カテゴリ:ヨーロッパ( 54 )

「ヒトラーの忘れもの」

Under sandet…akaLand of Mine2015 デンマーク/ドイツ

a0051234_22353980.jpg
a0051234_22352827.jpg

19455月、ナチス・ドイツによる5年間の占領から解放されたデンマークの美しい浜辺。ある日、ドイツ軍が海岸線に埋めた無数の地雷を除去するため、ドイツ兵捕虜の11名が集められる。そして彼らには地雷を扱った経験がほとんどなかった。作業を監督するデンマーク軍のラスムスン軍曹は集められたのがあどけない少年であることに驚くが、ナチス・ドイツへの憎悪をむき出しに暴言と暴力を繰り返すのだった...


ラスムスン軍曹に「真夜中のゆりかご/2014」ローランド・ムーラー。

エベ大尉に「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮/2012」ミケル・ボー・フォルスゴー。

セバスチャン・シューマンにルイス・ホフマン。

ヘルムート・モアバッハにジョエル・バズマン。

ヴィルヘルム・ハーンにレオン・サイデル。

エルンスト・レスナーにエミール・ベルトン。

ヴェルナー・レスナーにオスカー・ベルトン。

監督、脚本はマーチン・サントフリート。


オープニング以降、地雷の除去作業だけが延々と続きスクリーンからも緊張感が漂う。少年たちは食事も与えられず日々作業を続けている。ある日、一人の少年が地雷の爆発で両手をもぎ取られキャンプの病院へ運ばれる。後日キャンプへ行ったラスムスンは彼が死んだ事実を知らされるが、残された少年たちが動揺しないよう、傷が癒えたので国へ帰したと伝える。そんな折、空腹に耐えられず農家から盗んできた食べ物にあたり腹を壊してしまう少年たち。見るに見かねたラスムスンはキャンプから自分の食べ物と一緒に少年たちに与える野菜やパンを調達してくる。それを知ったエベ大尉は“ドイツ兵は餓死してもかまわない!”と宣いラスムスンを攻め立てる。あまりにも残酷な答えに呆然となるラスムスン。


仲間たちが一人、また一人と命を落として行く様はとてもリアルで見ていてぞっとする。”作業が終われば国に帰れる。”というラスムスンの言葉にすがりつくかのように耐える少年たち。そして日々彼らの姿を目の当たりにするラスムスンに次第に情が芽生え始める。


デンマーク軍のエベ大尉が強烈に無情。慈悲も何も持ち合わせていない。ナチス、ドイツに怒るのは良くわかるが、少年たちに責任はないのだ。

邦題の「ヒトラーの忘れもの」はちょっと低俗過ぎてドラマに不適当かと思った。

ドイツとデンマークは国が隣り合っている。ラスト、ここから500メートルのところに国境があると説明したラスムスン軍曹は少年たちを解放する。あのシーンには救われたが、史実では多くのドイツ兵が亡くなったと記され胸を打たれる。


シネスイッチ銀座にて


[PR]
by margot2005 | 2016-12-26 00:04 | ヨーロッパ | Trackback(10) | Comments(4)

「幸せなひとりぼっち」

En man som heter Ove…aka A Man Called Ove2015 スウェーデン

a0051234_20525023.jpg

孤独で頑固な老人が近隣の陽気なイラン人女性によって徐々に心を開いていく過程を描いたハートフル・ヒューマン・コメディ。


オーヴェに「アフター・ウエディング/2006」ロルフ・ラスゴード。

オーヴェ(青年)にフィリップ・バーグ。

ソーニャにイーダ・エングヴォル。

パルヴァネにバハー・パール。

近所の住人アニタにカタリナ・ラッソン。

監督、脚本はハンネス・ホルム。


原作はフレドリック・バックマンが書いたベストセラー小説とのこと。

59歳の孤独な男オーヴェは超頑固人間。頑固な人って年取ったらますます頑固になるもの。

花屋で難癖つけたり、近隣の住民に文句ばかり並べているが、この男の主張は間違ってはいない。ただ頑なで一途な性格が年月を経てますます頑固になっていった様子。最愛の妻を亡くして孤独とも闘っているし…。

妻を亡くしたオーヴェには子供がいなくて本人には兄弟もいない。母親は少年時代に亡くなり、青年になってから父親も亡くしていた。正に天涯孤独人間。


43年勤めた会社からはクビを言い渡され、生きる希望も失ったオーヴェは、日々自殺することばかり考えている。

そんなある日、イラン人のパルヴァネが夫と子供と共に引っ越してくる。陽気な妊婦のパルヴァネはオーヴェを頼りにするようになり、車の運転を教えて欲しいと願い出る。オーヴェはうっとうしいと思いながらも次第にパルヴァネや彼女の子供の世話を焼くようになる。


この男が本当に頑固ものだという証拠...Saab/サーブ以外の車には決して乗らない。VOLVO/ボルボに乗っている友人と絶交したくらいだからかなりなもの。

頑固オヤジも孤独には打ち勝てなかった?かどうかは定かではないが、やはり人間一人では生きてはいけない。

オーヴェは何度も自殺を試みたが一度も成功しなかったのは不運だったのか?幸運だったのか?

自殺を試みる度オーヴェの妄想が始まる。そして観客は彼の過去を知ることになる。オーヴェの過去はなんと波瀾万丈であったことか!

オーヴェの心を開く手助けをするパルヴァネの存在がナイス。

大笑いするほどのコメディではないが、ほのぼのとした温かい気持ちにはなる。巷で評判なのかウイーク・デイの夕方シアターは混んでいた。


新宿シネマカリテにて


[PR]
by margot2005 | 2016-12-20 21:08 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(0)

「灼熱」

「Zvizdan」…aka「The High Sun」2015 クロアチア/セルビア/スロベニア

a0051234_22500516.jpg

1991年:セルビア人のイェレナとクロアチア人のイヴァンは深く愛し合う恋人同士。クロアチア国内で民族の対立が激化する中二人はザグレブへの移住を決断するがイェレナ兄サーシャに猛反対され仲を引き裂かれてしまう。

2001年:紛争終結後ナタシャは母親と共に故郷へ戻るが、激戦により家は荒れ果てていた。母親は家の修繕のため修理人アンテを雇い入れる。紛争で兄を殺されたナタシャは、クロアチア人であるアンテを拒絶する。

2011年:紛争の面影も消えたザグレブで大学に通うルカは久しぶりに故郷へ帰って来る。そしてかつて母親の反対に合い結ばれなかったセルビア人の恋人マリアの住む家を訪ねる。


イェレナ/ナタシャ/マリヤにティハナ・ラゾヴィッチ。

イヴァン/アンテ/ルカにゴーラン・マルコヴィッチ。

イェレナ/ナタシャの母親にニベス・イバンコビッチ。

イェレナの兄サーシャにダド・チョーシッチ。

監督、脚本はダリボル・マタニッチ。


“クロアチア版ロミオとジュリエット”….これに惹かれて見に行くことにした。

一番最初の1991年の物語があっと言う間に終わってしまって、この後どうなるの?とかなり心配した。いつもどうり詳しい情報を得ないで見たので…。

しかし第二話が始まり、なるほど!こうなって行くのか!とドラマにぐいぐいと引き込めれて行った。


拒絶しながらもクロアチア人に惹かれて行くセルビア人女性。2001年の物語が一番緊張感があって見応えがあった。そしてセルビア人の母親の寛大さに胸打たれる。


セルビア人とクロアチア人の若者を主人公に3つの時代の物語が展開され、3つの物語の主人公を同じ俳優が演じている。このような手法は初めて見たかも知れなくてとても斬新。

3つの物語は全く別人を描いているものの、大ラスにつながる様が見事。

兄や母親によって引き裂かれたセルビア人女性とクロアチア人男性が最後に歩み寄るラストは感動を呼び素晴らしかった。


旧ユーゴ映画ではボスニア・ヘルツェゴビナ製作のサラエボを舞台にした「サラエボの花/2006」「サラエボ、希望の街角/2010」を見たことを思い出した。サラエボのロミオとジュリエットもたくさんいたと言う。

旧ユーゴの人って名前に皆“何とかっチて付くのが面白い。


シアター・イメージフォーラムにて


[PR]
by margot2005 | 2016-12-02 00:22 | ヨーロッパ | Trackback(2) | Comments(0)

「トレジャー オトナタチの贈り物」

「Comoara」…aka「The Treasure」2015 ルーマニア/フランス
a0051234_23111399.jpg

ルーマニア、ブカレスト。コスティは妻と息子の三人で慎ましやかに暮らしている。ある日、近所に住む男アドリアンが、“失業中で家のローンの支払に困っている。800ユーロ貸してくれないか?”と訪ねてくる。“家も余裕がなく貸す金などない。”と断るコスティに“800ユーロあれば曾祖父が共産党台頭前に庭に埋めた宝探しをすることができる。”と言い、“宝発見の折には分け前を折半する!”と怪しいながらも美味しい話を持ちかけてくる。半信半疑ながらアドリアンの話にのってしまったコスティは妻にも相談してなんとか800ユーロをかき集めるのだった…

コスティにクジン・トマ。
アドリアンにアドリアン・プルカレスク。
コルネルにコルネリュ・コズメイ。
監督、脚本はコルネリュ・ポルンボイュ。

ある日突然近隣の住民が訪ねて来て金を貸せと言う。胡散臭いなぁと思いつつも金を用意する主人公に驚くが、ドラマは実際に体験した人から聞いた話にもとづいて映画にしたと言う。あのゴージャスな宝を発見した二人はなんとラッキーなんだろうと羨ましくなる。

少々ファンタジーっぽい雰囲気は良いのだが、コメディ・ドラマとは思えないほど終始ペーソスが漂う。
金属探知機で地面をこする様と、穴掘り作業が延々と続き、スロー、ペースで盛り上がりも何もないシンプルなドラマは少々退屈だったかな?

当然宝は出てくる...発見した宝の入った箱を抱えアドリアン所有の空き家から出てきた二人は巡回していたパトカーの警察官に怪しまれ尋問される。警察に連行されモノによっては国に没収される可能性もあると告げられた二人は手放しで喜べない。あのシーンは気の毒ながら可笑しかった。
そしてあのラストにはびっくり!子供を喜ばせるお父さんは偉いが、フリーズしてしまった。あのお父さんはただただ息子を喜ばせたくて、息子のヒーローになりたかったに違いない。

コスティの妻と息子を演じるのはコスティ役のクジン・トマの実際の妻子で、怪しい業者のコルネルを演じるコルネリュ・コズメイは元兵士で金属探知を職業としているとのこと。
主演二人はプロの俳優ながら、なんとなく俳優ぽくなくて、近所のおじさんの雰囲気でナイス。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
[PR]
by margot2005 | 2016-10-05 23:28 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「イレブン・ミニッツ」

「11 minut」...aka「11 Minutes」2015 ポーランド/アイルランド
a0051234_23101643.jpg

ポーランド、ワルシャワを舞台にP.M.5時からP.M.5時11分の日常を描いた群像サスペンス・ドラマ。

映画監督リチャード・マーティンに「ベルファスト71/2014」のリチャード・ドーマー。
アンナ・ヘルマンにパウリナ・ハプコ。
アンナの夫にヴォイチェフ・メツファルドフスキ。
ホットドッグ屋の主人に「カティンの森/2007」「故郷よ/2011」「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー/2011」のアンジェイ・ヒラ。
バイク便の男に「イーダ/2013」のダヴィッド・オグロドニック。
登山家(女)に「ハミングバード/2012」のアガタ・ブゼク。
登山家(男)にピョートル・グロヴァツキ。
画家にヤン・ノヴィツキ。
救命隊のドクターにアンナ・マリア・ブチェク。
犬を連れた女にイフィ・ウデ。
元ボーイフレンドにマテウシュ・コシチュキェヴィチ。
少年にウカシュ・シコラ。
監督、製作、脚本は「アンナと過ごした4日間/2010」「エッセンシャル・キリング/2010」のイエジー・スコリモフスキ。

教会の鐘がP.M.5時を告げるポーランド、ワルシャワの街。
一人の男が家を飛び出し妻がいるホテルへと向かう。彼の妻アニャは女優で映画監督と会う予定だった。アニャの夫は嫉妬深く、映画監督は女好き。ホテルの前ではホットドッグ屋の主人が店を開いている。ホットドッグ屋の息子であるバイク便の男は配達に行った家の人妻と情事に耽るが夫が帰宅したため慌てて家を飛び出す。
その他、公園で元ボーイフレンドに預けていた愛犬を引き取る女、ホテルでポルノを見ながらセックスをする登山家のカップル、質屋に強盗に入るが失敗に終わる少年、河原でスケッチをする画家、急病患者の家に急行する救命隊のドクターなどなど、全く接点のない人々の日常が次々とスクリーンに映しだされる。

ドラマは5時から5時11分の間を描いている。それぞれの人物の日常は11分毎に描かれ、5時から11分後に全ての人物が集結してラストを迎える。あのラストには呆然となる。
もちろんドラマに台詞はあるけど、スタイリッシュな映像が物語る作品。ラストのスローモーションは圧巻。

ビルの谷間を低空で飛行する飛行機はアメリカの同時多発テロ(9:11)を連想してしまうし、何人かの人物が空を見上げ、”何かを見た!と主張する場面も…。彼らは低空飛行する飛行機のことを言っていたのだろうか?それとも他に何かを見た?

河原で写生をする画家のキャンパスにいきなりできた黒いシミや、登山家のカップルがいるホテルの部屋に突然飛び込んできた鳩など、不気味なシーンを絡めて描くのはあのラストにつなげるため?と頭の中に疑問がよぎる。
「エッセンシャル・キリング」や「アンナと過ごした4日間」のイメージが強烈なイエジー・スコリモフスキ。本作は全く趣の違う作品でびっくさせられた。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
[PR]
by margot2005 | 2016-09-08 23:53 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(0)

「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」

「De Surprise」…aka「The Surprise」2015 オランダ/ベルギー/ドイツ/アイルランド
a0051234_21411850.jpg

ある日、大富豪ヤーコブの母親が亡くなる。彼は悲しみを覚えることもなく淡々と葬儀を執り行い身辺整理を始める。ヤーコブは過去のある出来事から感情をあらわにすることができなくなっていた...

ヤーコブに「LOFT -完全なる嘘(トリック)-/2010」のイェロン・ファン・コーニンスブルッヘ。
アンネに「人生はマラソンだ!/2012」のジョルジナ・フェルバーン。
ムラーに「シスタースマイル ドミニクの歌/2009」のヤン・デクレール。
Mr. ジョーンズに「ノッティングヒルの恋人/1999」のヘンリー・グッドマン。
監督/脚本/製作/原案は「キャラクター/孤独な人の肖像/1996」のマイク・ファン・ディム。

天涯孤独となったヤーコブは。莫大な資産を寄付した上、広大なる土地に建つ豪邸も売りにだす手配をし、使用人たち全員に暇をだしてしまう。しかし長年仕えてきた執事のムラーはヤーコブが気がかりでならない。そんなムラーの心配もよそにヤーコブは自らの命をたつことしか頭にない。何度か自殺を図るがなぜか成功しない。そんなある時、海岸で妙な場面に出くわした後“エリュシオン”と書かれたマッチを見つける。興味を持ったヤーコブは早速ブリュッセルにある“エリュシオン”を訪ねるが、そこは“あの世への旅立ち”を請け負う奇妙な代理店だった。そして店のオーナーMr. ジョーンズに薦められた“サプライズ・コース”を契約する。
しかしヤーコブは契約後、代理店で運命的に出会ったアンネに惹かれ、望みのない人生がだんだんと明るくなって行くことに気づくのだった。

コメディなんだけどとてもダークな世界。ラストはどうなるのか?とハラハラしながら見ていたが、想像通りで一安心。
主人公ヤーコブを演じるイェロン・ファン・コーニンスブルッヘはマルチタレントでコメディアンでもあるそう。ちょっと太めで(映画のために増量)愛嬌のある彼の風貌が妙にドラマにマッチしている。

ヤーコブの城(豪邸ではモノ足りない)や、コレクションのクラシック・カーは目を見張るばかりのゴージャスさ。ビーチでのダンスも素敵だし、ブラック・コメディにロマンスがプラスされていて素敵な映画となっている。
ドラマの中ではドイツ語、英語、フランス語に加えヒンズー語の会話まで出てくる。で、字幕スーパーに釘付けだった。

尊厳死を描いた「君がくれたグッドライフ/2014」を引き合いに出してはマズいのだけど、本作の“あの世への旅立ち”を請け負うのもベルギー。ベルギーは進んだ考え方の国だと感心する。

ヒューマントラストシネマズ有楽町
[PR]
by margot2005 | 2016-06-13 22:29 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「獣は月夜に夢を見る」

「Når dyrene drømmer」…aka「When Animals Dream」2014 デンマーク/フランス
a0051234_0263398.jpg

デンマークの海岸沿いの小さな村で両親と暮すマリーは19歳の少女。車いす生活の母親は病気だが父親は何も教えてくれない。村の住人は車いすの母親を恐れ、マリーには疑いのまなざしを向けてくる。なぜ彼らはそのように振る舞うのだろう?とマリーは不思議でならない。そんな折マリーは魚工場で青年ダニエルと出会い、互いに孤独を抱える二人は惹かれ合い恋に落ちる…

マリーにソニア・スール。
マリーの父親に「SHERLOCK(シャーロック)3/2014」のラース・ミケルセン。
マリーの母に「しあわせな孤独/2002」のソニア・リクター。
ダニエルに「コン・ティキ/2012」「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のヤーコブ・オフテブロ。
監督はヨナス・アレクサンダー・アーンビー。

父親の深い愛には感銘する。世間の嫌がらせから妻を守り娘も守ろうとするが、彼女は反撥して家を飛び出す。そしてマリーはダニエルの愛を確認する。そうこれは究極のラブ・ストーリーかも知れない。

ロケ地はデンマークのユトランド半島(デンマーク本土とドイツの北端部がくっ付いた所)。
スウェーデン製作の「ぼくのエリ 200歳の少女/2008」というヴァンパイア映画があったが、北欧の暗い、寒々としたたたずまいが“ノルディック・ノワール”と呼ばれる妖しいドラマにマッチする。

シアターで予告編を何度も見ていて少々気にはなっていたが、ヴァンパイア映画にはあまり惹かれないのでなんだかぐずぐずしていて、見たのは上映最終日。4/16に公開されているのでこの北欧発のミステリー・ホラーは結構長く上映されていた様子。ラスト上映の日も席半分近くは埋まっていた(小さい方のシアター)。
ラース・ミケルセンはマッツ・ミケルセンの兄で、何処かで見たことあると思っていたら「SHERLOCK(シャーロック)3」に出演していたデンマーク人俳優。

ちょっとネタバレ…
ヒロインと母親は「トワイライト・シリーズ」のジェイコブのような狼人間。いきなり身体に毛がはえてくるって女性だとツライだろうなぁ、と切に思った。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて(既に上映終了)
[PR]
by margot2005 | 2016-05-25 00:35 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「ハロルドが笑うその日まで」

「Her er Harold」…aka「Here Is Harold」2014 ノルウェー
a0051234_2317491.jpg
a0051234_2317394.jpg
a0051234_23173090.png

ハロルドはノルウェーの街で妻と共に40年以上も家具店を経営してきた誇り高き家具職人。ある日、店の隣に世界的家具チェーン店IKEYAの、それも北欧最大店舗がオープンする。案の定IKEYAの出店によりハロルドの店は閉店に追い込まれてしまう…

ハロルドに「ヘンゼル&グレーテル/2013」のビョルン・スンクェスト。
イングヴァル・カンプラードに「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女/2009」のビヨーン・グラナート。
エバにファンニ・ケッテル。
監督、脚本はグンナル・ヴィケネ。

世界的家具チェーン店IKEYAのせいでつぶれてしまったハロルドの店。店に並ぶ家具はIKEYAのように手頃な値段のものではなく職人の魂が込められた家具ばかり。おまけに認知症だった妻はあっと言う間に亡くなってしまう。失うものはもう何もないと感じたハロルドは店に火をつけ焼身自殺を図るがスプリンクラーのせいで失敗に終わってしまう。

もう破れかぶれで頭にきた誇り高い家具職人ハロルドはIKEAの創業者イングヴァル・カンプラード誘拐を思いつきスウェーデンへと向かう。途中しばらく会ってなかった息子の家に寄るが全く歓迎されず、再びスウェーデンへとおんぼろ車サーブを走らせる。そしてスウェーデンで一風変わった孤独な少女エバと出会う。
偶然出会ったエバはカンプラード誘拐に手を貸すというが、ハロルドの計画性のなさに呆れるばかり。なんとか拉致できたカンプラードも頑固オヤジで“誰も金は出さない!”の一点張り。

IKEYAの創業者イングヴァル・カンプラードについて調べてみたら、本作で演じる俳優がスゴく似ていて驚いた。現在でも経営の主導権を握っているカンプラードを題材にしてこのような映画を作るなんてと思っていたら、映画のチラシに“存命するIKEYA創業者が実名で描かれる前代未聞の映画。”と書かれていた。やっぱり!

エバとの出会いがエバにもハロルドにも生き方を変えたように思える。カンプラードはちっとも変わっていないように思えたけど...ドラマはちょと笑えて、ちょっとハートウォーミング。

北欧の映画を観ていていつも思うのは言語。本作でもノルウェーとスウェーデンが舞台となるが、二つの国の人々は違和感なく普通に話しているのでもちろん互いに理解しているのだろう。
そしてもう一つ北欧の映画を観ていて思うのは、とてもシリアスなものか、なんか可笑しいドラマかどちらかのような気がする。特にノルウェー映画に多い気がする。本作はなんか可笑しい方の部類でハロルド役の俳優がいいな。
そういえば「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」もノルウェー映画だった。

恵比寿ガーデンシネマにて
[PR]
by margot2005 | 2016-04-27 22:26 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「孤独のススメ」

「Matterhorn」2013 オランダ
a0051234_0211481.jpg

オランダののどかな田舎町で一人暮らすフレッドは最愛の妻を亡くした男やもめ。ある日、ひょんなことから中年の男との同居生活が始まる...

フレッドにトン・カス。
テオにルネ・ファント・ホフ。
カンプスにポーギー・フランセン。
サスキアに「人生はマラソンだ!/2012」のアリーアネ・シュルター。
ヨハンにアレックス・クラーセン。
監督、脚本はディーデリク・エビンゲ。

フレッドは朝も夜も時間ぴったりにテーブルにつき、神に祈りを捧げた後食事を始めるスーパー級に几帳面で真面目な男。しかしある日突然、平和で穏やかなフレッドの日々は一人の男の出現でおかしなことになって行く。

シアターで予告を見た時コメディ?と思っていたらペーソス漂うヒューマン・ドラマだった。ちょっと笑えるシーンもあり。そして息子は隠れた父親の性癖を受け継いでいたのかな?なんて思った。
邦題がどうも理解出来ないのだが?孤独はわかるけどススメとなるとちょっと違うんじゃないかな?原タイトルとなっているマッターホルンでのエンディングは爽やか!

偏見に満ちたオランダの大田舎…オランダって湖、湿地帯、風車のイメージながら本作に水はない。スクリーンに映るのは乾いた土地と風に揺れる植物。そして決して忘れてはならないのはヤギや馬などの家畜動物。そう特にヤギはテオのお友達??なのだから。
かなりの田舎町らしくスーパー・マーケットでの買い物も乗りもの(バス)が必要。日曜日は町の教会で祈りを捧げ、娯楽は広場で興じるサッカーくらい。フレッドはサッカーが好きだが、独り者カンプスの趣味は写真といったところ。

偶然やって来てフレッドの家に住み着いてしまったテオ。言葉を発しないテオと寡黙なフレッド。故に二人のやり取りが実に可笑しい。妻は亡くなったが、一人息子がいるにも関わらずフレッドはなぜ独り身なのか?テオはなぜ話さないのか?と明かされた辺りからドラマは切なくなって行く。
カンプスとサスキアも絡んできて、ラストはフレッドの息子ヨハンの出現!
フレッド、テオを演じる俳優が最高!そしてヨハン役の俳優も...。

新宿シネマカリテにて
[PR]
by margot2005 | 2016-04-22 00:34 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(0)

「サウルの息子」

「Saul fia」2015 ハンガリー
a0051234_2231833.jpg

1944年10月、ポーランドのアウシュビッツ(ビルケナウ)収容所。ハンガリー系ユダヤ人のサウルはゾンダーコマンドとして働いている。彼の仕事は同胞であるユダヤ人の死体処理。ある日ガス室で生き残った少年を発見するが、直ちに医者が呼ばれ殺されてしまう。やがてサウルは彼を手厚く葬ろうとラビを探し始める…

サウルにルーリケ・ゲーザ。
監督、脚本はネメシュ・ラースロー。

カンヌ国際映画祭グランプリ/ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞/アカデミー賞外国映画賞と華やかなる受賞歴。
かなり前(昨年?)にシアターで予告編を見て、一般公開されてもアウシュヴィッツものはあまり見たくないとずっと躊躇していた。でもアカデミー賞外国映画賞にも輝いたし、ちょっと見てみるかと重い腰を上げて見に行った。サービスディ(夕方の回)に行ったらかなりの人で、最終回はたぶんもっと入っていたはず。

少年はサウルの実の息子ではない。しかし少年を我が息子と自身に言い聞かせ埋葬にこだわり続ける。アウシュビッツ(ビルケナウ)ではナチスたちは人間であるユダヤ人を“部品”と呼んでいる。ここで生きのびるにはひたすら感情を押し殺して行動しなくてはならない。サウルは日々失われそうになる人間としての尊厳を保つため少年の埋葬にこだわったに違いない。

酷いシーンはぼかしてあるので良く見えないが、女性と子供の泣き声は聞こえて来る。なのでより以上に想像力をかきたてられ、途中でやめようかとも思うくらい見ていて辛かった。
ラスト…希望が見えたのに…結末は哀しい。

サウルを演じるルーリケ・ゲーザは詩人であり、現在小説を執筆する才人。レイフ・ファインズとアントニオ・バンデラスを足して2で割った風貌。全編を通じて見せる彼の哀しげな目が記憶に残る。
“ビルケナウ”はドイツ語で「白樺の谷」を意味するという。ラストシーンは正に“白樺の谷”だった。

新宿シネマカリテにて
[PR]
by margot2005 | 2016-03-04 23:27 | ヨーロッパ | Trackback(9) | Comments(0)