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「残像」

Powidokiaka…Afterimage2016 ポーランド

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1945年、ポーランドのウッチ。第二次世界大戦後スターリン政権の影響が深まる中、造形大学の教授を勤めるストゥシェミンスキは、創作活動の合間積極的に後進の指導にあたっていたが、芸術を政治に利用する政府の要求に反撥し大学を追われてしまう...


ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキにボグスワフ・リンダ。

美大生ハンナにゾフィア・ヴィフワチュ。

娘ニカにブロニスワヴァ・ザマホフスカ。

詩人ユリアンにクシシュトフ・ピチェンスキ。

監督、脚本は「カティンの森/2007」「菖蒲/2009」アンジェイ・ワイダ。


2016年10月に亡くなったポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の遺作で、アヴァンギャルドなスタイルで有名な画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキを描いた伝記ドラマ。

残念なことに前衛画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキのことは全く知らなくて今回初めて知った。ウッチ・ヴワディスワフ・スチシェミンスキ美術アカデミーは1945年に設立され現在に至っている。


ストゥシェミンスキは片方の足が不自由で松葉杖に頼る生活。美の創造に情熱を傾け信念を貫こうとするが、社会主義政権に抵抗し大学を追われる。追い打ちをかけるように美術館に飾られた作品は壁からはがされ、芸術家デザイナー協会の会員証も没収されて画材を買うこともできない。そして食料を買うのに必要な配給切符まで喪失してしまう。


ラスト近く、食べるために巨大な看板(ポスター)を描くストゥシェミンスキの姿が哀れだった。やがて追いつめられたストゥシェミンスキは病気が悪化し帰らぬ人となる。

ドラマの中でストゥシェミンスキが学生たちにオランダの画家モンドリアンを語っていたが、どことなく似た作風を感じる。タイトルの「残像」は、“ものを見たあと目に残る色だ”と解説するストゥシェミンスキの言葉からきている。

アンジェイ・ワイダの遺作に魂が揺さぶられる。


岩波ホールにて(7/28まで)



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by margot2005 | 2017-07-24 19:50 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「イレブン・ミニッツ」

「11 minut」...aka「11 Minutes」2015 ポーランド/アイルランド
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ポーランド、ワルシャワを舞台にP.M.5時からP.M.5時11分の日常を描いた群像サスペンス・ドラマ。

映画監督リチャード・マーティンに「ベルファスト71/2014」のリチャード・ドーマー。
アンナ・ヘルマンにパウリナ・ハプコ。
アンナの夫にヴォイチェフ・メツファルドフスキ。
ホットドッグ屋の主人に「カティンの森/2007」「故郷よ/2011」「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー/2011」のアンジェイ・ヒラ。
バイク便の男に「イーダ/2013」のダヴィッド・オグロドニック。
登山家(女)に「ハミングバード/2012」のアガタ・ブゼク。
登山家(男)にピョートル・グロヴァツキ。
画家にヤン・ノヴィツキ。
救命隊のドクターにアンナ・マリア・ブチェク。
犬を連れた女にイフィ・ウデ。
元ボーイフレンドにマテウシュ・コシチュキェヴィチ。
少年にウカシュ・シコラ。
監督、製作、脚本は「アンナと過ごした4日間/2010」「エッセンシャル・キリング/2010」のイエジー・スコリモフスキ。

教会の鐘がP.M.5時を告げるポーランド、ワルシャワの街。
一人の男が家を飛び出し妻がいるホテルへと向かう。彼の妻アニャは女優で映画監督と会う予定だった。アニャの夫は嫉妬深く、映画監督は女好き。ホテルの前ではホットドッグ屋の主人が店を開いている。ホットドッグ屋の息子であるバイク便の男は配達に行った家の人妻と情事に耽るが夫が帰宅したため慌てて家を飛び出す。
その他、公園で元ボーイフレンドに預けていた愛犬を引き取る女、ホテルでポルノを見ながらセックスをする登山家のカップル、質屋に強盗に入るが失敗に終わる少年、河原でスケッチをする画家、急病患者の家に急行する救命隊のドクターなどなど、全く接点のない人々の日常が次々とスクリーンに映しだされる。

ドラマは5時から5時11分の間を描いている。それぞれの人物の日常は11分毎に描かれ、5時から11分後に全ての人物が集結してラストを迎える。あのラストには呆然となる。
もちろんドラマに台詞はあるけど、スタイリッシュな映像が物語る作品。ラストのスローモーションは圧巻。

ビルの谷間を低空で飛行する飛行機はアメリカの同時多発テロ(9:11)を連想してしまうし、何人かの人物が空を見上げ、”何かを見た!と主張する場面も…。彼らは低空飛行する飛行機のことを言っていたのだろうか?それとも他に何かを見た?

河原で写生をする画家のキャンパスにいきなりできた黒いシミや、登山家のカップルがいるホテルの部屋に突然飛び込んできた鳩など、不気味なシーンを絡めて描くのはあのラストにつなげるため?と頭の中に疑問がよぎる。
「エッセンシャル・キリング」や「アンナと過ごした4日間」のイメージが強烈なイエジー・スコリモフスキ。本作は全く趣の違う作品でびっくさせられた。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2016-09-08 23:53 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(0)

「イマジン」

「Imagine」2012 ポーランド/ポルトガル/フランス/UK
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リスボンの港町にある視覚障害者のための診療所に、ある日一人の男が教師としてやって来る。イアンと名のる彼は全盲にも関わらず杖を使わないで健常者のように歩くことができる。それは音の反響を受け止めることによって周囲の状況を知る“反響定位”というもの。イアンは子供たちに“反響定位”を教えるインストラクターとしてやって来たのだ。しかし危険も伴うこの方法に診療所のドクターは懸念を募らせて行く…

イアンに「もうひとりのシェイクスピア/2011」のエドワード・ホッグ。
エヴァに「愛を読むひと/2008」「セントアンナの奇跡/2008」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「フェアウェル/哀しみのスパイ/2009」「最終目的地/2009」のアレクサンドラ・マリア・ララ。
セラーノに「プリンセス・アンド・ウォリアー/2000」「パリ、ジュテーム/2006」のメルキオール・ドルエ。
ドクターにフランシス・フラパ。
監督、脚本、製作はアンジェイ・ヤキモフスキ。

授業を受けるのは様々な人種の子供たちや10代の若者たち。イアンの型破りな授業に戸惑いながらも夢中になっていく生徒たち。一方で外国からやって来た女性エヴァは、杖をついて歩くことが嫌で自室にこもりきり。しかしイアンに興味を抱いた彼女は自室から出るようになり授業にも参加し始める。やがてエヴァはイアンのように杖なしで歩いてみたいと思い始める。診療所からイアンと共に外に出たエヴァは、路面電車やバイクが行き交う音、そして人々の足音、木々のざわめきに聞き耳をたてながら街の空気を満喫する。
そばに寄り添うイアンは目が不自由なのにまるで見えるかのように“近くには港があり大型客船が出入りしているはず。”とエヴァに語る。
イアンとエヴァのほのかな恋は成就するのだろうか?スクリーンいっぱいに映る大型客船と路面電車のラストがとても美しく晴れ晴れしい。

リスボンの街で撮影された本作は目の不自由な人に勇気を与える素晴らしいドラマで、イアンがセラーノに海を見せる(感じさせる)シーンは感動を覚える。

イアン役のエドワード・ホッグは見えないようにして特訓を重ねたそうだが、スクリーンの中でホントに目の不自由な人のように見えて驚きつつ感心した。
監督はポーランド人で、主演のエドワード・ホッグは英国人。アレクサンドラ・マリア・ララはルーマニア出身のドイツ人で、子供たちの中にフランス人や、英国人も混ざるとってもInternationalな映画のロケ地はポルトガルのリスボン。

シアター・イメージフォーラムにて
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by margot2005 | 2015-05-15 00:23 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「パプーシャの黒い瞳」

「Papusza」2013 ポーランド
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実在のロマの女性詩人パプーシャの生涯を描いた荘厳なる伝記ドラマ。

パプーシャにヨヴィタ・ブドニク。
ディオニズィにズビグニェフ・ヴァレリシ。
イェジ・フィツォフスキに「カティンの森/2007」のアントニ・パヴリツキ。
監督、脚本はヨアンナ・コス・クラウゼ&クシシュトフ・クラウゼ。

雪が積もる道を馬車で移動し、老若男女が集まりたき火を囲む...パプーシャが生まれた1910年〜夫のディオニズィが亡くなる1970年代までを全編モノクロで描いたドラマは少々とっつきにくい。
オープニングはパプーシャの誕生。そして突然60年後に舞台は移り、大臣命令でパプーシャが刑務所から出され音楽会へ連れて行かれるシーンとなる。音楽会で歌われた歌詞はパプーシャが書いた詩。その後、少女時代のパプーシャ、結婚後のパプーシャとめまぐるしくシーンは交錯する。少々頻繁なので映画の半ばくらいまで戸惑いつつ、しかもゆったりと進む白黒ドラマに睡魔に誘われそうだったが、イェジがパプーシャの詩を新聞に掲載した後、迫害に合うパプーシャが気の毒でドラマに惹き付けられて行った。

パプーシャは15歳の時、父親の兄である伯父ディオニズィと強引に結婚させられる。年月が経過したある日、ディオニズィは秘密警察から逃げている作家で詩人のイェジを匿う。それは周りの反対を押し切っての決断だった。放浪民族ロマは文字を持たないが、パプーシャは少女の頃から文字に興味を持ち読み書き習得していた。文字が読めるパプーシャに驚きつつ、彼女の詩の才能を知ったイェジは、詩を書いて送って欲しいと万年筆をプレゼントし別れを告げる。
ずっと迷っていたパプーシャながら、ある日、ワルシャワに住むイェジに詩を書いた手紙を送る。やがて彼はロマ語で書かれた詩をポーランド語に翻訳し出版しようと考え、大物詩人ユリアン・トゥヴィムを訪ねる。そしてとうとうパプーシャの詩が新聞に掲載される。しかしイェジがパプーシャの詩と共にロマに関する論文を本にしたことから、ディオニズィとパプーシャ夫婦は裏切り者扱いされ追放される。白人社会から差別を受けるロマの人間が、白人社会に関心を持たれたパプーシャに憎しみや恨みを投げつけたのだ。

パプーシャとイェジの出会いと別れが悲しい。大きく二人は二度別れを経験している。最初の別れでパプーシャはイェジに惹かれていることを切に感じている。しかし二度目の別れの時イェジの援助を受けていれば…と思わずにはいれない。

ジプシーと呼ばれてきたロマは一般にヨーロッパで生活している。記憶をたどると…「そして友よ、静かに死ね/2011」でジェラール・ランヴァン演じる元ギャングのモモンはフランスのロマ。「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム/2011」でもノオミ・ラパスがやはりフランスのロマのマダムを演じている。

岩波ホールにて
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by margot2005 | 2015-04-29 23:41 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「明日の空の向こうに」

「Jutro bedzie leper」…aka「Tomorrow Will Be Better」 2011 ポーランド
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監督、脚本、編集に「木漏れ日の家で/2007」のドロタ・ケンジェジャフスカ。

子供が主人公の映画ってあまり観ないのだが、素晴らしい映画「木漏れ日の家で」のドロタ・ケンジェジャフスカの作品ということで観に行った。
映画の中で主人公のペチャ演じる6歳のオレガ・ルィバと、10歳の兄ヴァーシャ役のエウゲヌィ・ルイバ…二人は良く似ていると思ったら本当の兄弟だった。もう一人の少年リャパ役は11歳のアフメド・サルダロフ。オーディションで選ばれた3人は演技初体験だそう。
物語は現代。ポーランドの国境に位置する旧ソ連某国(ロシア)が舞台。この物語が現代とはとても信じられない。彼らには親も家もなく汚い駅舎で生活している。やがて隣国ポーランドに、より良い生活を求め冒険の旅に出る。

主演のオレガ・ルィバの幼気な姿が脳裏に焼き付く。それは演技とは思えないくらい真に迫っている。まるでドキュメンタリーのようにも映る。
3人はポーランドにたどり着き警察に保護される。ペチャは薄汚れたテディベアを抱きしめたり、警察官にすがりつかんばかりの態度を見せるあたりはまだまだ幼い子供。しかしながら旅の途中、市場のおばさんに“とても綺麗だよ!”と言ってパンをせしめたり、結婚式を挙げたばかりの花嫁にまたまた“とても綺麗!”なんて言ってコインをもらうのだ。6歳ながら口が上手いのに驚き。それも生きる手だてだったに違いない。
リャパが足手まといになる幼いペチャを何度か置いて行こうと考える。しかしたった一人の兄弟を置いていくなんて考えられない兄ヴァーシャ。彼すらまだ10歳なのに、たった一人の幼い弟を守ろうとする姿が胸にしみる。

11歳と10歳と6歳の子供だけで国境を越えるという事実はちょっと信じられない。映画だからと思いつつ、ラスト近く国境警備の監視人が見張る中、電気が通された国境のフェンスを超える彼らの姿に唖然とした。
とても身につまされる哀しいドラマだ。おまけにあの大ラスにはいたたまれない気持ちでいっぱいになる。
テーマは全く違うが、過去に「だれのものでもないチェレ/1976」というハンガリー映画を観た時と同じような、とてもとてもセツナイ気分になった。
Internationalタイトルについた“Be Better ”…子供たちが自らBetter Lifeを求め行動する現状が映画ながら身につまされる。

新宿シネマカリテにて
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by margot2005 | 2013-02-12 23:07 | スペイン | Trackback(1) | Comments(0)

「菖蒲」

「Tatarak」…aka「Sweet Rush」 2009 ポーランド
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マルタは医者の夫と共にポーランドの小さな町に暮している。第二次世界大戦中のワルシャワ蜂起で二人の息子を亡くした後、夫婦の間には溝が出来ていた...

監督は「カティンの森/2007」のアンジェイ・ワイダ。
マルタ/女優にクリスティナ・ヤンダ。
ボグシに「トスカーナの休日/2007」のパヴェウ・シャイダ。
マルタの夫に「カティンの森」のヤン・エングレルト。
マルタの女ともだちにヤドヴィガ・ヤンコフスカ・チェシラク。
ボグシのガールフレンド、ハリンカにユリア・ピェトルハ。
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アンジェイ・ワイダが“菖蒲”のメガホンを撮る監督として出演している。
美青年役のパヴェウ・シャイダは映画を観ている間、どこかで見た、見たと感じていたが思い出せず、映画が終わった途端思い出した。彼はダイアン・レインの「トスカーナの休日」に出演していたポーランド移民の男の子。コネチカッタ生まれのパヴェウ・シャイダはアメリカンだが、映画で英語の台詞は聞いたことがない。
そして残念なことにクリスティナ・ヤンダの映画は観たことがない。彼女の夫エドワード・クロシンスキーはポーランドの著名なる撮影カメラマンで、ジュリー・デルピーの「トリコロール/白の愛/1994」や「ショパン 愛と哀しみの旋律/2002」といった作品を撮影している。この方はアンジェイ・ワイダの盟友だそう。

映画「菖蒲」のストーリーの合間に、ヒロイン、マルタを演じる女優クリスティナ・ヤンダの独白シーンが織り込まれる。
ヤンダの夫エドワード・クロシンスキーがガンに冒され余命幾ばくもない。病気と闘った末、死を迎える夫について個人的な心情を語る独白のシーンを挟みながらマルタの日常が描かれる。一方で映画のヒロイン、マルタは病魔に冒され余命幾ばくもないという設定。
クリスティナ・ヤンダの夫の病気と死、そして映画の中のマルタの重い病気が重なり合い、ストーリーは苦しいことこの上ない。

ある夜、マルタは若くてハンサムな青年ボグシと出会う。医者の妻であるマルタは町で尊敬される女性だった。ボグシはマルタを敬愛し、マルタは若いボグシに惹かれてしまう。その後、湖で会う約束をした二人。マルタはボグシが現れないことに不満を抱く。そうこうするうち姿が見えたが、彼はガールフレンドのハリンカと一緒だった。嫉妬心を覚えたマルタは逃げ出そうとするがボグシに見つかってしまう。
映画のタイトル“菖蒲”がここに登場する。ボグシは湖に自生する“菖蒲”をマルタの為に取りに行く。しかし深みにはまり溺れてしまう…ここでも死が描かれる。

“死”がテーマの映画だけに見終わってなんとも言えない気分になった。マルタの夫は妻が余命幾ばくもないことを本人に固くななまでに隠していたが、マルタはそれを知っていたに違いないと感じた。
マルタは亡くなった息子たちの部屋をそのままにして、誰をもその部屋に入ることを禁じた。亡くなった息子の代わりにボグシを愛したかったのかも知れない。その気持ちスゴく理解できる。

神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2012-11-18 23:02 | スペイン | Trackback(1) | Comments(0)

「ソハの地下水道」

「In Darkness」2011 ポーランド/ドイツ/カナダ
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知らないポーランド人とドイツ人俳優の中で「アイガー北壁/2008」のベンノ・フュルマンが出演している。
そしてもう一人…多分彼女だろうな??でも随分と太ったものだと思いながら見ていたソハの妻ヴァンダ役の女優。で、やはりイエジー·スコリモフスキの「アンナと過ごした4日間/2008」のキンガ・プレイスだった。
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レオポルド・ソハにロベルト・ヴィエツキーヴィッチ。
ムンデク・マルグリエスに「プリンセス・アンド・ウォリアー/2000」「美しき家、わたしのイタリア/2003」「戦場のアリア/2006」のベンノ・フュルマン。
ヴァンダ・ソハにキンガ・プレイス。
クララ・ケラーにアグニェシュカ・グロホウスカ。
パウリナ・ヒゲルにマリア・シュラーダー。
イグナツィ・ヒゲルに「ラン・ローラ・ラン/1998」のヘルバート・クナウプ。
監督は「秘密の花園/1993」「太陽と月に背いて/1995」「敬愛なるベートーヴェン/2006」のアグニェシュカ・ホランド。
原作はロバート・マーシャルの“ソハの地下水道”。

1943年、ナチス占領下のポーランド。ソハは下水修理の仕事の合間空き巣をして日々の糧を稼いでいる。ある日、収容所行きを逃れようと、家の床から地下水道に繋がる穴を作っているユダヤ人たちを発見する。ナチスに彼らを売り渡せば報奨金をもらえることは解っている。しかし狡猾なソハは金をせしめようと考え、地下に匿ってやると持ちかける…

実際に起きた出来事をベースに描かれているそう。エンド・クレジットの前に“終戦後ソハは連合軍の車に轢かれそうになった娘を助けたことにより亡くなった。”と説明される。そして近隣者は“ユダヤ人を匿ったため罰が当たった。”と言ったという。

うだつの上がらない中年男のソハは最初は金が目的でユダヤ人を助けたのだ。ユダヤ人を匿うことは罪だから“そのうち捕まるよ!”と妻に呆れられ、罪なき若き同僚も処刑される。知人であるウクライナ人将校はユダヤ人狩りに夢中であったが、ソハの怪しい行動を不審に思い一緒に地下水道へと入って行く。しかしソハはユダヤ人を守り抜くのだった。
始めは金目当てだった行動がだんだん人道的になって行く。ソハは“ユダヤ人だって生きる権利がある。”と感じたのだろう。狡猾で卑しいソハが善人に変わって行く姿が良い。
ラスト、地下水道からから出て来るユダヤ人たちにケーキや飲み物を振るまい、妻ヴァンダを紹介しするソハは最高にご機嫌だった。今思い出してもあのシーンはとても良かったな。
ソハを演じるロベルト・ヴィエツキーヴィッチはポーランドでは有名な俳優とか。

正確には覚えてないがユダヤ人は確か1年以上地下水道で生活をしていたという。原タイトルが示すように“暗闇の中”で子供も含め生き残った彼らの気骨にスゴいものがあると感嘆、ただ感嘆あるのみ。

昨今、ナチスによるホロコーストものが多いような気がする。
少し前wowowで、もちろん未公開作品で、ハンガリーのユダヤ人を描いた「フェイトレス 〜運命ではなく/2005」という映画を観た。ラストに“007”のダニエル・クレイグが連合軍の兵士役で2シーンほど出演していた。まぁダニエルはともかく、主人公は10代のユダヤの少年で、過酷な運命に耐えぬいた健気な姿がとてもとても印象的だった。

TOHOシネマズ・日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2012-10-08 00:19 | スペイン | Trackback(6) | Comments(0)

「木漏れ日の家で」

「Pora umierac 」…aka「Time to Die」2007 ポーランド
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アニェラにダヌタ・シャフラルスカ。
息子にクシシュトフ・グロビシュ。
孫娘にパトルィツィヤ・シェフチク。
監督、脚本はドロタ・ケンジェジャフスカ。

91歳のアニェラはパートナーの愛犬フィラ(フィラデルフィア)とワルシャワ郊外の古い館に暮らしている。テラスで一緒に朝食を取り、近所の家を双眼鏡で覗くのが一番の楽しみ。
ポーランド人が飼っている犬の名前がアメリカ合衆国の大都市フィラデルフィアというのも中々粋だ。フィラは多分♂だと思うが、この犬(雑種??)の表情がスゴく良い。人間と犬ではあるが、互いに支え合って生きているアニェラ&フィラ。犬って癒してくれるんだなぁとしみじみ思う。

インターナショナル・タイトルはそのものずばり“死の時”で、91歳のアニェラが死を迎えるまでの物語。しかし邦題はとてもソフト。日本人て“死”という言葉をタイトルに入れることを好まないもかも知れない。
アニェラの死があまりにも、穏やかで荘厳で美しくて感動してしまう。映画を見終わって数十年後の自分の姿を想像し、アニェラのような死を迎えられるよう願わずにはいられなかった。

年に数回訪ねて来る息子と孫娘。息子の妻とは折り合いが悪くほとんど会うこともない。息子は近所の成金に母親の住む家を高い価格で売り飛ばそうとしている。そして孫娘は祖母の宝石が欲しくてたまらない。
一方で近所の悪ガキがアニェラの家に忍び込み盗みを働こうとする。悪ガキの侵入を防ぐことは出来たが、金をせびる彼に不満が爆発する。
やがて思い出がいっぱい詰まった古い家を息子に譲ろうと考えていたアニェラは物欲息子&孫に見切りを付け家を寄付してしまう。

全編モノクローム映像の中、若くて美しいアニェラがバレエを踊ったり、庭で恋人(夫)?とワルツに興じる過去の姿が映し出される。孤独ではあるが、思い出がいっぱい詰まった家に“死の時”まで住めるなんて、なんとアニェラは幸せな人なんだろうと羨ましくもあった。

アニェラを演じるダヌタ・シャフラルスカ。しわだらけではあるが、足腰はしっかりしていて驚くばかり。庭でブランコを揺らすシーン…ばあさんとブランコ??これほど不釣り合いのものはないかと思われるが、アニェラだとサマになるのだ。

公開2週目くらいの週刊誌に、穏やかな死を描いたこの作品に高齢者たちが列をなしている…というような記事が掲載されていたのを思い出した。私が観た4月のウイークディの最終回も中高年が目立っていた。
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神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2011-05-27 20:45 | スペイン | Trackback(4) | Comments(0)

「ショパン 愛と哀しみの旋律」

「Chopin. Pragnienie milosci」…aka「Chopin: Desire for Love」2002 ポーランド
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フレデリック・ショパンにピョートル・アダムチク。
ジュルジュ・サンドに「カティンの森/2007」のダヌタ・ステンカ。
ソランジュ・サンドにボジェナ・スタフーラ。
モーリス・サンドにアダム・ヴォロノヴィチ。
監督、脚本にイェジ・アントチャク。
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初日に銀座に観に行った。「神々と男たち」とどっちにしようかと迷いながら時間の合ったこちらを観ることに…しかしこの映画は冴えなかった。最終回、シアターは半分弱くらいの入りだったと思うが、斜め前のojisamaは途中で席を立つなり戻って来なかった。
Internationalタイトルについている“Desire for Love/愛欲への願望”そのものズバリの陳腐なドラマ。ピアノの詩人ショパンは究極の女好きだったのか?と想像してしまう。
ストーリーはショパンとサンドとモーリスのトライアングル。夫と息子とどちらかを選べと言われたら…やはり息子を選ぶだろうな個人的にも。しかし恋人と息子のいづれかを選べと言われたら…これはもう全く持って選びようがない絶対に。で、結局ドロドロのトライアングル関係に突入してしまう。おまけに、成長したソランジュが母親と張り合うためショパンを誘惑するあたりは、もうもうソープ・オペラ状態で参った。

ポーランド人のショパンがパリでジョルジュ・サンドと出会い、9年に及ぶ二人の愛憎を描いた物語。舞台はパリなので、ポーランド映画でもせめて台詞はフランス語にして欲しかった。ショパンがソランジュに“ぼくの言葉(フランス語)はヒドい”と英語で言うなんてホント変だった。

ショパン生誕200年。ショパンの生涯(ジョルジュ・サンドとの出会いと、別れが中心)を忠実に描いたドラマだそう。しかしこの忠実っていうのがコワい。ドロドロの愛欲のドラマはいただけなかったが、バックに流れるショパンの名曲の数々、ピアノ演奏のシーンは堪能出来る。そして二人が愛を育んだスポットでロケされ、それぞれのシーンは美しかった。

フレデリック・ショパンが生涯において一番愛した女性はジョルジュ・サンドだそう。作曲家って年上の女性の愛に包まれて良い作品が書けるのか?「クララ・シューマンの愛/2008」のブラームスもそうだった。
シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2011-03-24 23:59 | スペイン | Trackback(2) | Comments(0)

「カティンの森」

「Katyn」 2007 ポーランド
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アンナにマヤ·オスタシェフスカ。
アンナの夫アンジェイにアルトゥル·ジミイェフスキ。
アンジェイの母にマヤ·コモロフスカ。
アンジェイの父ヤン教授にヴワディスワフ·コヴァルスキ。
アンジェイの友人イェジにアンジェイ·ヒラ。
将軍夫人ルジャにダヌタ·ステンカ。
将軍にヤン·エングレルト。
ピョトルにパヴェウ・マワシンスキ。
ピョトルの妹アグニェシュカにマグダレナ・チェレツカ。
アンナを匿うソ連の少佐役で「12人の怒れる男/」で陪審員no.3(モスクワのタクシー・ドライバー)を演じたセルゲイ·ガルマッシュが出演している。
監督、脚本に「地下水道 /1956」「灰とダイヤモンド/1957」のアンジェイ·ワイダ。
原作はアンジェイ・ムラルチクの「カティンの森」。
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1939年9月、ナチス・ドイツとソ連の密約により分割占領されたポーランド。将校であるアンナの夫アンジェイはソ連側の捕虜となり収容所へと送られる。その中にはアンジェイの友人イェジの姿もあった。1940年、ソ連側に取り残されたアンナは娘と共に国境を越え、クラクフのアンジェイの両親の家に辿り着く。しかしそこにアンジェイの父親はいなかった。大学教授のヤンはドイツ軍に捕らえられ収容所に送られていた。やがてヤンが収容所で亡くなった知らせが届く。アンナはひたすら娘と義母の3人でアンジェイの帰りを待つが、ある日、義母の屋敷に現れたのはアンジェイの友人イェジだった...

映画の主人公はアンナ。アンナの目を通して物語は進んで行く。イェジが戻った事でアンジェイの死が明らかになる。その後、物語の中でも第二次世界大戦が終結する。アンジェイ同様虐殺された将軍とピョトル中尉、それぞれの妻と妹の姿が描かれ、ラスト“カティンの森”での大虐殺シーンでエンディングを迎える。
ラストの大虐殺シーンはあまりに惨くスクリーンを正視出来なかった。シーン後スクリーンはしばらく暗くなり(全く映像なし)no musicでエンド・クレジットが始まる。そしてほぼ満席(平日最終回)の岩波ホール...久々に終了後席から立てなかった。
ソ連は1万数千名ものポーランド将校を捕虜にし虐殺。この事を告発する人々は捕らえられ、語ることはタブーとされていた事実も醜く過ぎる。
凛とした態度でドイツ軍に屈服しなかった将軍夫人ルジャや、兄ピョトルの墓碑をめぐりソ連軍に逮捕されるアグニェシュカら、女性たちの勇気ある行動に心打たれる。
捕虜として捕らえられた夫アンジェイをやっと見つけた妻アンナ。“行かないで!”と夫に懇願する妻。アンジェイは軍人としての任務を全うするため後ろ髪をひかれながら旅だって行く。ポーランドの将校たちを乗せた列車が走って行く。父の乗った列車を追いかける娘...戦争映画を観るたび感じる事...戦争で戦う男たちも辛いが、残された女たちも辛く哀しい。
巨匠アンジェイ·ワイダの映画は殆ど観ていない。今週よりBSでアンジェイ·ワイダ映画を放映しているので時間があれば見てみたい。
今年も何本か岩波ホールで映画を観たが、一番心打つ素晴らしい!作品だった。
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by margot2005 | 2009-12-11 00:41 | スペイン | Trackback(15) | Comments(4)