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「4月の涙」

「Käsky」…aka「Tears of April」2008 フィンランド/ドイツ/ギリシャ
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アーロ・ハルユラにサムリ・ヴァウラモ。
ミーナ・マリーンにピヒラ・ヴィータラ。
エーミル・ハレンベルグにエーロ・アホ。
エーミルの妻ベーアにリーナ・メイドレ。
監督はアク・ロウヒミエス。

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”信念か、命か、それとも愛か…”

某新聞の映画評に“敵味方超えた愛の悲劇”と記されているように、これは単なる戦争映画ではない。

1917年ロシア革命の後独立宣言したフィンランド。しかし翌年に内乱が起こり、ドイツよりの白衛軍とロシアよりの赤衛軍によって国は二分されてしまう。そして白衛軍の准士官アーロと赤衛軍のミーナが運命的に出会う。

赤衛軍の女兵士のリーダー、ミーナとその仲間たちは白衛軍の兵士たちに捕えられ、繰り返しレイプされたあげく逃亡兵として射殺されてしまう。ただ一人生き残ったミーナは白衛軍の准士官アーロに見つかり、再び捕えられるが、アーロは他の兵士たちと違い、彼女には正当な裁判を受ける権利があると主張し、判事のいる裁判所へと向かう。

敵同士であるアーロとミーナ。アーロは彼女を助けようと必死だがミーナは名前も名乗らず、固く心を閉ざしている。ボートで裁判所へ向かう折、アーロに抵抗したミーナによって、ボートが転覆してしまい、水中に投げ出された二人は不毛の孤島にたどり着く。ほどなく小屋を見つけ暖をとるがミーナの身体は衰弱しきっていた。アーロの献身的な看病により回復したミーナは、二人きりの小屋で過ごすうち次第に心を開いて行く。

正当な裁判を受けるべく判事の元にやって来たアーロとミーナ。作家から軍人になった判事のエーミルは教養人であり、正義の人間であるにも関わらず、日々サディスティックなまでに捕虜を銃殺している。昼間は軍服を着て指令を出す一方で、夜にもなるとタキシードに身を包んだエーミルは食事とワインに舌鼓をうち、ブランディと葉巻を手にゲーテの詩を暗唱したり、ピアノを奏でたりしている。
最初、軍服とタキシードの男は別人?なんて思っていた。夜と昼の彼はあまりにも違ってたから…。そして彼はホモセクシュアルであり、自身の妻にアーロを誘惑させる。“ベーアは良かったかい?君好みだろ?”と尋ねるあたりは狂気の沙汰としか思えない。

ミーナの釈放と引き換えにエーミルの慰み者となるアーロ。自身を差し出すことによりミーナが自由になればと考えたアーロは彼女を愛していたに違いない。そして大ラス、またしても白衛軍が追ってくる中、“逃げろ!”と言うアーロに、“一緒に来て!”と答えるミーナ。あのシーンには泣かされた。結末は哀し過ぎる。

アーロとミーナの“愛の悲劇”の中に登場するエーミル。戦争の狂気に翻弄されるアーロとミーナ同様、エーミルもまた犠牲者だったに違いない。

1981年フィンランド生まれのサムリ・ヴァウラモが中々イケメン。
フィンランドの大自然の中で撮影された景色が素晴らしかったし、バックに流れるmusicもgoodだった。

シネマート新宿にて
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by margot2005 | 2011-05-29 00:54 | スペイン | Trackback(3) | Comments(0)

「木漏れ日の家で」

「Pora umierac 」…aka「Time to Die」2007 ポーランド
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アニェラにダヌタ・シャフラルスカ。
息子にクシシュトフ・グロビシュ。
孫娘にパトルィツィヤ・シェフチク。
監督、脚本はドロタ・ケンジェジャフスカ。

91歳のアニェラはパートナーの愛犬フィラ(フィラデルフィア)とワルシャワ郊外の古い館に暮らしている。テラスで一緒に朝食を取り、近所の家を双眼鏡で覗くのが一番の楽しみ。
ポーランド人が飼っている犬の名前がアメリカ合衆国の大都市フィラデルフィアというのも中々粋だ。フィラは多分♂だと思うが、この犬(雑種??)の表情がスゴく良い。人間と犬ではあるが、互いに支え合って生きているアニェラ&フィラ。犬って癒してくれるんだなぁとしみじみ思う。

インターナショナル・タイトルはそのものずばり“死の時”で、91歳のアニェラが死を迎えるまでの物語。しかし邦題はとてもソフト。日本人て“死”という言葉をタイトルに入れることを好まないもかも知れない。
アニェラの死があまりにも、穏やかで荘厳で美しくて感動してしまう。映画を見終わって数十年後の自分の姿を想像し、アニェラのような死を迎えられるよう願わずにはいられなかった。

年に数回訪ねて来る息子と孫娘。息子の妻とは折り合いが悪くほとんど会うこともない。息子は近所の成金に母親の住む家を高い価格で売り飛ばそうとしている。そして孫娘は祖母の宝石が欲しくてたまらない。
一方で近所の悪ガキがアニェラの家に忍び込み盗みを働こうとする。悪ガキの侵入を防ぐことは出来たが、金をせびる彼に不満が爆発する。
やがて思い出がいっぱい詰まった古い家を息子に譲ろうと考えていたアニェラは物欲息子&孫に見切りを付け家を寄付してしまう。

全編モノクローム映像の中、若くて美しいアニェラがバレエを踊ったり、庭で恋人(夫)?とワルツに興じる過去の姿が映し出される。孤独ではあるが、思い出がいっぱい詰まった家に“死の時”まで住めるなんて、なんとアニェラは幸せな人なんだろうと羨ましくもあった。

アニェラを演じるダヌタ・シャフラルスカ。しわだらけではあるが、足腰はしっかりしていて驚くばかり。庭でブランコを揺らすシーン…ばあさんとブランコ??これほど不釣り合いのものはないかと思われるが、アニェラだとサマになるのだ。

公開2週目くらいの週刊誌に、穏やかな死を描いたこの作品に高齢者たちが列をなしている…というような記事が掲載されていたのを思い出した。私が観た4月のウイークディの最終回も中高年が目立っていた。
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神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2011-05-27 20:45 | スペイン | Trackback(4) | Comments(0)

「ジュリエットからの手紙」

「Letters to Juliet」 2010 USA
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ソフィに「マンマ・ミーア/2008」のアマンダ・セイフライト。
チャーリーに「エラゴン 遺書を継ぐ者/2006」のクリストファー・イーガン。
クレアに「上海の伯爵夫人/2005」「いつか眠りにつく前に/2007」「つぐない/2007」のヴァネッサ・レッドグレーヴ。
ヴィクターに「リミッツ・オブ・コントロール/2009」のガエル・ガルシア・ベルナル。
ロレンツォに「キャメロット/1967」「ダイ・ハード2/1990」のフランコ・ネロ。
イザベラに「マリア・カラス 最後の恋/2005」「バール・マルゲリータに集う仲間たち/2009」のルイーザ・ラニエリ。
監督は「シャーロットのおくりもの/2006」のゲイリー・ウィニック。
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ニューヨーク在住のソフィは雑誌の調査員として働いている。ある日、彼女はフィアンセのヴィクターと共にイタリア、ヴェローナへと旅立つ。しかしニューヨークでレストラン開業を控えているヴィクターはソフィと過ごすことより、イタリアンの食材やワインに夢中。そこでソフィは彼と別行動を取りヴェローナの街を歩くうちジュリエットの家にたどり着く。壁いっぱいに貼られた“ジュリエットの手紙”に興味を持ったソフィは手紙を回収した女性の後をつける。イザベラと名乗る女性はソフィに手紙の返事を書いてみない?と提案する…

最近ロマンティックな映画には全くお目にかかれない。そもそもロマンティックな映画があまり作られていないような気もする。
イタリア、ヴェローナが舞台であることと、ロミオとジュリエットの物語も好きなこともあり初日に有楽町に駆け込んだ。最終回のシアターは70%位の入りだった。真後ろに座ったカップルの男性が“寝てしまったら起こしてね。”なんて女性に言っている。そして映画終了後、シアターの狭い廊下で、やはりカップルの男性が、”もう一度最初から観たいなぁ。”と言っている。その言葉に女性が“えっつ!まさかもう一度観たいの?と交わす。多分女性の方は“ここまでロマンティックな映画をあなたは観たいの今一度?”と驚いていた感じ。この男性の顔を観ることが出来なかったけど、ロマンティックな男っているんだなぁと関心してしまった。あのカップルきっと、きっと女性の方が現実的なんだろうな?ということで、わたし的にはめちゃくちゃロマンティックな映画に一時酔いしれた。

数年前ヴェローナのジュリエットの家に行ったことがある(上写真がジュリエットの家)。あの時も観光客だらけで写真は1枚しか撮れていない。ヴェローナの街中の通りからちょっと入った横町に土産物屋が軒を列ね、ふいと見上げるとそこにジュリエットの家があった。入り口入った所に壁があったのは記憶にあるが、そこにメッセージ(ジュリエットへの手紙)が貼ってあったのを覚えていない。今から思えば、あまりにもたくさんの人々でごった返していたので、壁は人々で隠れていた可能性がある。
ジュリエットから返事がもらえるなら手紙を書きたいところだが、今更恋に悩むことも、恋をすることすらあり得ないので、今一度ヴェローナに行ってもジュリエットの家に行く必要はないかな。

映画のストーリーは究極と言って良いほどロマンティックなラヴ・ストーリー。そういやポスターに“古典的ハリウッド・ラヴ・ストリー”と書かれている。
50年前の初恋相手探し…ハッピー・エンディング以外の何ものでもないだろうと、最初から映画の結末は読めているが舞台となったトスカーナの景色が美しくて、美しくて…シエナの街でもロケされていた。

ヒロイン、ソフィを演じるアマンダ・セイフライト。「マンマ・ミーア」の時もキュートなアマンダ全開だったが、こちらでもキュート全開。今週末公開予定のアトム・エゴヤンの「クロエ/2009」のアマンダが楽しみとなってきた。全く違ったアマンダが観られそうかな?
ソフィのフィアンセ役のガエル・ガルシア・ベルナルはパーフェクトなキャスティング。
チャーリー役のクリストファー・イーガンは英国人だとばかり思っていたらオーストラリアンだそう。
実際に夫婦であるフランコ・ネロ&ヴァネッサ・レッドグレーヴのカップルはナイスだった。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2011-05-23 00:00 | MINI THEATER | Trackback(15) | Comments(0)

イタリア映画祭2011...「初任地にて」

「Il primo incarico 」…aka「The First Assignment」 2010 イタリア
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ネナにイザベラ・ラニョネーゼ。
フランチェスコにアルベルト・ボール。
ジョヴァンニにフランチェスコ・キアレッロ。
監督、脚本はジョルジア・チェチェレ。
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上流階級の男を愛するより、自身と同じ階級の男に愛されたほうが幸せ…と、ヒロインが気づくまでを描いた人間ドラマ。
ネナを演じるイザベラ・ラニョネーゼは初めて観たイタリア女優。美人ではなく、頑固そうで、冷たい雰囲気が感じられる。そこが映画のネナにぴったりなのだ。

時代は1953年、舞台はイタリア南部(ブーツのかかと部分/アドリア海側)に位置するプッリャ州。こちらのチステルニーノという村(今日では街と表現した方が良いかも知れない)にやって来た新任教師ネナ。彼女の初任地である村の小学校は高い山に囲まれた平野が続き、街から隔離されたような場所に建つ。ネナには子供たちが無知で野性的に映る。プライドの高い彼女はこの村に長く留まるつもりはなく村人と交わろうとしない。しかし料理の出来ないネナを見かねた村の女性が親切にも食事に招いてくれる。無愛想なネナは黙々と食事をするばかり。ある日、フィアンセのフランチェスコが友人を伴いネナを訪ねて来るが、噂が気になると言い慌ただしく帰ってしまう。やがてフランチェスコから唐突に別れの手紙が届き、彼との将来はもろくも崩れ去ってしまう。かつて粗野で、無知な村の若者ジョヴァンニが誘いをかけて来たことを思い出したネナは、真夜中彼の家に忍び込み彼を誘惑する。

舞台となったチステルニーノは白い街と呼ばれているようで、ヒロインが暮らす白い石の家も下の写真の雰囲気。山に囲まれた平野で自給自足によりのんびりと暮らす村人たち。初任地に猛烈に違和感を感じ、移転願いを申し出ていたネナが自身の居場所を探し当てるラストはとても素敵だった。
昨年のヴェネチア映画祭以来、イタリア本国でも今月始めに一般公開されたばかり。今後日本で一般公開されることは多分ないだろうな?
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by margot2005 | 2011-05-16 00:11 | 映画祭 | Trackback | Comments(0)

イタリア映画祭2011...「最後のキス」

「L'ultimo bacio」…aka「The Last Kiss」2001イタリア

カルロに「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「対角に土星/2007」「娘と狼/2007」のステファノ・アルコシ。
ジュリアに「向かいの窓/2003」「心の中の獣/2005」「コレラの時代の愛/2007」「勝利を(愛の勝利を ムッソリーニを愛した女)/2009」のジョヴァンナ・メッゾジョルノ。
アンナに「ハモンハモン/1992」「魅せられて/1996」「裸のマハ/1999」のステファナ・サンドレッリ。
パオロに「赤い肌の大地/2008」のクラウディオ・サンタマリア。
アドリアーノに「トリノ、24時からの恋人たち/2004」のジョルジョ・パソッティ。
アルベルトにマルコ・コッチ。
マルコに「家の鍵/2004」「題名のない子守唄/2006」「対角に土星」「セントアンナの奇跡/2008」「天使と悪魔/2009」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。
フランチェスカにマルティナ・ステラ。
監督、脚本はウイル・スミス主演の「幸せのちから/2006」「7つの贈り物/2008」のガブリエレ・ムッチーノ。
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今年は観に行くかどうかも迷っていて前売りを全く買わず、結局観たのは当日チケットで2本だけ。
こちらはイタリア映画祭2011の特別上映作品。
ちょうど10年前の作品なので俳優陣が驚くばかりに若い!20代のジョヴァンナ・メッゾジョルノは輝くばかりに美しくて、美しくて目が釘付けになる。ステファノ・アルコシは高校生にモテモテのイケメン(字幕では確か...)を演じ、ハリウッド大作でもおなじみのピエルフランチェスコ・ファヴィーノはさわやかな青年ってイメージで目を見張る驚きであった。
10年後を描いた「もう一度キスを/2010」が観られなかったのがとても残念。是非一般公開していただきたいものだ。
ガブリエレ・ムッチーノってハリウッド映画ではスゴくマジな作品の監督であるのに、イタリアでこんなドタバタ映画を作っていたとは知らなかった。

結婚などせずとも良い関係が築かれていた3年来の恋人ジュリアの妊娠宣言。突然の成り行きに動揺したカルロが取った行動はとんでもない。結婚して、子供が出来て…っていうならまだ分かるけど、恋人が妊娠した途端若い女の子に夢中になる男って?ちょっと信じられない。大人になれない自己中な男かと察する。
父親の重圧に耐えられなくなったアドリアーノもまたまた大人になれない男。子供に夢中で夫を顧みない妻も少々問題ありだけど…セックスレスっていうのも男にとってツライ試練?
ストーカーまがいの行動で元カノの家に押し掛けるパオロはかなりクレイジーだ。
快楽のみ優先して手当たり次第メイク・ラヴするアルベルトに心はないのか?

大人になれない男のオンパレードは多いに笑える。
カルロとジュリアを中心に、カルロの男友達とジュリアの母親アンナを上手く登場させ、そしてキュートなフランチェスカとカルロの秘密の逢い引きもさらっと描かれ、とても面白いラヴ・コメディだった。

しかしイタリア女性のクレイジーにヒステリックなサマには脱帽!カルロに詰め寄るジュリアの形相が凄まじいことこの上ない。娘ジュリアの妊娠で老いを感じた母親アンナもまた、ミドルエイジ・クライシスでもって夫婦間の不満を一気に爆発させる。いきなり一時期恋人(愛人)だった男を訪ね、“今でも愛している!”と訴えるが、彼はアンナとの情事が終わった後結婚し、父親になっていた。アンナは引き下がるしかなかった。“今更遅いのよアンナ!”と悪魔の声が聞こえそう。
そして高校生のフランチェスカは大人の魅力(ちっとも大人じゃないのに…)のカルロに一目惚れし彼を誘惑し始める。彼女もまたとっても情熱的なのだ。
まともなマルコが実に素敵に見えた。

昨年の映画祭で観た「勝利を(愛の勝利を ムッソリーニを愛した女)/2009」は今月公開予定。

有楽町 朝日ホールにて
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by margot2005 | 2011-05-09 00:24 | 映画祭 | Trackback | Comments(0)

「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」

「Nannerl, la soeur de Mozart」 …aka「Mozart's Sister」2010 フランス
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ナンネル(マリア・アンナ)・モーツアルトにマリー・フェレ。
レオポルド・モーツァルトに「エディット・ピアフ~愛の讃歌~/2007」「ランジェ公爵夫人/2007」のマルク・バルベ。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトにダヴィド・モロー。
ルイーズ・ド・フランスにリサ・フェレ。
王太子ルイ・フェルディナンにクロヴィス・フーアン。
アンナ・マリア・モーツァルトに「ポーラX/1999」のデルフィーネ・シュイヨー。
監督、製作、脚本、出演(音楽教師)にルネ・フェレ。
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18世紀中頃、ザルツブルク出身のレオポルド・モーツアルトは11歳の息子ヴォルフガングを売り出すべく、妻アンナ・マリアと、娘ナンネルを伴いヨーロッパ巡業に出る。ある日、ヴェルサイユ近郊で馬車が立ち往生し、修道院に助けを求める。そこには王太子ルイ・フェルディナンの妹であるルイーズ・ド・フランスが身を寄せていた。ナンネルは彼女の手引きでヴェルサイユ宮殿に招かれ王太子ルイ・フェルディナンと出会う...

モーツアルトに姉がいたなんて知らなかった。それにあの時代の女性はホントお気の毒。才能があるにも関わらず作曲はおろか、ヴァイオリンも弾かせてらえないなんて…。彼女は天才の弟ヴォルフガングの伴奏をし、歌を歌ってサポートしていた。ナンネルは作曲を切望したが、作曲法を学ばせてもらえなかったため断念する。一時期家族と離れてパリで一人暮らしをし音楽教師となったが、後に家族の元に戻っている。

3月に観た音楽映画「ショパン 愛と哀しみの旋律」とは全く異なった音楽映画ではあるが、こちらもそれなりに…といった描き方で…時代物好きなわたし的にはまぁまぁだったかな。

ルイ・フェルディナン王太子と、ナンネルが出会い恋に落ちたという史実は興味深い。ルイ・フェルディナンはルイ15世の息子であり、フランス革命で処刑されたルイ16世の父親にあたる。映画の中で二人が歩く“ヴェルサイユ宮殿、鏡の間”のシーンは素晴らしかった。ヴェルサイユには二度行った。当たり前ながら、ジーパンでTシャツ姿の人々より、そこは時代物コスチュームが実に似合うと切に感じる。

ナンネルと王太子ルイの出会いと別れ…あの時代王太子が一般人と恋をするなど考えられなかった。ナンネルを愛人にするのは簡単だったが、山ほど愛人のいた父親ルイ15世に反発があった可能性もある。映画の中で父親が寵愛したポンパドゥール夫人のことを語る彼は複雑な表情を浮かべていた気がする。ともかく互いに惹かれ合いながらも唐突に来る別れのシーンは哀しい。
最終的にナンネルは30代で結婚し子供をもうけ70代後半に亡くなっている。エンディングでナンネルは弟ヴォルフガングの死後、彼の作品を世に残そうと努力したと記されていた。

ルネ・フェレ監督の長女がヒロイン、次女が王太子ルイの妹ルイーズ・ド・フランス役。そして大修道院の音楽教師が息子といった家族総出の出演陣。姉マリーは1995年生まれだから撮影時15歳?あどけないイメージはあるが、ヤケに色っぽい上、凛とした雰囲気が大人びていて驚く。相反して1歳年下の妹リサはとても子供っぽい。この頃の女の子はたった1年で大人の女性に成長して行くのだろう。
ヴォルフガング役の少年ダヴィド・モローはヴァイオリン奏者である。そういや彼がヴァイオリンを弾くシーンはサマになっていた。
渋谷 Bunkamuraル・シネマにて
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by margot2005 | 2011-05-07 21:35 | フランス | Trackback(4) | Comments(0)

「引き裂かれた女」

「La fille coupée en deux」...aka「 A Girl Cut in」2007 フランス/ドイツ
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ガブリエル・ドネージュに「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール/2001」「情痴アヴァンチュール/2005」「パリ、ジュテーム/2006」「モリエール 恋こそ喜劇/2007」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」のリュディヴィーヌ・サニエ。
シャルル・サン・ドニに「コーラス/2004」「ナルコ/2004」「オーロラ/2006」「トランスポーター3 アンリミテッド/2008」「オーケストラ/2009」のフランソワ・ベルレアン。
ポール・ゴダンスに「石の微笑/2004」「裏切りの闇で眠れ/2006」のブノワ・マジメル。
シャルルの個人秘書カプシーヌ・ジャメに「ジャッカル/1997」のマチルダ・メイ。
シャルルの妻ジュヌヴィエーヴ・ゴダンスに「日曜日が待ち遠しい!/1982」「エディット・ピアフ~愛の讃歌~/2007」のカロリーヌ・シオル。
ガブリエルの母マリー・ドネージュに「コーラス」「ルパン/2004」「サン・ジャックへの道/2005」のマリー・ビュネル。
監督は「パリことろどころ/1965」「肉屋/1969」「石の微笑」のクロード・シャブロル。
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フランス、リヨン。高名なる初老の作家シャルル・サン・ドニは自らのサイン会でローカルTV局のお天気キャスター、ガブリエルと出会い、若くてキュートな彼女に一目惚れしてしまう。誘われるがままにシャルルのアパルトマンで一夜を過ごしたガブリエル。そして彼女もまた彼に恋をしてしまう。一方で、偶然出会った金持ちの御曹司ポールに言い寄られ、追い回されるが、ガブリエルの心はシャルル一筋。しかしガブリエルはある日突然シャルルに捨てられてしまう...

20世紀初頭にアメリカで実際に起きた殺人事件が元になっているそうで、3度目(1も2も全く知らない)の映画化らしい。あまり期待せず観に行ったこの映画、想像以上に面白い展開で、久々のフランス版ラヴ・サスペンスを堪能した。4年もの間公開されなかったのが不思議。

シャルルは一時の遊びのつもりだったが、ガブリエルは経験豊かな男との“アムール”にのめり込んでしまう。金持ちの御曹司ポールはキュートなガブリエルに夢中になり、つれない彼女を追い回し始める。そして結末は…

シャルルには心から愛する美しい妻と、魅力的な個人秘書がいる。秘書とも関係あるだろうな?と想像しそうなシャルルの態度。そしてまるで娘のように若いガブリエルを口説き始める。この男は正真正銘の女たらしであろう。そんな男の虜になるガブリエルはまだまだうぶなマドモアゼル。映像は映らないがシャルルがガブリエルを伴って訪れる”秘密クラブ”はマジで怪しそうな匂い。
一時の楽しみを終えたシャルルに捨てられたガブリエルは深く傷き寝込んでしまう。やがて彼女はウザイくらいにつきまとって離れなかったポールとやけくそで結婚。しかしポールとて愛ゆえに彼女と結婚したわけではなかった。ポールの母親も最高に嫌みで強烈だったし...見終わってなんと気の毒な女性かと同情してしまったが、自業自得って言えば可哀想?

映画ではガブリエルはポールの妻になるが、実際は愛人関係だったそう。
舞台はフランス第二の都市リヨンだが、映画の中で景色が堪能出来るほどのシーンはなくて残念。ポルトガル、リスボンの街を旅するポールとガブリエルのシーンはトレヴィアンだった。

3人の俳優...コメディが似合うフランソワ・ベルレアンが若い娘を虜にする中年プレイボーイ役で密かに笑えるし、マザコンのブルジョワ青年ポールを演じるブノワ・マジメルがヤワでキュートで見ていてキモいのだ。ヒロイン役のリュディヴィーヌ・サニエはお天気キャスター役が実に似合っていた。
監督のクロード・シャブロルは2010年に亡くなっているが、今月公開予定の「ゲンズブールと女たち/2010」に出演している。
渋谷 シアター・イメージフォーラムにて
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by margot2005 | 2011-05-05 00:33 | フランス | Trackback | Comments(0)