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「エリザのために」

Bacalaureat…akaGraduation 2016 ルーマニア/フランス/ベルギー

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ルーマニア郊外の町。医師のロメオの娘エリザは学業優秀で英国のケンブリッジ大学留学を目指している。そんなある朝、エリザが暴漢に襲われる。腕を負傷しただけで大事には至らなかったが激しいショックは隠せない。そして明日はエリザにとって大事な卒業試験の日。父親のロメオはエリザが暴漢に襲われたのは、学校の門の前まで送って行かなかった自分のせいだと思い込んでいる。エリザが試験を上手く切り抜けられるか心配になったロメオはコネを利用して裏工作しようと奔走する…


ロメオにアドリアン・ティティエニ。

エリザに「白いリボン/2009」のマリア・ドラグシ。

マグダにリア・バニャー。

マリウスにラレシュ・アンドリチ。

サンドラにマリナ・マノヴィッチ。

警察署長に「4ヶ月、3週と2日/2007」のヴラド・イヴァノフ。

監督、脚本、製作は「4ヶ月、3週と2日/2007」「汚(けが)れなき祈り/2012」のクリスティアン・ムンジウ。


医師のロメオは忙しい中、健康の優れない妻マグダの代わりに娘の世話をして学校へ送り、老いて病気がちな母親を訪ねる気遣いも忘れない。おまけにロメオには愛人サンドラがいる。この男性なんとまめなのかと感心してしまった。

サンドラは二人の将来を曖昧にしているロメオを責めるが、ロメオは娘のことで頭がいっぱい。

ロメオは娘にも妻にも、そして愛人にもはっきりとした態度を取らない。そして3人の女性からその態度を責めたてられている。この男性は優柔不断人間であるような気もする。


とにかく真面目な男ロメオは切羽詰まっていた。愛する娘エリザのために何とかしたい一心で行動を起こす。こういう時ってバレないのか?なんて考えている余裕などきっとないのだろう。ドラマを見ていてあれじゃきっとバレるに違いないと何度も思ったけど、当人は必死だから周りが見えていない。しかしついに検察官がやって来る。

警察署長、副市長、委員長を巻き込んだのだから...。


重苦しい展開のドラマだが、何となく未来が開けそうなラストに救いがあったかな?エリザはボーイフレンド、マリウスとルーマニアに残ったのだろうか?


(けが)れなき祈り」「4ヶ月、3週と2日」と見てきて、リアリズムを追求するこの監督の作品は疲れるなぁといつも思って…今回はやめにしようかと思いながらも、又見に行ってしまった。やはり疲れる。今回はロメオにイライラして余計疲れたかも知れない。しかしながら映画は絶賛されている。


シネマカリテにて



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by margot2005 | 2017-02-09 00:01 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「トレジャー オトナタチの贈り物」

「Comoara」…aka「The Treasure」2015 ルーマニア/フランス
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ルーマニア、ブカレスト。コスティは妻と息子の三人で慎ましやかに暮らしている。ある日、近所に住む男アドリアンが、“失業中で家のローンの支払に困っている。800ユーロ貸してくれないか?”と訪ねてくる。“家も余裕がなく貸す金などない。”と断るコスティに“800ユーロあれば曾祖父が共産党台頭前に庭に埋めた宝探しをすることができる。”と言い、“宝発見の折には分け前を折半する!”と怪しいながらも美味しい話を持ちかけてくる。半信半疑ながらアドリアンの話にのってしまったコスティは妻にも相談してなんとか800ユーロをかき集めるのだった…

コスティにクジン・トマ。
アドリアンにアドリアン・プルカレスク。
コルネルにコルネリュ・コズメイ。
監督、脚本はコルネリュ・ポルンボイュ。

ある日突然近隣の住民が訪ねて来て金を貸せと言う。胡散臭いなぁと思いつつも金を用意する主人公に驚くが、ドラマは実際に体験した人から聞いた話にもとづいて映画にしたと言う。あのゴージャスな宝を発見した二人はなんとラッキーなんだろうと羨ましくなる。

少々ファンタジーっぽい雰囲気は良いのだが、コメディ・ドラマとは思えないほど終始ペーソスが漂う。
金属探知機で地面をこする様と、穴掘り作業が延々と続き、スロー、ペースで盛り上がりも何もないシンプルなドラマは少々退屈だったかな?

当然宝は出てくる...発見した宝の入った箱を抱えアドリアン所有の空き家から出てきた二人は巡回していたパトカーの警察官に怪しまれ尋問される。警察に連行されモノによっては国に没収される可能性もあると告げられた二人は手放しで喜べない。あのシーンは気の毒ながら可笑しかった。
そしてあのラストにはびっくり!子供を喜ばせるお父さんは偉いが、フリーズしてしまった。あのお父さんはただただ息子を喜ばせたくて、息子のヒーローになりたかったに違いない。

コスティの妻と息子を演じるのはコスティ役のクジン・トマの実際の妻子で、怪しい業者のコルネルを演じるコルネリュ・コズメイは元兵士で金属探知を職業としているとのこと。
主演二人はプロの俳優ながら、なんとなく俳優ぽくなくて、近所のおじさんの雰囲気でナイス。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2016-10-05 23:28 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「汚(けが)れなき祈り」

「Dupa dealuri」…aka「Beyond the Hills」 2012 /ルーマニア/フランス/ベルギー
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アリーナとヴォイキツァは幼い頃に同じ孤児院で過ごした親友同士。ある日、ドイツで暮らしていたヴォイキツァが修道院に住むアリーナを訪ねてくる。その修道院は人里離れた丘の上に建っていた。アリーナは心からヴォイキツァを愛しており、ドイツで一緒に生活しようと願っていたが、ヴォイキツァはルーマニアの地を離れることに躊躇する。それは他でもなく信仰に深く目覚めたことによるものだった。思い通りにならないアリーナは不満を募らせるが、ヴォイキツァからは信仰するよう説得される。しかしアリーナの心が自分ではなく神にあることを感じ始めたヴォイキツァは次第に精神を病んで行く...
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ヴォイキツァにコスミナ・ストラタン。
アリーナにクリスティナ・フルトゥル。
司祭(神父)にヴァレリウ・アンドリウツァ。
修道女長にダナ・タパラガ。
監督、製作、脚本は「4ヶ月、3週と2日/2007」のクリスティアン・ムンジウ。

「4ヶ月、3週と2日/2007」はルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスクが妻と共に処刑される2年前が舞台で、テーマは違法中絶でとてもヘヴィーでツラいドラマだった。本作は“悪魔払い”の儀式で亡くなった一人の女性と、その親友にスポットを当てている。

新天地を求め親友をドイツへと誘うアリーナ。ヴォイキツァは信仰に身を捧げ修道院暮らしがあっていたが、アリーナはそうではない。精神に異常をきたした際入院し、退院後は修道院へ引き取られる。それが悲劇の始まりであった。アリーナは信仰心に薄くヴォイキツァのようにはなれなかったから。彼女が修道院以外のところで暮らしていれば悲劇は起きなかったかも知れない。でもアリーナには暮らす場所がなかった。貧困が招いた結果が哀しい。

宗教というのは自身にとってあまりにも非日常的な世界で、おまけに舞台は東ヨーロッパ。2005年にルーマニアの修道院で実際に起こった事件というのだからますます理解しがたい世界。“悪魔払い”なんて中世の出来事で、映画「エクソシスト」の世界でしかあり得ないし…。
儀式が行われる舞台の修道院周辺は深い雪に埋もれ神秘的だが、シーンはとてもリアルに描かれていて驚く。

神に身を捧げるヴォイキツァと、彼女を愛するレズビアンのアリーナ...このとんでもないシチュエイションが悲劇を招いた哀しいヒューマン・ドラマは152分とかなり長い。でもそれほど長さは感じなかったかな。
ヴォイキツァたちを乗せ、町中を走る車の中で唐突に訪れるラストに絶句した。
ヴォイキツァとアリーナはもちろんのこと、司祭や修道女長も素晴らしいキャスティングで、みな迫真の演技を披露していて、重い、重いドラマながら意外や見応えあった。

ヒューマントラスト有楽町にて(4/26迄上映予定:午前中1回のみ)
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by margot2005 | 2013-04-21 01:01 | スペイン | Trackback(6) | Comments(0)

「4ヶ月、3週と2日」

a0051234_2316425.jpg「4 luni, 3 saptamâni si 2 zile」...aka「4 Months, 3 Weeks & 2 Days」 2007 ルーマニア
2007年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した違法中絶がテーマの人間ドラマ。
主演のオティリアにアナマリア・マリンカ。望まない妊娠をしたルームメイト、ガビツァにローラ・ヴァシリウ。堕胎を行う怪しげな男ベベにヴラド・イヴァノフ。
監督、脚本はクリスティアン・ムンジウ。
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1989年に妻エレナと共に処刑されたルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスク。彼の独裁政権もやがて終わりを告げようとする1987年、2月、雪が残るルーマニア、ブカレスト。
ある日、大学生のオティリア(マリンカ)は、ルームメイト、ガビツァ(ヴァシリウ)が中絶を受けるため手配したホテルを訪ねる。しかし部屋の予約はなされていないと告げられる。途方に暮れるオティリアだったが、別のホテルに飛び込み部屋を3日間確保するのだった。
その後、闇の中絶人ベベ(イヴァノフ)を訪ね、ホテルに連れ帰る。
彼女たちが借金してかき集めたお金は3000レウ。しかしホテル代に300レウあまり取られ、残ったお金ではベベは満足しなかった...

公開されたら一番に観に行こうと思いながら、時間が合わずで、やっと観る事が出来た。
とても、とてもリアルに描いてあり、重い...滅茶へヴィーな映画である。
観る前に「ヴェラ・ドレイク/2004」を想像していたが、ちょっと描き方が違う。
映画を観る際、いつも詳しいストーリーを知らないで観たいので、これも観てからタイトルの意味を納得した。
ルームメイト、オティリアにおんぶに抱っこ状態で堕胎に望むガビツァが信じられないくらい子供なのである。
心配に、心配するオティリアをよそに、ホテルのレストランで“お腹が減ったの”と言うガビツァに唖然とし、そしてあのラスト...多分ここで終わるな?と思ったら、あっけなく終わってしまったあのラストはニクい。
冷戦時代のせいなのか?季節が真冬のせいなのか?全体的に暗い雰囲気がこの作品にマッチしている。
どうしようもなく、辛くってやるせない様を全身で表すオティリア役のアナマリア・マリンカが素晴らしい!

1989年12月、ルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスクが妻エレナと共に、革命軍によって公開銃殺刑となった映像はニュースで見て覚えている。“王朝”と呼ばれた彼らの大宮殿。銃弾に倒れる妻は高そうな毛皮(セーブルかミンクか?)のコートを纏っていたように記憶する。
独裁者チャウシェスクがエレナと私腹を肥やす中、あの時代に生きたオティリアたちが実に哀れである。

ルーマニアの通貨って、てっきりユーロだと思っていたのだが(ユーロも使える)...今現在のレートで行くと3000レウって日本円で約12万8000。20年前とは為替レートが違うだろうから単純に計算する訳には行かないが、恐らく法外な値段で闇中絶は行われていたことであろう。
同性にとっては余りにも哀しく辛い作品。
銀座テアトルシネマにて...
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by margot2005 | 2008-03-12 00:13 | スペイン | Trackback(16) | Comments(8)