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「ヒトラーの忘れもの」

Under sandet…akaLand of Mine2015 デンマーク/ドイツ

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19455月、ナチス・ドイツによる5年間の占領から解放されたデンマークの美しい浜辺。ある日、ドイツ軍が海岸線に埋めた無数の地雷を除去するため、ドイツ兵捕虜の11名が集められる。そして彼らには地雷を扱った経験がほとんどなかった。作業を監督するデンマーク軍のラスムスン軍曹は集められたのがあどけない少年であることに驚くが、ナチス・ドイツへの憎悪をむき出しに暴言と暴力を繰り返すのだった...


ラスムスン軍曹に「真夜中のゆりかご/2014」ローランド・ムーラー。

エベ大尉に「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮/2012」ミケル・ボー・フォルスゴー。

セバスチャン・シューマンにルイス・ホフマン。

ヘルムート・モアバッハにジョエル・バズマン。

ヴィルヘルム・ハーンにレオン・サイデル。

エルンスト・レスナーにエミール・ベルトン。

ヴェルナー・レスナーにオスカー・ベルトン。

監督、脚本はマーチン・サントフリート。


オープニング以降、地雷の除去作業だけが延々と続きスクリーンからも緊張感が漂う。少年たちは食事も与えられず日々作業を続けている。ある日、一人の少年が地雷の爆発で両手をもぎ取られキャンプの病院へ運ばれる。後日キャンプへ行ったラスムスンは彼が死んだ事実を知らされるが、残された少年たちが動揺しないよう、傷が癒えたので国へ帰したと伝える。そんな折、空腹に耐えられず農家から盗んできた食べ物にあたり腹を壊してしまう少年たち。見るに見かねたラスムスンはキャンプから自分の食べ物と一緒に少年たちに与える野菜やパンを調達してくる。それを知ったエベ大尉は“ドイツ兵は餓死してもかまわない!”と宣いラスムスンを攻め立てる。あまりにも残酷な答えに呆然となるラスムスン。


仲間たちが一人、また一人と命を落として行く様はとてもリアルで見ていてぞっとする。”作業が終われば国に帰れる。”というラスムスンの言葉にすがりつくかのように耐える少年たち。そして日々彼らの姿を目の当たりにするラスムスンに次第に情が芽生え始める。


デンマーク軍のエベ大尉が強烈に無情。慈悲も何も持ち合わせていない。ナチス、ドイツに怒るのは良くわかるが、少年たちに責任はないのだ。

邦題の「ヒトラーの忘れもの」はちょっと低俗過ぎてドラマに不適当かと思った。

ドイツとデンマークは国が隣り合っている。ラスト、ここから500メートルのところに国境があると説明したラスムスン軍曹は少年たちを解放する。あのシーンには救われたが、史実では多くのドイツ兵が亡くなったと記され胸を打たれる。


シネスイッチ銀座にて


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by margot2005 | 2016-12-26 00:04 | ヨーロッパ | Trackback(7) | Comments(4)

「獣は月夜に夢を見る」

「Når dyrene drømmer」…aka「When Animals Dream」2014 デンマーク/フランス
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デンマークの海岸沿いの小さな村で両親と暮すマリーは19歳の少女。車いす生活の母親は病気だが父親は何も教えてくれない。村の住人は車いすの母親を恐れ、マリーには疑いのまなざしを向けてくる。なぜ彼らはそのように振る舞うのだろう?とマリーは不思議でならない。そんな折マリーは魚工場で青年ダニエルと出会い、互いに孤独を抱える二人は惹かれ合い恋に落ちる…

マリーにソニア・スール。
マリーの父親に「SHERLOCK(シャーロック)3/2014」のラース・ミケルセン。
マリーの母に「しあわせな孤独/2002」のソニア・リクター。
ダニエルに「コン・ティキ/2012」「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のヤーコブ・オフテブロ。
監督はヨナス・アレクサンダー・アーンビー。

父親の深い愛には感銘する。世間の嫌がらせから妻を守り娘も守ろうとするが、彼女は反撥して家を飛び出す。そしてマリーはダニエルの愛を確認する。そうこれは究極のラブ・ストーリーかも知れない。

ロケ地はデンマークのユトランド半島(デンマーク本土とドイツの北端部がくっ付いた所)。
スウェーデン製作の「ぼくのエリ 200歳の少女/2008」というヴァンパイア映画があったが、北欧の暗い、寒々としたたたずまいが“ノルディック・ノワール”と呼ばれる妖しいドラマにマッチする。

シアターで予告編を何度も見ていて少々気にはなっていたが、ヴァンパイア映画にはあまり惹かれないのでなんだかぐずぐずしていて、見たのは上映最終日。4/16に公開されているのでこの北欧発のミステリー・ホラーは結構長く上映されていた様子。ラスト上映の日も席半分近くは埋まっていた(小さい方のシアター)。
ラース・ミケルセンはマッツ・ミケルセンの兄で、何処かで見たことあると思っていたら「SHERLOCK(シャーロック)3」に出演していたデンマーク人俳優。

ちょっとネタバレ…
ヒロインと母親は「トワイライト・シリーズ」のジェイコブのような狼人間。いきなり身体に毛がはえてくるって女性だとツライだろうなぁ、と切に思った。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2016-05-25 00:35 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「悪党に粛清を」

「The Salvation」2014 デンマーク/UK/南アフリカ/スウェーデン/ベルギー
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1870年代のアメリカ西部。元兵士のジョンは兄ピーターと共にデンマークから新天地を求めこの地にやって来た。以来7年が経過し事業も軌道にのったある日、祖国から呼び寄せた妻と息子が到着する。やがて再会に喜ぶ3人が駅馬車で家路に向かおうとしていた折、刑務所帰りのならず者ポールが乗りこんできて外国から来たばかりのジョンの妻を愚弄し、家族を銃で脅したあげくジョンを馬車から突き落としてしまう…

ジョンに「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮/2012」のマッツ・ミケルセン。
マデリンに「007/カジノ・ロワイヤル/2006」のエヴァ・グリーン。
デラルー大佐に「P.S.アイラヴユー/2007」のジェフリー・ディーン・モーガン。
ピーターに「未来を生きる君たちへ/2010」「エージェント・ハミルトン ~祖国を愛した男~/2012」「ヒプノティスト-催眠-/2012」「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~/2012」「ホビット 竜に奪われた王国/2013」のミカエル・パーシュブラント。
コルシカ人に「エリザベス/1998」「マルセイユの決着/2007」「エリックを探して/2009」「スウィッチ/2011」のエリック・カントナ。
知事キーンに「ニュー・ワールド/2005」「かけひきは、恋のはじまり/2008」のジョナサン・プライス。
保安官マリックに「リプリー 暴かれた贋作/2005」のダグラス・ヘンシュオール。
ポールにマイケル・レイモンド・ジェームズ。
監督、脚本はクリスチャン・レヴリング。

デラルー大佐は多数の子分を抱え町を牛耳っている。知事や保安官はデラルーの言いなりで住民は日々不満を募らせていた。人の命は駅馬車以下...という不条理の世界。
そんな折、デラルーの弟でマデリンの夫でもあるポールが死体となって発見される。殺害したのはジョンで、それは妻子を殺された彼の復讐劇だった。
“目には目を歯には歯を”“やるか、やかれるか”…ピーターは途中でやられてしまって残念だったけど、ジョンのデラルー一味をやっつける復讐劇が最高に盛り上がって面白い!
ドラマのテーマは“男の美学”とでもいうのか?シアターはおじさんで超満員だった。
極めつけのラスト...マデリンを伴って去って行くジョンのクールな姿に惚れ惚れする。

マッツ・ミケルセン&ミカエル・パーシュブラントの出演にスゴく楽しみにしていた一作。
デンマーク版ウエスタンってどんなの?と想像を膨らませていたが映画は最高!
1960年代〜70年代にイタリア製西部劇マカロニ・ウエスタン(Spaghetti Western)なるものがあった。それらの名作の中にあのクリント・イーストウッドが出演している。ジュリアーノ・ジェンマとかフランコ・ネロの作品をTVで何作か見た記憶がある。ちょっと調べてみたら、大半のものはユーゴスラビア(当時)とかスペインで撮影されていたそう...知らなかった。
本作のロケ地は南アフリカ。ラスト、真っ黒なオイル湧くシーンはアメリカの大地そのものに見える。

何はともあれマッツとミカエルが最高にクールなのだ。全くクールじゃないのがエリック・カントナ…なぜか?彼に西部劇は似合わない。もうホント浮いていて可笑しかった。
デラルー大佐役のジェフリー・ディーン・モーガンが凄みを帯びたワルそのもので「P.S.アイラヴユー」のキャラが飛んでしまった。
エヴァ・グリーンは一言も喋らないけど存在感あり。
オフィシャルHPでも見れるけど新宿武蔵野館ロビーの奥に置いてあるTVでマッツの英語のインタビューが見られる。
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新宿武蔵野館にて
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by margot2005 | 2015-07-05 23:59 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(0)

「真夜中のゆりかご」

「En chance til」…aka「A Second Chance」2014 デンマーク
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刑事のアンドレアスは美しい妻アナと生まれたばかりの息子アレキサンダーとともに平和な日々を過ごしていた。そんなある日、本部より通報を受け相棒のシモンと駆けつけたアパートでドラッグ中毒のカップル、トリスタンとサネに育児放棄され、トイレの床に汚物まみれで放置されている乳児を見つけ呆然とする...

アンドレアスに「ブラウン夫人のひめごと/2002」「ヘッドハンター/2011」「おやすみなさいを言いたくて/2013」のニコライ・コスター・ワルドー。
シモンに「ある愛の風景/2004」「未来を生きる君たちへ/2010」のウルリク・トムセン。
アナに「ヴェラの祈り/2007」のマリア・ボネヴィー。
トリスタンに「しあわせな孤独/2002」「ある愛の風景」「天使と悪魔/2009」のニコライ・リー・コス。
サネにリッケ・マイ・アナスン。
原案、監督に「愛さえあれば/2012」のスザンネ・ビア。

幼い息子が息をしなくなり狂乱する妻。落ち着かせようとする夫に、自殺するとほのめかす妻。焦った夫は育児放棄にさらされる乳児と自分の子供を交換するが、母親にとってその子供が代わりになるはずもない。
こういった時男ってどうして良いかわからなくなるのだろう。で、妻の暗示に動揺し咄嗟に思いついたことを実行に移す。やがてそれが悲劇につながって行くのだ。
見ていてアンドレアスが刑事とは思えない衝動的な行動を取るので少々困ったが、希望が見えるラストにつながりほっとした。
原タイトル「セカンド・チャンス」はドラマにぴったり。

北欧舞台の映画は景色が美しい。そしてアンドレアスとアナが住む湖畔の家はため息がでるほど素敵で、家具調度品など全てが美しい。
ニコライ主演映画を初めて観た。「おやすみなさいを言いたくて」も、wowwoで見たホラーの「MAMA/2013」でも父親役。「エニグマ/2001」「ウィンブルドン/2004」で気になる俳優だったニコライ・コスター・ワルドーも40代半ばとなり、この方優しい父親役がとても似合う。「ブラウン夫人のひめごと」は2006年にDVDで見ている。本作は「ヘッドハンター」以来の北欧が舞台となった作品。

トリスタン役のニコライ・リー・コスは実にワルが似合う俳優だ。アル中刑事を演じるウルリク・トムセンは欠かせない脇役といったところ。何はともあれ主演のニコライ・コスター・ワルドーの苦悩する姿が目に焼き付くが、ラストの笑顔とても素敵だった。
スザンネ・ビアの前作「愛さえあれば」はつまらなかったけど本作は又本領発揮!といった趣。スザンネ・ビアが作り出す世界は哀しみと辛さが不可欠なのかも知れない。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2015-05-29 22:49 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(2)

「愛さえあれば」

「Den skaldede frisør」…aka「Love Is All You Need」2012 デンマーク/スウェーデン/イタリア/フランス/ドイツ
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フィリップに「あぁ、結婚生活/2007」「リメンバー・ミー/2010」「ゴーストライター/2010」「ケイト・レディが完璧(パーフェクト)な理由(ワケ)/2011」のピアース・ブロスナン。
イーダに「未来を生きる君たちへ/2010」「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮/2012」のトリーヌ・ディルホム。
イーダの夫ライフに「未来を生きる君たちへ」のキム・ボドゥニア。
フィリップの息子パトリックにセバスチャン・イェセン。
イーダの娘アストリッドにモリー・ブリキスト・エゲリンド。
フィリップの亡妻の妹ベネディクテに「しあわせな孤独/2002」のパプリカ・ステイーン。
監督、原案に「しあわせな孤独」「ある愛の風景/2004」「アフター・ウエディング/2006」「悲しみが乾くまで/2008」「未来を生きる君たちへ」のスザンネ・ビア。
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スザンネ・ビア作品ということで観に行った次第。そしてスザンネ・ビアらしからぬ大人のラヴ・ストーリーは、舞台となったイタリア、ソレントのレモン畑の香りが漂うばかりに爽やか。しかしただ爽やかなだけではない。
主人公の男女にはそれぞれツライ体験がある。フィリップは愛する妻を交通事故で亡くして以来立ち直れていない。一方でイーダは乳がんと闘った末、髪は抜け、おまけに夫は若い女と浮気をしている。
そしてある日、フィリップとイーダはデンマーク、コペンハーゲンの空港で遭遇する。それというのも、フィリップの息子パトリックと、イーダの娘アストリッドが結婚することになり、空港では花婿の父と花嫁の母の出会いだった。この辺りはかなり出来過ぎだけど、映画だから許してしまった。

イタリア舞台のデンマーク映画で、ピアース・ブロスナンのキャスティングに興味を惹かれた。ブロスナンはデンマークで知り合った女性と結婚したUK人の実業家フィリップ役。

少々ネタバレする...コペンハーゲンで出会った二人はイタリア、ソレントで再会し惹かれ合うが、その地では結ばれない。コペンハーゲンに戻ってからフィリップはイーダにアプローチをかける。でもそこでもイーダはすぐにフィリップを受け入れないのだ。やがて大ラス、夫ライフにさよならしたイーダは再びイタリアに向かう。あの展開はスゴく良かった。
感動のドラマってほどではなかったが、今迄観たスザンネ・ビア作品のなかで一番ロマンティックな作品かな。

イーダ役のトリーヌ・ディルホムはニ作品でお目にかかっている。前作「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」は時代物ということもあるが、本作の彼女は中々素敵だ。
原タイトルは“ハゲの美容師”とそのものズバリのタイトルだが、髪が伸びてベリー・ショートのイーダがとてもチャーミングに映る。
しかしながらピアース・ブロスナンはそろそろ60歳だというのに実にsexyなのだ。元ジェームズ・ボンドならでは…。

TOHOシネマズ・シャンテにて(6/27迄)
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by margot2005 | 2013-06-28 00:26 | ヨーロッパ | Trackback(5) | Comments(0)

「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」

「En kongelig affære」…aka「A Royal Affair」 2012 デンマーク/スウェーデン/チェコ・リパブリック
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18世紀後半。英国王ジョージ3世の妹カロリーネは15歳でデンマーク王クリスチャン7世と結婚する。しかしクリスチャンは精神を病んでおり、カロリーネは結婚生活に絶望を感じ、次第に孤立して行くのだった...
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ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセに「偽りなき者/2012」のマッツ・ミケルセン。
王妃カロリーネ・マティルデに「アンナ・カレーニナ/2012」のアリシア・ヴィキャンデル。
デンマーク王クリスチャン7世にミケル・ボー・フォルスゴー。
ユリアーネ・マリーエに「未来を生きる君たちへ/2010」のトリーヌ・ディルホム。
監督、脚本は「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女/2009」の脚本家ニコライ・アーセル。

“デンマークでは王室史上最大のスキャンダルとして誰もが知る18世紀後半の実話…”ということながら日本人であるが故、もちろんそんなこと知らなかった。
王妃カロリーネは英国王ジョージ2世の孫にあたり、英国王ジョージ3世の妹。

精神を病んだ夫に絶望した妻は夫の侍医であるドイツ人医師ヨハンと密通を重ねる。野心家のヨハンは啓蒙主義に心酔しており、国王クリスチャンをも操り宮廷を支配するまでになる。しかしクリスチャンの父親であるフレデリク5世の妻ユリアーネと、摂政フレデリクも黙ってはいなかった。

しかしながら、一介の侍医が摂政となり、それが持続するなんてあり得るのだろうか?精神を病んだ国王と孤独な王妃の心をつかんだのは認めるけど...。
ヨハンのラストはあれが当然の姿かと思える。

侍医ヨハンを演じるマッツ・ミケルセンはヨーロッパのお気に入り俳優の一人。若い王妃と恋に落ちる役どころは...少々お年かな?とも思ったけど、あの時代年の差が激しいカップル(あの時代はもちろん男が年上)は多々いたようなので違和感ないのかも知れない。
マッツ・ミケルセンは時代物も似合うが、私的にマッツ映画は現代物が好き。「偽りなき者」のルーカスは素晴らしかった。

王妃カロリーネ役のアリシア・ヴィキャンデルは「アンナ・カレーニナ」のキティ役で記憶に新しいスウェーデン出身のチャーミングな女優。

デンマーク王フレデリク5世(クリスチャン7世の父親)の妻ユリアーネ・マリーエはクリスチャン7世の実母ではないので、ちょっと意地悪なおばさんのノリで君臨している姿が以外にユーモラスに描かれていて面白い。

デンマークの歴史にはそれほど興味がないので、デンマーク王室史上最大のスキャンダルといわれても、そうなんだ…くらいの感覚しかないが、ロケされた景色が素晴らしく美しくかった。で、やはりこれだからヨーロッパ映画はやめられない。ロケーションはチェコ・リパブリック。

渋谷 Bunkamura ル・シネマにて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2013-06-18 00:39 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(4)

「偽りなき者」

「Jagten」…aka「The Hunt」2012 デンマーク
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ルーカスは離婚と失業の試練を乗り越え穏やかな日々を取り戻していた。元教師の彼は幼稚園教師となり子供たちに慕われている。ある日、ルーカスの幼稚園に通う親友テオの娘クララの何気ない嘘に変質者扱いされてしまう。園長に白い目で見られ、町の住人に無視され、あろうことか親友のテオまでもがルーカスを非難し始める…
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ルーカスに「タイタンの戦い/2010」のマッツ・ミケルセン。
ルーカスの親友テオにトーマス・ボー・ラーセン。
テオの娘クララにアニカ・ヴィタコブ。
ルーカスの息子マルクスにラセ・フォーゲルストラム。
園長グレテにスーセ・ウォルド。
ルーカスの友人ブルーンにラース・ランゼ。
ルーカスのガール・フレンドにアレクサンドル・ラパポルト。
監督、脚本は「光のほうへ/2010」のトマス・ヴィンターベア。

苦悶するマッツが素晴らしい表情を見せるが、一方でクララ役のアニカ・ヴィタコブの表情もスゴい!顔や仕草で強烈に訴えるのだ。見ていて演技なのか?実際の表情なのか?わからなくなる。
父親テオが“子供は嘘をつかない”と言い切るが、そうだろうか?クララのように何も考えないで(後のことを考えるとも思えないが…)嘘をつく子供っているように思える。しかし親は子供を信じてしまうし、親の気持ちも良く理解できる。

何はともあれ、主人公のルーカスが気の毒でならなかった。人々から無視され、孤立し、愛する息子にまで危害が及ぶなんて言語道断。自らの潔白を証明しようとも、まったくもって取り合ってもらえないもどかしさは想像を絶する。
クリスマス・イヴの夜、礼拝に訪れた教会でテオに対峙するシーンは実に心地良かった。

「007/カジノ・ロワイヤル/2006」で初めて知ったデンマーク人俳優マッツ・ミケルセン。その冷酷な風貌が強く印象に残った。正確には初めて観た映画は「キング・アーサー/2004」だが“トリスタン”役では“ル・シッフル”ほどの印象は残らなかった次第。やはり悪役というのは人の目を惹き付ける。そしてその後マッツ映画を色々と観て来たが、この方、本作のようなヒューマン・ドラマがとてもしっくりくる俳優だ。「しあわせな孤独/2002」「アフター・ウエディング/2006」のマッツは素晴らしかった。

デンマーク映画はロケーションも楽しめる。本作は「アフター・ウエディング」同様、素晴らしく美しいデンマークの田園地帯でロケされている。
原タイトルの“狩り”はルーカスや彼の友人たちの最大の娯楽(趣味)。それは息子にも受け継がれる。ラスト、息子マルクスに“狩り=銃”の手ほどきをするルーカスの姿が心に残る。

静かに、穏やかに進むドラマは「光のほうへ」を彷彿させる。「光のほうへ」は本作以上に暗いヒューマン・ドラマだったが心に染みた。こちらも同じ感想。

渋谷 Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2013-04-23 23:51 | スペイン | Trackback(13) | Comments(0)

「メランコリア」

「Melancholia」2011 デンマーク/スウェーデン/フランス/ドイツ
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ジャスティンに「マリー・アントワネット/2006」のキルステン・ダンスト。
クレアに「アンチクライスト/2009」のシャルロット・ゲンズブール。
マイケルに「ロシアン・ルーレット/2010」のアレキサンダー・スカルスガルド。
ジョンに「フォーン・ブース/2002」のキーファー・サザーランド。
姉妹の母親ギャビーに「家の鍵/2004」「エンジェル/2007」「彼が二度愛したS/2008」「ある公爵夫人の生涯/2008」「わたしを離さないで/2010」のシャーロット・ランプリング。
父親デクスターに「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国/2008」「ニューヨーク、アイラヴユー/2008」「リミッツ・オブ・コントロール/2009」のジョン・ハート。
リトル・ファーザー(執事)に「007/カジノ・ロワイヤル/2006」 「007/慰めの報酬/2008」「ヴィクトリア女王 世紀の愛/2009」のイェスパー・クリステンセン。
ジャスティンのボス、ジャックに「宮廷画家ゴヤは見た/2006」「天使と悪魔/2009」「ドラゴン・タトゥーの女/2011」のステラン・スカルスガルド。
新人ティムに「ファニーゲームU.S.A./2007」のブラディ・コーベット。
クレアとジョンの息子レオにキャメロン・スパー。
ウェディング・プランナーに「ソウル・キッチン/2009」のウド・キア。
監督、脚本は「ダンサー・イン・ザ・ダーク/2000」「ドッグヴィル/2003」「アンチクライスト/2009」のラース・フォン・トリア。
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ラース・フォン・トリアが描く世界はどうもダメだがこれは素敵な作品だった。なんといっても映像が素晴らしく美しい。オープニングのスローモーション映像は何度も予告で観ていて、絶対に観たい!と思っていた。こんな素敵な映画なのに上映期間が短くて驚く(上映最終日の最終回は半分くらいの入りだった)。

巨大惑星メランコリアと地球が衝突し世界が終わりを迎える…がテーマ。これがハリウッド映画なら大スペクタクルで描かれることだろう。しかしラース・フォン・トリアの手にかかると幻想的で、この上なく美しく描かれていてファンタスティック!!

映画は“第1部ジャスティン”“第2部クレア”とそれぞれのヒロインを中心に描いている。第1部では情緒不安定なジャスティンが起こすトラブルの数々が描かれ、第2部ではクレアの心境を丁寧に描いている。
第1部では不安定極まりなかったジャスティンが、第2部の終盤では落ち着きを取り戻し、逆にクレアが動揺しまくっている。この姉妹の対比が面白い。


映画の撮影に使われたTjolöholm Castleはチューダー様式のスエーデンの城。映像ではなく実際に訪れたらもっと、もっと素敵に映るスポットであるに違いない。

映画のポスターはジャスティンが“ハムレット”のオフィーリアのように見える。映画の中にジョン・エヴァレット・ミレイの“オフィーリア”の絵や、カラヴァッジョ、そしてオープニングにも登場する雪景色を描いたブリューゲル“雪中の狩人”など、などアートの世界も楽しめる。

“メランコリア”とは直訳すると“鬱病”。盛大なる結婚披露宴の最中、会場を抜け出し、ウエディング・ドレスのままバスタブに身を沈めるジャスティンは情緒不安定な女性。やがてパーティも終盤を迎え夫マイケルとベッドを共にするはずが…“ちょっと待って!”と言い残し部屋を出て行く。あげく、ジャックから紹介されたばかりの新人ティムと庭でsexする始末。あんなに素敵なマイケルと結婚したばかりでこの女性いったいどうなってるの?と疑いまくりで...でも情緒不安定な人間の取る行動は計り知れない。案の定二人は結婚式当日に別離を迎える。
ジョンがクレアに”君の家族はみな異常だ!”というようにギャビーとジャスティンはマジでクレージーな母娘だ。

巨大惑星メランコリアが地球に接近して来る。不安と恐怖で落ち着かないクレアを必死になだめるジョン。しかし結果ジョンの取る行動は男らしくなかった実に。やはり最後に開き直るのは女性かも知れない。

ギャビー役のシャーロット・ランプリングがいつものように怪しい魅力を振りまいている。別れた夫デクスターを演じるジョン・ハートも良いな。でも地味な存在でありながら密かに存在感を示すリトル・ファーザー役のイェスパー・クリステンセンが記憶に残る。
「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイアー/1994」でブラッド・ピットと共演した時は人形のようにキュートだったキルステンも来月30歳になるという。キルステンは「マリー・アントワネット」も素敵だったが、ジャスティンが素晴らしい!カンヌ映画祭で女優賞に輝いたのも頷ける。
アレキサンダー・スカルスガルドがステラン・スカルスガルドの息子だとは初めて知った。似てなくもないが、息子の方がハンサム。わたし的にちょっと好みかな。
「ソウル・キッチン」で懐かしかったウド・キアがまたまた登場していて嬉しい限り。この方若い!

日比谷 みゆき座にて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2012-03-07 22:19 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(0)

「未来を生きる君たちへ」

「Hævnen」…aka「In a Better World」2010 デンマーク/スウェーデン
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監督、原案に「しあわせな孤独/2002」「ある愛の風景/2004」「アフター・ウエディング/2006」「悲しみが乾くまで/2008」のスザンネ・ビア。
アントンにミカエル・パーシュブラント。
妻マリアンにトリーヌ・ディルホム。
息子エリアスにマルクス・リゴード。
クラウスに「ある愛の風景/2004」「ザ・バンク 堕ちた巨像/2009」のウルリク・トムセン。
息子クリスチャンにウイリアム・ヨンク・ユエルス・ニルセン。
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デンマークに暮す少年エリアスはアフリカの難民キャンプで医師としてボランティア活動をしている父親が誇りだった。しかし残念な事に両親は不仲で別居中。そして学校では執拗なイジメに合っていた。そんな折、転校して来たクリスチャンと出会う...

“殴られた。だから殴った。”
“戦争はそうやって始まるんだ。”とチラシにあるが…
徹底して非暴力を貫く父親…自身の怒りを完璧にコントロール出来る姿に感動を覚える。

スザンネ・ビア映画はどれもこれも“家族の愛”を描いた世界が素晴らしい!デンマーク/スエーデンではなくアメリカを舞台に描いた「悲しみが乾くまで」は今一だったが、こちらは是が非でもマイベストに入れたい作品。

クリスチャンは母の死後父親と共に祖母の家に移り住むが、仕事一筋の父親は家を空ける事が多く、言いようのない寂しさを抱えていた。そしてある日とうとう、ガンで亡くなった母の死は父のせいだと罵倒する。
クリスチャンは転校した学校で執拗なイジメに合うエリアスを助ける。やがて彼はエリアスをいじめる同級生にナイフをもって制裁する。
エリアスの家族と出かけたある日、エリアスの弟がイジメに合う。それを見た父親アントンは、いじめた子供の父親に注意をするが、その父親は子供の否を認めるどころかアントンを殴ってしまう。殴られてもただ耐え、殴り返さないエリアスの父親を見て呆然となったクリスチャンは“なぜ殴り返さないのか?”とアントンに詰め寄るが返って来たのは“バカな男は相手にしない方が良い。”と言う言葉だった。
アントンは“殴られた。だから殴った。”という制裁は決してしない。

やがてクリスチャンの溜まりに溜まっていた“怒り”が爆発する。エリアスの父親を殴った男に制裁を下すのだ。しかしそのため事故が起き、エリアスが怪我をしてしまう。

一方でエリアスは不仲の両親が気がかりだった。父親はアフリカより一時帰国の際エリアスが母親や弟と住む家には戻らず、湖に近い家を借りていた。そしてエリアスは弟と父を訪ね男だけで一時を過ごすのだった。

クリスチャンもエリアスも心に深い寂しさを抱えている。クリスチャンは攻撃的な性格だが、エリアスは穏やか。エリアスの父親は非暴力者で、クリスチャンの父親も、息子にののしられても冷静で穏やかな性格を崩さない。

医師のアントンが活動するアフリカ、ケニアでの暴力も描かれている。ある日、ビッグマンが負傷しアントンの難民キャンプに運ばれて来る。“ビッグマン”とは妊婦の腹を切り裂く極悪人のこと。医者の立場からビッグマンの手当をするが、キャンプに詰めかけ、口々に訴える難民たちの声を聞いたアントンはビッグマンをキャンプから追い出してしまう。

ぴったりではないが、邦題になっている“未来を生きる君たちへ”は非暴力を貫き、怒りをコントロールする医師アントンの祈りのようだ。Internationalタイトルの“In a Better World/より良い世界で”は中々良いなと感じる。原題のデンマーク語はそのものズバリ“復讐”。

TOHOシネマズシャンテにて
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by margot2005 | 2011-09-04 23:32 | ヨーロッパ | Trackback(19) | Comments(0)

「光のほうへ」

「Submarino」2010 デンマーク/スウェーデン
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ニックにヤコブ・セーダーグレン。
ニックの弟にペーター・プラウボー。
ソフィーにパトリシア・シューマン。
イヴァンにモーテン・ローセ。
監督、脚本は「セレブレーション/1998」のトマス・ヴィンターベア。
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兄弟に父親はいない。二人の母親はアル中で、育児はせず、幼い赤ん坊の弟は兄弟が育てている。酔っぱらって帰って来た母親…息子たちに”家に酒はあるか?”と尋ね、“ない!”と答えるニックに怒りをぶつけ、彼の頬を打つ。やがて疲れ果てた彼女はキッチンで眠り始める。床に粗相をした母親を非難しながら、床を拭くニック。そしてある日、赤ん坊が突然死する。兄弟は赤ん坊の死に責任を感じ、心に大きな傷を抱えたまま大人になる。
兄ニックは刑務所帰りでシェルターと呼ばれる臨時宿泊施設で酒びたりの生活を送っている。別れた恋人アナを想いながら、同じ施設のソフィーに慰みを求め、ただ身体を鍛える日々。一方弟は交通事故で妻を亡くして以来、一人息子を育てている。この父親は最愛の息子が生きる支えでありながらドラッグとは縁が切れず、自立も出来ない。やがて二人は母親の葬儀で再会する。

ニックという男はなんと心優しい人間なのだろう。少年時代は幼い弟を慈しみ、大人になった今では、殺人を犯したアナの兄イヴァンをかばったため、逆に彼が逮捕されてしまう。
雪の舞う刑務所の庭でばったり出くわす兄弟。二人とも塀の中だ。あの時兄弟が交わすまなざしにとてつもなく深い愛情が感じられた。ニックと弟はもっと早くに再会し、互いに助け合うべきだった絶対に…。

兄弟はシングル・マザーの母親から全くといってよいほど愛情をもらえなかった。しかしニックは元恋人アナが妊娠したにも関わらず中絶したことをいつまでも後悔しているし、弟の方は一人息子が生き甲斐なくらい深い愛情を抱いている。
二人が再会した時、ニックが弟の息子マーティンのことを気にかけ“この子が気がかりだ。”と、とても心配そうに言う。弟が“兄さんは子煩悩だから…”と言う台詞もあったが、母親から全く愛情をもらわないで育った彼らがとても愛情深い大人に成長していることに驚かされた。

少年時代のニックと弟はとても不幸せだった。彼らの母親が亡くなり再会した二人、その時もとても不幸せだった。やがて二人はどん底に落ちて行くかのごとく不幸せ極まりない状況に陥り始める。しかし、ラスト…タイトルにある“光のほうへ”向かう兆しが見えてほっとした。

とっても、とっても暗い映画ながら感動してしまった。ラスト、教会のシーンにはジーンときて泣けそうだった。
貧困/酒/ドラッグ…ヨーロッパってドラッグ中毒者が多い(アメリカもだが)。以前スイス、レマン湖のほとり、観光客が知らない所にヘロイン中毒者が集まり、そこは注射針のゴミで山になっていた映像を見て驚いたのを思い出す。
コペンハーゲンの美しい街でも、売人であるニックの弟が駅周辺でドラッグを売るシーンは印象深い。

ニックを演じるヤコブ・セーダーグレンの優しまなざしはベン・アフレックに似ているな。久方ぶりに間違いなくマイベストに入れたい映画。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2011-06-18 00:00 | MINI THEATER | Trackback(5) | Comments(0)