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「恋と愛の測り方」

「Last Night」 2010 USA/フランス
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ジョアンナに「ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-/2010」のキーラ・ナイトレイ。
マイケルに「アバター/2009」「タイタンの戦い/2010」のサム・ワーシントン。
ローラに「アンダーカヴァー/2007」「ザ・クリーナー 消された殺人/2007」「バッド・ルーテナント/2009」のエヴァ・メンデス。
アレックスに「世界でいちばん不運で幸せな私/2003」 「ナルコ/2004」「美しき運命の傷痕/2005」「戦場のアリア/2005」「フェアウェル/哀しみのスパイ/2009」のギョーム・カネ。
監督、製作。脚本に「レオポルド・ブルームへの手紙/2002」の脚本家マッシー・タジェディン。
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サム・ワーシントンとギョーム・カネ狙いで観に行った一作。でもなんかとんでもなくつまらない映画であった。たまたま初日に観に行った(最終回)がシアターはガラガラでびっくり。ニューヨーク、マンハッタンを舞台に映画はとてもスタイリッシュに描かれているのに、ストーリーが陳腐というのか?さえない展開で5/30日で上映打ち切りも納得。

マイケルとジョアンナはニューヨーク、マンハッタンに暮らす結婚暦3年の夫婦。ある夜、パーティの席でマイケルが同僚のローラと親しげに話しているの見てジョアンナはショックを受ける。おまけにローラはとても魅力的な女性。帰宅途中でも、家に着いてからもジョアンナが不機嫌でマイケルは落ち着かない。やがてジョアンナはマイケルに浮気の疑惑をぶつける。そして間が悪いことに次の日マイケルはローラとフィラデルフィアに出張に行ってしまう。
一方でジョアンナは街中のコーヒショップの前でパリにいるはずの元恋人アレックスに出くわす。ディナーに誘われたジョアンナは念入りにメイクアップし、オシャレをして出かけて行く。

フィラデルフィアではマイケルとローラが夜を徹してバー巡り。ニューヨークの街ではジョアンナがアレックスと、その友人夫婦と共にディナーの後、パーティに招かれ夜を楽しんでいる。
マイケルとローラ、ジョアンナとアレックスの姿が交互にスクリーンに現れる。マイケルもジョアンナも互いを愛しているから別れるなんて気持ちはさらさらない。しかしローラもアレックスも相手を誘惑しようとしているのだ。
ストリー同様邦題も陳腐だけど、原タイトルの”Last Night”が意味深でナイス。
そうそう、マイケルとローラのプールのシーンも極めて不適切ながら意味深だった。

ローラ役のエヴァ・メンデスがスゴくゴージャス。どんなに強い意志を集めてもマイケルが彼女の誘惑に抗えなかったのには同情できるかな?しかし妻には“I Love You!”と言いまくり、他人に妻を紹介する時は“My Joanna.”なんて言うくせに、誘惑に勝てず浮気してしまう男は弱くて愚かだ。

「ターミネーター4/2009」を観てちょっと気になったサム・ワーシントン。その後彼の出演作は体育会系のものばかり。一度スーツ姿のサムが見てみたいと思っていたところ本作の予告を観た。予告は中々良かったが本編はダメだった。ストーリー展開がつまらなさ過ぎ。
4月にサム・ワーシントン主演の「キリング・フィールズ 失踪地帯/2011」が公開されていたが観に行けなくて残念。テーマは全く違うが本作より良かったかも?

シネスイッチ銀座にて(5/30まで上映)
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by margot2005 | 2012-05-30 00:05 | MINI THEATER | Trackback(1) | Comments(2)

「さあ帰ろう、ペダルをこいで」

「Svetat e golyam i spasenie debne otvsyakade」…aka「The World Is Big」 2008 ブルガリア/ドイツ/スロベニア/ハンガリー

バイ・ダンに「美しき運命の傷痕/2005」「やわらかい手/2007」「ウエディング・ベルを鳴らせ!/2007」のミキ・マノイロヴィッチ。
アレックス(青年)にカルロ・リューベック。
ヴァスコにフリスト・ムタチェフ。
ヤナにアナ・パパドプル。
マリアに「SOUL KITCHEN/2009」のドルカ・グリルシュ。
監督、脚本はステファン・コマンダレフ。
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2008年、ドイツ。アレックスは父親の運転する車で母親と共に故郷ブルガリアに向かっていた。やがて事故が起き車は大破し両親は帰らぬ人となるが、アレックスは助かり病院へ収容される。そしてブルガリアから祖父バイ・ダンが見舞いにやって来る。しかしアレックスは事故により記憶を失っており、見舞いに来た祖父が誰かも分からない。アレックスは“あなたが誰か知らないがほっといてくれ!”と祖父を追い払おうとする。そこでバイ・ダンはアレックスの記憶を取り戻そうとまず彼の住んでいたアパートを訪ねる。家電の取り扱い説明書を翻訳することで生計を立てていたアレックス。余暇は近所のバーで一人酒を飲み、恋人もいそうにない。やがてバイ・ダンはゴミためのようなアパートの部屋にかつて自分がプレゼントした手製のバックギャモンを発見する。今やホコリまみれだったがバックギャモンで孫の記憶の扉を開けようと病院へ持ち帰る。
最初アレックスはバックギャモンに何の興味も示さなかったが、祖父の懸命なる努力で徐々に記憶を取り戻す兆しを見せ始める。夜な夜な病院のベッドで酒を飲み大騒ぎする二人は医者に愛想をつかされ、グッド・タイミングとばかりバイ・ダンは無理矢理アレックスを退院させてしまう。

ほのぼのとした素敵なドラマだった。主軸はバックギャモンとタンデム自転車。
1983年、共産党政権下のブルガリア。小さな田舎町に暮らすヴァスコとヤナ夫婦には幼い一人息子アレックスがいた。ヴァスコはずっと自由諸国ドイツへ亡命しようと考えていたが妻の反対に合い先延ばしにしていたのだ。しかしある日ヤナの両親に涙ながらに別れを告げた3人はブルガリアを去る。逃亡の途中見回りの憲兵に見つかったが、見逃してもらえ、とうとうイタリアの難民キャンプへたどり着く。

しかしながらイタリアの難民キャンプはヒドい!食料事情が悪いとはいえ、来る日も来る日もスパゲティ・ボロネーゼ。とにかく毎日このメニューなのだ。ここで暮すたくさんの亡命家族の中には数年に渡って滞在する人もおり、ある日ヴァスコはスパゲティ・ボロネーゼしか出さない料理人にキレてしまう。おまけに妻ヤナにも愚痴られ、決して金を賭けて戦わなかったバックギャモンでドイツへの入国資金を稼ぐのだ。

アレックスはドイツから故郷ブルガリアに戻る途中、かつて両親と一時滞在したイタリアのキャンプに足を踏み入れる。そしてそこで彼の記憶が蘇る。このシーンとアレックスがマリアに出会うシーンはとても良かった。そして出来過ぎのエンディングも...。

予告編はシアターで観たかどうか良く覚えていない。観ていないようにも思える。ブルガリア映画ということで興味を覚えた。今まで観たブルガリア舞台の映画は「ソフィアの夜明け/2009」のみ。
タンデム自転車って懐かしい!

シネマート新宿にて
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by margot2005 | 2012-05-29 23:24 | スペイン | Trackback(1) | Comments(2)

「ル・アーヴルの靴みがき」

「Le Havre」 2011フィンランド/フランス/ドイツ
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マルセル・マルクスに「仕立て屋の恋/1989」「Ricky リッキー/2009」のアンドレ・ウィレム。
アルレッティに「街のあかり」のカティ・オウティネン。
モネ警視に「ダニエラという女/2005」「サン・ジャックへの道/2005」「画家と庭師とカンパーニュ/2007」「バレッツ/2010」のジャン・ピエール・ダルッサン。
イドリッサにブロンダン・ミゲル。
監督、脚本は「過去のない男/2002」「街のあかり/2006」のアキ・カウリスマキ。
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北フランス、ノルマンディー地方の港町ル・アーヴル。かつてパリでボヘミアン生活を送っていたマルセル。今では靴みがきをしながら妻のアルレッティと愛犬ライカと共にル・アーヴルの町でひっそりと暮らしている。ある日、愛する妻アルレッティが病に倒れ入院する。そして医者から不治の病に冒されていて長くは生きられないと宣告される。マルセルには自身の死が耐えられないと感じたアルレッティは病気を隠すことにする。
一方で、マルセルはアフリカから密航して来た少年イドリッサと出会い、警察に追われる彼を匿まってやる...

「街のあかり」しか見てないが、アキ・カウリスマキの描く世界は一種独特。でも本作はまるで大人のファンタジーのようで、ハッピー・エンディングな洒落たドラマだった。
観ていて映画の時代設定はいつなのか?と過去に迷いこんだ様子…それはマルセルの家であったり、彼の通うバーとか、街中の電話であったり、マルセルが乗るタクシーetc.それらがなんとなく古そうなのだ。しかしドラマは間違いなく21世紀が舞台。貨幣は€だし、モネ警視がバーで注文するワインは2005年ものとか言っていた。多くの移民問題も21世紀に入ってからのことだし…しかしながら映画の背景&グッズはとてもレトロな雰囲気。Musicも同じくレトロで、それはきっと監督の意図なのだろう。

密航者をかくまうことは罪だが、マルセルを筆頭に、近所の人々までがイドリッサを隠し続ける。ラスト、モネ警視が取った行動はあり得ないが、上にも書いたように大人のファンタジーとして観れば素敵なドラマである。

密航して来たイドリッサはフランスに留まるのではなく母親がいるロンドンに行きたいという。「君を想って海をゆく/2009」のビラルもフランス、カレから英国、ロンドンに渡ることを望んでいた。しかしフランスと英国の間に横たわる英国海峡(一番狭い部分がドーヴァー海峡/カレ~ドーヴァー)に阻まれてしまう。
ちょっとネタバレするがイドリッサはマルセルの善意で、船で海峡を渡ることが叶う。

映画の中で“モン・サン・ミッシェルはノルマンディーではなくてブルターニュだ。”という会話があり、かれこれ10年くらい前にモン・サン・ミッシェルに行ったことを思い出した。ル・アーヴルとシェルヴールにも行けるか?なんて簡単に考えたが、時間がなくてたどり着けず、フランスの国土は広いことを再納得した。
第二次世界大戦で連合軍のノルマンディー上陸作戦の舞台となった海岸も今では不法移民たちのキャンプ地になっている。

主演のアンドレ・ウィレムはもちろんのこと、ジャン・ピエール・ダルッサンも良かったな。
ライカ(Laïka)もしっかりエンドクレジットに記されている。

渋谷 ユーロスペースにて
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by margot2005 | 2012-05-23 23:28 | スペイン | Trackback(12) | Comments(0)

「孤島の王」

「Kongen av Bastøy」…aka「Les révoltés de l'île du diable」「King of Devil's Island」2010 ノルウエー/フランス/スウェーデン/ポーランド
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院長に「宮廷画家ゴヤは見た/2006」「天使と悪魔/2009」「ドラゴン・タトゥーの女/2011」「メランコリア/2011」のステラン・スカルスガルド。
ブローテン寮長にクリストッフェル・ヨーネル。
エーリング/C-19にベンヤミン・ヘールスター。
オーラヴ/C-1にトロン・ニルセン。
監督はマリウス・ホルスト。
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ロケはエストニアとノルウエー。シアターで何度か予告を観て、ハリウッド映画でもおなじみのスウェーデン俳優ステラン・スカルスガルドの凄みに、公開されたら観に行こうと思った。これは極めて壮絶なドラマであった。事実に基づいているというから尚更スゴい!

1915年、ノルウェー。ある日、エーリングという名の非行少年が孤島“バストイ”に送られて来る。この収容施設では少年たち全員に番号が付けられる。C-19と呼ばれるようになったエーリングは、そこで大人たちによるイジメにも似た理不尽な行動が取られていることに愕然とする。早速脱走を試みるが見事に失敗し院長の命で体罰を受けるハメになる。そんな中、エーリングは優等生のオーラヴに反感を抱く。しかし過去にはオーラヴもとことん反抗してきたが、今やその気も失せ優等生として卒業を待っていただけなのだ。
そんな折、一緒に施設にやって来たC-5が寮長から日々虐待を受けているという事実を知り、エーリングは院長に直訴に行く。院長は寮長を罰しようとするが、逆に不正を暴露すると脅され不問にしてしまう。そして悲劇は起こる。C-5が入水自殺を図ったのだ。しかし院長はC-5の死はただの事故として片付けてしまう...。

ノルウェーの孤島“バストイ”にある少年矯正施設の院長は島の王だ。矯正という名の下に少年たちをムチ打ち虐待している。そして寮長は性倒錯者であった。

とうとう少年たちは怒りを爆発させる。寮長を痛めつけ、院長を追い払い、院長室を占拠する。エーリングは電話を取り宣言する“ノルウエー国王に電話をつなげ。俺はバストイの王だ!”と…。

スカルスガルドはもちろんのこと、ブローテン寮長役と二人のboyを演じたほぼ無名の3人の俳優が素晴らしかった。

ラスト、孤島バストイと本土が氷で繋がったことを知ったエーリング。彼は怪我をしたオーラヴを抱え進んで行く。しかし彼らの身体の重みで無情にも氷が砕け落ちる…あの氷上のシーンはかなりの迫力だった。
雪が降りしきる酷寒の中、水に入ったり、外で作業する少年たちを演じる無名の俳優たちに感嘆する。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2012-05-15 23:52 | スペイン | Trackback(8) | Comments(0)

イタリア映画祭2012...「バッグにはクリプトナイト」

「La kryptonite nella borsa」…aka「Kryptonite!」 2011 イタリア

ロザリアに「あるいは裏切りという名の犬/2004」「私たちの家で(愛と欲望 ミラノの霧の中で)/2006」 のヴァレリア・ゴリーノ。
アントニオに「愛と欲望 ミラノの霧の中で」のルカ・ジンガレッティ。
ティティーナに「副王家の血筋/副王家の一族/2007」「元カノ/カレ/2009」のクリスティアーナ・カポトンディ。
サルバトーレにリベロ・デ・リエンツォ。
ペッピーノにルイジ・カターニ。
ジェンナーロにヴィンチェンツォ・ネモラート。
精神科医マタッレーゼに「輝ける青春/2003」「湖のほとりで/2007」のファブリツィオ・ジフーニ。
監督はイヴァン・コトロネオ。
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ジャンルはコメディだが、それほど面白くもないし、なんかとても中途半端な感じでドラマに引き込まれることもなく、殆ど笑うってこともなくエンディングを迎えた。
シアターに入って空席が目立つのでまさか?とは思っていたが…終わってやはりであった。

1973年のイタリア、ナポリ。自分自身をスーパーマンだと信じ込んでいた従兄弟が交通事故で亡くなって以来ペッピーノは落ち込んでいる。
病的に近視で分厚い眼鏡をかけたペッピーノはいじめられっこ。学校でサッカーが始まるとゴールキーパーならぬゴールポスト役にじっと立たされるのだ。ある日、彼の母親ロザリアは夫アントニオの浮気を目撃したショックで寝込んでしまう。しかし夫は妻が寝込む理由が理解出来ない。で、結局アントニオは浮気をやめ、仕返しってわけでもないだろうが妻のロザリアが精神科医マタッレーゼと出来ちゃったりして...。

1970年代はヒッピーとウーマン・リヴの時代。ペッピーノの若き叔父サルバトーレと叔母ティティーナがヒッピーに憧れ、彼らのファッションや音楽、ダンスは正にあの時代の象徴。ウーマン・リヴの集会にペッピーノを連れて行くティティーナはマズかったな。
とにかくこの映画で一番ナイスだったのはMusic!70年代懐かしの(60年代も?)Musicを堪能出来る。
ヴァレリア・ゴリーノが年々obasan化して行く。

有楽町 朝日ホールにて
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by margot2005 | 2012-05-14 00:32 | 映画祭 | Trackback | Comments(0)

イタリア映画祭2012...「七つの慈しみ」

「Sette opere di misericordia」…aka「Seven Acts of Mercy」2011 イタリア/ルーマニア
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上映前、兄弟監督のジャンルカ&マッシミリアーノ・デ・セリオが登壇し、ガンに冒された祖父が言葉を発することができなくなったことにヒントを得たと語った。ドラマの中で会話は圧倒的に少ない。老人アントニオはそもそも話せないのだから…。

舞台は北イタリア、トリノ。モルドバ(ウクライナとルーマニアに挟まれた小国)からやって来た不法移民のルミニツァは食べるものにも困るほどの貧窮生活を強いられている。日々、病院に忍び込み入院患者の金や物品はもちろん食べ物まで盗んでいる。彼女には何がなんでも身分証明者を手に入れねばならないという使命がある。そして死んだ女性の身分証明者を取得し、成り代わるために赤ん坊を誘拐することになる。赤ん坊を匿う家を探していたルミニツァは、末期ガンの老人アントニオに目をつける。一時退院したアントニオをつけ、彼の家に押し入りアントニオを痛めつけ家を占拠する。しかしながら事は計画通りに進まずルミニツァの企ては暗礁に乗り上げてしまう。

中盤以降で、不法移民のルミニツァと末期ガンの老人アントニオの間に哀れみ(同情)のようなものが芽生え始める。疲れ果て、着のみ着のままのルミニツァをベッドに寝かしつけ、清潔な洋服を与えるアントニオ。一方でルミニツァはアントニオを風呂にいれ洗ってやるのだ。敵だった相手が互いに手を差し伸べる。やがてケチで有名な老人アントニオがルミニツァの為に金を用意するのだった。
全体的に悲惨この上なく、ラストは猛烈に悲惨だった。悲惨なドラマは評論家に受けるのだろうか?

昨今フランスやイタリアで起こる移民問題…「13才の夏に僕は生まれた/2005」「西のエデン/2008」「君を想って海をゆく/2009」を思い出す。
先だって観たアキ・カウリスマキの「ル・アーヴルの靴みがき/2011」も移民がテーマの映画だった。

老人役のロベルト・ヘルリッカはどこかで見た、見たと思いつつ、思い出せなかったが…「夜よ、こんにちは/2003」で“赤い旅団”に誘拐されたイタリアのアルド・モロ元首相を演じていた俳優。
モルドバからやって来た不法移民のルミニツァを演じるのはルーマニア生まれのオリンピア・メリンテ。

有楽町 朝日ホールにて
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by margot2005 | 2012-05-13 23:56 | 映画祭 | Trackback(1) | Comments(2)

イタリア映画祭2012...「気楽な人生」

「La vita facile」…aka「The Easy Life」2011 イタリア

マリオに「家の鍵/2004」「題名のない子守唄/2006」「対角に土星/2007」「セントアンナの奇跡/2008」「天使と悪魔/2009」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。
ルカに「最後のキス/2001」「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「対角に土星」「娘と狼/2007」「錆び/2011」のステファノ・アルコッシ。
ジネヴラにヴィットリア・プッチーニ。
監督はルーチョ・ペッレグリーニ。
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何度も書いているが、イタリアの男ってとんでもなくうるさい人間が多い。とにかく良く喋るのだ。特に南イタリアンがおしゃべりらしい。1月のイタリア旅行でローマからフィレンツェ行きのユーロスターに乗った。通路を隔てた隣に座った男二人がほぼ1時間半喋りっぱなしで(途中携帯の会話もあり)、もううるさくて、うるさくて仕方がなかったのを思い出す(何を話しているのか解らないせいもあるけど...)。イタリアは携帯電話がどこでもOKというのも理解出来ないことの一つ。
本作でもマリオがうるさかったな。実に…。

マリオは親友ルカが人道支援のため一人で働く小さな診療所を助けるという名目でローマからアフリカ、ケニアの僻地へやって来る。マリオはローマの個人病院のエリート外科医。そしてその病院の院長はルカの父親。実際の所マリオはルカの父親の命令で仕方なしにやって来たのだ。ローマでリッチな生活が身に染みた彼はケニアの僻地に馴染めない。そうこうするうち、妻のジネヴラが突然ケニアにやって来る。ジネヴラはマリオと結婚する前ルカとも愛し合っていたのだ。やがて三者三様の思惑が始まる…。

オープニング、高級車を走らせるマリオ。目の前に巨大なコロッセオが姿を現す。この景色を見ただけでマリオがローマの高級住宅地に住んでいることがわかる。家も素晴らしくゴージャス!で…そんな家に住んでる人間がケニアの僻地で、狭い部屋に、まるで簡易ベッドといった様子…耐えられるわけがない!しかし事情があってローマから逃げて来たマリオは頑張るしかないのだ。異なる生活習慣で地元の子供たちとふれあい始める、わがままマリオがだんだん素敵に見えてきて愛おしかった。

生活習慣が違うといえば...一番面白かったのは大汗かいてケニアの大地をジョギングするジネヴラの姿。案の定彼女は倒れてしまって寝込んでしまうのだ。ニューヨーカーがアメリカ西部の大地をジョギングするシーンも過去に観たけど、ジョギングって何処の国でも都会人のものだとしみじみ思う。

ピエルフランチェスコ・ファヴィーノとステファノ・アルコッシのコンビが良い。こんなに賑やかなファヴィーノを観たのは初めてかも知れない。アルバ・ロルヴァケルの映画のレビューにも書いた「30日の不倫/2010」。ファヴィーノが相手役だったが、妻と愛人の間で揺れる哀れな男役は今一つだった。ファヴィーノは華やかで賑やかな男の方が魅力的。
ステファノ・アルコッシはフランスと、イタリア映画祭でしかお目にかかれない俳優だけどお気に入り俳優の一人。

最近のイタリア映画って本当にコメディが少ない。これは今回観た映画の中で唯一のコメディで楽しむことが出来た。

有楽町 朝日ホールにて
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by margot2005 | 2012-05-12 00:19 | 映画祭 | Trackback | Comments(0)

イタリア映画祭2012...「錆び」

「Ruggine」…aka「Rust」2011 イタリア

医師ボルドリーニに「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」「重なりあう時/2009」「ラスト・ターゲット/2010」のフィリッポ・ティーミ。
サンドロに「最後のキス/2001」「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「対角に土星/2007」「娘と狼/2007」のステファノ・アルコッシ。
カルミネに「N-私とナポレオン/ナポレオンの愛人/2006」のヴァレリオ・マスタンドレア。
チンツィアに「昼下がり、ローマの恋/2011」のヴァレリア・ソラリーノ。
監督はダニエーレ・ガッリャノーネ。
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1970年代後半、北イタリアのとある町はずれに建つ集合住宅の子供たちは皆貧困家庭に暮らしている。空き地に捨てられたサイロと鉄の廃材で作られた彼らの”隠れ家”は、彼らの”城”であり、それは赤錆に覆われている。
ある日、その町に優秀な医師が赴任してくる。集合住宅に住む親たちは彼を尊敬のまなざしで見つめるが子供たちは違っていた。やがて悲劇が起こる。幼い少女が無惨に殺されたのだ。そして二人目の犠牲者が出る。心配する親たちは、子供たちに”隠れ家”に行かないよう言い渡すが、彼らは既に”モンスター”の正体を知っていた。

翻訳家のサンドロには幼い息子がいて、家でドラゴン退治ごっこをしている。
元ガキ大将のカルミネは職もなくBarで酒びたりの日々。
チンツィアは美術の新任教師ながら、ミーティングで同僚と激しく対立する。
カルミネとチンツィアは兄妹で、サンドロとチンツィアは30年前幼いながらも互いに恋心を抱いていた。3人の男女の1970年代と、その30年後が交互に描かれストーリーは展開して行く。
ラストの地下鉄のシーンは何か意味ありげでとてもナイスだった。
性倒錯者の医師ボルドリーニを演じるフィリッポ・ティーミが不気味でコワい。最高に適役。

この映画には原作があり、舞台はトリノだそう。しかし本作に映し出される広々とした野原からぬっと姿を現す集合住宅…あの景色はトリノでは望めないそうでローマ郊外の町と、南イタリア、プッリャ州のターランド(イタリア地図/ブーツのかかと部分)で撮影されたそう。

今年もぐずぐずしていてチケットを買ったのは前日、いつものように観に行ける日にちと時間で、配給がついたのは避けて選んだ。「気楽な人生」他どれもこれも私的に今ひとつだった。というのもテーマが暗いのだ。
「七つの慈しみ」にいたってはうんざりするほど暗くって途中で退席しようかとも思ったけどなんとか我慢した。映画を作った二人の兄弟監督(舞台挨拶に登場)には申し訳ないけど“移民”と“介護”じゃ哀し過ぎる。

有楽町 朝日ホールにて
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by margot2005 | 2012-05-11 23:56 | 映画祭 | Trackback | Comments(0)

「ある秘密」

「Un secret」2007 フランス
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タニアに「ロシアン・ドールズ/2005」「モンテーニュ通りのカフェ/2006」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」「シスタースマイル ドミニクの歌/2009」「スフィンクス/2010」「少年と自転車/2011」のセシル・ドゥ・フランス。
マキシムに「美しい妹/2001」のパトリック・ブリュエル。
アンナに「情痴アヴァンチュール/2005「パリ、ジュテーム/2006」「モリエール 恋こそ喜劇/2007」「引き裂かれた女/2007」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2」のリュディヴィーヌ・サニエ。
フランソワに「さすらいの女神(ディーバ)たち/2010」のマチュー・アマルリック。
ルイーズに「恋は足手まとい/2005」「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「暗闇の女たち/2007」のジュリー・ドパルデュー。
7歳と14歳のフランソワに、それぞれヴァランタン・ヴィクールとカンタン・デュビュイ。
監督、脚本は「なまいきシャルロット/1985」「リュミエールの子供たち/1995」のクロード・ミレール。
原作はフィリップ・グランベールの書いた“ある秘密”。
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ドラマは戦後のフランス、パリから始まる。身体を鍛えるのが大好きな父親と、水泳のチャンピオンだった母親の間に生まれたにもかかわらず、7歳の息子フランソワはひ弱な男の子で運動も苦手。一人っ子の彼は家の向かいでマッサージ店を営むルイーズのところへ足しげく通っている。そんなある日、屋根裏部屋で古びたぬいぐるみを見つける。それを知った両親がヒドく動揺するのが気になったフランソワはそのことをルイーズに話して聞かすのだった。
そしてドラマは老年のマキシムとタニアが暮す1985年のパリへ…夫婦の一人息子フランソワも結婚し今では父親。ある日、母親から父親が家を出たきり戻って来ないという連絡が入る。

「刑事ベラミー」もナイスな作品だったが、本作はナイスかつ感動のドラマである。テーマは“ホロコースト”。「黄色い星の子供たち/2010」でもホロコーストが描かれていたが、こちらはそれ以前の作品。

二人の女性アンナとタニアに愛された男マキシムと、彼の二人の息子シモンとフランソワ。
マキシムはアンナとの結婚式で彼女の兄の恋人であるタニアと出会い魅せられてしまう。やがてユダヤ人である彼らは家族ぐるみで交際するようになる。ある日、アンナのバースディ・パーティにプレゼントを持って現れたタニア。アンナはタニアと夫マキシムが見つめ合う姿に呆然とする。マキシムは結婚式以来タニアに魅せられていたのだから…。子持ちなのに浮気男!と少々憤慨するがナチスのユダヤ人迫害により3人の運命は大きく変わって行く。

ユダヤ人ではあるが、それ以上にフランス人としての誇りを持つマキシム。一方でアンナはユダヤ人としての誇りを持っていたように思える。その後ナチスの前で取った彼女の行動に納得がいくのだ。タニアはタニアでモデルという仕事に戻りたい一心で、自身はフランス人でなくてはならなかったのだと思う。
ドラマは自伝的ベストセラー小説が元になっているという。映画はスゴくドラマティックに描かれていて素晴らしい。観る人全てがドラマに引き込まれること間違いない。

本作はヒロイン、セシルの「モンテーニュ通りのカフェ」の次の作品。映画の中でファッション・モデルという設定もあるけどセシルがとても奇麗なのだ。セシルは「少年と自転車」でもう若くはない女性を演じていてobasanっぽかったが、本作ではゴージュアスな雰囲気が漂いとても美しい。セシルがあまりにも魅力的でリュディヴィーヌ・サニエが霞んでしまっている(リュディヴィーヌは地味な役柄で、こんな彼女は初めて観た)。
マチューがセシルの息子役。ごく普通のマチューもまた素敵だ。ラスト近くに老けメイクのセシルが少し映る。

時系列で描かれないドラマはいつも戸惑う。本作も戦中、戦後、80年代と時代が行ったり来たりするが、ドラマが素晴らしいのでその辺は気にならなかった。
「刑事ベラミー」同様なぜに?今まで公開されなかったのか?心に残る素晴らしいドラマでMY BESTに入れたい。

「三重スパイ/2003」
「刑事ベラミー/2009」
<映画の國 名作選V フランス映画未公開傑作選>
渋谷シアター・イメージ・フォーラムにて
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by margot2005 | 2012-05-08 23:03 | フランス | Trackback | Comments(0)

「刑事ベラミー」

「Bellamy」2009 フランス
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刑事ポール・ベラミーに「しあわせの雨傘/2010」のジェラール・ドパルデュー。
フランソワーズに「コーラス/2004」「ルパン/2004」「サン・ジャックへの道/2005」「引き裂かれた女」のマリー・ビュネル。
ジャックに「ロング・エンゲージメント/2004」「幸せはシャンソニア劇場から/2008」のクロヴィス・コルニアック。
ノエル・ジャンティに「マドモアゼル/2001」「美しき運命の傷痕/2005」のジャック・ガンブラン。
ナディアに「シークレット・ディフェンス/WEAPONS/2008」のヴァイナ・ジョカンテ。
監督、脚本は「肉屋/1969」「引き裂かれた女/2007」のクロード・シャブロル。
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本作と「ある秘密」「三重スパイ」の3本を
<映画の國 名作選V フランス映画未公開傑作選>と銘打って渋谷シアター・イメージ・フォーラムで4/21~5週間限定公開中。「三重スパイ/2003」は2008年の9月に日仏交流150周年を記念して催された“フランス映画の秘宝”で既に観ている。

ポール・ベラミーはベテラン刑事で、妻フランソワーズの生まれ故郷でもある南フランスのニームでヴァカンスを過ごしている。ある日、二人の家の庭に見知らぬ男が現れ”人を殺してしまったかも分からない。”とベラミーに助けを求める。しかしジャンティと名乗るその男はベラミーに助けを求めるばかりで詳細を語らない。ヴァカンス中ではあったが、ジャンティに興味を持ったベラミーは捜査を始め、いつしかそれにのめり込んで行く。
そんな折、ポールの異母兄弟ジャックが現れる。彼は前科者で平穏な夫婦の日常に波風が立つようになる。

ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠クロード・シャブロル監督の遺作。「ゲンズブールと女たち/2010」には俳優として出演している。
映画の舞台となったフランス南部、古代ローマ時代からの都市であるニーム。円形闘技場などの観光スポットも登場し、古い都市のたたずまいが、素敵なドラマをより以上素敵にしている。

物語に登場するシーンに夫婦の家が幾度も現れる。その家に暮らす、深い愛情で結ばれたポールとフランソワーズのカップルがとてもエレガントなのだ。突然現れたジャックに振り回されながらも事件解明に奔走するベラミー。ヴァカンスに来たのだから…と夫を責めながらもいつも温かいまなざしで見守る妻のフランソワーズ。
互いを思いやりながら長年暮らすって並大抵のことではない。こんな仲の良い熟年カップルってこの世にいるのか?なんて疑いたくなるくらい洗練されたカップルで実に羨ましい。

実際に起こった保険金殺人事件をベースに描かれたサスペンスは面白い展開であった。ジャンティが起こした事件がベラミーの頭脳によって次々と解き明かされて行く。そしてその狭間にベラミーと異母弟ジャックの葛藤も描かれラストへとつながる。ラストは少々哀しいがフランス映画!というエンディングが良かったと思う。

フランスで大ヒットしたという本作。今や名優の域に達したジェラール・ドパルデュー主演ながら日本初公開とは驚いた。
ベラミー役のジェラール・ドパルデューと妻フランソワーズ役のマリー・ビュネルはナイス・カップルを好演している。
ジャック・ガンブランも良かったな。

渋谷シアター・イメージ・フォーラム
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by margot2005 | 2012-05-06 23:45 | フランス | Trackback | Comments(0)