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「ミラル」

「Miral」 2010 フランス/イスラエル/イタリア/インド
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ヒンドゥ・フセイニに「シリアの花嫁/2004」「ミュンヘン/2005」「マリア/2006」「画家と庭師とカンパーニュ/2007」「扉をたたく人/2007」「リミッツ・オブ・コントロール/2009」のヒアム・アッバス。
ミラルに「スラムドッグ$ミリオネア/2008」のフリーダ・ピント。
ジャマールに「シリアナ/2005」「マリア/2006」のアレクサンダー・シディク。
ハーニに「ミュンヘン」のオマー・マトワリー。
ナディアに「キャラメル/2007」のヤスミン・アル・マスリー。
ファーティマにルバ・ブラル。
エディに「インサイド・マン/2006」「パリ、ジュテーム/2006」「フェアウェル/哀しみのスパイ/2009」「アンチクライスト/2009」のウイレム・デフォー。
ベルタに「上海の伯爵夫人/2005」「いつか眠りにつく前に/2007」「つぐない/2007」「ジュリエットからの手紙/2010」のヴァネッサ・レッドグレーヴ。
監督は「潜水服は蝶の夢を見る/2007」のジュリアン・シュナーベル。
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“パレスチナ問題”を描いてはいるが、軸はイスラエルに生きるヒンドゥ、ミラル、ナディア、ファーティマのパレスチナ人女性4人。これは人間ドラマであり、実話である。1994年に亡くなったヒンドゥの葬儀から始まり、その後は回想の形で進行する。

1948年、イスラエル建国宣言の1ヶ月前のエルサレムの路上にはユダヤ民兵組織により親を殺され、孤児となった55人の子供たちがいた。ヒンドゥ・フセイニは泣き叫ぶ彼らを保護し、自らの資産を投じて孤児を収容する施設を創設する。その学校はダール・エッティフル(子供の家)と命名される。
義父に犯され耐えきれなくなったナディアは家を飛び出す。そして小さな事件を起こした彼女は刑務所に収監され、そこで元看護士だったファーティマと出会う。後にナディアは彼女の兄ジャマールと結婚する。ナディアにはミラルという一人娘がいたが、心身共に絶望した彼女は入水自殺する。
母を亡くし、7歳になったミラルは父ジャマールに伴われ“ダール・エッティフル”の門をくぐる。そしてヒンドゥは彼女を優しく迎え入れる。やがて17歳に成長したミラルが子供たちに勉強を教えるため難民キャンプへと向かう。そこで彼女が目にしたこと…住民たちの家を破壊しにやって来たイスラエル軍。しかし住民たちは何もせずただ耐えているだけ。ヒンドゥに訴えても返って来る答えは同じ“耐えなさい。”だった。やがて若き活動家ハーニと出会い、彼が掲げる理想に共感したミラルはイスラエルに敵対心を抱くようになる。そしてそれは恩師ヒンドゥや父ジャマールの願いを裏切ることだった。

過酷な運命に翻弄されながらも強く生きたミラルは後に世界的なジャーナリストとなる。この女性の意志の強さ、逞しさは尊敬に値する。

イスラエル、ナザレ生まれのInternational女優ヒアム・アッバスにはうってつけの役柄。ミラルを演じたフリーダ・ピントに関しては「スラムドッグ$ミリオネア」のイメージが抜けなくて…特にラストのダンス・シーンとか…なのでアラブ人役は少々違和感あった。
チラシに“ラストシーンは、観る者の心を揺さぶってやまない。”と記されているが、観終わって“パレスチナ問題”についてもうちょっと知識があれば良かったなと痛切に感じたことと、ポール・ニューマン主演の名作「栄光への脱出/1960」を思い出した。

お気に入りの個性派俳優ウイレム・デフォーは、ヴァネッサ・レッドグレーヴ演じるベルタの甥エディ役。ヒンドゥにほのかな想いを寄せる軍人役で、数シーンにしか登場しないが、相変わらずこの方存在感あり。

渋谷 ユーロスペースにて
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by margot2005 | 2011-08-28 23:25 | フランス | Trackback(3) | Comments(0)

「この愛のために撃て」

「À bout portant」…aka「Point Blank」2010 フランス
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サミュエルに「世界でいちばん不運で幸せな私/2003」「ナルコ/2004」「輝ける女たち/2006」「PARIS パリ/2008」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」「アデル/ファラオと復活の秘薬/2010」のジル・ルルーシュ。
ナディアに「アラトリステ/2006」「美しすぎる母/2007」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2」のエレナ・アナヤ。
サルテに「あるいは裏切りという名の犬/2004」「約束の旅路/2005」「ゴー・ファースト 潜入捜査官/2008」のロシュディ・ゼム。
ヴェルネールに「輝ける女たち」「シークレット・ディフェンス(WEAPONS)/2007」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2」のジェラール・ランヴァン。
監督、脚本は「すべて彼女のために/2008」のフレッド・カヴァイエ。
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パリ市内の病院で働く看護助手サミュエルは愛する妻ナディアと幸せな日々を送っていた。彼女は出産間近で、生まれるまで出来うる限り安静に過ごすようドクターから宣言される。しかしある日、帰宅したサミュエルは何者かに突然襲われ、ナディアが誘拐された事に気づく。やがて誘拐犯から、3時間以内に一人の入院患者を病院から連れ出せ!との指令が入る。その患者とは、昨晩起きた事件で交通事故に合い重体で運び込まれた容疑者サルテその人だった...

こちらはフランス映画祭2011で上映された。今年は上映作品に配給付きが多いのと、開催日が短いためフランス映画祭はパスした。映画祭、年々開催日時が短くなって行って寂しい限り。

本編上映前、ポール・ハギスによる「すべて彼女のために」のハリウッド・リメイク「スリーディズ」の予告がかかった。ラッセル・クロウ主演のハリウッド版はかなり派手な展開になる様子だ。都内では9/23公開予定。ラッセル好きだしきっと観に行くだろうな。

主演はおなじみのフランス人俳優ジル・ルルーシュ。「アデル/ファラオと復活の秘薬」での笑える警部役を思い出し、今回は全編シリアスな顔で頑張ってるなぁと関心。まぁ大事な、大事な身重の妻を助けるのだから、笑っちゃいられないけど…。
フレッド・カヴァイエは二匹目のドジョウを狙った様子。しかしながら「すべて彼女のために」には及ばなかったし、同じような展開に新鮮みは感じられず、期待しないで観に行って良かった(期待していたら気落ちしていたかも…?)。

“生まれるまで安静にしていなさい。”とドクターに宣言された身重の妻。そんな彼女が誘拐されてしまう。ノーマルな身体でも愛する妻が誘拐されれば夫はかなり焦るに違いない。しかも尋常じゃない身体の妻が誘拐され焦りまくる。こんな事って現実にはほぼあり得ないので、なんとも分からないが、こんな時の人間の気持って計り知れないくらい悲壮なんだろうな?
とにかく愛する妻を取り戻すため全力で“悪”に立ち向かって行く夫サミュエル。しかしそこには想像を絶する陰謀が存在したのだ。それも警察の…。

前作ではただひたすら妻を救い出す計画を練り、実行に移す夫の姿が新鮮だった。今回は警察の陰謀とかも取り入れ、アクション・シーンも加わったが、どうも面白みに欠ける展開で歯がゆい思いだった。

フランスのアクションはホントに過激だ。ハリウッドの刑事物とは少々趣が異なる。徹底的に痛めつける様とか、陰湿な感じもする。やはりギロチン開発国か?

ジル・ルルーシュも頑張っていたけど、殺し屋役のロシュディ・ゼムがクールだ。悪徳警察官に扮したジェラール・ランヴァンはいつもながら素敵なフランス俳優。

有楽町 スバル座にて
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by margot2005 | 2011-08-23 23:49 | フランス | Trackback(12) | Comments(0)

「おじいさんと草原の小学校」

「The First Grader」 2010 UK/USA/ケニア
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ジェーン・オビンチェに「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマン・チェスト/2006」「マイアミ・バイス/2006」「フェイク シティ ある男のルール/2008」のナオミ・ハリス。
キマニ・ナンガ・マルゲにオリヴァー・リトンド。
チャールズ・オビンチェに「ホテル・ルワンダ/2004」「インビクタス/負けざる者たち/2009」のトニー・キゴロギ。
監督は「ブーリン家の姉妹/2008」のジャスティン・チャドウィック。
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これぞ岩波映画。平日の最終回、席はかなりうまっていた。いつものように前知識なしで観るので、シアターの壁に掲げてあった監督の紹介文…そこには「ブーリン家の姉妹」と書いてあり、このような地味な映画も作るんだと驚いた。壁に掲げられたもう一人の紹介はキマニ・ナンガ・マルゲご本人だった。
キマニ・ナンガ・マルゲを演じるオリヴァー・リトンドはケニア生まれ。彼は若い時きっとハンサムだっただろうな。
ナオミ・ハリスはハリウッド大作でもおなじみのUK女優ながら、ケニアの田舎の小学校教師は適役。

実話というのは実に感動を呼ぶ。84歳で小学校に入学したマルゲ。周囲は老人が小学校で学ぶ事に猛反対するが、“学びたい!”と主張するマルゲにただ一人教師であるジェーンが手を差し伸べる。映画の中でも”将来獣医になる!”という台詞がある。生涯学ぶことをやめなかったマルゲは“最高齢小学生”としてギネスブックに掲載されているという。

かつてケニアの独立運動に関わったマルゲはいわゆる闘士である。ケニア政府が“すべての人を対象にした無償教育制度”をスタートさせる。それを聞いたマルゲは自分も対象であると強く主張する。しかし子供たちの親は老人を小学校に入れる事に猛反対。諦めずに何度も、何度も学校を訪れ“字の読み方を学ばせて欲しい!”と懇願する。そして若い女教師ジェーンは彼の熱意に心を打たれ学校へ招き入れる。マルゲの根気と、上層部や親たちの反対にもめげないジェーンの行動に感動する。


かつて目の前で虐殺された妻子。そして強制収容所に送られ拷問に耐えた日々…その中で、若い頃のマルゲと美しい妻のツーショットがたびたびフラッシュバックする。あのシーンはとても素敵だった。

神保町、岩波ホールにて
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by margot2005 | 2011-08-17 23:32 | UK | Trackback(5) | Comments(4)

「グッド・ハーブ」

「Las buenas hierbas」…aka「The Good Herbs」 2010 メキシコ
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ダリアにウルスラ・プルネタ。
ララに「フリーダ・カーロ/1984」「夜になる前に/2000」のオフェリア・メディーナ。
ララの隣人ブランキータにアナ・オフェリア・ムルギア。
ダリアの幼い息子コスモにコスモ・ゴンザレス・ムニョス。
監督、脚本、製作にマリア・ノバロ。
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シングルマザーのダリアは幼い息子を抱えながらコミュニティラジオのパーソナリティをしている。そしてダリアの母ララはハーブ研究者。ある日、ララはダリアに“夜、男が家の中をのぞいていたとか、家の鍵が見つからない。”と妙な話をする。夜中に一人暮らしのララの住まいをのぞく男がいるなど考えられない。そして家の鍵はなぜかクッキーのジャーに入っていた。つじつまの合わない言動に不安を覚えたララは病院で検査を受けるが、無情にもアルツハイマー型認知症と診断される。今まで互いに干渉しないで生きて来た母と娘。やがてララはハーブ研究の整理をダリアに託す。そしてダリアはハーブと共に生きてきた母の人生を深く知りたいと思い始める…

映画を観終わってジュリー・クリスティの「アウェイ・フロム・ハー 君を想う/2006」を思い浮かべた。どちらも若年性アルツハイマーに冒された女性の物語。

ハーブ研究家のララの家が素敵だ。ハーブを愛する彼女の部屋に所狭しと並べられた植物たち。同じく愛してやまない美しい庭(映像では残念なことに一部しか映らないのでメキシコ国立自治大学の植物園の映像かも?)。そしてララが娘と孫を伴って散策する多肉植物のガーデン(メキシコ国立自治大学の植物園)。これら美しい映像は女性監督ならではの感性かとため息が出る。音楽もナイス!
マリア・ノバロが作る映画はみな女性が主人公だそうだ。そしてマリア・ノバロ映画は日本で今回初めて公開されたという。

映画の主軸は女性。ダリアはシングル・マザーで別れた夫は数シーンにしか登場しない。彼女の父親はララと離婚しており、ダリアが電話で父親と話すシーンはあるが姿は見せない。ララの隣人ブランキータも重要な役回りだ。唯一存在感のある男性はダリアの息子のコスモ。このコスモがめちゃくちゃ可愛いのだ。3歳くらいかな?

ハーブ研究者として自立するララ。アルツハイマーと診断された彼女は“病状が悪化し、自分で何も出来なくなってもモノのように扱わないで…”と娘に懇願する。しかしどんどん病状が悪化し、家での介護が大変になった時、母を病院へ連れて行く。しかしそこで母をモノのように扱う看護師を目の当たりにし、ダリアは母を家に連れ帰るのだ。
映画の中でのララは50代の設定だろうか?若ければ、若いほど進行が早いというアルツハイマーの怖さを改めて知った。
ラスト、娘が取る行動に少々唖然としたが、彼女の気持ちは理解出来る。同じ立場だったら、同じ行動を取るかも知れない。
これは究極の女性映画。あのような状態になった母親を看病してくれる息子なんてこの世にはいない。やはり娘なのだ。息子しかいない私は全く無理な注文ながら娘が欲しくなった。

シネマート新宿にて
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by margot2005 | 2011-08-05 23:23 | 中・南米 | Trackback | Comments(0)