カテゴリ:イタリア( 66 )

「ローマに消えた男/自由に乾杯」

「Viva la libertà」...aka「Long Live Freedom」2013 イタリア
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ある日、党大会の演説で痛烈な野次を浴び精神的に追いつめられた左翼野党書記長エンリコは、妻アンナや腹心の部下アンドレアにも知らせず突然行方をくらましてしまう。マスコミには病気で入院中と嘘をつき、失踪を隠し続けるアンドレアはあることを知る。エンリコにはジョヴァンニという哲学者の双子の兄弟がいたのだ。ジョヴァンニの巧みな弁舌を聞いたアンドレアは彼を代役に仕立て、政局を乗り切ろうと考える...

エンリコ/ジョヴァンニに「湖のほとりで/2007」「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-/2008」「それは息子だった/2012」のトニ・セルヴィッロ。
アンドレアに「ナポレオンの愛人/2006」「錆び/2011」「司令官とコウノトリ/2012」「家の主たち/2012」のヴァレリオ・マスタンドレア。
ダニエルに「ミュンヘン/2005」 「ぼくを葬る/2004」「明日へのチケット/2005」「華麗なるアリバイ/2007」「家の主たち」のヴァレリア・ブルーニ・テデスキ。
アンナに「13才の夏に僕は生まれた/2005」「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女/2009」のミケーラ・チェスコン。
党員エヴェリーナに「カイマーノ/2006」「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-」のアンナ・ボナユート。
監督、原案、脚本は「そして、デブノーの森へ/2004」のロベルト・アンド。

大統領とかくれんぼしたり、首相(女性)とタンゴを踊ったりするジョヴァンニは双極性障害(躁うつ病)で精神科病院から退院したばかり。
一方で政局を放棄してパリへ逃亡したエンリコはかつての恋人ダニエルのアパルトマンに身を寄せる。ダニエルの夫は有名な映画監督で、彼女自身も映画製作の仕事に関わっている。ダニエルと共に撮影に赴き現場の人々と交流したり、ダニエルの娘と仲良くなったりするうちエンリコの心が癒されて行く。そうエンリコは映画が好きだったのだ。

ごく普通の仕事に就いている人でもストレスはたまる。ましてや公的な人で、常に言動を注目されているとしたら…それはそれは猛烈なるストレスがたまっているに違いない(個人差はあるだろうが…)。で、エンリコは逃げ出したのだ。
ラストはとても爽快で素敵だった。

エンリコとジョヴァンニ、ダブル・キャストのトニ・セルヴィッロが秀逸。
「湖のほとりで」では穏やかで心優しい刑事。「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男」ではイタリアの元首相ジュリオ・アンドレオッティ役が強烈な印象を残した。そして昨年のイタリア映画祭で観た「それは息子だった」ではパレルモ舞台のブラック・コメディで、クレージーな主人公が実に似合っていた。
レビューは書いていないが「よせよせ、ジョニー/2007」「ゴモラ/2008」「海の上のバルコニー/2010」などでもお目にかかったトニ・セルヴィッロは今イタリアを代表する俳優のひとりなのだろう。

アンドレアを演じるヴァレリオ・マスタンドレアはお気に入りイタリア人俳優の一人。平凡な顔(ヨーロッパ人に多い?)なのであまり印象には残らないが、中々チャーミングな俳優だ。

イタリア映画祭2014で鑑賞/恵比寿ガーデンシネマにて上映中
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by margot2005 | 2015-11-18 20:49 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「カプチーノはお熱いうちに」

「Allacciate le cinture」…aka「Fasten Your Seatbelts」2014 イタリア
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ある日、エレナは大雨に見舞われた街中のバス停でいけすかない男と出会い口論になる。シングルの彼女はカフェで働いているが、いつか自分の店を持ちたいと願っている。そんなある夜、資産家ジョルジョの家で友人シルヴィアのボーイフレンド、アントニオを紹介されるが、なんと彼はバス停で会ったあのイヤミな男だった。エレナの親友のファヴィオはゲイ。しかしアントニオは臆面もなくファヴィオの前でアンチ・ゲイ発言を始める。頭にはきたもののエレナは価値観の全く違うアントニオになぜか惹かれていく。やがてアントニオがエレナにポロポーズし二人は結婚する…

エレナに「それもこれもユダのせい/2009」「パリより愛をこめて/2010」のカシア・スムートニアック。
アントニオ(夫)にフランチェスコ・アルカ。
ファヴィオ(親友)に「ブルーノのしあわせガイド/2011」のフィリッポ・シッキターノ。
シルヴィア(友人)にカロリーナ・クレシェンティーニ。
ジョルジョ(資産家)に「シチリア!シチリア!/2009」「ジョルダーニ家の人々/2010」のフランチェスコ・シャンナ。
アンナ(母親)に「恋するローマ、元カノ/カレ/2009」のカルラ・シニョーリス。
ヴィヴィアナ(叔母)に「カラヴァッジョ 天才画家の光と影/2007」「恋するローマ、元カノ/カレ」「あしたのパスタはアルデンテ/2010」のエレナ・ソフィア・リッチ。
エグレ(病室の友人)に「あしたのパスタはアルデンテ」のパオラ・ミナッチョーニ。
マリクラ(美容院店主)に「マリア・カラス 最後の恋/2005」「バール・マルゲリータに集う仲間たち/2009」「ジュリエットからの手紙/2010」のルイーザ・ラニエリ。
ディアーナ(担当医)に「湖のほとりで/2007」のジュリア・ミケリーニ。
監督、脚本、原案は「向かいの窓/2003」「あしたのパスタはアルデンテ/2010」のフェルザン・オズペテク。

エレナとアントニオは結婚後2人の子供をもうけていた。いつか自分の店を持ちたいと願っていたエレナの夢は叶い、ファヴィオと共に始めた店は13年たち、大成功を修めていたが、夫アントニオとの仲はなぜかぎくしゃくしている。そんな折、エレナが乳がんに冒されていることが発覚する。

配給がついていたので見送ったが、本作はイタリア映画祭2015で上映された作品。予告編は何度もシアターで観ていたが、どのような展開になるのか全く予測のつかないドラマで、互いに相容れない性格ながらエレナとアントニオの間には深い愛があることがわかるラストはとても良かった。13年前に戻った二人の海のシーンはナイスだ。海はホント絵になる。

舞台はアドリア海を臨む南イタリアのレッチェ。エレナがファヴィオと一緒に開くあのカフェ。ミラノに行った時街中にあのような店があったのを思い出した。それは本屋だったりもしてオシャレな雰囲気を醸しだしている。

イタリア映画は結構見ていると自負するが、アントニオを演じるフランチェスコ・アルカには初めてお目にかかった。濃い系の正にラテンといった風貌の俳優で中々素敵。
原タイトル“シートベルトを締めて”が“カプチーノはお熱いうちに”になってしまう邦題は「あしたのパスタはアルデンテ」同様主人公の仕事から取ったのかも??

シネスイッチ銀座にて
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by margot2005 | 2015-10-05 22:44 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「夏をゆく人々」

「Le meraviglie」…aka「The Wonders」2014 イタリア/スイス/ドイツ
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イタリア、トスカーナ州の山奥。養蜂業を営むヴォルフガングには妻アンジェリカとの間に4女がいる。長女ジェルソミーナはまだ12歳ながら養蜂の技術に優れ父を助ける日々。そんな夏のある日、家族はTV番組のロケ隊に遭遇する…

長女ジェルソミーナにマリア・アレクサンドラ・ルング。
父親ヴォルフガングに「闇を生きる男/2011」のサム・ルーウィック。
母親アンジェリカに「ボローニャの夕暮れ/2008」「私を撮って/2008」「やがて来る者/2009」「ミラノ、 愛に生きる/2009」「司令官とコウノトリ/2012」のアルバ・ロルヴァケル。
候のココにザビーネ・ティモテオ。
次女マリネッラにアニェーゼ・グラツィアーニ。
三女カテリーナにエヴァ・レア・ペイス・モッロー。
四女ルーナにマリス・ステッラ・モッロー。
ドイツ人の少年マルティンにルイス・ウイルカ。
ヴォルフガングの友人アドリアンに「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々/2005」「コッポラの胡蝶の夢/2007」のアンドレ・ヘンニック。
少年更生プログラムのイルデにマルガレーテ・ティーゼル。
TV司会者ミリー・カテナに「灼熱の肌/2011」のモノカ・ベルッチ。
監督、脚本はアリーチェ・ロルヴァケル。

長女ジェルソミーナの視点で描かれるドラマの舞台は、まるで文明など存在しないような人里離れた山奥の農村。家族は自然と共存しながら自給自足の日々を送っている。父親ヴォルフガングはドイツ出身で、家族はジェルソミーナの母と3人の妹、そして居候のココと父親以外全て女性。ヴォルフガングは家族に対し圧倒的な態度を取る支配者。次女のマリネッラは“わたしたちはまるで奴隷のよう。”と言う。

父親の独断である日、青少年更正プログラムの監視下にあるドイツ人少年マルティンを引き取ることになる。それは少年を預かることによって得られる現金収入のためだった。子供は娘ばかりで、ヴォルフガングは少年の存在が嬉しい。しかし娘たちはいきなりやって来た少年の存在に違和感を感じ始める。

ジェルソミーナはTV番組司会者ミリー・カテナの妖しくも美しい姿に魅了され、父親に内緒でTV番組のオーディションに応募する。番組は伝統的な製法で農産物を作る家族を紹介すると言うもの。
ヴォルフガングは自然と共に生きる伝統的な養蜂家の暮らしをかたくなに守ってきた。しかしジェルソミーナは外の世界へ飛び出したくてたまらない。ミリー・カテナと出会い、少年マルティンとの出会いも彼女に変化を与えたのだ。

しかしながらヴォルフガングはなんと頑固な男であることか!ある時、妻のアンジェリカが“もう我慢できない!別れるわ!”と宣うシーンがある。自己中な男に振り回される女性たち。日々、支配されこき使われながらも父親が大好きなジェルソミーナでさえうんざりする時もある。
ジェルソミーナを喜ばすため、ラクダをプレゼントするヴォルフガング。しかし当然ながらペットには無理だとわかる。トスカーナにラクダが全くマッチせずに可笑しい。

ドラマの中に養蜂のシーンが何度もでてくる。ミツバチのたてる音や風、雨の音がバック・ミュージックのようにドラマに溶け込んでいて素敵だ。

2014年のカンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた作品で、実に岩波にふさわしい映画だった。
イタリア映画祭2015で上映された作品で映画祭のポスターにもなっている。
最初ポスターに映る少女のあごの部分に付いている物は何?とあまり気にしてもいなかったが、本作を見てわかった。それは蜂...少女は蜂を操ることができるのだ。

神保町 岩波ホールにて
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by margot2005 | 2015-08-29 23:06 | イタリア | Trackback(3) | Comments(0)

「ただひとりの父親」

「Solo un padre」...aka「Just a Father」「Perfect Skin」2008 イタリア
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カルロに「私たちの家で/愛と欲望 ミラノの霧の中で/2006」「対角に土星/2007」のルカ・アルジェンティーロ。
カミーユにディアーヌ・フレーリ。
ジョルジョにファビオ・トロイアーノ。
メリッサにクラウディア・パンドルフィ。
監督にルカ・ルチーニ。

10ヶ月の娘ソフィアの父親カルロは若くて優秀な皮膚科医でありシングル・ファーザーでもある。普段は両親がソフィアの面倒を見ているが、ある日、両親が留守の間娘の世話をしなくてはならなくなる。カルロは同僚である友人ジョルジョたちの助けを借り幼いソフィアの育児に奮闘する。
一方で同僚の妹を紹介されデートが始まるがカルロは全く乗り気でない。そんな折、ジョギング中のカルロはフランスからやって来たカミーユと出会う。カルロは妻メリッサとは上手く行かなくて、別れる寸前に妊娠が発覚し子供が出来てしまった。しかし運命とはなんとも皮肉であり残酷なもので、子供を産み落としたメリッサは亡くなってしまったのだ。どうして良いか分らず、途方に暮れた彼は娘ソフィアを抱きしめ海に入って行こうかと考える。しかしソフィアの無邪気な笑顔を見て思いとどまるのだった。

生活がかかるシングル・マザーも辛いだろうけど、仕事を持つシングル・ファーザーはもっと大変か?と察する。カルロには助けてくれる両親がいるからOKだけど、助けてくれる身内がいない男ってどうするのだろう?なんて考えてしまった。
デートの相手は魅力的でゴージャスな女性ながらカルロは彼女に全く魅力を感じない。しかしジョギング中に出会ったフランス娘カミーユには惹かれて行く。それはソフィアが彼女に懐いているということもありで…。

妻を亡くし、娘をどうして育てようかと悩みまくる優柔不断な男カルロと、天真爛漫で、若くても自立しているカミーユの組み合わせはミスマッチながら未来を感じさせる。
過去のイタリア映画祭で見た何作かの映画の中に登場していたルカ・アルジェンティーロ。ラティン男の魅力たっぷりな彼はマルチェロ・マストロヤンニ級のイケメンで母性本能をくすぐる。以前見た2作は脇役だったので、主演のこちらは彼の魅力を存分に味わえる。

イタリア映画祭2010で鑑賞
ヒューマントラストシネマ有楽町にて“イタリア映画傑作選!”と銘打って本日より期間、時間限定特別上映
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by margot2005 | 2015-06-28 00:52 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「夫婦の危機」

「Il Caimano」2006 イタリア/フランス
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B級映画プロデューサー、ブルーノにシルヴィオ・オルランド。
ブルーノの妻パオラに「恋愛マニュアル/2005」のマルゲリータ・ブイ。
映画監督志望のテレーザに「息子の部屋」「輝ける青春/2003」「恋愛マニュアル/2005」のジャスミン・トリンカ。
俳優マルコにミケーレ・プラチド。
監督は「息子の部屋/2001」のナンニ・モレッティ。

タイトルの“カイマーノ”とはカイマンワニ(南米や中米の河や沼に生息している)のことだそう。
ローマ在住のB級映画プロデューサー、ブルーノは破産寸前状態の上、妻パオラから離婚を言い渡されている。ある夜、彼の古い映画が上映されている劇場に、監督志望の若い女性テレーザが現れ、ブルーノに脚本を手渡す。“カイマーノ”というタイトルのその脚本は権力の階段を駆け上がって首相になった実業家ベルルスコーニが主人公であった。ブルーノは社会派ドラマとは無縁で、このような題材は乗り気ではなかった。しかし、知り合いのプロデューサーが資金を提供してくれ、有名俳優マルコが主人公役を引き受けてくれるとのこと。やがて映画製作が始まる。だが、主人公を演じるマルコは家庭サービスのため急に役を降りると言い出す。それによって資金提供も打ち切られ映画製作は暗礁に乗り上げてしまう。

ドラマは破産状態で売れない監督の苦悩と、実生活で妻に離婚を言い渡される夫の苦悩を描いていて、“プロデューサー、監督、首相という3人の主役を配し、さらに首相役を3人のカイマーノと1人のベルルスコーニが演じるという錯綜した構成になっている。”と映画祭の冊子にコメントしてあるように...少々錯綜した構成に少々疲れてしまったのは否めないが、軽いコメディ・タッチで、売れない監督ブルーノがなんとか仕事をゲットしようと焦る日々の中、離婚寸前の愛する妻(妻に捨てられそうな様子)と息子との団らんに生き甲斐を見いだす姿に、新しい映画制作を絡め、中々面白いストーリーともなっている。でも一つ...イタリアの前首相シルヴィオ・ベルルスコーニについては何も知らないので、イタリアでは相当流行ったらしいが、ピンと来ない場面も多々ありだった。政治的な事は考えないで観た方が良いかもしれない。ベルルスコーニはACミランの会長。そういや劇中サッカー場にヘリで登場するシーンあり。

パオラ役のマルゲリータ・ブイがナイス。「息子の部屋」でも父親を演じた監督モレッティが“カイマーノ(首相)”を演じている。

イタリア映画祭2007で鑑賞
ヒューマントラストシネマ有楽町にて“イタリア映画傑作選!”と銘打って来週より期間、時間限定特別上映
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by margot2005 | 2015-06-27 21:44 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「ローマの教室で~我らの佳き日々~ 」

「Il rosso e il blu」…aka「The Red and the Blue」2012 イタリア
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ある日、ローマの公立高校に国語の補助教員が採用される。やってきた若いジョヴァンニはやる気満々の熱血漢。しかし校長のジュリアーナは“教師は学校内の教育だけすればいい”という考えの持ち主で、おまけに“生徒はみんな頭が空っぽ”と嘆く老美術史教師のフィオリートがいた...

ジュリアーナに「はじまりは五つ星ホテルから/2013」のマルゲリータ・ブイ。
ジョヴァンニに「輝ける青春/2003」「西のエデン/2008」「あしたのパスタはアルデンテ/2011」「昼下がり、ローマの恋/2011」「ローマでアモーレ/2012」「南部のささやかな商売/2013」のリッカルド・スカマルチョ。
フィオリートに「七つの慈しみ/2011」「グレート・ビューティー/追憶のローマ/2013」のロベルト・ヘルリッカ。
アンジェラにシルヴィア・ダミーコ。
エンリコにダヴィデ・ジョルダーノ。
エレナ・トガーニにルチア・マシーノ。
アダムにヨヌッツ・ポウン。
監督、脚本は「もうひとつの世界/1998」「映画のようには愛せない/2004」のジュゼッペ・ピッチョーニ。

原タイトルは“赤鉛筆、青鉛筆”。
赴任早々意欲満々で授業に臨んだジョヴァンニも、集中しない多くの生徒に振り回され、素行不良で、授業放棄のアンジェラに手を焼く。
老教師フィオリートはあろうことか教室でタバコをくゆらせ授業は適当にすましている。一人暮らしの彼は未来もなく自殺しようか...なんて考える日々。
そんな中、ジュリアーナは体育館で寝袋にくるまる男子生徒エンリコを発見し、咳が止まらない彼を病院へ連れて行く。

ジョヴァンニはジュリアーナとは全く違う考えの持ち主。手を焼きつつもアンジェラが気がかりでならない。アンジェラの授業放棄は父親の失業と母親の死と知り、人情に厚いジョヴァンニはますますアンジェラが気になる。
一方で、ジュリアーナは母親に捨てられたエンリコの面倒とみるハメに陥り、病院へ入院させ見舞いに訪れる。“教師は学校内の教育だけすればいい”が信条ながらどうしようもないのだ。

イタリア映画祭2013で上映された時観たかったのだが都合が付かなくて断念。岩波ホールで公開され観ることができた。
クラス一の優等生であるルーマニアからの移民少年アダムや、臨床検査室に勤めるフィオリートの教え子エレナなども交えたヒューマン・ドラマは中々素敵だった。

神保町 岩波ホールにて(10/10迄上映)
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by margot2005 | 2014-10-06 21:13 | イタリア | Trackback(1) | Comments(0)

「グレート・ビューティー/追憶のローマ」

「La grande bellezza」…aka「The Great Beauty」2013 イタリア/フランス
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ローマの社交界に君臨するジャーナリスト、ジェップは今年65歳を迎える。遥か昔40年前に高い評価を得た小説を書いて以来、今だ一冊も書けていない。作家として書くものが見いだせないのだ。目の前に堂々とコロッセオがそびえる超高級アパートのベランダでリッチな仲間たちと夜を過ごし、夜明けには一人ローマの街を散策する。そんなある日、若い頃に愛したエリーザの夫が訪ねて来る…。

ジェップに「湖のほとりで/2007」「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-/2008」「それは息子だった/2012」「自由に乾杯!/2013」のトニ・セルヴィッロ。
ロマーノに「イタリア的、恋愛マニュアル/2005」「昼下がり、ローマの恋/2011」のカルロ・ヴェルドーネ。
ラモーナにサブリナ・フェリッリ。
枢機卿に「七つの慈しみ/2011」のロベルト・ヘルリッカ。
監督、脚本は「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-/2008」のパオロ・ソレンティーノ。

エリーザの夫がジェップを訪ねて来たのは彼女が亡くなったから…エリーザが亡くなり鍵のかかった日記を見つけた夫はそれをこじ開け読んでしまう。日記にはジェップへの想いが切々と綴られていたのだ。
ジェップの友人で売れない劇作家のロマーノはローマに失望し故郷へと帰る。旧友の娘でヌード・ダンサーのラモーナに惹かれるが、やがて彼女は病で亡くなる。
日々、華やかな生活を謳歌しながらも心に空しさが募るジェップはある時、彼の小説に感銘を受けたという104歳の修道女にインタビューする機会を得る。“なぜ小説を書かないのか?”と問いつめられたことをきっかけに、座礁した豪華客船の取材でエリーザとの思い出の地を訪ねる。そしてジェップは書くことへの希望を見いだすのだ。

ストリップ、クラブのヌード・ダンサーやアーティストにマフィア、そして貴族や修道女まで登場するローマの街は興味深い。隣に住む紳士がマフィアだったというのもイタリア的??

闇に浮かぶナヴォーナ広場や、人の全くいない夜のカピトリーニ美術館まで登場する。主演のトニ・セルヴィッロのポスターに映る彫刻…何処かで!見た!と思っていたら2年前に訪れたローマのカピトリーニ美術館の大彫刻(下、デジカメで撮った写真)だった。ポスターは合成写真。

トニ・セルヴィッロは65歳の初老の男を演じているが、実際は10歳も若い。「湖のほとりで」で初めてお目にかかったセルヴィッロは現在のイタリアを代表する俳優なのだろう。温厚な刑事から狂気の首相まで幅広い役柄がどれもこれも適役で素晴らしい。今年のイタリア映画祭で観た「自由に乾杯!」の双子の兄弟役は最高だった。シアターで見損ない、最近wowowで見た「眠れる美女/2012」の彼も素晴らしかった。

映画はタイトル道りゴージャスに美しい!耽美の世界を堪能できる。そして当たり前ながらローマってキリスト教国なのだとしみじみ感じる。

「隣の女/1982」「恍惚/2003」「パリ、ジュテーム/2006」のフランス人女優ファニー・アルダンが本人役でワンシーンに出演している。
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Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2014-09-24 00:18 | イタリア | Trackback(4) | Comments(0)

「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」

「Sacro GRA」 2013 イタリア/フランス
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監督、撮影にジャンフランコ・ロージ。

全長約70キロ、イタリア最長の環状高速道路GRAはローマを土星の輪のように取り囲んでいる。
その周辺に住む人々...
ヤシの幹の中の音を聞き害虫から守る研究をする植物学者。
上空を飛行機が飛び交う高層アパートに住む父親と大学生の娘がとりとめもない会話を交わす。
お城のような大邸宅に住み、それを映画撮影やセレモニー、B&Bに貸し出している自称没落貴族。
環状線の救急隊員は年老いた母親を気使う心優しい男性。
テヴェレ川でうなぎ漁をする老漁師は後継者がいないことを嘆いている。
両性具有の車上生活者は子守唄を口ずさむ。
そして道路沿いの屋台には女装のゲイ、大道芸人、外国人売春婦など様々な人々が集まってくる。

主人公たちはローマ環状線周辺に暮す市井の人々。主に6組の家族が織りなす日常生活。世界的観光地ローマが舞台ながら、映画には観光客が訪れるスポットは全く映しだされない。淡々と進むドラマの中に、自称没落貴族と植物学者を除きイタリアの底辺に住む人々のほのぼのとした生活を覗き見た気分になる。

没落貴族がきんきらきんの部屋で風呂に入り葉巻をくゆらす姿や、部屋の壁中に偽物の著名な絵画…フィレンツェ、パラティーナ美術館にあるラファエロの”聖母子像”の模造画があって笑える。
ヘッドフォンで樹から発する音を分析する植物学者のエピソードも面白かったし、高層アパートに住む親子の会話がナイス。母親を気遣い、深い愛を注ぐ救急隊員のおじさんの姿にはジーンとくる。

初日(8/16)に観に行ったところ満員で断られた。土曜日でお盆ってこともあるし…以前から都内のシアターはお盆には人が入る。帰省する人を除いて仕事が休みの人が多いせいだろう。上映はヒューマントラストの小さい方のシアター。で、気を取り直して9月に入ってから観に行ったところかなり空いていたな(平日最終回)。
イタリア映画祭2014で上映され少々気になっていたドキュメンタリー映画。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて(現在レイトショーのみ上映中)
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by margot2005 | 2014-09-22 23:26 | イタリア | Trackback(4) | Comments(0)

「はじまりは五つ星ホテルから」

「Viaggio sola」…aka「A Five Star Life」2013 イタリア
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イレーネに「もうひとつの世界/1998」「恋愛マニュアル/イタリア的、恋愛マニュアル/2005」「カイマーノ/2006」「題名のない子守唄/2006」 「対角に土星/2007」「ローマ法王の休日/2011」のマルゲリータ・ブイ。
アンドレアに「最後のキス/2001」「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「対角に土星」「娘と狼/2007」「錆び/2011」のステファノ・アルコッシ。
ケイト・シャーマンに「家族の庭/2010」のレスリー・マンヴィル。
シルヴィアにファブリツィア・サッキ。
シルヴィアの夫トンマーゾに「元カノ/カレ/2009」のジャン・マルコ・トニャッツィ。
アンドレアの恋人ファビアーナにアレッシア・バレーラ。
監督、原案、脚本はマリア・ソーレ・トニャッツィ。
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ローマに住むイレーネは今日も飛行機に乗り五つ星ホテルへ赴く。40歳で独身。なんのしがらみもない彼女は会社に重宝されている。スゴくゴージャスな仕事のようだが…いやいやそうではない。ホテルの部屋に入るなり、白手袋をはめてあら探しを始めるのだから….

イタリアはもちろん、フランス、スイス、モロッコ、ドイツ、そして上海の五つ星ホテルが登場する本作はとても楽しみにしていた。

ドラマの中で一番最初に登場する五つ星ホテルはオテル・ドゥ・クリヨン。パリのコンコルド広場が真正面に見える位置に建つホテルは、ヴェルサイユからオペラを見にパリに遊びにきた時マリー・アントワネットが滞在したことで知られる。
“マリー・アントワネット・スイート”があり誰でも泊まれる(多分一泊十数万円は取る?)。そういや11月にパリに行った時ちょうど外観が工事中だったのを思い出す。

モロッコ、マラケシュのパレ・ナマスカはあまりにゴージャスで唖然。イタリア、トスカーナのスパ&リゾート・ホテルや、スイス、グシュタードのホテルもスゴい!そしてドイツ、ベルリンのホテルのサービスは過剰かと思えるほどだった。
過去にヨーロッパの五つ星ホテルに泊まったことはない。残念なことにこの後も多分ないだろうと思えるが、本作を観て我慢することにした。

ホテルのサービスをチェックする“覆面調査員”イレーネが訪れるそれぞれのホテルで人との出会いを織り込みながらドラマは進行する。

モロッコ、マラケシュで出会った男性はリッチで、魅力的だったが、妻にぞっこんでイレーネの入る隙間もない。

ドイツ、ベルリンで人類学者ケイト・シャーマンと出会い意気投合するが、翌朝彼女は心臓発作で亡くなってしまう。ケイトもイレーネと同じシングル。全くの他人ながらケイトの死に打ちのめされるイレーネの気持ちはとても理解できる。中年になって独身というのは男でも、女でも、自身が死を向かえる時、誰が側に…と思ってしまうのだろう。

しかし、イレーネのようなキャリアウーマンでも妹シルヴィアや元カレのアンドレアに依存しているのに驚く。
しがらみが多いと逃げ出したくもなるが、何もないのは、自由かも知れないがやはり寂しいことなのだろう。
大ラス...孤独ではあるが、再び自由で華やかな人生を謳歌しようと上海へ向かうイレーネが清々しい。

渋谷 ル・シネマにて
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by margot2005 | 2014-02-09 18:09 | イタリア | Trackback(2) | Comments(0)

「鑑定士と顔のない依頼人」

「La migliore offerta」…aka「The Best Offer」2013 イタリア
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ヴァージル・オールドマンに「シャイン/1995」「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマン・チェスト/2006」「エリザベス:ゴールデン・エイジ/2007」「英国王のスピーチ/2010」のジェフリー・ラッシュ。
ロバートに「ワン・デイ 23年のラブストーリー/2011」のジム・スタージェス。
クレアにシルヴィア・フークス。
ビリーに「針の目/1981」「プライドと偏見/2005」「ハンガー・ゲーム/2012」のドナルド・サザーランド。
監督、脚本は「題名のない子守唄/2006」「シチリア!シチリア!/2009」のジュゼッペ・トルナトーレ。
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ある日、天才的鑑定士ヴァージル・オールドマンの元へ、亡くなった両親の屋敷に残された絵画や家具を鑑定して欲しいという依頼が入る、しかし依頼人の女性は決してヴァージルに前に姿を現さなかった...

ジュゼッペ・トルナトーレの前作「シチリア!シチリア!」は日本人にとって少々とりつきにくい映画だったが、本作は「ニュー・シネマ・パラダイス/1986」同様素晴らしいストーリーで、ドラマを多いに楽しんだ。
あっと驚く!ラストの展開もナイス。してやられたヴァージル…大ラス、チェコ、プラハのレストランでヴァージルの元へクレアは現れたのだろうか?時計だらけのあのレストランはスゴかった。

ロマンスにも分類されている本作...クレアを愛し、愛されていると思った孤独な主人公のヴァージルを演じるジェフリー・ラッシュが完璧。あの役柄は他に思い浮かばない。
特にオークションのシーンは最高。ヴァージルは競売人として壇上に立ち競りを始める。競り落とす人々が掲げる金額を舌をかみそうな早口(日本語に比べて英語の数字の綴りは長いし...)で次から次へと言い放つシーンは圧巻。さすがのオスカー俳優ジェフリー・ラッシュならではの演技は素晴らしい!の一言。

オークションに持ち込まれる絵画もそうだが、とにかく秘密の部屋に飾られた肖像画がもうもうスゴい!ヴァージルが心から愛する肖像画...その部屋に入ると肖像画たちが彼を見つめることになる。孤独なヴァージルはそれらを見つめ、見つめられ癒されていたんだろうなきっと(あまりにも寂し過ぎるけど...)。
そういやエンドクレジットに蒼々たる絵画の巨匠たちの名前が羅列されているのに目が点だった。

舞台はイタリアの何処かの設定(ロケ地はもちろんイタリア)。
世界中を飛び回る天才的鑑定士ヴァージルは潔癖性で食事の時すら手袋を外さない。行きつけのレストランには彼の名前を冠したグラスと皿が保管されている有様。で、当然人との付き合いは苦手なわけ。ヴァージルが出会ったクレアは“広場恐怖症”という精神疾患で部屋に閉じこもったまま出て来れない。二人は共にアブノーマルな人間であり、結ばれる運命にあるのは自然だったかも知れない。親子ほどの年齢差は気になったが...。

映画を観た後、ヴァージルを陥れるにはあの辺りの設定が不可欠だったことがわかった。
配給会社の宣伝にこうある…“もう一度見ると味わい一変”と…その誘いにのってシアターに行くかも知れない。
しかしながら、肖像画もスゴかったけど、クローゼットに並べられた手袋もスゴかったな。

何度も、何度も予告を見て、なぜ?依頼人は姿を隠しているのか?と、スゴく不思議だったけど、このような結末になるなんて全く想像もしなかったのであのラストにはしびれた。

クレアを演じるシルヴィア・フークスは初めてお目にかかったオランダ人女優。ミステリアスなクレアが似合っている。
ロバート役のジム・スタージェスも良かったし、ドナルド・サザーランドは相変わらずの貫禄。

TOHOシネマズシャンテにて(12月鑑賞)
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by margot2005 | 2014-01-08 00:35 | イタリア | Trackback(22) | Comments(6)