<   2014年 01月 ( 12 )   > この月の画像一覧

「ビフォア・ミッドナイト」

「Before Midnight」 2013 USA
a0051234_22593677.jpg

ジェシーに「その土曜日、7時58分/2007」「ニューヨーク、アイラヴユー/2008」「クロッシング/2009」のイーサン・ホーク。
セリーヌに「パリ、恋人たちの2日間/2007」「ニューヨーク、恋人たちの2日間/2012」のジュリー・デルピー。
パトリックにウォルター・ラサリー。
ナタリアにゼニア・カロゲロプールー。  
アナにアリアーヌ・ラベド。
アキレアスにヤニ・パパドプロ。
アリアドニにティナ・レイチェル・ツァンガリ。
ステファノスにパノス・コロニス。
監督、キャラクター創造、製作、脚本は「恋人までの距離(ディスタンス)/1995」「スクール・オブ・ロック/2003」「ビフォー・サンセット/2004」「バーニー/みんなが愛した殺人者/2011」のリチャード・リンクレイター。
a0051234_2303793.jpg
a0051234_023964.jpg
a0051234_025113.jpg
a0051234_2302239.jpg

ギリシャにあるパトリックの屋敷に老婦人ナタリアと、若いアキレアスとアナのカップル、ステファノスとアリアドニ夫婦、そしてジェシーとセリーヌが集まりぞれぞれの愛や、人生について語っている...

列車の中で偶然出会いウイーンで一夜を過ごしたアメリカ人のジェシーとフランス人のセリーヌは半年後に再会を約束して別れる…9年後パリの書店で再会した二人…ジェシーは約束どうり再会の場所に行ったが、セリーヌは祖母の葬儀で行けなかったことを告白する。そしてジェシーがアメリカへ戻る飛行機に乗るまでのわずかな時間パリの街を語り合いながら散策し、セリーヌのアパルトマンにたどり着く…以上が前2作品。

そして3作目はギリシャが舞台。オープニング、ジェシーはつかの間のバカンスを一緒に過ごした息子ハンクと空港にいる。やがてアメリカに住む母親の元へ帰すべく彼を飛行機に乗せる。空港から出たジェシーを待っていたのはセリーヌと双子の女の子。娘たちはもちろん二人の子供で、ジェシーとセリーヌがパートナーとなっていたことがわかる。パリに住む一家は南ギリシャの美しい港街でバカンスを満喫しているのだ。

ある夜、アリアドニとステファノスが手配してくれたホテルで二人きりで過ごすことになったジェシーとセリーヌ。愛し合うはずがまたまた口論になってしまう…それはジェシーがハンクと暮らすためシカゴに移住しないかとセリーヌに持ちかけたから。
セリーヌは今まで子育ても家事も一人でこなし、ジェシーはただ執筆しているだけと責め立て、アメリカに行ってわたしの仕事はどうなるの?シカゴになど行けない!と訴える。この辺りの激しい夫婦喧嘩はやはり女性が強い。演じるジュリー・デルピーの独断場だ。言いたい事を言いまくった後セリーヌはホテルの部屋を出て行く。で、やはりというかジェシーはセリーヌを追いかけるのだ。

1作目から18年をへて、20代から40代になった主演の二人…ジュリー・デルピーは元々おばさんぽいので意外に歳月は感じられない。しかしイーサン・ホークのシワが気になった非常に。人それぞれだろうけど男の方が老けるのか?
ロケ地はギリシャのペロポネソス半島にあるオールド・カルダミリ。ジェシーとセリーヌが訪れる古い教会や街並が旅情を誘う。

映画の解説に
“ウイーンの夜明けから18年、パリの夕暮れから9年。そして、本物の愛にたどり着く、真夜中までの数時間。”
と書かれていて、とてもロマンティックで美しいドラマを連想させる。
“全世代の女性に贈る恋愛映画の金字塔シリーズ、待望の最終章!”という解説もあり。
しかしながらどうもこのドラマの良さがわからない。あまりロマンティックとも感じないし...。でも皆さん絶賛している。絶賛はウイーク・デイのラスト上映でもかなりの人が入っていたことでも窺えたけど...。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
[PR]
by margot2005 | 2014-01-28 23:48 | MINI THEATER | Trackback(10) | Comments(0)

「愛について、ある土曜日の面会室」

「Qu'un seul tienne et les autres suivront」…aka「Silent Voice」2009 フランス
a0051234_2347633.jpg

ステファンに「アンプロフェット/予言者/2009」「ゼロ・ダーク・サーティ/2012」「黒いスーツを着た男/2012」のレダ・カテブ。
ゾラに「ダニエラという女/2005」「ジョルダーニ家の人々/2010」のファリダ・ラウアジ。
セリーヌに「ポーラX/1999」「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路/2010」のデルフィーヌ・シュイヨー。
エルザに「やさしい嘘/2003」「愛、アムール/2012」のディナーラ・ドルカーロワ。
ピエールに「エディット・ピアフ~愛の讃歌~/2007」「ランジェ公爵夫人/2007」「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」「最後のマイウエイ/2012」のマルク・バルベ。
ロールにポーリン・エチエンヌ。
アレクサンドルに「ナルコ/2004」「ルノワール 陽だまりの裸婦/2012」のヴァンサン・ロティエ。
医師アントワンに「恋人たちの失われた革命/2005」のジュリアン・リュカ。
監督/脚本はレア・フェネール。
a0051234_23483716.jpg
a0051234_23482879.jpg
a0051234_2348203.jpg
a0051234_23481075.jpg

“フランス、マルセイユ ある土曜日の朝__愛する人への想いを胸に3人は面会室へと向かう…。”

不器用なステファンは今だ母親に依存し恋人エルザとの関係も仕事も上手くいかない。ある日、ステファンは病院でエルザが暴漢に襲われた時助けてくれたピエールと出会う。ステファンを一目見たピエールは驚きつつも、刑務所に収監されている友人と瓜二つのステファンに“身代わり”にならないかと持ちかける。
アルジェリア人のゾラはフランスに住む息子が殺され、死の真相を探るためマルセイユへやってくる。そこで加害者の姉セリーヌに接近し、乞われるまま彼女の子供の世話を引き受ける。
サッカー少女のロールは風変わりな少年アレクサンドルと出会い恋に落ちる。やがてロールの元にアレクサンドルが刑務所に収監されたという連絡が入る。しかし未成年ゆえ一人で面会に行くことができない。ロールは献血車で偶然出会った医師アントワンに保護者になってもらえないかと頼み込む。

舞台はフランスの港町マルセイユ。全く接点はないが同じ町に住み、それぞれに事情を抱えたステファン、ゾラ、ロールが刑務所でそれぞれの収監者と面会する。
少々ネタバレする...
この映画の全てはラストにある。優柔不断でうだつの上がらないステファンは土壇場で決断し“身代わり”を実行し、ゾラは息子の死の真相を知り、 ロールはアレクサンドルを愛していないことに気づく。
レア・フェネールは長編初監督とのこと。社会の底辺に生きるマルセイユ舞台のドラマは苦悩するばかりで辛いが、中身が詰まったヒューマン・ストーリーで見応えがある。

2012年12月に公開されシアター(シネスイッチ銀座)に観に行ったにも関わらずなぜか?レビューを書くのを忘れていた一作。wowowで放映があったので今一度見ることができた。
[PR]
by margot2005 | 2014-01-27 00:02 | フランス | Trackback(1) | Comments(0)

「さよなら、アドルフ」

「Lore」 2012 ドイツ/オーストラリア/UK
a0051234_1335461.jpg

ローレにザスキア・ローゼンダール。
トーマスに「白いリボン/2009」のカイ・マリーナ。
ローレの妹リーゼルにネーレ・トゥレプス。
ローレの母に「白いリボン」のウルシーナ・ラルディ
ローレの父にハンス・ヨヘン・ヴァークナー。
監督、脚本は「15歳のダイアリー/2004」のケイト・ショートランド。
原作はレイチェル・シーファーの“暗闇のなかで”。

ナチス親衛隊の高官を父に持つローレは14歳。1945年の春、ヒトラー総統が亡くなったという母親の言葉にショックを受ける。両親は連合軍に拘束され、ローレは妹と双子の弟、そしてまだ乳飲み子の末の弟を連れ900キロ離れたハンブルグの祖母の家を目指す旅に出る…

旅の途中ローレは自身や弟妹のために食べ物を調達しなければならなかった。何不自由なく育ったローレにとって非常に過酷なことだったろう。ナチ党員の子供と白い目で見られ、食べ物も分けてもらえない有様。そんな折、ユダヤ人青年トーマスと出会う。彼は優しく手を差し伸べるがローレは露骨に不快感を示す。トーマスは両親や周りの大人がさんざん蔑んだユダヤ人なのだからローレが嫌悪するのは当然のこと。しかし妹や双子の弟はトーマスを頼り始め、ローレも次第に心を開き始める。

戦争が終わり偶然に出会ってしまったナチ党員の少女ローレとユダヤ人のトーマス。ローレが生きるためトーマスに頼らねばならない辛さは想像を絶するものだったに違いない。
シアターで予告を何度か見て少々気になっていた一作。重いドラマだろうな?と想像していたが、14歳の一人の少女の運命があまりにも過酷で想像以上に惨くて重いドラマに圧倒された。
14歳のローレを演じ、絶賛されたザスキア・ローゼンダールは1993年生まれ。

トーマスはアドルフ・ヒトラーが嫌悪したユダヤ人。そしてローレは邦題に付いている“アドルフ”の子。
映画のラストで邦題の意味が語られる。ある日、食事の席に着いたローレの弟妹。スープもサービスされないテーブルでいきなりパンをつかんだ弟は厳格な祖母に叱責される。600キロの道中空腹と闘ってきた彼らにとって目の前に並んだ食べ物にすぐに手が出ても不思議ではない。叱られしょんぼりした弟をかばうかのように、ローレはテーブルにわざと水をこぼし手ですくって飲んでみせたのだ。祖母は今でもヒトラー総統を褒めそやしている。そんな祖母に、貴女は何もわかっていない!と歯向かうローレの行動がとても素晴らしいラストだった。

シネスイッチ銀座にて
[PR]
by margot2005 | 2014-01-26 01:46 | ドイツ | Trackback(4) | Comments(0)

「愛しのフリーダ」

「Good Ol' Freda」 2013 USA/UK
a0051234_21581768.jpg

“17歳の時、ファンから秘書になった。50年間誰にも語らなかった、特別な青春。”

エンディングにリンゴ・スターが登場しフリーダの孫へメッセージを送る。というのもフリーダは子供たちに自分がブライアン・エプスタインの元秘書で、その後The Beatlesを影で支えたなんてことを一切語らなかったらしい。でも孫にはそれを知らせたいとドキュメンタリーの中で話している。そしてそれをフォローしたのは他でもないリンゴだった。

しかしながら、フリーダは世界中から舞い込むファンレターに一通、一通返事を書いていたというからスゴい!ファン・クラブの雑誌も彼女が書いていた。
忠誠心ありで謙虚なフリーダは、メンバーからも信頼され、彼らの家族にも愛されたという。四人のプライベート・ライフを知っていたが、ゴシップ雑誌にいくら頼まれても、私生活を明かさなかったフリーダは本当に忠誠心と謙虚の固まりのような女性だ。
というわけで、ドキュメンタリーの中で、“メンバーの誰かとデートした?誰が一番好きだった”なんて質問されても、上手く交わすので、フリーダの口からメンバーの女性問題が語られるなんてことは決してない。
フリーダが気分屋で気難しいブライアン・エプスタインに叱責された後、ジョンたちが彼女をなぐさめた...なんて素敵なエピソードも登場する。

私自身The Beatlesが大好きでリヴァプールまで行ったけど、60年代に世界中に山ほどいた熱狂的ファンはスゴ過ぎる。
今思えば、あの時代フリーダの存在が明らかになったらファンに八つ裂きの刑にされていたかも知れない。

このドキュメンタリーの製作&監督ライアン・ホワイトのメッセージ....メッセージのラストに“「愛しのフリーダ」は単なるビートルズ映画ではない。世界で最も切望された職の一つに就いた無名の少女が、ショービジネスの光を浴びてもなおその道義を守り抜いた様を描く物語なのである。”という文章がとても印象に残った。

ドキュメンタリーにThe Beatlesの楽曲は少ししか流れない…それってレノン&マッカートニーの著作権なのかな?ヨーコとポールが許さなかったのかも知れない。

「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ/2009」

角川シネマ有楽町にて
[PR]
by margot2005 | 2014-01-22 22:12 | UK | Trackback(1) | Comments(0)

「ルートヴィヒ」

「Ludwig II」2012 オーストリア/ドイツ
a0051234_19315271.jpg

ルートヴィヒ二世にザビン・タンブレア。
晩年のルー トヴィヒ二世にゼバスチャン・シッパー 。
オーストリア皇后エリザベートに「4分間のピアニスト/2006」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」のハンナー・ヘルツシュプルンク。
リヒャルト・ワーグナーに「es [エス]/2001」のエトガー・ゼルゲ。
弟オットーにトム・シリング。
ゾフィにポーラ・ビール。
リヒャルト・ホルヒニに「マーラー 君に捧げるアダージョ/2010」のフリードリヒ・ミュッケ。
バイエルン首相ヨハン・ルッツに「コッホ先生と僕らの革命/2011」「ヒンデンブルグ 第三帝国の陰謀/2011」のユストゥス・フォン・ドナーニー。
監督、脚本はマリー・ノエル&ピーター・ゼアー。
a0051234_19331221.jpg
a0051234_1932585.jpg
a0051234_19324721.jpg
a0051234_1932389.jpg

今で言うイケメンのバイエルン王、ルートヴィヒ二世は、執務室に花や樹を飾り日々それを愛でている。鳥もいたそういや…。正に夢見る王子で、彼を知ればあのノイシュヴァンシュタイン城を建てたことが良くわかる。

作曲家リヒャルト・ワーグナーに心酔するルートヴィヒはパトロンとなり全面的に援助を始める。
芸術至上主義者にして平和主義者の人間が戦争に赴くわけがない。
ルートヴィヒはワーグナーにピアノ演奏させ、“この美しい調べを聞いたら敵も去って行くだろう!”なんて宣い、軍事費を芸術的なことに回すべきだと主張する。側近たちは彼の行動に難色を示すがルートヴィヒは“我が道を行く!”を貫く。
しかし普墺戦争(プロセイン王国とオーストリア帝国)の勃発でバイエルンはオーストリア帝国側で参戦を余儀なくされ、後に普仏戦争(フランスとプロセイン王国)で精神に異常をきたした弟オットーの姿に打ちのめされる。

ルートヴィヒはフランスの太陽王ルイ14世を崇拝していたそうで、ヴェルサイユのような城を建てたかったらしい。彼が即位した19世紀中盤はナポレオン三世の時代で、ヴェルサイユでナポレオン三世と談笑するシーンも何度か登場する。
大きさはヴェルサイユ宮殿にはとても敵わないがリンダーホーフ城もヴェルサイユのように美しい城。そしてノイシュヴァンシュタイン城はもう語るまでもなくスーパー級に美しい城だ。是が非でもこの目でノイシュヴァンシュタイン城が見たくなる。

ルートヴィヒは“狂王”の異名で知られるそうだが、ドラマの中では偏執症(パラノイア)と診断されている。
そしてルートヴィヒを理解したエリザベート(従甥にあたる)と、一時期ルートヴィヒのフィアンセだったエリザベートの妹のゾフィとのエピソードも織り交ぜながら、とても美しい伝記ドラマとなっている。

ヘルムート・バーガーがルートヴィヒ二世を演じたルキノ・ヴィンスコンティの「ルートヴィヒ/1972」は見ている。
リヒャルト・ホルヒニはルートヴィヒの馬丁で愛人であり私設秘書として使えた人。ルキノ・ヴィンスコンティ版はホモセクシュアルなシーンが多くどろどろとしたストーリーだったと記憶するが、本作はそれをさらっととらえて描いている。
ハンガリー生まれの俳優ヨーゼフ・カインツも愛人だったが、彼との間もさらりとしか描かれていない。

ルーマニア出身の主演俳優ザビン・タンブレアのイケメン度はルートヴィヒ本人には及ばないが、なりきりぶりは素晴らしい。
「4分間のピアニスト」で印象深いハンナー・ヘルツシュプルンクのエリザベート役は本人とあまりにも違ってミス・キャストかな?
「マーラー 君に捧げるアダージョ」でアルマの恋人を演じたフリードリヒ・ミュッケが素敵。


スバル座にて(1/16で終了)
[PR]
by margot2005 | 2014-01-19 21:31 | ドイツ | Trackback(3) | Comments(4)

「シャンボンの背中」

「Mademoiselle Chambon」2009 フランス
a0051234_23552299.jpg

ジャンに「ガスパール/君と過ごした季節(とき)/1990」「すべて彼女のために/2008」「君を想って海をゆく/2009」「母の身終い/2012」のヴァンサン・ランドン。
ヴェロニク・シャンボンに「プチ・ニコラ/2009」「屋根裏部屋のマリアたち/2010」「プレイヤー/2012」のサンドリーヌ・キベルラン。
妻アンヌ・マリーに「真夜中のピアニスト/2005」「ヴェルサイユの子/2008」のオーレ・アッティカ。
息子ジェレミーにアルトゥール・ル・ウエルー。
父に「ヴィドック/2001」のジャン・マルク・ティボー。
監督、脚本は「愛されるために、ここにいる/2005」「母の身終い/2012」のステファヌ・ブリゼ。
a0051234_23561019.jpg
a0051234_2356249.jpg
a0051234_23555562.jpg
a0051234_23554632.jpg

とても素敵な作品でシアターで観たかった一作。でも日本未公開なのでTVで見るしかなかった。
ヴァンサン・ランドンは筋肉逞しい男ながら、寂しい表情を見せるのがスゴく上手い。
憂い顔のわりにコメディが似合うサンドリーヌ・キベルランはせつないロマンス映画もしっくりとくる。
「母の身終い」「君を想って海をゆく」「すべて彼女のために」...三作全て悩む男役が似合うヴァンサン・ランドンはこちらでも大いに悩む男を好演している。
ヒューマン・ドラマの「チャーリーとパパの飛行機/2005」やコメディの「女はみんな生きている/2001」のヴァンサンもgood。そして「ガスパール/君と過ごした季節(とき)はお気に入り映画の一つ。

舞台は南フランス、ブーシュ・デュ・ローヌ県。代理教師としてパリからやって来たヴェロニク・シャンボンは独身女性。ある日、学校へ迎えにきた教え子ジェレミーの父親ジャンに“父親の職業”というテーマで生徒たちに話をしてくれないかと持ちかける。ジャンは父親と同じく大工として身をたてている。ジャンの話に興味を覚えた生徒たち…教室は盛り上がり、マドモアゼル・シャンボンも大満足だった。ジャンが大工と知った彼女は“アパルトマンの窓からすきま風が入るの。どうすれば良いかしら?”と訴える。やがて彼女の悩みを解消すべくジャンはアパルトマンへ向かう。

その後の展開は互いに惹かれ合ってしまうというありきたりのストーリーなのだが、二人が実に上手い。ジャンは妻子ありの男でヴェロニクを抱くわけにはいかない。しかし寂しさ漂う彼女に己の気持ちを抑えるのが難しくなっていく。やがてジャンは“君のことを考えている。”と書いた手紙を送る。すると次にヴェロニクが行動を起こしジャンの職場に会いに行く。しかしジャンの口からでた言葉は“妻が妊娠している。”というものだった。うちひしがれたヴェロニクはこの地を去ろうと決心する。

男ってホントにわがままな生きものだ。ヴェロニクも欲しいけど妻子も捨てられない。愛し合った後、“君と一緒にいたい!”というジャンに対して”できないことは言わないで!”と答えるヴェロニク。やはり女は冷静だなぁと切に感じる。
ジャンの妻アンヌ・マリーは最高に冷静だった。映画だからこそで、あのような冷静なフランス人女性いるわけがない。

あれこれいろいろと書いたが、これほどセツナイ映画を見たのは久しぶり。観客にひょっとして二人は…と思わせる展開が上手いのだこの監督。しかしながらラストはもちろんフレンチ・スタイルで二人が結ばれることはない。
パリ行きの列車、待つ女、来ない男…なんと絵になる光景だろう。

大ラスで見せるジャンとアンヌ・マリーのシーンに、しみじみと夫婦の愛情が伝わってきてスゴく良かった。
“マドモアゼル・シャンボン”が“シャンボンの背中”となる邦題に??だけど映画を見れば納得する。でも原タイトルどおり“マドモアゼル・シャンボン”で良いのでは?

wowowにて
[PR]
by margot2005 | 2014-01-15 00:16 | フランス | Trackback | Comments(0)

「皇帝と公爵」

「Linhas de Wellington」…aka「Lines of Wellington」フランス/ポルトガル
a0051234_1835183.jpg

ポルトガル勢:
フランシスコ・シャヴィエル軍曹にヌヌ・ロペス。
ペドロ・ド・アレンカル中尉に「ミステリーズ 運命のリスボン/2010」「熱波/2012」のカルロト・コッタ。
貴族夫人フィリパ・サンチェスに「パリ空港の人々/1993」「私が、生きる肌/2011」のマリサ・パレデス。
ゼ・マリオ軍曹に「ミステリーズ 運命のリスボン」のアフォンス・ピメンテウ。
娼婦マルテリオにソライア・シャーヴェス。
宣教師ヴィセンテ・ド・アルメイダにフィリッピ・ヴァルガス。
孤児の少年に「ミステリーズ 運命のリスボン」のジュアン・アハイス。
英国勢:
ジョナサン少佐にマルセロ・ウルジェージェ。
未亡人モーリーンにジェマイマ・ウェスト。
英国貴族の娘クラリッサにヴィクトリア・ゲーハ。
ウェリントン将軍(のちに公爵)に「メッセージ そして、愛が残る/2008」のジョン・マルコヴィッチ。
画家レヴェックに「天使の肌/2002」のヴァンサン・ペレーズ。
フランス勢:
詩人ボルダロに「ミステリーズ 運命のリスボン」のアドリアーヌ・ルース。
マッセナ元帥に「わたしはロランス/2012」のメルヴィル・プポー。
マルボ男爵に「チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~/2011」のマチュー・アマルリック。
スイス商館の人々に「愛のあしあと/2011」のカトリーヌ・ドヌーヴ、「ホーリー・モーターズ/2012」のミシェル・ピコリ、「愛、アムール/2012」のイザベル・ユペールと、マッセナ元帥の愛人役で「クリスマス・ストーリー/2008」のキアラ・マストロヤンニ、そしてヴィセンテの妻マリアに「ミステリーズ 運命のリスボン」のマリア・ジュアン・バストスや、セギュール伯爵役の「クララ・シューマンの愛/2008」のマリック・ジディ、マリアの愛人役でパウロ・ピリスなどが友情出演している。
そして本作には上にもあるように「ミステリーズ 運命のリスボン」の俳優が多数出演。
監督、編集は「クリムト/2006」「ミステリーズ 運命のリスボン」の編集者バレリア・サルミエント。
a0051234_18384994.jpg
a0051234_18383931.jpg
a0051234_18382636.jpg
a0051234_18381835.jpg
a0051234_1838926.jpg
a0051234_1838165.jpg
a0051234_18375266.jpg
a0051234_21523793.jpg

a0051234_18374477.jpg

a0051234_1836350.jpg

a0051234_18355563.jpg

原タイトルは“ウェリントンの横隊(軍隊で並んだ集団の形)”と言う意味。ウェリントン将軍は出てくるけど、邦題タイトルに付いた皇帝ナポレオンは登場しない。本作は市井の人々が主人公の戦争ドラマ。

ポスターに偽りありの本作...フランス映画祭のサイトに...出演はジョン・マルコヴィッチ、マチュー・アマルリック、カトリーヌ・ドヌーヴ、ミシェル・ピコリ、イザベル・ユペール、 キアラ・マストロヤンニ、メルヴィル・プポー…とある。でもカトリーヌ・ドヌーヴ、ミシェル・ピコリ、イザベル・ユペール、 キアラ・マストロヤンニは友情出演で、キアラはメルヴィル・プポーと一緒の数分しか映らない。
メルヴィルは数シーンに出演しているが台詞は殆どなかったような気がする。マチュー・アマルリックも然り。
ジョン・マルコヴィッチ演じるウェリントンのシーンは戦闘の指揮をとる将軍ながら、画家レヴェックに描かせる絵のエピソードが多い。実際絵にまつわるシーンが殆どだったかも?マルボ男爵役のマチュー・アマルリックは騎馬上姿勢で双眼鏡を眺めるシーンしか記憶にない。

1810年、皇帝ナポレオンにポルトガル制服を命じられたマッセナ元帥はブサコに赴き戦いを始める。マッセナ元帥の軍隊と闘うのはウェリントン将軍率いる英国、ポルトガル連合軍。

映画のチラシに“ナポレオン皇帝VSウェリントン公爵 その瞬間、人は愛のために闘った…”とある。
シャヴィエル軍曹が、戦争で英国軍の夫を亡くし、異国の地に一人取り残された未亡人モーリーンを何かと気遣う姿や、フランス軍に捕らえられそうになったアレンカル中尉を匿った貴族夫人フィリパ。そしてジョナサン少佐とクラリッサの逢い引きや、病院でのアレンカル中尉とクラリッサの出会い、はたまた逃げられた妻マリアを執拗に探す宣教師アルメイダ。他にも色々なエピソードがあるが、とどめは戦火の下、娼婦マルテリオとゼ・マリオ軍曹の結婚式のシーン。あれは無しで良かったのではないか?何はともあれそれらのエピソードを織り交ぜながら進むストーリーは少々だらだらと、とりとめもなく訴えるものがないのが残念。
出演陣に惹かれて観に行くと裏切られるストーリー。しかしちょっと気になるポルトガル人俳優カルロト・コッタが見れたのはナイスだった。

ナポレオン戦争は知っているが、19世紀の初めにポルトガルにまで侵攻したなぞ知らなかった。
映画のラストは英国、ポルトガル連合軍が勝利を収め、フランス軍がなす術もなく立ち去って行く。そしてそこに残されたのは荒れ果てた大地だけだった…というのが悲惨。戦争に巻き込まれた市井の人々の悲惨さも惨たらしい。

Bussaco(ブサコ)を調べてみたらポルトガル中西部に位置する美しい国立公園がある観光地。トリップ・アドバイザーやBookig.comを眺めていたらかの地に行きたくなる。
本作は今年初映画。初映画は今ひとつだったので次に期待したい。

シネスイッチ銀座にて
[PR]
by margot2005 | 2014-01-14 20:22 | フランス | Trackback(1) | Comments(0)

「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」

「Only Lovers Left Alive」 2013 UK/ドイツ/フランス/キプロス/USA
a0051234_23581687.jpg

アダムに「戦火の馬/2011」「ミッドナイト・イン・パリ/2011」のトム・ヒドルストン。
イヴに「フィクサー/2007」「倫敦(ロンドン)から来た男/2007」「ベンジャミン・バトン 数奇な人生/2008」「バーン・アフター・リーディング/2008」「リミッツ・オブ・コントロール/2009」「ミラノ、 愛に生きる/2009」「少年は残酷な弓を射る/2011」のティルダ・スウィントン。
エヴァに「ディファイアンス/2008」「アメリア 永遠の翼/2009」「キッズ・オールライト/2010」「ジェーン・エア/2011」「アルバート氏の人生/2011」「イノセント・ガーデン/2013」のミア・ワシコウスカ。
イアンに「フライトナイト/恐怖の夜/2011」のアントン・イェルチン。
マーロウに「リミッツ・オブ・コントロール」「メランコリア/2011」「裏切りのサーカス/2100」のジョン・ハート。
ドクター・ワトソンに「007/カジノ・ロワイヤル/2006」 「インベージョン/2007」「007/慰めの報酬/2008」「ブッシュ/2008」のジェフリー・ライト。
監督、脚本は「ナイト・オン・ザ・プラネット/1991」「ブロークン・フラワーズ/
2005 」「リミッツ・オブ・コントロール/2009」のジム・ジャームッシュ。
a0051234_23591320.png
a0051234_00254.jpg
a0051234_2358668.jpg

荒廃の街と化したデトロイトとモロッコのタンジールを舞台に描かれるヴァンパイア・ストーリーはとても妖しくて美しい。
トム・ヒドルストン主演映画は初めてで、ティルダ・スウィントンもお気に入り女優の一人だしヴァンパイア映画は大好きなので楽しみにしていた1作。
トムとティルダは夫婦役で、実際20歳の年齢差がある二人だが中々素敵なカップル。

デカダンス漂うストーリーにアンダーグラウンドなミュージックが加味され、廃墟と化したデトロイトと、神秘的なタンジールが物語を盛り上げる。

ヴァンパイア映画「ビザンチウム/2012」もそうだったけど、21世紀に住むヴァンパイアはむやみに人間の血を求めないというのが鉄則なのか?
しかしながらこれほど血の出ないヴァンパイア映画も珍しい。

デトロイトに住むアダムはドクター・ワトソンから輸血用の血を買い、タンジールに住むイヴはマーロウに血を用立ててもらっている。
アダムとイヴは何百年も生きているから、著名なる作曲家と交際があった...とか、タンジールに住むマーロウはシェイクスピアだった…という展開もあった。
ヴァンパイア、カップルの名前がアダムとイヴと言うのは何か?意味ありなのか?
しかしラスト、アダムとイヴが恋人たちに襲いかかるシーンはヴァンパイア映画らしくてナイスだった。

ジム・ジャームッシュの作る作品は少々変わっている。ジャームッシュ映画はウイノナ・ライダーとジーナ・ローランズの「ナイト・オン・ザ・プラネット」が初めて。その後「コーヒー&シガレッツ/2003」「ブロークン・フラワーズ」なんかも見てみたが、どれもこれもスゴくユニーク。本作は意外にジャームッシュらしくない雰囲気で、今迄の彼の作品の中では一押し映画となった。

「マイティ・ソー/2011」と「アベンジャーズ/2012」のロキ役のトム・ヒドルストンは最近気になるUK俳優。来月公開予定の「マイティ・ソー/ダーク・ワールド/2013」はシアターに観に行くかもしれない。
時代物が似合うトム・ヒドルストンはデカダンスなヴァンパイアー役もぴったり。レイチェル・ワイズと共演の未公開作品で、愛憎劇の「愛情は深い海の如く/2011」が是非見たい。

TOHOシネマズシャンテにて(12月鑑賞)
[PR]
by margot2005 | 2014-01-12 00:31 | UK | Trackback(11) | Comments(0)

アンヴァリッド

アンヴァリッドはルイ14世が負傷廃兵の収容施設として建てたもので、現在はナポレオン1世の墓所。エッフェルはパリの街のいたるところから見えるが、アンヴァリッドもポン・ヌフやアレクサンドル三世橋etc.の観光スポットから見ることができる。
地下鉄8号線のLa Tour Maubourg駅から少し歩いた。アンヴァリッドの外観は何度も見ているが、中へ入ったのは今回初めて。正面の門から入って、回廊の真ん中に広大な中庭があり、正面玄関が現れる。ナポレオンの墓所にたどり着くまでかなりの距離がある。回廊内にはショップやMusée de l'Armée(軍事博物館)があり、ミュージック・パスが使えるので入ってみたが、フランスの歴史に詳しいわけでもなく、見ているのは多分フランス人ばかりで、途中でやめてナポレオンの墓所に向かった。
初めて見るナポレオンの墓所の立派さに驚いた。彼はフランスでは偉大なる人物なのだとそれを見て納得した。
今回アンヴァリッドの中へ入り、金色に輝くドーム教会が見上げても近過ぎて逆に見えないことがわかった。ドーム教会は遠方から見る方が良い。
正面建物の左側は病院でもちろん営業中。
一番下はジャック・ルイ・ダヴィッドの描いたルーヴルのナポレオンの肖像画(未完だそう)。
a0051234_0241414.jpg

a0051234_0235540.jpg

a0051234_0241993.jpg

a0051234_025411.jpg

a0051234_14093.jpg

a0051234_0223240.jpg

a0051234_0221811.jpg

a0051234_0205218.jpg

a0051234_0185851.jpg

a0051234_0184691.jpg

a0051234_14507.jpg

a0051234_0183270.jpg

a0051234_0181769.jpg

a0051234_0183053.jpg

a0051234_1431849.jpg

a0051234_054937.jpg

[PR]
by margot2005 | 2014-01-11 01:06 | TRIP | Trackback | Comments(0)

「鑑定士と顔のない依頼人」

「La migliore offerta」…aka「The Best Offer」2013 イタリア
a0051234_082757.jpg

ヴァージル・オールドマンに「シャイン/1995」「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマン・チェスト/2006」「エリザベス:ゴールデン・エイジ/2007」「英国王のスピーチ/2010」のジェフリー・ラッシュ。
ロバートに「ワン・デイ 23年のラブストーリー/2011」のジム・スタージェス。
クレアにシルヴィア・フークス。
ビリーに「針の目/1981」「ハンガー・ゲーム/2012」のドナルド・サザーランド。
監督、脚本は「題名のない子守唄/2006」「シチリア!シチリア!/2009」のジュゼッペ・トルナトーレ。
a0051234_093872.jpg
a0051234_09313.jpg
a0051234_092060.jpg
a0051234_091095.jpg


ある日、天才的鑑定士ヴァージル・オールドマンの元へ、亡くなった両親の屋敷に残された絵画や家具を鑑定して欲しいという依頼が入る、しかし依頼人の女性は決してヴァージルに前に姿を現さなかった...

ジュゼッペ・トルナトーレの前作「シチリア!シチリア!」は日本人にとって少々とりつきにくい映画だったが、本作は「ニュー・シネマ・パラダイス/1986」同様素晴らしいストーリーで、ドラマを多いに楽しんだ。
あっと驚く!ラストの展開もナイス。してやられたヴァージル…大ラス、チェコ、プラハのレストランでヴァージルの元へクレアは現れたのだろうか?時計だらけのあのレストランはスゴかった。

ロマンスにも分類されている本作...クレアを愛し、愛されていると思った孤独な主人公のヴァージルを演じるジェフリー・ラッシュが完璧。あの役柄は他に思い浮かばない。
特にオークションのシーンは最高。ヴァージルは競売人として壇上に立ち競りを始める。競り落とす人々が掲げる金額を舌をかみそうな早口(日本語に比べて英語の数字の綴りは長いし...)で次から次へと言い放つシーンは圧巻。さすがのオスカー俳優ジェフリー・ラッシュならではの演技は素晴らしい!の一言。

オークションに持ち込まれる絵画もそうだが、とにかく秘密の部屋に飾られた肖像画がもうもうスゴい!ヴァージルが心から愛する肖像画...その部屋に入ると肖像画たちが彼を見つめることになる。孤独なヴァージルはそれらを見つめ、見つめられ癒されていたんだろうなきっと(あまりにも寂し過ぎるけど...)。
そういやエンドクレジットに蒼々たる絵画の巨匠たちの名前が羅列されているのに目が点だった。

舞台はイタリアの何処かの設定(ロケ地はもちろんイタリア)。
世界中を飛び回る天才的鑑定士ヴァージルは潔癖性で食事の時すら手袋を外さない。行きつけのレストランには彼の名前を冠したグラスと皿が保管されている有様。で、当然人との付き合いは苦手なわけ。ヴァージルが出会ったクレアは“広場恐怖症”という精神疾患で部屋に閉じこもったまま出て来れない。二人は共にアブノーマルな人間であり、結ばれる運命にあるのは自然だったかも知れない。親子ほどの年齢差は気になったが...。

映画を観た後、ヴァージルを陥れるにはあの辺りの設定が不可欠だったことがわかった。
配給会社の宣伝にこうある…“もう一度見ると味わい一変”と…その誘いにのってシアターに行くかも知れない。
しかしながら、肖像画もスゴかったけど、クローゼットに並べられた手袋もスゴかったな。

何度も、何度も予告を見て、なぜ?依頼人は姿を隠しているのか?と、スゴく不思議だったけど、このような結末になるなんて全く想像もしなかったのであのラストにはしびれた。

クレアを演じるシルヴィア・フークスは初めてお目にかかったオランダ人女優。ミステリアスなクレアが似合っている。
ロバート役のジム・スタージェスも良かったし、ドナルド・サザーランドは相変わらずの貫禄。

TOHOシネマズシャンテにて(12月鑑賞)
[PR]
by margot2005 | 2014-01-08 00:35 | イタリア | Trackback(22) | Comments(6)