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「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」

「The Vintner's Luck」 2009 フランス/ニュージーランド
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農夫ソブランに「ある子供/2005」「夏時間の庭/2008」「ロルナの祈り/2008」のジェレミー・レニエ。
天使ザスに「パリ、ジュテーム/2006」のギャスパー・ウリエル。
男爵未亡人オーロラに「こわれゆく世界の中で/2006」「ディパーテッド/2006」「縞模様のパジャマの少年/2008」「マイレージ、マイライフ/2009」のヴェラ・ファーミガ。
ソブランの妻セレストに「クジラ島の少女/2002」「マリア/2006」のケイシャ・キャッスル・ヒューズ。
監督、脚本、製作に「クジラ島の少女」「スタンドアップ/2005」のニキ・カーロ。
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1808年、フランス、ブルゴーニュ地方。ある日、葡萄農夫のソブランは摘み取りの手伝いに来ていた村娘セレストと恋に落ちる。やがて見事に実った葡萄を収穫しワインに仕込み始める。野心家であるソブランはヴリー伯爵に自身を売り込むが相手にしてもらえない。落胆し夜の葡萄畑を彷徨う彼の前にいきなり天使ザスが現れる。ザスに助言をもらい、勇気を得たソブランは父親に反対されていたセレストとの結婚にふみきり、子供をもうける。1年後、約束どおりソブランの前に現れたザスは葡萄の苗木と庭を与え“尾根に苗木を植えなさい!”と告げる…

“誰も味わったことのない自分のワインを作りたい!”と願っていたソブランの前に天使が現れ“尾根に苗木を植えなさい!”と告げる。
映画は宗教的な雰囲気よりファンタジーっぽい。ギャスパー・ウリエルがとても大きくて真っ白な羽を持ったエンジェルに扮しているせいもあるし、農夫と一緒に畑でボトルからワインを飲む天使はとても人間臭く映る(天使なのにとてもsexyなのだ)。
ワイン作りに命をかける男のドラマは期待以上に素晴らしかった。

「夏時間の庭」のレビューにも書いたが、ジェレミーは一作ごとに素敵な俳優になって行く。年齢を重ね結婚する娘を持つ父親に扮しているのにも以外に違和感ない。
カトリーヌ・ドヌーヴの「しあわせの雨傘/2010」に出演しているジェレミーが楽しみだ。
ヴェラ・ファーミガはお気に入り女優の一人。作品ごとに異なった大人の魅力を漂わす彼女は素晴らしい!女優で大好き。

ソブランもオーロラも互いにとても惹かれ合っていたと思う。男は貧乏だが愛する妻と子供を持つ農夫で、女はリッチな貴族の未亡人。おまけに時代は19世紀初頭で、二人は主従関係にある。ソブランの妻セレストが二人の関係を疑い嫉妬するさまは哀しげだった。
ソブランがオーロラに目隠しをしてワインをテイストさせるシーンはゾクッとくるほどエロティック。

舞台はフランス、ブルゴーニュだが台詞は英語。フランス舞台でフランス人の物語はやはりフランス語じゃないとどうも違和感がある。
主人公ソブランに扮するジェレミー・レニエの英語はとても流暢。ちょっと前wowowで放映されていたコリン・ファレルの「ヒットマンズ・レクイエム/2008」でもジェレミー英語喋っていて上手いなぁと思っていたのを思い出す。

渋谷 Bunkamuraル・シネマにて
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by margot2005 | 2010-11-21 00:30 | フランス | Trackback(7) | Comments(4)

「隠された日記 母たち、娘たち」

「Mères et filles」…aka「Hidden Diary」2009 フランス/カナダ
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マルティーヌに「キングス&クイーン/2004」「ストーン・カウンシル/2005」「輝ける女たち/2006」のカトリーヌ・ドヌーヴ。
オドレイに「潜水服は蝶の夢を見る/2007」「コード/2008」のマリナ・ハンズ。
ルイーズに「ミュンヘン/2005」「潜水服は蝶の夢を見る」のマリ・ジェゼ・クローズ。
マルティーヌの夫ミッシェルに「プチ・ニコラ/2009」のミッシェル・デュショーソワ。
弟ジェラールに「ぼくセザール10歳半 1m39cm/2003」のジャン・フィリップ・エコフェ。
オドレイのボーイフレンド、トムにロマーノ・オルザリ。
監督、脚本に「正しい恋愛小説の作り方/2006」のジュリー・ロペス・クロヴァル。
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カナダに住むキャリア・ウーマンのオドレイは2週間の休暇を両親の家で過ごすため、実家のあるアルカションに帰省して来る。数年ぶりの再会を楽しみにしていたが、母マルティーヌにはどこかよそよそしい態度を示される。オドレイは自宅で開業医をしている母の邪魔にならないよう、今は空き家となっている海辺の祖父の家で寝泊まりすることに決める。
そしてある日、オドレイはキッチンの引き出しの奥から祖母が書いたと思われる古い日記を見つけるのだった...

半世紀以上前の過去と現在を交差しながら描かれるストーリー。舞台となったスペインに近いフランス、ランド地方の大西洋岸にある海辺の街アルカションの現在と過去の景色がさほど変わっていないのはフランスの大田舎ゆえ?
映画の中で医師を演じているカトリーヌ・ドヌーヴの存在感は際立っている。彼女の夫を演じる俳優ミッシェル・デュショーソワは気の毒なほど影が薄い。まぁ女性たちが主人公の映画だから仕方ないが...。
11/20公開の「クリスマス・ストーリー/2008」、予告が始まった「幸せの雨傘/2010」と、ドヌーヴ映画は目白押し。60代後半ながらエレガントで美しい彼女は、40年もの長きに渡って第一線で活躍する希有な女優かと思える。いやはやスゴいマダムだ。
この映画の主人公はオドレイだと思うが、ドヌーヴ、ママの存在が圧倒的で娘のオドレイも霞んでしまっている。しかしメモリーとして登場するルイーズの存在感は中々のものだ。女性が職業を持つことが難しかった50年代、夫との確執に苦しみ悩むルイーズの姿がとても印象的である。ルイーズ役のマリ・ジェゼ・クローズはクラシックな雰囲気を醸し出す素敵な女優で、哀しみと、苦しみを背負った孤独な女性を好演している。50年代のクラシックなファッション&メイクもばっちり似合っていた。

祖父が亡くなった後無人と化していた家にしばし住まいを移すオドレイ。ある日、キッチンの戸棚の奥に隠されていた祖母ルイーズの日記を発見する。日記に残されていた料理のレシピ。オドレイは会ったことのない祖母の姿を想像し、過去に彼女が料理を作ったキッチンでレシピに挑戦する。ゴーストではないがルイーズがキッチンに現れ、オドレイと語り合うように交差する映像は感動的だ。
ぎくしゃくした母マルティーヌと娘オドレイ。マルティーヌは母ルイーズに捨てられたと思い込んでおり、自らの娘とも上手くつきあえない。
ラスト近く、とてもミステリアスに見えたルイーズの過去が暴かれる。あのルイーズの運命には驚き!
ルイーズの過去が明かされショックを受けるマルティーヌを慰めるオドレイ。そこに母と娘の深い愛を見た。

ちょっと気になったことが…フランス人はタバコ好き人種のように思えるが、医師であるマルティーヌがタバコを吸うのは少々疑問?

銀座テアトルシネマにて
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by margot2005 | 2010-11-11 22:07 | フランス | Trackback(9) | Comments(0)

「わたしの可愛い人-シェリ」

「Chéri」2009 UK/フランス/ドイツ
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レアに「危険な関係/1988」「ホワット・ライズ・ビニース/2000」「スターダスト/2007」のミシェル・ファイファー。
シェリ(フレッド)に「プライドと偏見/2005」「縞模様のパジャマの少年/2008」「ヴィクトリア女王 世紀の愛/2009」のルパート・フレンド。
シェリの妻となるエドメに「情愛と友情/2008」のフェリシティ・ジョーンズ。
マダム・プルーに「P.S.アイラヴユー/2007」「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで/2008」「しあわせの隠れ場所/2009」のキャシー・ベイツ。
製作総指揮、脚本に「危険な関係」「愛の落日/2002」「つぐない/2007」の脚本家クリストファー・ハンプトン。
監督/ナレーションに「危険な関係」「ヘンダーソン夫人の贈り物/2005」「クィーン/2006」のスティーヴン・フリアーズ。
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1906年、パリ。ココットと呼ばれる高級娼婦の中でも、最も成功した一人であるレアは引退し優雅な日々を謳歌していた。ある日、元同業者で、友人のマダム・プルーから19歳の息子シェリが女遊びに興じ過ぎ手が付けられないとの相談を受ける。子供の頃からレアを慕っていたシェリは再会した彼女に夢中になり、レアもまた彼を愛し始めるのだった...

昔コレットの小説を読んだ記憶がある。それは“シェリ”だったかどうか全然覚えてない。もはや家の本棚にはないし…でもあれはきっと“シェリ”だったに違いない。時間があれば本屋で仕入れて読んでみよう。
レアとシェリの究極の愛のドラマながら、ストーリーはかなりつまらない。単に雰囲気を楽しむといった趣の映画。
50歳になっても妖艶で美しく魅力的なミシェル・ファイファーと、時代物が限りなく似合うルパート・フレンドのカップル。そして、映画の背景となるマダム・プルーのガーデンとグリーンハウスの美しさには目がテンになる。
ビアリッツのビーチが美しい!し、一時期、レアとシェリが過ごす館のガーデンがこれまた素晴らしく美しかった。
シェリの母親役がキャシー・ベイツっていうのも??…太っていない、若い時の彼女って想像出来ないので…。
レアの館も瀟洒だが、マダム・プルーの館はまるで貴族のそれのようで、20世紀初頭に生きたパリの元高級娼婦はとんでもないお金持ちだったことを思い知らされた。
時代物映画の楽しみはその時代の小道具やドレス。この時代のドレスにはそれほど興味はそそられないが、屋敷に置かれたアールヌーヴォーの家具調度品がとてもオシャレで、こちらにもガーデン同様目の保養となった。
渋谷 Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2010-11-07 01:02 | UK | Trackback(8) | Comments(0)

「ルイーサ」

「Luisa」2008 アルゼンチン/スペイン
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ルイーサにレオノール・マンソ。
足の不自由なオラシオにジャン・ピエール・レゲラス。
管理人ホセにマルセル・セレ。
監督はゴンサロ・カルーサ。
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ブエノスアイレスのアパートに猫のティノと暮すルイーサは60歳。ある日、ティノが死んでしまい、それと同時に職まで失ってしまう。途方に暮れるルイーサだったが、ティノの埋葬費用捻出のため立ち上がる...

どん底にあるにも関わらずユーモア精神を忘れないで生きているラティンの人々はなんと陽気なんだろうと関心する。しかし物乞いに至る発想は凄まじく画期的でただただ脱帽。
ルイーサの夫と娘が亡くなった過程は詳しくは描かれない。相当前に亡くなり、一人暮らしが長いことが伺える。猫のティノは唯一の家族で、ティノの死に打ちのめされる彼女はとてもお気の毒。
ルイーサの仕事は霊園事務所の電話番。30年も勤めたのにリストラされ、あげく退職金も支払ってもらえない。もう一つの仕事で、往年の大スター女優の家政婦を20年間務めたがこちらも解雇されてしまう。それもこれも不景気のせい。
貯金もなく、日々の生活にも困るルイーサだが、管理人のホセに夕食を誘われてもじっと我慢し、キッチンでお茶を飲みながらクラッカーをかじる。隣人には決して弱みを見せないのだ。
愛猫ティノを埋葬するための金を稼ごうと決めたあたりからがスゴい。人ごみが嫌いだったルイーサが初めて乗った地下鉄で、詐欺まがいに物を売っている青年のまねをして自らも挑戦するが失敗に終わる。やがて身体の不自由な男が物乞いするのを見て“これだ!”と思い立ち、松葉杖を購入(お金がないので腕時計と交換)して駅に居座る。しかし足が不自由でないことがバレ別の手を考え出す。次は目が不自由なフリをすることだった。
死んだティノを家庭の冷凍庫に入れて保存するなど、少々ブラックなコメディではあるが、懸命に生きようとするルイーサに拍手を送りたくなる。
ルイーサを演じるレオノール・マンソはアルゼンチンでは著名な女優であり、演出家だそう。このおばちゃん上手い!
渋谷 ユーロスペースにて
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by margot2005 | 2010-11-02 22:31 | 中・南米 | Trackback(1) | Comments(0)