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「たかが世界の終わり」

Juste la fin du mooned…akaIt's Only the End of the World2016 カナダ/フランス

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ルイは人気の劇作家。不治の病に冒され死期が迫っている彼は12年ぶりに帰郷する


マルティーヌに「悪の華/2003」「わたしはロランス/2012」「シリアルキラーNo.12015」のナタリー・バイ。

アントワーヌに「五日物語 3つの王国と3人の女/2015」「ジェイソン・ボーン/2016」のヴァンサン・カッセル。

カトリーヌに「マリアンヌ/2016」のマリオン・コティヤール。

シュザンヌに「ロブスター/2015」のレア・セドゥ。

ルイに「パリ、ジュテーム/2006」「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語/2009」「サンローラン/2014」のギャスパー・ウリエル。

監督、脚本、製作、編集は「わたしはロランス/2012」「トム・アット・ザ・ファーム/2013」「Mommy/マミー/2014」のグザヴィエ・ドラン。


結局大事な話も出来ずに去るしかなかったルイ。あれは家族の最後の集まりだったのに

取り留めもないことをひたすら喋りまくる母、兄、妹。話さなければならないのに話せないルイ。でもあのシチュエイションで不治の病に冒され死期が迫っている…”なんて話せる状態じゃない。 


ルイは病気なのだから生気がなくても不思議はない。ドラマを見ている誰もが元気のないルイに気づくはずだが、母親マルティーヌは息子が元気で良かったと言い、彼の変化に気がつかない。12年ぶりに再会したとはいえ母親と息子なのだから、何か変化を感じるはず。


マルティーヌ、アントワーヌ、シュザンヌは弾丸のごとく喋るのに対して、カトリーヌとルイは穏やかに話している。二人は初対面ということもあり会話もぎこちない。でもルイの秘密を知ったのは初対面のカトリーヌだった。


グザヴィエ・ドランの映画ってなぜこんなに話題になるのだろう?映画サービスデーの夕方の回は満席だった。

グザヴィエ・ドラン映画の特徴登場人物の顔は殆どアップ、うるさいくらいのBack Music、そして舞台は世界の何処かで特定はしない。本作が今迄と違っているのはヴァンサン、マリオン、レア、ギャスパー+ナタリー・バイのフランスの著名俳優総出演のキャストがとてもゴージャスなこと。


フランソワ・オゾンが監督したメルヴィル・プポー主演の「ぼくを葬る/2005」を思い起こした。

両親に自らの死を告白できない主人公は祖母に打ち明ける。それは互いにそろそろ死ぬから…”と言うのが理由だった。「ぼくを葬る」は見応えのあるドラマだったが、本作はどうかな?グザヴィエ・ドランが絶賛されるのが良くわからない。

俳優陣が豪華過ぎて、逆にドラマがつまらなくなった?

「わたしはロランス」や「 Mommy/マミー」は良かったのに...。


ギャスパー・ウリエルは20代の頃より30代になった今の方が素敵。本作では実年齢より少し年上の役柄だが、不治の病に冒され死期が迫っている男を好演している。


新宿武蔵野館にて



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by margot2005 | 2017-02-20 23:01 | MINI THEATER | Trackback(1) | Comments(0)

「天使にショパンの歌声を」

La passion d'Augustine2015 カナダ

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カナダ、ケベックにある修道院が経営する小さな寄宿学校の校長オーギュスティーヌは音楽教育に熱心で、前回のピアノコンクールでは念願の銀メダルを獲得していた。しかしそんな名門私立学校も、今や公立学校の増加で経営が苦しくなってきている。修道院の総長は出費のかさむ音楽教育をやめて、良妻賢母になるための教育の実施を校長に促す。しかし校長はこれを断固拒否し、シスターたちに諦めないで闘いましょう!と宣言する。そんな折、校長の姪であるアリスが転校してくる


マザー・オーギュスティーヌ(校長)に「アサインメント/1997」のセリーヌ・ボニエ。

アリス・シャンパーニュにリザンドル・メナール。

シスター・リーズにディアヌ・ラヴァレ。

シスター・クロードにヴァレリー・ブレ。

シスター・オネジムにピエレット・ロビタイユ。

スザンヌ・ゴーティエにエリザベート・トランブレ=ガニョン。

監督、脚本は「翼をください/2001」「天国の青い蝶/2004」のレア・プール。


シアターで予告編も見ていなくて鑑賞対象に入っていなかったが、有楽町で上映していたので見に行った。ところがこれが意外にも素敵なドラマでちょっと感動してしまった。そう、静かな感動を呼ぶ素敵なドラマである。


アリス役のリザンドル・メナールのピアノ演奏が圧倒的!と思っていたら、高い評価を得るピアニストだそうで納得!

カナダ、ケベックの深い雪に埋もれた村に建つ修道院。1960年代が舞台らしいが、とても古く感じる。

映画の知識が全くなかったので、最初ドラマで描かれる時代がいつかわからなかった。修道服を見ている限りいつの時代かはわからない。しかし少女たちの服装を見てこれはさほど古い時代ではない、と理解した。修道服の代わりにユニフォームとなったシスターたちのあの服..あれはきっと60年代に流行ったスタイルだと思う。


神は救ってくださる!と宣言する修道院の総長に神は耳が遠いのです!と切り返すマザー・オーギュスティーヌ。二人のバトルが可笑しい。

過去に苦い経験を持つマザー・オーギュスティーヌ。姪のアリスは天才的なピアノ演奏の技術を持つ少女ながら問題児で、母親の病気のせいで修道院に預けられる。互いに反撥を感じる叔母と姪が歩み寄り深い親愛を取り戻すラストは短絡的ながら小さな感動を呼ぶ。

何はともあれ雪に埋もれた修道院と、バックに流れるMusicがドラマを盛り上げている。


角川シネマ有楽町にて



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by margot2005 | 2017-02-05 22:20 | MINI THEATER | Trackback(1) | Comments(2)

「手紙は憶えている」

「Remember」2015 カナダ/ドイツ

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ホームで暮らす90歳のゼヴは認知症で最愛の妻ルースが亡くなったことすら忘れている。ある日、友人のマックスから1通の手紙を手渡される。ゼヴとマックスはアウシュヴィッツ収容所の生存者で、70年前共にナチスの兵士に家族を殺されていた。犯人の名前は”ルディ・コランダー”で身分を偽りまだ生きているという。マックスはターゲットとして4人のルディ・コランダー”を選んでいた。身体が不自由で車椅子に頼らざるをえないマックスはゼヴに復讐を依頼する…


ゼヴ・グットマンに「トレビの泉で二度目の恋を/2014」「Dearダニー君へのうた/2015」クリストファー・プラマー。

マックス・ザッカーに「ウディ・アレンの重罪と軽罪/1989」「やさしい嘘と贈り物/2008」マーティン・ランドー。

ルディ・コランダー#1「愛を読むひと/2008」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「アンノウン/2011」「悪の法則/2013」「リスボンに誘われて/2013」「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」ブルーノ・ガンツ。

ルディ・コランダー#2に「きっと ここが帰る場所/2011」のハインツ・リーフェン。

ルディ・コランダー#4に「U・ボート/1981」「イングリッシュ・ペイシェント/1996」「ダ・ヴィンチ・コード/2006」ユルゲン・プロフノウ。

ジョン・コランダーに「シークレット・アイズ/2015」ディーン・ノリス。

チャールズ・グットマンに「今そこにある危機/1994」「ミッション:インポッシブル/1996」のヘンリー・ツェーニー。

監督は「秘密のかけら/2005」「クロエ/2009」「デビルズ・ノット/2013」「白い沈黙/2014」アトム・エゴヤン。


ある日突然老人がホームから抜け出し列車やバスを乗り継ぎ目的地に赴く。見ていてこれはただのロードムービー?なんて思ったりもしたがラストは壮絶だった。

4人のルディ・コランダーの中の一人が犯人本人である。ルディ・コランダー#3がいないのは既に亡くなっていたから。ゼヴはコランダーの息子で警察官のジョンと会うことになる。ジョンは究極のネオナチで部屋にハーケンクロイツ(鉤十字)の旗を飾り、ナチスのユニフォームまで所蔵していた。

ゼヴとジョンが争いを始め、結局ゼヴがジョンを撃ち殺してしまう。このシーンが実に不可解だったが、ラストに繋がって行くようでなるほどなとも思った。


いつもどうり前知識なしで見た。見た後オフィシャル・サイトを覗いてみたら...

“ラスト5分の衝撃ーーーすべての謎が解き明かされるとき、あなたの見ていた世界は一転する。”と書いてあった。


いやいや衝撃のラストシーンの時“あっ!”と声あげていたかも知れない。見たのは公開2週目の金曜日の夕方の回で、両隣にも人がいてちょっと焦った。この映画評判なのかシアターが混んでいて驚いた。


ユルゲン・プロフノウは老け役(ゼヴ・グットマと同世代)をしているがどうも変に?加工したシワが気になった。ユルゲン・プロフノウはスゴく見たことのある俳優ながら思い出せずで、調べてみたら「U・ボート」のドイツ人俳優だった。


劇中ゼヴがピアノを弾くシーンがある。エンドクレジットで演奏者の中にクリストファー・プラマーの名前があったが、この方ピアニストになりたかったそうで、ピアノ演奏が上手いのも納得。


TOHOシネマズ・シャンテにて


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by margot2005 | 2016-11-12 21:26 | MINI THEATER | Trackback(6) | Comments(0)

「白い沈黙」

「The Captive」 2014 カナダ
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雪に覆われるカナダ・ナイアガラフォールズの街。造園会社を営むマシューは妻ティナとスケート選手を夢見る9歳の娘キャスと幸せに暮らしている。ある吹雪の日、車に残したキャスが忽然と消えてしまう。警察に捜査を依頼するが、証拠も何もないためマシューは刑事に疑惑を持たれてしまう。妻ティナにも責められやりきれないマシューは日々車を走らせ娘探しを始める。
8年後、マシューは妻ティナと別居し、自責の念からひたすら娘探しを続けていた…

マシュー・レインに「あなたは私の婿になる/2009」「グリーン・ランタン/2011」「デンジャラス・ラン/2012」「ハッピー・ボイス・キラー/2014」のライアン・レイノルズ。
ティナ・レインに「デビルズ・ノット/2013」「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所/2014」のミレイユ・イーノス。
キャス・レインに「アウトロー/2012」のアレクシア・ファスト。
ジェフリー・コーンウォールに「死ぬまでにしたい10のこと/2003」「アンダーワールド/2003」「君への誓い/2012」のスコット・スピードマン。
ニコール・ダンロップに「RENT/レント/2005」「アンストッパブル/2010」「トランス/2013」のロザリオ・ドーソン。
ミカに「ロビン・フッド/2010」「フルートベール駅で /2013」「ノア 約束の舟/2014」のケヴィン・デュランド。
ヴィンスに「華麗なる恋の舞台で/2004」「カポーティ/2005」「デジャヴ/2006」「アイム・ノット・ゼア/2007」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命/2012」「デビルズ・ノット/2013」「パパが遺した物語/2015」のブルース・グリーンウッド。
監督、脚本、原案、製作は「秘密のかけら/2005」「クロエ/2009」「デビルズ・ノット/2013」のアトム・エゴヤン。

犯人がキャスを連れ去ったのには理由があった。ストーリーが進むにつれ、隠しカメラやインターネットでの誘いと、キャスが消えた理由がだんだんわかってくる。映画のオープニングは犯人と少女。でもドラマは犯人の日常には少ししか触れないし、少女をどのような目的で拉致したのかも最初は良くわからない。そして少女の両親の日常を時折挿みながら、主軸は捜査を進める刑事たち。ジェフリーとニコールの刑事コンビが執念を見せる。でもニコールが拉致されたのには驚いた。

ドラマは時系列で描かれないので過去と現在が行ったり来たりして少々ややこしい。
アトム・エゴヤンの世界はどれもこれもダーク。映画の舞台は雪に埋もれるカナダ・ナイアガラフォールズの街。
原タイトルは“捕虜/監禁された”とそのものずばりながら、邦題の「白い沈黙」にそそられ、白い世界にダークなサスペンスとくればドラマはかなり盛り上がるように思える。でも誘拐された少女たちをインターネットでは見れるが、どこにいるのかわからない。ラスト犯人は殺されるがどうもすっきりしなくて困った。
「デビルズ・ノット」のラストもすっきりしなかった記憶が…。それってアトム・エゴヤンの世界なのかも知れない?

俳優陣は皆素晴らしい。
先だって「ハッピー・ボイス・キラー」で少々変なキャラのライアン・レイノルズを見たばかり。本作は忽然と姿を消した娘を案じる真面目な父親役が似合っている。来月公開される「黄金のアデーレ 名画の帰還/2015」も楽しみだ。

TOHOシネマズシャンテ
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by margot2005 | 2015-10-24 22:04 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「Mommy/マミー」

「Mommy」2014 カナダ
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2015年、カナダのとある町(仮想の国でもある)。ある日、シングルマザーのダイアンは矯正施設から15歳の息子スティーヴを連れ出す。多動性障害であるスティーヴは情緒不安定なため、自分をコントロールできず怒りを覚えると暴れまくり、施設に放火していたのだ。まもなく二人のぎこちない生活が始まるが、母親は失業中の上、息子は問題を起こしてばかり。そんな折、二人は真向かいの家に住む女性カイラと出会う。元教師のカイラは神経を病み吃音に苦しんでいた。やがてカイラの存在が二人に良い影響を与え平和な日常が始まろうとしていた…

ダイアン・デュプレに「マイ・マザー/2009」のアンヌ・ドルヴァル。
カイラに「わたしはロランス/2012」のスザンヌ・クレマン。
スティーヴ・デュプレにアントワーヌ・オリヴィエ・ピロン。
弁護士のポールに「人生、ブラボー!/2011」のパトリック・ユアール。
監督、脚本、製作、編集、衣装デザイン、出演(クレジットなし)に「マイ・マザー/2009」「わたしはロランス/2012」「トム・アット・ザ・ファーム/2013」のグザヴィエ・ドラン。

残念なことに3人で築く平和な日々も長くは続かなかった。車の中でのダイアンの白昼夢が哀れでいたたまれない気持ちになる。
やっかいな自分をマミーはいつかきっと愛さないと思いこむ息子に“母親の愛は永遠よ!”と答えるダイアン。そして“母親の愛は永遠だけど、あなた(息子)は別の愛を見つけるのよ!”とも言う台詞に“図星だな。”とうなった。そう何れ息子は新しい愛を見つけるのだから...。

グザヴィエ・ドラン映画は非常に顔アップが多いように思える。本作のスクリーンは真四角。一部、フルスクリーンにもなるが、全編を通してほぼ全て真四角のスクリーン。なのでアップがますます強調され、ダイアンとスティーヴの緊張が猛烈に伝わってくる。神経を患っているカイラの表情もアップにされて緊張感が増す。
そしてもう一つ彼の映画は毎回Musicが多彩。本作もカナダの歌姫セリーヌ・ディオン、BECK、サラ・マクラクラン、オアシス、そしてヴィヴァルディのクラシックも…。
ポールと母親の3人でいったKARAOKEでスティーヴがマミーに捧げるアンドレ・ボチェッリの“Viv Per Lei/彼女のために生きる”がナイス!場違いな曲でひんしゅく買ったけど…。

グザヴィエ・ドランは衣装デザインも担当している。「わたしはロランス」でやはり衣装を担当していて、ロランスの纏う衣装…特に色がスゴく印象的だった。本作では衣装デザインも担当しているので、ダイアンの歳に似合わないド派手な衣服とチープなアクセサリーが目にも鮮やか。

独特の世界観を持つグザヴィエ・ドランの作品はとても興味深くて、突飛ながら惹き付けられる。いや突飛だから惹き付けられるのかも知れない。
見終わって母親と息子の深い愛に心揺さぶられた。

新宿武蔵野館にて
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by margot2005 | 2015-05-24 00:22 | MINI THEATER | Trackback(5) | Comments(0)

「トム・アット・ザ・ファーム」

「Tom à la firm」…aka「Tom at the Farm」2013 カナダ/フランス
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モントリオールの広告代理店で働くトムは交通事故で亡くなった恋人ギョームの葬儀に参列するため、ケベック州にある彼の実家の農場を訪ねる。そこにはギョームの母親アガットと農場を経営する兄フランシスが住んでいた。母親アガットは息子のギョームがゲイとは知らなかったがフランシスはそれを知っていた。トムはフランシスの存在すら知らずにいたため驚きを隠せない。やがてフランシスはギョームがゲイであったことを母親に隠すようトムを脅し始める…

監督/編集/脚本/製作/出演(トム)に「わたしはロランス/2012」のグザヴィエ・ドラン。
フランシスにピエール・イヴ・カルディナル。
アガットにリズ・ロワ。
サラに「クロエの祈り/2012」のエヴリーヌ・ブロシュ。
バーテンダーにエマニュエル・タドロス。

ギョームの母親アガットはトムを歓迎し息子のことを知りたがる。トムはたびたび真実を伝えようかと思うがフランシスが脅しをかけるため嘘を付き続けるしか方法はない。フランシスは執拗なまでにトムを虐める。そんなある日、ギョームの同僚であるサラをモントリオールから呼び寄せるよう促す。しかしギョームの嘘の恋人のフリするサラの演技もをアガットをいらだたせるだけ。そしてスキあらばサラと一緒に逃げようとするトムをフランシスが見逃すわけがない。やがてサラ一人が去り、もはや観念したトムは街のバーで酒を飲むことにする。しかしバーテンダーからフランシスにまつわる醜い話を知ることになる。そしてとうとう自分の身が危ういと感じたトムはフランシスから逃げ出すことを決意する。

フランシスの弟ギョームへの深い愛…フランシスもゲイだったに違いないとしか思えない(広い納屋でトムとダンスをする場面なぞ興味深い)。しかし彼が住む田舎ではゲイなど全くもって受け入れられないことを知っている。そして母親もきっと息子たちの性癖を知っていたのじゃないかと思う(ダンスの場面を母親も見ていたのだから...)。

映画のオフィシャル・サイトに“隠された過去、罪悪感と暴力、危ういバランスで保たれる関係、閉塞的な土地で静かに狂っていく日常。ケベックの雄大な田園地帯を舞台に、一瞬たりとも目を離すことのできないテンションで描き切る、息の詰まるような愛のサイコ・サスペンス。”…とある…正にこの“愛のサイコ・サスペンス”は面白い。

オープニング、カナダ、ケベックの広大なる田園地帯が映し出される。そしてミシェル・ルグランの“Les moulins de mon cœur/The Windmills of Your Mind (風のささやき)”が流れる。
「わたしはロランス」もそうだったが、Back Musicもまた素敵。
葬儀のシーンでトムが話す予定だった弔辞の代わりに流れるとても場違いな音楽もまた最高。
しかしながらグザヴィエ・ドランって若い頃のメグ・ライアンにそっくりなんだけど。

シネマカリテにて
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by margot2005 | 2014-11-03 00:09 | MINI THEATER | Trackback(8) | Comments(0)

「複製された男」

「Enemy」2013 カナダ/スペイン
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アダム/アンソニーに「プルーフ・オブ・マイ・ライフ/2005」「ゾディアック/2006」「マイ・ブラザー/2009」のジェイク・ギレンホール。
メアリーに「PARIS(パリ)/2008」「イングロリアス・バスターズ/2009」「オーケストラ/2009」「黄色い星の子供たち/2010」「人生はビギナーズ/2010」のメラニー・ロラン。
ヘレンに「ドリーム・ハウス/2011」「危険なメソッド/2011」のサラ・ガドン。
アダムの母キャロラインに「最高の人生をあなたと/2011」「チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~/2011」のイザベル・ロッセリーニ。
監督は「灼熱の魂/2010」「プリズナーズ/2013」のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
原作はジョゼ・サラマーゴの「複製された男」。

大学の歴史講師のアダムは、ある日同僚から勧められた映画をDVDで見ている時自分とそっくりの俳優を見つけ驚愕する。やがて映画の中に登場する俳優が気になり彼のことを執拗に調べ始め、アンソニーという名前と彼の住むアパートを見つけだす...。

この世には自分のそっくりさんが3人いるという説があるそう。でも現実に対面してしまったら??想像を絶する驚きかと...。

アダムとアンソニーがホテルで対面する。ヘレンはヘレンでアンソニーに内緒でアダムに会いに行く。そしてアンソニーはアダムのフリをして彼の恋人メアリーに接近し始める。それはヘレンと浮気をしていると疑い、信じるアンソニーがアダムに復讐するためである。やがてアンソニーとメアリーに悲劇が起こる。こういったシーンが二人単位で描かれる。他の人間は現れない。

ある日、アダムは自分とそっくりな人間を見つけたと母親キャロラインに話して聞かせる。“ぼくは双子だったのか?”“いいえ、あなたは私のたった一人の息子よ!”といった会話がなされ、キャロラインはアダムの話に全く動じない。
そういえばヘレンがアンソニー(この時はアダム)に“今日お母さんから電話があったわよ!”というシーンもあった。

アンソニーのアパートに乗り込みヘレンに誘われるままベッドに入るアダム…その時、ヘレンの誘いがとても自然で、ヘレンは妊娠中の妻を顧みない浮気者のアンソニーより、優しいアダムの“時”が好きなのだ。ヘレンがアダムに“今日学校はどうだった?”と尋ねる様はスゴく自然で全くもって本物の夫婦の雰囲気。

ヘレンが蜘蛛に変身したエンディングがあまりにも唐突だったので“???”だった。で、家に帰るなり公式HPを見てみた。そこには監督のコメントがあった。

以下ネタバレ…
やはり...“浮気をする既婚の男が、浮気相手から妊娠する妻の元へ戻る迄の物語..”とあった。

歴史講師のアダムと俳優のアンソニーは同一人物で、彼の妄想の世界だったわけ。
本作は主演のジェイク・ギレンホールがスゴく良かったが、ヘレン演じるサラ・ガドンも素晴らしかったと思う。
六本木ヒルズに行ってバカでかい蜘蛛のオブジェが見たくなった。

ジェイク・ギレンホールはどうも苦手な俳優で、彼の映画はあまり観ていない。「ブロークバック・マウンテン/2005」はシアターで観たはずだがレビューは書いていない。「ドニー・ダーコ/2001」は好き。

ドゥニ・ヴィルヌーヴの「灼熱の魂」のレビューは書いていないけど観ている。カナダに住む双子の姉弟が、亡くなった母親の遺言により、彼女の故郷レバノンに出向き、そこで父と兄の存在を知る、壮絶かつ重厚なドラマで大変に見応えのある素晴らしい作品だった。
ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールの「プリズナーズ」は少々興味があり、見ようかと思っていたが結局未見。wowowでの放映に期待したい。

メラニー・ロランは「PARIS(パリ)」のイメージからはすっかり大人の女性に変身し、少々おばさん入っているかとも思えるほど。ヨーロッパ人が歳とるの早すぎ。
イザベル・ロッセリーニは既におばあさんだもの。

TOHOシネマズ・シャンテにて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2014-09-05 00:28 | スペイン | Trackback(15) | Comments(0)

「わたしはロランス」

「Laurence Anyways」2012 カナダ/フランス
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ロランスは小説家を目指す高校教師で恋人フレッドと同居中。35歳の誕生日、突然自分はトランスジェンダー(性同一性障害)だと告白する…
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ロランスに「ミステリーズ 運命のリスボン/2010」のメルヴィル・プポー。
フレッドに「マイ・マザー/2009」スザンヌ・クレマン。
ロランスの母親ジュリエンヌに「悪の華/2003」のナタリー・バイ。
フレッドの妹にモニカ・ショクリ。
フレッドの母親にソフィー・フォシェ。
ジャーナリストにスーザン・アームグレン。
監督/脚本/編集/衣装は「マイ・マザー/2009」のグザヴィエ・ドラン。

舞台はカナダ、ケベック州。
とにかく映像が美しい。雪のシーンはとても幻想的だったし、湖のシーンも美しかった。
カウチに座るフレッドの下へ天井から洪水のような水が流れ落ちてきたり、ロランスとフレッドが歩く道、いきなり空からバルーンが大量に落ちてきたりして、ファンタジーのようでもあり、何はともあれ映像が素晴らしく綺麗。

ロランスの着るコートからブーツにまで気を配っているのではなかろうか…衣装まで担当している監督グザヴィエ・ドランのこだわりがひしひしと伝わってくる。映画が終わってもロランスの着る紫色のコートが脳裏に残る。

恋人(男)に、自分は女になりたい!女として生きて行きたい!と告白された女性の心理ってどうなんだろう?とても想像出来ない。
そして女として生きていきたいと願ったロランスはスカートを身につけ、ストッキングとヒールをはいて学校へ行く。しかし学校の反応はヤバかった。そう、彼は解雇を言い渡される。教えることに情熱をかけるロランスは学校関係者に懇願するが認めてもらえない。偏見の固まりである、ある人物は“文章が書けるのだから、自身のことを小説にしたら!”なんて言う始末。落ち込むロランスを支えたのはもちろん恋人のフレッドだった。

でも結果ロランスは解雇されて良かったのかも知れない。文章を書くことに執着するロランスは、後に詩を書き成功を収める。フレッドを失ったのはどうしようもなかったが…やがてその詩集はフレッドに贈られ、フレッドはロランスと再会することになる。

少々奇想天外なストーリーながら、168分ドラマの中に引き込まれた。フランス映画で168分とはかなりの長さである。でも次から次へと変化するロランスの人生に見ていて飽きることはなかった。ロランスとフレッドの一番始めの出会いをラストに持ってくる手法もナイス。そのラストが素晴らしかった!!そして24歳の監督グザヴィエ・ドランはゲイだそう。

優しい顔立ちなので似合うかなと思ったが、やはりメルヴィル女装は似合わないなぁと感じた。
メルヴィル・プポーはお気に入りフランス人俳優の一人。先だってwowowでフランソワ・オゾンの「ムースの隠遁/2009」を見た。こちらの映画でもゲイ役だったが、すぐに死んでしまう役柄で至って残念であった。

新宿シネマカリテにて
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by margot2005 | 2013-10-05 23:59 | MINI THEATER | Trackback(2) | Comments(0)

「人生、ブラボー!」

「Starbuck」…aka「Daddy Cool」2011 カナダ
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ダヴィッド・ウォズニアックにパトリック・ユアール。
ダヴィッドの友人で弁護士にアントワーヌ・ベルトラン。
ダヴィッドの恋人ヴァレリーにジュエリー・ル・ブルトン。
監督、脚本はケン・スコット。

シアターで何度も予告を観て期待してしまった。カナダで大ヒットした本作ながら私的にはそれほどでもなかったかな?なんだかあり得ないテーマで...でもパトリック・ユアールはかなりgood。

ダヴィッドは42歳で未だ独身。借金まみれで妊娠した恋人にも愛想をつかされている。家業の精肉店を手伝っているが、仕事も、恋人との関係もいい加減。とにかくこの男は全てにおいていい加減なのだ。
しかしある日、かつて金欲しさに軽い気持ちで提供した精子によってダヴィッドのDNAを受け継ぐ533人もの子供が誕生していたことが判明する。そしてそのうちの142人から身元開示の裁判を起こされる。困った彼は友人の弁護士に相談することに…
やがてサッカー大好き人間のダヴィッドが応援するチームのスター選手が子供たちの一人だとわかり突然彼らに興味を抱き始める。
子供たちに会いに行き、一緒に過ごすダヴィッドが中々素敵なのだ。ダメ人間なのに彼らの前では心優しい人に豹変してしまうのだ。あれって父性愛?サッカー選手を皮切りに子供たちを訪ねて回るダヴィッド。そしてますます父性愛に目覚めていく。その辺りの展開はとても良かったな。

精子をゲットしたいカナダの女性ってなぜこんなにたくさんいるの??と、一人の男の精子にこれだけの需要があったなんて…どう考えてもこのようなことはあり得ないと思うが、コメディ仕立てだし、ハートウオーミングだしで許してしまった。
当然ながらダヴィッドは金銭を得るために精子を提供したわけだが、その金の使い道が明かされ、ダヴィッドって良い人なんだと改めて感心した。
コメディ俳優のパトリック・ユアールがダメ男を好演している。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2013-02-17 20:26 | MINI THEATER | Trackback(5) | Comments(0)

「テイク・ディス・ワルツ」

「Take This Waltz」 2011 カナダ
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マーゴに「アイム・ノット・ゼア/2007」「彼が二度愛したS/2008」「ブローン・アパート/2008」「ブルー・バレンタイン/2010」のミシェル・ウイリアムズ。
ルーに「50/50 フィフティ・フィフティ/2011」のセス・ローゲン。
ダニエルに「ニュースの天才/2003」のルーク・カービー。
ルーの姉ジェラルディンに「RENT/レント/2005」のサラ・シルヴァーマン。
監督、脚本、製作に「死ぬまでにしたい10のこと/2003」「あなたになら言える秘密のこと/2005」「アウェイ・フロム・ハー 君を想う/2006」のサラ・ポーリー。
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フリーランスのライターであるマーゴは取材旅行でハンサムな青年と出会う。帰りの機内で隣席となった彼はダニエルと名乗る。そして互いの家は至近距離にあることが判明する。“夫がいるの。”というマーゴの言葉に“残念だな。”と答えるダニエル。しかしマーゴはダニエルを求める自分の気持ちに嘘をつくことが出来なかった…

ミシェル・ウイリアムズって本当に美味しい役を演じる女優だ。レビューは書いていないが前作の「マリリン 7日間の恋/2011」もシアターで観た。身体は少々ムチムチながら足は細そう。男好きするって表現がぴったりの女であることは間違いない。
本作は割引ディーに観たためシアターは女性で埋め尽くされていた。でも隣はojisanで、きっとミシェル ファンなのだろう。
これは女性が作った女性のための女性映画って雰囲気。登場する男たち(特にルー)は霞んでいて、マーゴの想い(欲望)ばかりが走っている。ラスト近くダニエルの家でsexにのめり込むマーゴは自身の想いを満たしたのだろうか?

サラ・ポーリーが初めて監督した長編作品「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」でも、アルツハイマーに冒された妻を何処までも温かく見守る男の姿があった。サラ・ポーリーが描く世界は女性讃歌のようにも映る。

オープニングとエンディングが同じ場面だとは…オープニングでケーキを焼くマーゴはどことなく寂しげだった。そしてストーリーが始まる…キッチンに立つ夫のルーはチキンのレシピを書く料理研究家。チキンだけのレシピってスゴい!ちょっとそのレシピ見てみたいものだ。
話は戻って、オープニングと同じ場所でのエンディング…寂しげに見えるマーゴの側にダニエルが現れる。彼女の選択は正しかったのだろうか?

ルーとダニエル…演じるセス・ローゲンとルーク・カービーが真逆の雰囲気を讃えていて素晴らしい。「ニュースの天才」でのルーク・カービーは殆ど記憶にないが中々イケメンだ。対するセス・ローゲンは何処にでもいそうな人の良い好青年といった趣で、それぞれの役柄にぴったり。夫としてふさわしい人、恋人としてふさわしい人…二人の男は正にそのものズバリ!

結婚したらいつしか情熱は冷めるもの。でもひたすら情熱を追い求め実行に移し幸せになれる女性ってこの世に何%くらいいるのだろう?
“人生なんてどこか物足りないものよ。”と語るジェラルディンの言葉が胸にしみる。

ロケ地は大西洋に面するカナダ東部のノバスコシア州とオンタリオ州トロント。マーゴとダニエルがいるビーチが美しかった。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2012-08-29 00:26 | MINI THEATER | Trackback(6) | Comments(0)