カテゴリ:MINI THEATER( 227 )

「パリ3区の遺産相続人」

「My Old Lady」2014 USA/UK/フランス
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亡くなった父親からパリの高級アパルトマンを相続したアメリカ人男性マティアスは、ニューヨークからパリへとやって来る。しかしアパルトマンにはなぜか老婦人マティルドが住んでいた。アパルトマンの元の所有者であるマティルドとマティアスの父親は“ヴィアジェ”というフランス独特の不動産売買契約を結んでおり、その契約によると元の所有者は亡くなる迄住み続けることができ、おまけに買い主から毎月2400€(現在のレートで32万弱)の支払いを受け続けることになっていた。マティアスは相続したアパルトマンが売れないばかりか、毎月2400€もの大金を支払わなくてはならないことに呆然とする…

マティアス・ゴールドに「卒業の朝/2002」「声をかくす人/2011」「ラストべガス/2013」のケヴィン・クライン。
マティルド・ジラールに「美しき家、わたしのイタリア/2003」「ラヴェンダーの咲く庭で/2004」「ジェイン・オースティンの秘められた恋/2007」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう/2011」のマギー・スミス。
クロエに「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて/2010」「危険なプロット/2012」「殺意は薔薇の香り/2013」のクリスティン・スコット・トーマス。
フランソワ・ロワに「ミックマック/2009」「天才スピヴェット/2013」のドミニク・ピノン。
フローレンス・ホロウィッツ医師に「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール/2001」「キングス&クイーン/2004」「マリー・アントワネットに別れをつげて/2012」「カミーユ、恋はふたたび/2012」のノエミ・ルボフスキー。
監督、脚本、原作戯曲は「いちご白書/1970」「太陽の雫/1999」「DEAN/ディーン/2001」の脚本家イスラエル・ホロヴィッツ。

行き場がないマティアスに同情したマティルドは彼に一室提供する。しかしアパルトマンには老婦人だけではなくその娘クロエも住んでいることが判明し、2400€を支払わないと、不法侵入でアパルトマンから追い出す!とクロエに脅かされる。

マティアスの父親が息子に残したのはパリのアパルトマンのみ。これってソリが合わなかった父子関係を現しているような感じで可笑しい。何せすぐに自分のものにはならない代物の上、亡くなった父親の代わりにマティルドが亡くなる迄支払い続けなくてはならないのだから。

ケヴィン・クライン、マギー・スミス、クリスティン・スコット・トーマス、個性的な演技派3人の俳優たちの競演は中々ながらゆったりし過ぎて(言い争いはあるが...)睡魔に襲われそうだった。
ドラマの後半でマティルドとマティアスの父親との関係がわかり、マティアスとクロエは動揺を隠せない。その辺りからは少々盛り上がる。でもなんだかんだでラストのハッピー・エンディングはちょっと短絡的かな?
不動産屋フランソワ・ロワとローレンス・ホロウィッツ医師がひと味添えている。

本作はパリ観光案内ドラマってほどではないが、ドラマに登場するアパルトマンは古いながら広い庭付きでゴージャス。所在地は確かマレ地区だと言っていた気がするが、月2400€は当然の価格なのだろう。
ヴィアジェってとんでもない契約かと驚くばかり。元の所有者が早くに亡くなればOKだが、ギャンブルのようで面白いというのかとんでもない制度のように思えるけどフランス人らしい!?

Bunkamuraル・シネマにて
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by margot2005 | 2015-12-22 23:58 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「ミケランジェロ・プロジェクト」

「The Monuments Men」2014 USA/ドイツ
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第二次世界大戦末期のヨーロッパ。アドルフ・ヒトラーは“総統美術館”を作る計画を進め、ナチスはヒトラーの命を受けヨーロッパにある数々の貴重な美術品を盗むことに闘士を燃やしていた。それを知ったハーバード大学付属美術館長のフランク・ストークスは貴重な美術品を後世に残すため立ち上がる...

監督、脚本、製作、出演(フランク・ストークス)に「ファミリー・ツリー/2011」「ゼロ・グラビティ/2013」のジョージ・クルーニー。
ジェームズ・グレンジャーに「アジャストメント/2011」「プロミスト・ランド/2012」のマット・デイモン。
リチャード・キャンベルに「ダージリン急行/2007」「ゲットスマート/2008」「リミッツ・オブ・コントロール/2009」「私が愛した大統領/2012」「グランド・ブタペスト・ホテル/2013」「ヴィンセントが教えてくれたこと/2014」のビル・マーレイ。
ウォルター・ガーフィールドに「お買いもの中毒な私!/2009」「アーティスト/2011」「アルゴ/2012」「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌/2013」のジョン・グッドマン。
ジャン=クロード・クレルモンに「海の上のバルコニー/2010」「アーティスト/2011」「プレイヤー/2012」「メビウス/2013」のジャン・デュジャルダン。
ドナルド・ジェフリーズに「僕が星になるまえに/2010」「ダウントン・アビー シリーズ/2010~2013」のヒュー・ボネヴィル。
プレストン・サヴィッツに「幸せのレシピ/2007」「パーフェクト・プラン 完全なる犯罪計画/2011」「ジゴロ・イン・ニューヨーク/2013」のボブ・バラバン。
クレール・シモーヌに「シンデレラ/2015」のケイト・ブランシェット。

過去にパリや、ローマ、フィレンツェでとても有名な絵画や彫刻をたくさん見てきたので、この映画にはスゴく興味があった。
ジョージ・クルーニー以下出演陣も豪華。ユーモアを交えながら展開するドラマはわたし的に見応えがあった。

1944年7月。アメリカ人5人、英国人1人、フランス人1人で構成された特殊部隊“モ ニュメンツ・メン”はノルマンディに上陸し、ヨーロッパ各地を回り美術品奪還を目指していた。しかし多くの美術品は既にナチスによって持ち去られていた。そんな折、英国人のドナルド・ジェフリーズはフランダースでナチスからファン・エイクの“ヘントの祭壇画”を守るため命を落としてしまう。エンディングでジェフリーズの子孫がシント・バーフ大聖堂に“ヘントの祭壇画”を見に訪れるシーン…“たかが美術品のために命を落とすのか?”という辛辣な台詞をもあったが、それを見たジェフリーズの子孫は彼を称えたに違いない。

ナチスが美術館や教会から盗んだ絵画や彫刻は、岩塩採掘跡地やノイシュヴァンシュタイン城に積み上げ隠されていた史実に驚いた。城の玄関に無造作に置かれたロダンの“カレーの市民”ますます悲しそうに映る。
そして美術館や教会からだけではなく、ユダヤ人家庭からの略奪品も圧巻だ。奪った絵画や家具、食器が山ほど積み上げられた部屋。そして金歯がいっぱい入った樽にはあきれ返る。
ジェームズ・グレンジャーがユダヤ人の家の壁に絵画をそっと返すシーンが素敵。

映画の中で“ヒトラーは美術学校の試験に二度も落ちた。”と語られる。
ジョン・キューザック主演の「アドルフの画集/2002」という映画を思い出した。画家を夢見るヒトラーとキューザック演じる画商マックスのドラマ。アドルフ・ヒトラーが美術品に固執したのも良くわかる。

TOHOシネマズシャンテにて
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by margot2005 | 2015-11-25 21:54 | MINI THEATER | Trackback(7) | Comments(4)

「アデライン、100年目の恋」

「The Age of Adaline」2015 USA/カナダ
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1937年、29歳のアデラインは車の事故に遭い、一度心臓は止まるが雷の直撃により生き返る。やがてそれが原因でアデラインの老いがストップしてしまう…

アデラインに「ニューヨーク、アイラヴユー/2008」「50歳の恋愛白書/2009」「ザ・タウン/2010」「野蛮なやつら/SAVAGES/2012」のブレイク・ライブリー。
エリスに「フィレーネのキライなこと/2003」「わたしに会うまでの1600キロ/2014」のミキール・ハースマン。
ウィリアムに「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国/2008」「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官/2009」「小さな命が呼ぶとき/2010」「42 〜世界を変えた男〜/2013」のハリソン・フォード。
キャシーに「ジェイン・オースティンの読書会/2007」「新しい人生のはじめかた/2008」「マシンガン・プリーチャー/2011」「ウォルト・ディズニーの約束/2013」のキャシー・ベイカー。
フレミングに「ファウンテン 永遠に続く愛/2006」「ブッシュ/2008」「やさしい嘘と贈り物/2008」「インターステラー/2014」のエレン・バースティン。
監督は「セレステ∞ジェシー/2012」のリー・トランド・クリーガー。

名前を変え、髪型を変え、娘のフレミングとも別れて暮らすアデライン。かつて恋もしたが、自身の特性を知られたくないため別れるしか方法がなかった。年月が経過したある夜、大晦日のパーティで魅力的な独身男性エリスと出会い心乱れる。恋してしまってははならないと誓うアデラインながら彼のアタックに抵抗できない。やがてエリスに誘われるまま彼の両親の家を訪れたところ、紹介されたエリスの父親は遥か昔に愛したウィリアムだった。
この後の展開は予想通りながら、ハッピー・エンドの結末に嬉しくなる。シアター女性だらけだったのも納得。斜め前にいた男性は途中で挫折したのか?席に戻って来なかった。

中年になっても容貌は全く変わらず、娘と一緒だと姉妹のように映るアデラインは周りの人々から怪しまれFBIに拉致されそうになる。
永遠の美は女性の憧れかも知れないが、FBIに追いかけられてヒロインが逃げ出すのも理解できる。捕まったら標本(人体実験??)にされてしまうのだから…。

最近ロマンティックな映画の公開は極端に少ないので、しばしとてもロマンティックな雰囲気に浸れて幸せだった。
アデライン役のブレイク・ライブリーがクラシックな雰囲気をも持ち合わせていてナイスなキャスティング。彼女が纏う1930年代から21世紀現在のファッションも美しい。

「フィレーネのキライなこと」で知ったオランダ人俳優のミキール・ハースマン。「わたしに会うまでの1600キロ」での出番は少なかったけど、本作ではたっぷりの出演で中々素敵な俳優だ。
他にハリソン・フォードにキャシー・ベイカー&エレン・バースティンと豪華な名優の競演。出演陣がとても素晴らしくて、ファンタジーっぽいドラマも素敵で、久々に映画に魅せられた。
ハリソン・フォードは大好きなハリウッド俳優。来月公開される「スター・ウォーズ/フォースの覚醒/2015」のハリソンが楽しみ。

シネリーブル池袋にて
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by margot2005 | 2015-11-06 00:35 | MINI THEATER | Trackback(5) | Comments(0)

「白い沈黙」

「The Captive」 2014 カナダ
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雪に覆われるカナダ・ナイアガラフォールズの街。造園会社を営むマシューは妻ティナとスケート選手を夢見る9歳の娘キャスと幸せに暮らしている。ある吹雪の日、車に残したキャスが忽然と消えてしまう。警察に捜査を依頼するが、証拠も何もないためマシューは刑事に疑惑を持たれてしまう。妻ティナにも責められやりきれないマシューは日々車を走らせ娘探しを始める。
8年後、マシューは妻ティナと別居し、自責の念からひたすら娘探しを続けていた…

マシュー・レインに「あなたは私の婿になる/2009」「グリーン・ランタン/2011」「デンジャラス・ラン/2012」「ハッピー・ボイス・キラー/2014」のライアン・レイノルズ。
ティナ・レインに「デビルズ・ノット/2013」「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所/2014」のミレイユ・イーノス。
キャス・レインに「アウトロー/2012」のアレクシア・ファスト。
ジェフリー・コーンウォールに「死ぬまでにしたい10のこと/2003」「アンダーワールド/2003」「君への誓い/2012」のスコット・スピードマン。
ニコール・ダンロップに「RENT/レント/2005」「アンストッパブル/2010」「トランス/2013」のロザリオ・ドーソン。
ミカに「ロビン・フッド/2010」「フルートベール駅で /2013」「ノア 約束の舟/2014」のケヴィン・デュランド。
ヴィンスに「華麗なる恋の舞台で/2004」「カポーティ/2005」「デジャヴ/2006」「アイム・ノット・ゼア/2007」「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命/2012」「デビルズ・ノット/2013」「パパが遺した物語/2015」のブルース・グリーンウッド。
監督、脚本、原案、製作は「秘密のかけら/2005」「クロエ/2009」「デビルズ・ノット/2013」のアトム・エゴヤン。

犯人がキャスを連れ去ったのには理由があった。ストーリーが進むにつれ、隠しカメラやインターネットでの誘いと、キャスが消えた理由がだんだんわかってくる。映画のオープニングは犯人と少女。でもドラマは犯人の日常には少ししか触れないし、少女をどのような目的で拉致したのかも最初は良くわからない。そして少女の両親の日常を時折挿みながら、主軸は捜査を進める刑事たち。ジェフリーとニコールの刑事コンビが執念を見せる。でもニコールが拉致されたのには驚いた。

ドラマは時系列で描かれないので過去と現在が行ったり来たりして少々ややこしい。
アトム・エゴヤンの世界はどれもこれもダーク。映画の舞台は雪に埋もれるカナダ・ナイアガラフォールズの街。
原タイトルは“捕虜/監禁された”とそのものずばりながら、邦題の「白い沈黙」にそそられ、白い世界にダークなサスペンスとくればドラマはかなり盛り上がるように思える。でも誘拐された少女たちをインターネットでは見れるが、どこにいるのかわからない。ラスト犯人は殺されるがどうもすっきりしなくて困った。
「デビルズ・ノット」のラストもすっきりしなかった記憶が…。それってアトム・エゴヤンの世界なのかも知れない?

俳優陣は皆素晴らしい。
先だって「ハッピー・ボイス・キラー」で少々変なキャラのライアン・レイノルズを見たばかり。本作は忽然と姿を消した娘を案じる真面目な父親役が似合っている。来月公開される「黄金のアデーレ 名画の帰還/2015」も楽しみだ。

TOHOシネマズシャンテ
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by margot2005 | 2015-10-24 22:04 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」

「A Most Violent Year」2014 USA/アラブ首長国連邦
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1981年、ニューヨーク。移民のアベルはオイルカンパニーを経営する実直な男で、美しい妻アナと娘に囲まれ幸せな日々を送っている。ある日、アベルは事業を拡大するため全財産を一時金にして土地を購入するが、30日以内に残金を支払わなければ頭金は戻らない。そこで残金支払いのため銀行から融資を受ける。そんな折、アベルの会社のトラックが何ものかに襲われオイルと共に消えてしまう。トラック運転手のジュリアンは傷を負い入院。そしてトラックは再び襲われ、アベルの家にも脅しがかけられる…

アベル・モラレスに「マリア/2006」「ワールド・オブ・ライズ/2008」「ロビン・フッド/2010」「ウォリスとエドワード 王冠をかけた恋/2011」「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌/2013」「ギリシャに消えた嘘/2014」のオスカー・アイザック。
妻のアナに「ツリー・オブ・ライフ/2011」「英雄の証明/2011」「ゼロ・ダーク・サーティ/2012」「ラブストーリーズ エリナーの愛情/2013」「ラブストーリーズ コナーの涙/2013」のジェシカ・チャステイン。
アベルの腹心アンドリューに「タクシードライバー/1976」「あなたの死後にご用心!/1991」「ドライヴ/2011」のアルバート・ブルックス。
ローレンス検事に「ペーパーボーイ 真夏の引力/2012」「大統領の執事の涙/2013」「グローリー/明日への行進/2014」のデヴィッド・オイェロウォ。
ピーター・フォレンテに「GOAL!/ゴール!/2005」「さよなら。いつかわかること/2007」「ココ・アヴァン・シャネル/2009」「ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界/2012」「アメリカン・ハッスル/2013」「デビルズ・ノット/2013」「グローリー/明日への行進」のアレッサンドロ・ニヴォラ。
トラック運転手のジュリアンに「ビトレイヤー/2013」のエリス・ガベル。
監督、脚本、製作は「オール・イズ・ロスト 最期の手紙/2013」のJ・C・チャンダー。

オイルのタンクローリーが何度か盗まれる事件が起きた時、ひょっとしてアベルの狂言?なんてとんでもないことを想像したが、アベルは真面目一筋の人間だったようだ。ローレンス検事から脱税疑惑を受けたのも元はと言えばアナのせいだし…。

アナの父親はギャング。組合のメンバーであるピーター・フォレンテもギャングで、豪邸に住んでいる。南米からの移民であるアベルとフォレンテ。そして土地持ちのユダヤ人や、韓国人の金貸しが登場するニューヨークは間違いなく人種のるつぼである。
アベルに雇われるトラック運転手ジュリアンもやはり移民者。成功した者と、アメリカン・ドリームをつかむことができなかった者のラストが哀れに映る。
ギャングの娘で、しばし過激な行動に出る妻に対し冷静で暴力を好まない夫...相反する夫婦が興味深い。

アルバート・ブルックスの出演が懐かしい。
シアターで見逃しwowowで見た「インターステラー/2014」にも出演していたジェシカ・チャステインは今ハリウッドで一番売れる女優かも知れない。ドラマの中で彼女が纏う80年代のファッションはジョルジオ・アルマーニのデザインとエンドクレジットに記されていた。とにかくスゴくゴージャス!
しかしながら、アナはとてもオシャレなのにアベルがいつも同じキャメル色のコートを着ているのが不思議だった。夫は着るものに無頓着だったのか?それとも製作者の意図なのか?理由はわからない。アベルのコート目に焼き付いてしまっている。

1981年のアメリカは原タイトルにあるように“最も暴力的な年”で統計史上犯罪が最も多い年だったらしい。
映画のシーンほとんど冬。雪が舞い、積もる寒々しいニューヨークの街が物語を盛り上げている。
ちょっと気になる俳優オスカー・アイザックとアレッサンドロ・ニヴォラの出演に興味を注がれ、シアターで予告編も何度か見て期待は高まった。サスペンスフルなタッチで進行する社会派ドラマはとても見応えがあった。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2015-10-16 22:08 | MINI THEATER | Trackback(4) | Comments(2)

「ハッピー・ボイス・キラー」

「The Voices」2014 USA/ドイツ
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バスタブ工場で働くジェリーは家族も友達も恋人もいない孤独な青年。犬のボスコと猫のミスター・ウィスカーズが心の支えであり唯一の友だち。ジェリーは時折、精神科医のウォーレン博士にセラピーを受けている。
ある日、工場の経理で働くフィオナをデートに誘うがすっぽかされ落ち込むばかり。帰り道ジェリーは大雨の後ずぶ濡れになったフィオナを見つけ車に乗せる。やがて少々混乱気味だったジェリーは、はずみでフィオナを殺害してしまう…

ジェリーに「あなたは私の婿になる/2009」「グリーン・ランタン/2011」「デンジャラス・ラン/2012」のライアン・レイノルズ。
フィオナに「ボヴァリー夫人とパン屋/2014」のジェマ・アータートン。
リサに「マイレージ、マイライフ/2009」「50/50 フィフティ・フィフティ/2011」「イントゥ・ザ・ウッズ/2014」のアナ・ケンドリック。
アリスに「愛を複製する女/2010」のエラ・スミス。
ウォーレン博士に「アニマル・キングダム/2010」「世界にひとつのプレイブック/2012」「イノセント・ガーデン/2013」「マジック・イン・ムーンライト/2014」のジャッキー・ウィーヴァー。
シェリフに「マリア/2006」のスタンリー・タウンゼント。
監督は「チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~/2011」のマルジャン・サトラピ。

ダークなブラック・コメディは最初笑えたがだんだんエスカレートしていって笑えるというより少々引きそうだった。
映画を見終わってすぐにアルフレッド・ヒッチコックの「サイコ/1960」を思い起こした。主人公のジェリーが母親絡みで「サイコ」のノーマンと被る。

猟奇殺人者となったジェリーは死体を切り刻み、ホームセンターで山ほど買い込んだキーパー(野菜とか肉を保存する容器)に詰め、切り落とした生クビは冷蔵庫に保管する。部屋の壁面に所狭しと積み上げられたキーパーが不気味。
ジェリーの母親は“声が聞こえる”という精神疾患を患い、病院に収容されるのを拒んで自ら死を選んでいた。ジェリーも母親同様“声が聞こえる”人。ジェリーが耳にするのはペットのボスコとミスター・ウィスカーズの喋る声。そして生クビとなったフィオナの声まで聞こえてくる。“一人じゃ寂しいから誰か連れて来て!”とフィオナにそそのかされたら、ジェリーはもう止まらない。

かっこいい系のモテる男が似合うライアン・レイノルズが、ピンクの超ダサイ作業着が意外に似合って可笑しくて仕方なかった。
ラストは天国で、歌とダンスにイエス・キリストまで登場しびっくり仰天。
ライアン・レイノルズは犬&猫と、鹿にモンキーの声も担当している。
アメリカの大田舎が舞台ながらロケーションはドイツ。

シネマート新宿にて
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by margot2005 | 2015-10-02 22:59 | MINI THEATER | Trackback(3) | Comments(0)

「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」

「Boychoir」2014 USA
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母子家庭に育つ少年ステットはトラブル・メーカーの問題児。ある日、彼の通う学校に国立少年合唱団がやって来る。それは校長のミス・スティールがステットの歌の才能を見込み合唱団のオーディションを手配したのだった。しかし土壇場になってステットは逃げ出してしまう。そんな折、母親が車の事故で亡くなってしまう…

ステットにギャレット・ウェアリング。
カーヴェルに「主人公は僕だった/2006」「新しい人生のはじめかた/2006」「シェフ 三ツ星フードトラック始めました/2014」「靴職人と魔法のミシン/2014」のダスティン・ホフマン。
国立少年合唱団の付属学校長に「P.S.アイラヴユー/2007」「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで2008」「しあわせの隠れ場所/2009」「わたしの可愛い人-シェリ/2009」「バレンタインデー/2010」「ミッドナイト・イン・パリ/2011」のキャシー・ベイツ。
教師ドレイクに「ワルキューレ/2008」のエディ・イザード。
同じくウーリーにケヴィン・マクヘイル。
ジェラルドに「ポセイドン/2006」「リンカーン弁護士/2011」のジョッシュ・ルーカス。
校長のミス・スティールに「レイチェルの結婚/2008」「29歳からの恋とセックス/2012」のデブラ・ウィンガー。
監督は「シルク/2007」のフランソワ・ジラール。

ステットは母親の葬儀で初めて自分の父親と顔を合わせる。父親のジェラルドは裕福だが家庭があるためステットの引き取りを拒み、ミス・スティールに里親探しを依頼する。しかしミス・スティールはステットを国立少年合唱団に入れるようジェラルドに頼み込む。やがてジェラルドは臨時の入学は認められないながらも、金の力でステットを国立少年合唱団の付属学校に入学させる。そしてそこでステットを待っていたのはカーヴェルの厳しい指導と、クラスメートの執拗なイジメだった。
母子家庭の貧困生活。でも類いまれなる“ボーイ・ソプラノ”の才能を持つ少年ステット。ドラマは少々出来過ぎながらもラストに感動する。

“ボーイ・ソプラノ”は神からのギフトで、ある朝突然その美しい声は消滅してしまうと言う。大人の声に変わってしまった少年がその後、アルト等の声楽家に転向しても成功する保証はないらしい。まさに一定時期だけの“天使の歌声”。
オスカー俳優ダスティン・ホフマン&キャシー・ベイツや、ちょっとお気に入りのハリウッド俳優ジョッシュ・ルーカスとデブラ・ウィンガーの出演が豪華。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2015-09-28 23:10 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「Dearダニー君へのうた」

「Danny Collins」2015 USA
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70年代にロック・シンガーとして活躍したダニー・コリンズはもう何年も曲がかけず、おまけにかつてのヒット曲を歌うことに虚しさを覚えていた。そんなある日、ダニーのマネージャーで親友でもあるフランクがジョン・レノンの手紙を持って現れる...

ダニー・コリンズに「 ヴェニスの商人2004」「オーシャンズ13/2007」「陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル/2010」のアル・パチーノ。
メアリー・シンクレアに「華麗なる恋の舞台で/2004」「愛する人/2009」「キッズ・オールライト/2010」「ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界/2012」「フェイス・オブ・ラブ/2013」「あの日の声を探して/2014」のアネット・ベニング。
フランク・グラブマンに「しあわせはどこにある/2014」のクリストファー・プラマー。
サマンサ・リー・ドネリーに「JUNO/ジュノ/2007」「ミスター・アーサー/2011」「ダラス・バイヤーズ・クラブ/2013」のジェニファー・ガーナー。
トム・ドネリーに「ブルージャスミン/2013」「シェフ 三ツ星フードトラック始めました/2014」のボビー・カナヴェイル。
ホテルのスタッフ、ニッキー・アーンスにジョシュ・ペック。
同じくジェイミーに「セッション/2014」のメリッサ・ブノワ。
監督は「ラブ・アゲイン」「ラストベガス/2013」の脚本家ダン・フォーゲルマン。

ジョン・レノンの手紙には“裕福になっても心は同じ”と書かれていた。あの時あの手紙を受け取っていたら、もっとましな人生を送れたかもしれない…”しかし今更思ってもどうしようもない。そこでダニーは今から自分の人生を立て直そうと立ち上がる。まずツァーをキャンセルして息子トムを訪ねるためニュージャージーへと向かう。

かつてダニーのグルーピーだった女性との間に生まれた息子と初めて対面するが、存在を拒否されてしまう。息子トムには優しくてしっかりものの妻サマンサと、ADHD(多動症)の可愛い一人娘がいた。おまけにサマンサは第二子を妊娠中。ダニーはまずサマンサと孫を抱き込もうと考える。

ダニーが長期滞在するニュージャージー・ヒルトンのマネージャー、メアリーとの出会いも微笑ましい。
アル・パチーノは今年75歳。歌うシーンもあって実にシブい。
そしてドラマのバックに流れるのはジョン・レノンの名曲の数々…Imagine/Working Class Hero/Love/Beautiful Boy/Nobody Told Me等々。

ドラマのモデルになったのは英国のシンガーソングライターのスティーヴ・ティルストンで、かつて大成功をおさめ今でも現役だそう。もちろん彼のことは全く知らない。映画の舞台はアメリカで、名前もダニー・コリンズに変えられている。
真実に発想を得たフィクションながら中々素敵なヒューマン・ドラマだった。

1971年21歳のスティーヴ・ティルストンは雑誌ZigZagのインタビューで、“成功や富が自分の曲作りをダメにしてしまうのではないかと恐れる。”と話した。その記事を読んだジョン・レノンが励ましの手紙をZigZagの記者に送ったものの本人には届かず、34年(2005年)ぶりにオークションにかけられたその手紙がティルストンの元に届く。手紙にはジョンとヨーコのサインの他に電話番号が記されていた。
ほんと、ジョンの手紙を手にしていたら、ジョンに電話をかけ話していたら、スティーヴ・ティルストンの人生は少々違ったものになっていたかも知れない。人生は時として皮肉なものだ。

角川シネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2015-09-23 22:20 | MINI THEATER | Trackback | Comments(0)

「わたしに会うまでの1600キロ」

「Wild」 2014 USA
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“アメリカ西海岸を南北に縦断する過酷な自然歩道パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)にたった一人で挑み、3ヵ月間で1600kmを踏破した実在の女性シェリル・ストレイドの冒険物語。”

シェリルに「恋人たちのパレード/2011」「デビルズ・ノット/2013」「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~/2014」のリース・ウィザースプーン。
ボビーに「夫以外の選択肢/2004」 「ザ・マスター/2012」「きっと、星のせいじゃない/2014」のローラ・ダーン。
ポールにトーマス・サドスキー。
リーフにキーン・マクレイ。
シェリルの友人エイミーに「ボルケーノ/1997」「ロシアン・ルーレット/2010」のギャビー・ホフマン。
グレッグに「ダラス・バイヤーズ・クラブ/2013」のケヴィン・ランキン。
フランクに「セッションズ/2012」のW・アール・ブラウン。
ジョナサンに「フィレーネのキライなこと/2003」のミキール・ハースマン。
監督は「ヴィクトリア女王 世紀の愛/2009」「カフェ・ド・フロール/2011」「ダラス・バイヤーズ・クラブ/2013」のジャン・マルク・ヴァレ。

映画を見てまず思い出したのは「イントゥ・ザ・ワイルド/2007」。映画を見た後製作者の一人は「イントゥ・ザ・ワイルド」の製作者で「ラブ&マーシー 終わらないメロディー/2014」のビル・ポーラッドと知った。本作は女性一人の大冒険ドラマで、同じく実話である。
たった一人で過酷な大自然に挑戦したシェリルにはどのような過去があったのだろうか?それらはフラッシュバックとなってドラマの中に映しだされる。

ボビーの夫は飲んだくれで暴力的。子供を連れ家を出た彼女はシングルマザーとなってもいつも明るさを絶やさずシェリルとリーフにとっては素晴らしい母親だった。そんなボビーが46歳の若さで亡くなってしまう。

最愛の母親の死を受け入れることができず、優しい夫ポールがいるにも関わらず手当り次第にsexをしドラッグに溺れる日々。やがてポールと離婚したシェリルは自分探しの旅に出る決意をする。
自分探しの旅に出る...というのはとても良く理解出来る。一人旅なら尚更自分を見つめる事もできるし、しかしこの女性はなんと過酷な旅を選んだのだろう?山歩きの経験もないのに...おまけに歩く前から後悔しているように見えたし、でも人生のどん底にいたシェリルにとって、どうしてもやらねばならないことだったに違いない。

9/1の映画サービスディにシアターに行ったら満員で断られた。で、別の日に..まぁまぁの入りだった。
どこかのレビューにリース・ウィザースプーンってそれほど魅力を感じない女優…と書いている。というのも“キューティ・ブロンド”のリースからイメージが抜けないからかも知れない。オスカー主演女優賞をゲットした「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道/2005」は確かに素晴らしかったけど…。そして「グッド・ライ~いちばん優しい嘘」同様本作のリースも中々素敵だ。製作にも参加している。

オープニングとラストに流れるサイモンとガーファンクルの“El Condor Pasa (コンドルは飛んで行く)”がナイス。同じくS&Gの“Homeward Bound(早く家に帰りたい)”も流れ、この曲はヒロインの心境を現しているようでニクい。
ポスターにあるエイブラハム・リンカーンの“決して後ろを振り返らない...”がシェリルの心境を語っている様子。
シェリルが一人奮闘している中、道中で出会うグレッグ、フランク、ジョナサンたちとのエピソードをさりげなく挿み良い感じ。
旅のゴールであるオレゴン州の“神の橋”が見えた時のシェリルの爽やかな顔が素敵だ。映画のラストは感動を与えてくれる。
相変わらず邦題がダサ過ぎる。「Wild」クールなんだけど。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2015-09-13 23:07 | MINI THEATER | Trackback(5) | Comments(2)

「ヴィンセントが教えてくれたこと」

「St. Vincent」 2014 USA
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日々、酒とギャンブルに溺れるヴィンセントの家の隣にシングル・マザーのマギーと息子のオリバーが引っ越してくる。CTスキャン技師のマギーは仕事が忙しく、息子の面倒を見る時間があまりない有様。ある日、マギーに頼まれ仕方なしにオリバーの面倒を見ることになったヴィンセントはベビーシッターで金を稼ごうと思いつく…

ヴィンセントに「ダージリン急行/2007」「ゲットスマート/2008」「リミッツ・オブ・コントロール/2009」「私が愛した大統領/2012」「グランド・ブタペスト・ホテル/2013」のビル・マーレイ。
オリバーにジェイデン・リーベラー。
マギーに「デンジャラス・バディ/2013」「泥棒は幸せのはじまり/2013」のメリッサ・マッカーシー。
ダカに「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)/2014」のナオミ・ワッツ。
ブラザー・ジェラティに「カムバック!/2014」のクリス・オダウド。
ズッコに「ブレイブ・ワン/2007」「ハンティング・パーティ/2007」「奇跡のシンフォニー/2007」 「ザ・レッジ -12時の死刑台-/2011」「大統領の執事の涙/2013」「最高の贈りもの/2013」のテレンス・ハワード。
監督、脚本、製作はセオドア・メルフィ。

ドラマを盛り上げるのはひとえに俳優たちの存在…キャラ…演技。ビル・マーレイ、メリッサ・マッカーシー、ナオミ・ワッツ、そしてオリバー役のジェイデン・リーベラーがスゴく良い。
少々変わった趣のウェス・アンダーソン映画常連のビル・マーレイは偏屈で頑固なオヤジを演じれば天下一品。半パンで登壇する“St. Vincent”がナイス。
愛情深い普通の母親役のメリッサ・マッカーシーを見たのは今回初めて。彼女のキャラはいつも過激だから。
ロシアからやって来た“夜の女”ダカを演じるナオミ・ワッツの成りきりぶりには拍手を送りたい。

金欲しさにオリバーのベビーシッターを引き受けたヴィンセントは12歳の少年を酒場や競馬に連れ回し、子供どうしの喧嘩に割り込んで、オリバーが負けると知るや、相手を攻撃する技を伝授する。頑固オヤジのヴィンセントはモラルなどお構いなしに我が道を突き進んでいる。しかし偏屈で頑固な姿は彼の表の顔で、ヴィンセントの本当の顔は認知症の妻を気遣う心優しい夫。
やがてそれを知ったオリバーは、“St. Vincent”として讃えるのだ。
ビル・マーレイって実は苦手。でも本作を見て、憎たらしいけど、ちょっとチャーミングなビル・マーレイが好きになった。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2015-09-11 00:10 | MINI THEATER | Trackback(13) | Comments(2)