74回ヴェネチア国際映画祭の女優賞に輝いた。

突然起こった夫の刑務所入り。しかし、これまでと変わらない生活を続けようと必死になるアンナの表情は真に迫る。

台詞が少ないためアンナの表情が多くを語る。演じるランプリングはさすがの演技。男優なら”燻し銀の演技”と言いたいところ。

「まぼろし/2001」「さざなみ/2015」ときて、今回の邦題は「ともしび」。日本語のタイトルはどれもドラマに合っている?


アンナに「ベロニカとの記憶/2017」「レッド・スパロー/2018のシャーロット・ランプリング。

アンナの夫に「ル・アーヴルの靴みがき/2011」のアンドレ・ウィルム。

エレーヌにステファニー・ヴァン・ヴィヴェ。

演劇クラスの教師にファトゥー・トラレ。

アンナの息子ニコラスにシモン・ビショップ。

監督、脚本はアンドレア・パラオロ。


シネスイッチ銀座にて


# by margot2005 | 2019-03-15 23:36 | イタリア | Comments(0)

「ちいさな独裁者」

Der Hauptmann…akaThe Captain2017 ドイツ/フランス/ポーランド

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第二次世界大戦末期の19454月。ドイツ軍は敗戦濃厚で軍規違反が相次いでいる。そんな中、若い兵士ヘロルトは部隊から脱走を謀る。どうにかこうにか軍の追跡を逃れたヘロルトはさまよう荒野に打ち捨てられた一台の車を発見する。座席にはナチス将校の軍服があり、思わずそれを身につけるヘロルト。やがて部隊からはぐれた兵士フライタークは将校の軍服を着たヘロルトと出くわしお供をさせてくださいと願い出る


道中で出会った兵士を従え総統直々の命を受けたとする、特殊部隊Hのリーダーへと成り上がっていくヘロルト。やがてついに脱走兵の収容所を訪れたヘロルトは、そこで自らの偽りの権力を振りかざし始める。

収容所でヘロルトはやりたい放題。総統直々の命を受けたというヘロルトの言葉は一時疑われるものの、本部とのやりとりの後大尉の権限に疑いはないと了承されるのだ。


脱走兵がナチスの大尉になりすましたわけ。なぜ?バレなかったのかすごく不思議だったが、ドイツは敗戦が濃厚で上層部は一人の大尉の身分を疑う余裕などなかったのではないか?なんて思った。そういえば、脱走兵の収容所でユンカーにどこかで見た顔だ!と盛んに言われていたがバレなかったし

映画を見て「THE WAVE ウェイヴ/2008」を思い出したが、本作も実在の人物がいるというから恐ろしい。


エンドロールの背景は現代のドイツ。軍服を着たヘロルトが街中の市民に言いがかりをつけている。あの映像は恐ろしくもあり面白くもありでとても斬新だった。

甘いマスクのアレクサンダー・フェーリングが冷血なナチの将校役であっと驚く。


ヴィリー・ヘロルトにマックス・フーバッヒャー。

フライタークにミラン・ペシェル。

キピンスキーに「THE WAVE ウェイヴ/2008」「血の伯爵夫人/2009」のフレデリック・ラウ。

ユンカーに「ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み~」/2010」「顔のないヒトラーたち/2014」のアレクサンダー・フェーリング。

監督、脚本は「フライトプラン/2005「きみがぼくを見つけた日/2009」のロベルト・シュヴェンケ。


新宿武蔵野館にて


# by margot2005 | 2019-03-14 00:26 | ドイツ | Comments(0)

「THE GUILTY/ギルティ」

Den skyldige…akaThe Guilty2018 デンマーク

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警察官のアスガー・ホルムは緊急通報指令室のオペレーターとして勤務している。捜査中のトラブルから現場を外されているが元の職場への復帰は間近い。そんな彼が女性からの一報を受ける


最初見ていて、アスガーって緊急通報指令室のオペレーター?と疑問を抱いた。やがて彼がなぜここで仕事をしているのか明かになって行く。

イーベンと名乗る女性の通報に必死になって助けようと試みるアスガー。警察官の相棒ラシッドに電話をかけイーベンの夫ミケルの家を調査させたりするのは少々違法かとも思ったけど、アスガーが熱血警察官であることが伝わって来る。


隣に座る自分よりはるかに年長のオペレーターに失礼な態度を取って申しわけないと謝るアスガー。そして電話で、警察官の上司にパトリシア(妻)によろしく!と言われ、電話を切った後パトリシアは出て行ったとつぶやくアスガー。緊張が続く仕事の合間に交わされる会話にアスガーの人柄や私生活が垣間見える。

ラスト近くでタイトル「THE GUILTY/ギルティ」の意味がわかるところが絶妙。


北欧の映画は大好きなのでかなり見ている。同じヨーロッパでもフランスやイタリア、ドイツなどとは少々趣が異なる北欧映画には惹きつけられるものがある。

ほぼワンシチュエーションで描かれるドラマに釘付けとなった。シーンは95%以上電話でのやり取り。ドラマには猛烈に想像力が掻き立てられ、見終わってどっと疲れた。

グスタフ・モーラーは初監督作品とは思えないほど秀悦なドラマ展開でとても見ごたえがあった。

ほぼ一人舞台のヤコブ・セーダーグレンも当然ながら素晴らしい。


公開2週目の割引デーにネット予約を試みたがどの時間帯も満席だった。諦めて次の日に広い方のシアターの席はかなり埋まっていた。

ジェイクギレンホール主演でリメイクされるそうだが、ギレンホール苦手なのであまり見たくない。

一方でステラン・スカルスガルドの「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」をリーアムニーソンでリメイクした「Cold Pursuit」はなんとなく見てみたい(北米&ヨーロッパ他は2月に公開/日本でも6月公開予定)。これは最高に面白い北欧映画!!


wowowで放送されたヤコブ・セーダーグレン主演の「北欧サスペンス「凍てつく楽園」/20102018」は確か字幕じゃなかったので見ていない。今一度字幕スーパーで放送して欲しい。

ヤコブ・セーダーグレン「光のほうへ」ではヒゲ面だったので、すっきりした顔の本作では彼とわからなかった。「光のほうへ」ではとても優しい人を演じていてナイスだった。


アスガー・ホルムに「光のほうへ/2010」ヤコブ・セーダーグレン。

イーベン(声のみ)にイェシカ・ディナウエ。

ミケル(声のみ)にヨハン・オルセン。

ラシッド(声のみ)にオマール・シャガウィー。

マチルド(声のみ)にカティンカ・エヴァース=ヤーンセン。

監督、脚本はグスタフ・モーラー。


新宿武蔵野館にて


# by margot2005 | 2019-03-10 21:53 | ヨーロッパ | Comments(2)

「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」

Rebel in the Rye2017USA

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ケネス・スラウェンスキーのノンフィクション小説『サリンジャー 生涯91年の真実』をもとに若き日のJ.D.サリンジャーにスポットを当てた伝記ドラマ。


1939年、ニューヨーク。作家を目指す20歳のサリンジャーはコロンビア大学の創作文芸コースでウィット・バーネット教授と出会う。バーネットは編集者でもあり、彼のアドヴァイスのもと短編小説を書き始める。一方で劇作家ユージン・オニールの娘ウーナと恋に落ち青春を謳歌していた。しかし第二次世界大戦が勃発。志願兵となったサリンジャーはヨーロッパの最前線で地獄を経験することになる。終戦後、苦しみながらも書き溜めておいた初めての長編小説ライ麦畑で捕まえてを発表する。


都内では1/18から上映開始。地味なドラマながら隠れJ.D.サリンジャー ファンが多いのか?今だに上映していてちょっと驚き。「ライ麦畑で出会ったら/2015」を鑑賞していたのと、ニコラスの出演に見たかった一作。

J.D.サリンジャーがニューハンプシャー州、コーニッシュに自宅を構えクレアと暮らす日々までを描いている。

近隣から遮断すべくコーニッシュの自宅敷地に、サリンジャー自ら塀を建てるシーンが興味深い。


J.D.サリンジャーの伝記ドラマはとても見ごたえがあった。

英国人のニコラスがサリンジャー役?って少々違和感ない?と思っていたけど、これが意外にもOK

そしてサリンジャーの恩師ウィット・バーネットを演じるケヴィン・スペイシーが素晴らしい。この方セクハラで裁判を起こされている身で、ショービズの世界からは追放状態。なんとも惜しい。ケヴィン素晴らしい俳優なのに

ゾーイはリー・トンプソンの娘。似てる??ゾーイ・ドゥイッチ映画はコメディしか見ていなくて、後にチャーリー・チャップリンの妻になるウーナ役は全く別人だった。

俳優&脚本家ダニー・ストロングの初監督作品。


J.D.サリンジャーに「アウトバーン/2016」「女王陛下のお気に入り/2018」ニコラス・ホルト

ウィット・バーネットに「ビリオネア・ボーイズ・クラブ/2018」のケヴィン・スペイシー。

ウーナ・オニールに「ダーティ・グランパ/2016」「ウェディング・バトル アウトな男たち/2016」のゾーイ・ドゥイッチ。

ドロシー・オールディングに「オーシャンズ8/2018」のサラ・ポールソン。

父ソルに「ボーダーライン/2015」のヴィクター・ガーバー。

母ミリアムに「脳内ニューヨーク/2008」「リアル・スティール/2011」のホープ・デイヴィス。

クレアに「ボヘミアン・ラプソディ/2018」のルーシー・ボーイントン。

監督、脚本、製作はダニー・ストロング。


シネマカリテにて



# by margot2005 | 2019-03-05 23:51 | MINI THEATER | Comments(0)

「天才作家の妻 -40年目の真実-」

The Wife2017UK/スウェーデン/USA

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ある日、アメリカ、コネティカット州に住むジョゼフのもとにノーベル文学賞受賞の知らせが入る。ジョゼフは現代文学の巨匠として名高い人物。40年間連れ添った妻ジョーンと喜びを分かち合い,息子ディヴィッドを伴いスウェーデン、ストックホルムへと旅立つ


ストックホルムへ向かう機上にはジョゼフの伝記本執筆を目論む記者ナサニエルの姿もあった。ジョゼフのことを調べ尽くすナサニエルは、遠い昔ジョゼフの生徒だったジョーンに、”今までなぜ本を書かなかったのか?”と疑問を投げかける。

作家としては二流だったジョゼフはジョーンと出会い、妻を捨てて彼女と再婚したのだ。


ドラマは現在と過去を行ったり来たりする。


作家志望だったジョーンは若い頃、一人の女流作家エレーヌ・モゼルから女が文学界で名を成せるのは大変なことなのよ!と断言されていた。

エレーヌ・モゼルからの忠告と、愛するジョゼフを失いたくない一心で上手く書けない夫の手助けをしていたのだ40年もの間。

それなのに妻は本を書かないと公言する夫がヒドい。ジョゼフはホント不甲斐ない男でおまけに女好き。

ノーベル賞授賞式の演説で、ジョゼフは内助の功を讃えまくる。しかしその拍手喝采に白々しい笑みを浮かべるジョーンが気の毒やら可笑しいやら


ナサニエルはジョーンが若い頃に書いた本を読んでおり、”あのような素晴らしい文章を書いた人がその後全く書かなくなったなんてとても信じられない”と攻め立てる。

帰りの飛行機の中…”ジョゼフの名誉を傷つけたら法に訴えるわよ!とナサニエルに言い放ち、一方で息子には家に帰ってスザンナを呼んでから全てを話してあげると言っていた。彼女は息子と娘に真実を暴露したのだろうか?


グレン・クローズはかつて過激な女性が似合ったが、本作では原タイトルThe Wife主婦」のヒロイン役。オスカーの主演女優賞にノミネートされていたが、オリヴィア・コールマンに持って行かれて残念だった。


今年50歳になるクリスチャン・スレイターは「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア/1994」の20代の頃と変わっていなくていつまでも素敵な俳優。一時期事件を起こして干されていたが今では名脇役の域に達しているかも知れない。

グレンクローズの娘アニー・スタークが綺麗。


ジェレミーアイアンズの息子マックス・アイアンズがチャーミング。彼の一押し作品はサム・クラフリンやハリー・ロイドが出演する「ライオット・クラブ/2014」。オックスフォード大学で実際にあった話で、貴族やリッチな息子たちが見境なく飲酒、ドラッグ、sex、そして暴行に溺れる姿を描き、一部の特権階級がパワーを持つ英国社会が印象的だった。そのドラマでリッチな息子の一人を演じるマックスは実にハマっていた役柄に

wowowで放送しているTV映画「コンドル ~狙われたCIA分析官~/2018」のマックスも素敵。


ジョーン・キャッスルマンに「アルバート氏の人生/2011」「セブン・シスターズ/2016」のグレン・クローズ。

ジョゼフ・キャッスルマンに「悪党に粛清を/2015」のジョナサン・プライス。

ディヴィッド・キャッスルマンに「黄金のアデーレ 名画の帰還/2015」のマックス・アイアンズ。

スザンナ・キャッスルマンにアリックス・ウィルトン・リーガン。

若い頃のジョゼフ・キャッスルマンに「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦/2016」のハリー・ロイド。

若い頃のジョーン・キャッスルマンにアニー・スターク。

ナサニエル・ボーンに「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア/1994「ニンフォマニアック Vol.12013」「ニンフォマニアック Vol.22013」のクリスチャン・スレイター。

作家エレーヌ・モゼルに「トレイン・ミッション/2018」のエリザベス・マクガヴァン。

監督、製作総指揮はビョルン・ルンゲ。


角川シネマ有楽町にて(既に上映終了/YEBISU GARDEN CINEMA/丸の内ピカデリー<時間限定>で上映中)


# by margot2005 | 2019-03-02 21:51 | UK | Comments(2)

「女王陛下のお気に入り」

The Favourite2018 アイルランド/UKUSA

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18世紀初頭のイングランドはフランスとの戦争が長期化している。イングランド軍を率いるのはモールバラ公爵で、彼の妻レディ・サラが病弱なアン女王に変わって、宮廷の実権を握り戦費の調達に奔走していた。サラはアン女王の幼馴染で実質上の女王的存在。そんなある日、サラの従妹で上流階級から没落した若い娘アビゲイルが宮廷にやって来る


初めはサラの侍女だったアビゲイルが女王の”The Favourite/お気に入り”となるまでの過程を面白可笑しく描いている。

サラとアビゲイルの闘いが強烈。後に大蔵大臣となるロバート・ハーリーとのやりとりも見逃せない。

糖尿で目が弱い女王。しかし反面聴覚が鋭い。アビゲイルがウサギを踏んづける様(音)をきっと聞いていたに違いない。


一種独特の世界を描くヨルゴス・ランティモス。舞台は18世紀初頭のイングランドの宮廷。史実に基づいて描かれているそうだがヨルゴス・ランティモスの世界はやはり独特。

ラスト、ウサギが大きな役割を果たしているところがニクい。


ヨルゴス・ランティモス映画を見るのは「籠の中の乙女/2009」以来4作目。作品ごとに奇想天外模様が少し減っているように見え、本作はブラックな笑いが多くて密かに大笑いした。

オリビアとレイチェルは「ロブスター/2015」に続くヨルゴス・ランティモス映画への出演。

オリヴィア映画は「思秋期/2010」が素晴らしい。

レイチェル映画はサム・クラフリンと共演した時代物の「レイチェル/2017」をwowowで鑑賞。レイチェルは本作もそうだが時代物の似合う女優。

オリヴィア、エマ、レイチェルと皆適役で素晴らしいが、忘れてはならないのがニコラス・ホルト。ニコラス初時代物。メイクをしてウイッグをつけたニコラスが可笑しいやら可愛いやら、ナイスだった。


オスカーの主演女優賞をゲットしたオリヴィア・コールマン。授賞式では、思いがけない授賞を手放しで喜び、ウィットに富む授賞スピーチも拍手喝采。同じくノミネートされていたグレン・クローズにはあなたは私のアイドル!あなたに授賞してもらいたかったわ。とか、レディ・ガガには愛している!なんてコメントして会場をわかしていたのが印象的。ヨルゴス・ランティモス監督もオリヴィアを祝福していたし。彼女の授賞に会場は大いに盛り上がっていた。そして素顔のオリヴィア・コールマンはチャーミング。


アン女王に「オリエント急行殺人事件/2017」のオリヴィア・コールマン。

アビゲイル・ヒルに「ラ・ラ・ランド/2016」「バトル・オブ・ザ・セクシーズ/2017」のエマ・ストーン。

レディ・サラに「喜望峰の風に乗せて/2017」「レイチェル/2017」のレイチェル・ワイズ。

ロバート・ハーリーに「シングルマン/2009」「マッドマックス 怒りのデス・ロード/2015」「X-MEN:アポカリプス/2016」のニコラス・ホルト。

サミュエル・マシャムに「ベロニカとの記憶/2019」のジョー・アルウィン。

モールバラ公(ジョン・チャーチル)に「プーと大人になった僕/2018」のマーク・ゲイティス。

ゴドルフィンにジェームズ・スミス。

監督、製作は「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア/2017」のヨルゴス・ランティモス。


TOHOシネマズシャンテにて



# by margot2005 | 2019-02-28 00:14 | UK | Comments(4)

「ヴィクトリア女王 最期の秘密」

Victoria & Abdul2017 UKUSA

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1887年、英国領のインド。ある時、アグラに住むアブドゥル・カリムはヴィクトリア女王即位50周年記念式典で記念金貨モハールを献上する役目を仰せつかり、もう一人の献上者モハメドと共に英国へ渡ることになる。式典で決して女王と目を合わせてはならないと助言されていたにも関わらず、目を合わせた上、女王にスマイルを見せ、挙句ひざまづいて彼女の靴にキスをしてしまう。思惑が飛び交う宮廷生活において、心休まらない日々を送るヴィクトリアはハンサムで物怖じしないアブドゥルに心奪われるのだった


オープニングにこれは実話です…almost”と記される。確かに見終わって確実に全て実話ってことではないだろう?と思った。

エミリー・ブラントがヴィクトリア女王を演じた「ヴィクトリア女王 世紀の愛/2009」という映画がある。原タイトル「The Young Victoria」が表すように、女王に即位した後、結婚した1020代のヴィクトリアを描いたドラマ。

本作は晩年から亡くなるまでのヴィクトリアを描いている。


インド人のアブドゥルはヒンズー教ではなくイスラム教の信者。ヴィクトリアにイスラムの教えを説く様を見て、バーティーや側近たちは憤慨するが、ヴィクトリアは意に返さない。皇太子を筆頭にあたふたする側近たちの姿が滑稽で笑える。


Queen Victoria 至上の恋/1997」という映画があり、やはりジュディ・デンチがヴィクトリア演じている。かなり前に見たのであまり記憶は残っていないが女王と従僕の秘められた恋を描いている。

本作もヴィクトリアがアブドゥルに恋をしたようにも描かれていて楽しい。


ちょっと調べてみたらヴィクトリア女王の在位は1837年~1901年。在位50周年の式典から始まるドラマはヴィクトリアの死まで描かれる。18歳で即位したので50周年の式典では68歳。そして81歳で亡くなっている。ということはアブドゥルとは13年もの間親交があったということですごい!


ヴィクトリア女王死後王位を継いだ皇太子が即座にアブドゥルを追い出し、女王に関するものを全て破棄してしまう。しかしアブドゥルの遺品からヴィクトリア女王との交流を記した日記が見つかり1世紀を経て”Victoria & Abdul”の物語が生まれたそうだ。

女王が亡くなったワイト島のオズボーン・ハウスでもロケされていて、その景色は素晴らしく美しい。

時代は少々ずれるが、英国領だったインドは「英国総督 最後の家/2017」に描かれている。


ヴィクトリア女王に「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛/2017」のジュディ・デンチ。

アブドゥル・カリムにアリ・ファザール。

バーティー/皇太子に「ウイスキーと2人の花嫁/2016」のエディ・イザード。

モハメドにアディール・アクタル。

ヘンリー・ポンソンビーに「Vフォー・ヴェンデッタ/2005」「フーディーニ 幻想に生きた奇術師/2014」のティム・ピゴット=スミス。

ソールズベリー/首相に「英国総督 最後の家/2017」のマイケル・ガンボン。

レディ・チャーチルに「私が愛した大統領/2012」のオリヴィア・ウイリアムズ。

ドクター・リードにポール・ヒギンズ。

監督、製作総指揮に「マダム・フローレンス! 夢見るふたり/2016」「英国スキャンダル ~セックスと陰謀のソープ事件/2017」のスティーヴン・フリアーズ。


Bunkamura シネマにて



# by margot2005 | 2019-02-23 00:18 | UK | Comments(0)

「ジュリアン」

Jurian…akaCustody 」「Jusqu'à la garde2017 フランス

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ベッソン夫妻は離婚し10歳になるジュリアンの親権を争っている。ミリアムは息子を元夫アントワーヌに会わせたくないが、アントワーヌは元妻ミリアムの振る舞いが離婚に至ったと主張している。結果、裁判所はアントワーヌと息子の面会を認めることになる


ラストは実に強烈。エンディングは音声なし。暗いスクリーンに映し出されるエンド・クレジットを見ながら考えさせられる衝撃のドラマだった。


オープニングの裁判所のシーンで、ミリアムが嘘をついているのか?それともアントワーヌが嘘をついているのか?と少々疑った。

ドラマは進み、ミリアムが娘のジョゼフィーヌ、息子のジュリアンと共に実家に身を寄せている。ある時、ジュリアンを連れ出すアントワーヌ。ジョゼフィーヌは父と会うことを拒む年齢に達してるが、ジュリアンはそうではない。嫌々ながら父に連れ出されるジュリアン。アントワーヌはジュリアンに探りを入れミリアムの連絡先を聞き出そうとする。しかしジュリアンは母を守るため決して電話番号を明かそうとはしない。


頑なに母を守ろうと頑張るジュリアンが健気で泣ける。

そしてジュリアンを演じるトマ・ジオリアは、父と一緒にいる時のいたたまれない、おどおどとした表情がスゴく上手くて感心しきりだった。


ちょっとネタバレ

どこかに「クレーマー、クレーマー/1979」プラス「シャイニング/1980」と書いてあった。「クレーマー、クレーマー」はわかるけど「シャイニング」は??と不思議だったが、あのラストはまさにホラー映画「シャイニング」。


ミリアム・ベッソンに「青の寝室/2014」のレア・ドリュッケール。

アントワーヌ・ベッソンに「危険なプロット/2012」「ザ・ダンサー/2016」のドゥニ・メノーシェ。

ジュリアン・ベッソンにトマ・ジオリア。

ジョゼフィーヌ・ベッソンにマチルド・オヌヴー。

監督はグザヴィエ・ルグラン。


シネマカリテにて



# by margot2005 | 2019-02-18 20:36 | フランス | Comments(0)