カテゴリ:ヨーロッパ( 54 )

「イマジン」

「Imagine」2012 ポーランド/ポルトガル/フランス/UK
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リスボンの港町にある視覚障害者のための診療所に、ある日一人の男が教師としてやって来る。イアンと名のる彼は全盲にも関わらず杖を使わないで健常者のように歩くことができる。それは音の反響を受け止めることによって周囲の状況を知る“反響定位”というもの。イアンは子供たちに“反響定位”を教えるインストラクターとしてやって来たのだ。しかし危険も伴うこの方法に診療所のドクターは懸念を募らせて行く…

イアンに「もうひとりのシェイクスピア/2011」のエドワード・ホッグ。
エヴァに「愛を読むひと/2008」「セントアンナの奇跡/2008」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「フェアウェル/哀しみのスパイ/2009」「最終目的地/2009」のアレクサンドラ・マリア・ララ。
セラーノに「プリンセス・アンド・ウォリアー/2000」「パリ、ジュテーム/2006」のメルキオール・ドルエ。
ドクターにフランシス・フラパ。
監督、脚本、製作はアンジェイ・ヤキモフスキ。

授業を受けるのは様々な人種の子供たちや10代の若者たち。イアンの型破りな授業に戸惑いながらも夢中になっていく生徒たち。一方で外国からやって来た女性エヴァは、杖をついて歩くことが嫌で自室にこもりきり。しかしイアンに興味を抱いた彼女は自室から出るようになり授業にも参加し始める。やがてエヴァはイアンのように杖なしで歩いてみたいと思い始める。診療所からイアンと共に外に出たエヴァは、路面電車やバイクが行き交う音、そして人々の足音、木々のざわめきに聞き耳をたてながら街の空気を満喫する。
そばに寄り添うイアンは目が不自由なのにまるで見えるかのように“近くには港があり大型客船が出入りしているはず。”とエヴァに語る。
イアンとエヴァのほのかな恋は成就するのだろうか?スクリーンいっぱいに映る大型客船と路面電車のラストがとても美しく晴れ晴れしい。

リスボンの街で撮影された本作は目の不自由な人に勇気を与える素晴らしいドラマで、イアンがセラーノに海を見せる(感じさせる)シーンは感動を覚える。

イアン役のエドワード・ホッグは見えないようにして特訓を重ねたそうだが、スクリーンの中でホントに目の不自由な人のように見えて驚きつつ感心した。
監督はポーランド人で、主演のエドワード・ホッグは英国人。アレクサンドラ・マリア・ララはルーマニア出身のドイツ人で、子供たちの中にフランス人や、英国人も混ざるとってもInternationalな映画のロケ地はポルトガルのリスボン。

シアター・イメージフォーラムにて
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by margot2005 | 2015-05-15 00:23 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「パプーシャの黒い瞳」

「Papusza」2013 ポーランド
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実在のロマの女性詩人パプーシャの生涯を描いた荘厳なる伝記ドラマ。

パプーシャにヨヴィタ・ブドニク。
ディオニズィにズビグニェフ・ヴァレリシ。
イェジ・フィツォフスキに「カティンの森/2007」のアントニ・パヴリツキ。
監督、脚本はヨアンナ・コス・クラウゼ&クシシュトフ・クラウゼ。

雪が積もる道を馬車で移動し、老若男女が集まりたき火を囲む...パプーシャが生まれた1910年〜夫のディオニズィが亡くなる1970年代までを全編モノクロで描いたドラマは少々とっつきにくい。
オープニングはパプーシャの誕生。そして突然60年後に舞台は移り、大臣命令でパプーシャが刑務所から出され音楽会へ連れて行かれるシーンとなる。音楽会で歌われた歌詞はパプーシャが書いた詩。その後、少女時代のパプーシャ、結婚後のパプーシャとめまぐるしくシーンは交錯する。少々頻繁なので映画の半ばくらいまで戸惑いつつ、しかもゆったりと進む白黒ドラマに睡魔に誘われそうだったが、イェジがパプーシャの詩を新聞に掲載した後、迫害に合うパプーシャが気の毒でドラマに惹き付けられて行った。

パプーシャは15歳の時、父親の兄である伯父ディオニズィと強引に結婚させられる。年月が経過したある日、ディオニズィは秘密警察から逃げている作家で詩人のイェジを匿う。それは周りの反対を押し切っての決断だった。放浪民族ロマは文字を持たないが、パプーシャは少女の頃から文字に興味を持ち読み書き習得していた。文字が読めるパプーシャに驚きつつ、彼女の詩の才能を知ったイェジは、詩を書いて送って欲しいと万年筆をプレゼントし別れを告げる。
ずっと迷っていたパプーシャながら、ある日、ワルシャワに住むイェジに詩を書いた手紙を送る。やがて彼はロマ語で書かれた詩をポーランド語に翻訳し出版しようと考え、大物詩人ユリアン・トゥヴィムを訪ねる。そしてとうとうパプーシャの詩が新聞に掲載される。しかしイェジがパプーシャの詩と共にロマに関する論文を本にしたことから、ディオニズィとパプーシャ夫婦は裏切り者扱いされ追放される。白人社会から差別を受けるロマの人間が、白人社会に関心を持たれたパプーシャに憎しみや恨みを投げつけたのだ。

パプーシャとイェジの出会いと別れが悲しい。大きく二人は二度別れを経験している。最初の別れでパプーシャはイェジに惹かれていることを切に感じている。しかし二度目の別れの時イェジの援助を受けていれば…と思わずにはいれない。

ジプシーと呼ばれてきたロマは一般にヨーロッパで生活している。記憶をたどると…「そして友よ、静かに死ね/2011」でジェラール・ランヴァン演じる元ギャングのモモンはフランスのロマ。「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム/2011」でもノオミ・ラパスがやはりフランスのロマのマダムを演じている。

岩波ホールにて
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by margot2005 | 2015-04-29 23:41 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「みんなのアムステルダム国立美術館へ」

「 Het Nieuwe Rijksmuseum - De Film」…aak「The New Rijksmuseum」2014 オランダ
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監督は「ようこそ、アムステルダム美術館へ/2008」のウケ・ホーヘンダイク。

主要登場人物
新館長ヴィム・パイベス
学芸員タコ・ディベッツ
アジア館部長メンノ・フィツキ
建築家クルス&オルティス
内装家ウィルモット社、ウイルモット&マルレーン

「ようこそ、アムステルダム美術館へ」で描かれた“美術館vs市民/館長vs建築家/官僚vs美術館”の対立。
果たしてオープンの日は来るのか??という話だったが、やはりで、オープンは大幅に遅れ、2008年予定が2013年4月となった。
前作で描かれた、上に書いた対立は不謹慎ながら実に面白かった。
でも本作も中々面白い。

館長になりたかった学芸員タコ・ディベッツは残念なことに新館長には選ばれず学芸員のまま。しかしその中でもトップクラスで、アムステルダム国立美術館に展示する美術品を選べる立場にある。担当者をサザビーズに送り芸術品を競り落とすよう指示を出す。国の予算で運営される国立美術館ゆえ、多額の金銭を競りに使う事は叶わない。タコ・ディベッツお気に入りの芸術品は高額過ぎて競り落とせなかったのはとてもお気の毒だった。
前作に登場したもう一人の人物であるアジア館部長メンノ・フィツキの“金剛力士像”への愛着の深さには感動するばかり。
そして美術館の内装についての喧喧諤諤のシーンも忘れてはならない。しかし新館長が黒く(ダークグレー)塗った壁が気に入らなくてあわてて白く塗り替えたりするのだ。美術館に設置する陳列だなの視察にパリのルーヴルを訪れるシーンもあった。
そういえば、全面改装したパリのオルセーも壁はダークグレーに塗り替えられていた。ダークグレーは絵画の金縁の額にマッチするのだろうきっと。
大事な時に居眠りする内装家ウィルモット氏の存在も実に面白い。
そして前作同様修復シーンも見せてくれる。

前館長ロナルド・デ・レーヴもカッコ良かったけど、新館長ヴィム・パイベスもカッコ良いのだ。“忍耐の限界だ!”と発言し辞任したロナルド・デ・レーヴは今頃ウイーンにいるはず。前作で今後はウイーンに住むと宣言していたから。
ラスト、ベアトリクス女王とオープニングに臨むヴィム・パイベスの爽やかな笑顔が素晴らしかった。アムステルダム国立美術館にはますます行ってみたくなる。

渋谷ユーロスペースにて
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by margot2005 | 2015-01-19 00:36 | ヨーロッパ | Trackback(2) | Comments(2)

「おやすみなさいを言いたくて」

「Tusen ganger god ant」…aka「A Thousand Times Good Night」2013 ノルウェー/アイルランド/スウェーデン
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報道写真家のレベッカは家族をアイルランドに残しアフガニスタンの首都カブールにいる。そしてその地で自爆テロに巻き込まれ命を落としそうになるが辛くも助かり病院へ収容される。やがて入院先へ夫のマーカスが迎えにくる。アイルランドへ戻った彼女は母親の死に怯えながら暮す娘たちと向き合うとこになる...

レベッカに「トスカーナの贋作/2010」のジュリエット・ビノシュ。
夫マーカスに「ブラウン夫人のひめごと/2002」「ヘッドハンター/2011」のニコライ・コスター・ワルドー。
長女ステフにローリン・キャニー。
次女リサにアドリアンナ・クラマー・カーティス。
レベッカの友人テレサに「THE TUDORS 〜背徳の王冠〜/2007〜2010」「ビザンチウム/2012」のマリア・ドイル・ケネディ。
監督はエリック・ポッペ。

世界各国で起こる悲惨な事実を映像にしメディアに発表することがレベッカの使命。マーカスはそんな彼女の仕事を理解し家事と子育てを全面的に協力している。しかし家に帰ったレベッカはマーカスから“娘たちはいつも母親の死に怯えながら暮らしている!”と告げられる。ステフからも“そんなに写真が大事なの!”と詰め寄られ動揺を隠せない。やがて彼女は家族にもう戦場には戻らないと宣言する。穏やかで平和な日々が続くある日、レベッカはケニアへの取材を持ちかけられ、アフリカに興味を持つステフと共にその地へと旅立つ。ところが、安全な地域と信じていたケニアで突然暴動が起こる。結果レベッカは自らの使命に邁進し、危険を顧みないで写真を撮り続ける。帰国する前、二人はケニアが危険であった事をマーカスに内緒にするよう約束する。しかしレベッカは自分に心を開こうとしないステフに疑問を抱き始める。案の定娘はケニアでの出来事にわだかまりを抱き続けていたのだ。やがてケニアで起こった事がマーカスの知ることとなり、怒り狂ったマーカスはレベッカを家から追い出してしまう。
ラストはあまりにも醜く悲惨で…見るのが辛かった。

製作国のトップがノルウェーなのは監督の出身地。映画の舞台はアイルランド。写真家のレベッカが撮影に行くスポットとしてアフガニスタン、モロッコ、ケニアで撮影されている。
この映画を観たかったのはひたすらニコライ・コスター・ワルドーの出演に惹かれたから。彼はデンマーク出身のお気に入り俳優。そいうや昨年wowowで見たトム・クルーズの「オブリビオン/2013」にも出演していたのを思い出す。キャメロン・ディアスと共演の「The Other Woman/2014」が是非見たい!
主演のジュリエット・ビノシュは好きでもキライでもない女優ながら色んな映画に出演しているのでビノシュ映画は良く観ている。一番最新に見た作品はwowowで放送されていた「カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇/2013」。カミーユ・クローデルと言えばイザベル・アジャーニの「カミーユ・クローデル/1988」ながら、ビノシュ版は精神を病んだカミーユ・クローデルが病院に収容されている間を描いた作品で中々興味深かった。

本作に戻って…ニコライ・コスター・ワルドーが“family man”な役を演じたのは初めて見た。彼自身2人の娘の父親ということもあり役柄にぴったり。ニコラスますますお気に入り俳優となった。

角川シネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2015-01-08 20:02 | ヨーロッパ | Trackback(2) | Comments(0)

「ストックホルムでワルツを」

「Monica Z」…aka「Waltz for Monica」2013 スウェーデン
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スウェーデンの田舎町ハーグフォッシュに住む電話交換手のモニカはシングルマザー。一人娘のエヴァ・レナを両親に預け、時折ストックホルムのジャズクラブでシンガーとしてステージにたつ忙しい日々を送っている。そんな折、モニカの歌を聞いた評論家がニューヨークで歌わないかと誘いをかけてくる。母親放棄の娘モニカに父親は厳しい態度を取るが、いつかシンガーとしての成功を夢見る彼女はその誘いを受けニューヨークへと旅立つ。しかしニューヨークでは無惨な結果に終り、帰宅したモニカに父親はシンガーをやめ、エヴァ・レナのために生きるよう宣告する…

モニカ・ゼタールンドにエッダ・マグナソン。
ストゥーレ・オーケルベリにスベリル・グドナソン。
モニカの父親ベントにシェル・ベリィクヴィスト。
モニカの娘エヴァ・レナに「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~/2012」のNadja Christiansson。
マリカにヴェラ・ヴィタリ。
監督はペール・フリー。

モニカ・ゼタールンドは確固たる信念の持ち主であった。頑なまでに自分の生き方を主張し、目的に向かってがむしゃらに突き進むかなりの自己中人間。一時期父親との不和が激しかったが、そこは親子…最後は父親も娘のことを認めることになる。そしていつも側にいて気になるベーシストのストゥーレ。彼との愛が成就したラストに一安心した。

スウェーデンを代表するモニカ・ゼタールンドのことはもちろん初めて知った。この方きっと 国民的シンガーだったのだろう。
ジャズを母国語で歌うという発想は中々素晴らしい。それはニューヨークでエラ・フィッツジェラルドと出会い…“あなたの大ファンです!”なんて言ったモニカに“英語で歌って意味は理解出来てるの?”と言われたことからきている。“白人にソールミュージックが歌えるの?”と言われたようなもの。あの時モニカは相当傷ついただろうと察する。でもそれごときでめげるモニカではない。
やがて母国語で歌ったジャズのスタンダードナンバーがヒットしスター街道まっしぐら!そして舞台女優としての才能も開花させ人気を得る。
男を手玉に取るのが非常に上手いモニカ。演じるのは女優初仕事というエッダ・マグナソン。彼女は正統派 スウェーデン美人でご本人にも似ていてナイス・キャスティング。

映画のウェブサイトに“北欧中を熱い感動の涙で包んだ…”とある。“ワルツ・フォー・デビー”が流れるエンディング…私的にもしばし感動に浸った。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2014-12-11 00:10 | ヨーロッパ | Trackback(7) | Comments(2)

「オオカミは嘘をつく」

「Big Bad Wolves」2013 イスラエル
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森の中でかくれんぼする一人の少年と二人の少女。鬼になった少年は一人の少女を見つけ、もう一人の少女を探し当てる。しかしそこに少女の姿はなく片方の靴だけが残されていた。やがてそれは凄惨な少女暴行殺人事件へと発展する。
連続殺人事件を捜査する刑事のミッキは高校の宗教学の教師であるドロールを最重要容疑者と断定する。ミッキは同僚と共に不法極まりない取り調べでドロールを追いつめるが、決して口を割ろうとはしない。しかしミッキの拷問とも思える取り調べがYou Tubeに流れ署長に呼ばれた彼は停職処分となる…

ミッキにリオル・アシュケナージ。
ギディにツァヒ・グラッド。
ドロールにロテム・ケイナン。 
ギディの父親ヨラムにドヴ・グリックマン。
ミッキの同僚ラミにメナシェ・ノイ。
署長にドゥヴィール・ベネデック。
馬に乗った男(アラブ人)に「ワールド・オブ・ライズ/2008」のカイス・ナシェフ。
エティにナティ・クルーゲル。
監督、脚本はアハロン・ケシャレス&ナヴォット・パプシャド。

ポスターにあるように...“昔々あるところに幼い女の子がいました...”で始まるのはシャルル・ペローの童話“赤ずきん/Little Red Riding Hood”。で、やはり狼は嘘をつくのだ。

定職処分になったミッキが黙っているワケがない。密かに行動開始したミッキはドロールの家の前に張り込み執拗に追いつめる。しかしそこへ現れたのは他ならぬ被害者である少女の父親ギディ。そしてここからドラマは“Big Bad Wolves”へとまっしぐらに駆け抜ける。

原タイトルの“大きな悪い狼たち”…狼は複数になっているところがミソ。邦題の“オオカミは嘘をつく”はなんとなく結末が予想されてしまうのではないか?と想像したがやはりで…でも全ては語られず見るものに委ねられる。

クエンティン・タランティーノが絶賛したというドラマはかなりの凄まじさ。次に何が起こるのか?と興味津々で息も付けない展開に、エンドロールが始まるやいなや思い切り息をついてしまった。シアターも混んでいたし...。
スーパー級に緊迫したムードの中、ちょっと一休みって感じでユーモアを交える(鼻歌を歌いながらケーキを焼いたり、携帯でママと会話したりして...)辺りは実に上手い。アハロン・ケシャレス&ナヴォット・パプシャドのデビュー作「ザ・マッドネス 狂乱の森/2010」が是非見たいものだ。

ギディが不動産屋エティから買った新しい家はアラブ人が多く住む地域。エティはこのようなアラブ人が多い物騒な地域になぜギディは家を買ったのだろう?と疑問を抱くが、家が売れたことを喜ぶあまり余計な詮索はしない。やがてギディが住み始めた新しい家に馬に乗ったアラブ人が通りかかる。近隣者として挨拶に来たアラブ人に何食わぬ顔で挨拶を交わすギディ。そうギディは新しく買った家の地下室でとんでもない秘密を隠していたから…。

イスラエル人とアラブ人が交わらないのは世界中の人々が知っている現実。ドラマで彼らのよそよそしい態度を見れば一目瞭然。ミッキとアラブ人の遭遇も出てくるが、そのやり取りはぎこちなくて面白い。十字軍の頃からの確執は今だ続くといった様子。

被害者の父親であるギディの執念とも思える行動も然ることながら、突然訪問した父親ヨラムの行動に背筋が凍る。なんと似た親子だろう!と感嘆せずにはいられない。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2014-12-04 00:08 | ヨーロッパ | Trackback(7) | Comments(0)

「馬々と人間たち」

「Hross í oss」…aka「Of Horses and Men」2013 アイスランド/ドイツ/ノルウェー
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アイスランドの小さな村にもようやく春が訪れようとしている。
独身男コルベインはシングルマザーのソルヴェーイグに惹かれていて、ある時、馬に乗り彼女の家を訪ねたところお茶に招かれる。やがてソルヴェーイグの家を辞去し牝の愛馬に乗り家路へと進む道、あろうことか柵を超えたソルヴェーイグ自慢の種馬が近づきコルベインの愛馬をキズものにしてしまう。ショックから立ち直れないコルベインもようやく落ち着きを取り戻し愛馬に銃を向ける。一方でソルヴェーイグは彼女の愛する種馬を去勢するしかなかった...。

コルペインにイングヴァール・E・シーグルソン。
ソルヴェーイグにシャーロッテ・ボーヴィング。
ヨハンナにシグリーズル・マリア・エイルスドティール。
ヴェルンハルズルにステイン・アルマン・マグヌソン。
エーギットールにヘルギ・ビョルンソン。
グリームルにキャルタン・ラグナルソン。
フアン・カミーリョにフアン・カミーリョ・ロマン・エストラーダ。
監督、脚本はベネディクト・エルリングソン。

村人たちはコルベインとソルヴェーイグの行く末に興味津々。観光客を迎える準備に忙しい村人も二人が気になって仕方がないのだ。そして双眼鏡片手に二人の姿をウオッチングする姿あり。

飲んだくれのヴェルンハルズルは海上に停泊するロシア船に愛馬と共に乗り込みウオッカを手に入れる。強い酒ウオッカは飲み過ぎに注意…といわれたにも関わらず陸に戻る間もウオッカを飲みまくるヴェルンハルズル。案の定飲み過ぎた彼は草原で眠ってしまい命を落とす。
エーギットールとグリームルは馬を柵に入れることでもめ争いの追跡劇を始める。
スウェーデン出身の馬のトレーナー志願のヨハンナは見事な手綱さばきをするスーパーウーマン。そんな彼女に惚れる旅人フアン・カミーリョ。

コルペインとソルヴェーイグが惹かれ合うように、互いの愛馬も惹かれ合っている様子が実に可笑しい。アイスランド舞台の馬と人間のオムニバス群像コメディは馬が主人公で人間は脇役といった感じ。壮大なる草原を走り回る馬が美しい。
春とはいえ冷たい海を泳ぐ馬…馬って水泳得意なんだと感心しきり。まぁ人間以外全ての動物は泳げるようだが…。

BSの旅番組で何度も見たアイスランド。かの地に行くことは多分叶わないだろうけどとても興味深い国ではある。で、この映画の予告をシアターで観ていたため少々気になっていた。ハリウッド大作やその他の映画のロケーションにも登場している魅惑的なアイスランドは実に美しい国(島)。

大笑いするほどでもないけど、なんか可笑しいアイスランド映画は期待以上に楽しめる。
映画のラストで…“映画撮影において馬を決して傷つけてはいません。”という案内がでる。映画の中で馬を射殺したり、去勢したり、果ては馬の内蔵を取り出すシーン迄でてくるのだから…。

シアター・イメージフォーラムにて
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by margot2005 | 2014-11-27 23:58 | ヨーロッパ | Trackback(2) | Comments(2)

「人生はマラソンだ!」

「De Marathon」2012 オランダ
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ギーアにステファン・デ・ワレ。
キースに「闇を生きる男/2011」のフランク・ラマース。
ニコにマルセル・ヘンセマ。
ユースにミムン・オアイッサ。
ユースのおじホセインに「ドゥーニャとデイジー/2008」のマフーブ・ベンムーサ。
脚本、出演(レオ)にマルティン・ヴァン・ワールデンベルフ。
監督はディーデリック・コーパル。

ロッテルダムに住むギーアは父親から引き継いだ自動車工場を営んでいる。ある日、ギーアが従業員たちにひた隠しにしていた税金滞納がバレ、工場経営がヤバいことが皆に知られてしまう。従業員はほぼ仲間状態のキース、ニコ、レオ、の三人とエジプト移民のユース。ユース以外の4人は、昼食時からビールを飲み、仕事をしているのか?遊んでいるのか?わからないほど能天気な日々。そんな彼らを目の当たりにしユースが立ち上がる...。

ユースは元ランナーで、マラソンで走っては広告料を稼いでいた話を皆に聞かせる。そしてユースはロッテルダム、マラソンに出場し、完走すれば工場を救えるというアイデアを思い付く。ギーアたちは早速スポンサー探しを始めるが、案の定ことごとく断られる始末。困ったユースは最後の手段で彼らをおじフセインの経営する自動車販売店へと案内する。最初は渋っていたフセインも、全員完走出来れば税金を肩代わりすると約束してくれる。

オランダ映画は「ようこそ、アムステルダム美術館へ/2008」以来。
シアターで予告を何度も観て少々気になっていた一作。“感動作!”とさかんに宣伝していたが、それほどの感動ではなかったかな?
マラソンのシーンはハートウォーミングではあったが…。

ギーアは、勉強が嫌いで、親の財布から金をくすねる息子と、認知症の母親を抱える末期ガン患者。
レオは売春宿で出会った女と同居し、男はもう買わない!と宣言した彼女が男と遊び回る姿に絶望し、彼女の子供を引き取る心優しい男。
ニコは同居していた女性に去られ意気消沈中だが、スポーツ・ショップで出会った若くてハンサムな青年に恋をしてしまう。
キースの妻は敬虔なるクリスチャンで、食事の度に祈りをささげ、日曜は労働をせず礼拝に行かねばならないと諭す。キースの息抜きは大好きな模型電車を走らせること。
そんなそれぞれのキャラは面白い。

シネスイッチ銀座にて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2014-09-01 23:54 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「エージェント・ハミルトン ~祖国を愛した男~」

「Hamilton: Dans l'intérêt de la nation」…aka「Hamilton: In the Interest of the Nation」2012 スウェーデン
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カール・ハミルトンに「未来を生きる君たちへ/2010」「ヒプノティスト-催眠-/2012」「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~/2012」「ホビット 竜に奪われた王国/2013」のミカエル・パーシュブラント。
モウナに「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~」サバ・ムバラク。
ロブ・ハートに「ベンジャミン・バトン 数奇な人生/2008」「タイタンの戦い/2010」「ビトレイヤー/2013」のジェイソン・フレミング。
ベンジャミン・リーにレイ・フィアロン。
カールの上司DGに「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~」のレンナルト・ユールストレム。
スウェーデン首相サラ・ランドハグに「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス/1999」のペルニラ・アウグスト。
カールのボス、ステファン・ヴァーンマンに「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女/2009」「ミレニアム2 火と戯れる女/2009」のペーター・アンデション。
カールの恋人マリアにFanny Risberg。
監督はキャスリン・ウィンドフェルト。

スウェーデンのスパイ、カール・ハミルトンはテロリストと武器の売買をしているロシアのマフィア組織に潜入する。しかし謎のテロリストに狙撃され組織のメンバーは全て殺され、武器も奪われ逃走されてしまう。一人生き残ったハミルトンは彼らの陰謀の情報をつかみ祖国のために奔走する...

「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~」の前に作られたスウェーデン製スパイアクション。
20年間スパイ活動をし、恋人マリアと新しい人生を歩もうと決断したカールがマリアの死によって再び祖国スウェーデンに忠誠を誓うドラマとなっている。
前作をシアターで観て、本作もとても観たいと思っていたところwowowで上映されやっと見ることができた。先々週以来北欧映画をまとめて上映してくれるwowowよ!ありがとう!

カール・ハミルトンを演じるミカエル・パーシュブラントがスパイ役なんて…と「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~」のレビューにも書いたが、ソフトな彼が頭脳(もちろん身体も使う)で“悪者”と闘う姿が実にクール!「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~」同様世界を飛び回るハミルトンに目が離せない。彼を助けるモウナの存在も素敵だ。
北欧舞台の映画はスクリーンに映る景色が素晴らしく美しい。スウェーデン舞台の本作も海に囲まれたストックホルムの街がとても綺麗だった。
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by margot2005 | 2014-07-24 20:47 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「家族の灯り」

「O Gebo e a Sombra」…aka「Gebo et l'ombre」「Gebo and the Shadow」2012 ポルトガル/フランス
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ジェボに「そして、デブノーの森へ/2004」「ミュンヘン/2005」「宮廷画家ゴヤは見た/2006」「神々と男たち/2010」「楽園からの旅人/2011」のミシェル・ロンズデール。
ドロテイアに「鞄を持った女/1961」「山猫/1963」「ブーベの恋人/1963」のクラウディア・カルディナーレ。
ソフィアにレオノール・シルヴェイラ。
ジョアンにリカルド・トレパ。
カンディアに「死刑台のエレベーター/1957」「黒衣の花嫁/1968」「ぼくを葬る/2005」「クロワッサンで朝食を/2012」のジャンヌ・モロー。
シャミーソにルイス・ミゲル・シントラ。
監督、脚本は「コロンブス 永遠の海/2007・ノン、あるいは支配の空しい栄光/1990」「ブロンド少女は過激に美しく/2009」のマノエル・ド・オリヴェイラ。
レオノール・シルヴェイラ/リカルド・トレパ/ルイス・ミゲル・シントラの三人はオリヴェイラ監督の常連俳優。
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老人ジェボは帳簿係として細々と生活している。その帳簿係も会社のお情けから続けられている有様。ジェボは妻ドロテイアと息子の妻ソフィアの三人暮らし。愛する息子ジョアンは8年前に疾走以来戻って来ない。しかしある夜ジョアンがいきなり帰ってくる。ジョアンの出現で穏やかな生活が乱れ始め3人は動揺し始める...

原タイトルは“ジェボと影”。邦題の“家族の灯り”はスーパー級に家族思いのジェボからきているのかも知れないが、かなり短絡的につけた模様。

マノエル・ド・オリヴェイラ映画を鑑賞したのは「クレーヴの奥方/1999」「夜顔/2006」以来6作目。
昨年の9月に渋谷で上映されたオムニバス作品の「ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区/2012」は見損なってしまった。wowowでの放送を期待したい。

主人公のミッシェル・ロンズデールは「楽園からの旅人」では神父を演じていた。本作では貧しいが、穏やかで心優しいジェボ役が似合っている。
懐かしのクラウディア・カルディナーレはwowowで放送されたジャン・デュジャルダン主演の「海の上のバルコニー/2010」で母親を演じていて、あまりにもおばあさんで驚いた。それというのもメイクが濃かったから余計に顔年齢が強調されていて…本作では濃いメイクではないのと、全編暗いシーン(ランプの時代)であるため、ジャンヌ・モロー同様顔年齢が強調されることはない。年を重ねた女優は照明を落とした映画に出演すべし!かも知れない。ジュンヌ・モローがキュートなのだ。
カルディナーレ映画は昨年11月に渋谷のル・シネマで公開されていた「ふたりのアトリエ 〜ある彫刻家とモデル/2012」を見逃してしまっている。

オリヴェイラ映画はどれもこれも舞台劇を見ているような雰囲気がある。本作はそれの最たるもので、クラシックなMusic(シベリウス)が流れる中、シーンはジェボの家のリヴィングルームが90%以上。ジェボとドロテイア、ジェボとソフィアの語らい。そしてジェボとドロテイアとソフィアの元へ隣人のカンディアやシャミーソが訪れ語らいが始まる。原作が戯曲であることを知り、道理でであった。
しかしながらあの唐突なるエンディングには驚き。

神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2014-03-11 21:27 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(0)