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「チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~」

「Poulet aux prunes」…aka「Chicken with Plums」 2011 フランス/ドイツ/ベルギー
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一人の男が死を決意した時、かつて愛した女性との恋の思い出がよみがえる大人のファンタジー・ドラマ。タイトルの“チキンとプラム”とは主人公ナセル・アリの大好きな食べ物のこと。そして彼は豊満な美女ソフィア・ローレンが大好き!
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ナセル・アリに「ある秘密/2007」のマチュー・アマルリック。
死の天使アズラエルに「ダニエラという女/2005」「モリエール 恋こそ喜劇/2007」「引き裂かれた女/2007」「風にそよぐ草/2009」のエドゥアール・ベール。
ナセル・アリの妻ファランギースに「ぼくセザール10歳半1m39cm/2003」「ベティの小さな秘密/2006」のマリア・デ・メディロス。
イラーヌに「ワールド・オブ・ライズ/2008」「彼女が消えた浜辺/2009」のゴルシフテ・ファラハニ。
ナセル・アリの弟アブディに「ストーン・カウンシル/2005」のエリック・カラヴァカ。
ナセル・アリの娘リリ(大人役)に「ゼロ時間の謎/2007」「クリスマス・ストーリー/2008」「美しい人/2008」のキアラ・マストラヤンニ。
ナセル・アリの母親パルヴィーンに「最高の人生をあなたと/2011」のイザベル・ロッセリーニ。
骨董屋のフーシャング(物乞い)に「アメリ/2001」「アンジェラ/2005」のジャメル・ドゥブーズ。
監督、原作は「ペルセポリス/2007」のマルジャン・サトラピ。

舞台は1950年代のイラン。ナセル・アリは20年に渡り世界中を演奏して回った天才ヴァイオリニスト。41歳でファランギースと結婚し、今では二人の子持ち男。ある日、家庭を顧みない夫に腹を立てた妻は彼のヴァイオリンをたたき壊してしまう。“もう演奏は出来ない!”と訴えるナセル・アリに弟アブディはある話を持ちかける。そしてアブディの情報からさるところにあるという名器ストラディバリウスを買いに出かける。骨董屋には怪しげな男がいて、“これはあのウルフガング・アマデウス・モーツアルトが所蔵したいたものだ!”と言う。しかしそのヴァイオリンにも満足することが出来ないナセル・アリは死を決意する…

何度か予告を観て楽しみにしていた一作。主演は大好きなマチューだし…。
アニメ作家が作っただけあって、メルヘンっぽいシーンや、もちろんアニメも登場する。上にも書いたようにファンタジーの世界がトレヴィアン!!
モーツアルトが所蔵していたという名器ストラディバリウスを怪しい骨董屋(物乞い)に言葉巧みに売りつけられたり、ナセル・アリがどのように死ぬか想像を膨らませたりして笑える。死の天使が出てくる辺りは奇想天外で大満足だった。

ナセル・アリは芸術家であるためとても繊細で、自己中心的な性格。こういった人間が家庭人には向くわけがない。しかしながら母親にせがまれ無理矢理ファランギースと結婚させられる。ファランギースはずっと、ずっとナセル・アリを愛していたのだ。そして彼は、彼で愛する女性イラーヌがいたが、“娘を貧乏な芸術家とは結婚させられない!”と彼女の父親が猛反対する。イラーヌもナセル・アリを心から愛していたが二人の恋は終焉を迎える。
ある時、街で孫を連れたイラーヌがナセル・アリと出くわす。“どこかでお会いしませんでしたか?”と訪ねるナセル・アリ。しかしイラーヌは“人違いです!”と答える。イラーヌは彼のことがわかっていたが年老いた姿をさらすには辛過ぎたに違いない。愛しい人に会えたのに街頭の影に隠れ一人涙を流すイラーヌが哀れ。

マチュー・アマルリックはふがいない男を演じると天下一品。
イラン出身のゴルシフテ・ファラハニは以前観た映画の役柄とは打って変わって、主人公が生涯忘れることが出来なかった美しい女性イラーヌに扮していて素敵。
ナセル・アリの母親を演じるイザベラ・ロッセリー ニが貫禄たっぷりで、出番は少ないながら実にインパクトあるなぁこのobasan。
キアラ・マストラヤンニの強烈な個性も健在だ。マジで父親マストロヤンニにそっくり!

ヒューマン・トラスト・シネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2012-11-27 21:03 | フランス | Trackback(6) | Comments(2)

「みんなで一緒に暮らしたら」

「Et si on vivait tous ensemble?」…aka「All Together」2011 フランス/ドイツ
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ジャンとアニー夫婦、アルベールとジャンヌ夫婦、そしてシングルのクロード5人は昔からの親しい仲間。アルベールは時々記憶がなくなるボケ老人。妻のジャンヌは重い病に冒されているが夫に打ち明けることが出来ないでいる。ある日、クロードが心臓発作で倒れ、彼の息子が老人施設に入れてしまう。クロードを見舞った4人の仲間は、当たり前ながら老人だらけの病室を見て、こんなところに置いておくには忍びないと、施設から連れ出してしまう。やがて以前からアニーが提案していたジャンとアニーの家でアルベールとジャンヌ夫婦、そしてクロードが同居生活を送るようになる…
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ジャンに「ミーシャ/ホロコーストと白い狼/2007」のギイ・ブドス。
アニーに「ドクトル・ジバゴ/1965」「トーク・トゥ・ハー/2002」「永遠のこどもたち/2007」のジェラルディン・チャップリン。
アルベールに「幸せはシャンソニア劇場から/2008」のピエール・リシャール。
ジャンヌに「獲物の分け前/1966」「9時から5時まで/1980」「ウエディング宣言/2005」のジェーン・フォンダ。
クロードに「ブッシュ・ド・ノエル/1999」のクロード・リッシュ。
ディルクに「コッホ先生と僕らの革命/2011」のダニエル・ブリュール。
監督、脚本はステファン・ロブラン。

どの国でも老人問題は起こる。このような夢のような展開はまぁ映画だから出来ること。老人が共同生活を送るのもまぁそれはそれでいい。しかし誰かが病気になったら(映画の中では既に病人がいる)結局健康な人間が病気の人間をケアすることになる。でもみんな老人なのだ。とてもとても無理なことだと思う。
こちらのドラマではワケあって一人の青年が老人たちの同居人となる。だからトラブルが起きても彼が助けに入るわけ。老人だけではそうは行かない。
上にも書いたように夢のようで、あり得ないストーリーながら映画ということでほのぼのとした気分になった。
ラスト近く、40年前クロードがジャンヌとアニーの両方と浮気をしていた真実が暴かれる。amourの国フランスならではのエピソードが微笑ましい。

ジェーン・フォンダ(1937生まれ)の若さに仰天する。80年代にエアロビクスのビデオ”Jane Fonda Workout”を製作した人だけのことはある確かに…。ウエスト低めのパンツで、太めのベルトをしめるファッション。このファッションはお腹が出ているとダメ。ジェーンは難なくそれを着こなしている。
ジェラルディン・チャップリンの方がジェーンより7歳も若いのに、逆に彼女がおばあさんに見える。そうそう、映画の中でジェラルディンが必死でエアロバイクをこくシーンを見て少々反省し、しまい込んでいたエアロバイクを引っ張り出して来た。
ダニエル・ブリュールはマジで爽やかな青年だ。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2012-11-24 00:02 | フランス | Trackback(2) | Comments(0)

「声をかくす人」

「The Conspirator」2010 USA
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1865年、ワシントンD.C.のフォード劇場でリンカーン大統領が暗殺され、暗殺者グループのアジトとなった下宿屋の女主人メアリー・サラットが共犯として逮捕される。元北軍の大尉であったフレデリック・エイキンは、元司法長官のリヴァディ・ジョンソン上院議員からメアリー・サラットの弁護を依頼される。フレデリックは裁判が進むうちメアリーは無実なのだと確信する。しかし証言台に立つ証人たちの発言は不利なものばかり。検事も裁判官も傍聴人も全て大統領サイドで、フレデリックは四面楚歌状態にありながらもメアリーの無罪を勝ち取ろうと奔走するのだった...
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フレデリック・エイキンに「つぐない/2007」「ジェイン・オースティンの秘められた恋/2007」「ウォンテッド/2008」「終着駅 トルストイ最後の旅/2009」のジェームズ・マカヴォイ。
メアリー・サラットに「こわれゆく世界の中で/2006」「ニューヨーク、アイラヴユー/2008」「消されたヘッドライン/2009」「50歳の恋愛白書/2009」「ドラゴン・タトゥーの女/2011」のロビン・ライト。
アンナ・サラットに「アクロス・ザ・ユニバース/2007」「レスラー/2008」「人生万歳!/2009」のエヴァン・レイチェル・ウッド。
リヴァディ・ジョンソン上院議員(元司法長官)に「ゴーストライター/2010」のトム・ウイルキンソン。
エドウィン・M・スタントン陸軍長官に「海辺の家/2001」「今宵、フィッツジェラルド劇場で/2006」のケヴィン・クライン。
ジョセフ・ホルト総監(検察)に「ナイロビの蜂/2005」「マリー・アントワネット/2006」「ロビン・フッド/2010」のダニー・ヒューストン。
フレデリックの友人ニコラス・ベイカーに「ダイ・ハード4.0/2007」「そんな彼なら捨てちゃえば?/2009」のジャスティン・ロング。
フレデリックの恋人サラに「恋する履歴書/2009」のアレクシス・ブレデル。
ジョン・サラットに「エバン・オールマイテイ/2007」のジョニー・シモンズ。
監督、製作に「大いなる陰謀/2007」のロバート・レッドフォード。

多くを語らず"わたしは無実です!”と強い意志を貫いたメアリー・サラット。メアリーを演じるロビン・ライトが素晴らしい。ロビン・ライトって華やかでもないし、美人ってわけでもないけど、何か惹き付けるものを持ち、いつも映画の中で存在感を感じる女優。そう、彼女もお気に入り女優の一人。
メアリーを弁護するフレデリック・エイキンを演じるジェームズ・マカヴォイは真面目で一本気で、爽やかな青年役が似合う。というのもこの方顔的にワル役は似合わない。
原タイトルは”共謀者/陰謀者”と言う意味。邦題は”声をかくす人”と意味合いが違っている。メアリーはリンカーン大統領暗殺の殺人グループのアジトとして自らが経営する下宿屋を提供していた。彼女には愛する息子ジョンがおり、彼も暗殺者グループの一人だった。メアリーは息子ジョンを守るため声をかくし続けたのだろう。
友人にも恋人にも愛想をつかされ一人孤立しながらも、メアリー同様強い意志で闘い続けたフレデリック・エイキンの姿にも感銘を受けた。

ロバート・レッドフォードは大好きなハリウッド俳優。レッドフォードの主演する映画はどれもこれも名作ばかり。
レッドフォードと言えば「明日に向かって撃て!/1969」「スティング/1973」や「追憶/1973」「華麗なるギャッツビー/1974」「大統領の陰謀/1976」etc.もっともっと書きたいけどきりがない。
とにかく彼の映画はいっぱい観ている。カウボーイも良し、スパイも良し、ラヴ・ストーリーも似合うのだ。ハンサムで、カッコ良くて…理想の男!的存在のレッドフォードはホントに素敵な俳優。しかしながら映画を作るとなると意外にシリアスな作品になってしまうように思える。
初監督の「普通の人々/1980」でオスカー作品賞、監督賞を受賞。これは文句無しに素晴らしい作品だった。そしてブラッド・ピットを有名にした「リバー・ランズ・スルー・イット/1992」も名作の一つ。ジョン・タトゥーロ&レイフ・ファインズの「クイズ・ショー/1994」、その後、馬と心を通わせるカウボーイ役で出演もした「モンタナの風に抱かれて(The Horse Whispere)/1998」も心に染む良い作品だった。
本作もとてもシリアスなストーリーで、リンカーン大統領の暗殺に関わったとしてアメリカで初めて死刑になった女性メアリー・サラットを裁いた法廷ドラマ。リンカーン大統領の暗殺は知っているが、アメリカの歴史には疎く、リンカーン暗殺にこのような女性が関与していた事実を初めて知った。ロウソクの明かりと、セピア色の背景が時代を感じさせ重厚なドラマを盛り上げている。
ケヴィン・クラインが懐かしい!

銀座テアトルシネマにて
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by margot2005 | 2012-11-23 18:52 | MINI THEATER | Trackback(11) | Comments(2)

「ウォリスとエドワード 王冠をかけた恋」

「W.E.」 2011 UK
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1998年、ニューヨーク。ウォリーには成功した分析医の夫がいる。ハタから見れば誰もが羨む結婚だったが、ウォリーは子供を全く欲しがらない夫に日々不満を募らせている。結婚のために仕事を辞め、暇を持て余す日々。帰って来ない夫を待つ夜にも我慢がならなかった。そんなある日、サザビーズで催されたエドワード8世とその妻ウォリスの遺品オークション会場へ足を運ぶ。そして陳列された絢爛豪華な品々に魅せられ、ウォリス・シンプソンの人生に強い興味を抱くのだった…
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ウォリー・ウィンスロップに「プロヴァンスの贈りもの/2006」「キャンディ/2006」「エリザベス:ゴールデン・エイジ/2007」「ブライト・スター~いちばん美しい恋の詩(うた)~/2009」のアビー・コーニッシュ。
ウォリス・シンプソンに「ヴィーナス/2006」「わたしを離さないで/2010」のアンドレア・ライズブロー。
エドワードに「マスター・アンド・コマンダー/2003」のジェームズ・ダーシー。
エフゲニに「マリア/2006」「ワールド・オブ・ライズ/2008」「ロビン・フッド/2010」のオスカー・アイザック。
ウイリアム・ウィンスロップに「5デイズ/2011」のリチャード・コイル。
アーネスト・シンプソンに「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで/2008」「007/慰めの報酬/2008」のデヴィッド・ハーバー。
バーティ(ヨーク公ジョージ)に「ジェイン・オースティン の秘められた恋/2007」のローレンス・フォックス。
エリザベスに「カサノバ/2005」のナタリー・ドーマー。
監督、脚本、製作は「ワンダーラスト/2008」のマドンナ。

金に細かく浮気をしているウォリーの夫ウイリアムと、DVで妻を傷つけるウォリスの最初の夫が重なる。結局ウォリスは夫と離婚し、再婚の後シンプソン夫人となる。ウォリーも又夫ウイリアムに暴力をふるわれ、傷心の後家を出る。
映画の中でウォリスの人生に興味を覚えたウォリーが、時折、時空を超えて…じゃないけど、ウォリスと会話するのだ。そのシーンがナイスだったのと、オークション会場で亡命ロシア人の警備員エフゲニと出会い、友情から愛情に変わる様も素晴らしい展開だった。

エドワードとウォリス...ちょっと調べたところ、エドワードは1972年に亡くなり、ウォリスは1986に亡くなっている。二人の死はTVや新聞でそれぞれに報じられ、見聞きしたことを覚えている。その際必ず“王冠をかけた恋”というフレーズがあったのを思い出す。
“王冠をかけた恋”に苦しみ、悩むウォリス・シンプソンの姿と、子供を欲しがらない夫との不和に悩むウォリー・ウィンスロップをダブらせながら描く手法はエクセレント!
エドワードとウォリスは出会って間もなく互いに恋に落ち、エドワードの愛人となったウォリスは彼の家族からも世間からも疎まれることになる。ウォリスはエドワードとの結婚に躊躇していたと思うが、エドワードの押しが強かったのじゃないかと推察する。

原タイトルの「W.E.」とは“Wallis&Edward”のこと。ウォリスが赤いリップで鏡に“W.E.”と書くシーンがある。映像はとても美しく、女性監督ならではと感じる。
ウォリー・ウィンスロップを演じるアビー・コーニッシュはお気に入り女優の一人。少々贅肉がついたアビーに驚き。まだ30歳(1982年生まれ)なのに…。
UK人女優のアンドレア・ライズブローの映画は上に書いた2作を観ているがあまり記憶にない。今回ウォリス・シンプソン役でアンドレアも記憶に残ることだろう。彼女役柄にぴったりだった。

エンディングにマドンナの歌う♩Masterpiece♩が流れる。マドンナの声って女の子みたいで実に可愛い。♩Masterpiece♩はとても素敵だったが、映画のバックに流れるmusicが絶え間なくて少々うるさい気もした。
ウォリスのクラシックなファッションがオシャレ(30年代~40年代)。こういった映画を観るといつも思うのはドレスもそうだが、建物や家の調度品も目を楽しませてくれる。映画を観ていつの時代か?と難なく解るのは車?

ロンドンの街を舞台にダンサーたちの姿を描いた「ワンダーラスト」はシアターで観たはず。なぜか?レビューを書いていない。とにかく「ワンダーラスト」はとてもスタイリッシュで粋な映画だった。マドンナの素晴らしい感性を知った。マドンナの映画は「スーザンを探して/1985」以来DVDかwowowで観ている。「エビータ/1996」はシアターで観た。ディーヴァ、マドンナのエバ・ペロンは素晴らしかった。結局マドンナのナイスな映画は「エビータ」のみと言ったところ。で、クドいが「エビータ」意外マドンナの映画は駄作ばかり。「007/ダイ・アナザー・デイ/2002」「スウェプト・アウェイ/20002」ではラジー賞に輝いている(どちらも観たけど「スウェプト・アウェイ」は最悪映画で主演がマドンナ)。
これからもマドンナには作る方に専念していただきたい。本作には魅せられた。

TOHOシネマズ日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2012-11-21 00:05 | UK | Trackback(6) | Comments(2)

「菖蒲」

「Tatarak」…aka「Sweet Rush」 2009 ポーランド
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マルタは医者の夫と共にポーランドの小さな町に暮している。第二次世界大戦中のワルシャワ蜂起で二人の息子を亡くした後、夫婦の間には溝が出来ていた...

監督は「カティンの森/2007」のアンジェイ・ワイダ。
マルタ/女優にクリスティナ・ヤンダ。
ボグシに「トスカーナの休日/2007」のパヴェウ・シャイダ。
マルタの夫に「カティンの森」のヤン・エングレルト。
マルタの女ともだちにヤドヴィガ・ヤンコフスカ・チェシラク。
ボグシのガールフレンド、ハリンカにユリア・ピェトルハ。
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アンジェイ・ワイダが“菖蒲”のメガホンを撮る監督として出演している。
美青年役のパヴェウ・シャイダは映画を観ている間、どこかで見た、見たと感じていたが思い出せず、映画が終わった途端思い出した。彼はダイアン・レインの「トスカーナの休日」に出演していたポーランド移民の男の子。コネチカッタ生まれのパヴェウ・シャイダはアメリカンだが、映画で英語の台詞は聞いたことがない。
そして残念なことにクリスティナ・ヤンダの映画は観たことがない。彼女の夫エドワード・クロシンスキーはポーランドの著名なる撮影カメラマンで、ジュリー・デルピーの「トリコロール/白の愛/1994」や「ショパン 愛と哀しみの旋律/2002」といった作品を撮影している。この方はアンジェイ・ワイダの盟友だそう。

映画「菖蒲」のストーリーの合間に、ヒロイン、マルタを演じる女優クリスティナ・ヤンダの独白シーンが織り込まれる。
ヤンダの夫エドワード・クロシンスキーがガンに冒され余命幾ばくもない。病気と闘った末、死を迎える夫について個人的な心情を語る独白のシーンを挟みながらマルタの日常が描かれる。一方で映画のヒロイン、マルタは病魔に冒され余命幾ばくもないという設定。
クリスティナ・ヤンダの夫の病気と死、そして映画の中のマルタの重い病気が重なり合い、ストーリーは苦しいことこの上ない。

ある夜、マルタは若くてハンサムな青年ボグシと出会う。医者の妻であるマルタは町で尊敬される女性だった。ボグシはマルタを敬愛し、マルタは若いボグシに惹かれてしまう。その後、湖で会う約束をした二人。マルタはボグシが現れないことに不満を抱く。そうこうするうち姿が見えたが、彼はガールフレンドのハリンカと一緒だった。嫉妬心を覚えたマルタは逃げ出そうとするがボグシに見つかってしまう。
映画のタイトル“菖蒲”がここに登場する。ボグシは湖に自生する“菖蒲”をマルタの為に取りに行く。しかし深みにはまり溺れてしまう…ここでも死が描かれる。

“死”がテーマの映画だけに見終わってなんとも言えない気分になった。マルタの夫は妻が余命幾ばくもないことを本人に固くななまでに隠していたが、マルタはそれを知っていたに違いないと感じた。
マルタは亡くなった息子たちの部屋をそのままにして、誰をもその部屋に入ることを禁じた。亡くなった息子の代わりにボグシを愛したかったのかも知れない。その気持ちスゴく理解できる。

神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2012-11-18 23:02 | スペイン | Trackback(1) | Comments(0)

「シャドー・チェイサー」

「The Cold Light of Day」 2012 USA/スペイン
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“自分だけ、知らない…”国家の陰謀に巻き込まれた青年が、拉致された家族を取り戻すため決死の覚悟で戦うアクション・ミステリー。
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ウイルに「トリスタンとイゾルデ/2006」「人生万歳!/2009」「インモータルズ -神々の闘い-/2011」のヘンリー・カヴィル。
マーティンに「ダイ・ハード4.0/2007」「庭から昇ったロケット雲/2007」「RED/レッド/2010」のブルース・ウィリス。
ジーン・キャラックに「バンテージ・ポイント/2008」「アバター/2009」のシガニー・ウィーヴァー。
ウイルの義妹ルシアにベロニカ・エチェーギ。
モサドのザヒールに「あるいは裏切りという名の犬/2004」「約束の旅路/2005」「ゴー・ファースト 潜入捜査官/2008」「この愛のために撃て/2010」「漆黒の闇で、パリに踊れ/2012」「虚空の鎮魂歌(レクイエム)/2012」のロシュディ・ゼム。
監督は「その男 ヴァン・ダム/2008」のマブルク・エル・メクリ。

映画はかなりつまらなかった。ブルース・ウィリスはすぐ死んでしまうし…ヘンリー・カヴィルのファン以外は楽しめないかと思える。
ロケされたスペイン、マドリッドの風景は良かったけど…。

実はヘンリー・カヴィルの大ファン。時代物大好きなので、TVシリーズの「THE TUDORS〜背徳の王冠〜/2007〜2010」がDVDとなり全作を普段借りないレンタルで見た。ヘンリー8世が主人公で、ヘンリー役はジョナサン・リース・マイヤーズ。カヴィルはヘンリー8世の側近であるサフォーク公爵チャールズ・ブランドンを演じた。このチャールズ・ブランドン役が実に似合っていて素敵だった。やはり英国の古典ものはUK俳優に限る。
その後、「インモータルズ -神々の闘い-/2011」はシアターで観たけどレビューは書かずじまい。「モンテ・クリスト伯/2002」「スターダスト/2007」はwowowで見ている。
初めてノン・アメリカンのヘンリー・カヴィルがスーパーマン(クラーク・ケント)役の「MAN OF STEEL/2013」は本作上映前短めの予告編があった。公開は来年の夏の予定だそう。

上の続き…映画がつまらないのは展開のせいかな?スペインの海で両親、弟と共にバカンスを過ごすウイル。街で買い物するため一人クルーザーから下船する。用事をすませビーチに戻るとクルーザーがこつ然と消えていた。やがて父親がCAIのエージェントだったことが分かる。おまけに父親は彼の目の前で殺されてしまうのだ。この後ビジネスマンのアメリカ青年ウイルが単身で父親の死の謎と、彼を追いかけるCIAのキャラックと戦う。ウイルが勝利をおさめるなんてあり得ない!と思ったけど…。
ラスト近くのカーチェイスはスゴい迫力だった。ブルースはすぐ死んじゃったけど、ロシュディ・ゼムの出演でカバー?まぁでもロシュディ・ゼムの出番も少し。ノンストップ・アクションに主演するカヴィルはほぼ独り舞台で走り回り、滅茶頑張っていて、この方はマジで体育会系俳優。
本作、カヴィルが出演してなきゃもちろん観ていない。彼は日本ではメジャーじゃないからシアターに観に来ていたのはきっとブルース、ファンかな?そしてウイークディの最終回、大きなシアターに観客は数人だったか…で、結局3週間で上映終了予定。

有楽町 スバル座にて(11月16日まで)
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by margot2005 | 2012-11-13 00:48 | USA | Trackback(7) | Comments(0)

「アルゴ」

「Argo」 2012 USA
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架空の映画を演出して人質奪還するアイデアは素晴らしい!としか言いようがない。そしてそれを本物の映画にしてしまった。エンディングで実際の人物が紹介される。皆とても似ているのだ。監督ベン・アフレックのこだわりが感じられナイスだった。
何度も書いているが、ほんとベン・アフレックって作品ごとに、監督としても俳優としてもますます素敵になっていく。
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監督、製作、出演(CIAエージェント、トニー・メンデス役)に「ハリウッドランド/2006」「消されたヘッドライン/2009」「そんな彼なら捨てちゃえば?/2009」「ザ・タウン/2010」「カンパニー・メン/2010」のベン・アフレック。
トニーの上司ジャック・オドネルに「ドライヴ/2011」「トータル・リコール/2012」のブライアン・クランストン。
ハリウッドの大物プロデューサー、レスター・シーゲルに「リトル・ミス・サンシャイン/2006」「ゲットスマート/2008」「サンシャイン・クリーニング/2008」「50歳の恋愛白書/2009」のアラン・アーキン。
特殊メイクの第一人者ジョン・チェンバースに「お買いもの中毒な私!/2009」「アーティスト/2011」のジョン・グッドマン。
カナダ大使ケン・テイラーに「ミルク/2008」のヴィクター・ガーバー。
アメリカ大使館職員ボブ・アンダースに「ザ・シューター/極大射程/2007」のテイト・ドノヴァン。
マーク・ライジェクに「チャーリー・ウイルソンズ・ウォー/2007」のクリストファー・デナム。
コーラ・ライジェクに「パッセンジャーズ/2008」のクレア・デュバル。
ジョー・スタッフォードにスクート・マクネイリー。
キャシー・スタッフォードにケリー・ビシェ。
リー・シャッツにロリー・コクレイン。
「ファミリー・ツリー/2011」のジョージ・クルーニーがプロデューサーに参加している。

1979年11月4日、イランの過激派がアメリカ大使館を襲撃、占拠する。混乱の中6人の職員が脱出しカナダ大使の私邸に匿われる…

CIAエージェント、トニー・メンデスはカナダ大使邸に身を潜める6人を国外脱出させるため考えに、考え、SFファンタジー映画「アルゴ」の撮影でイランに入国し、帰国予定にあると思わせる作戦を思いつく。
メンデスがこの作戦を思いつく前に考えられたのは、自転車でイランから永世中立国スイスに向かうという代物だった。しかしながらこれにはかなり無理があると却下されている。

出国の際案の定疑いをかけられる彼ら...そりゃそうだ、イランに革命の嵐が吹き荒れる真っ最中に誰が好き好んで映画の撮影などするものか?と疑われるのは当たり前。
お膳立てしたトニー・メンデスと、役者顔負けの演技で難局を乗り切った大使館の職員たちもスゴい。アメリカ人なのにカナダ人のフリもしたのだから...。
トニー・メンデスの人情味あふれる行動に拍手を送りたくなる。カナダ大使も然り。
一方でハリウッドの大物プロデューサー、シーゲルと特殊メイクの第一人者チェンバースの存在を忘れてはならない。チェンバースはメンデスの知人だったそう。
シーゲルとチェンバースを演じる二人アラン・アーキン&ジョン・グッドマン…この二人最高!ジョン・グッドマンは本人とそっくりだった。
ジョン・チェンバースは「猿の惑星/1968」の特殊メイクでアカデミー賞に輝いた偉大な人物という事実も知った。

この事件はなんとなくTVで見たような記憶がある。合わせてこの次期イラン革命の指導者ホメイニ師の映像が頻繁にTVに映し出されていたのも覚えている。
アメリカが18年間封印した真実を、映画大国アメリカのCIAならではの大作戦で、成功し、今回ベン・アフレックが描くドラマを大いに楽しませてもらった。

丸の内ピカデリーにて
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by margot2005 | 2012-11-11 23:34 | USA | Trackback(21) | Comments(2)

「危険なメソッド」

「A Dangerous Method」 2011 UK/ドイツ/カナダ/スイス
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“許されない愛。測れない心。”...若きユングと、彼の患者であり、後に愛人となったザビーナ。そして偉大なる心理学者フロイトとユングの出会いと決別。史実に基づく人間ドラマ。
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ザビーナ・シュピールラインに「恋と愛の測り方/2011」のキーラ・ナイトレイ。
ジークムント・フロイトに「アラトリステ/2006」「ザ・ロード/2009」のヴィゴ・モーテンセン。
カール・グスタフ・ユングに「エージェント・マロリー/2011」のマイケル・ファスベンダー。
エマ・ユングにサラ・ガドン。
オットー・グロスに「オーシャンズ13/2007」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」「ブラック・スワン/20101」のヴァンサン・カッセル。
監督は「イグジステンズ/1999」「ヒストリー・オブ・バイオレンス/2005」「イースタン・プロミス/2007」のデヴィッド・クローネンバーグ。
原作戯曲、脚本に「つぐない/2007」「わたしの可愛い人-シェリ/2009」のクリストファー・ハンプトン。

原作が戯曲であるということに納得。
3人の俳優が喋りまくる…で、ユングの台詞が一番多い。ユングを演じるお気に入り俳優のマイケル・ファスベンダー。眉間にシワをよせパイプをくゆらせながら渋い顔の連発。
キーラも精神に異常をきたしたザ ビーナを全身で演じている。
そしてヴィゴ・モーテンセンも同様。ヴィゴはほんと存在感ある俳優だ。「マーラー 君に捧げるアダージョ/2010」もフロイトが絡むストーリーで、演じるオーストリア人俳優カール・マルコヴィクも適役だったけど、本作のフロイト役も中々のもの。

カール・ユングってリッチな妻がいて、愛人がいてとても恵まれた生涯を送った人ではなかったかと推察する。妻は夫をこよなく愛し、金で用意出来るものならなんでも与え、生涯愛人の存在にも理解を示した。
映画では描かれてないがユングの妻エマも精神科医だったそう。一時期、長い期間自ら精神分裂症(統合失調症)を病んでいたというユングを支えたのは妻のエマ?それとも愛人?

かなり前のことだが芥川賞作家で精神科医でもあった北杜夫のエッセイに“精神科医は大概皆変だ!”なんて書いてあったのを思い出した。ユングは一時期精神に異常をきたしたし…来る日も、来る日も分析(アナライズ)していたら頭がおかしくなっても不思議ではない気もする。

フロイトとユングが語る場面は良く分からなかった。二人の会話の中に性的(sexual)という言葉が頻繁に登場する。精神的疾患は性に由来する(関係がある)といった表現もあった。なんでもかんでも性に結びつける彼らのセオリーにはちょっとついて行けなかったな。

とにもかくにも俳優陣が頑張っているのだ。主演はカール・ユング役のマイケル・ファスベンダーかと思えるが、エンドクレジットはザビーナ役のキーラ・ナイトレイから始まり、フロイトのヴィゴ・モーテンセン、そしてユング役のマイケル・ファスベンダーと続く。
時代物好きなので、ザビーナとユングの禁断のラヴ・ストーリーとして観て満足した感じ。

本作の予告はシアターで繰り返し観ている。予告の冒頭ユングが妻エマを実験台にテストするシーン…“離婚”に対してエマは“ノー!”と答える。エマはユングと築いた家庭を決して失いたくなかったのだ。ユングはザ ビーナに対して“妻は家の土台だ”と話し、生涯愛人を持ち続けることはやめなかった。まぁ家の土台がしっかりしているから浮気に励めたのかも知れない。やはりユングはなんと恵まれた男であったことよ!と感嘆しないではいられない。演じるFASSYも上手い。

時代物もSFも似合うFASSYの次回作はリドリー・スコットの「The Counselor」。下、ロンドンでの撮影ショット。ブラッド・ピットが共演者なので日本でも必ず公開されるだろう。

ヴィゴ・モーテンセンが気になったのはグイネス・パルトロウの「ダイヤルM/1998」。若い愛人を演じていて、若く見えたがあの時既に40歳。この方には熱狂的なファンがいるようで、本作を観た後もヴィゴを話題にしている女性がいた。
ヴィゴ・モーテンセンの「善き人/2008」はシアターに観に行けなくて今で観れていない。
ヴァンサン・カッセルの出番が少なくて寂しい。

TOHOシネマズ日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2012-11-06 23:48 | UK | Trackback(9) | Comments(2)

「思秋期」

「Tyrannosaur」 2011 UK
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怒りをコントロール出来ない男と、ドメスティック・バイオレンスにおびえる女。UK俳優パディ・コンシダインの初長編監督デビュー作品。どこかのwebsiteに“この秋、いぶし銀の輝きに出会う…”と記されていたし、本作のwebsiteにも“この映画に世界は打ちのめされた!”とある。
各国の映画祭で注目を浴び、サンダンス映画祭(監督賞+審査員特別賞)や英国アカデミー賞(新人作品賞)などに輝いた佳作。
監督も素晴らしいが、主演のピーター・ミュランも素晴らしい。
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ジョゼフに「BOY A/2007」「戦火の馬/2011」のピーター・ミュラン。
ハンナに「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙/2011」のオリヴィア・コールマン。
ジェームズに「シャーロック・ホームズ/2009」「アリス・クリードの失踪/2009」「ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-/2010」のエディ・マーサン。
監督、脚本に「ボーン・アルティメイタム/2007」「ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!/2007」「ブリッツ/2001」のパディ・コンシダイン。

妻が亡くなり自暴自棄で酒を飲みまくっているジョゼフ。ある日、怒りをコントロールできないジョゼフはバーでもめ事を起こした後一軒のリサイクル・ショップに逃げ込む。店にいたのは信心深い女性のハンナだった。ジョゼフの目から見れば何の不自由もなく幸せそうに映るハンナだが、彼女もまた深い苦しみを抱えていた…

映画のロケ地はイングランド、ヨークシャー。
いきなり店に飛び込んで来た男に“あなたの名前は?”と聞き“ロバート・デ・ニーロだ!”と答える彼に”お茶でもいかがロバート?”なんて粋な会話が出来るのはやはりUK人だなぁと感嘆する。
変なオヤジが突然やって来てロバート・デ・ニーロなんて名乗ったら放り出しても良いのに…
ハンナは敬虔なクリスチャンであり人を癒すことが出来る女性。ジョゼフに頼まれ彼の親友が死の床についた時、祈りを捧げたハンナ。しかしながらハンナを癒す人は誰もいない。ハンナはジョゼフに会うまで夫による虐待をひた隠しに、隠していたから…
ジョゼフとハンナが出会ったことで二人は幸せになれたのだろうか?それは映画のラストを見ればわかる。
ハンナの行為は決して許されることではないが、わたしがもしハンナと同じ立場だったら絶対に彼女と同じ行動を起こすだろうなと思った。絶対に!

「マグダレンの祈り/2002」を監督し脚本も書いたピーター・ミュランの主演映画は初めてみたように思える。ミュランはいつも脇役なのだ。記憶にある限り「マイネーム・イズ・ジョー/1998」意外...。
「BOY A」での職業を超越した人情家のソーシャルワーカー、テリーを演じたミュランを思い出した。
上にも書いたがピーター・ミュランが素晴らしい。最近のミュランはもの静かで温厚なイメージがあるため、自暴自棄の役柄は久しい気がする。でもジョゼフも基本的には善い人なわけ。隣に住む少年のため狂った犬まで殺したのだから...その前に八つ当たりして自分の愛犬も殺しているけど...。
とにかく、ただただ妻の死を受け入れられない…もうちょっと妻に優しくしていたら…なんて後悔ばかりしている男なのだ。
しかし彼が出会ったハンナは、自暴自棄になるなんて考え甘い!と思わせるほど悲惨な生活を送っていた。妻に暴力を振るう夫って最低である。とにかくその男は弱い、弱い人間だからこそ自身が威厳を保つため妻に服従を求めるのだ。最低の男を演じるエディ・マーサンがどんぴしゃの配役で最高。

原タイトルである”ティラノサウルス”についてジョゼフがハンナに説明するシーンがある。
いくら太っているからといっても妻に映画「ジュラシック・パーク」に出てくる恐竜”ティラノサウルス”とネーミングするなんてヒドい夫だ。でもそれって英国人のジョークなのかも知れない。残念なことにジョゼフの”ティラノサウルス”は若き日の写真のみの登場。

邦題の「思秋期」って言葉はあまり使わないので今一度どういった意味なのか調べてみた。“黄昏/晩年/中年”といった意味合いで邦題にかなり納得した次第。
いつもながらUK映画のMusicはナイスだ。The Leisure Societyの“We Were Wasted”なんかには泣けてくる。

新宿 武蔵野館にて(11月中旬まで上映予定)
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by margot2005 | 2012-11-04 21:13 | UK | Trackback(5) | Comments(6)

「ミステリーズ 運命のリスボン」

「Mistérios de Lisboa」…aka「Mysteries of Lisbon」2010 ポルトガル/フランス
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19世紀のヨーロッパが舞台と言えば是が非でも観たい!映画はポルトガル、フランス、イタリア、そしてブラジルを舞台にした壮大なる長編ドラマで、ミステリアスなストーリーが素晴らしく、映像ももちろん絵画のように美しい。
しかしながら万人に受ける映画ではないとも言える。フランスが舞台のシーンでメルヴィル・プポーとレア・セドゥーが出演している。

ディニス神父にアドリアーノ・ルース。
アンジュラ・リマににマリア・ジュアン・バストス。
アルベルト・デ・マガリャンエスにリカルド・ペレイラ。
エリーズ・ド・モンフォールに「恋人たちの失われた革命/2005」「食料品屋の息子/2007」のクロチルド・エム。
ペドロ・ダ・シルヴァ(成人)にアフォンソ・ピメンテウ。
ジョアン/ペドロ・ダ・シルヴァ(少年期)にジュアン・アハイス。
アルヴァロ・デ・アルブケルケにカルロット・コッタ。
エルネスト・ラクローズに「クリスマス・ストーリー/2008」のメルヴィル・プポー。
ブランシュ・ド・モンフォールに「美しい人/2008」「ロビン・フッド/2010」「ミッドナイト・イン・パリ/2011」のレア・セドゥー。
アルマニャク子爵にクララ・シューマンの愛/クララ・シューマン 愛の協奏曲/2008」のマリック・ジディ。
監督は「クリムト/2006」のラウル・ルイス。
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19世紀前半、激動のヨーロッパ。リスボンの修道院に暮す孤児のジョアンは一緒に学ぶ少年たちから日々イジメを受けている。しかし修道院のディニス神父は固くなにジョアンを守り続けて来た。ある日、ジョアンが病気になり、一人の美しいアンジュラという女性が訪ねて来る。やがてジョアンの出自が明らかになって行く…

ディニス神父とマガリャンエスの謎と秘密...この展開はかなりのモノだった。一方でジョアンの実母アンジュラとフランス人の未亡人エリーズ、そして彼女の娘ブランシュの愛と運命が絢爛豪華な貴族の世界と共に描かれる様も素晴らしかった。

アンジュラは侯爵の娘。偶然出会った男性が最愛の人となり結婚を望むが父親によって阻まれる。最愛の人との間に出来た子供がジョアン。ジョアンを生んだ後無理矢理伯爵と結婚させられ、愛のないアンジュラの人生は崩壊して行く。そして伯爵もまた侯爵の策略の犠牲者だった。
やがて伯爵が重い病に倒れ、アンジュラはディニス神父と共に夫に会いに行く。そして伯爵の最後をみとった修道士は他でもないディニス神父の父親だったという事実。この辺が実に興味深く巧みに絡み合って...
映画のwebsiteにも“掟破りの大長編を目の当たりにし、世界中の人々は息を呑み、時を忘れて酔いしれた。本国フランスでは1年間という異例のロ ングランを続けたのち、その年の最良のフランス映画に贈られるルイ・デリュック賞を始め、米国のサテライト賞 最優秀外国語映画賞など世界中で数々の賞を受賞。”と記されている。

時代が行ったり来たりして少々ややこしいが...
醜聞を隠すため生まれてすぐ殺される予定だったジョアンを、ならず者の殺し屋に金を払い救ったのはディニス神父(彼がそうしたのには重要なわけがある)だったとか、パリに留学したペドロ(ジョアン)が夢中になった隣家の年上の女性エリーズはかつてディニスがフランスに滞在中想いをよせたブランシュの娘であったとか...意外にスキャンダラス。でもあくまでもエレガントに描かれているところがラウル・ルイスの世界なのだろう。上に書いたならず者の殺し屋が別人となって登場するするのも鮮やかな展開だった。

フランス人俳優メルヴィル・プポーとレア・セドゥーは互いに惹かれ合いながらも引き裂かれる運命にある役どころ。
妖しい魅力を讃えたレア・セドゥーはメルヴィル・プポー同様出番が少なくて残念。レアが主演のブノワ・ジャコのヴェルサイユを舞台にした「マリー・アントワネットに別れをつげて/2012」が今月公開予定で嬉しい。

あれは全てジョアンの見る夢だったのか?とも思わせるラスト・シーンにちょっと驚き。
間に15分の休憩が入るが前編、後編合わせて上映は4時間27分。この時代に入り込めない人は寝てしまうかも?私的にこの世界は大好きなので上に書いたように満足であった。
ドラマとは少々不釣り合いながらジョアン/ペドロお気に入りの紙芝居が素敵だったな。

ジョン・マルコヴィッチ主演の「クリムト」は過去にwowowで見た。マルセル・プルースト原作でラウル・ルイスが監督した「見いだされた時-「失われた時を求めて」より-/1999」は未見なので機会があれば是非見てみたい。
こちらは2011年8月に亡くなったラウル・ルイスの遺作。

シネスイッチ銀座にて(二部作それぞれの上映で別料金/11月30日までの上映予定)
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by margot2005 | 2012-11-03 22:37 | スペイン | Trackback(6) | Comments(0)