「光をくれた人」

The Light Between Oceans2016 UK/ニュージーランド/USA

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1918年、オーストラリア。トム・シェアボーンは戦争の英雄として帰国したが心に深い傷を負い、人生を拒むかのように絶海に浮かぶ無人の孤島、ヤヌス島の灯台守となる。トムは臨時採用扱いだったが、病気療養中の前任者が亡くなり正式採用となる。契約のためバルタジョウズの町に戻ったトムは、その地の有力者の娘イザベルと出会う


トム・シェアボーンに「X-MEN:アポカリプス/2016「アサシン クリード/2016」のマイケル・ファスベンダー。

イザベルに「ジェイソン・ボーン/2016」アリシア・ヴィキャンデル。

ハナに「グランドフィナーレ/2015」レイチェル・ワイズ。

セプティマス・ポッツに「オーストラリア/2008」「殺し屋チャーリーと6人の悪党/2014「キング・オブ・エジプト/2016」のブライアン・ブラウン。

ラルフ・アディコットに「オーストラリア/2008」ジャック・トンプソン。

監督、脚本は「ブルー・バレンタイン/2010」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命/2012」デレク・シアンフランス。


生命力に輝くイザベルに対してトムは世捨て人。しかし全く違う性格の二人に愛が芽生え結婚に至る。ヤヌス島での生活は不便で孤独だったが、愛する二人にとっては幸せな日々。やがてイザベルは妊娠するが流産してしまう。そして同じことが続きもう子供は持てないのではないかとあきらめかけたその時、海に浮かぶボートに男性の胸に抱かれた女の赤ちゃんを見つける。父親と思える男性は既に亡くなっていたが赤ちゃんは元気いっぱい。イザベルは早速家に連れ帰り世話を始める。一方でトムには事の顛末を町に報告する義務があったが、イザベルに自分たちの子供として育てたい!と迫られる。


子供を亡くした妻に迫られた夫はもうどうしようもなかったのだろう。こういう時って先のことなど考えないし善悪の判断も鈍ってしまう。結局、それが原因で悲劇が始まるのだが


映画を見終わってとにかくハナが気の毒でならなかった。自分がお腹を痛めて生んだ子供グレースに拒否された上、他の女性をママと呼んで泣き叫ぶなんてあまりにも悲し過ぎる。

もしトムが墓前で泣くハナを目にしなかったら、そしてハナが地元の人間ではなかったら二人の運命は変わっていたかも?なんて思ったりもした。


寡黙だが深い愛情を示すトム役のマイケル・ファスベンダー、子供をこよなく愛する母親役のアリシア・ヴィキャンデル、そして悲観に暮れるハナを演じるレイチェル・ワイズと、3人の俳優が素晴らしかった。


ラスト、生まれたばかりの息子クリストファーを伴いトムを訪ねるグレース(ルーシー)のシーンが素敵。

ロケ地はニュージーランドとオーストラリアのタスマニア。海のシーンが素晴らしく綺麗だった。

かつて灯台守という仕事があったが、それは世界一孤独な仕事かも知れない。


TOHOシネマズ・シャンテにて



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# by margot2005 | 2017-05-30 20:08 | UK | Trackback(6) | Comments(2)

「アムール、愛の法廷」

L'hermine…akaCourted2015 フランス

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フランス北部のサントメール。妻と別居中のミシェル・ラシーヌは堅物の裁判長。ある日、幼い娘を殺した罪に問われた若い父親の裁判が行われようとしている。ほどなくしてミシェルは陪審員の中に6年前に想いを寄せたディットがいることに気づく…


ミシェル・ラシーヌに「ボヴァリー夫人とパン屋/2014」ファブリス・ルキーニ。

ディット・ロランサン=コトレに「アフター・ウエディング/2006」「インフェルノ/2016」「王様のためのホログラム/2016」シセ・バベット・クヌッセン。

ディットの娘アンにエヴァ・ラリエ。

陪審員マリー・ジャンヌに「君と歩く世界/2012」コリンヌ・マシエロ。

被告にビクター・ポンテコーボ。

弁護人にマイケル・アビテブール。

監督、脚本は「大統領の料理人/2012」のクリスチャン・ヴァンサン。


ディットはミシェルが入院中優しく世話をしてくれた麻酔医で、彼女との思いがけない出会いに心弾む。重罪裁判所に務めるミシェルは厳格で人間味に乏しく、彼の手にかかれば被告人はいつも10年以上の刑を受けると評判の裁判長。しかし冷徹なミシェルもディットに再会したことで気持ちの変化が生じ始める。


とっても地味で盛り上がりに欠け、眠気を誘うドラマはシアター・イメージフォーラムにふさわしい。DVDスルーじゃなくて良く公開されたものだ。

コメディが似合うファブリス・ルキーニが、厳格で人間味に乏しい判決を下す裁判長役で終始真面目な顔をしていて可笑しかった。

デンマーク出身のシセ・バベット・クヌッセンがフランス映画にも出演していたとは!本作はハリウッド大作「インフェルノ」でWHOのトップ、エリザベス・シンスキー役を演じる前の作品。そういえば「王様のためのホログラム」でもトム・ハンクスと共演していたのを思い出す。


日本と少々違うなと思ったのは、裁判長の両隣に裁判官が座り、その隣に陪審員が座っている。陪審員と裁判官が同じ列に並ぶのは初めて見る光景だった。

裁判が行われている間、陪審員は外で他の陪審員と裁判について話してはならない決まりがある。ましてや陪審員と裁判長がお茶を飲みながら話すなんてあり得ないこと。その二人が人目を盗んでカフェで会う姿は違反ながら微笑ましい。


ラスト、ディットは次の裁判の陪審員には選ばれなかったが、約束どうりミシェルのいる法廷に留まる。未来を感じさせるラストが素敵な大人のラヴ・ストーリー。


シアター・イメージフォーラムにて



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# by margot2005 | 2017-05-29 00:01 | フランス | Trackback(1) | Comments(2)

「Viva!公務員/オレはどこへ行く?」

Quo vado? 2016 イタリア

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終身雇用の公務員にしがみつく男ケッコを描いた痛快コメディ。


ケッコにケッコ・ザローネ。

ヴァレリアにエレオノーラ・ジョヴァナルディ。

シローニ女史に「輝ける青春/2003」「孤独な天使たち/2012」のソニア・ベルガマスコ。

ケッコの父親ペッピーノにマウリツィオ・ミケーリ。

ケッコの母親カテリーナにルドヴィカ・モドゥーニョ。

マーニョ大臣にニンニ・ブルスケッタ。

ビネット上院議員にリーノ・バンフィ。

ケッコのフィアンセにアッズラ・マルティーノ。

観測隊員に「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」のパオロ・ピエロボン。

監督、原案、脚本はジェンナーロ・ヌンツィアンテ。

原案、脚本、音楽はルカ・メディチ(ケッコ・ザローネ)。


地方都市で公務員の職にあるケッコは38歳のシングルで両親と同居している。フィアンセに結婚をせがまれているが、心から愛するのはマンマだけ。そんなある時、政府が公務員の人員削除に乗り出し早期退職者を募ることになり、ケッコは退職か勤務地変更か?の選択に迫られる。マーニョ大臣の命によりシローニ女史は次々と早期退職に追い込むことに成功するが、ケッコはだけは絶対に首を縦に振らない。で、彼女はケッコを退職させるべく、嫌がらせでイタリアのあらゆる所に左遷するが全く動じない有様。頭にきたシローニ女史は彼を北極圏にあるノルウェーの離島の観測所に送り込む。やがてケッコはあまりの寒さにイタリアに戻りたい!気持ちが芽生え始めるが、観測所で働くヴァレリアに一目惚れし、彼女の3人の連れ子と共に暮らし始める。


ケッコは一時ヴァレリアとノルウェーで幸せな日々を送っていたが、やはりノルウェーは寒い!ヴァレリアを説き伏せイタリアに戻りプーリアに赴任することになる。とにかくどこまでも公務員なのだ。しかしそんな公務員魂がいやになったヴァレリアはケッコと別れる決断をする。オープニングとエンディングはアフリカ。予想どうり二人のヨリは戻ったわけ。


そもそもイタリア映画の公開が少ない上コメディは数少ない。本作を見て久しぶりに大笑いした。

主演のケッコ・ザローネはイタリアでは有名なコメディ俳優とのこと。でもケッコ・ザローネの映画は今回初めて見た。日本のお笑い芸人にいそうなタイプで、その中の誰かに顔似ている?なんて思ったりもした。

この方多彩な人で主題歌も歌っている。

氷のようなシローニ女史を演じるソニア・ベルガマスコはシリアスなドラマの「輝ける青春」や「孤独な天使たち」より本作のようなコメディがとても似会う女優。


ヒューマントラストシネマ有楽町にて上映中(イタリア映画祭2016で鑑賞済)



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# by margot2005 | 2017-05-28 19:28 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「パーソナル・ショッパー」

Shopper2016 フランス・ドイツ

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パリの街でパーソナル・ショッパーとして働くモウリーンは双子の兄を3ヶ月前に亡くしていた。兄同様霊媒師としての能力を持つ彼女は生前約束した兄からのサインを待っている。兄の恋人だったララに案内されて彼らが住んでいた屋敷で一夜を明かすが現れたのは兄のゴーストではなかった。一方で世界中を飛びまわる女優キーラに雇われるモウリーンは、ある日アパルトマンでキーラの愛人インゴと出会う...


モウリーンに「イン・トゥ・ザ・ワイルド/2007」「ニュームーン/トワイライト・サーガ/2009」「オン・ザ・ロード/2012」「アリスのままで/2014」「アクトレス ~女たちの舞台~/2015」「カフェ・ソサエティ/2016」クリステン・スチュワート。

インゴに「アクトレス ~女たちの舞台~/2015」ラース・アイディンガー。

ララにシグリッド・ブアジズ。

アーウィンにアンデルシュ・ダニエルセン・リー。

キーラにノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン。

監督、脚本は「クリーン/2004」「パリ、ジュテーム/2006」「夏時間の庭/2008」「アクトレス ~女たちの舞台~/2015」オリヴィエ・アサイヤス。


主人公が霊媒師なのでオカルトものなのか?と、見るかどうかとても迷った。でもフランス映画で監督はオリヴィエ・アサイヤス…やはり見てみたい!と思う一心で見に行ってしまった。

オリヴィエ・アサイヤスの描くサスペンス・スリラーはとてもミステリアスで、ヒロインのモウリーンを演じるクリステン・スチュワートは「アクトレス ~女たちの舞台~」に続いてナイス・キャスティング。


ドラマは心霊現象などを織り込んでなんとも不可思議な世界だが、コワいシーンは殆どない地味な霊媒師と華やかなファッションは全くもってミスマッチと思っていたら、監督は“物質的な世界とこの世ではない別の世界”を描きたかったらしい。

過去にBSでニューヨークで働く“パーソナル・ショッパー”のドキュメンタリー番組を放送をしていて、初めて“パーソナル・ショッパー”という仕事を知った。

本作でも描いているように、クライアントのために選んだ商品を身につけてはならないというルールがあるらしい。しかし謎のメールを送ってくる男にそそのかされモウリーンは禁を破ってしまう。ベッドでキーラのドレスを着て恍惚とした表情を浮かべるモウリーン。禁欲に屈してしまった姿が官能的でとても美しい。


フランス映画はラストを迎えても結末が良くわからなくてちょっとイラつくドラマがある。これはその最たるもの。

モウリーンは双子の兄と交信できたのか?も定かではないし、殺人事件の犯人は判明したが、具体的な説明は一切なし。モウリーンの携帯に執拗にメッセージを送るのは誰?それも最後まで明かされなかった。

でもあの人物はインゴ以外に考えられない。インゴならキーラを通じてモウリーンの携帯電話番号を知り得ることが可能だし…。キーラの家で鉢合わせた時におそらくインゴはモウリーンに興味を持ったのだ。


オカルトって元々の意味は“隠されたもの”を語源とするらしい。

バイクに乗ってパリの街を疾走するモウリーンはダサいセーターに皮ジャンとスニーカー。普段のモウリーンのファッションはあえてあのようにダサイものにしたのだろう。謎の男に誘われ指定されたホテルに行く時はキーラのドレスとパンプスで着飾るモウリーンがいたりして、謎のメッセージによってモウリーンの“隠されたもの”が徐々に現れて行く様が、ドラマと相まってとてもミステリアス。

“隠されたもの”がテーマのようなのでストーリーは曖昧に描いたのかも知れない。


余談…

モウリーンがキーラのシャネルのすけすけのドレスを着るシーン…ドレスの下につけるハーネスなるものにびっくり。ハーネスって動物の体を固定するための道具と思っていた。盲導犬なんかにつけるアレ。人間ではウインドサーフィンやSMプレイの際にも使用する。しかしハーネスはファッションの一つでもあると知って驚いた。昔、ヨーロッパの女性がつけたコルセット(鉄のワイアor鯨骨)を思い出す。美しく見せるためにはなんでもアリ?

AppleのMacとiPhoneが頻繁にでてくるのは監督が好きだから?私もApple大好きだけど。


TOHOシネマズ六本木にて



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# by margot2005 | 2017-05-26 23:06 | フランス | Trackback(1) | Comments(2)

「メッセージ」

Arrival」2016 USA

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ある日、宇宙からやって来た巨大な楕円形の飛行体が地球の12ヵ所に現れる。攻撃もせずただ上空にふんわりと浮かんだまま動かない。目的は?何のために地球にやって来た?やがて世界中に動揺と不安が広がリ始める。

言語学者ルイーズ・バンクスは一人娘ハンナを亡くした孤独な女性。ある夜、訪ねて来たアメリカ軍のウェバー大佐に言語学者として米政府の仕事をして欲しいと頼まれる。基地に到着すると、同じく依頼を受けてやって来た理論物理学者のイアンを紹介される…


ルイーズ・バンクスに「ビッグ・アイズ/2014」エイミー・アダムス。

イアン・ドネリーに「ジェシー・ジェームズの暗殺/2007」「ハート・ロッカー/2008」「ザ・タウン/2010」「アメリカン・ハッスル/2013」「エヴァの告白/2013」「ヘンゼル&グレーテル/2013」のジェレミー・レナー。

ウェバー大佐に「バンテージ・ポイント/2008」「大統領の執事の涙/2013」「96時間/レクイエム/2014」フォレスト・ウィテカー。

ハルペーンに「完全なるチェックメイト/2015」「スティーブ・ジョブズ/2015」「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男/2015」「ドクター・ストレンジ/2016」マイケル・スタールバーグ。

マークス大尉にマーク・オブライエン。

シャン上将に「チェーン・リアクション/1996」「ラッシュアワー/1998」のツィ・マー。

監督は「複製された男/2013」「ボーダーライン/2015」ドゥニ・ヴィルヌーヴ。

原作はテッド・チャンの「あなたの人生の物語」。


広大な農地に霧が立ちこめる中、巨大なフットボールが姿を見せる。それは地球にやって来た飛行体で良く見ると丸くはなく平べったい殻のような形をしている。

あのシーンは素晴らしく美しくてうなりそうだった。密かにおぉ!って言ったかも知れない。

本作を見たのはwowowで放送しているハリウッドの最新映画情報番組で何度も紹介されていたから。映像の美しさにこれはシアターで見る映画とインプットした。アカデミー作品賞にも、監督賞にもノミネートされていたし


今迄とはちょっと違ったテイストの宇宙映画はとても見応えがあった。元々UFO映画好きだし。原作のタイトルが「あなたの人生の物語」と知ってますます普通のUFOものではないと思ったし、世界各地に現れた飛行体の数が12個とは何かとても宗教的雰囲気。異星人が7本足で吐き出す墨のようなモノを使って、”書”のような絵(文字)を書き出す様もタコの墨で描いているように見えて面白い。


ルイーズとイアンは自分たちの名前を告げた後、ツインの異星人にお笑いコンビ”アボットとコステロ”と命名しコンタクトを始める。その様はとても興味深かった。

そしてこんなに美しい宇宙映画は初めて見た。

前から読んでも後ろから読んでも同じアルファベットが並ぶルイーズの娘ハンナ(Hannah)の名前はドラマの展開と重なって素敵だ。

主演のエイミー・アダムスが好演している。


ドゥニ・ヴィルヌーヴは作品ごとに違った世界を描く多彩な監督。「灼熱の魂/2010」は初めて見たヴィルヌーヴ映画で素晴らしかった。その後全く違ったジャンルの「プリズナーズ/2013」の後も複製された男」「ボーダーライン」と続き今回はSF。次作「ブレードランナー 2049/2017」の公開も楽しみとなった。


ちょっとネタバレ…


ルイーズと娘のエピソードはオープニングに描かれる。

ドラマが進む中、ルイーズの頭の中で何度も何度もハンナの映像がフラッシュバックしていたように見えたが、あれは過去ではなく未来に起こることだったわけ。そして大ラスでルイーズとイアンの未来が映し出され納得する。


allcinemaで映画「メッセージ」を検索したらロマン・デュリスが人の死期が分かる主人公を演じる「メッセージ そして、愛が残る/2008」のタイトルも...人の死期が分かる自分の未来がわかるの差はあるが何か共通のイメージを感じる。


TOHOシネマズ日本橋にて



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# by margot2005 | 2017-05-25 00:10 | USA | Trackback(3) | Comments(4)

「スウィート17モンスター」

The Edge of Seventeen2016 USA

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イケてない17歳の女子高生の自己嫌悪の日々を描く青春コメディ。


ネイディーンに「トゥルー・グリット/2010「はじまりのうた/2013」「ピッチ・パーフェクト2/2015」のヘイリー・スタインフェルド。

クリスタにヘイリー・ルー・リチャードソン。

ダリアンにブレイク・ジェナー。

モナに「フェノミナン/1996「崖っぷちの男/2011」「ロスト・イン・マンハッタン 人生をもう一度/2014」のキーラ・セジウィック。

ミスター・ブルーナーに「2012/2009」「ハンガー・ゲーム シリーズ/20122015」「ファーナス/訣別の朝/2013」のウディ・ハレルソン。

アーウィンにヘイデン・セットー。

ニックにアレクサンダー・カルヴァート。

監督、脚本はケリー・フレモン・クレイグ。


親友クリスタがよりにもよってイケメンでモテモテの兄ダリアンと付き合い始めたと知り、ネイディーンはもう耐えられないほど落ち込んでしまう。クリスタはネイディーンにとってただ一人の友達だったのに…。裏切られた思いのネイディーンは“ダリアンを選ぶか私を選ぶか決めて!”とクリスタに迫る。クリスタは二人のどちらかを選ぶなんて出来っこない。クリスタに宣戦布告したネイディーンだったが、結局孤独と絶望に打ちひしがれ自暴自棄に陥ってしまう。


幼い頃に最大の理解者だった父親を亡くし母親とも兄ともうまくいっていないネイディーンは、一人ぼっちになってしまったと感じたのだ。成り行きは実に少女っぽいがネイディーンの気持ちは理解できる。

映画の主人公は高校生ながら元高校生の大人が見ても共感してしまう青春ドラマ。


はじまりのうた」でも超反抗的な女の子が似合っていたヘイリー・スタインフェルドはちょっと太めで可愛い。「トゥルー・グリット」のヘイリーが見てみたい。そしてこんなにナイスなウディ・ハレルソン初めて見た。主人公のママ、モナ役のキーラ・セジウィックもナイス・キャスティング。


高校生ネイディーンと教師ミスター・ブルーナーの関係が実にユニーク。ネイディーンにとってミスター・ブルーナーは崖っぷちの人を救う駆け込み寺的存在。ネイディーンに毒舌を浴びせられても終始冷静なミスター・ブルーナーがスゴ過ぎる。

ネイディーンが夢中になるニックと、ネイディーンに夢中のアーウィンが違い過ぎて面白い。


未亡人のママが終末に男に会いに出かけるのを“楽しんできてね!”のノリで見送る娘ネイディーン。一方で憧れの男ニックにスマホから性的なメッセージを送ってしまって焦りまくり、ミスター・ブルーナーに相談に行く生徒ネイディーン。sexに関する会話が平然と交わされる様がVeryアメリカン。


シネマカリテにて



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# by margot2005 | 2017-05-24 00:05 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「フリー・ファイアー」

Free Fire 2016 UK/フランス

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1978年のボストン。ある夜、寂れた倉庫で武器取引が行われようとしている。しかしふとしたはずみから銃撃戦が勃発!2組のギャングが生き残りをかけて闘い始める…


ヴァーノンに「特攻野郎Aチーム THE MOVIE2010」「マレフィセント/2014」のシャールト・コプリー。

オードに「ソーシャル・ネットワーク/2010」「コードネームU.N.C.L.E./2015」アーミー・ハマー。

ジャスティンに「ルーム/2015」ブリー・ラーソン。

クリスに「プルートで朝食を/2005」「麦の穂をゆらす風/2006」「ダークナイト ライジング/2012」キリアン・マーフィ。

ハリーに「マクベス/2015」「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出/2015」「シング・ストリート 未来へのうた/2015」ジャック・レイナー。

マーティンに「ベルファスト71/2014」「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場/2015」バボー・シーセイ。

バーニーに「オデッセイ/2015」「奇蹟がくれた数式/2015」「ハイ・ライズ/2016」エンゾ・シレンティ。

スティーヴォに「オン・ザ・ロード/2012」「ビザンチウム/2012」「フランス組曲/2014」サム・ライリー。

フランクに「ブラック・シー/2014」「ロブスター/2015」マイケル・スマイリー。

ゴードンに「ニュー・ワールド/2005」ノア・テイラー。

監督、脚本は「ハイ・ライズ/2016」ベン・ウィートリー。


オープニングに人は銃で撃たれてもすぐには死なないと言う説明がでる。監督自らFBIの調書を片っ端から読んで結論に達したらしい。映画やTVドラマで、撃たれてすぐに死ぬのは嘘ということ。撃たれても中々死なない様子を描いているものもあるが、どうやらそれが本当らしい。

で、本作に登場する人間はマジで中々死なないのだ。“病院に連れて行ってくれ!”なんて台詞も飛び出すほど。誰も連れて行かないけど…そう、皆撃たれているから病院に連れて行く人がいない。

とにかく銃で撃たれてもあれほど死ねないって、死ぬほど、いや死ねないばかりにめちゃくちゃ苦しいのではないか!と思った次第。

「ハイ・ライズ」と本作の2本しか見ていないので何とも言えないが、監督ベン・ウィートリーは破壊が大好き!?


映画の舞台は銃を撃ちまくる寂れた倉庫のみ。ブラック・ジョークとdirty word満載のドラマ。密室の心理ドラマは多々あるけど、これほどシンプルにただ撃ち合うだけの物語って初めてかも知れない。

この映画を見ようと思ったのは大好きなキリアン・マーフィの出演に惹かれたから。キリアン・マーフィ映画をシアターで見たのは久しぶり。今後公開予定の「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦/2016」と「ダンケルク/2017」が楽しみ。


唯一の女ギャング役でブリー・ラーソンが出演。「ルーム」でアカデミー主演女優賞に輝き、いきなりメジャーな女優になった彼女がB級映画に出演していて面白い。アーミー・ハマーは身体がデカいからか貫禄たっぷり。ジャック・レイナーやサム・ライリーも冴えない男を頑張って演じている。本作は出演陣が多彩なところが一番の見所かも?そしてやはり女は強い!


新宿武蔵野館にて


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# by margot2005 | 2017-05-20 23:49 | UK | Trackback(1) | Comments(2)

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

Manchester by the Sea 2016 USA

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ボストンの住宅街で便利屋として生計をたてるリー・チャンドラー孤独で短気な性格の男。ある日、兄のジョーが心臓発作で倒れたとの知らせを受け病院に向かう…


リー・チャンドラーに「オーシャンズ13/2007」「ジェシー・ジェームズの暗殺/2007」「ザ・ブリザード/2016」「トリプル9 裏切りのコード/2015」のケイシー・アフレック。

ジョー・チャンドラーに「アルゴ/2012」「ゼロ・ダーク・サーティ/2012」「キャロル/2015」カイル・チャンドラー。

パトリックに「グランド・ブタペスト・ホテル/2013」「とらわれて夏/2013」ルーカス・ヘッジズ。

ランディに「フランス組曲/2014」ミシェル・ウィリアムズ。

ジョージに「最高の人生のはじめ方/2012」「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う/2015」のC・J・ウィルソン。

エリーズ・チャンドラーに「ベティ・ペイジ/2005」「3時10分、決断のとき/2007」のグレッチェン・モル。

ジェフリーに「いとしい人/2007」マシュー・ブロデリック。

監督、脚本は「マーガレット/2011」のケネス・ロナーガン。


リーは兄ジョーが倒れたとの報告を受けて故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻るが、彼は既に帰らぬ人となっていた。医師やジョーの友人ジョージと葬儀の相談をした後、アイスホッケーの練習試合をしているジョーの息子パトリックを迎えに行く。そして弁護士からパトリックの後見人にリーが選ばれていたことを知らされる。


後見人になるには未成年の甥パトリックを引き取らなくてはならない。しかしリーはマンチェスター・バイ・ザ・シーに住むことはできないのでボストンで一緒に暮らそうと考える。一方でパトリックは学校を変わることも友人と別れることも考えられない。やがてリーは決断を下す。

“今のアパートじゃ狭いから部屋を探している”なぜ?”と聞くパトリックに”おまえが訪ねてくるかもしれないから…”と答えるリー。あの会話からパトリックを愛しているリーの気持ちが伝わってきて、とても素敵なシーンだった。続くエンディング…ボートに乗って釣り糸を垂れる二人の姿に引込まれた。


ドラマではたくさんの死”が描かれ、主人公は深い悲しみを抱えているが、見ているものはそれほど辛くはない。それは所々に織り込まれるちょっとしたユーモアがあるから...。

冬の穏やかな海、道路には雪があり、空は澄んでいる。そんな映像はとても美しかった。


アカデミー主演男優賞をゲットしたケイシー・アフレックの演技は想像以上に素晴らしかった。アカデミー賞の授賞式で、弟ケイシーが主演男優賞に輝いたことを兄のベンが自分のことの様に喜び、ハグをし祝福のキスをしていたシーンがとても感動的だったことを思い出す。やっぱりベンよりケイシーの方が演技派?


本作の予告編はシアターで何度も、何度も繰り返し見た。リーとランディが交わす会話から、この二人はとてつもない悲しみを味わったのだと伝わってくる。映画を見て想像以上に過酷な出来事を体験した二人に驚いた。

ミニシアター公開がちょっと寂しい。


ケイシー・アフレック映画は殆どwowowで鑑賞。「ゴーン・ベイビー・ゴーン/2007」「セインツ -約束の果て-/2013」「ファーナス/訣別の朝/2013」とか見たけど印象に残った映画はない。記憶に残ったのはシアターで見た「ジェシー・ジェームズの暗殺」くらい。でもこの映画でケイシー・アフレックの印象は深く残るに違いない。


シネスイッチ銀座にて



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# by margot2005 | 2017-05-17 20:39 | MINI THEATER | Trackback(8) | Comments(4)

「僕とカミンスキーの旅」

Ich und Kaminski…akaMe and Kaminski2015 ドイツ/ベルギー

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スイスの山奥で隠遁生活を送る天才画家マヌエル・カミンスキーはマティスの弟子でピカソの友人。60年代のポップ・アート時代にN.Y.盲目の画家として脚光を浴びたが、突如表舞台から姿を消したため、伝説的な人物となっていた。

一方で31歳の自称美術評論家のゼバスティアン・ツェルナーは金と名声欲しさにカミンスキーのセンセーショナルな伝記を書こうとインタビューを申し込む...


ゼバスティアン・ツェルナーに「二ツ星の料理人/2015」ダニエル・ブリュール。

マヌエル・カミンスキーに「007/カジノ・ロワイヤル/2006」「007/慰めの報酬/2008」「ヴィクトリア女王 世紀の愛/2009」「メランコリア/2011」「007 スペクター/2015」イェスパー・クリステンセン。

ミリアム・カミンスキーに「100歳の少年と12通の手紙/2009」「サンローラン/2014」アミラ・カサール。

カール・ルートヴィヒに「ホーリー・モーターズ/2012」ドニ・ラヴァン。

テレーゼ・レッシングに「永遠のこどもたち/2007」「みんなで一緒に暮らしたら/2011」ジェラルディン・チャップリン。

監督、脚本、製作は「グッバイ、レーニン!/2003」のヴォルフガング・ベッカー。


ある日、ゼバスティアンはスイスの山奥にあるカミンスキーの屋敷を訪問する。彼は傲慢な男で、強引にカミンスキーに取り入ろうとするが娘のミリアムに阻止される。しかしめげない男ゼバスティアンは家政婦に賄賂を渡してカミンスキーの屋敷を物色し始める。やがてカミンスキーを連れ出すため、老人がかつて愛したテレーゼに会わせてやると理由をつけ車で旅に出る。


実在の人物ではないカミンスキーが、ピカソやダリそしてアンディ・ウォーホールと交流があったように描いていて面白い。スクリーンに映し出されるThe Beatlesやモハメド・アリたち有名人との60年代の合成写真はほんもののように映る。ゼバスティアンとその恋人が描かれたアンディ・ウォーホールの絵画があったり、ゼバスティアンが盗み出したカミンスキーの自画像、そしてラスト近くで、カミンスキーの姿を絵に描いてダブらせたり...と全て絵画はFakeながらとても美しくて素晴らしかった。

傲慢な31歳の青年と、一筋縄ではいかない85歳の老人のロード・ムービーは何とも奇想天外で、大人の寓話と書いている記事に納得する


007シリーズでミスター・ホワイト役のイェスパー・クリステンセンが特殊メイクで85歳の老人を演じている。ジェラルディン・チャップリンってまだ70過ぎなのに80代の老婆のようにシワだらけ。あれも特殊メイク?車泥棒カール役で数シーンにしか登場しないドニ・ラヴァンの存在感はさすが。ダニエル・ブリュール傲慢な男が似合う似合う。

関東(都内)では恵比寿でしか上映していないのに、奇想天外な映画だからかGWが終わったからか、上映2週目なのにシアターはガラガラだった(ウイークディの夕方の回)。


恵比寿ガーデンシネマにて



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# by margot2005 | 2017-05-14 19:40 | ドイツ | Trackback(1) | Comments(0)

「はじまりへの旅」

Captain Fantastic2016 USA

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普通じゃない奇妙な一家が織りなすヒューマン・コメディ。

ベンに「約束の地/2014」ヴィゴ・モーテンセン。

ジャックに「素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー/2012」「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札/2014」フランク・ランジェラ。

ハーパーに「ホリデイ/2006」「LIFE!/ライフ/2013」「マイ・ファニー・レディ/2014」キャスリン・ハーン。

デイヴに「サンシャイン・クリーニング/2008」「ダラス・バイヤーズ・クラブ/2013」スティーヴ・ザーン。

ボウドヴァン(ボウ)に「ディファイアンス/2008」「サンシャイン/歌声が響く街/2013」「パレードへようこそ/2014」ジョージ・マッケイ。

キーラーにサマンサ・イズラー。

ヴェスパーにアナリース・バッソ。

レリアンに「虹蛇と眠る女/2015」のニコラス・ハミルトン。

サージにシュリー・クルックス。

ナイにチャーリー・ショットウェル。

監督、脚本は「フェイス/オフ/1997」「 アビエイター/2004」の俳優マット・ロス。


見てから随分と日にちがたってしまってレビューを書くのはやめようかと思いながらシアターをチェックしていたら今だ上映中。4/1に公開され既に1ヶ月以上上映している。ヴィゴ主演なので人気あるのかな?

私はヴィゴ・モーテンセンの熱烈なファンではないが、独特の魅力を放つ俳優だからか彼にはファンが多い。オスカーにノミネートされたちょっと変なオヤジ役が実に似合う。


ベン一家は文明から閉ざされた大自然の山奥に住み、生活は自給自足で子供たちは学校へは通わず父親が教師。ベンはアメリカ合衆国の哲学者(言語哲学者、社会哲学者、論理学者でもある)ノーム・チョムスキーの信奉者で文武両道に優れた才能を持つ男。

野生動物を獲って食べることはあってもハンバーガーを食べたことがない。恋愛は本で学んだが異性との接し方は知らない。全くもって普通じゃない子供たちが父親に連れられて山奥から都会へとやって来る。


亡くなった母レスリーの葬儀に出席するため、山奥から2400km離れたニューメキシコに自家用バスに乗ってやって来た一家は、ベンの妹夫婦デイヴとハーパー家に滞在する。彼らの息子たちは変な?ベンの子供たちに興味しんしん。そして子供たちは従兄弟のTVゲームに興味しんしん。違和感ありまくりのベン一家は妹夫婦の家の庭に一泊して去って行く。


やがて一般常識からかけ離れた思想を持つベンは、折り合いが悪い彼女の父親ジャックと対決することになる。ジャックはこのままでは子供たちが社会に全く順応できないで大人になってしまうと、変人の父親に育てられる彼らが心配でならない。結局ベンはジャックに諭され子供たちを祖父母に預けようと決心するが...結末は素敵だった。


ボウがハーバート大学やイエール大学からの誘いを断ってアフリカのナミビアに行くあたりはやはり蛙の子は蛙かも?

仏教徒だったレスリーをキリスト教の教会から救い出す件はちょっとやり過ぎ?墓を掘るなんてありえない!やはりこの一家は奇妙!

原タイトルの“Captain Fantastic”がナイス。


ヒューマントラストシネマ有楽町にて



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# by margot2005 | 2017-05-12 22:28 | MINI THEATER | Trackback(1) | Comments(2)