カテゴリ:イタリア( 60 )

「グレート・ビューティー/追憶のローマ」

「La grande bellezza」…aka「The Great Beauty」2013 イタリア/フランス
a0051234_11324562.jpg


a0051234_11343695.jpg
ローマの社交界に君臨するジャーナリスト、ジェップは今年65歳を迎える。遥か昔40年前に高い評価を得た小説を書いて以来、今だ一冊も書けていない。作家として書くものが見いだせないのだ。目の前に堂々とコロッセオがそびえる超高級アパートのベランダでリッチな仲間たちと夜を過ごし、夜明けには一人ローマの街を散策する。そんなある日、若い頃に愛したエリーザの夫が訪ねて来る…。

ジェップに「湖のほとりで/2007」「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-/2008」「それは息子だった/2012」「自由に乾杯!/2013」のトニ・セルヴィッロ。
ロマーノに「イタリア的、恋愛マニュアル/2005」「昼下がり、ローマの恋/2011」のカルロ・ヴェルドーネ。
ラモーナにサブリナ・フェリッリ。
枢機卿に「七つの慈しみ/2011」のロベルト・ヘルリッカ。
監督、脚本は「イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-/2008」のパオロ・ソレンティーノ。

エリーザの夫がジェップを訪ねて来たのは彼女が亡くなったから…エリーザが亡くなり鍵のかかった日記を見つけた夫はそれをこじ開け読んでしまう。日記にはジェップへの想いが切々と綴られていたのだ。
ジェップの友人で売れない劇作家のロマーノはローマに失望し故郷へと帰る。旧友の娘でヌード・ダンサーのラモーナに惹かれるが、やがて彼女は病で亡くなる。
日々、華やかな生活を謳歌しながらも心に空しさが募るジェップはある時、彼の小説に感銘を受けたという104歳の修道女にインタビューする機会を得る。“なぜ小説を書かないのか?”と問いつめられたことをきっかけに、座礁した豪華客船の取材でエリーザとの思い出の地を訪ねる。そしてジェップは書くことへの希望を見いだすのだ。

ストリップ、クラブのヌード・ダンサーやアーティストにマフィア、そして貴族や修道女まで登場するローマの街は興味深い。隣に住む紳士がマフィアだったというのもイタリア的??

闇に浮かぶナヴォーナ広場や、人の全くいない夜のカピトリーニ美術館まで登場する。主演のトニ・セルヴィッロのポスターに映る彫刻…何処かで!見た!と思っていたら2年前に訪れたローマのカピトリーニ美術館の大彫刻(下、デジカメで撮った写真)だった。ポスターは合成写真。

トニ・セルヴィッロは65歳の初老の男を演じているが、実際は10歳も若い。「湖のほとりで」で初めてお目にかかったセルヴィッロは現在のイタリアを代表する俳優なのだろう。温厚な刑事から狂気の首相まで幅広い役柄がどれもこれも適役で素晴らしい。今年のイタリア映画祭で観た「自由に乾杯!」の双子の兄弟役は最高だった。シアターで見損ない、最近wowowで見た「眠れる美女/2012」の彼も素晴らしかった。

映画はタイトル道りゴージャスに美しい!耽美の世界を堪能できる。そして当たり前ながらローマってキリスト教国なのだとしみじみ感じる。

「隣の女/1982」「恍惚/2003」「パリ、ジュテーム/2006」のフランス人女優ファニー・アルダンが本人役でワンシーンに出演している。
a0051234_11332268.jpg

Bunkamura ル・シネマにて
[PR]
by margot2005 | 2014-09-24 00:18 | イタリア | Trackback(4) | Comments(0)

「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」

「Sacro GRA」 2013 イタリア/フランス
a0051234_23142073.jpg

監督、撮影にジャンフランコ・ロージ。

全長約70キロ、イタリア最長の環状高速道路GRAはローマを土星の輪のように取り囲んでいる。
その周辺に住む人々...
ヤシの幹の中の音を聞き害虫から守る研究をする植物学者。
上空を飛行機が飛び交う高層アパートに住む父親と大学生の娘がとりとめもない会話を交わす。
お城のような大邸宅に住み、それを映画撮影やセレモニー、B&Bに貸し出している自称没落貴族。
環状線の救急隊員は年老いた母親を気使う心優しい男性。
テヴェレ川でうなぎ漁をする老漁師は後継者がいないことを嘆いている。
両性具有の車上生活者は子守唄を口ずさむ。
そして道路沿いの屋台には女装のゲイ、大道芸人、外国人売春婦など様々な人々が集まってくる。

主人公たちはローマ環状線周辺に暮す市井の人々。主に6組の家族が織りなす日常生活。世界的観光地ローマが舞台ながら、映画には観光客が訪れるスポットは全く映しだされない。淡々と進むドラマの中に、自称没落貴族と植物学者を除きイタリアの底辺に住む人々のほのぼのとした生活を覗き見た気分になる。

没落貴族がきんきらきんの部屋で風呂に入り葉巻をくゆらす姿や、部屋の壁中に偽物の著名な絵画…フィレンツェ、パラティーナ美術館にあるラファエロの”聖母子像”の模造画があって笑える。
ヘッドフォンで樹から発する音を分析する植物学者のエピソードも面白かったし、高層アパートに住む親子の会話がナイス。母親を気遣い、深い愛を注ぐ救急隊員のおじさんの姿にはジーンとくる。

初日(8/16)に観に行ったところ満員で断られた。土曜日でお盆ってこともあるし…以前から都内のシアターはお盆には人が入る。帰省する人を除いて仕事が休みの人が多いせいだろう。上映はヒューマントラストの小さい方のシアター。で、気を取り直して9月に入ってから観に行ったところかなり空いていたな(平日最終回)。
イタリア映画祭2014で上映され少々気になっていたドキュメンタリー映画。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて(現在レイトショーのみ上映中)
[PR]
by margot2005 | 2014-09-22 23:26 | イタリア | Trackback(4) | Comments(0)

「はじまりは五つ星ホテルから」

「Viaggio sola」…aka「A Five Star Life」2013 イタリア
a0051234_1772966.jpg

イレーネに「もうひとつの世界/1998」「恋愛マニュアル/イタリア的、恋愛マニュアル/2005」「カイマーノ/2006」「題名のない子守唄/2006」 「対角に土星/2007」「ローマ法王の休日/2011」のマルゲリータ・ブイ。
アンドレアに「最後のキス/2001」「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「対角に土星」「娘と狼/2007」「錆び/2011」のステファノ・アルコッシ。
ケイト・シャーマンに「家族の庭/2010」のレスリー・マンヴィル。
シルヴィアにファブリツィア・サッキ。
シルヴィアの夫トンマーゾに「元カノ/カレ/2009」のジャン・マルコ・トニャッツィ。
アンドレアの恋人ファビアーナにアレッシア・バレーラ。
監督、原案、脚本はマリア・ソーレ・トニャッツィ。
a0051234_1774873.jpg
a0051234_1772436.jpg
a0051234_1771392.jpg
a0051234_177539.jpg
a0051234_1765371.jpg

ローマに住むイレーネは今日も飛行機に乗り五つ星ホテルへ赴く。40歳で独身。なんのしがらみもない彼女は会社に重宝されている。スゴくゴージャスな仕事のようだが…いやいやそうではない。ホテルの部屋に入るなり、白手袋をはめてあら探しを始めるのだから….

イタリアはもちろん、フランス、スイス、モロッコ、ドイツ、そして上海の五つ星ホテルが登場する本作はとても楽しみにしていた。

ドラマの中で一番最初に登場する五つ星ホテルはオテル・ドゥ・クリヨン。パリのコンコルド広場が真正面に見える位置に建つホテルは、ヴェルサイユからオペラを見にパリに遊びにきた時マリー・アントワネットが滞在したことで知られる。
“マリー・アントワネット・スイート”があり誰でも泊まれる(多分一泊十数万円は取る?)。そういや11月にパリに行った時ちょうど外観が工事中だったのを思い出す。

モロッコ、マラケシュのパレ・ナマスカはあまりにゴージャスで唖然。イタリア、トスカーナのスパ&リゾート・ホテルや、スイス、グシュタードのホテルもスゴい!そしてドイツ、ベルリンのホテルのサービスは過剰かと思えるほどだった。
過去にヨーロッパの五つ星ホテルに泊まったことはない。残念なことにこの後も多分ないだろうと思えるが、本作を観て我慢することにした。

ホテルのサービスをチェックする“覆面調査員”イレーネが訪れるそれぞれのホテルで人との出会いを織り込みながらドラマは進行する。

モロッコ、マラケシュで出会った男性はリッチで、魅力的だったが、妻にぞっこんでイレーネの入る隙間もない。

ドイツ、ベルリンで人類学者ケイト・シャーマンと出会い意気投合するが、翌朝彼女は心臓発作で亡くなってしまう。ケイトもイレーネと同じシングル。全くの他人ながらケイトの死に打ちのめされるイレーネの気持ちはとても理解できる。中年になって独身というのは男でも、女でも、自身が死を向かえる時、誰が側に…と思ってしまうのだろう。

しかし、イレーネのようなキャリアウーマンでも妹シルヴィアや元カレのアンドレアに依存しているのに驚く。
しがらみが多いと逃げ出したくもなるが、何もないのは、自由かも知れないがやはり寂しいことなのだろう。
大ラス...孤独ではあるが、再び自由で華やかな人生を謳歌しようと上海へ向かうイレーネが清々しい。

渋谷 ル・シネマにて
[PR]
by margot2005 | 2014-02-09 18:09 | イタリア | Trackback(2) | Comments(0)

「鑑定士と顔のない依頼人」

「La migliore offerta」…aka「The Best Offer」2013 イタリア
a0051234_082757.jpg

ヴァージル・オールドマンに「シャイン/1995」「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマン・チェスト/2006」「エリザベス:ゴールデン・エイジ/2007」「英国王のスピーチ/2010」のジェフリー・ラッシュ。
ロバートに「ワン・デイ 23年のラブストーリー/2011」のジム・スタージェス。
クレアにシルヴィア・フークス。
ビリーに「針の目/1981」「ハンガー・ゲーム/2012」のドナルド・サザーランド。
監督、脚本は「題名のない子守唄/2006」「シチリア!シチリア!/2009」のジュゼッペ・トルナトーレ。
a0051234_093872.jpg
a0051234_09313.jpg
a0051234_092060.jpg
a0051234_091095.jpg


ある日、天才的鑑定士ヴァージル・オールドマンの元へ、亡くなった両親の屋敷に残された絵画や家具を鑑定して欲しいという依頼が入る、しかし依頼人の女性は決してヴァージルに前に姿を現さなかった...

ジュゼッペ・トルナトーレの前作「シチリア!シチリア!」は日本人にとって少々とりつきにくい映画だったが、本作は「ニュー・シネマ・パラダイス/1986」同様素晴らしいストーリーで、ドラマを多いに楽しんだ。
あっと驚く!ラストの展開もナイス。してやられたヴァージル…大ラス、チェコ、プラハのレストランでヴァージルの元へクレアは現れたのだろうか?時計だらけのあのレストランはスゴかった。

ロマンスにも分類されている本作...クレアを愛し、愛されていると思った孤独な主人公のヴァージルを演じるジェフリー・ラッシュが完璧。あの役柄は他に思い浮かばない。
特にオークションのシーンは最高。ヴァージルは競売人として壇上に立ち競りを始める。競り落とす人々が掲げる金額を舌をかみそうな早口(日本語に比べて英語の数字の綴りは長いし...)で次から次へと言い放つシーンは圧巻。さすがのオスカー俳優ジェフリー・ラッシュならではの演技は素晴らしい!の一言。

オークションに持ち込まれる絵画もそうだが、とにかく秘密の部屋に飾られた肖像画がもうもうスゴい!ヴァージルが心から愛する肖像画...その部屋に入ると肖像画たちが彼を見つめることになる。孤独なヴァージルはそれらを見つめ、見つめられ癒されていたんだろうなきっと(あまりにも寂し過ぎるけど...)。
そういやエンドクレジットに蒼々たる絵画の巨匠たちの名前が羅列されているのに目が点だった。

舞台はイタリアの何処かの設定(ロケ地はもちろんイタリア)。
世界中を飛び回る天才的鑑定士ヴァージルは潔癖性で食事の時すら手袋を外さない。行きつけのレストランには彼の名前を冠したグラスと皿が保管されている有様。で、当然人との付き合いは苦手なわけ。ヴァージルが出会ったクレアは“広場恐怖症”という精神疾患で部屋に閉じこもったまま出て来れない。二人は共にアブノーマルな人間であり、結ばれる運命にあるのは自然だったかも知れない。親子ほどの年齢差は気になったが...。

映画を観た後、ヴァージルを陥れるにはあの辺りの設定が不可欠だったことがわかった。
配給会社の宣伝にこうある…“もう一度見ると味わい一変”と…その誘いにのってシアターに行くかも知れない。
しかしながら、肖像画もスゴかったけど、クローゼットに並べられた手袋もスゴかったな。

何度も、何度も予告を見て、なぜ?依頼人は姿を隠しているのか?と、スゴく不思議だったけど、このような結末になるなんて全く想像もしなかったのであのラストにはしびれた。

クレアを演じるシルヴィア・フークスは初めてお目にかかったオランダ人女優。ミステリアスなクレアが似合っている。
ロバート役のジム・スタージェスも良かったし、ドナルド・サザーランドは相変わらずの貫禄。

TOHOシネマズシャンテにて(12月鑑賞)
[PR]
by margot2005 | 2014-01-08 00:35 | イタリア | Trackback(22) | Comments(6)

「楽園からの旅人」

「Il villaggio di cartone」…「The Cardboard Village」2011 イタリア
a0051234_23274553.jpg

a0051234_23274324.jpg

老司祭に「そして、デブノーの森へ/2004」「ミュンヘン/2005」「宮廷画家ゴヤは見た/2006」「神々と男たち/2010」のミッシェル・ロンズデール。
教会堂管理人に「ブレード・ランナー/1982」のルトガー・ハウアー。
保安委員に「題名のない子守唄/2006」のアレッサンドロ・アベル。
医者にマッシモ・デ・フランコヴィッチ。
監督、脚本は「木靴の樹/1978」「明日へのチケット/2005」「ポー川のひかり/2006」のエルマンノ・オルミ。

半世紀の間市民が集ってきた教会に取り壊し命令が下される。そして今その教会の老司祭は、キリスト像が撤去され、聖堂内部のあらゆる装飾が無惨にも取り払われる場面に直面し、すべて持ち去られた聖堂にたたずみ途方に暮れている。慣れ親しんだ教会を離れどこへ行こうというのか?自室のベッドに身を横たえ、この後の暮らしを模索する。そんな時、アフリカからの不法入国者の家族が助けを求めてやって来る。司祭は教会を提供し彼らを匿う。やがて不法入国者は次から次へとやって来て、その中には妊婦やけが人、そしてテロリストのグループまでいた。

ずいぶんと前に観てレビューを書くのを忘れていた一作。観た映画は記録しているがやはり抜けているものがある。
これぞ岩波ホール作品!
エルマンノ・オルミは宗教色が濃いが、本作はテロリストにも手を差し伸べる老いた司祭が主人公。主演のミッシェル・ロンズデールは「神々と男たち」の修道士を彷彿とさせ素晴らしい。

邦題はなんとも美しい“楽園からの旅人”となっているが、原タイトルは“段ボールの村”。教会で寝泊まりするようになった人々が、互いのプライバシーを保つため段ボールで囲いを作る。まるで村のように…段ボールには“見せかけだけの/名ばかりの...”という意味もある。

映画の全てのシーンは教会内部。外部は一切映らない。
不法入国者が潜伏していると知った警察は教会へ乗り込んで来る。しかし司祭は”教会は全ての人に開かれている”と言って追い返す。
ドラマは、けが人が回復し、妊婦が子供を産み落とすエピソードを織り交ぜながら淡々と進み、それぞれの不法入国者がそれぞれの目的地に旅立つところで終了する。87分と短いながら、なんと神々しい映画だろうと感嘆する。

映画のチラシに…
“むかしむかし 
世界はすばらしい庭のようだった。
樹々は果実を実らせ、花には密があふれ 
大地の豊かな恵みは、心を幸せに満たし 
見るものはすべて美しかった。
そして今、
私たちは何処にいるのか。
何処へゆこうと
しているのか。
イタリア世界的巨匠
エルマンノ・オルミ監督が
ある街の聖堂を舞台に描いた
危機の時代に贈る、現代の黙示録。”
とある。
地球温暖化を始めとして暮らしにくい世の中に警鐘を鳴らしているのかも知れない。

不法入国者を演じる人々はプロの俳優ではないそうだ。
オランダ出身のルトガー・ハウアーの出演に驚き。「コンフェッション/2002」や「バットマンビギンズ/2005」を思い出すが、何といってもこの俳優はリドリー・スコットが作ったSF大作の「ブレード・ランナー」のレプリカント役だろう。主演のハリソン・フォード同様深く印象に残っている。

神保町 岩波ホールにて(既に上映終了)
[PR]
by margot2005 | 2013-10-22 23:41 | イタリア | Trackback | Comments(0)

「ニーナ ローマの夏休み」

「Nina」 2012 イタリア
a0051234_22231113.jpg

ローマ郊外の小さな学校で音楽教師をしているニーナは、北京留学に備えナポリ出身のデ・ルーカ教授に書を習っている。ある日、バカンスに出かける友人パオロ一家の愛犬オメロの世話を頼まれる…
a0051234_22233375.jpg

ニーナに「ただ、ひとりの父親/2008」「ミラノ、 愛に生きる/2009」のディアーヌ・フレリ。
ファブリツィオにルカ・マリネッリ。
デ・ルーカ教授に「よせよせ、ジョニー/2007」のエルネスト・マイウー。
エットレに「バッグにはクリプトナイト/2011」のルイジ・カターニ。
パオロに「人生、ここにあり!/2008」のアンドレア・ボスカ。
監督、脚本はエリザ・フクサス。

舞台は観光客が全く行かないであろうと思えるローマ郊外の“エウル/EUR ”地区。映画のオフィシャルによると…ここはかつてローマ万国博覧会(1942年開催予定)会場だったが、第二次世界大戦により中止となったスポットらしい。1930年代から建設された新都心地域ということで、ホントにここはローマ??と思えるほどの別世界。

石畳が残る旧市街のローマとは対照的な地域なので無味乾燥のイメージがつきまとう。でもそれがこのドラマにとてもマッチしているのだ。住人はバカンスに出かけたため、街を歩く人などいない。
ある時、ニーナはオメロの世話のため住み込んだアパートで小さな管理人エットレと出会う。やがて、犬や少年はOKだが同世代の男性との付き合いは苦手なニーナはハンサムなチェリスト、ファブリツィオと遭遇する。

毎日オメロと散歩に出かけ、街のケーキ屋で丸ごと買ったケーキを、少しオメロにあげて、後は一人で食べる。そんなニーナは孤独を愛しているのかも知れない。でもある日、ファブリツィオと出会い次第に恋に落ちていく。

上にも書いたように無味乾燥に映る場所での恋の始まりがとてもユニークで新鮮。そして淡々と描かれる物語が斬新で興味深い。
しかしながら観るものに訴えるものは欠けているような気もした。だからかどうか上映期間も1ヶ月たらずだったな。

新宿シネマカリテにて(既に上映終了)
[PR]
by margot2005 | 2013-09-11 22:29 | イタリア | Trackback | Comments(0)

Viva!イタリア...「ハートの問題」「最後のキス」「もう一つの世界」

「ハートの問題」
「Questione di cuore」...aka「A Matter of Heart」2009 イタリア
a0051234_1913129.jpg

アルベルトに「日々と雲行き/2007」のアントニオ・アルバネーゼ。
アンジェロに「家の鍵/2004」「気ままに生きて/2006」のキム・ロッシ・スチュワート。
アンジェロの妻ロッサーナにミカエラ・ラマゾッティ。
アルベルトの恋人カルラにフランチェスカ・イナウディ。
看護士ロレダーナにキアラ・ノスケーゼ。
監督、脚本は「いつか翔べるように/2006」のフランチェスカ・アルキブージ。
「恋愛マニュアル/イタリア的、恋愛マニュアル/2005」「わが人生最良の敵/2006」のカルロ・ヴェルドーネや、フランチェスカ・アントネッリ、ステファニア・サンドレッリが本人役で出演している。

ある夜、脚本家のアルベルトは心臓に違和感を感じ病院を訪ねる。手術の後、救急救命室に運ばれた彼の隣に心臓発作を起こした重傷患者アンジェロが運び込まれる。おしゃべりなアルベルトは、一命を取り留めて隣に横たわるアンジェロに話し始める。“同類相哀れむ”のノリで意気投合した二人は退院後に再会し交遊を深めて行く…

舞台はローマ。脚本家として成功したアルベルトの住まいはとても瀟洒なマンション。しかし人気脚本家ながら思うように脚本が書けないアルベルトは収入が激減、貯金もなくお金に困っている。おまけに退院後、恋人カルラはアルベルトに見切りをつけ出て行ってしまう。
一方で、アンジェロは3人目の子供を妊娠中の妻を持つファミリーマン。地道に自動車修理工場を営む彼はもちろん自宅も、湖の別荘も貯金もたっぷりある。
そんな全く違った二人が意気投合し友情が芽生える。アンジェロは自身の行く末を案じ、アルベルトに家族を託そうと考えるがそう簡単には行かない。

病気を通して描かれる男の友情物語。おしゃべりなアルベルトと寡黙なアンジェロのコンビが実に良い。病気がテーマながらこの二人がしばし笑わせてくれる。
それぞれを演じるアントニオ・アルバネーゼとキム・ロッシ・スチュワートもナイスなキャスティング。キムは「家の鍵」も「気ままに生きて」も父親役。イケメン・イタリアンの彼、意外や父親が似合うのだ。


「最後のキス」
「L'ultimo bacio」…aka「The Last Kiss」2001イタリア
a0051234_19125768.jpg

カルロに「ぜんぶ、フィデルのせい/2006」「対角に土星/2007」「娘と狼/2007」のステファノ・アルコシ。
ジュリアに「向かいの窓/2003」「心の中の獣/2005」「コレラの時代の愛/2007」「勝利を(愛の勝利を ムッソリーニを愛した女)/2009」のジョヴァンナ・メッゾジョルノ。
アンナに「ハモンハモン/1992」「魅せられて/1996」「裸のマハ/1999」のステファナ・サンドレッリ。
パオロに「赤い肌の大地/2008」のクラウディオ・サンタマリア。
アドリアーノに「トリノ、24時からの恋人たち/2004」のジョルジョ・パソッティ。
アルベルトにマルコ・コッチ。
マルコに「家の鍵/2004」「題名のない子守唄/2006」「対角に土星」「セントアンナの奇跡/2008」「天使と悪魔/2009」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。
フランチェスカにマルティナ・ステラ。
監督、脚本はウイル・スミス主演の「幸せのちから/2006」「7つの贈り物/2008」のガブリエレ・ムッチーノ。

10年以上前の作品なので俳優陣が驚くばかりに若い!20代のジョヴァンナ・メッゾジョルノは輝くばかりに美しくて、美しくて目が釘付けになる。ステファノ・アルコシは高校生にモテモテのイケメン(字幕では確か...)を演じ、ハリウッド大作でもおなじみのピエルフランチェスコ・ファヴィーノはさわやかな青年ってイメージで目を見張る驚きであった。
10年後を描いた「もう一度キスを/2010」が未見なのがとても残念。
ガブリエレ・ムッチーノってハリウッド映画ではスゴくマジな作品の監督であるのに、イタリアでこんなドタバタ映画を作っていたとは知らなかった。

結婚などせずとも良い関係が築かれていた3年来の恋人ジュリアの妊娠宣言。突然の成り行きに動揺したカルロが取った行動はとんでもない。結婚して、子供が出来て…っていうならまだ分かるけど、恋人が妊娠した途端若い女の子に夢中になる男って?ちょっと信じられない。大人になれない自己中な男かと察する。
父親の重圧に耐えられなくなったアドリアーノもまたまた大人になれない男。子供に夢中で夫を顧みない妻も少々問題ありだけど…セックスレスっていうのも男にとってツライ試練?
ストーカーまがいの行動で元カノの家に押し掛けるパオロはかなりクレイジーだ。
快楽のみ優先して手当たり次第メイク・ラヴするアルベルトに心はないのか?

大人になれない男のオンパレードは多いに笑える。
カルロとジュリアを中心に、カルロの男友達とジュリアの母親アンナを上手く登場させ、そしてキュートなフランチェスカとカルロの秘密の逢い引きもさらっと描かれ、とても面白いラヴ・コメディだった。

しかしイタリア女性のクレイジーにヒステリックなサマには脱帽!カルロに詰め寄るジュリアの形相が凄まじいことこの上ない。娘ジュリアの妊娠で老いを感じた母親アンナもまた、ミドルエイジ・クライシスでもって夫婦間の不満を一気に爆発させる。いきなり一時期恋人(愛人)だった男を訪ね、“今でも愛している!”と訴えるが、彼はアンナとの情事が終わった後結婚し、父親になっていた。アンナは引き下がるしかなかった。“今更遅いのよアンナ!”と悪魔の声が聞こえそう。
そして高校生のフランチェスカは大人の魅力(ちっとも大人じゃないのに…)のカルロに一目惚れし彼を誘惑し始める。彼女もまたとっても情熱的なのだ。
まともなマルコが実に素敵に見えた。


「もう一つの世界」
「Fuori dal mondo」…aka「Not of This World」1998 イタリア
a0051234_19141226.jpg

カテリーナに「恋愛マニュアル/イタリア的、恋愛マニュアル/2005」「カイマーノ/2006」「題名のない子守唄/2006」 「対角に土星/2007」のマルゲリータ・ブイ。
エルネストに「カイマーノ」「ジョヴァンナのパパ/ボローニャの夕暮れ/2008」「元カノ/カレ/2009」のシルヴィオ・オルランド。
テレーザにカロリーナ・フレスキ。
監督、脚本に「映画のようには愛せない/私が望む人生/2004」のジュゼッペ・ピッチョーニ。

終生誓願を11ヶ月後に控えた修道女カテリーナは、ある日公園で新生児を拾う。小さなクリーニング店を経営するエルネストは口やかましい経営者ゆえ従業員から疎まれ、経営にも、自身の健康にも不安を抱かえている。そして家庭不和から家出した少女テレーザは警察官の恋人の元に身を寄せ新しい生活を始めようとしていた…

舞台はミラノ。なんの接点もないカテリーナ、エルネスト、テレーザの3人が、公園に捨てられた新生児によって交差して行く。
カテリーナが預かり、病院へ送った新生児が包まれていたセーターにはエルネストの店のタグがついていた。カテリーナはエルネストに接触し、二人はセーターから手掛かりを見つけ出す。
エルネストはひょっとして自分の子供かも知れないと思い始め、カテリーナは赤ん坊に会いに行くたびに母性愛が芽生え、このまま子供も持たないで生涯を送って良いものか自問する。カテリーナは赤ん坊を引き取り育てたい欲望に負けそうになるが、誓いを破ることはなかった。
家族のいないエルネストは次第に自分の子供であったらと願い、カテリーナと出会ったことにより彼の頑なな心も解けて行く。怒りっぽかったエルネストが終盤近くでは顔つきまで優しくなっていて、演じるシルヴィオ・オルランドは上手い。もちろんマルゲリータ・ブイも。
「映画のようには愛せない/私が望む人生/2004」はお気に入り映画。同じ監督だったとは...。

3作品はイタリア映画祭2010/2011にて鑑賞済み。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開中(7/19迄)
[PR]
by margot2005 | 2013-07-05 23:06 | イタリア | Trackback | Comments(2)

「孤独な天使たち」

「Io e te」…aka「Me and You」2012 イタリア
a0051234_2333626.jpg

ロレンツォにヤコポ・オルモ・アンティノーリ。
オリヴィアにテア・ファルコ。
アリアンナ(母親)に「輝ける青春/2003」のソニア・ベルガマスコ。
祖母に「ラスト・タンゴ・イン・パリ/1972」のヴェロニカ・ラザール。
精神科医に「ミラノ、 愛に生きる/2009」のピッポ・デルボーノ。
監督、脚本は「ドリーマーズ/2003」のベルナルド・ベルトリッチ。
a0051234_234066.jpg
a0051234_2335180.jpg

「ドリーマーズ」はシアターではなくwowowで観た。「ドリーマーズ」のレビューに、監督はあの「ラスト・タンゴ・イン・パリ」のベルナルド・ベルトリッチと書いている。
ベルトリッチ映画は、「ラストエンペラー/1987」「シェリタリング・スカイ/1990」「リトル・ブッダ/1993」「魅せられて/1996」「シャンドライの恋/1998」etc.と見て来た。先だって「暗殺の森/1970」がwowwoで放映されていたが、40年前の映画はどうも辛気くさくて途中で挫折。そしてベルナルド・ベルトリッチって監督は以外に色んなジャンルの映画を作る人。

本作は「ドリーマーズ」同様若い男女の物語だが雰囲気は全く違っている。孤独が好きな14歳のロレンツォと、彼の異母姉オリヴィアが、アパートの地下の一室で7日間暮すドラマ。

ドラマの中で父親はロレンツォの前に姿を現さない。そして母親には必死で反抗しているようだが(まぁ14歳だから当然のこと)、病院にいる祖母のことはとても愛している。学校では問題児扱いされ、スキー合宿をボイコットするくらいだからきっと友達などいないのだろう。孤独で一人が好きな少年ロレンツォは、大好きな音楽と本を抱え地下室に潜り込む。しかし孤独を楽しむロレンツォの元へ意外な闖入者が現れる。それは異母姉のオリヴィアだった。彼女はアヴァンギャルドな新進フォトグラファーで、美しく奔放で、おまけにドラッグ依存症。

ドラマの大半は地下の密室のシーン。最初はその存在に反撥していたロレンツォが、次第に禁断症状に苦しむオリヴィアを気遣い、優しさを示すようになる。一方で、オリヴィアは子供扱いしていたロレンツォに救いを求める。
ラスト、二人が地下室を出て夜明けの街を歩くシーンが素敵だった。ロレンツォはオリヴィアと過ごした7日間できっと成長したに違いない。

映画初出演というロレンツォ役のヤコポ・オルモ・アンティノーリのニキビだらけの顔がキュートだった。


シネスイッチ銀座にて(既に上映終了)
[PR]
by margot2005 | 2013-06-03 23:30 | イタリア | Trackback(1) | Comments(0)

「海と大陸」

「Terraferma」2011 イタリア/フランス
a0051234_0444964.jpg

ある日、フィリッポと祖父エルネストはアフリカからやって来た不法移民のサラ親子を助ける。始めは匿うことに反対した母ジュリエッタも、サラが妊婦であることを知り哀れみから家に入れるのだった...
a0051234_046147.jpg
a0051234_0455045.jpg
a0051234_0454299.jpg

フィリッポにフィリッポ・プチッロ。
母ジュリエッタに「シチリア!シチリア!2009」「昼下がり、ローマの恋/2011」のドナテッラ・フィノッキアーロ。
祖父エルネストにミンモ・クティッキオ。
伯父ニーノにジュゼッペ・フィオレッロ。
サラにティムニット・T。
マウラに「ミラノ、 愛に生きる/2009」のマルティーナ・コデカーザ。
財務警察官役に「最後のキス/2001」「007/カジノ・ロワイヤル/2006」「赤い肌の大地/2008」「ジョルダーニ家の人々/2010」のクラウディオ・サンタマリア。
監督、原案、脚本は「Nuovomondo(新世界)/2006」のエマヌエーレ・クリアレーゼ。

こちらも“イタリア映画祭2012”で上映された一作。昨年とても観たかったが、日にちと時間が合わずで断念した。しかしながら一般公開されて観ることができた。映画のテーマは昨今ヨーロッパ諸国を悩ませている難民問題。このテーマの作品は過去に「13才の夏に僕は生まれた/2005」「西のエデン/2008」「君を想って海をゆく/2009」「ル・アーヴルの靴みがき/2011」と観てきた。どれもこれも素晴らしい作品で、本作も感動のドラマであった。

原タイトルは“大陸”。ポスターのシーンは映画の中に登場する。舞台はイタリア、シチリア島のさらに南に位置する小さな島リノーサ。
20歳のフィリッポは2年前海の事故で父親を亡くし、今では70歳の祖父エルネストと船で漁に出ている。一方で伯父のニーノは衰退をたどる漁業から観光業に転じ成功していた。そんな折、エルネストが心臓発作で倒れてしまう。そこでニーノは父親に船を売って引退するよう進めるが、漁師に誇りを持つエルネストは聞く耳を持たない。
ジュリエッタはフィリッポと共に島を離れ新世界を見つけようと模索する日々。そんな中でフィリッポは自分の進む道が見えなくなっている…

ボートで楽しむ観光客と、筏に重なり合いすがりつく難民。そしてビーチではしゃぐ観光客と、力尽きビーチに打ち上げられる難民。その対比があまりにも惨い。
ドラマの主人公フィリッポは母親にべったりの頼りない青年だが、不法移民と出会ったことにより(人助け)成長して行く様子が素晴らしかった。ラストはフィリッポの選択に彼の成長ぶりが伺える素敵なエンディング。

観光客のマウラとフィリッポの出会いを描いたシーンが、このドラマにひと味添えてる感じで良かったな。
出番は少ないながら、財務警察官を演じるクラウディオ・サンタマリアの存在がキラリと光る。

神保町 岩波ホールにて(5/31迄上映)
[PR]
by margot2005 | 2013-05-23 00:55 | イタリア | Trackback(3) | Comments(2)

「ブルーノのしあわせガイド」

「Scialla!」…aka「Easy!」イタリア
a0051234_23255479.jpg

ローマに暮らすシングルの中年男ブルーノは元教師だが、今では売れないゴーストライターとなり気ままな一人暮らしを満喫している。そして生活費を稼ぐため補修塾も経営する日々。ある日、ブルーノの生徒の母親から自分の留守中息子のルカを同居させて欲しいと頼まれる…
a0051234_232706.jpg

a0051234_23294927.jpg

ブルーノに「まなざしの長さをはかって/2007」のファブリッイオ・ベンティヴォリオ。
ルカにフィリッポ・シッキターノ。
ティナに「見つめる女/2004」「気ままに生きて/2006」「ココ・シャネル/2008」のバルボラ・ボブローヴァ。
詩人にヴィニーチョ・マルキオーニ。
ルカの母親マリーナにアリアンナ・スコンメニャ。
教師ディ・ビアジョにラファエラ・レボローニ。
監督、脚本、原案は「ナポレオンの愛人/2006」「副王家の一族/2007」の脚本家フランチェスコ・ブルーニ。

“イタリア映画祭2013”の前に観たイタリア映画で、本作は“イタリア映画祭2012”で上映された。

気ままな一人暮らしをするところへいきなり同居人が出現したら困ることこの上ない。しかしその同居人が自分の息子だったら、まぁ受け入れるしかないだろうな?マリアンとのつかの間の恋の末生まれてきたルカ。でもブルーノはルカの存在を知らず、15年もたってからその存在を知る。この辺りの男の心境って如何ばかりだろう?ドラマが進むに従って、父性愛に目覚めて行くブルーノの姿がせつなくも可笑しくて最高だった。

生徒の母親から文句を言われるほど、補修塾でいい加減な授業をしているブルーノ。しかし自分の息子だと知ったルカには俄然力を入れた補修を行う。やはりこの次点でブルーノは父親を自覚している。マリアンは二人が一緒に暮らす時、ブルーノにルカの父親であることは内緒にして欲しいと言ったため、ルカは真実を知らない。そこで、ルカはブルーノの過剰な干渉に腹を立てるばかり。ブルーノとルカの戦いが面白い。

ブルーノは元ポルノ女優のティナの自伝を執筆中。ずっと女性には無縁だったかどうか定かではないが、たびたび訪れる彼女の家でティナに誘惑され怯むブルーノが可笑しくて…。
でもエンディングで二人が結ばれるのは素敵な成り行きだった。

ローマが舞台の映画だけにルカが友人と“ナヴォーナ広場で落ち合おう!”なんて台詞があって又イタリアに行きたくなる。
ブルーノを演じるファブリッイオ・ベンティヴォリオのひょうひょうとした雰囲気が役柄にぴったりで、実にナイスなキャスティング。

シネスイッチ銀座にて
[PR]
by margot2005 | 2013-05-12 23:35 | イタリア | Trackback(8) | Comments(0)