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「エゴン・シーレ 死と乙女」

Egon Schiele: Tod und MädchenEgon Schiele: Death and the Maiden2016 オーストリア/ルクセンブルグ

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20世紀前半のウイーンを舞台に描く天才画家エゴン・シーレの伝記ドラマ。


1910年:ウィーン美術アカデミーを退学したシーレは妹ゲルティをモデルにした裸体画を描き活躍し始める。ある時、友人からヌード・ダンサーのモアを紹介されたシーレは、彼女の褐色の肌に魅せられモデルに登用して裸体画を描き始める。一方でモデルの座を奪われたゲルティはモアに嫉妬を募らせる。

1911年:グスタフ・クリムトのアトリエを訪れたシーレは赤毛のモデル、ヴァリを紹介され同棲を始める。ヴァリはシーレの運命のミューズとなり二人はウイーン近郊の村にアトリエを構える。

1912年:シーレは14歳の少女誘拐の罪で逮捕されるが証拠不十分で釈放される。しかし絵画はわいせつなものと判断され大量の絵が押収される。

1914年:ウイーンに戻ったシーレは通りを挟んだ向いの家に住むアデーレ、エディット姉妹と知り合いになる。

1915年:シーレはヴァリを愛していたが、結婚相手には世間体の良い中産階級の娘エディットを選ぶ。

1918年:スペイン風邪に冒された妻エディットが亡くなった3日後、28歳の若さでシーレもこの世を去る。


エゴン・シーレにノア・ザーヴェトラ。

ゲルティ・シーレにマレジ・リークナー。

ヴァリ・ノイツェルにヴァレリー・パフナー。

モア・マンドゥにラリッサ・アイミー・ブライトバッフ。

エディット・ハルムスにマリー・ユンク。

アデーレ・ハルムスにエリザベト・ウムラウフト。

アントン・ペシュカにトーマス・シューベルト。

ドム・オーゼンにダニエル・シュトレーサー。

グスタフ・クリムトにコルネリオス・オボニャ。

監督、脚本はディーター・ベルナー。


エディットと結婚してもヴァリとは別れたくない。大人になれない、なりたくないエゴン・シーレはエゴイズムの固まりで、なんとスキャンダラスな人生を送った画家だったのだろう!と驚いた。


エゴン・シーレの絵画はBSの絵画番組で見たことがある。もちろん代表作死と乙女も。シーレの絵画はオーストリアのレオポルド国立美術館にたくさん収蔵されていて、番組はこの美術館を中心に紹介されていた。

クリムトの絵画は美しいがエゴン・シーレの絵画って美しいのだろうか?いやとても美しいとは思えない。見る者にスーパー級に強烈な印象を与えるのは確かだが...

シーレのアトリエには自身を描くために巨大な鏡が据えられている。ミューズだったヴァリとのツーショットの絵もこうして描いた様子。


極めて個性的なエゴン・シーレの伝記映画にも関わらずシアターが混んでいて少々びっくり。きっとスキャンダラスな描き方に興味を覚えた人が集まったに違いない。

エゴン・シーレを演じたノア・ザーヴェトラはモデル出身のイケメン。ドイツ系の俳優ってイケメンが少ない気がするが、彼は本当にハンサムだ。

ジェーン・バーキンがヴァリ・ノイツェルを演じた「Egon Schiele - Exzesse1981」という映画があるそうでちょっと見てみたいと思った。


ヒューマントラストシネマ有楽町にて



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by margot2005 | 2017-02-06 00:23 | ヨーロッパ | Trackback(2) | Comments(6)

「ルートヴィヒ」

「Ludwig II」2012 オーストリア/ドイツ
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ルートヴィヒ二世にザビン・タンブレア。
晩年のルー トヴィヒ二世にゼバスチャン・シッパー 。
オーストリア皇后エリザベートに「4分間のピアニスト/2006」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」のハンナー・ヘルツシュプルンク。
リヒャルト・ワーグナーに「es [エス]/2001」のエトガー・ゼルゲ。
弟オットーにトム・シリング。
ゾフィにポーラ・ビール。
リヒャルト・ホルヒニに「マーラー 君に捧げるアダージョ/2010」のフリードリヒ・ミュッケ。
バイエルン首相ヨハン・ルッツに「コッホ先生と僕らの革命/2011」「ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀/2011」のユストゥス・フォン・ドナーニー。
監督、脚本はマリー・ノエル&ピーター・ゼアー。
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今で言うイケメンのバイエルン王、ルートヴィヒ二世は、執務室に花や樹を飾り日々それを愛でている。鳥もいたそういや…。正に夢見る王子で、彼を知ればあのノイシュヴァンシュタイン城を建てたことが良くわかる。

作曲家リヒャルト・ワーグナーに心酔するルートヴィヒはパトロンとなり全面的に援助を始める。
芸術至上主義者にして平和主義者の人間が戦争に赴くわけがない。
ルートヴィヒはワーグナーにピアノ演奏させ、“この美しい調べを聞いたら敵も去って行くだろう!”なんて宣い、軍事費を芸術的なことに回すべきだと主張する。側近たちは彼の行動に難色を示すがルートヴィヒは“我が道を行く!”を貫く。
しかし普墺戦争(プロセイン王国とオーストリア帝国)の勃発でバイエルンはオーストリア帝国側で参戦を余儀なくされ、後に普仏戦争(フランスとプロセイン王国)で精神に異常をきたした弟オットーの姿に打ちのめされる。

ルートヴィヒはフランスの太陽王ルイ14世を崇拝していたそうで、ヴェルサイユのような城を建てたかったらしい。彼が即位した19世紀中盤はナポレオン三世の時代で、ヴェルサイユでナポレオン三世と談笑するシーンも何度か登場する。
大きさはヴェルサイユ宮殿にはとても敵わないがリンダーホーフ城もヴェルサイユのように美しい城。そしてノイシュヴァンシュタイン城はもう語るまでもなくスーパー級に美しい城だ。是が非でもこの目でノイシュヴァンシュタイン城が見たくなる。

ルートヴィヒは“狂王”の異名で知られるそうだが、ドラマの中では偏執症(パラノイア)と診断されている。
そしてルートヴィヒを理解したエリザベート(従甥にあたる)と、一時期ルートヴィヒのフィアンセだったエリザベートの妹のゾフィとのエピソードも織り交ぜながら、とても美しい伝記ドラマとなっている。

ヘルムート・バーガーがルートヴィヒ二世を演じたルキノ・ヴィンスコンティの「ルートヴィヒ/1972」は見ている。
リヒャルト・ホルヒニはルートヴィヒの馬丁で愛人であり私設秘書として使えた人。ルキノ・ヴィンスコンティ版はホモセクシュアルなシーンが多くどろどろとしたストーリーだったと記憶するが、本作はそれをさらっととらえて描いている。
ハンガリー生まれの俳優ヨーゼフ・カインツも愛人だったが、彼との間もさらりとしか描かれていない。

ルーマニア出身の主演俳優ザビン・タンブレアのイケメン度はルートヴィヒ本人には及ばないが、なりきりぶりは素晴らしい。
「4分間のピアニスト」で印象深いハンナー・ヘルツシュプルンクのエリザベート役は本人とあまりにも違ってミス・キャストかな?
「マーラー 君に捧げるアダージョ」でアルマの恋人を演じたフリードリヒ・ミュッケが素敵。


スバル座にて(1/16で終了)
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by margot2005 | 2014-01-19 21:31 | ドイツ | Trackback(3) | Comments(4)

「ミケランジェロの暗号」

「Mein bester Feind」…aka「My Best Enemy」 2010 オーストリア/ルクセンブルグ
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ヴィクトル・カウフマンに「ソウル・キッチン(SOUL KITCHEN)/2009」のモーリッツ・ブライブトロイ。
ルディ・スメカルに「アイガー北壁/2008」のゲオルク・フリードリヒ。
レナにウーズラ・シュトラウス。
ハンナ・カウフマンに「ヒア・アフター/2010」のマルト・ケラー。
ヤーコプ・カウフマンに「ピアニスト/2001」のウド・ザメル。
監督、脚色にヴォルフガング・ムルンベルガー。
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1938年、オーストリア、ウイーン。ユダヤ人一族のカウフマン家は画廊を営み、ミケランジェロの素描を所有していた。それはムッソリーニも欲しがる国宝級の逸品。ある日、カウフマン家の息子ヴィクトルと兄弟のように育った使用人の息子ルディが再会を果たす。そして家に帰ったヴィクトルはミケランジェロの素描の在処を信頼するルディに教えてしまう。しかしナチスに傾倒していたルディは自らの昇進を狙いこのことを密告するのだった…

サスペンス・ドラマのジャンルながらIMDbではコメディ/ドラマとなっている。サスペンスながら確かに笑わせてもらった。主演のモーリッツが良いな!今月公開予定の「ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~/2010」のモーリッツも楽しみだ。

ナチス・ドイツの政策で多くのユダヤ人が収容所送りとなったこの時代、ヴィクトルの両親も彼自身も例外ではなかった。素描が没収された後収容所に送られたカウフマン一家。ヴィクトルにとってそれはユダヤ人ではない恋人レナとの別れでもあった。兄弟同然に育ったルディに助けられるどころか、裏切られたヴィクトルは彼に復讐しようと誓う。

このあたりからサスペンスがユーモアを交えた展開になって面白い。本物の素描の在処を巡りベルリンに向かう機上の人となったヴィクトルとルディ。しかし爆撃を受けた飛行機は墜落する。燃え盛る機体の中から負傷したルディを助け出したヴィクトルはあることを思いつく。それは自分がルディと入れ替わることだった。ルディのナチスのユニフォームを身に着けたヴィクトルは彼になりすましベルリンへと向かう。そしてそこで元恋人だったレナと再会する。ヴィクトルが収容所送りとなった後ルディはレナを自分の恋人にしていた。機知に富むレナはヴィクトルとルディが入れ替わっていることを理解し行動を共にする。

上に書いた展開が、少々出来過ぎとはいえ喜劇を見ているように笑える。
ラスト、ルディを出し抜くヴィクトルの行動は実に爽快だった。
主演のモーリッツが素晴らしい!彼は「ソウル・キッチン」同様コメディで俄然光る俳優だ。

TOHOシネマズシャンテにて
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by margot2005 | 2011-10-23 00:00 | ドイツ | Trackback(16) | Comments(2)

今年初の試写会にて...「ヒトラーの贋札」

a0051234_2318583.jpg「Die Fälscher」...aka「The Counterfeiters 」 2007 オーストリア/ドイツ
主演のサリー(サイモン・ゾロビッチ)にオーストリア出身のカール・マルコヴィクス。
原作者でもある印刷技師のアドルフ・ブルガーに「青い棘/2004」のアウグスト・ディール。
ナチスの“ベルンハルト作戦”隊長フリードリヒ・ヘルツォークに「厨房で逢いましょう/2006」「イェラ/2007」のデーヴィト・シュトリーゾフ。
監督、脚本はオーストリア出身のステファン・ルツォヴィツキー。
原作はアドルフ・ブルガーの「Die Fälscher/ヒトラーの贋札 悪魔の工房」。
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1945年、大金を携えたサリー(カール・マルコヴィクス)はモンテカルロのオテル・ド・パリにチェック・インする。
カジノに現れテーブルに付いたサリーは自らの過酷な過去に思いを巡らし始める...
1936年のある朝、ユダヤ人である贋札作りの名人サリーはナチスのフリードリヒ・ヘルツォーク(シュトリーゾフ)に連行される。
ザクセンハウゼン強制収容所送りとなったサリーはそこで“ベルンハルト作戦”に加わることになる。それは 第二次世界大戦中、イギリスの経済を混乱に陥れるため精巧な贋ポンド札の製造を計画するナチスの作戦だった。
贋札作りの名人サリーや印刷技師ブルガー(ディール)を始めとした技術に長けたものが集められ、収容所内に設けられた秘密の作業場へ連れて行かれる。そこで彼らは他の収容者とは破格の待遇を受ける事になる。しかしその代償は贋札作りであった。
贋のポンド札が大成功し、隊長のヘルツォークは、次に精巧なる贋のドル紙幣を作れとサリーたちに命じる.
しかしそれはナチスに加担することとなり、ブルガーは贋ドル札を作ってはならないとサリーに詰め寄るのだった...
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この映画は収容所で生き残ったアドルフ・ブルガーが書いた小説に少々味を付けて描いているらしい。
過去に数々の“ホロコーストもの”を観て来たが、それはあくまでも映画やTVで作られた世界であって、この作品も含めきっと現実はもっと、もっと過酷であったであろうかと感じざるを得ない。
この作品でも主人公のサリーがトイレ掃除をしている最中、いきなり入って来た隊員が“そのまま仕事を続けろ!”と言い放ち、“ユダのクソやろう!”というような意味の言葉を発し、彼に放尿するシーンがある。
ユダヤ人がキライで、キライでならなかったヒトラーにならって、ヒトラーの部下たちはユダヤ人を家畜、いやそれ以下、ゴミ同然に扱った事実は余りにも哀しい。
一方で、生き延びようと隊長にへつらうユダヤ人の様も惨めである。
私的にはもうちょっとドラマティックに描いて欲しかった気がするが、実話が元なのでドラマティックというのはいささか不謹慎かも知れない...
「青い棘」で破滅へと向かう多感な青年を演じたお洒落なアウグスト・ディールが、収容所の囚人服に身を包み汚い役もまた似合っている。
隊長フリードリヒ・ヘルツォークを演じたデーヴィト・シュトリーゾフは一度見たら忘れられないBabyfaceなのだが、こういったナチの悪者も似合うなぁ。
サリー役のカール・マルコヴィクスは初めてお目にかかったオーストリア俳優で、適役で存在感あり。
最初のシーンと、最後のシーンにしか女性は出て来ない。ラスト、モンテカルロのビーチでタンゴを踊るシーンはナイス!
邦題の「ヒトラーの〜」は余計な気がするが...原題は英語タイトルと同じく“偽造者”。
1/19より日比谷シャンテで公開される。
九段会館にて...
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by margot2005 | 2008-01-11 23:45 | ドイツ | Trackback(29) | Comments(12)