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「オレンジと太陽」

「Oranges and Sunshine」 2010 UK/オーストラリア

マーガレット・ハンフリーズに「ミス・ポター/2006」「戦火の馬/2011」のエミリー・ワトソン。
ジャックに「ウルフマン/2010」のヒューゴ・ウィーヴィング。
レンに「300<スリーハンドレッド>/2007」「オーストラリア/2008」のデヴィッド・ウェナム。
監督はジム・ローチ。
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ケン・ローチの息子ジム・ローチの初監督作品。
1986年、英国ノッティンガム。ソーシャルワーカーのマーガレットはある夜見知らぬ女性から“Who am I?/私は誰?”か調べて欲しいと訴えられる。シャーロットと名乗るその女性は幼い頃にノッティンガムの施設にいたが、数百人の子供たちと共に船に乗せられ“太陽とオレンジ”の国オーストラリアに送られたという。子供だけで海を渡ったなんて信じられないマーガレットはシャーロットを追い払おうとする。しかし執拗なまでにマーガレットに訴えるシャーロット。そして別の日に一人の女性から興味深い話を聞くことになる。とうとう調査を決心したマーガレットはオーストラリアへ向かう。

全くもってよその国のよそ事ながら運命に翻弄された子供たちが哀れでならなかった。
ジャックやレンが過ごしたオーストラリアでの少年時代は想像に絶する辛さがあったに違いない。始めはマーガレットを信頼せず、心を開かなかったレン。真実が明らかになっていく過程でレンが心を閉ざしていた理由が分かりぞっとした。
英国政府が行った“児童移民”。強制的に移民させられた子供たちは“太陽とオレンジ”の国で虐待を受けていた。
少年たちは教会の神父たちの慰みものにもなっていたという事実に驚く。親は死んだと告げられオーストラリアに送られた子供もいて、シャーロットのような子供は数千人にも上ったとか。
マーガレットとその夫は今でも“児童移民”の調査をし続けているとエンドクレジットに記されていた。

エミリー・ワトソンは「軌跡の海/1996」から始まり「ほんとうのジャックリーヌ・デュプレ/1998」「アンジェラの灰/1999」「愛のエチュード/2000」と狂気に満ちたヒロイン役が印象に残る。「ウオーター・ホース/2007」で心優しい母親を演じたエミリーを観てのけぞりそうになったが…先だって観た「戦火の馬」の彼女はしっかりものの田舎の妻/母そのものだった。
あまり印象が残らない平凡な顔立ちのエミリー・ワトソンの強烈な演技に一時期圧倒されたものだがそれは過去の話。今後もきっと母親役が多いことだろう。

神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2012-04-29 23:55 | UK | Trackback(5) | Comments(2)

「別離」

Jodaeiye Nader az Simin…akaA Separation 2011 イラン

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ナデルにペイマン・モアディ。

シミンにレイラ・ハタミ。

ホジャットにシャハブ・ホセイニ。

ラジエーにサレー・バヤト。

テルメーにサリナ・ファルファディ。

判事にババク・カリミ。

教師ギャーライにメリッラ・ザレイ。

監督、製作、脚本に「彼女が消えた浜辺/2009」のアスガー・ファルハディ。


シャハブ・ホセイニ、ペイマン・モアディとメリッラ・ザレイは「彼女が消えた浜辺」に出演している。

この映画の予告も繰り返し観た。

アルツハイマー病の父親を抱えるナデルは海外移住を希望する妻シミンの意見に大反対する。シミンは娘テルメーの将来を考え下した結論なのに夫に反対され家を出てしまう。

テルメーは両親の意見の食い違いに戸惑い、別居した彼らのどちらと暮らせば良いのか思い悩む。


一方でホジャットは仕事が上手く行かずいつも荒れている。妻のラジエーは生活のためアルツハイマー患者の家政婦になる。ある時アルツハイマー病の男が粗相をしたのでバスルームに連れて行き身体を洗うように促すが、男は自分ですることができない。イスラム教の熱心な信者であるテルメーは夫のホジャット以外の裸の男を見ることは罪と感じている。たとえ相手が病気の人間であっても


ナデルはシミンが家を出たためラジエーを家政婦として雇っていた。彼女は熱心なイスラム教徒で妊娠していた。ある時、ラジエーが父親に取った行動に腹を立てたナデルはラジエーを突き飛ばしてしまう。そしてナデルはラジエーが入院した知らせをシミンから聞き病院へと向かう。そこで知らされたのはラジエーの流産だった。


そして争いが始まる。判事が登場ホジャットに嘘をついて家政婦になったラジエー。ラジエーが妊娠しているとは知らなかったと主張するナデル。この辺りから嘘が飛び交い終始がつかなくなって行く。まるで薮の中だ。

激怒する夫ホジャットに嘘をつくしかなかったラジエーと、娘テルメーの為に嘘をつき続けるナデル。そしてテルメーも又父親を守るため嘘をつくのだった。

社会の底辺で生きるホジャットとラジエー夫婦は、中産階級に属するナデルとシミン夫婦に嫉妬していたに違いない。ナデルは銀行員で、シミンの実家はリッチなのだから。


ナデルは息子すらも分からないアルツハイマー病の父親が情けなくて仕方がない。シミンは娘のために海外移住を計画するも夫の反対に合い行動を起こすことができない。

二組の夫婦は皆葛藤を抱えている。でも気の毒なのは子供たちだ。


予告編の最後にその結末に世界が心を震わせた。とあるがそれほどでもなかったかな?シミンはかなり自己中で夫と娘が可哀想に思えた。

ラスト両親のどちらと暮すか選ぶことになったテルメー彼女の結論はドラマの中では明かされず観客に委ねられる。両親のどちらかを選ぶなんて究極の選択以外の何ものでもない。さてテルメーはどちらを選んだのだろう?


渋谷 Bunkamura ル・シネマにて



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by margot2005 | 2012-04-26 23:20 | アジア | Trackback | Comments(0)

「少年と自転車」

「Le gamin au vélo」…aka「The Kid with a Bike」 2011 フランス/ベルギー/イタリア
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サマンサに「ロシアン・ドールズ/2005」「モンテーニュ通りのカフェ/2006」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」「シスタースマイル ドミニクの歌/2009」「スフィンクス/2010」のセシル・ドゥ・フランス。
シリルにトマス・ドレ。
シリルの父親に「ある子供/2005」「ロルナの祈り/2008」「夏時間の庭/2008」「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語/2009」「しあわせの雨傘/2010」のジェレミー・レニエ。
監督、脚本、製作は「息子のまなざし/2002、ロゼッタ/1999」「ある子供」「ロルナの祈り」のジャン・ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌ。
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児童養護施設に預けられたシリルはもうすぐ12歳になる。育児放棄した父親はシリルを捨てたのだ。しかしそれを受け入れられない彼は父親を探し回る。児童養護施設を抜け出し父親の家を訪ねるが、既に彼は引っ越していて隣人に追い払われてしまう。哀しみに打ちひしがれ荒れるシリル。そんなシリルがサマンサと出会う。“週末だけ里親になって!”とサマンサに頼むシリル。そしてサマンサはそれを受け入れるのだった。

映画のタイトルとなった“自転車”はシリルが父親から与えられたもの。彼はそれをとても大事にしている。サマンサと出会ったのも自転車が縁だった。
ダルデンヌ兄弟の映画で描かれるのは基本的に貧困家庭の人々。どれもこれも暗くて辛い物語ばかり。でも今まで観た中ではダントツで暗さや、辛さが少なめだった気がする。未来も見えたし…。
「ある子供」と「ロルナの祈り」で破滅していく若い男を演じたジェレミー・レニエは「夏時間の庭」でとても爽やかな青年を演じ、彼につきまとう貧困や辛さの中で生きる弱い男というイメージがすっ飛んだが、ダルデンヌ映画ではまたしても元の父親役に舞い戻り、それが又似合っている。

ある日、サマンサは恋人とシリルを選ぶハメになった時迷うことなくシリルを選ぶ。実の父親に見放された少年を恋人と量りにかけて選んだサマンサの気持ちは一瞬理解出来なかったが、少年とサマンサの間に何か通じるものがあったに違いない。そもそも“週末だけ里親になって!”と頼んだのはシリルの方だったが、サマンサはサマンサで恋人には満たされない何かがきっとあっだことだろう。
もう決して若くないサマンサと、親に捨てられた少年シリル。近所の友人とバーベキュー・パーティを予定する二人の姿に未来が見えて安心した。

渋谷 Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2012-04-24 22:19 | フランス | Trackback(7) | Comments(0)

「アーティスト」

「The Artist」 2011 フランス/ベルギー
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ジョージ・ヴァレンティンにジャン・デュジャルダン。
ペピー・ミラーにベレニス・ベジョ。
アル・ジマーに「お買いもの中毒な私!/2009」のジョン・グッドマン。
クリフトンに「クィーン/2006」「ブッシュ/2008」のジェームズ・クロムウェル。
ドリスに「カリートへの道/1993」のペネロープ・アン・ミラー。
監督、脚本、編集にミシェル・アザナヴィシウス。
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映画の舞台は1927年のハリウッドから始まる。ジョージはサイレントの人気俳優。サイレント映画なので台詞の声は出ない。時折解説の字幕が出る。映画から聞こえて来るのは音楽のみ。しかし時代と共にサイレントから台詞のあるトーキーに変えようとしているプロデューサー、アル・ジマー。そんな折現れたチャーミングな新人ペピー・ミラー。ペピーを発掘したのは他でもないジョージだった。落ち目のジョージと飛ぶ鳥落とす勢いのペピー。ペピーは成功への階段を上がって行くが、ジョージは一人取り残されてしまう。強い信念(自身は芸術家)があったのかも知れないがジョージって人はホント頑固な男だ。でもラスト、ジョージに手を差しのべたのはペピー。ペピーは初めて会って以来ずっとジョージを愛していたに違いない。とても素敵なサイレント版LOVE STORYは素晴らしかった。

予告も何度も観たし、ミニシアターのシネスイッチ銀座で上映されることも知っていた。しかしながらオスカーをゲットした途端シネコン上映が決定。で、ワーナー・マイカルで水曜割引に観たわけだが、あまりの観客の少なさにオスカー・ゲット映画とはいえ、シネコンではやめておいた方がよかったのじゃないと言いたかった。
白黒で、なおかつサイレントという描き方が万人に受けなかったのではないかと想像するが、わたし的には大好きな映画の一つとなり、今年度のMY BESTに入れたい。

オスカー主演男優賞に輝いたジャン・デュジャルダンは文句なしに素晴らしい!彼はコメディ出身らしいが、ダンスも上手いのだ。ペピーとのダンス・シーンはフレッド・アステア&ジンジャー・ロジャース、コンビを彷彿させトレヴィアン!だった。
ラスト、ジョージが発する言葉はたった一言“With Pleasure”だけ。ジャン・デュジャルダンの台詞が聞けるフランス映画が観たいな。

いつもどおり全く前知識なしで映画を観たので、ジェームズ・クロムウェルとジョン・グッドマン、そしてペネロープ・アン・ミラーの出演に驚くと共に大満足。ジョージの執事兼“Chauffeur/お抱え運転手”クリフトン役のジェームズ・クロムウェルはこの作品になくてはならない存在。プロデューサー、アル・ジマーを演じたジョン・グッドマンも同様。
ペネロープ・アン・ミラーがお年で驚いたが、彼女の映画はアレック・ボールドウインの「シャドー/1994」以来なので…年月は物語るわけだ。

ワーナー・マイカル・シネマズ板橋にて
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by margot2005 | 2012-04-21 22:26 | フランス | Trackback(16) | Comments(4)

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

「The Iron Lady」2011 UK/フランス
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マーガレット・サッチャーに「プラダを着た悪魔/2006」「いつか眠りにつく前に/2007」「大いなる陰謀/2007」「ダウト ~あるカトリック学校で~/2008」「ジュリー&ジュリア/2009」「恋するベーカリー/2009」のメリル・ストリープ。
デニス・サッチャーに「ヴィクトリア女王 世紀の愛/2009」「家族の庭/2010」のジム・ブロードベント。
キャロル・サッチャーに「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!/2007」のオリヴィア・コールマン。
若き日のデニスにハリー・ロイド。
若き日のマーガレットにアレキサンドラ・ローチ。
監督は「マンマ・ミーア!/2008」のフィリダ・ロイド。
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メリル・ストリープがオスカーをゲットした際“Her Again?/また彼女なの?”と、皮肉をこめてスピーチした。これは世界中の人々がメリルに向かって言うであろうイヤミ言葉を本人が自身に向けて言ったわけ。数億人が観ているTVでの痛快な発言。スゴい女性だ。
ハリウッドに君臨しているイメージでトム・クルーズ同様メリル・ストリープは好きじゃないが、二人ともホントは善い人なのかも知れないな。

86歳の老婆姿もハマっていた。顔はメイクでなんとかなるが、歩き方や仕草が本当に老婆のように見えて上手いのだ。さすがのオスカー女優。
オープニング、こっそり家を抜け出したマーガレットがスーパーで牛乳を買っている。正確にいくら(40〜50ペンス位/日本人の感覚だとかなり安いが…)だったか忘れたが…”牛乳も高くなったものね。”なんて言うのだ。彼女の父親は食料雑貨商を営んでいたから牛乳の値段には詳しかったに違いない。あのオープニングはかなりイケてた。

数年前のニュースで、家族がマーガレット・サッチャーの認知症を発表したのは知っていた。ドラマは認知症になった元英国首相が過去を回想する形で進行して行く。映画の中にマーガレットにつきまとって亡霊のように離れないデニスがいる。しかし観客はすぐにそれがマーガレットの妄想であることが分かる。この夫婦はとても仲が良かったのではないだろうか。結婚後“食器を洗って一生を終えるつもりはない。”と言う妻をサポートした夫は極めて寛容な人だったに違いない。

初当選した国会議事堂のシーン…通路に列を作る人々は男、男、男ばかり。その後、英国首相となったサッチャーはアルゼンチンとの間に起きたフォークランド紛争で強靭な姿勢を見せ、アルゼンチン軍を撃退しフォークランドを奪還する。かつて議員から“戦争の経験もないのに…”と言われ”戦わない日など一度もなかったわ。”と宣ったサッチャーだけあって行動力は抜群だったようだ。紛争により命を落とした数百人の英国兵士。サッチャーは自らも母親であることから兵士の母親たちにお悔やみの手紙を書く。これは男には決して出来ないこと。英国首相から届いたお悔やみの手紙は、息子を失った母親たちの心を慰めたに違いない。
そしてとうとうカリスマ政治家となったサッチャーは、側近に向かって“Cowardice!Cowardice!Cowardice!”と狂ったようになじり、会議の最中に彼らに対してイジメにも似た言動を取るようになる。やがて側近の言葉に全く耳をかさなくなってしまった彼女は周囲から見放されていく。

英国だけあって貴族の末裔なんかがいっぱいいそうな男ばっかりの閣僚。サッチャーに侮蔑をこめて“Grocery's Daughter!”なんて発言があった。全体的に女性監督が作った映画という印象。サッチャーの成りきりぶりがスゴい!メリル・ストリープ!この役は彼女以外には考えられない。
ポスターに掲げられた文字“NEVER COMPROMISE”...やはり彼女は決して妥協しないIRON LADYなのだ。

TOHOシネマズ日劇にて(4/15まで上映)
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by margot2005 | 2012-04-13 01:09 | UK | Trackback(11) | Comments(0)

「ルート・アイリッシュ」

「Route Irish」2010 UK/フランス/イタリア/ベルギー
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監督は「エリックを探して/2009」のケン・ローチ。
ファーガスにマーク・ウォーマック。
レイチェルにアンドレア・ロウ。
フランキーにジョン・ビショップ。
ハリムにタリブ・ラスール。
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ケン・ローチ映画は大好きで「明日へのチケット/2005」以来公開されたものはシアターに観に行っている。前作「エリックを探して」は最高のファンタジー・コメディ・ドラマであったが、こちらは打って変わってシリアスなサスペンス・ドラマ。
ひたすらフランキーの死の真相を追求し、明らかになった後ファーガスが取る行動は復讐にも思えるほど非合法で過激だ。エンディングのファーガスの姿に、オープニング、フェリーに乗る少年時代の姿が蘇る。

2007年のある日、リヴァプールの教会でフランキーの葬儀が執り行われた。フランキーの美しい妻レイチェルはファーガスを見つけ“なぜこんなことになったの?”と責め立て怒り狂う。
イラクで命を落としたフランキーは国から派遣された兵士ではなく、戦争をビジネスにする企業に雇われたコントラクター(民間兵)だった。“ひと月で1万£(非課税)稼げる!”とフランキーを誘ったのは他でもない親友のファーガスだったのだ。
親友を亡くし、おまけにその妻レイチェルに“あなたのせいよ!”と責められいたたまれなくなったファーガスは、フランキーの死の真相を突き止めようと立ち上がる。

フランキーを雇った企業は、彼の死に対し、“Wrong Place Wrong Time/マズい時にマズい場所へ”行き車が炎上し、死に至らしめたと説明する。そこは“ルート・アイリッシュ”と呼ばれる世界で最も危険な道路だった。全くもって納得の行かない説明をする企業に対しキレてしまったファーガスは、知人のマリソルから受け取ったフランキーの手紙と携帯電話に残された情報を調べ始める。ファーガスはイラク出身のミュージシャン、ハリムに情報の翻訳を依頼するが、携帯の動画に残された映像は罪のない二人の少年の銃殺場面だった。その後フランキーの死の謎が次々と暴かれて行く。最初はファーガスを恨んでいたレイチェルもフランキーの死の真実を探る熱心さに心揺さぶられ、二人は惹かれ合うようになる。

戦場で精神に異常をきたしかけたフランキーはファーガスに電話で何度も、何度も助けを求めているが、ファーガスはそれに答えることが出来なかった。イラクから生きて戻って来たファーガスも、死体となって戻って来たフランキーも心に大きな葛藤を抱えていたのだ。

ひと月で1万£稼げるってスゴい!現在の為替レートだと1£=130¥弱。2007年だと130¥以上した可能性が高い。ひと月で130万¥稼ぐには、一般人にとって何か悪いことでもしない限り無理かと思える。しかし破格の報酬をもらっても死んでしまっては元も子もない。ファーガスに誘われたフランキーは最初“レイチェルが許してくれない!”と言っていたが、金に目が眩んでしまったわけだ。そしてそんな彼らを狙う軍事企業はタチが悪過ぎる。

スゴく衝撃的なドラマで、エンド・クレジットが終わっても明るくなるまでドラマから抜けだすことが出来なかった。
それにしてもdirty4文字言葉炸裂でスゴい。労働者階級のUK人て皆あの口調なのか?少々疑問?
出演者は無名の俳優ばかり。「靴に恋して/2002」のナイワ・ニムリがマリソル役で出演している。
水曜割引に観に行ったら、最終回はほぼ満席だった。ケン・ローチ、ファン多し!

銀座テアトルシネマにて
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by margot2005 | 2012-04-08 23:55 | UK | Trackback(6) | Comments(2)

「戦火の馬」

「War Horse」 2011 USA

アルバートにジェレミー・アーヴァイン。
母親ローズに「奇跡の海/1996」「ミス・ポター/2006」のエミリー・ワトソン。
父親テッドに「トレインスポッティング/1996」「BOY A/2007」のピーター・ミュラン。
大地主ライオンズに「ニュー・ワールド/2005」「縞模様のパジャマの少年/2008」「ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-/2010」のデヴィッド・シューリス。
ドイツ兵ギュンターに「愛を読むひと/2008」「クラバート - 謎の黒魔術/2008」のデヴィッド・クロス。
エミリーの祖父に「潜水服は蝶の夢を見る/2007」「フェアウェル/哀しみのスパイ/2009」「サラの鍵/2010」のニエル・アレストリュプ。
エミリーにセリーヌ・バッケンズ。
ニコルズ大尉にトム・ヒドルストン。
スチュアート少佐に「つぐない/2007」「ブーリン家の姉妹/2008」ベネディクト・カンバーバッチ。
監督、製作は「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国/2008」のスティーヴン・スピルバーグ。
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スピルバーグだし、ディズニーだし…で、ひょっとしてお子様映画?と想像していて観るのはやめるか...なんて思っていたらベースは第一次世界大戦だと分かった。
UKでロケされて、出演人もほぼヨーロッパ人で、お気に入りのUK女優エミリー・ワトソンも出ているしで、これは観なきゃで観に行った。久々に映画を観て感動を覚えた一作。
ジョーイと名付けられた馬にオスカー主演男優賞(彼は牡馬)をゲットしていただきたかった。素晴らしい演技だったもの。でもジョーイ役の馬はきっと多頭いたかと思う。ロケーションされた景色も素晴らしく美しかった!Englandの田舎って本当にBeautiful!
馬が登場する映画のエンド・クレジットには必ず“Horse Master/調馬師”なる人々の名前が連なる。こちらは馬が主人公の映画だから“Horse Master”の数も半端じゃなかった。

ある日、貧しい農民のテッドは競り場でとても美しいサラブレッドを見つける。サラブレッドは競争馬で農耕には適さないが、テッドは彼に一目惚れし競り落としてしまう。家に連れ帰ると案の定妻のローズに“サラブレッドに畑を耕すことは出来ないわ。どうして地代を支払うの!”と責められる。途方に暮れるテッド。しかしテッドの息子アルバートが“調教し農耕馬にする!”と宣言する。美しい馬はジョーイと命名されアルバートは必死の思いで訓練に明け暮れる。
アルバートとジョーイのふれあいがとても素敵だ。農耕馬に成長したスクリーンの中のジョーイが誇らしかったし、アルバートとジョーイが育む友情が素晴らしかった。しかし戦争によりアルバートとジョーイの運命は大きく変わってしまう。英国軍に戦争馬として売られて行くジョーイ。ジョーイと引き離されるアルバートが可哀想で泣けそうだった。アルバートを不憫に思った英国軍のニコルズ大尉は戦場からアルバートに手紙を書くと約束する。結局戦争で命を落とすがニコルズ大尉という人物はスゴく善い人だったな。
アルバートがジョーイを見つけるためフランスの最前線に志願するあたりからかなりドラマティックになって行く(それ以前より以上に…)。ラストは感動してしまって涙が出そうだった。

戦場でジョーイと出会う黒い牝馬は後にドイツ兵にプリンセスと呼ばれるようになる。プリンセスの方がジョーイより身体は大きいが、牝馬のせいなのか?プリンセスはどんどん弱って行って倒れてしまうのだ。大好きなプリンセスを気遣うジョーイの姿がとてもリアルで驚く。
馬という動物は人間を助けるべく創造されたのではないだろうか?馬は車の代わりになるのだ。戦場でも農村の畑でも…。
第一次世界大戦(1914~1918)下、馬が重要なる役目を果たしていた事実に納得。英国軍はほぼ馬が足状態だが、ドイツ軍は既にバイクに乗っていた。さすが車発祥国ドイツ。

主人公の馬ジョーイが素晴らしかったが、アルバート役のジェレミー・アーヴァインも良かったな。彼はまだ若い俳優で今回初めてお目にかかった。
ドイツ兵役でデヴィッド・クロスが出演しているのに驚かされたし、いつも個性が光るデヴィッド・シューリスも良いなぁ。
エミリーの祖父役のニエル・アレストリュプはグレン・クローズがオペラ歌手を演じた「ミーティング・ヴィ−ナス/1991」で、彼女と恋に落ちる指揮者役。20年の歳月で人ってこうも変わるのかと驚く。少々おじいさん過ぎるな彼は...。
1910年代にフランス人も、ドイツ人も流暢な英語を話すということには少々違和感ありだが、映画だから許してしまった。

エミリー・ワトソンの次回公開映画は4/14に岩波ホールで上映予定の「オレンジと太陽/2010」。

丸の内ピカデリーにて
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by margot2005 | 2012-04-05 23:24 | USA | Trackback(10) | Comments(2)

「顔のないスパイ」

「The Double」 2011USA

ポール・シェファーソンに「アメリア 永遠の翼/2009」のリチャード・ギア。
ベン・ギアリーに「バレンタインデー/2010」のトファー・グレイス。
CIA長官ハ イランドに「ディパーテッド/2006」「ボーダータウン/報道されない殺人者/2006」のマーティン・シーン。
ベンの妻ナタリーにオデット・アナブル。
監督、脚本は「ウォンテッド/2008」の脚本家マイケル・ブラント。
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邦題は意味深で“顔のないスパイ”。主演はリチャード・ギアだが、とても地味なスパイ映画で、ストーリーも、盛り上がりも今ひとつ。原タイトルの“The Double”に深い意味がこめられている。
オープニング・シーンで少年野球を見物していたポールに一人の女性が声をかける”今何時かしら?”と…ポールは時計をしていたような気がしたが、腕にはめられた時計は彼にとっては別の使い道があったということが判明する。そう、あっという間にカシウスの正体が明かされてしまうのだ。あの展開はいただけなかったよな。あれからテンション下がった感じ。ベンの正体は最後まで明かされなかったがなんとなく、なんとなくで…。

ある日、ワシントンD.C.で一人の上院議員が殺される。殺しはソ連の伝説のスパイ、カシウスの手口であった。そこでCIA長官のハイランドは、かつてカシウスを追跡し、実績をあげていたポールに、大学でカシウスを研究したベンを紹介する。そしてコンビを組み事件解明に全力をあげるよう宣告する。

しかし、観ている者にとっては、ポール=カシウスというとんでもない真実が明かされ、過去にはポールにも美しい妻と子供がいたという件…ポールはベンに自分と同じ不幸が起きないよう夫を説得するようナタリーに近づく。きっとスパイの妻って、機密事項とかなんとかはぐらかされて、夫からは何も明かされないはず。ましてや夫が“Double”だなんて絶対に知らないだろうし…とかなりネタバレしてしまったけど…上にも書いたようにこのサスペンスはマジでいただけなかった。

リチャード・ギアは今年62歳。この方は「ミスター・グッドバーを探して/1977」や「アメリカン・ジゴロ/1980」「愛と青春の旅立ち/1982」「ブレスレス/1983」etc.の2,30代より、40代に入った「プリティ・ウーマン/1990」辺りからの方が断然素敵なのだ。
今回少々お年を感じたが、まだまだ魅力的である。70代でもsexyで素敵だったショーン・コネリー(2006年に引退宣言)のような俳優になっていただきたいものだ。

新宿バルト9にて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2012-04-02 22:55 | USA | Trackback(6) | Comments(0)

「ヤング≒アダルト」

「Young Adult」 2011USA

メイビスに「告発のとき/2007」「あの日、欲望の大地で/2008」「ザ・ロード/2009」のシャーリーズ・セロン。
マットに「レミーのおいしいレストラン/2007」のパットン・オズワルド。
バディに「リトル・チルドレン/2006」「いつか眠りにつく前に/2007」「パッセンジャーズ/2008」「ウォッチメン/2009」のパトリック・ウイルソン。
ベスに「幸せのポートレート/2005」「ニュームーン/トワイライト・サーガ/2009」のエリザベス・リーサー。
監督、製作は「サンキュー・スモーキング/2006」「JUNO/ジュノ/2007」「マイレージ、マイライフ/2009」のジェイソン・ライトマン。
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メイビスは少女向け小説“ヤングアダルト”のゴーストライター。本のネタを考える際、ショップで洋服を選んでいる時も、レストランで食事をしている時も周辺から聞こえて来る若い女の子の話に耳を傾けている。そして家に帰りPCにそれらを取り込むのだ。かなりのグッドアイデアかと感心する。少女向け小説を書くメイビスの頭はきっと少女趣味なのだろうと想像する。しかし現実はアラフォーの妖艶なる美女。このギャップがかなり笑える。そういった意味でシャーリーズ・セロンはナイス・キャスティングだ。好みの色がピンクで、愛犬はポメラニアンとくれば、少女趣味以外の何ものでもない。

離婚の後酒浸りになったメイビスは元夫に未練があったのだろうか?その辺も良く分からないけど…両親の家にはメイビスと元夫の結婚式の写真が今だ飾られている。メイビスの母は“彼は良い人だった…”なんて言ったりして今だ娘の夫が忘れられない様子。“あんな良い人となんで別れたの?”と言われているみたいで娘はツライに違いない。

昔懐かしさで故郷に戻ったメイビスは、周りに全く溶け込めてないで浮きまくっている。メイビスって空気が読めない女性なのだろうか?空気を読めない人ってハタ迷惑で困る。本人は全く分かっていないからなおさらだ。
妻子を全力でを愛する元恋人のバディを誘惑し、再び恋人にしたいなんて考えるメイビスの頭は“ヤングアダルト”そのもので実に滑稽だった。
メイビスと対照的な良き妻、良き母親のベスは万人から愛されるだろうが、個人的にはベスのような女性は好きじゃない。空気が読めない点は困るが、メイビスの方が可愛いげがある。

バディに全く相手にされない上、ベスに同情されてキレてしまったメイビスが、落ちこぼれのマットに慰みを求めるシーン...マットのアンダーシャツの匂いをかぐなんて、屈辱って言葉をこの女性は知らないのか?哀れ過ぎて、可笑しくて最高だった。

酒浸りで、メイクも落とさずに毎晩ベッドに突っ伏すことは美容に悪いことこの上ない。でもメイビスを演じるシャーリーズ・セロンはいつも驚くばかりに奇麗なのだ。ヴェルサイユ宮殿で撮影された“dior j’adore”のシャーリーズがフラッシュバックする。
「ディボロス/悪魔の扉/1997」で初めて観たシャーリーズ・セロンは魅力的な女優だと切に感じたが、私的にだんだんイヤな女優になっていく。で、この映画ではイヤな女がぴったりハマり素晴らしかった。
バディ役のパトリック・ウイルソンもどうも苦手な俳優。我ながらなぜこの映画を観てしまったのか?それは日比谷で上映していたから…シャンテにはなぜか足が向いてしまう。

アーロン・エッカートの「サンキュー・スモーキング」とジョージ・クルーニーの「マイレージ、マイライフ」はとても興味を惹かれた作品だったが、ジェイソン・ライトマンの作る映画は好きか、キライ(「JUNO/ジュノ」は中々良く出来た映画だったが好きではない...)か激しく別れてしまう。

TOHOシネマズシャンテにて(4/13まで上映)
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by margot2005 | 2012-04-01 23:01 | MINI THEATER | Trackback(11) | Comments(0)