カテゴリ:ヨーロッパ( 54 )

「ひつじ村の兄弟」

「Hrútar」…aka「Rams」2015 アイスランド/デンマーク/ノルウェー/ポーランド
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アイスランドの辺境の地に住む兄弟キディーとグミーは隣合う家に住みながら非常に仲が悪く40年も口を聞いていない。そして毎年開催される羊の品評会ではいつも兄弟の羊が優勝を競い合っている。そんな折、キディーの羊が疫病に侵されていることが発覚する…

グミーにシグルヅル・シグルヨンソン。
キディーに「ザ・ディープ/2012」のテオドール・ユーリウソン。
保健所のカトリンに「馬々と人間たち/2013」のシャーロッテ・ボーヴィング。
監督、脚本はグリームル・ハゥコーナルソン。

保健所の立ち入り調査が入り村の全ての羊が殺処分されることになる。先祖代々の羊が絶滅の危機にさらされてしまい、焦ったグミーは牡の羊1匹と数匹の牝羊を繁殖のため家の地下に隠すことを思いつく。

アイスランド発のヒューマン・コメディドラマは大笑いするほどのものではないが、愛する羊たちのために人間がバタバタする様子が描かれていて面白かった。
「馬々と人間たち」と同じくアイスランド映画はどこか可笑しい雰囲気を漂わせるのだ。

初老の兄弟は共にシングルで非常に仲が悪い。しかしながらそこはやはり血を分けた仲。弟が酔っぱらって雪の上で眠った兄を介抱したり病院へ運んだりする。渋々ながらではあっても。
トラクターで病院へ運ぶ(荷物を載せる部分に人間をのせる)シーンに唖然とし、兄弟は会話しないので手紙を書いて犬に届けさせる様子は微笑ましくなる。
何はともあれグミーにとって羊はまるで愛するペットのよう。ぎゅっと抱きしめ頬すりしたあげくキスまでするのだから。臭くないのか?と何度も思った。俳優は大変だ!
大ラスの兄の深い愛にびっくり。あれは完璧アイスランドのやり方だと思う。

アイスランドと言えば火山と歌姫ビョークくらいしか思い浮かばないが牧羊(羊毛)が盛んらしいことを知った。
映画の中で描かれるアイスランドの過酷な冬は凄まじい。見ていて印象に残ったのは兄弟がいつも着ている温かそうなロピセーター。なぜか?セーターはヒゲもじゃの顔にとてもマッチしている。スコットランド、アラン島のフィッシャーマンズセーターも素敵だがロピセーターもかなり素敵だ。

新宿武蔵野館にて
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by margot2005 | 2016-01-13 23:56 | ヨーロッパ | Trackback(4) | Comments(0)

「独裁者と小さな孫」

「The President」2014 ジョージア/フランス/UK/ドイツ
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孫息子を膝に乗せ、電話一本の命令で街中の電気を消したりつけたりして遊んでいる、とある国の大統領。彼は国民から搾取した税金できらびやかな宮殿で日々贅沢な生活を送る一方、政権維持のため罪なき国民を処刑する残酷な男だった。やがてクーデターが勃発する…

大統領にミシャ・ゴミアシュウィリ。
孫息子にダチ・オルウェラシュウィリ。
理髪師にズラ・ベガリシュヴィリ。
護衛にラシャ・ラミシュヴィリ。
売春婦にラ・スキタシュヴィリ。
歌手の政治犯にグジャ・ブルデュリ。
愛に生きる政治犯にソソ・クヴェデリゼ。
寛大な政治犯にダト・ベシタイシュウィリ。
監督、脚本は「カンダハール/2001」のモフセン・マフマルバフ。

オープニング...ライトアップされた美しい街中を一台の車がゆったりと走っている。車のシーンが終わり、とある国の大統領と孫息子が戯れた後クーデターが起こり大統領は国外退去を余儀なくされる。大統領の妻や娘たちはいち早く国外へと出るが、大好きな幼なじみのマリアと離れるのが辛い孫息子は、楽しいことでいっぱいの宮殿へ戻ると言い張るが叶わない。街中では暴徒と化した住民が怒り狂い“大統領を殺せ!”とわめき立てている。まもなく国外脱出が無理とわかった大統領は孫息子を連れ、変装をして流浪の旅にでる。

大統領は自分が犯した罪をどうのように感じていたのだろう?流浪の旅の最中政治犯たちとの出会いが皮肉っぽくて面白い。
少々コメディ入っているがドラマは笑えない。切羽詰まった大統領と孫の行方がとても気になる。そしてエンディングに救われる。

大統領役のミシャ・ゴミアシュウィリと孫息子役のダチ・オルウェラシュウィリがナイス・キャスティング。赤いスカーフを被って女の子に変装したりする孫息子。ダチ・オルウェラシュウィリが全編健気に演じていてとても可愛い。

1980年代にルーマニア革命でチャウシェスクという大統領が失脚し妻と共に銃殺刑になった事件を思い起こす。あの宮殿(現在は国民の館)もスゴく贅を尽くしてあった記憶がある。
舞台は架空の国。ロケ地はジョージアとタジキスタン。グルジアの呼称がジョージアになったのは今年の4月。ジョージアにピンとこないのも無理はない。

新宿 武蔵野館にて
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by margot2005 | 2015-12-31 23:32 | ヨーロッパ | Trackback(2) | Comments(0)

「アンジェリカの微笑み」

「O Estranho Caso de Angélica」…aka「The Strange Case of Angelica」2010 ポルトガル/スペイン/フランス/ブラジル
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リスボン、ドウロ河流域の小さな町。ある日、カメラが趣味の青年イザクは富豪のポルタシュ館から写真撮影を依頼される。そして屋敷の女主人から亡くなった娘アンジェリカの最後の写真を撮って欲しいと告げられる。やがてイザクがカメラを構えファインダーを覗いた瞬間アンジェリカが微笑んだように見えた。しかし周りの誰もそれに気づいてはいない。写真を撮り終え下宿先の部屋へ戻ったイザクは、もはやアンジェリカを忘れることはできないと感じ始める...

監督、脚本は「コロンブス 永遠の海/2007」「ノン、あるいは支配の空しい栄光/1990」「ブロンド少女は過激に美しく/2009」「家族の灯り/2012」のマノエル・デ・オリヴェイラ。
イザクにリカルド・トレパ。
アンジェリカに「女王フアナ/2001」「アラトリステ/2006」「シルビアのいる街で/2007」「ブエノスアイレス恋愛事情/2011」のピラール・ロペス・デ・アジャラ。

現像しフォトとなったアンジェリカが再びイザクに微笑みかけてくる。イザクはアンジェリカに魅せられ茫然自失となる。下宿先の女主人はそんなイザクを心配するが、アンジェリカに取り憑かれてしまっているイザクは周りが見えていない状態。寝ても覚めてもアンジェリカが現れ、あろうことか夢の世界から現れたアンジェリカが手招きしている。
パジャマ姿のイザクと、白いドレスで空を飛ぶアンジェリカが滑稽ながらファンタジック。

主人公はいつものように監督の孫のリカルド・トレパ。死者に恋した青年の物語って??と展開が楽しみで、最初アンジェリカが生き返るのかな?なんて想像逞しくしていたがそのようなことにはならない。
「ブロンド少女は過激に美しく」で美しい少女に夢中になる青年を思い起こす。
2015年に106歳で亡くなったオリヴェイラ監督。100歳を過ぎても恋する男が主人公の映画を作るなんてなんとロマンティックな人なのだろう、と感心する。

アンジェリカ役の彼女…もうスゴく見たことのある女優だ!と思いながら全く思い出せずにPCでチェックしたらスペイン人女優のピラール・ロペス・デ・アジャラ。そして彼女の映画は何作も見ていることが判明。印象に残るのは「女王フアナ」だが「シルビアのいる街で」「「ブエノスアイレス恋愛事情」の彼女も良かった。
もう決してマノエル・デ・オリヴェイラが作るリカルド・トレパ主演の映画が見られないとは実に寂しい。

Bunkamuraル・シネマにて
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by margot2005 | 2015-12-21 23:58 | ヨーロッパ | Trackback(4) | Comments(0)

「1001グラムハカリしれない愛のこと」

「1001 Gram」2014 ノルウェー/ドイツ
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ノルウェーの国立計量研究所に勤める女性化学者マリエは、あらゆる計測のエキスパート。ある日、心臓発作で倒れた父親の代わりにパリで行われる国際セミナーに参加し、パイと言う名前のフランス人科学者と出会う…

マリエにアーネ・ダール・トルプ。
パイに「幸せになるための恋のレシピ/2007」のロラン・ストケル。
マリエの父親アーンスト・アーンストにスタイン・ヴィンゲ。
マリエの同僚ヴェンケに「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のヒルデグン・リーセ。
監督、製作、脚本は「キッチン・ストーリー/2003」「ホルテンさんのはじめての冒険/2007」「クリスマスのその夜に/2010」のベント・ハーメル。

ひと味違った映画を作るベント・ハーメル。「キッチン・ストーリー」での“独身男性の台所での行動パターン調査”も可笑しかったが、こちらは物を計る基準となる“キログラム原器”が主人公と言うのが実にユニーク。

「クリスマスのその夜に」はそれほどでもなかったが「ホルテンさんのはじめての冒険」はかなりのハートウォーミング・コメディ。本作は何もかも壊れてしまい、途方にくれるヒロインが国際セミナーで出会った心優しいフランス人化学者と明るい未来を取り戻すラヴ・ストーリーと言った趣。

マリエが計量研究所に勤めるだけあって、少々無機質ではあるが計算し尽くされた趣の彼女の家の家具が完璧なまでに美しい。でも結婚生活ではパイロットの夫とは離婚寸前。人間誰しも全てにおいて完璧にはなれないといったところ。
マリエを演じるアーネ・ダール・トルプはノルウェーでは有名な女優だそう。今回彼女の映画を初めて見た。少々冷たいイメージを感じる淡々とした雰囲気がドラマのヒロインにぴったり。

それぞれの国に“キログラム原器”なるものが存在し、パリにある“国際キログラム原器”は“1キログラムの母”と形容され金庫の中に厳重に保管されている。国際セミナーで1キログラムの新しい定義をめぐって議論が交わされるシーンはなんとなく滑稽だった。

原タイトルの“1001グラム”...亡くなった父親の遺灰の重さとはやはりひと味違ったベント・ハーメルの世界?
バスルームで交わされる“15.5でしょ?いや18.0かな?”といったあのサイズが意味深。
ヒロインの乗るノルウェーの電気自動車“buddy”が超かわいい。
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Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2015-11-26 00:14 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「裁かれるは善人のみ」

「Leviafan」2014 ロシア
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自動車修理工のコーリャは荒涼としたロシアの小さな港町に、若くて美しい妻リリアと一人息子のロマと共に貧しいながらも平和に暮らしている。ロマの母親は既に亡くなり、コーリャはリリアと再婚していた。しかしロマは若い継母に懐かず反撥ばかりで父親の頭を悩ませている。そんなある日、コーリャの友人で弁護士のディーマがモスクワからやって来る。町に開発計画が持ち上がり、ヴァディム市長はコーリャの土地を強引に買収しようと目論んでいたが、祖父の代から住んでいる土地を離れたくないコーリャはそれに反撥し裁判沙汰になっている。ディーマの努力にも関わらず、市とコーリャの間で行われた訴訟の結果はコーリャの敗北だった…

コーリャ(ニコライ)・セルゲーエフにアレクセイ・セレブリャコフ。
リリアに「エレナの惑い/2011」のエレナ・リャドワ。
ディーマ(ドミトリー)・セレズニョフに「360/2011」のヴラディミール・ヴドヴィチェンコフ。
ヴァディム市長に「12人の怒れる男/2007」のロマン・マディアノフ。
コーリャの息子ロマにセルゲイ・ポホダーエフ。
リリアの友人アンジェラにアンナ・ウコロワ。
アンジェラの夫パーシャに「エレナの惑い」アレクセイ・ロズィン。
監督、脚本は「父、帰る/2003」「ヴェラの祈り/2007」「エレナの惑い」のアンドレイ・ズビャギンツェフ。

憎々しげな悪徳市長ヴァディムの法を犯した行動に唖然とする。
中盤前くらいにリリアとディーマが不倫の関係にあることが描かれる。リリアを愛してやまないコーリャはどうしようもないながらも二人の関係を許すことになる。
かつては親友だった弁護士のディーマは卑怯にも逃げ出してしまった。心から妻子を愛する“善人”のコーリャが気の毒でならない。
コーリャは町中で出会った神父に“神はどこにいるのか?”と聞く。次から次へと不幸に見舞われるコーリャにとって神の存在など信じられなかったに違いない。

リリアの死に市長はからんでいたのだろうか?と想像逞しくなるが、ドラマの中で結果は明かされない。
ラスト、ヴァディム市長たちが祈りを捧げるロシア正教会のシーンを見て、彼らにとっての宗教の重さをしみじみと感じる。

原タイトルは“リヴァイアサン/巨大なもの”。スクリーンにコーリャ一家が住む近くの浜辺に白骨化し波に洗われる“リヴァイアサン”が何度か現れる。それはドラマを象徴するかのように、悲しげに映る。寒々とした海辺の町の映像が美しい。
上映時間は2:20。でもドラマに引き込まれていたので長さは全く感じなかった。
邦題は意味深い。

昨年の12月に「ヴェラの祈り」と「エレナの惑い」が公開された時に見たかったが叶わなかった。機会があれば見てみたい。

新宿武蔵野館にて
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by margot2005 | 2015-11-13 00:22 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(0)

「フレンチアルプスで起きたこと」

「Force Majeure」…aka「Turist」「Snow Therapy」2014 スウェーデン/フランス/ノルウェー/デンマーク
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有能なスウェーデン人ビジネスマン、トマス一家は、5日間のスキー・バカンスを過ごすためフランスの高級リゾート地にやってくる...

トマスにヨハネス・バー・クンケ。
妻エバにリーサ・ローヴェン・コングスリ。
娘クララにクララ・ヴェッテルグレン。
息子ハリーにヴィンセント・ヴェッテルグレン。
トマスの友人マッツに「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のクリストファー・ヒヴュ。
マッツの恋人ファンニにファンニ・メテーリウス。
監督、脚本はリューベン・オストルンド。

人為的な雪崩や、家族がバスルームで歯磨きするシーンにヴィヴァルディの“四季”の夏バージョンが流れる。圧倒的なヴァイオリンの調べがそれらのシーンに効果音として素晴らしくマッチし、見ている者にインアパクトを与えるのだ。雪崩のシーンはともかくとして家族の歯磨きシーンにヴィヴァルディは笑える。
コメディ・ヒューマンドラマだけど少々ブラック入ってる感じで大笑いするほどのものではない。ハッピーにスキー・バカンスを過ごす家族に突如襲う不穏な空気…それを作ったのは他でもない一家の主であるトマス。

初日、ゲレンデのトマス一家はハッピーモードで記念撮影。そしてバカンス2日目…昼食をとるトマス一家はホテルの絶景テラス・レストランにいる。そこへいきなり爆発音が轟きレストラン客のまさに目の前の雪山で雪崩が起きる。人工的な雪崩のため皆そのダイナミックな光景にカメラのシャッターをきりまくっている。しかし雪崩は予想外に勢いを増しテラスに襲いかかってくる。身の危険を感じたエバは泣き叫ぶ子供たちを守ろうと必死になりトマスに助けを求めるが、彼はその場から一人で逃げ出してしまっていた。

トマスの取ったあり得ない行動が気になるエバはレストランで出会ったカップルに、ことの顛末を話して聞かせる。しかしトマスはワケのわからないいいわけを並べ立てるばかり。証拠写真もあるのに...エバは夫への不満が募る。そうこうするうち、トマスの友人マッツが若い恋人を連れてやって来る。夕食の後子供たちのいない席でワインを飲みながらエバは再び雪崩の話を始める。そしてやはりここでも釈然としないトマスの説明にエバの不満はエスカレート。マッツはトマスをかばおうと躍起になるが、逆にマッツの恋人ファンニまでが“あなたもきっと逃げ出すわね!”と宣う始末。

シアターで何度か予告を見て少々気になっていた一作。
フランスや全米で絶賛されTOMATOMETERは92%とスゴいけど、わたし的には絶賛ってほどのものではなかったかな。西洋人とは感性が違うのかもしれない。
Englishタイトルの“不可抗力/観光客”の他にフランスでの公開タイトル“スノー・セラピー”が面白い。マッツと二人で滑りに興じた雪山で感情を爆発させたり、子供や妻の前で泣きわめいたりとトマスの姿は実に凄まじかった。トマスってひょっとして情緒不安定男だったのかな?

ラスト、バスのシーンでも毅然とした態度を取ったのはエバとマッツ…トマスって男は実に情けない。バカンスが終わったあの家族、その後はどうなったのだろう?
映画公開二週めの水曜割引デーのシアターは満席だった。
ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2015-07-18 23:30 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「悪党に粛清を」

「The Salvation」2014 デンマーク/UK/南アフリカ/スウェーデン/ベルギー
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1870年代のアメリカ西部。元兵士のジョンは兄ピーターと共にデンマークから新天地を求めこの地にやって来た。以来7年が経過し事業も軌道にのったある日、祖国から呼び寄せた妻と息子が到着する。やがて再会に喜ぶ3人が駅馬車で家路に向かおうとしていた折、刑務所帰りのならず者ポールが乗りこんできて外国から来たばかりのジョンの妻を愚弄し、家族を銃で脅したあげくジョンを馬車から突き落としてしまう…

ジョンに「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮/2012」のマッツ・ミケルセン。
マデリンに「007/カジノ・ロワイヤル/2006」のエヴァ・グリーン。
デラルー大佐に「P.S.アイラヴユー/2007」のジェフリー・ディーン・モーガン。
ピーターに「未来を生きる君たちへ/2010」「エージェント・ハミルトン ~祖国を愛した男~/2012」「ヒプノティスト-催眠-/2012」「エージェント・ハミルトン ~ベイルート救出大作戦~/2012」「ホビット 竜に奪われた王国/2013」のミカエル・パーシュブラント。
コルシカ人に「エリザベス/1998」「マルセイユの決着/2007」「エリックを探して/2009」「スウィッチ/2011」のエリック・カントナ。
知事キーンに「ニュー・ワールド/2005」「かけひきは、恋のはじまり/2008」のジョナサン・プライス。
保安官マリックに「リプリー 暴かれた贋作/2005」のダグラス・ヘンシュオール。
ポールにマイケル・レイモンド・ジェームズ。
監督、脚本はクリスチャン・レヴリング。

デラルー大佐は多数の子分を抱え町を牛耳っている。知事や保安官はデラルーの言いなりで住民は日々不満を募らせていた。人の命は駅馬車以下...という不条理の世界。
そんな折、デラルーの弟でマデリンの夫でもあるポールが死体となって発見される。殺害したのはジョンで、それは妻子を殺された彼の復讐劇だった。
“目には目を歯には歯を”“やるか、やかれるか”…ピーターは途中でやられてしまって残念だったけど、ジョンのデラルー一味をやっつける復讐劇が最高に盛り上がって面白い!
ドラマのテーマは“男の美学”とでもいうのか?シアターはおじさんで超満員だった。
極めつけのラスト...マデリンを伴って去って行くジョンのクールな姿に惚れ惚れする。

マッツ・ミケルセン&ミカエル・パーシュブラントの出演にスゴく楽しみにしていた一作。
デンマーク版ウエスタンってどんなの?と想像を膨らませていたが映画は最高!
1960年代〜70年代にイタリア製西部劇マカロニ・ウエスタン(Spaghetti Western)なるものがあった。それらの名作の中にあのクリント・イーストウッドが出演している。ジュリアーノ・ジェンマとかフランコ・ネロの作品をTVで何作か見た記憶がある。ちょっと調べてみたら、大半のものはユーゴスラビア(当時)とかスペインで撮影されていたそう...知らなかった。
本作のロケ地は南アフリカ。ラスト、真っ黒なオイル湧くシーンはアメリカの大地そのものに見える。

何はともあれマッツとミカエルが最高にクールなのだ。全くクールじゃないのがエリック・カントナ…なぜか?彼に西部劇は似合わない。もうホント浮いていて可笑しかった。
デラルー大佐役のジェフリー・ディーン・モーガンが凄みを帯びたワルそのもので「P.S.アイラヴユー」のキャラが飛んでしまった。
エヴァ・グリーンは一言も喋らないけど存在感あり。
オフィシャルHPでも見れるけど新宿武蔵野館ロビーの奥に置いてあるTVでマッツの英語のインタビューが見られる。
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新宿武蔵野館にて
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by margot2005 | 2015-07-05 23:59 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(0)

「ハイネケン誘拐の代償」

「Kidnapping Mr. Heineken」2015 オランダ/UK/ベルギー
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“1983年に実際に起きた大富豪ハイネケン誘拐事件の顛末を映画化した実録犯罪サスペンス。”

コルに「鑑定士と顔のない依頼人/2013」のジム・スタージェス。
ヴィレムに「アバター/2009」「タイタンの戦い/2010」「恋と愛の測り方/2011」「崖っぷちの男/2011」のサム・ワーシントン。
カットにライアン・クワンテン。
スパイクスにマーク・ファン・エーウェン。
コルの妻ソーニャにジェマイマ・ウエスト。
フレディ・ハイネケンに「プルーフ・オブ・マイ・ライフ/2005」「最終目的地/2009」「恋のロンドン狂騒曲/2010」「ヒッチコック/2012」「ノア 約束の舟/2014」のアンソニー・ホプキンス。
監督は「ミレニアム2 火と戯れる女/2009」「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士/2009」のダニエル・アルフレッドソン。

オランダ、アムステルダム。コルは幼なじみの友人たちと経営する事業に行き詰まり、融資を受けに銀行へ行くが断られてしまう。とにかく金が必要だったコルはヴィレムたちを誘い、綿密な計画の末フレディ・ハイネケン誘拐に成功する。そして警察のポストにハイネケン誘拐告知の手紙を投函する。大富豪である人質の家族はすぐにでも身代金を支払うと信じていたが何も変化は起きない。おまけにハイネケンは拉致にも怯まず平然とし、好みの本や食べ物を差し入れろと要求してくる。

シアターで予告を見て面白そうと思った。アンソニー・ホプキンスVSジム・スタージェス&サム・ワーシントンにもとても惹かれた。
映画の宣伝にアンソニー・ホプキンス主演…なんて書いてある記事があったり、大きくアンソニー・ホプキンスの顔写真を掲げている新聞等もあるが、本作アンソニー・ホプキンス主演ではない。しかしながらナイトの称号を持つ“ハンニバル/レクター”ホプキンスの貫禄は揺るぎないもので、少ない出番ながらものすごい存在感を感じる。ジム・スタージェスとサム・ワーシントンも頑張ってるのに…。

今だ謎が残るという“大富豪ハイネケン誘拐事件”。自身の誘拐を教訓に、その後セキュリティを強化したというハイネケンは転んでもただでは起きそうにない人物。一攫千金を狙って身代金要求の誘拐はしたものの、犯人たちは大物を狙い過ぎてしまったように思える。
ドラマは実話なので犯人は必ず捕まるという結末もわかっている。誘拐をテーマにしたドラマってどれもスリリングかと思えるが、本作はそれほどでもなく、幼なじみの誘拐犯たちのうろたえぶりの方がスリリングかも知れない。
邦題についている“代償”...コルやヴィレムたちにとって誘拐事件の“代償”は余りにも大きかったということがちょっと哀しい。

丸の内TOEIにて
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by margot2005 | 2015-06-21 22:34 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(2)

「真夜中のゆりかご」

「En chance til」…aka「A Second Chance」2014 デンマーク
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刑事のアンドレアスは美しい妻アナと生まれたばかりの息子アレキサンダーとともに平和な日々を過ごしていた。そんなある日、本部より通報を受け相棒のシモンと駆けつけたアパートでドラッグ中毒のカップル、トリスタンとサネに育児放棄され、トイレの床に汚物まみれで放置されている乳児を見つけ呆然とする...

アンドレアスに「ブラウン夫人のひめごと/2002」「ヘッドハンター/2011」「おやすみなさいを言いたくて/2013」のニコライ・コスター・ワルドー。
シモンに「ある愛の風景/2004」「未来を生きる君たちへ/2010」のウルリク・トムセン。
アナに「ヴェラの祈り/2007」のマリア・ボネヴィー。
トリスタンに「しあわせな孤独/2002」「ある愛の風景」「天使と悪魔/2009」のニコライ・リー・コス。
サネにリッケ・マイ・アナスン。
原案、監督に「愛さえあれば/2012」のスザンネ・ビア。

幼い息子が息をしなくなり狂乱する妻。落ち着かせようとする夫に、自殺するとほのめかす妻。焦った夫は育児放棄にさらされる乳児と自分の子供を交換するが、母親にとってその子供が代わりになるはずもない。
こういった時男ってどうして良いかわからなくなるのだろう。で、妻の暗示に動揺し咄嗟に思いついたことを実行に移す。やがてそれが悲劇につながって行くのだ。
見ていてアンドレアスが刑事とは思えない衝動的な行動を取るので少々困ったが、希望が見えるラストにつながりほっとした。
原タイトル「セカンド・チャンス」はドラマにぴったり。

北欧舞台の映画は景色が美しい。そしてアンドレアスとアナが住む湖畔の家はため息がでるほど素敵で、家具調度品など全てが美しい。
ニコライ主演映画を初めて観た。「おやすみなさいを言いたくて」も、wowwoで見たホラーの「MAMA/2013」でも父親役。「エニグマ/2001」「ウィンブルドン/2004」で気になる俳優だったニコライ・コスター・ワルドーも40代半ばとなり、この方優しい父親役がとても似合う。「ブラウン夫人のひめごと」は2006年にDVDで見ている。本作は「ヘッドハンター」以来の北欧が舞台となった作品。

トリスタン役のニコライ・リー・コスは実にワルが似合う俳優だ。アル中刑事を演じるウルリク・トムセンは欠かせない脇役といったところ。何はともあれ主演のニコライ・コスター・ワルドーの苦悩する姿が目に焼き付くが、ラストの笑顔とても素敵だった。
スザンネ・ビアの前作「愛さえあれば」はつまらなかったけど本作は又本領発揮!といった趣。スザンネ・ビアが作り出す世界は哀しみと辛さが不可欠なのかも知れない。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2015-05-29 22:49 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(2)

「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」

「Kraftidioten」…aka「In Order of Disappearance」2014 ノルウェー/スウェーデン
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雪に覆われたノルウェーの田舎町。ある日、除雪車の運転手であるニルスは息子が亡くなったことを知らされる。死因はコカインの過剰摂取だった。“息子がコカイン中毒とは考えられない!”と警察に調査を依頼するが刑事は聞く耳を持たない。おまけに妻は息子の死に耐えられなくて家を出てしまう。やがてニルスは復讐を誓い銃を手に立ち上がる...

製作総指揮、出演(ニルス)に「宮廷画家ゴヤは見た/2006」「天使と悪魔/2009」「ドラゴン・タトゥーの女/2011」「メランコリア/2011」「レイルウェイ 運命の旅路/2013」「シンデレラ/2015」のステラン・スカルスガルド。
パパに「愛を読むひと/2008」「バーダー・マインホフ 理想の果てに/2008」「アンノウン/2011」「悪の法則/2013」「リスボンに誘われて/2013」のブルーノ・ガンツ。
ギャングのボス、伯爵に「コン・ティキ/2012」のポール・スヴェーレ・ハーゲン。
ウイングマン(ニルスの兄)に「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女/2009」「ミレニアム2 火と戯れる女/2009」「エージェント・ハミルトン ~祖国を愛した男~/2012」のペーター・アンデション。
伯爵の部下ゲイルにアンドレス・バースモ・クリスティアンセン。
伯爵の別れた妻マリットにビアギッテ・ヨート・スレンセン。
監督、製作総指揮にハンス・ペテル・モランド。

オスロで大学に通っているはずの息子が死体となって戻って来る。息子の死因となるコカイン、コネクションを探し当てたニルスは次々とギャングを殺害し、とうとうトップにたどり着くが、彼は地元の大物ギャングだった。困ったニルスは数年ぶりに兄ウイングマンを訪ね助けを求める。ウイングマンは元ギャングで、ニルスが復讐を誓う地元大物ギャングの伯爵を知っており、彼を殺すにはヒットマンを雇うようニルスを諭す。
一方で地元ギャングと対立するセルビア系ギャングのボスであるパパは息子を殺され怒り狂っていた。

ロケされたノルウェーのベイトストーレンという山に囲まれた田舎町が雪だらけ。とにかく周りは雪!雪!雪!主人公が除雪車の運転手というのも最高に頷ける。
人を殺すことしか能がない菜食主義者の“伯爵”に、それぞれの息子を殺されたニルスとセルビア系ギャングのボス..復讐を果たすステラン・スカルスガルド&ブルーノ・ガンツが最高!

ノルウェーの田舎町ならではの除雪車を使ったアクションは大迫力!真っ白な雪と真っ赤な血の対比がサスペンスを盛り上げる。
実直な田舎の運転手が、ある日突然殺戮マシーンに変身しギャングと戦う姿は痛快そのもの。
人参ジュースと息子が大好きなギャングの伯爵...実像は気の小さい情けない男というのが笑えるし、セルビア系ギャング、パパの部下が雪深いノルウェーにうんざりして文句たらたらだったり、彼らの会話はほぼコメディ。なにはともあれ登場人物全員が真面目な顔してるんだけど可笑しくてもう完璧。

wowowにて
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by margot2005 | 2015-05-20 00:27 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)