カテゴリ:ヨーロッパ( 49 )

「イレブン・ミニッツ」

「11 minut」...aka「11 Minutes」2015 ポーランド/アイルランド
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ポーランド、ワルシャワを舞台にP.M.5時からP.M.5時11分の日常を描いた群像サスペンス・ドラマ。

映画監督リチャード・マーティンに「ベルファスト71/2014」のリチャード・ドーマー。
アンナ・ヘルマンにパウリナ・ハプコ。
アンナの夫にヴォイチェフ・メツファルドフスキ。
ホットドッグ屋の主人に「カティンの森/2007」「故郷よ/2011」「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー/2011」のアンジェイ・ヒラ。
バイク便の男に「イーダ/2013」のダヴィッド・オグロドニック。
登山家(女)に「ハミングバード/2012」のアガタ・ブゼク。
登山家(男)にピョートル・グロヴァツキ。
画家にヤン・ノヴィツキ。
救命隊のドクターにアンナ・マリア・ブチェク。
犬を連れた女にイフィ・ウデ。
元ボーイフレンドにマテウシュ・コシチュキェヴィチ。
少年にウカシュ・シコラ。
監督、製作、脚本は「アンナと過ごした4日間/2010」「エッセンシャル・キリング/2010」のイエジー・スコリモフスキ。

教会の鐘がP.M.5時を告げるポーランド、ワルシャワの街。
一人の男が家を飛び出し妻がいるホテルへと向かう。彼の妻アニャは女優で映画監督と会う予定だった。アニャの夫は嫉妬深く、映画監督は女好き。ホテルの前ではホットドッグ屋の主人が店を開いている。ホットドッグ屋の息子であるバイク便の男は配達に行った家の人妻と情事に耽るが夫が帰宅したため慌てて家を飛び出す。
その他、公園で元ボーイフレンドに預けていた愛犬を引き取る女、ホテルでポルノを見ながらセックスをする登山家のカップル、質屋に強盗に入るが失敗に終わる少年、河原でスケッチをする画家、急病患者の家に急行する救命隊のドクターなどなど、全く接点のない人々の日常が次々とスクリーンに映しだされる。

ドラマは5時から5時11分の間を描いている。それぞれの人物の日常は11分毎に描かれ、5時から11分後に全ての人物が集結してラストを迎える。あのラストには呆然となる。
もちろんドラマに台詞はあるけど、スタイリッシュな映像が物語る作品。ラストのスローモーションは圧巻。

ビルの谷間を低空で飛行する飛行機はアメリカの同時多発テロ(9:11)を連想してしまうし、何人かの人物が空を見上げ、”何かを見た!と主張する場面も…。彼らは低空飛行する飛行機のことを言っていたのだろうか?それとも他に何かを見た?

河原で写生をする画家のキャンパスにいきなりできた黒いシミや、登山家のカップルがいるホテルの部屋に突然飛び込んできた鳩など、不気味なシーンを絡めて描くのはあのラストにつなげるため?と頭の中に疑問がよぎる。
「エッセンシャル・キリング」や「アンナと過ごした4日間」のイメージが強烈なイエジー・スコリモフスキ。本作は全く趣の違う作品でびっくさせられた。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2016-09-08 23:53 | ヨーロッパ | Trackback(3) | Comments(0)

「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」

「De Surprise」…aka「The Surprise」2015 オランダ/ベルギー/ドイツ/アイルランド
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ある日、大富豪ヤーコブの母親が亡くなる。彼は悲しみを覚えることもなく淡々と葬儀を執り行い身辺整理を始める。ヤーコブは過去のある出来事から感情をあらわにすることができなくなっていた...

ヤーコブに「LOFT -完全なる嘘(トリック)-/2010」のイェロン・ファン・コーニンスブルッヘ。
アンネに「人生はマラソンだ!/2012」のジョルジナ・フェルバーン。
ムラーに「シスタースマイル ドミニクの歌/2009」のヤン・デクレール。
Mr. ジョーンズに「ノッティングヒルの恋人/1999」のヘンリー・グッドマン。
監督/脚本/製作/原案は「キャラクター/孤独な人の肖像/1996」のマイク・ファン・ディム。

天涯孤独となったヤーコブは。莫大な資産を寄付した上、広大なる土地に建つ豪邸も売りにだす手配をし、使用人たち全員に暇をだしてしまう。しかし長年仕えてきた執事のムラーはヤーコブが気がかりでならない。そんなムラーの心配もよそにヤーコブは自らの命をたつことしか頭にない。何度か自殺を図るがなぜか成功しない。そんなある時、海岸で妙な場面に出くわした後“エリュシオン”と書かれたマッチを見つける。興味を持ったヤーコブは早速ブリュッセルにある“エリュシオン”を訪ねるが、そこは“あの世への旅立ち”を請け負う奇妙な代理店だった。そして店のオーナーMr. ジョーンズに薦められた“サプライズ・コース”を契約する。
しかしヤーコブは契約後、代理店で運命的に出会ったアンネに惹かれ、望みのない人生がだんだんと明るくなって行くことに気づくのだった。

コメディなんだけどとてもダークな世界。ラストはどうなるのか?とハラハラしながら見ていたが、想像通りで一安心。
主人公ヤーコブを演じるイェロン・ファン・コーニンスブルッヘはマルチタレントでコメディアンでもあるそう。ちょっと太めで(映画のために増量)愛嬌のある彼の風貌が妙にドラマにマッチしている。

ヤーコブの城(豪邸ではモノ足りない)や、コレクションのクラシック・カーは目を見張るばかりのゴージャスさ。ビーチでのダンスも素敵だし、ブラック・コメディにロマンスがプラスされていて素敵な映画となっている。
ドラマの中ではドイツ語、英語、フランス語に加えヒンズー語の会話まで出てくる。で、字幕スーパーに釘付けだった。

尊厳死を描いた「君がくれたグッドライフ/2014」を引き合いに出してはマズいのだけど、本作の“あの世への旅立ち”を請け負うのもベルギー。ベルギーは進んだ考え方の国だと感心する。

ヒューマントラストシネマズ有楽町
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by margot2005 | 2016-06-13 22:29 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「獣は月夜に夢を見る」

「Når dyrene drømmer」…aka「When Animals Dream」2014 デンマーク/フランス
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デンマークの海岸沿いの小さな村で両親と暮すマリーは19歳の少女。車いす生活の母親は病気だが父親は何も教えてくれない。村の住人は車いすの母親を恐れ、マリーには疑いのまなざしを向けてくる。なぜ彼らはそのように振る舞うのだろう?とマリーは不思議でならない。そんな折マリーは魚工場で青年ダニエルと出会い、互いに孤独を抱える二人は惹かれ合い恋に落ちる…

マリーにソニア・スール。
マリーの父親に「SHERLOCK(シャーロック)3/2014」のラース・ミケルセン。
マリーの母に「しあわせな孤独/2002」のソニア・リクター。
ダニエルに「コン・ティキ/2012」「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のヤーコブ・オフテブロ。
監督はヨナス・アレクサンダー・アーンビー。

父親の深い愛には感銘する。世間の嫌がらせから妻を守り娘も守ろうとするが、彼女は反撥して家を飛び出す。そしてマリーはダニエルの愛を確認する。そうこれは究極のラブ・ストーリーかも知れない。

ロケ地はデンマークのユトランド半島(デンマーク本土とドイツの北端部がくっ付いた所)。
スウェーデン製作の「ぼくのエリ 200歳の少女/2008」というヴァンパイア映画があったが、北欧の暗い、寒々としたたたずまいが“ノルディック・ノワール”と呼ばれる妖しいドラマにマッチする。

シアターで予告編を何度も見ていて少々気にはなっていたが、ヴァンパイア映画にはあまり惹かれないのでなんだかぐずぐずしていて、見たのは上映最終日。4/16に公開されているのでこの北欧発のミステリー・ホラーは結構長く上映されていた様子。ラスト上映の日も席半分近くは埋まっていた(小さい方のシアター)。
ラース・ミケルセンはマッツ・ミケルセンの兄で、何処かで見たことあると思っていたら「SHERLOCK(シャーロック)3」に出演していたデンマーク人俳優。

ちょっとネタバレ…
ヒロインと母親は「トワイライト・シリーズ」のジェイコブのような狼人間。いきなり身体に毛がはえてくるって女性だとツライだろうなぁ、と切に思った。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2016-05-25 00:35 | ヨーロッパ | Trackback | Comments(0)

「ハロルドが笑うその日まで」

「Her er Harold」…aka「Here Is Harold」2014 ノルウェー
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ハロルドはノルウェーの街で妻と共に40年以上も家具店を経営してきた誇り高き家具職人。ある日、店の隣に世界的家具チェーン店IKEYAの、それも北欧最大店舗がオープンする。案の定IKEYAの出店によりハロルドの店は閉店に追い込まれてしまう…

ハロルドに「ヘンゼル&グレーテル/2013」のビョルン・スンクェスト。
イングヴァル・カンプラードに「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女/2009」のビヨーン・グラナート。
エバにファンニ・ケッテル。
監督、脚本はグンナル・ヴィケネ。

世界的家具チェーン店IKEYAのせいでつぶれてしまったハロルドの店。店に並ぶ家具はIKEYAのように手頃な値段のものではなく職人の魂が込められた家具ばかり。おまけに認知症だった妻はあっと言う間に亡くなってしまう。失うものはもう何もないと感じたハロルドは店に火をつけ焼身自殺を図るがスプリンクラーのせいで失敗に終わってしまう。

もう破れかぶれで頭にきた誇り高い家具職人ハロルドはIKEAの創業者イングヴァル・カンプラード誘拐を思いつきスウェーデンへと向かう。途中しばらく会ってなかった息子の家に寄るが全く歓迎されず、再びスウェーデンへとおんぼろ車サーブを走らせる。そしてスウェーデンで一風変わった孤独な少女エバと出会う。
偶然出会ったエバはカンプラード誘拐に手を貸すというが、ハロルドの計画性のなさに呆れるばかり。なんとか拉致できたカンプラードも頑固オヤジで“誰も金は出さない!”の一点張り。

IKEYAの創業者イングヴァル・カンプラードについて調べてみたら、本作で演じる俳優がスゴく似ていて驚いた。現在でも経営の主導権を握っているカンプラードを題材にしてこのような映画を作るなんてと思っていたら、映画のチラシに“存命するIKEYA創業者が実名で描かれる前代未聞の映画。”と書かれていた。やっぱり!

エバとの出会いがエバにもハロルドにも生き方を変えたように思える。カンプラードはちっとも変わっていないように思えたけど...ドラマはちょと笑えて、ちょっとハートウォーミング。

北欧の映画を観ていていつも思うのは言語。本作でもノルウェーとスウェーデンが舞台となるが、二つの国の人々は違和感なく普通に話しているのでもちろん互いに理解しているのだろう。
そしてもう一つ北欧の映画を観ていて思うのは、とてもシリアスなものか、なんか可笑しいドラマかどちらかのような気がする。特にノルウェー映画に多い気がする。本作はなんか可笑しい方の部類でハロルド役の俳優がいいな。
そういえば「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」もノルウェー映画だった。

恵比寿ガーデンシネマにて
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by margot2005 | 2016-04-27 22:26 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)

「孤独のススメ」

「Matterhorn」2013 オランダ
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オランダののどかな田舎町で一人暮らすフレッドは最愛の妻を亡くした男やもめ。ある日、ひょんなことから中年の男との同居生活が始まる...

フレッドにトン・カス。
テオにルネ・ファント・ホフ。
カンプスにポーギー・フランセン。
サスキアに「人生はマラソンだ!/2012」のアリーアネ・シュルター。
ヨハンにアレックス・クラーセン。
監督、脚本はディーデリク・エビンゲ。

フレッドは朝も夜も時間ぴったりにテーブルにつき、神に祈りを捧げた後食事を始めるスーパー級に几帳面で真面目な男。しかしある日突然、平和で穏やかなフレッドの日々は一人の男の出現でおかしなことになって行く。

シアターで予告を見た時コメディ?と思っていたらペーソス漂うヒューマン・ドラマだった。ちょっと笑えるシーンもあり。そして息子は隠れた父親の性癖を受け継いでいたのかな?なんて思った。
邦題がどうも理解出来ないのだが?孤独はわかるけどススメとなるとちょっと違うんじゃないかな?原タイトルとなっているマッターホルンでのエンディングは爽やか!

偏見に満ちたオランダの大田舎…オランダって湖、湿地帯、風車のイメージながら本作に水はない。スクリーンに映るのは乾いた土地と風に揺れる植物。そして決して忘れてはならないのはヤギや馬などの家畜動物。そう特にヤギはテオのお友達??なのだから。
かなりの田舎町らしくスーパー・マーケットでの買い物も乗りもの(バス)が必要。日曜日は町の教会で祈りを捧げ、娯楽は広場で興じるサッカーくらい。フレッドはサッカーが好きだが、独り者カンプスの趣味は写真といったところ。

偶然やって来てフレッドの家に住み着いてしまったテオ。言葉を発しないテオと寡黙なフレッド。故に二人のやり取りが実に可笑しい。妻は亡くなったが、一人息子がいるにも関わらずフレッドはなぜ独り身なのか?テオはなぜ話さないのか?と明かされた辺りからドラマは切なくなって行く。
カンプスとサスキアも絡んできて、ラストはフレッドの息子ヨハンの出現!
フレッド、テオを演じる俳優が最高!そしてヨハン役の俳優も...。

新宿シネマカリテにて
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by margot2005 | 2016-04-22 00:34 | ヨーロッパ | Trackback(6) | Comments(0)

「サウルの息子」

「Saul fia」2015 ハンガリー
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1944年10月、ポーランドのアウシュビッツ(ビルケナウ)収容所。ハンガリー系ユダヤ人のサウルはゾンダーコマンドとして働いている。彼の仕事は同胞であるユダヤ人の死体処理。ある日ガス室で生き残った少年を発見するが、直ちに医者が呼ばれ殺されてしまう。やがてサウルは彼を手厚く葬ろうとラビを探し始める…

サウルにルーリケ・ゲーザ。
監督、脚本はネメシュ・ラースロー。

カンヌ国際映画祭グランプリ/ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞/アカデミー賞外国映画賞と華やかなる受賞歴。
かなり前(昨年?)にシアターで予告編を見て、一般公開されてもアウシュヴィッツものはあまり見たくないとずっと躊躇していた。でもアカデミー賞外国映画賞にも輝いたし、ちょっと見てみるかと重い腰を上げて見に行った。サービスディ(夕方の回)に行ったらかなりの人で、最終回はたぶんもっと入っていたはず。

少年はサウルの実の息子ではない。しかし少年を我が息子と自身に言い聞かせ埋葬にこだわり続ける。アウシュビッツ(ビルケナウ)ではナチスたちは人間であるユダヤ人を“部品”と呼んでいる。ここで生きのびるにはひたすら感情を押し殺して行動しなくてはならない。サウルは日々失われそうになる人間としての尊厳を保つため少年の埋葬にこだわったに違いない。

酷いシーンはぼかしてあるので良く見えないが、女性と子供の泣き声は聞こえて来る。なのでより以上に想像力をかきたてられ、途中でやめようかとも思うくらい見ていて辛かった。
ラスト…希望が見えたのに…結末は哀しい。

サウルを演じるルーリケ・ゲーザは詩人であり、現在小説を執筆する才人。レイフ・ファインズとアントニオ・バンデラスを足して2で割った風貌。全編を通じて見せる彼の哀しげな目が記憶に残る。
“ビルケナウ”はドイツ語で「白樺の谷」を意味するという。ラストシーンは正に“白樺の谷”だった。

新宿シネマカリテにて
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by margot2005 | 2016-03-04 23:27 | ヨーロッパ | Trackback(9) | Comments(0)

「ひつじ村の兄弟」

「Hrútar」…aka「Rams」2015 アイスランド/デンマーク/ノルウェー/ポーランド
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アイスランドの辺境の地に住む兄弟キディーとグミーは隣合う家に住みながら非常に仲が悪く40年も口を聞いていない。そして毎年開催される羊の品評会ではいつも兄弟の羊が優勝を競い合っている。そんな折、キディーの羊が疫病に侵されていることが発覚する…

グミーにシグルヅル・シグルヨンソン。
キディーに「ザ・ディープ/2012」のテオドール・ユーリウソン。
保健所のカトリンに「馬々と人間たち/2013」のシャーロッテ・ボーヴィング。
監督、脚本はグリームル・ハゥコーナルソン。

保健所の立ち入り調査が入り村の全ての羊が殺処分されることになる。先祖代々の羊が絶滅の危機にさらされてしまい、焦ったグミーは牡の羊1匹と数匹の牝羊を繁殖のため家の地下に隠すことを思いつく。

アイスランド発のヒューマン・コメディドラマは大笑いするほどのものではないが、愛する羊たちのために人間がバタバタする様子が描かれていて面白かった。
「馬々と人間たち」と同じくアイスランド映画はどこか可笑しい雰囲気を漂わせるのだ。

初老の兄弟は共にシングルで非常に仲が悪い。しかしながらそこはやはり血を分けた仲。弟が酔っぱらって雪の上で眠った兄を介抱したり病院へ運んだりする。渋々ながらではあっても。
トラクターで病院へ運ぶ(荷物を載せる部分に人間をのせる)シーンに唖然とし、兄弟は会話しないので手紙を書いて犬に届けさせる様子は微笑ましくなる。
何はともあれグミーにとって羊はまるで愛するペットのよう。ぎゅっと抱きしめ頬すりしたあげくキスまでするのだから。臭くないのか?と何度も思った。俳優は大変だ!
大ラスの兄の深い愛にびっくり。あれは完璧アイスランドのやり方だと思う。

アイスランドと言えば火山と歌姫ビョークくらいしか思い浮かばないが牧羊(羊毛)が盛んらしいことを知った。
映画の中で描かれるアイスランドの過酷な冬は凄まじい。見ていて印象に残ったのは兄弟がいつも着ている温かそうなロピセーター。なぜか?セーターはヒゲもじゃの顔にとてもマッチしている。スコットランド、アラン島のフィッシャーマンズセーターも素敵だがロピセーターもかなり素敵だ。

新宿武蔵野館にて
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by margot2005 | 2016-01-13 23:56 | ヨーロッパ | Trackback(4) | Comments(0)

「独裁者と小さな孫」

「The President」2014 ジョージア/フランス/UK/ドイツ
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孫息子を膝に乗せ、電話一本の命令で街中の電気を消したりつけたりして遊んでいる、とある国の大統領。彼は国民から搾取した税金できらびやかな宮殿で日々贅沢な生活を送る一方、政権維持のため罪なき国民を処刑する残酷な男だった。やがてクーデターが勃発する…

大統領にミシャ・ゴミアシュウィリ。
孫息子にダチ・オルウェラシュウィリ。
理髪師にズラ・ベガリシュヴィリ。
護衛にラシャ・ラミシュヴィリ。
売春婦にラ・スキタシュヴィリ。
歌手の政治犯にグジャ・ブルデュリ。
愛に生きる政治犯にソソ・クヴェデリゼ。
寛大な政治犯にダト・ベシタイシュウィリ。
監督、脚本は「カンダハール/2001」のモフセン・マフマルバフ。

オープニング...ライトアップされた美しい街中を一台の車がゆったりと走っている。車のシーンが終わり、とある国の大統領と孫息子が戯れた後クーデターが起こり大統領は国外退去を余儀なくされる。大統領の妻や娘たちはいち早く国外へと出るが、大好きな幼なじみのマリアと離れるのが辛い孫息子は、楽しいことでいっぱいの宮殿へ戻ると言い張るが叶わない。街中では暴徒と化した住民が怒り狂い“大統領を殺せ!”とわめき立てている。まもなく国外脱出が無理とわかった大統領は孫息子を連れ、変装をして流浪の旅にでる。

大統領は自分が犯した罪をどうのように感じていたのだろう?流浪の旅の最中政治犯たちとの出会いが皮肉っぽくて面白い。
少々コメディ入っているがドラマは笑えない。切羽詰まった大統領と孫の行方がとても気になる。そしてエンディングに救われる。

大統領役のミシャ・ゴミアシュウィリと孫息子役のダチ・オルウェラシュウィリがナイス・キャスティング。赤いスカーフを被って女の子に変装したりする孫息子。ダチ・オルウェラシュウィリが全編健気に演じていてとても可愛い。

1980年代にルーマニア革命でチャウシェスクという大統領が失脚し妻と共に銃殺刑になった事件を思い起こす。あの宮殿(現在は国民の館)もスゴく贅を尽くしてあった記憶がある。
舞台は架空の国。ロケ地はジョージアとタジキスタン。グルジアの呼称がジョージアになったのは今年の4月。ジョージアにピンとこないのも無理はない。

新宿 武蔵野館にて
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by margot2005 | 2015-12-31 23:32 | ヨーロッパ | Trackback(2) | Comments(0)

「アンジェリカの微笑み」

「O Estranho Caso de Angélica」…aka「The Strange Case of Angelica」2010 ポルトガル/スペイン/フランス/ブラジル
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リスボン、ドウロ河流域の小さな町。ある日、カメラが趣味の青年イザクは富豪のポルタシュ館から写真撮影を依頼される。そして屋敷の女主人から亡くなった娘アンジェリカの最後の写真を撮って欲しいと告げられる。やがてイザクがカメラを構えファインダーを覗いた瞬間アンジェリカが微笑んだように見えた。しかし周りの誰もそれに気づいてはいない。写真を撮り終え下宿先の部屋へ戻ったイザクは、もはやアンジェリカを忘れることはできないと感じ始める...

監督、脚本は「コロンブス 永遠の海/2007」「ノン、あるいは支配の空しい栄光/1990」「ブロンド少女は過激に美しく/2009」「家族の灯り/2012」のマノエル・デ・オリヴェイラ。
イザクにリカルド・トレパ。
アンジェリカに「女王フアナ/2001」「アラトリステ/2006」「シルビアのいる街で/2007」「ブエノスアイレス恋愛事情/2011」のピラール・ロペス・デ・アジャラ。

現像しフォトとなったアンジェリカが再びイザクに微笑みかけてくる。イザクはアンジェリカに魅せられ茫然自失となる。下宿先の女主人はそんなイザクを心配するが、アンジェリカに取り憑かれてしまっているイザクは周りが見えていない状態。寝ても覚めてもアンジェリカが現れ、あろうことか夢の世界から現れたアンジェリカが手招きしている。
パジャマ姿のイザクと、白いドレスで空を飛ぶアンジェリカが滑稽ながらファンタジック。

主人公はいつものように監督の孫のリカルド・トレパ。死者に恋した青年の物語って??と展開が楽しみで、最初アンジェリカが生き返るのかな?なんて想像逞しくしていたがそのようなことにはならない。
「ブロンド少女は過激に美しく」で美しい少女に夢中になる青年を思い起こす。
2015年に106歳で亡くなったオリヴェイラ監督。100歳を過ぎても恋する男が主人公の映画を作るなんてなんとロマンティックな人なのだろう、と感心する。

アンジェリカ役の彼女…もうスゴく見たことのある女優だ!と思いながら全く思い出せずにPCでチェックしたらスペイン人女優のピラール・ロペス・デ・アジャラ。そして彼女の映画は何作も見ていることが判明。印象に残るのは「女王フアナ」だが「シルビアのいる街で」「「ブエノスアイレス恋愛事情」の彼女も良かった。
もう決してマノエル・デ・オリヴェイラが作るリカルド・トレパ主演の映画が見られないとは実に寂しい。

Bunkamuraル・シネマにて
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by margot2005 | 2015-12-21 23:58 | ヨーロッパ | Trackback(4) | Comments(0)

「1001グラムハカリしれない愛のこと」

「1001 Gram」2014 ノルウェー/ドイツ
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ノルウェーの国立計量研究所に勤める女性化学者マリエは、あらゆる計測のエキスパート。ある日、心臓発作で倒れた父親の代わりにパリで行われる国際セミナーに参加し、パイと言う名前のフランス人科学者と出会う…

マリエにアーネ・ダール・トルプ。
パイに「幸せになるための恋のレシピ/2007」のロラン・ストケル。
マリエの父親アーンスト・アーンストにスタイン・ヴィンゲ。
マリエの同僚ヴェンケに「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車/2014」のヒルデグン・リーセ。
監督、製作、脚本は「キッチン・ストーリー/2003」「ホルテンさんのはじめての冒険/2007」「クリスマスのその夜に/2010」のベント・ハーメル。

ひと味違った映画を作るベント・ハーメル。「キッチン・ストーリー」での“独身男性の台所での行動パターン調査”も可笑しかったが、こちらは物を計る基準となる“キログラム原器”が主人公と言うのが実にユニーク。

「クリスマスのその夜に」はそれほどでもなかったが「ホルテンさんのはじめての冒険」はかなりのハートウォーミング・コメディ。本作は何もかも壊れてしまい、途方にくれるヒロインが国際セミナーで出会った心優しいフランス人化学者と明るい未来を取り戻すラヴ・ストーリーと言った趣。

マリエが計量研究所に勤めるだけあって、少々無機質ではあるが計算し尽くされた趣の彼女の家の家具が完璧なまでに美しい。でも結婚生活ではパイロットの夫とは離婚寸前。人間誰しも全てにおいて完璧にはなれないといったところ。
マリエを演じるアーネ・ダール・トルプはノルウェーでは有名な女優だそう。今回彼女の映画を初めて見た。少々冷たいイメージを感じる淡々とした雰囲気がドラマのヒロインにぴったり。

それぞれの国に“キログラム原器”なるものが存在し、パリにある“国際キログラム原器”は“1キログラムの母”と形容され金庫の中に厳重に保管されている。国際セミナーで1キログラムの新しい定義をめぐって議論が交わされるシーンはなんとなく滑稽だった。

原タイトルの“1001グラム”...亡くなった父親の遺灰の重さとはやはりひと味違ったベント・ハーメルの世界?
バスルームで交わされる“15.5でしょ?いや18.0かな?”といったあのサイズが意味深。
ヒロインの乗るノルウェーの電気自動車“buddy”が超かわいい。
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Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2015-11-26 00:14 | ヨーロッパ | Trackback(1) | Comments(0)