カテゴリ:ヨーロッパ( 49 )

「クリスマスのその夜に」

「Hjem til jul」…aka「Home for Christmas」ノルウェー/スウェーデン/ドイツ
監督、製作、脚本は「ホルテンさんのはじめての冒険/2007」のベント・ハーメル。
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昨年観た映画のレビューがたまっていて、書くのはやめようかとも思ったが“ヨーロッパ映画”だけは外したくないので今更ながら....

クリスマスは終わり、年も開けた。映画を観たのはクリスマス・イヴ・イヴ・イヴのもっと前。
イヴを迎えたノルウェーの小さな町…とあるがロケされたのはドイツ??しかしながらとにかく雪景色が素晴らしく美しい!

エルサ&クヌート
ヨルダン&ヨハンヌ
カリン&クリスティン
トネ&パウル
トマス&ビントゥ
コソボ出身の男女

オープニングの殺伐とした風景から上に書いたカップルのショート・ストーリーが描かれラストへとつながる。
「ホルテンさんのはじめての冒険」のレビューにベント・ハーメルの「キッチン・ストーリー/2003」は見ていないと書いたが、その後見る機会に恵まれた。それはとても奇想天外なストーリーで、「ホルテンさんのはじめての冒険」」以上のものがあり、この監督の感性にそそられた気がする。
この映画もベント・ハーメルの感性で描かれた、クリスマスを舞台にした心温まるストリー。でも本作より「ホルテンさんのはじめての冒険」の方が好きかな?

ヒューマントラストシネマ有楽町にて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2012-01-28 22:17 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「未来を生きる君たちへ」

「Hævnen」…aka「In a Better World」2010 デンマーク/スウェーデン
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監督、原案に「しあわせな孤独/2002」「ある愛の風景/2004」「アフター・ウエディング/2006」「悲しみが乾くまで/2008」のスザンネ・ビア。
アントンにミカエル・パーシュブラント。
妻マリアンにトリーヌ・ディルホム。
息子エリアスにマルクス・リゴード。
クラウスに「ある愛の風景/2004」「ザ・バンク 堕ちた巨像/2009」のウルリク・トムセン。
息子クリスチャンにウイリアム・ヨンク・ユエルス・ニルセン。
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デンマークに暮す少年エリアスはアフリカの難民キャンプで医師としてボランティア活動をしている父親が誇りだった。しかし残念な事に両親は不仲で別居中。そして学校では執拗なイジメに合っていた。そんな折、転校して来たクリスチャンと出会う...

“殴られた。だから殴った。”
“戦争はそうやって始まるんだ。”とチラシにあるが…
徹底して非暴力を貫く父親…自身の怒りを完璧にコントロール出来る姿に感動を覚える。

スザンネ・ビア映画はどれもこれも“家族の愛”を描いた世界が素晴らしい!デンマーク/スエーデンではなくアメリカを舞台に描いた「悲しみが乾くまで」は今一だったが、こちらは是が非でもマイベストに入れたい作品。

クリスチャンは母の死後父親と共に祖母の家に移り住むが、仕事一筋の父親は家を空ける事が多く、言いようのない寂しさを抱えていた。そしてある日とうとう、ガンで亡くなった母の死は父のせいだと罵倒する。
クリスチャンは転校した学校で執拗なイジメに合うエリアスを助ける。やがて彼はエリアスをいじめる同級生にナイフをもって制裁する。
エリアスの家族と出かけたある日、エリアスの弟がイジメに合う。それを見た父親アントンは、いじめた子供の父親に注意をするが、その父親は子供の否を認めるどころかアントンを殴ってしまう。殴られてもただ耐え、殴り返さないエリアスの父親を見て呆然となったクリスチャンは“なぜ殴り返さないのか?”とアントンに詰め寄るが返って来たのは“バカな男は相手にしない方が良い。”と言う言葉だった。
アントンは“殴られた。だから殴った。”という制裁は決してしない。

やがてクリスチャンの溜まりに溜まっていた“怒り”が爆発する。エリアスの父親を殴った男に制裁を下すのだ。しかしそのため事故が起き、エリアスが怪我をしてしまう。

一方でエリアスは不仲の両親が気がかりだった。父親はアフリカより一時帰国の際エリアスが母親や弟と住む家には戻らず、湖に近い家を借りていた。そしてエリアスは弟と父を訪ね男だけで一時を過ごすのだった。

クリスチャンもエリアスも心に深い寂しさを抱えている。クリスチャンは攻撃的な性格だが、エリアスは穏やか。エリアスの父親は非暴力者で、クリスチャンの父親も、息子にののしられても冷静で穏やかな性格を崩さない。

医師のアントンが活動するアフリカ、ケニアでの暴力も描かれている。ある日、ビッグマンが負傷しアントンの難民キャンプに運ばれて来る。“ビッグマン”とは妊婦の腹を切り裂く極悪人のこと。医者の立場からビッグマンの手当をするが、キャンプに詰めかけ、口々に訴える難民たちの声を聞いたアントンはビッグマンをキャンプから追い出してしまう。

ぴったりではないが、邦題になっている“未来を生きる君たちへ”は非暴力を貫き、怒りをコントロールする医師アントンの祈りのようだ。Internationalタイトルの“In a Better World/より良い世界で”は中々良いなと感じる。原題のデンマーク語はそのものズバリ“復讐”。

TOHOシネマズシャンテにて
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by margot2005 | 2011-09-04 23:32 | ヨーロッパ | Trackback(19) | Comments(0)

「アンチクライスト」

「Antichrist」 2009 デンマーク/ドイツ/フランス/スウェーデン/イタリア/ポーランド
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彼女に「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール/2001」「フレンチなしあわせのみつけ方/2004」「恋愛睡眠のすすめ/2005」「アイム・ノット・ゼア/2007」「アニエスの浜辺/2008」のシャルロット・ゲンズブール。
彼に「パリ、ジュテーム2006」「インサイド・マン/2006」「フェアウェル/哀しみのスパイ/2009」のウイレム・デフォー。
監督、脚本に「奇跡の海/1996」「ダンサー・イン・ザ・ダーク/2000」のラース・フォン・トリアー。
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ある雪の降る夜、夫婦で愛を交わす最中に一人息子が窓から転落死する。葬儀の最中に哀しみに耐えかねた彼女は気を失い病院に入院する。しかし病院から半ば強引に彼女を家に連れ帰った彼は、自ら彼女に催眠療法を施すため森に連れ出す...

ラース・フォン・トリアーの「奇跡の海/1996」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル/2003」はどれもこれも暗くて後味の悪い代物ばかり…「ダンサー〜」はその最たるものだったが、こちらはそれ以上。二度と観たくない映画がまた一つ増えた。
公開2週目のウイーク・ディ最終回はほぼ満席。途中で席を立とうかと迷ったが、周りの人々がスゴく一生懸命に観てる雰囲気に圧されてしまって結局最後まで観てしまった。

夫婦でメイクラヴの最中息子が事故に遭う。あの時、彼女はベビーベッドから飛び出し、窓のそばにいる息子の姿が見えているように感じた。しかし彼女は彼とのsexに夢中でクライマックスに至る。自身の愛欲に溺れ、彼から身体を離すことが出来なかったのだろうか??それ故に息子を亡くした哀しみ、後悔が彼女に襲いかかる。幼い息子を亡くす哀しみには計り知れないものがあるだろうが、彼女は神経を病み次第に鬱状態に陥って行く。やがてセラピストの彼が彼女に催眠治療しようと森に連れ出す。そこは“アダムとイヴが出会ったエデン”だった。キリスト教(聖書)は全く非日常的な世界なので、映画で描かれるさまは理解出来ない。個人的には、あまりにも絶望的で救いがたい作品で観ていてとても、とても疲れた。
はさみのシーンはとても観れなかった。映倫修復前のシーンなど想像しただけで身震いしてしまいそう。

オープニング、外は雪景色。オペラのアリアが流れる中、幼い息子が窓からスローモーションで落ちて行くシーンはとても衝撃的だし、森のシーンで大量にドングリの実が落ちてくる不気味な音や、森に住む生き物たちの残虐な姿が効果的に登場し印象に残る。でも圧巻だったのは木の根っこの間から出て来る無数の手足と身体。
某新聞映画評に“ホラー映画と言っていいかも知れない。”とあったが、これには同感。
そして、カンヌ国際映画祭主演女優賞(2009)を受賞したシャルロットと、デンマーク映画批評家協会賞/主演男優賞(2010)受賞のウイレム・デフォー、二人の俳優の演技にはただただ感服する。
新宿武蔵野館にて
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by margot2005 | 2011-03-27 19:53 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(0)

「サラエボ、希望の街角」

「Na putu」…aka「On the Path」「Le choix de Luna」 「Zwischen uns das Paradies」2010 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ/オーストリア/ドイツ/クロアチア
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監督、脚本に「サラエボの花/2006」のヤスミラ・ジュバニッチ。
ルナにズリンカ・ツヴィテシッチ。
アマルに「サラエボの花」のレオン・ルチェフ。
ナジャに「サラエボの花」のミリャナ・カラノヴィッチ。
アマルの旧友バブリヤにエルミン・ブラヴォ。
ルナの友人シェイラにニナ・ヴィオリッチ。
ルナの祖母にマリヤ・ケーン。
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ボスニア紛争から15年、サラエボに住むルナはキャビン・アテンダント。ルナと同居中の恋人アマルは空港の管制塔で働いている、ある日、職場に酒を持ち込んだアマルは停職処分になる。そんな折、ルナと友人を伴いドライヴに出かけたアマルは偶然旧友のバブリヤと再会する。停職中だったアマルに子供たちにPCを教える仕事があると誘うバブリヤ。アマルと離れるのが辛いルナは、街から遠く離れた仕事場に行くアマルに反対するが彼は行ってしまう...

ヒロイン、ルナを演じるズリンカ・ツヴィテシッチと、その恋人アマル役レオン・ルチェフはクロアチア出身。
ルナをキャンプに連れて行くナジャ役に「サラエボの花」のヒロイン、ミリャナ・カラノヴィッチが扮している。

異なる民族と異なる宗教(イスラムとカトリック)が共存しているサラエボ。現在の宗教はイスラム教が大半を占めているそう。旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴヴィナはカトリックのイメージなので、ここにもイスラムが台頭して来ていることを改めて知った。
人里離れた湖のほとりで共同生活するイスラム原理主義者たち。男と女は別のテントで生活し、女はもちろんチャドルに身を包んでいる。真っ黒のチャドルに身を隠したナジャが、テントに入るなり頭の部分を脱ぎ捨てる。その時に現れた彼女の長い赤毛にはスゴく違和感を感じた。そしてそこにいるルナはとても、とても場違いな雰囲気だった。

アマルもルナもイスラム教徒。ある日、アマルはイスラム原理主義を信じる旧友バブリヤと再会する。やがてアルコール依存症で、停職中のアマルがそれに傾倒して行くのに時間はかからなかった。そしてルナはそんなアマルが理解できなくついて行けなくなってしまう。
アマルは肌を露出したドレスを着て夜遊びするルナを連れ帰ろうとする。子供が欲しいのに出来なくて悩むルナに“ぼくたちは結婚していないから(彼らは恋人で同居中)子供が出来ないのだ。”とsexをも拒む。
結婚しないでsexするのも、肌を露出し、クラブで酒を飲むのも、今のアマルにとっては邪悪以外の何物でもないのだ。
ある日、礼拝堂で一夫多妻OKのイスラム教徒の結婚式、(妻は年若い女の子)を見てしまったルナは耐えきれなくなり礼拝堂を飛び出して行く。

“サラエボ戦争”により目の前で両親を殺されたルナ。戦場で過酷な体験をし、その後アルコール依存症となったアマル。二人が引きずっている哀しみは底深い。しかしそれを乗り越え、ルナは西洋的で、前向きな生き方をして来た。なのにアマルはイスラム原理主義に傾倒し、古くさい生き方に戻ろうとしている。愛するアマルのそんな姿を見るに忍びないルナは自身の中で葛藤を繰り返す。そしてとうとう念願の妊娠に至ったルナの決断は…
深く愛し合っている二人のラスト...“家に戻ってくれ!”と言うアマルに、“あなたが戻って来て!”というルナの言葉…それは家に戻って一緒に生活するのではなく、“前のあなたに戻って!”と言う気持ちがこもっていて素晴らしかった。
哀しみを乗り越え、前向きに生きようとするヒロイン役のズリンカ・ツヴィテシッチは美しく、魅力的な女優だ。
神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2011-02-26 20:45 | ヨーロッパ | Trackback(5) | Comments(0)

「誰がため」

「Flammen & Citronen」 ...aka「Tage des Zorns」2008 デンマーク/チェコ・リパブリック/ドイツ
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フラメンに「青い棘/2004」「天使と悪魔/2009」のトゥーレ·リントハート。
シトロンに「しあわせな孤独/2002」「キング・アーサー/2004」「007/カジノ・ロワイヤル/2006」「アフター・ウエディング/2006」のマッツ·ミケルセン。
ゲシュタポのトップであるホフマンに「フライト・プラン/2005」「ワルキューレ/2008」「イングロリアス・バスターズ/2009」のクリスチャン·ベルケル。
二重スパイ ケティにスティーネ·スティーンゲーゼ。
ドイツ軍大佐ギルバートに「リプリーズ・ゲーム/2002」「ミュンヘン/2005」「ヒルデ ー ある女優の光と影/2009」のハンス·ツィッシュラー。
シトロンの妻ボーディルにミレ·ホフマイーヤ·リーフェルト。
フラメンとシトロンの上司ヴィンターにピーター·ミュウギン。 
監督、共同脚本にオーレ·クリスチャン·マセン。
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1944年、デンマーク。首都コペンハーゲンはナチス・ドイツの占領下に置かれていた。そんな折、怯える市民たちの中に、打倒ナチスを掲げる地下抵抗組織の一員として行動する男がいた。それは23歳のフラメンと33歳のシトロン。彼らは上層部からの指令でナチスに協力する売国奴を暗殺していた。若さからか殺しに抵抗のないフラメンに対し、シトロンは殺す事に抵抗を抱いていた。やがて二人は指令により暗殺リストに上がる人物が本当に裏切りものなのか確信が持てなくなって行く...
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2009年のブログ始めはハンガリー映画。今年はデンマーク映画から...勿論年末に観た映画。都内のミニシアター、火曜サービス・デーにあたりシアターは混雑していた。

ヨーロッパ舞台の第二次世界大戦映画を観ると、アドルフ・ヒトラーはヨーロッパを全て自分のものにしようと考えたとんでもない男だったことを改めて知らされる事になる。デンマークも然り。
「青い棘」でアウグスト・ディール演じるギュンターのかつての恋人ハンスを演じたトゥーレ·リントハートがレジスタンス活動に身を投じ、暗殺者となり、自殺に至るまでの凄まじい姿を好演している。「青い棘」から6年が経過したが、ベィビー・フェイスは健在。
妻子がありながら暗殺者となったシトロン。レジタンス活動のため家族を顧みない夫を捨て新しい男と生活を始める妻ボーディル。愛する妻と幼い娘に去られたシトロンを襲う寂しさと哀しみ。マッツ感情表現上手い!1月公開予定の「シャネル&ストラヴィンスキー/2009」早く観たい!
ラスト近くホフマン率いるゲシュタポの兵士たちに襲撃されるシトロン。彼は負傷した身体を休めるため隠れ家でパジャマ姿。執拗なる襲撃にパジャマ姿で応戦するシトロンの姿が哀れに映る。
二重スパイだったケティを、疑いながらも信じ続けたフラメンも気の毒だが、終始疑われながらも愛するフラメンを最後まで騙したケティも哀れである。
ゲシュタポのリーダー、ホフマンを演じるクリスチャン・ベルケルはW.W.2映画には欠かせない存在。
デンマーク、アカデミー賞に輝き、デンマーク映画史上最高の製作費をかけたというこの作品。デンマーク、コペンハーゲンは勿論、チェコ・リパブリックのプラハやドイツ、ベルリンでのロケーションや、1940年代の街の再現も素晴らしい。
渋谷 シネマライズにて
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by margot2005 | 2010-01-02 23:56 | ヨーロッパ | Trackback(14) | Comments(4)

「ある愛の風景」

a0051234_2329752.jpg「Brødre」...aka「Brothers」 2004 デンマーク
デンマーク人監督スザンネ・ビアが「しあわせな孤独/2002」「アフター・ウエディング/2006」の間に作った、家族愛、人間ドラマ。
ヒロイン、サラを演じるのは「ディアボロス/悪魔の扉/1997」以来、「グラディエーター/2000」「ミッション・トゥ・マーズ/2000」「閉ざされた森/2003」etc.ハリウッド大作に出演している“Danish beauty”ことコニー・ニールセン。
ニールセンはこの作品で始めて出身国であるデンマーク映画に出演したという。
サラの夫ミカエルに「マーサの幸せレシピ/2001」「アドルフの画集/2002」のウルリク・トムセン。ミカエルの弟ヤニックに「しあわせな孤独」のニコライ・リー・コス。
監督スザンネ・ビアの作り出す世界...人間の悲しみ、辛さ、哀れさ...これが見事に描かれていて観るものの心を揺さぶる...いや上手い!上手すぎ!
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デンマーク、コペンハーゲンに住むエリート軍人ミカエル(トムセン)には美しい妻サラ(ニールセン)と、二人の娘がいる。
一方で、ミカエルには、刑務所から出て来たばかりの遊び人ヤニック(リー・コス)という弟がいる。二人の両親にとってもミカエルだけが自慢の息子で、ヤニックは厄介者以外の何ものでもなかった。
ヤニックが刑務所から出所し、両親、ミカエル、サラ、そして娘二人で食卓を囲む一家。その夜はミカエルがしばし家族と別れる時でもあった。軍人であるミカエルは戦渦のアフガニスタンに3ヶ月あまり派遣されることになっていた。
アフガニスタンに行くことに反対するサラに別れを告げミカエルは機上の人となる。
そしてある日、サラの元へ訃報が届く。それはミカエルが乗ったヘリコプターが撃沈されたという知らせだった。
ミカエルの突然の死を受け入れられないサラは呆然とし、立ち直る事が出来ない。そんなサラの支えになったのはミカエルの弟ヤニックだった。
しかしミカエルは事故から奇跡的に助かり、捕虜となって生き延び家族の元へ戻って来る。
サラの元へ戻ったミカエル。それは以前の彼とは別人の男の姿だった...
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戦争に行った夫が別人となって帰ってくるというストーリーは、リチャード・ギアとジョディー・フォスターの「ジャック・サマースビー/1993」を思い出すが、このストーリーはミカエルが戦地で体験した現実が余りにも過酷だったため、彼を別人に変えてしまったという事実。
観客はミカエルの体験を知っているが、映画の登場人物、サラを始めとした彼の家族は知らない。ミカエルはいつ事実をサラたちに打ち明けるのか?興味深い。
「アフター・ウエディング」でもそうだったが、語りかける目のアップがしばしば登場する。これは監督の好みなのかな?
この作品も何度か予告を観た。予告ではサラ、ミカエル、ヤニックが三角関係のように見え、まさか陳腐なストーリー展開に??と思ったが本編は素晴らしく、素晴らしい!
サラ役のニールセンはクールな女優で以前から好きだったが、こういった作品にもっと、もっと出演して欲しいなぁと思う。
ヤニック役のニコライ・リー・コス。彼は実に味のある俳優で好きである。
ニコライ・リー・コス主演の「恋に落ちる確率/2003」が又見たくなって来た。
「サラエボの花/2006」に続く戦争悲話物語で、平和(ボケ)日本実感の日々。
シネカノン有楽町2丁目にて...
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by margot2005 | 2007-12-11 00:00 | ヨーロッパ | Trackback(10) | Comments(8)

「サラエボの花」

a0051234_014244.jpg「Grbavica」...aka「Grbavica: The Land of My Dreams」 2006 ボスニア・ヘルツェゴビナ/オーストリア/ドイツ/クロアチア
ベルリン国際映画祭、金熊賞(グランプリ)、エキュメニカル賞、平和映画賞受賞作品(2006年度)。
監督、脚本はボスニア・ヘルツェゴビナ出身のヤスミラ・ジュバニッチ。
ヒロイン、エスマにユーゴスラビア、ベオグラード出身のミリャナ・カラノヴィッチ。
エスマの娘サラにボスニア・ヘルツェゴビナ出身のルナ・ミヨヴィッチ。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボのグルバヴィッツァ地区を舞台に描く、母と娘のヒューマン・ドラマ。
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サラエボのグルバヴィッツァ地区に住むシングル・マザーのエスマ(カラノヴィッチ)。彼女には12才の一人娘サラ(ミヨヴィッチ)がいる。母エスマは娘には決して話せない過去を背負って生きていた。
生活のため、ナイトクラブで働き、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの内戦で心と身体に傷を持った女性たちが集まるセラピーにも参加する日々。
サラの学校で修学旅行が計画される。しかし費用を捻出する事が出来ないエスマ。
シャヒード (殉教者=信仰、祖国、思想など、何かの大義に殉じた人) の遺児であれば、費用は免除される。父親がシャヒード であることの証明を提出して欲しいと母に依頼するサラだが、母は聞く耳を持たない。
一方で同級生であるシャヒードの遺児サミル(ケナン・チャティチ)より、父親の事を聞かれたサラだが何一つ答える事が出来ない。頑に父親の事を話さない母エスマにサラは不信感を抱き始めるのだった...
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中盤くらいでエスマの秘密がなんとなく解って来て、後の展開が興味深くなる。
エスマがラストで、セラピー仲間の女性たちの前で、今まで語らなかった過去を話始めるシーンは辛い。
サラ役のルナ・ミヨヴィッチが体当たり演技をしていて素晴らしい。
かつてユーゴスラビア連邦共和国という国があった。映画の中で、ヒロインが女性たちと“チトー万歳!”という台詞(字幕)があるが、一時期チトーという大統領が存在した国であった。
戦争の犠牲となって死んで行く男...しかしその戦争による犠牲を背負って行きて行かなくてはならない女と子供がとても哀れである。
この映画を観て、テーマもストーリーも違うが「題名のない子守唄/2006」を思い出してしまった。
岩波ホールにて...
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by margot2005 | 2007-12-07 00:56 | ヨーロッパ | Trackback(19) | Comments(4)

「しあわせな孤独」

a0051234_2350628.jpg「Elsker dig for evigt」...aka「Open Hearts」 2002 デンマーク
交通事故により出会った男と女の切ないまでのラヴ・ストーリー。
セシリにソニア・リクター。ニルスに「アフター・ウエディング/2006」のマッツ・ミケルセン。
セシリの恋人ヨアヒムに「恋に落ちる確率/2003」のニコライ・リー・コス。
ニルスの妻マリーにパプリカ・スティーン。
監督は「アフター・ウエディング」のスザンネ・ビア。
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コックのセシリ(リクター)は、地理で博士号を目指すヨアヒム(リー・コス)と結婚の予定。
ある日、セシリの車で駅に向かうヨアヒムは、車から降りた瞬間、いきなり飛び出して来た車に跳ねられ道路に倒れる。
一瞬の事でセシリは気が動転していたが、ヨアヒムを跳ねたマリー(スティーン)もボー然と立ち尽すのだった。
手術の結果、一命を取り留めたヨアヒムだったが、首から下が麻痺の身体となってしまう。
幸せの真っただ中にいたセシリは途方に暮れる。
一方で事故を起こしたマリーは、どうしようもない葛藤を医師である夫ニルス(ミケルセン)にぶつける。
ニルスの働く病院に偶然搬送されたヨアヒム。そこでセシリはニルスと出会う。
事故により心を閉ざしてしまったヨアヒム。どうしようもない虚無感に苛まれたセシルはニルスに電話をし“来て!わたしを抱いて!”と訴える...
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過去にDVDで観た作品。マッツ・ミケルセンの「アフター・ウエディング」を観て、同じ監督のこの作品が又観たくなった。
男は弱いなぁ!としみじみ感じる。全身麻痺のヨアヒムは、自分の身体を呪い自暴自棄になり、恋人セシリを寄せ付けない。
ニルスはニルスで、誘われて始まった若いセシリとの情事だったが、それにのめり込んで行きどうしようもなくなる。
結果...やはり男って勝手だなぁ...まぁヨアヒムはセシリを思ってのことだと思うが、ニルスは余りにも情け無い。それが似合うのだマッツ。
ちょっとネタバレ気味だが...
ニルスはセシリと出会ったことを妻マリーのせいにし家を出る。確かにマリーが起こした事故によりセシリと出会うのだが、ちょっと違う...男のわがまま以外の何ものでもない...
上、家具売り場のシーンは滅茶ナイス!
すっごくSexyなマッツ・ミケルセンは、デンマークでは既に Sexy俳優として位置づけられているようである。
元プロのダンサーであったというだけあって姿が美しい!
邦題はなんか意味不明だが、”永遠に深く愛して”という意味合いの原タイトル。
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by margot2005 | 2007-11-17 01:55 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(8)

「アフター・ウエディング」

a0051234_22111960.jpg「Efter brylluppet」...aka「After the Wedding」2006 デンマーク/スウェーデン
デンマーク発、感動の親子愛ファミリー・ドラマ。
主演ヤコブには「しあわせな孤独/2002」のマッツ・ミケルセン。彼の元恋人へレネにシセ・バベット・クヌッセン。ヘレネの夫ヨルゲンにロルフ・ラッセゴード。娘アナにスティーネ・フィッシャー・クリステンセン。
監督は「しあわせな孤独」のスザンネ・ビア。

インドで孤児たちの救援事業をするヤコブ(ミケルセン)。ある日、財政困難な状態のヤコブの元にデンマークの実業家ヨルゲン(ラッセゴード)より、救済の手を差し伸べる手紙が舞い込む。孤児たちを置いて出かける事に躊躇し、気乗りしないながらも故郷デンマークへと向かうヤコブ。
デンマークでは豪華なホテルのスイートとヨルゲンが出迎えてくれた。
そして、いきなりヨルゲンの娘アナ(クリステンセン)の結婚式に招待されたヤコブは、そこで元恋人ヘレネ(クヌッセン)と再会するのだった...
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初日に観に行きたい映画だったが行けなくて...netで“感動作!”といったコメントを横目で見ながらやっと観ることが出来た。
いやもう感動!感動!今年度マイ・ベストのトップに入れたい!
この作品公開時、“愛は、死なない。命の終わる日を知った時、大切な人に残したいものがある。”と宣伝したようだが、これを読まないで観に行って正解だった。
ストーリーの展開を知らなかったため、とても興味深く観る事が出来たから。
「007/カジノ・ロワイヤル/2006」はこの作品の後に作られた。ジェームス・ボンド相手に目から血を流す悪役のマッツ・ミケルセンは、この作品や「しあわせな孤独」での温和で、優しい役がぴったりの素敵な俳優。
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ホテルの部屋のベランダから、“ここからスウェーデンが見えるんだ!”とか、“スウェーデンに釣りに行く”なんて台詞を思い出し、家に帰るなり世界地図を広げた。
確かに、スウェーデン見えそう&海を渡ればスウェーデンのデンマーク国である。
リッチなヨルゲンの館(家とはとても呼べない豪華過ぎて...)は街から離れた、森と湖に囲まれた地域に建っている。
館の部屋から下を見下ろすと、敷地の庭に鹿が現れ草を食んでいる。
最初それが鹿だと解る迄数秒かかったが、そういやヨルゲンの館の壁に鹿の頭がいくつも飾られていたのと結びつく。
ちょっとネタバレ気味だが、富豪の実業家は、自分が死んだ後、愛する妻、娘を、過去に妻を愛した男に委ねようと計画する。そしてその男は娘の実の父親。
愛する妻と、娘(二人の息子もいる)を、妻の元恋人に委ねるなんて、凄い発想かも知れない。日本人である我々はこのような事を考えるだろうか?これはやはりヨーロッパ的な発想だなと感じずにはいられない。
ラスト、インドへ戻ったヤコブが息子同然の孤児プラモドと話すシーンには胸が熱くなる。
母親ヘレネ役のクヌッセンと娘アナ役のクリステンセンがとっても似ていて素敵。
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久しぶりに友人を誘って昼間に観たが、シアターの観客、中高年多しで、皆さん感動しておりましたわ。
ただし、この作品を上映している、有楽町の新しいスポット“イトシアプラザ”4階のシネカノン有楽町2丁目。できたばかりのシアターは綺麗で良いのだが、余りにも狭く、スクリーンが小さく(極小の部類)、最近シネコンで観る機会が増えたので、このような小さなスクリーンはどうもダメ。シアターの真向かいに、リーズナブルなお値段でランチが食べられるイタリアン・レストランもあり、リピーターになりたい所だが、ちょっとスクリーン小さ過ぎ。
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by margot2005 | 2007-11-14 22:42 | ヨーロッパ | Trackback(11) | Comments(8)