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「シルビアのいる街で」

「En la ciudad de Sylvia」…aka「In the City of Sylvia 」2007 スペイン/フランス
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彼にグザヴィエ・ラフィット。
彼女に「女王ファナ/2001」「アラトリステ/2006」のピラール・ロペス・デ・アジャラ。
監督、脚本にホセ・ルイス・ゲリン。

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フランス、ストラスブール。スケッチブックを手にカフェに腰を据える青年は突然一人の女性に目を付ける。彼女こそずっと探していたシルビアに違いないと思い込み追いかけ始める。そして“シルビア!”と呼びかけるが無視されてしまう...

カフェでビールを飲みながらスケッチする青年…そこでは恋人同士や友だち同士のカップルがおしゃべりに興じている。彼らの交わす会話にはきちんとした台詞がない。それぞれが好きにおしゃべりする様を青年の目線でカメラが追う。やがて青年の目は一人の美しい女性に釘付けとなる。そして椅子をたった彼女を追いかけ始める。路面電車が通り過ぎるのももどかしく執拗に追いかけて行く。
青年は彼女がシルビアだと思い込んでいるから執拗に追跡を続ける。しかしつきまとわれている女性は怪しい男が何処までもついて来ることに不安を覚え始め、振り切ろうとお店に飛び込んだものの結局見つかってしまう。乗り込んだ路面電車で対面した二人。この時初めて二人の間で台詞が交わされる。“6年前バー飛行士であったシルビアだよね?”と言う彼の言葉に"わたしは1年前にこの街に来たのよ。”とそっけなく答え、“ずっとつけられていて気味が悪かったのよ。”と彼女。“最低だ!”とつぶやき謝る彼。
彼と彼女のつかの間の会話以外ほとんど台詞はない。映像を観ながら耳に聞こえるのは路面電車が走る音や教会の鐘の音、そして石畳に響く靴の音。
ピラール・ロペス・デ・アジャラは「女王ファナ」では激しい役柄だったと記憶するが、こちらでの静かな雰囲気も素敵だ。
グザヴィエ・ラフィットはとてもキュートなフランス人俳優でファンになった。

名もなき青年がカフェで見つけた美女をストーカーする様は、ちょっと前、NHKのハイビジョンで放送していた“世界ふれあい街歩き”のストラスブール編のようで可笑しかった。
絶賛している映画評もあるが、あまりにも淡々としていて、エンディングを迎えた折には“えっつ!これで終わり??”なんて思ってしまった。
渋谷 シアター・イメージフォーラムにて
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by margot2005 | 2010-08-29 22:53 | スペイン | Trackback(3) | Comments(2)

「アイスバーグ」「ルンバ!」

「L'iceberg」2005 ベルギー
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監督、脚本、出演(フィオナ)にフィオナ・ゴードン。
監督、脚本、出演(ジュリアン)にドミニク・アベル。
監督、脚本、出演(フィオナと逃亡するジョルジュ)にブルーノ・ロミ。
“タイタニック号”のルネ船長にフィリップ・マルツ。

ある日、フィオナは自身が働くバーガーショップの冷凍庫に一晩閉じ込められてしまう。それをきっかけに氷に魅せられたフィオナは家族を捨てて氷山を目指す旅に出る。一方でフィオナの夫ジュリアンは彼女を追っかける旅に出る…
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映画のオプニングで"私はイヌクティトゥット語を話せる最後の人間。もうすぐ生まれる子供と、夫にもこの言葉を教えたい。私がどのように夫と出会ったかお話ししましょう・・・"。と語るイヌイットの女性が登場して来る。そしてエンディングではあっと驚くその夫が紹介される。
冷凍庫に閉じ込められたせいで氷に異常反応を感じるなんてよくぞ考えだしたと関心するし、フィオナが氷山へと向かう船は飽きれるほど小さいボートなのに”タイタニック号”と命名しギャグを飛ばしている。氷山ももちろん小道具/張りぼて(上写真)。
”わたしがいなくても何ら変わらない。”と家族に疎外感を覚えた主婦が氷山を目指し家を出る。
突然姿を消したフィオナに全く気がつかない夫ジュリアンと子供たち。しかし妻の不在にハタと気がついたジュリアンはどこまでも、フィオアを追いかける。“もう追ってこないで!”といわれても、ただひたすら追いかける。この辺りはドタバタ喜劇が繰り返される。そしてついにフィオナは無事氷山にたどり着くことが出来た(上写真)。



「Rumba」2008 フランス/ベルギー
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監督、脚本、出演(英語教師、フィオナ)にフィオナ・ゴードン。
監督、脚本、出演(体育教師、ドム)にドミニク・アベル。
監督、脚本、出演(ショコラパン泥簿)にブルーノ・ロミ。
自殺願望の男ジェラールにフィリップ・マルツ。

ダンス大会の正にその日、車の事故でフィオナは片足を失い、ドムは記憶喪失に陥る。退院後二人は職場に復帰するが怪しい行動をとがめられ校長より首を言い渡される。その後火事に見舞われ家は丸焼けに。そんな折、朝、パンを買いに行ったドムは家への帰り道が分からず、来たバスに乗ってしまう。おまけに乗り合わせたバスで、パン好きな男に襲われショコラパンを奪われてしまう。しかし途方に暮れるドムを助けたのは自殺願望の男ジェラールだった...
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道路に立つ自殺願望の男が死ねなくて、その男をよけたばかりにドムとフィオナが事故に巻き込まれる。ダンス大会でルンバを踊れば必ず優勝するドムとフィオナ。そして義足になってしまったフィオナ。
家が火事になる原因はフィオナの義足に火がついたため、と、ブラックな展開に観ていてびっくりしながらも、「アイスバーグ」もこちらも“ラヴ・ストーリー”なのだ。「アイスバーグ」同様ハッピーなエンディングが良い。
車椅子のフィオナとドムが、まるでパントマイムのように映るダンスを披露するシーンは圧巻。

ユーモアや自虐ネタ+皮肉混じりのギャグで構成されるスーパー・ラヴ・コメディ二本立て。
どちらもチャーリー・チャップリンの無声映画を観ているよう。まぁ無声映画ではないのでもちろん少々の台詞(ギャグ満載)はある。しかし台詞よりも顔と身体が多くを語るのである。“シュールな笑い”と肉体を駆使する元道化師たちは半端じゃない。


TOHOシネマズ日比谷シャンテにて
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by margot2005 | 2010-08-26 23:52 | フランス | Trackback(2) | Comments(2)

「セラフィーヌの庭」

「Séraphine」2008 フランス/ベルギー/ドイツ
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セラフィーヌ・ルイに「アメリ/2001」「ベティの小さな秘密/2006」「パリ、ジュテーム/2006」のヨランド・モロー。
ドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデに「善き人のためのソナタ/2006」「ノース・フェイス アイガー北壁/2008」のウルリッヒ・トゥクール。
ウーデの妹アンヌ・マリーにアンヌ・ベネント。
女子修道院長にフランソワーズ・ルブラン。
セラフィーヌの雇い主デュフォ夫人に「愛されるために、ここにいる/2005」のジュヌヴィエーヴ・ムニシュ。
ウーデの恋人ヘルムートにニコ・ログナー。
セラフィーヌの隣人ミヌーシュに「フランドル/2005」のアデライード・ルルー。
監督、脚本にマルタン・プロヴォスト。
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1912年、フランス郊外サンリス。セラフィーヌがメイドとして働くデュフォ夫人の家にドイツ人画商ウーデが妹のアンヌ・マリーと共に引っ越して来る。ある日、セラフィーヌの描く絵に心奪われたウーデは貧乏な彼女に援助を申し出る。しかし2年後第一次世界大戦が勃発。敵国ドイツ人のウーデはフランスを離れる運命に陥る。ウーデの援助を失ったセラフィーヌは生活のため再び働かなければならなかった。1927年にウーデは再びフランスにやって来る。セラフィーヌと再会した彼は再び援助することを約束する...

フランス、セザール賞(2009)最優秀作品賞/監督賞/主演女優賞/受賞。
実在の女流画家セラフィーヌ・ルイの生涯を描いたヒューマン・ドラマ。セラフィーヌ・ルイについてはもちろん初めて知った。“女ゴッホ”と呼ばれる彼女は、作風も生き様もゴッホに似ている。花や樹木を愛し、描き、生きている間は決して注目されなかったセラフィーヌ。ゴッホも同様である。セラフィーヌの絵は、彼女の死後ウーデを通じて世間に紹介された。
天使のお告げで絵を描き始めたセラフィーヌは、貧しい生活を支えるため、メイドとしてデュフォ夫人の家で働く傍ら、誰にも師事せず全く独自で絵を描いている。絵の具は動物の臓物や血、そして植物から作り出していた。デュフォ夫人が“子供の描いた絵”と酷評したセラフィーヌの絵は、彼女自身が自然を好み、無垢であったように、一種独特の趣がある。私的には好きな部類に入り一度本物を見てみたい。
アンリ・ルソーを見いだした画商ウーデの目がセラフィーヌの絵に注目したのは分かる気がする。ルソーの絵ってセラフィーヌよりもっと、もっと大胆で独特の世界なのだから…。
画商ウーデと再会したセラフィーヌはパトロンを得て再び絵を描き始める。しかし1929年に世界恐慌が起き、それまでも不安定だったウーデの財政が悪化して行く。援助出来ないウーデの現実が理解出来ないセラフィーヌは次第に精神に異常を来して行く。世界恐慌が起きる前1914年に第一次世界大戦が始まり、敵国であるドイツ人ウーデは財産を差し押さえられフランスを去らなくてはならない運命にあった。彼は15年後に再びフランスに戻って来るが、戦争も、世界恐慌もなければセラフィーヌは生きている間に絵が売れて有名になっていたかも知れないし、精神を病むこともなかったに違いない。運命とはなんと皮肉なものかとしみじみ思う。
一時期、パトロンを得たセラフィーヌが結婚の予定もないのに純白のウエディング・ドレスをオーダーし、それを着て街を歩き回るシーン...セラフィーヌが聖女に見えた。
50代半ばのヨランド・モローが40代から60代のセラフィーヌを演じた。「ベティの小さな秘密」でも精神を病む家政婦という役柄だったが、ヨランド・モローはこういった役が非常に上手い。
神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2010-08-15 21:46 | フランス | Trackback(8) | Comments(2)

「フェアウェル/哀しみのスパイ」

「L'affaire Farewell」…aka「Farewell」 2009 フランス
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セルゲイ・グリゴリエフ大佐に「ウエディング・ベルを鳴らせ!/2007」の監督エミール・クリストリッツア。
ピエール・フロマンに「世界でいちばん不運で幸せな私/2003」「ナルコ/2004」「戦場のアリア/2005」「美しき運命の傷痕/2005」のギョーム・カネ。
ピエールの妻ジェシカに「セントアンナの奇跡/2008」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「愛を読むひと/2008」のアレクサンドラ・マリア・ララ。
セルゲイの妻ナターシャに「セブン・イヤーズ・イン・チベット/1997」のインゲンボルガ・ダクネイト。
ロナルド・レーガンにフレッド・ウオード。
フランソワーズ・ミッテランにフィリップ・マニャン。
大統領の顧問フィーニーに「パリ、ジュテーム/2006」「インサイドマン/2006」のウィレム・デフォー。
「戦場のアリア」のカップル、ダイアン・クルーガーとベンノ・フュルマンがワンシーンに出演している。
監督、脚本に「戦場のアリア」のクリスチャン・カリオン。
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1981年、ソビエト連邦、モスクワ。KGBのセルゲイ・グリゴリエフ大佐は“フェアウエル”というコードネームを持つソ連のスパイ。国家のエリートである彼は何不自由ない生活を送っているが、西側諸国に比べ国の発展が大きく遅れている祖国に危機感を抱いていた。そして彼はソ連の極秘情報を西側の国フランスに流すことを決意する。西側への仲介役はフランス企業のモスクワ駐在員ピエール。電気技師のピエールは上司の命令で仕方なしに動き始めるが、次第にグリゴリエフの志に魅了されて行く…
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二人の妻たちはもちろん夫たちがスパイだとは知らない。ジェシカは怪しい行動のピエールを疑い、セルゲイの息子イゴールも父親を信用できなくて反発ばかりしている。しかしセルゲイは息子の将来と祖国のために危険な任務を遂行しているのだ。一方でピエールはそんなセルゲイに魅了され、任務にのめり込んではいたが、妻子への深い愛(何度か妻に別れると脅かされていたが…)は決して変わらない。
家族愛にあふれた人間ドラマのようなスパイ映画。胸に迫るストーリーはとても見応えがある。このようなスパイ映画には滅多にお目にかかれない気がする。

“フェアウェル”というコードネームを持つスパイ、セルゲイ・グリゴリエフは妻と息子を愛し、愛人もいたロマンティックな男。
浮気中の妻と反抗期の一人息子を抱え、自らも愛人を作るが決して信念は失わない。ピエールを通じて西側から手に入れたソニーのウオークマンや、その頃黄金期だった“クイーン”のCDを息子にプレゼントしてご機嫌を取る姿(息子に浮気の現場を押さえられたってこともあるけど...)は人間クサく映る。
金も、西側への亡命も望まず理想を追求した“フェアウェル”って感動するくらいクールなスパイだ。
映画の中で“ソニー”のことを“ジョニー”と言ったり、“クイーン”のことは“キーン”と言っていたセルゲイ。80年代のロシア人は世界の“ソニー”を“ジョニー”と思っていたなんて情報無さ過ぎであっと驚く。
セルゲイとピエールのリスクを冒したやり取りが続く前半は観ていてとても興味深く面白い。しかし中盤から各国の首脳であるレーガンやミッテランが登場して来る。これは史実なのでその時に交わされた場面も本当のことであるのだが、それらのシーンに臨場感はない。
レーガンを描くシーンでは元俳優だった彼が自ら出演したハリウッド映画のビデオを繰り返し見る場面は笑いを誘うが、別にあのような陳腐なシーンはなくとも良かったのじゃないかな?
実際のエリゼ宮殿(大統領官邸)が使われた場面でのミッテラン役の俳優は中々似ていた。
“クイーン”の“ウイ・ウイル・ロック・ユー”のライブ・シーンとダブらせて...あれって草原だった?で、シャウトするイゴールの姿は最高にナイス。

エミール・クリストリッツアについては「ウエディング・ベルを鳴らせ!」のレビューにも書いたように私的には俳優のイメージが強い。彼の監督作品「ウエディング・ベルを鳴らせ!」を観た後wowowで放映されていた「ライフ・イズ・ミラクル/2004」を観たが、とてもついて行けなくて途中で挫折した。やはり彼は俳優が良い。「サンピエールの命/1999」の死刑囚役も素晴らしかったが、これでのクリストリッツアの演技はただただ素晴らしい!
お気に入りフランス人俳優ギョーム・カネも作品毎に良い俳優になって行く。
渋谷 シネマライズにて
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by margot2005 | 2010-08-08 22:23 | フランス | Trackback(8) | Comments(2)

「小さな命が呼ぶとき」

「Extraordinary Measures」 2010 USA
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ジョン・クラウリーに「クラッシュ/2004」「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝/2008」のブレンダン・フレーザー。
ロバート・ストーンヒル博士に「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国/2008」「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官/2009」のハリソン・フォード。
ジョンの妻アイリーンに「M:i:III/2006」「奇跡のシンフォニー/2007」のケリー・ラッセル。
監督は「べガスの恋に勝つルール/2008」のトム・ヴォーン。
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難病であるポンペ病に冒された娘と息子を持つエリート・ビジネスマンのジョンはある日、ポンペ病研究の第一人者であるロバート・ストーンヒル博士を訪ねる。そして彼は研究に資金が足りないと訴える博士に援助を申し出る。やがて会社を退職したジョンはポンペ病治療薬を開発するためベンチャー企業を立ち上げる...

実話を基にした難病もの。難病ものストーリーはあまり好きじゃないのだが、主演が大好きなブレンダン&ハリソン。彼らの大ファンの一人として見逃すわけにはいかない。予告も何度も観て、ブレンダンとハリソンの共演はとても楽しみだった。
これは単なる難病のもの映画であるばかりでなく、難病の子供たちを抱える父親が製薬会社を起こすというビジネス・ドラマでもある。1時間45分でその全てを描くのは無理があるだろうが、手堅くまとめられた感動のドラマに仕上がっている。
研究一筋で、少々変人の堅物博士と、ハーバード・ビジネス・スクール出身のエリート・ビジネスマンがタッグを組むのは相当にミスマッチではあるが、ラストで、心から子供たちを愛するビジネスマン、ジョンの気持ちをくんだ博士の計らいはナイスである。

ハリソン・フォードは「スター・ウオーズ/1977」以来の大ファンで、彼の映画はほとんど観ている。一番最近に観た映画は「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」。この時にも頑固ではあるが愛情深い老捜査官が印象的だった。こちらの作品でも頑固一徹の博士を好演している。
前にも書いたがブレンダンにもハマって彼の出演作を探しまくって見た時期がある。「クラッシュ」以来の人間ドラマで、子供たちを愛する父親役が素敵だ。
日比谷 TOHO シネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2010-08-02 01:12 | MINI THEATER | Trackback(15) | Comments(0)