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「わたしを離さないで」

「Never Let Me Go」2010 UK/USA
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キャシーに「プライドと偏見/2005」「マイ・ブラザー/2009」「17歳の肖像/2009」のキャリー・マリガン。
トミーに「BOY A/2007」「大いなる陰謀/2007」「ブーリン家の姉妹/2008」「Dr.パルナサスの鏡/2009」「ソーシャル・ネットワーク/2010」のアンドリュー・ガーフィールド。
ルースに「プライドと偏見」「シルク/2007」「つぐない/2007」「ある公爵夫人の生涯/2008」のキーラ・ナイトレイ。
ミス・エミリーに「家の鍵/2004」「エンジェル/2007」「彼が二度愛したS/2008」「ある公爵夫人の生涯」のシャーロット・ランプリング。
ミス・ルーシーに「ウディ・アレンの夢と犯罪/2007」「17歳の肖像」のサリー・ホーキンス。
監督は「ストーカー/2002」のマーク・ロマネク。
原作は「日の名残り/1993」のカズオ・イシグロ。
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外界から完全に閉ざされた緑豊かな田園地帯に建つ寄宿学校ヘールシャム。そこでは幼い頃からずっと一緒だったキャシー、ルース、トミー3人組の他多数の子供たちが共同生活を送っている。ミス・エミリーを中心に厳格な教師たち(保護官)が子供たちの教育に携わるある日、ヘールシャムへ新しい教師ミス・ルーシーが赴任して来る。しかし子供たちに”ある秘密”を話したことから彼女は学校を追われるはめになる。やがて18歳になった3人はヘールシャムを卒業し、農場のコテージで共同生活を始めるのだった…

“ドナー/提供者”となるため生まれて来た子供たち…映画の予告を観た時に、シャーロット・ランプリングが醸し出すなんか怪しい匂いから、少々異様な物語ではないのか?と感じたが、あの展開には正直驚いた。
私的に見終わって疲れる物語で、またまた二度と観たくない映画の中に入れてしまった。
カズオ・イシグロの小説”日の名残り”はもちろん読んだ。しかし本屋で手に取ったこの小説は、映画を観てしまった後なので読みたくなくなった。本来は映画を観てその原作を読むことが多いが、これに関しては原作小説に詳しく書かれていることをいくらフィクションでも読みたくない。

キャリーとキーラは1985年生まれ。「プライドと偏見」では、キーラ演じるエリザベスの幼い妹キティ役のキャリーはホントに可愛かった。この映画ではキャリーの方が大人の女性に見え、落ち着いた、優しいまなざしが素敵だ。

ルースは早くにドナーとなりどんどん弱って行く。一方でキャシーはルースやトミーたちドナーの介護士となる。いつか自身もドナーとなる日が来る…と考えながら二人を見守るキャシーの目が猛烈に哀しげだ。トミーの目も、ルースの目もそうだった。心を持たせてもらえなかった彼らの魂の叫びが聞こえ圧倒される。

上にも書いたシャーロット・ランプリングってなんて存在感のある女優なんだろう。一番圧倒されたのはランプリング演じるミス・エミリーの目かも知れない。
なんともはや、身につまされるというのか、どうしようもないというのかとんでもない展開のドラマだが、映画の背景に描かれる英国の田園風景がのどかで美しく、過酷で惨い物語が少し緩和されるような気もする。
キャリーも良かったけど、アンドリュー・ガーフィールドがスゴく良い。
TOHOシネマズ日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2011-04-26 19:20 | UK | Trackback(9) | Comments(4)

「神々と男たち」

「Des hommes et des dieux」…aka「Of Gods and Men」2010 フランス
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クリスチャンに「華麗なるアリバイ/2007」のランベール・ウイルソン。
リュックに「そして、デブノーの森へ/2004」「ミュンヘン/2005」「宮廷画家ゴヤは見た/2006」のミッシェル・ロンズデール。
クリストフに「キングス&クイーン/2004」「96時間/2008」「君を想って海をゆく/2009」のアリヴィエ・ラブルダン。
セレスタンにフィリップ・ロダンバッシュ。
アメデにジャック・エルラン。
ジャン=ピエールにロイック・ピション。
ミシェルにグザヴィエ・マリー。
ポールにジャン・マリー・フラン。
ブリュノに「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「すべて彼女のために/2008」のオリヴィエ・ペリエ。
監督はグザヴィエ・ボーヴォワ。
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1996年、アリジェリアの山間の村にある修道院。そこに住む修道院長のクリスチャンら8人の修道士は、自給自足の、驚くほど質素な暮らしを営みながら日々祈りを捧げ、奉仕活動している。そして彼らはイスラム教徒の村人と宗教をも乗り越えた友愛関係を築いている。しかしアルジェリア軍とイスラム原理主義者の内戦が悪化し、村の平和が揺らぎ、修道院にもテロの脅威が押し寄せて来る…

クリスマス・イヴの夜にとうとう過激派が修道院に乱入して来る。彼らは負傷した仲間を手当するため修道士の一人で医師でもあるリュックを連れ出そうとする。しかし、クリスチャンはリュックは村人と共にあると言い、毅然とした態度でこれを拒否し、コーランを引用しキリスト教とイスラム教は隣人であると説くのだった。クリスチャンの凛とした態度に過激派は立ち去るが、修道士たちはアルジェリアを去るべきかどうか話し合うことになる。最初の話し合いの場で彼らの中には去りたいと訴える修道士が数名いた。やがてフランス本国からは帰国命令が出される。しかし村人から”あなたたちは心の支え”と残留を求められ悩む修道士たち。そして再び彼らは1本のろうそくが灯る質素な食堂のテーブルに集まり話し合いの場を持つ。前回と同じくクリスチャンは一人、一人に留まるか、去るか質問して行く。やがて、彼らは全員一致でアルジェリアに留まることを選ぶのだった。これに続く“最後の晩餐”のシーン…いやいやとてつもなく良かったあのシーンは。

今年に入ってから観た宗教をテーマにした作品は「白いリボン」「ヤコブへの手紙」「サラエボ、希望の街角」「アンチクライスト」の4本。今回のフランス映画は実話であり、キリスト教とイスラム教の垣根を超えたとても厳かな作品で、宗教が非日常的な存在であるわたしでも胸に迫る素晴らしい作品だった。

修道院長クリスチャンを演じるランベール・ウイルソン。彼はハリウッド大作でもおなじみの俳優で、今まで観た作品では浮気なモテ男のイメージが強い。しかしこちらでは僧衣に身を包み、優しいまなざしを絶やさないクリスチャン役が素晴らしく似合っている。ランベール・ウイルソンはシンガーでもあるそう。祈りを唱える彼の声が透き通るように美しかったのもうなずける。

フランス政府から帰国命令が出たにも関わらず留まることを選択した修道士たち。“チャイコフスキーの白鳥の湖”をバックミュージックに、まるで“最後の晩餐”のようにワインを酌み交わす修道士たちの姿が心に残る。
少々ネタばれするが…雪の中に埋もれる墓(十字架)。降りしきる雪の中テロリストたちに連れ去られる修道士たち。その二つの映像が重なったところでエンディングを迎える。とても、とても印象的なラストは脳裏に焼き付く。
フランスで大ヒットし、カンヌ映画祭のグランプリ(2010)に輝いたのも当然であり、”荘厳/神々しい”という言葉がぴったりの作品。

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2011-04-03 20:34 | フランス | Trackback(11) | Comments(4)