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「ミルク」

「Milk」2008 USA

“「ミルク」は、希望のはじまりだった。”

ハーヴィー・ミルクに「イン・トゥ・ザ・ワイルド/2007」のショーン・ペン。
スコット・スミスに「トリスタンとイゾルデ/2006」「最後の初恋/2008」のジェームス・フランコ。
クリーヴ・ジョーンズに「イン・トゥ・ザ・ワイルド」のエミール・ハーシュ。
ダン・ホワイトに「アメリカン・ギャングスター/2007」「告発のとき/2007」のジョシュ・ブローリン。
ジャック・リラに「ダンシング・ハバナ /2004」「ミスター・ロンリー /2007」のディエゴ・ルナ。
アン・クローネンバーグに「彼女は夢見るドラマ・クイーン/2004」のアリソン・ピル。
モスコーニ市長に「タイタニック/1997」のヴィクター・ガーバー。
監督は「マイ・プライベート・アイダホ/1991」「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち /1997」「パリ、ジュテーム/2006」のガス・ヴァン・サント。
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1972年、ニューヨーク。ハーヴィー・ミルク39歳。彼は20歳年下のスコット・スミスと出会い恋に落ちる。その後二人はサンフランシスコに移り住み、同性愛者が多く住むカストロ地区でカメラ・ショップを開店する。やがてその店は同性愛者たちのたまり場となり、弱者である彼らが持つ問題の改善策を考えるミルク。そしていつしか政治に目覚め、彼は市政執行委員選挙に立候補する...

最初この映画の内容を全く知らなかった時、タイトルの“Milk”からミルク=牛乳??と想像してしまい、まさか?主人公の名前がミルクだったなんて思いもよらなかった。
ハーヴィー・ミルクって人に関しては全く知らなかった。実際のニュースや映像を映画の中に織り込んで描いてあり、彼はマイノリティの社会的地位向上のため立ち上がった伝説の活動家という事実を初めて知った。
ラスト、彼の死を弔う数万の人々が持つキャンドルの灯にも圧倒される。
アメリカでは21世紀の今、ゲイ同士の結婚を容認するよう声を上げる人々がいる。
70年代、ゲイ・カップルには子供が作れないから存在は認めないと非難されていた。それは国は家族がベースに成り立っているという意見から来ている。
“クローゼットに閉じ込もる”という台詞が良く出てくるように、ゲイであるがゆえ差別を受け、家族にも秘密にし、ひた隠しにしていた事実。そんな頃、自らゲイであることを公表したなんてミルクはスゴイ勇気の持ち主。
主人公のショーン・ペン以下、ジェームス・フランコ、エミール・ハーシュ、ディエゴ・ルナのゲイっぷりには驚く。
辞職願いを出した後、それを撤回するため市長に取り合ったが阻止されたダン・ホワイト。映画では描かれてないが、恨みを抱いた市長も殺害している。
そのダン・ホワイトを演じたジョッシュ・ブローリン。受賞には至らなかったが、オスカー助演男優にノミネートされた一人。ブローリンはハリウッドの性格俳優であり、名脇役の一人だと思う。一癖ある役を演じれば素晴らしいオーラを放つ。「ノーカントリー/2007」での彼もそうだったし、この作品でもどんどん追いつめられて行く保守派の堅物を好演している。
「イン・トゥ・ザ・ワイルド」でも書いたが、ショーン・ペンはどうも苦手な俳優。しかしオスカー主演をゲットした作品であり、ちょっと気になって観てきたがショーン・ペン上手い!ちょっとした仕草や、恋人に話しかけるところなどゲイっぽくて...
ミルクは気に入った若い男には必ず“Adorable!/かわいらしい(愛らしい)”と言っていた。これって主に女性語のようでありなるほどなぁと納得。
エンディングに本物の写真が紹介される。皆チャーミングでハンサムな男ばっかでAdorable!
本来ならミニシアター系で公開される類いの映画ではあるが、オスカーの威力は強く、シネコンで公開している。
ワーナー・マイカル・シネマズ板橋にて...
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by margot2005 | 2009-04-30 00:25 | MINI THEATER | Trackback(15) | Comments(2)

「レイチェルの結婚」

「Rachel Getting Married 」2008 USA

ある家族の結婚式を中心に描かれる珠玉のヒューマン・ドラマ。

キムに「プラダを着た悪魔/2006」「パッセンジャーズ/2008」「ゲットスマート/2008」のアン・ハサウエイ。
キムの姉レイチェルに「シンデレラマン/2005」のローズマリー・デウィット。
父親ポールに「結婚記念日/1999」のビル・アーウィン。
レイチェルのフィアンセ シドニーにトゥンデ・アデビンペ。
シドニーの友人キーランにマーサー・ジッケル。
レイチェルの親友エマにアニサ・ジョージ。
ポールの妻キャロルに「アメリカン・プレジデント/1995」「レント/2005」のアンナ・ディーヴァー・スミス。
母親アビーに「愛と青春の旅だち/1982」「愛と追憶の日々/1983」「シェルタリング・スカイ/1990」のデブラ・ウィンガー。
監督、製作は「羊たちの沈黙 /1990」「フィラデルフィア /1993」のジャナサン・デミ。
脚本は「Q&A/1990」の女優ジェニー・ルメット。
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コネティカット州に住むバックマン家の長女レイチェルの結婚式が2日後に迫っていた。次女のキムはドラッグ依存症で施設にいる。キムは父親とキャロルの迎えを受け一時実家へ戻る。結婚式準備に大わらわのレイチェルと彼女の親友エマ。キムは“Made of Honor(花嫁の筆頭付添人)”にエマが選ばれている事にショックを受けるが、そこは姉妹のよしみで大役はキムのものとなる。はれものに触るようキムに気を配る父親ポール。やがて結婚式のリハーサルに両家の人々や友人が集合し、離婚した姉妹の母親アビーもやって来る...

オスカー・レースに関わったり、オスカーをゲットした映画がどんどん公開されている。
こちらもアン・ハサウェイが主演女優にノミネートされた作品。まぁオスカー主演ってほどではなかったが、ディズニー映画のキュートなヒロインから始まっていろんな役にチャレンジしている彼女は随分大人になったと感じる。
この作品もそうだけど、アンは「ブロークバック・マウンテン/2005」のような役柄より、「プリティ・プリンセス/2001」や「ゲット・スマート」のような軽いコメディ系が似合う。
今年の2月に香港へ行った時、ノースウエストで機内上映があり見たのだが、登場人物がやたら多く会話で成り立つドラマ。ヒロインのキムが冒頭から喋るわ、喋るわで、字幕もなく途中で断念した。なので是非、是非観たかった映画。単館系シアターでひっそりと公開されてる地味な作品ながら、中々味のある家族のドラマ。観ることが出来て良かった。
バックマン家の姉妹...精神科医で優等生の姉と、ドラッグ依存症で問題児の妹。ある事件によりぎくしゃくした家族が、結婚式に列席する形で集合する。
キムが施設に戻るシーンでエンディングを迎える。レイチェルの結婚披露宴の後、母アビーと話したくて彼女を探したキム。しかし母とは話は出来なかった。キムもアビーも互いに話したいことがあったはずだが、また今度ね!って雰囲気で去って行ったアビー。あの後再会したキムとアビーの会話はどのような展開になるのか気になった。
子供を捨てて家を出た母アビーは少々わがままなのではなかろうか??と感じたが、彼女が家を出たことに関しては一切語られていないので、家族に起きた事件が深く関わっているのかと想像した。
結婚して行く姉の幸せを願う妹と、妹の未来を案じる姉。姉妹の絆ってどんなに離れていても、決して切れない。母と娘の関係以上に深いものと感じる(私的な感覚だが...)。
キムとレイチェルの親友エマの、互いに牽制しあうバトルはシニカルで小気味良い。
登場人物の中で二人の娘を愛してやまない父親の姿が一番素敵だった。
ロザンナ・アークエットが作ったドキュメンタリー「デブラ・ウィンガーを探して/2002」」がまた観たくなった懐かしいデブラ。ちょっとお年召したけど、相変わらずチャーミング。
渋谷 Bunkamuraル・シネマにて...
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by margot2005 | 2009-04-26 19:45 | MINI THEATER | Trackback(17) | Comments(4)

「スラムドッグ$ミリオネア」

「Slumdog Millionaire」2008 UK    
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ジャマール・マリクにデヴ・パテル。
サリーム・マリクにマドゥル・ミッタル。
ラティカにフリーダ・ピント。
司会者プレーム・クマールにアニル・カプール。
警部に「その名にちなんで/2006」「ダージリン急行/2007」「マイティ・ハート/愛と絆/2007」のイルファン・カーン。
監督はユアン・マクレガーの「シャロウ・グレイブ/1994」「トレインスポッティング/1996」「普通じゃない/1997」や、L.ディカプリオの「ビーチ/1999」そして「ミリオンズ/2004」のダニー・ボイル。彼の「28日後...」SF/ホラーなので観てないけどwowowで放映されるので見て見たい。
脚本は「フル・モンティ/1997」のサイモン・ボーフォイ。
原作はヴィカス・スワラップの“ぼくと1ルピーの神様/1 in-development credit”。

ムンバイ出身の18歳の青年ジャマール。彼はインドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”に出場し次々と難問に正解する。そして誰もなし得なかった残り一問まで来たその時、収録後のスタジオ出口で警察に逮捕されてしまう。ジャマールの逮捕容疑は“イカサマ”だった。スラム育ちでまともな教育も受けていないジャマールに難問が解けるわけがないと決めつけられてしまったのだ。収監された警察で尋問と拷問の後、彼はこれまでの問題の答は全て生きながら学んだことと語り始める...
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TVで宣伝しているのか?シャンテの前に出来た行列(ウイーク・デイの昼下がり)の中には、日頃映画に行かなそうなおじさま、おばさまがいっぱい!最前列席迄埋まっておそらく完売だったに違いない。私が知る限りトニー・レオンの「ラスト・コーション/2007」以来のシャンテの込みよう(シャンテ内の2つのシアターで時間をずらして上映している)だった。この映画都内の至る所で上映中にも関わらず、シャンテ満員で他は知らないが、やはりスッゴイ映画なのだろう。いや、だろうじゃなくスゴイ映画だった。
ダニー・ボイルに拍手を送りたい!さすがのオスカー作品。手放しで素晴らしい!と言える映画を久方ぶり(本年度私的N.O.1)に観た。
とにかく次から、次へと、観ている者をスクリーンに釘づけにするストーリー展開がとっても面白く、上映時間2時間はあっという間。
スラムで子供時代のジャマール...用足し中、有名スターがヘリコプターで現れると知るや、鍵が開かないトイレのドアはあきらめ汚物の中に飛び込んでスターにサインをもらいに行く。少年に成長したジャマールはタージマハルでアメリカ人の観光客相手にとんでもないツアー・ガイドを務め、参拝客の脱いだ靴を盗んで売り歩く...生きるために彼が取った行動は目を見張るばかりに上手い(悪い事ばかりだが...)!
クイズの答を知っていたのは、彼の過酷な人生で学んだことばかり。有名スターの名前も、アメリカ人にもらった100$紙幣の肖像画がベンジャミン・フランクリンだったことも彼の体験から来ている。
ラティカを探すシーンでは「未来を写したこどもたち/2004」に出て来た売春宿を彷彿とさせる。
インドのムンバイ、かつてボンベイと呼ばれた街は様変わりし、ジャマールたちが子供時代スラムだった場所に、21世紀の今、高層ビルが林立する。ジャマールはその高層ビルの建築現場でラティカをめぐって対立していた兄サリームと再会する。高い建設ビルの上から下を見下ろす...あのシーンはとてもナイス。
ジャマールがクイズに出場した理由...それはお金が欲しかったのではなく、ラティカに見てもらいたかっただけ。そしてラストに繋がる展開...これって素敵な、素敵なインド舞台のラヴ・ストーリー。
警部を演じたイルファン・カーンは「その名にちなんで」で父親アショケを演じたインド人俳優、ジャマール役のデヴ・パテル(UK人)以外、皆インドの俳優がそれぞれを演じている。
ジャマールがラティカを見つけ彼女の名前を呼ぶシーンを予告で何度も、何度も見た。ラティカ役のフリーダ・ピントの笑顔がチャーミング。
ジャマール、サリーム、ラティカの子供時代を演じた彼らもとても、とても素晴らしかった。
駅でのエンディングはインド!インド!インド!のノリで楽しめる。
日比谷 TOHOシネマズ シャンテにて...
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by margot2005 | 2009-04-24 23:26 | UK | Trackback(24) | Comments(8)

「ある公爵夫人の生涯」

「The Duchess」2008 UK/イタリア/フランス
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デヴォンジャー公爵夫人(ジョージアナ)に「プライドと偏見/2005」「つぐない/2007」のキーラ・ナイトレイ。
デヴォンジャー公爵に「上海の伯爵夫人/2005」「ナイロビの蜂/2005」のレイフ・ファインズ。
レディ・スペンサーに「家の鍵/2004」「エンジェル/2007」「彼が二度愛したS/2008」のシャーロット・ランブリング。
チャールズ・グレイに「マンマ・ミーア!/2008」のドミニク・クーパー。
レディ・エリザベス・フォスターにヘイリー・アトウェル。
チャールズ・ジェームズ・フォックスに「ラストキング・オブ・スコットランド/2006」「ワールド・オブ・ライズ/2008」のサイモン・マクバーニー。
監督、脚本はソウル・ディブ。
原作はアマンダ・フォアマンの「The Duchess」。
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18世紀後半の英国。スペンサー家の美しい令嬢ジョージアナは17歳で名門貴族デヴォンシャー公爵と結婚する。しかしそれは愛のない結婚で、公爵がジョージアナに求めたのは後継者となる男の子を生むことだけだった。
公爵と結婚後、社交界の花形となったジョージアナは、華やかなファッションで身を飾り、賭け事に興じ、夫に愛されない孤独を紛らわしていた。そんな頃、やはり夫に愛されない孤独な女性レディ・エリザベスと出会い意気投合する...
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マイケル・オコナーの衣装デザインが本年度のオスカーに輝いただけあって絢爛豪華な衣装の数々。フランス王妃、マリー・アントワネットの帽子やドレスを彷彿とさせる衣装が登場し、ファッションの国フランスの影響が大きかったのかと感じる。
この頃ちょうどフランスは革命に燃える時代。後に首相となるチャールズ・グレイが、貴族中心社会打倒のため、市民に立ち上がるよう力説しているシーンが登場する。

映画のオープニング、スペンサー家の敷地に放牧された羊、そのゴージャスな屋敷から始まって、デヴォンシャー公爵のこの上なくゴージャスな館。ジョージアナとグレイが密会する白鳥が遊ぶ池のほとりや、18世紀最大の観光地(保養地)バース...それぞれの景色が素晴らしく美しく、またEngland行きたい!モードに入ってしまった。

亡くなったプリンセス・ダイアナの祖先というデヴォンシャー公爵夫人。その生涯はダイアナのそれと重なる。
夫に愛されず悶々とした日々を送りながらも子供たちには大きな愛を注いだジョージアナ。常に社交界の花形であったが48歳で亡くなり、公爵にエリザベスと再婚するよう遺言を残したジョージアナ。
チャールズ・グレイとの恋は、彼の将来を考えジョージアナの方から身を引いている(夫に従ったまでだが...)。この時代の女性って、子供のため、愛する人のために自分を犠牲にする...なんて、なんて哀れなんだろう。
ジョージアナとエリザベスが出会い友情を育む、しかしそれは夫の裏切りで破局を迎える。日本でも昔、妻、妾同居ってあったようだから、一家の主の権力に屈した女性たちは余りにも哀しい。
名家の令嬢ジョージアナには跡取りを産ませるだけが目的で、公爵が本当に愛したのはエリザベスだったのかも知れない。そのあたりもダイアナ&チャールズ+カミラを彷彿とさせる。
ヨーロッパ時代もの大好きなので小説を是非読んでみようと思う。

とにかく時代物を演じるとぴたりとハマるキーラ・ナイトレイ。同じくレイフ・ファインズも時代物が似合う俳優。
この作品でのレイフは愛情に欠ける非情な人間を演じているため殆ど笑わない。レイフの笑顔って素敵なのに...そういやプレミアでのレイフ。まだ40代ぎりぎりなのにかなり老けちゃっていてビックリした。
チャールズ・グレイ役のドミニク・クーパーは、後に「マンマ・ミーア!」のスカイと知って、別人か??くらい変化している。
シャーロット・ランブリングはいつもながらの貫禄でマザー役を好演。
“公爵夫人”の生き様を描いた完璧なる女性映画で、平日の最終回観客は殆ど女性だった。
シネ・リーブル池袋にて...
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by margot2005 | 2009-04-19 15:36 | UK | Trackback(14) | Comments(4)

「失われた肌」

「El pasado 」...aka「The Past」2007 アルゼンチン/ブラジル

“今でも僕は君の一部なのか...”別れた妻に追いつめられて行く男の姿を描く究極のラヴ・ストーリー。

レミニに「ブラインドネス/2008」のガエル・ガルシア・ベルナル。
ソフィアにアナリア・コウセイロ。
カルメンにアナ・セレンターノ。
ベラにモロ・アンギレリ。
監督、製作、脚本は「蜘蛛女のキス/1985」のヘクトール・バベンコ。
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結婚12年目にして離婚したレミニとソフィアのカップル。
レミニは別れて早々にベラという美しいモデルと新生活を始める。
一方でソフィアはレミニが忘れられずストーカーのごとく彼に電話をかけ“会いたい!”と懇願する。
元妻ソフィアの存在を知ったベラはショックで交通事故に遭遇し亡くなる。
その後、同業の翻訳家カルメンに恋をしたレミニ。やがて二人の間に子供が生まれる...

ハリウッド俳優ウイリアム・ハートにオスカーをもたらした「蜘蛛女のキス」。その頃(80年代)ゲイ(ホモ)映画は一般的ではなかったので、ホモセクシュアルな青年が主人公の映画はとてもスキャンダラスな作品だった。
20数年後に作られたこちらの作品も、とてもアブノーマルで、濃厚で、エロティックなラヴ・ストーリー。
ガエル・ガルシア・ベルナルって怪しくて、危ない、エロティシズムがなんと似合う俳優だろう。
10代で結婚した幼なじみ夫婦。12年目に破局し離婚する。男はすぐに新しい恋をし、次から、次へと恋に生きて行く。しかし女はそうは行かない。元夫を引きずってやまないのだ。
元妻に執拗にストーカーされ精神に異常を来たし記憶喪失(一部分)になる元夫。コワい、女ってコワい。
別れた後、再会した二人。二人の過去に固執するソフィアに、レミニは“過去とは一つの固まりで、それを分ける事は出来ない。”と説得する。
原題の“El pasado (The Past)/過去”はズバリ!のタイトル。
“失われた肌”という邦題は良くある陳腐なタイトルながら中々イケてる。10数年も互いに肌を寄せあい生きて来た男と女がある日突然別れてしまう。しかし、そのぬくもりってそんな簡単に忘れ去られるものではないのだと切に感じる。
失われた記憶を辿るためレミニが過去に撮った写真を整理するラストのシーンがスゴく良い。それらは殆どソフィアと彼の写真だが、その中に自分の子供の写真を見つける。レミニはそれを持ってきっと別れた子供に会いに行ったに違いない。
ロケされた“南米のパリ”と称されるブエノスアイレスの街は、この作品にマッチし神秘的で美しい。
渋谷 ヒューマントラストシネマ文化村通りにて...
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by margot2005 | 2009-04-16 23:46 | 中・南米 | Trackback(6) | Comments(0)

「ザ・バンク 堕ちた巨像」

「The International」2009 USA/ドイツ/UK

“真実さえ、取引されるのか”...巨大銀行の不正を暴くクライム・サスペンス。

ルイ・サリンジャーに「インサイドマン/2006」「エリザベス:ゴールデン・エイジ/2007」のクライヴ・オーウェン。
エレノア・ホイットマンに「夫以外の選択肢 /2004」「イースタン・プロミス/2007」のナオミ・ワッツ。
IBBC銀行の頭取に「ある愛の風景/2004」のウルリク・トムセン。
元東ドイツの軍人ウェクスラー老人に「ミュージックボックス/1989」「イースタン・プロミス」のアーミン・ミューラー・スタール。
監督は「プリンセス・アンド・ウォリアー/2002」「パリ、ジュテーム/2006」「パフューム ある人殺しの物語/2006」のトム・ティクヴァ。
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ルクセンブルグに拠点を置く国際銀行IBBCの不審な取引情報をつかんだインターポール捜査官サリンジャーは、N.Y.検事局のホイットマンと協力し、本格的な捜査を始めようとする。しかし探れば、探るほど関係者が次々に消されて行くのだった...

オープニングに登場するベルリン中央駅から始まって、電車が走るミラノの街、インターポールの本部があるリヨン、そしてイスタンブールのモスクに、N.Y.の美術館、と“ジェイソン・ボーン・シリーズ”のそれのように楽しめる。
単身で巨大銀行の頭取に会いに行くサリンジャー役のクライヴ・オーエンがクールでかっこいい!彼もお気に入りUK俳優の一人。
インターポールの捜査官は逮捕権がないという。結局ラストでは強引(マイウェイ)なやり方で悪者を追いつめて行くサリンジャー。イスタンブールでのあんなのあり?なんて思っていたらイタリアン・マフィアが加勢にきて一言“グラッチェ!”...あのシーンは最高だった。
上ポスターに偽りありで、美術館のド派手な銃撃シーンにナオミ・ワッツはいません。

クライヴ・オーエンもナイスだが、この作品で素晴らしかったのはウェクスラー老人役のアーミン・ミューラー・スタール。東ドイツ出身の彼にはハリウッド映画を始めとして色んな映画でお目にかかれる。この作品でもメッセンジャーの老人を演じる彼の存在は素晴らしい。
銀行頭取役のデンマーク俳優ウルリク・トムセンも、自業自得ながら、どんどん追いつめられ逃げ場を失った情け無い役が似合っている。
銀行頭取が瀟洒な自宅で息子と“チェス”ではなく“囲碁”をしていたのには驚いた。
検事役が全く似合わないナオミ・ワッツはミスキャスト?
社会派サスペンスにしてはド派手、撃ち合いシーン炸裂で、エンターテーメント狙いの作品かと感じた。まぁクライヴ・オーエン ファンとしては楽しめる。
ワーナー・マイカルにて...
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by margot2005 | 2009-04-15 00:18 | USA | Trackback(12) | Comments(2)

東京の桜も終わり...

新宿御苑の桜が満開(かれこれ1週間前)!
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by margot2005 | 2009-04-14 23:55 | Trackback | Comments(0)

「マリア・カラスの真実」

「Callas assoluta 」2007 フランス/ギリシャ/オーストラリア

“カラスの前にカラスはいない。カラスの後に第二のカラスは現れない。永遠に...。”
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“マリア・カラス没後30年目の2007年9月16日にミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座でガラ上映され、エンドクレジットが上がっても観客はしばらく席を立てなかった...。”とチラシに書かれているが、東京では渋谷のミニシアターでひっそりと公開されている。

20世紀最高の歌姫〈ディーヴァ〉を描いたドリュメンタリーで、ナレーションはフランス語、マリア・カラスのインタビューは英語とフランス語で語られる。
監督はフィリップ・コーリー。

マリア・カラスにまつわる世界のセレヴたち...アリストテレス・オナシス、ルキノ・ヴィスコンティ、ピエル・パオロ・パゾリーニ、グレイス・ケリー、ジャン・コクトー、ジャクリーン・ケネディetc.彼らの実写を交えながらカラスの華麗なる真実が描かれる。
ルキノ・ヴィスコンティがカラスの舞台を演出したなんて知らなかった。オペラに関しては無知に近いので致し方ない。
マリア・カラスものは過去に「永遠のマリア・カラス/2002」と「マリア・カラス 最後の恋/2005」の2作を観ている。
「永遠のマリア・カラス」は晩年のカラスをフランス女優ファニー・アルダン、「マリア・カラス 最後の恋」はイタリア女優ルイーザ・ラニエリがそれぞれ演じている。
ルイーザ・ラニエリ版で、カラスは太っていて舞台映えしないからオペラ歌手など無理と酷評されるシーンがあったが、実際の彼女、若い頃(20代前半)過食症で体重は100kgあったという。それじゃ確かに舞台映えしない。しかしその後、体重を落とし、磨き上げたカラスは、30代ではファンション・アイコンと化したモデル並みのスタイルに変身している。
同じくギリシャ移民であるアリストテレス・オナシスとの結婚を希望しギリシャ国籍迄取得したにも関わらず、彼はケネディ大統領の未亡人ジャッキーと結婚してしまう。しかし、二人は密かに逢瀬を重ねたという。その後、オナシスはカラスの住むパリで亡くなっている。
とてもスキャンダラスで、アン・ハッピーながら“恋とオペラ”に生きたマリア・カラスのドラマティックな人生を堪能した。

ウイークディの夕方、シアターの席は半分も埋まっていなかった。
ユーロスペースの待ち合い(廊下?)にチラシがたくさん並んだ棚があり、ベンチが置いてある。映画を観終わりベンチに腰掛けたおばさま二人組。彼女たちは“ざーます言葉”でカラスを絶賛していた。きっと本物のカラス ファンなのね。
渋谷 ユーロスペースにて...
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by margot2005 | 2009-04-13 01:13 | フランス | Trackback | Comments(0)

「ワルキューレ」

「Valkyrie」...aka「Operation Walküre - Das Stauffenberg-Attentat」 2008 USA/ドイツ
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シュタウフェンベルク大佐に「M:i:III/2006」「大いなる陰謀/2007」のトム・クルーズ。
オルブリヒト将軍に「Jの悲劇/2004」「ナイロビの蜂/2005」「あるスキャンダルの覚え書き/2006」のビル・ナイ。
フロム将軍に「理想の女/2004」「フィクサー/2001」「ロックンローラ/2008」のトム・ウイルキンソン。
オットー・エルンスト・レーマー少佐に「ヒトラー 〜最期の12日間〜/2004」「ウォンテッド/2008」のトーマス・グレッチェン。
ルートヴィヒ・ベックに「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール/2001」「ウオンテッド」「ゲットスマート/2008」のテレンス・スタンプ。
ヘニング・フォン・トレスコウ少将に「スルース/2007」のケネス・ブラナー。
メルツ・フォン・クヴィルンハイム大佐に「ヒトラー 〜最期の12日間〜」「フライト・プラン/2005」「ブラックブック/2006」のクリスチャン・ベルケル。
シュタウフェンベルク大佐の妻ニーナに「ブラックブック/2006」のカリス・ファン・ハウテン。
アドルフ・ヒトラーに「ミス・ポター/2006」のデヴィッド・バンバー。
製作、監督は「ユージュアル・サスペクツ/1995」「スーパーマン・リターンズ/2006」のブライアン・シンガー。

第二次世界大戦下のドイツ。アフリカ戦線でシュタウフェンベルク大佐は左目を失うという重傷を負いながらドイツに戻る。祖国を愛する彼もヒトラーの独裁政権に反感を抱いている一人だった。彼は同志を集め綿密な計画を練りヒトラー暗殺を企てようとする...
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世界を又にかけるビジネスマンみたいでトム・クルーズはどうも苦手。しかし、ナイスなUK&ドイツ人俳優が多々出演しているので観に行った次第。
何度もヒトラー暗殺を企てた事実は知っていたが、“ワルキューレ作戦”について詳しくは知らなかった。
実際、40数回ヒトラー暗殺が企てられたそうだが、一度も成功しなかったのは、ヒトラーの護衛(今ならシークレット・サービス)に関しては確固たるものがあったのだろう。
ビル・ナイ、トム・ウイルキンソン、トーマス・クレッチマン、テレンス・スタンプ、クリスチャン・ベルケル、ケネス・ブラナー、とそうそうたる顔ぶれで、彼らの出演には見応えがある。
ビル・ナイとトム・ウイルキンソンはお気に入りの英国俳優。ケネス・ブラナーの出番がちょっと少なくて寂しかった。
とにかく、トム・クルーズにドイツ人は無理!軍服も似合わないし...トーマス・クレッチマンの軍服姿にはホレボレする。同じくドイツ人のクリスチャン・ベルケルも“ヒトラー&ナチス”映画できらりと光る素晴らしい俳優。
やはりドイツの歴史はドイツ製作が良いなぁと切に感じる。ドイツ製作のTVドラマ「オペレーション・ワルキューレ(Stauffenberg)/2004」が俄然観たくなった。
ワーナー・マイカルにて...
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by margot2005 | 2009-04-07 23:49 | USA | Trackback(8) | Comments(6)

「フロスト×ニクソン」

「Frost/Nixon」2008 USA/UK/フランス

“楽園か荒野か──人生を賭けた闘いが始まった!”...フロストとニクソンのバトル・トーク。
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37代アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソンに「グッドナイト&グッドラック/2005」「スーパーマン・リターンズ/2006」のフランク・ランジェラ。
英国人TV司会者デビッド・フロストに「クィーン/2006」「ブラッド・ダイヤモンド/2006」のマイケル・シーン。
ニクソンの側近ジャック・ブレナンに「秘密のかけら/2005」のケヴィン・ベーコン。
フロストが飛行機で出会うキャロラインに「プレステージ /2006」のレベッカ・ホール。
プロデューサー、ジョン・バードに「プライドと偏見/2005」のマシュー・マクファディン。
フロストのブレーンで、過去にニクソンものを書いたノンフィクション作家ジェームズ・レストンに「ジェシー・ジェームズの暗殺/2007」のサム・ロックウェル。
同じくフロストのブレーンでジャーナリスト、ボブ・ゼルニックに「カサノバ/2005」のオリヴァー・プラット。
ニクソンの代理人スイフティー・リザールに「ラヴェンダーの咲く庭で/2004」「エリザベス1世 〜愛と陰謀の王宮〜/2005」のトビー・ジョーンズ。
監督は「ダ・ヴィンチ・コード/2006」のロン・ハワード。
製作総指揮/原作戯曲/脚本に「クイーン」「ラストキング・オブ・スコットランド/2006」「ブーリン家の姉妹/2008」の脚本家ピーター・モーガン。
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1974年、リチャード・ニクソンは“ウォーターゲート事件”により、アメリカ史上初めて任期途中で辞職する大統領となった。その後国民に謝罪もなく沈黙を守ったリチャード・ニクソン。
一方で、アメリカ進出を狙っている英国人の人気TV司会者デビッド・フロストはニクソンの単独インタビューを企画する...
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ハリウッドのベテラン俳優フランク・ランジェラ×「クイーン」でブレア首相を演じたマイケル・シーン。二人の対決!はとても、とても見応えあり!
「ダウト 〜あるカトリック学校で〜/2008」と同じく、東京ではミニシアターで公開されたが、平日の最終回、席はかなりうまっていた。
英国のコメディアンまがいの司会者に大物政治家とのインタビューなぞ成功する分けがない...などと非難され、3大ネットワーク(ABC/CBS/NBC)に中継を断られ、誰もスポンサーになってくれない。資金繰りに失敗し全資産をつぎ込んで自主制作し、ニクソンとの単独インタビューを成功させたフロストの執念に拍手を送りたい。
政治スキャンダル“ウォーターゲート事件”は知っているが、この頃(70年代)世界のニュースが中継されるCNNなぞなかったし、このようなインタビューがあったということを初めて知った。
インタビュー間際、フロストにキャロラインと彼との関係を露骨に言い当て動揺させる狡猾なニクソン。しかし、当初フロストを買ってなかったジェームズがラストに入念なリサーチで彼を救う。
最終インタビューの前、夜、ニクソンがフロストに電話をかける。とても個人的な事をフロストに話すニクソン。あのシーンは良いなぁ。
フランク・ランジェラはニクソンに似てないが、上にも書いた電話のシーンや、罪を認めるインタビューのシーンで、苦渋に満ちたアップはリチャード・ニクソンと重なる。オスカーにノミネートされたランジェラの演技が素晴らしかったのは言うまでもない。
マイケル・シーンにはなぜか?可笑しさを感じて、「クイーン」のトニー・ブレアを思い出したりして...彼の顔が災いするのか、このようなシリアスな作品でも、どうも彼の顔を見ると笑いがこみ上げて困った。
フロストが飛行機の中で知り合うキャロライン役のレベッカ・ホールは「プレステージ」のサラとは全く別人の妖艶さでびっくりした。さすが女優!
ニクソンをサポートする側近のジャック・ブレナン役のケヴィン・ベーコン。彼はお気に入り俳優の一人であり、ハリウッド名脇役の一人で、これでもしっかと存在感ありで素晴らしい!俳優。
日比谷 TOHOシネマズ シャンテにて...
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by margot2005 | 2009-04-05 20:42 | MINI THEATER | Trackback(9) | Comments(4)