カテゴリ:スペイン( 75 )

「オリーブの樹は呼んでいる」

El olivo」…aka「The Olive Tree」スペイン/ドイツ

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スペイン、バレンシア。20歳のアルマは養鶏場を切り盛りするしっかり者で気の強い女性。ある時、農場経営が苦しい父ルイスがアルマの祖父の大事な樹齢2000年のオリーブの樹を外国の企業に売ってしまう。それ以来祖父は心を閉ざし食事も話すことも拒む日々。幼い頃から祖父が大好きだったアルマはオリーブの樹を取り戻そうと立ち上がる…


アルマにアンナ・カスティーリョ。

アーティチョークに「アサシン クリード/2016」ハビエル・グティエレス。

ラファにペップ・アンブロス。

祖父にマヌエル・クカラ。

ルイスにミゲル・アンヘル・アラドレン.

監督は「大地と自由:出演/1995」「ザ・ウォーター・ウォー/2010」のイシアル・ボジャイン。


祖父が大切にしていたオリーブの樹を取り戻すためスペイン、バレンシアからドイツ、デュッセルドルフへと旅立つアルマ。彼女の連れは叔父のアーティチョークと、男友達のラファ。ラファはアルマに恋をしていて、彼女のためなら何でもする勢い。彼はクビ覚悟で会社のトレーラーを内緒で持ち出して来たのだから。一方で叔父はアルマの計画に渋々付き合うことになる。


シアターで何度か予告編は見ているが、この映画も見るのをスゴく迷った。でもケン・ローチ作品で多くの脚本を書いているポール・ラヴァーティが脚本家ということで、スペイン映画もあまり公開されないので見ることに決めた。しかしどうかな?自然破壊に警鐘を鳴らすテーマは素晴らしいが、ヒロインが嘘をついた上強引で、彼女に引き回される二人の男性が気の毒で“ヒューマンな感動作”は今一つだった。

ラストで、映画のシンボルとなるオリーブの樹は実際には伐採されていないとの説明されたのはナイスだったけど...。


スペインはダントツでオリーブ・オイル生産量世界一の国。

オリーブ・オイルが大好きでほぼ毎日サラダにかけたり野菜を炒めたりして食べている。イタリア産を買っていたけど、最近スペイン産が安く手に入るので良く買う。きっとバレンシア産のオリーブから獲ったオイル食べているんだろうなぁとしみじみ思った。


シネスイッチ銀座にて



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by margot2005 | 2017-06-04 20:11 | スペイン | Trackback | Comments(0)

「マジカル・ガール」

「Magical Girl」2014 スペイン/フランス
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12歳の少女アリシアは白血病で余命いくばくもない。彼女は日本のアニメ“魔法少女ユキコ”の大ファン。ある日、父親のルイスは“ユキコ”のコスチュームを着て踊ることが娘アリシアの夢と知る。しかしそのコスチュームは¥で90万と高額な代物。失業中のルイスに金の用意などできるはずもない。やがて思い余った彼は強盗計画を思いつくが、ふとしたことから思いとどまり、美しい人妻バルバラと出会う...

バルバラに「私が、生きる肌/2011」「フリア よみがえり少女/2012」のバルバラ・レニー。
ルイスにルイス・ベルメホ。
ダミアンにホセ・サクリスタン。
アリシアにルシア・ポリャン。
バルバラの精神科医の夫アルフレドにイスラエル・エレハルデ。
バルバラの友人アダにエルザベット・ジェラベルト。
監督、脚本はカルロス・ベルムト。

なんとも言えない味わいの本作は滑稽でいて残酷。そして後味も悪い。
白血病の少女アリシアと、精神不安定のバルバラがどう結びつくのか?と謎だった。やがてルイスとバルバラが出会いとんでもない展開に発展する。

企みはどこまでも余命いくばくもない白血病の愛する娘のため!追いつめられた父親は決死の行動を起こす!しかしそれは酷過ぎる運命のいたずらにより全てが無と化してしまう。
オープニングに登場するバルバラとダミアン。この二人はエンディングでも登場。二つのシーンはこのドラマの全てを語っているのかも知れない。

バルバラの全身にある無数の傷跡や、バルバラと元教師ダミアンとの関係。バルバラをまるでペットの犬のように扱う精神科医の夫の行動は全くもって理解出来ないし、とどめはルイスに恐喝され金を求めて訪れたある“部屋”で何が起こったのか?一回90万って途方もないチャージだ。それらは全て謎に包まれた闇の世界。
ダークな世界のバルバラと、ピンクのコスチュームを着てダンスするアリシア...二人の対比が強烈で可笑くて怖い。

全く違うんだけど、どこか?変な?ブラック・ユーモアといった趣向で、アルゼンチン/スペイン合作のオムニバス・ドラマ「人生スイッチ/2014」を思い出してしまった。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2016-04-16 00:04 | スペイン | Trackback(7) | Comments(0)

「複製された男」

「Enemy」2013 カナダ/スペイン
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アダム/アンソニーに「プルーフ・オブ・マイ・ライフ/2005」「ゾディアック/2006」「マイ・ブラザー/2009」のジェイク・ギレンホール。
メアリーに「PARIS(パリ)/2008」「イングロリアス・バスターズ/2009」「オーケストラ/2009」「黄色い星の子供たち/2010」「人生はビギナーズ/2010」のメラニー・ロラン。
ヘレンに「ドリーム・ハウス/2011」「危険なメソッド/2011」のサラ・ガドン。
アダムの母キャロラインに「最高の人生をあなたと/2011」「チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~/2011」のイザベル・ロッセリーニ。
監督は「灼熱の魂/2010」「プリズナーズ/2013」のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
原作はジョゼ・サラマーゴの「複製された男」。

大学の歴史講師のアダムは、ある日同僚から勧められた映画をDVDで見ている時自分とそっくりの俳優を見つけ驚愕する。やがて映画の中に登場する俳優が気になり彼のことを執拗に調べ始め、アンソニーという名前と彼の住むアパートを見つけだす...。

この世には自分のそっくりさんが3人いるという説があるそう。でも現実に対面してしまったら??想像を絶する驚きかと...。

アダムとアンソニーがホテルで対面する。ヘレンはヘレンでアンソニーに内緒でアダムに会いに行く。そしてアンソニーはアダムのフリをして彼の恋人メアリーに接近し始める。それはヘレンと浮気をしていると疑い、信じるアンソニーがアダムに復讐するためである。やがてアンソニーとメアリーに悲劇が起こる。こういったシーンが二人単位で描かれる。他の人間は現れない。

ある日、アダムは自分とそっくりな人間を見つけたと母親キャロラインに話して聞かせる。“ぼくは双子だったのか?”“いいえ、あなたは私のたった一人の息子よ!”といった会話がなされ、キャロラインはアダムの話に全く動じない。
そういえばヘレンがアンソニー(この時はアダム)に“今日お母さんから電話があったわよ!”というシーンもあった。

アンソニーのアパートに乗り込みヘレンに誘われるままベッドに入るアダム…その時、ヘレンの誘いがとても自然で、ヘレンは妊娠中の妻を顧みない浮気者のアンソニーより、優しいアダムの“時”が好きなのだ。ヘレンがアダムに“今日学校はどうだった?”と尋ねる様はスゴく自然で全くもって本物の夫婦の雰囲気。

ヘレンが蜘蛛に変身したエンディングがあまりにも唐突だったので“???”だった。で、家に帰るなり公式HPを見てみた。そこには監督のコメントがあった。

以下ネタバレ…
やはり...“浮気をする既婚の男が、浮気相手から妊娠する妻の元へ戻る迄の物語..”とあった。

歴史講師のアダムと俳優のアンソニーは同一人物で、彼の妄想の世界だったわけ。
本作は主演のジェイク・ギレンホールがスゴく良かったが、ヘレン演じるサラ・ガドンも素晴らしかったと思う。
六本木ヒルズに行ってバカでかい蜘蛛のオブジェが見たくなった。

ジェイク・ギレンホールはどうも苦手な俳優で、彼の映画はあまり観ていない。「ブロークバック・マウンテン/2005」はシアターで観たはずだがレビューは書いていない。「ドニー・ダーコ/2001」は好き。

ドゥニ・ヴィルヌーヴの「灼熱の魂」のレビューは書いていないけど観ている。カナダに住む双子の姉弟が、亡くなった母親の遺言により、彼女の故郷レバノンに出向き、そこで父と兄の存在を知る、壮絶かつ重厚なドラマで大変に見応えのある素晴らしい作品だった。
ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールの「プリズナーズ」は少々興味があり、見ようかと思っていたが結局未見。wowowでの放映に期待したい。

メラニー・ロランは「PARIS(パリ)」のイメージからはすっかり大人の女性に変身し、少々おばさん入っているかとも思えるほど。ヨーロッパ人が歳とるの早すぎ。
イザベル・ロッセリーニは既におばあさんだもの。

TOHOシネマズ・シャンテにて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2014-09-05 00:28 | スペイン | Trackback(15) | Comments(0)

「カニバル』

「Caníbal」2013 スペイン/ルーマニア/ロシア/フランス
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カルロスに「ボルベール<帰郷>/2008」のアントニオ・デ・ラ・トレ。
アレクサンドラ/ニーナに「七つの慈しみ/2011」のオリンピア・メリンテ。
監督、製作、脚本はマヌエル・マルティン・クエンカ。

有能な仕立て屋のカルロスは真面目で孤独を愛する紳士。しかし一方では美しい女性を見つけ殺害し、切り刻んで肉片を冷蔵庫に保存し、調理して食すという“カニバリズム”愛好家でもあった。東欧からやって来た隣人ニーナに目を付けたカルロスはいつものように山荘で彼女を殺害する。しかしニーナが行方不明になったことを知った姉アレクサンドラがカルロスに救いを求めてくる...

IMDbのジャンルはスリラーで、allcinemaではホラー/ロマンスとなっている。血も飛び散らないし、全く残忍なシーンが登場しないホラー映画なんて初めて観た気がする。ポスターにも“LOVE STORY”とある。

舞台はスペイン、グラナダ。ラスト近くでキリスト教徒たちが聖母マリアの像を担ぎ練り歩く姿が映る。それを窓から眺めるカルロスは罪を悔い改めようとしていたのだろうか?連続殺人は完全犯罪だし...。

ニーナとアレクサンドラは双子姉妹ながら正確が全く違う。派手で強引なニーナに比べ、アレクサンドラはおとなしく誠実な女性。やがて次第にカルロスはアレクサンドラに惹かれて行く。そして愛してしまったと知ったカルロスは、自身の欲求(殺して切り刻む)を満たす事ができず苦悩するのだ。

ラストはどうなるのだろう?とスゴく興味深かった。やはりあの形で神はカルロスに罰をくだしたのだろう。きっと…。

“スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞では作品・監督・主演男優賞を含む8部門にノミネートされ た。”とあるが、その通りカルロス役のアントニオ・デ・ラ・トレが素晴らしい。
イタリア映画祭2012で観た「七つの慈しみ」では少女のイメージだったオリンピア・メリンテが美しい女性に変身している。

ほぼ全シーン寒い季節が舞台。たった一人の仕事部屋や、雪の山荘が静寂かつ平穏で、カルロスが連続殺人鬼であることなど忘れてしまう。背景もとても美しく、やはり本作はラヴ・ストーリーなのだろう。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
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by margot2005 | 2014-06-15 00:04 | スペイン | Trackback | Comments(0)

「サウンド・オブ・ノイズ」

「Sound of Noise」2010 スウェーデン/フランス
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警察官のアマデウスは生まれつきの音痴。ある日、事件が起き現場に残されたメトロノームを手掛かりに捜査を開始する…
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アマデウス・ヴォーネブリングにベンクト・ニルソン。
サナにサナ・パーション。
マグナスにマグナス・ボイエソン。
ミアにフレデリック・ミア。
アンダースにアンダース・ベステガルド。
ヨハネスにヨハネス・ビョーク。
マルクスにマルクス・ハラルドソン。
監督、脚本はオーラ・シモンソン&ヨハンネス・ファーネ・ニルソン。

一言で表現するならば“奇想天外な映画”。もうマジで奇想天外だった。コメディなんだけど猛烈に笑えるってしろものでもなかったけど、ドラム好きにはたまらないかも知れない。

音楽家の親から神童ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトにちなみアマデウスなんて名前を頂戴してしまった警察官のアマデウス。現在、指揮者で神童の弟は幼い頃から作曲をしたが、兄のアマデウスは究極の音痴。で、彼は仕方なく警察官になったのか?そんなアマデウスは職場の同僚がかけるラジオのmusicさえノイズと感じる男。
一方で、無意味な音楽があふれた社会に警鐘を鳴らす6人組のテロリストたち。その首謀であるサナは腕利きのドラマーを集め、あらゆるものを楽器に見立て、とんでもない場所で音楽を作り出そうと考えている。

1:病院…入院中の患者を拉致し手術室に閉じ込める。外科医となった彼らは患者の身体と手術器具を楽器に見立て演奏を始める。
2:銀行…強盗と化した彼らは札束をシュレッダーにかけ、行内で使用するあらゆるもので演奏を始める。
3:クラシック・コンサート会場...エントランスにブルトーザーを配置し、シャベルで地面を破壊して行く。
4:高圧電線…まるで♩のように電線にぶら下がり街中へ電子音を響き渡らせる。
といったアレンジ。

2:銀行バージョンで札束がシュレッダーにかけられるシーンが私的にナイスだったかな。3:クラシックコンサートの会場ではアマデウスの弟が指揮する中、騒音でコンサートを妨害するなんてやるなぁと感心しきり。4:五本の高圧電線を五線譜に見立て6人組が♩のように動くシーンも面白かった。
エンディング、南国に逃亡したサナたちがボサノヴァ(ELECTRIC LOVE)を演奏し、歌うシーンがVery Nice!!。

マグナス・ボイエソンのみプロのミュージシアンで他は皆俳優。本作での音楽担当もマグナス・ボイエソン。

新宿シネマカリテにて
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by margot2005 | 2013-08-21 19:05 | スペイン | Trackback(4) | Comments(2)

「熱波」

「Tabu」2012 ポルトガル/ドイツ/ブラジル/フランス
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“最後に一目、会いたい人…”
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アウロラにラウラ・ソヴェラウ。
若き日のアウロラにアナ・モレイラ。
ヴェントゥーラにエンリケ・エスピリト・サント。
若き日のヴェントゥーラに「ミステリーズ 運命のリスボン/2010」のカルロット・コッタ。
アウロラの夫にイヴォ・ミューラー。
ピラールにテレサ・マドゥルガ。
サンタにイザベル・カルドーゾ。
監督、脚本、編集はミゲル・ゴメス。

ドラマは第一部“楽園の喪失”と第二部“楽園”に分けて描かれる。

第一部:“楽園の喪失”舞台はポルトガル/リスボン
ピラールは平和の祈りに参加したり、カトリックの社会活動団体に協力したりする敬虔なるクリスチャン。そして隣人である孤独な老人アウロラが気がかりだが、自分勝手でわがままな彼女に悩まされてもいる。そんなある日アウロラが病に倒れ、“ヴェントゥーラに一目会いたい!”と言い残し亡くなる。アウロラのメイドのサンタと共にヴェントゥーラ探しに奔走したピラールはついに彼を見つけ出す…

第二部:“楽園”舞台はアフリカ大陸/ポルトガルの植民地(ロケーションはモザンビーク)
アウロラの父親はアフリカでの事業に成功し財をなすが、若くして脳卒中に倒れ亡くなってしまう。母親はアウロラを生んだ後亡くなったため、天涯孤独の身となり、メイドや家庭教師と共に気ままな日々を送っている。やがて大学の卒業パーティで出会った男性と結婚したアウロラは、何不自由ない幸せな生活を満喫していた。しかしある日、流れ者のヴェントゥーラに出会い、彼女の心の奥底に眠っていた情熱がメラメラと燃えあがる...

フランスで絶賛されたという究極のラヴ・ストーリーは第一部も、第二部も白黒。そして第二部は年老いたヴェントゥーラの語りで、アウロラやヴェントゥーラ、その他の人々の台詞はない。それはまるで無声映画を観ているようで、観る者の想像力を刺激し、アウロラとヴェントゥーラの恋が究極の域にまで盛り上がる。

ポスターはアウロラが新婚の夫からプレゼントされたペットのワニ。
ある日、ワニが隣人ヴェントゥーラの家に逃走する。ヴェントゥーラはアウロラにワニを送り届け、少しおしゃべりをして帰って行く。しかしワニが再び逃走しアウロラはヴェントゥーラの家へ走りドアをノックする。開けた途端いきなりアウロラに歩み寄りキスをするヴェントゥーラ、やがて二人は狂おしいほどに惹かれ合うが、アウロラは夫の子供を妊娠中だった。
二人を結び付けたのはペットのワニ。後に“ダンディ”と命名される。

映画のタイトル「TABU」はアウロラとヴェントゥーラの住まいがある地域の山の名前でもある。隣人を愛してしまった二人は密かに逢い引きを重ねる。会えない時は互いに手紙で愛の言葉を交わし、死ぬほど愛していると伝え合う。“恋は盲目”とはよくいったもので、周りが見えない二人は、許されぬ恋にのめり込んで行く。
やがて事の真相を知ったヴェントゥーラの友人が二人を引き離す。別れる決心をしたヴェントゥーラだったが、アウロラに再会した途端恋の炎は再燃し、二人はとうとう逃避行してしまう。
その後の展開は観てのお楽しみ。だだし、第一部を観れば二人が結ばれなかったことが想像出来る。

伯爵夫人を含め数多の女性との恋に生きてきたヴェントゥーラが、他でもない妊娠中の人妻にぞっこんになるという...恋とは不思議なものだ。
バックに60年代の大ヒット曲でThe Ronettesの“Be My Baby”と“Baby, I Love You” が流れる(The Ronettes盤ではない)。恋するアウロラとヴェントゥーラの気持ちを現すこの選曲がパーフェクト。
映画の中でヴェントゥーラは4人組のバンドのドラマー。ヴェントゥーラ役のカルロット・コッタは自らもバンドを持っているそうだ。
「ミステリーズ 運命のリスボン」で貴族アルヴァロ・デ・アルブケルケを演じたカルロット・コッタは実にゴージャス。「ミステリーズ 運命のリスボン」での出番は少なかったが、本作では第二部ほぼ全般に出演している。
ポルトガル人俳優なんて滅多にお目にかかることはないが、カルロット・コッタの出演する映画を又観てみたい。

渋谷 シアター・イメージフォーラムにて
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by margot2005 | 2013-07-22 22:16 | スペイン | Trackback(3) | Comments(0)

「インポッシブル」

「Lo imposible」…aka「The Impossible」2012 スペイン
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2004年、12月。英国人夫婦のヘンリーとマリアはクリスマス休暇のため3人の息子を連れタイのリゾート地を訪れる。楽しいクリスマス・イヴもクリスマス・ディも終わり、引き続き家族はヴァカンスを楽しんでいた。しかしクリスマス・ディの翌日スマトラ島沖で巨大地震が発生し、津波が一家を襲う。一緒にいたマリアとルーカスは助かるが、マリアは脚に重傷を負っていた...
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マリアに「夫以外の選択肢/2004」「ザ・バンク 堕ちた巨像/2009」「愛する人/2009」「映画と恋とウディ・アレン/2011」「ドリーム・ハウス/2011」のナオミ・ワッツ。
ヘンリーに「砂漠でサーモン・フィッシング/2011」のユアン・マクレガー。
長男ルーカスにトム・ホランド。
次男トマスにサミュエル・ジョスリン。
三男サイモンにオークリー・ペンダーガスト。
老婆に「みんなで一緒に暮らしたら/2011」「永遠のこどもたち」のジェラルディン・チャップリン。
監督は「永遠のこどもたち/2007」のファン・アントニオ・バヨナ。

シャンテで予告編上映の際、主演のナオミ・ワッツとユアン・マクレガーが“日本の皆さん...”と語るシーンを何度も見て少々気になっていた一作。津波に呑み込まれるシーンがリアルで、観るかどうか迷っていたが、ユアンのファンなのと、シャンテで上映ということで観に行った。
確かに津波のシーンはかなりの迫力。CGだと分ってはいるが、津波によって被害にあったマリアとルーカスの姿は真に迫るものがある。オスカーにノミネートされたナオミ・ワッツは迫真の演技。本作がデビュー作というルーカス役のトム・ホランドも頑張っている。

実話だから皆助かることは分っているが、二転三転する展開に母親マリアは死んでしまうのか?父親ヘンリーは下の息子たちと死んでしまったのか?など余計なことが脳裏をかすめ、ラスト近くで家族全員が無事再会した時はほっとした。

2004年、スマトラ島沖地震に遭遇した家族の実話なのでラストに実際の家族の写真が映し出される。
離ればなれになりながらも必死で家族を捜し、自らが持つ全ての体力と、全ての精神力をかけ懸命に生き残るため奔走する姿に感動する。

老婆が次男トマスと星を見ながらおしゃべりする台詞の中に原タイトル“インポッシブル”という言葉が登場するのが意味深だ。そのワンシーンにだけ出演しているジェラルディン・チャップリンはぎりぎり60代ながら。この方マジで老婆の雰囲気。

ナオミ・ワッツが素晴らしかったと書いたが、夫ヘンリーを演じたユアンも素晴らしかったな。ユアンはファミリーマン役も似合うのだ。そして、長男ルーカスを演じたトム・ホランドはデビュー作とは思えないほどの名演技で、母親を案じ、父親と弟たちを探す健気な姿が涙を誘う。

マリアの完璧な治療のためチューリッヒ保険が手配したプライベート・ジェットでシンガポールへと向かうエンディングに、次回からの私自身の海外旅行保険はチューリッヒにしようと誓った。

TOHOシネマズ・シャンテにて
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by margot2005 | 2013-07-08 23:50 | スペイン | Trackback(13) | Comments(0)

「ヒプノティスト-催眠-」

「Hypnotisören」…aka「The Hypnotis」2012 スウェーデン
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ストックホルム郊外の学校で教師の惨殺死体が発見される。やがてその教師の自宅でも妻と幼い娘が殺され、かろうじて長男だけが一命を取り留める…
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エリックに「未来を生きる君たちへ/2010」のミカエル・パーシュブラント。
シモーヌに「カサノバ/2005」「愛を読むひと/2008」「リメンバー・ミー/2010」のレナ・オリン。
ヨーナ警部にトビアス・ジリアクス。
ヨセフの実母リディアにアンナ・アスカラーテ。
医師ダニエラにヘレーナ・アフ・サンデバリ。
ヨセフにヨナタン・ボークマン。
監督は「カサノバ」「HACHI 約束の犬/2008」「親愛なるきみへ/2008」「砂漠でサーモン・フィッシング/2011」のラッセ・ハルストレム。

ヨーナ警部は一家惨殺事件解明に名乗りを上げる。一人生き残ったヨセフが収容される病院で、医師のダニエラからエリックの存在を知ることになる。その後、ヨセフには家族と離れて暮らす姉がいることも判明。やがてヨーナ警部は彼女を保護し、ヨセフの出生の秘密を知る。
ドラマはヨセフの出生の秘密が鍵で興味深い展開に大満足だった。

本作は監督がラッセ・ハルストレムというのが興味深くて観に行った。映画は面白い展開のサスペンス・ドラマだったがあっという間に上映終了してしまった。上映期間も短かったが、上映時間もレイト・ショーのみ。テーマがテーマなので万人受けしないかとも思えたが、シアター(一番小さいアターで上映)満席だった記憶が…。
スウェーデン出身のラッセ・ハルストレムの本国製作映画は初めて。監督の妻レナ・オリンが催眠療法の第一人者であるエリックの妻役。エリック役のミカエル・パーシュブランは「未来を生きる君たちへ」で印象に残ったとても素敵なスウェーデン人俳優。

スウェーデンでベストセラーとなった小説が原作のミステリー。一家惨殺のシーンから始まるサスペンスはかなり衝撃的で、マジでその後の展開を期待した。そして期待通り、催眠療法によって昏睡状態の人間に供述を得ようとする様がスゴく斬新で興味深く、素晴らしいサスペンス・ドラマだった。
雪に埋もれる北欧スウェーデン…尋常でないドラマは酷寒の地でより一層盛り上がりを見せる。

昏睡状態の人間に催眠術をかけ話させるってスゴい!の一言。普通、昏睡状態の人間は当然ながら話せない。しかし催眠療法によっては人間話すことが出来るのだ。嘘みたいだけど…。

ヒューマントラストシネマ渋谷にて(既に上映終了)
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by margot2005 | 2013-06-07 00:16 | スペイン | Trackback | Comments(0)

「偽りなき者」

「Jagten」…aka「The Hunt」2012 デンマーク
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ルーカスは離婚と失業の試練を乗り越え穏やかな日々を取り戻していた。元教師の彼は幼稚園教師となり子供たちに慕われている。ある日、ルーカスの幼稚園に通う親友テオの娘クララの何気ない嘘に変質者扱いされてしまう。園長に白い目で見られ、町の住人に無視され、あろうことか親友のテオまでもがルーカスを非難し始める…
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ルーカスに「タイタンの戦い/2010」のマッツ・ミケルセン。
ルーカスの親友テオにトーマス・ボー・ラーセン。
テオの娘クララにアニカ・ヴィタコブ。
ルーカスの息子マルクスにラセ・フォーゲルストラム。
園長グレテにスーセ・ウォルド。
ルーカスの友人ブルーンにラース・ランゼ。
ルーカスのガール・フレンドにアレクサンドル・ラパポルト。
監督、脚本は「光のほうへ/2010」のトマス・ヴィンターベア。

苦悶するマッツが素晴らしい表情を見せるが、一方でクララ役のアニカ・ヴィタコブの表情もスゴい!顔や仕草で強烈に訴えるのだ。見ていて演技なのか?実際の表情なのか?わからなくなる。
父親テオが“子供は嘘をつかない”と言い切るが、そうだろうか?クララのように何も考えないで(後のことを考えるとも思えないが…)嘘をつく子供っているように思える。しかし親は子供を信じてしまうし、親の気持ちも良く理解できる。

何はともあれ、主人公のルーカスが気の毒でならなかった。人々から無視され、孤立し、愛する息子にまで危害が及ぶなんて言語道断。自らの潔白を証明しようとも、まったくもって取り合ってもらえないもどかしさは想像を絶する。
クリスマス・イヴの夜、礼拝に訪れた教会でテオに対峙するシーンは実に心地良かった。

「007/カジノ・ロワイヤル/2006」で初めて知ったデンマーク人俳優マッツ・ミケルセン。その冷酷な風貌が強く印象に残った。正確には初めて観た映画は「キング・アーサー/2004」だが“トリスタン”役では“ル・シッフル”ほどの印象は残らなかった次第。やはり悪役というのは人の目を惹き付ける。そしてその後マッツ映画を色々と観て来たが、この方、本作のようなヒューマン・ドラマがとてもしっくりくる俳優だ。「しあわせな孤独/2002」「アフター・ウエディング/2006」のマッツは素晴らしかった。

デンマーク映画はロケーションも楽しめる。本作は「アフター・ウエディング」同様、素晴らしく美しいデンマークの田園地帯でロケされている。
原タイトルの“狩り”はルーカスや彼の友人たちの最大の娯楽(趣味)。それは息子にも受け継がれる。ラスト、息子マルクスに“狩り=銃”の手ほどきをするルーカスの姿が心に残る。

静かに、穏やかに進むドラマは「光のほうへ」を彷彿させる。「光のほうへ」は本作以上に暗いヒューマン・ドラマだったが心に染みた。こちらも同じ感想。

渋谷 Bunkamura ル・シネマにて
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by margot2005 | 2013-04-23 23:51 | スペイン | Trackback(14) | Comments(0)

「汚(けが)れなき祈り」

「Dupa dealuri」…aka「Beyond the Hills」 2012 /ルーマニア/フランス/ベルギー
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アリーナとヴォイキツァは幼い頃に同じ孤児院で過ごした親友同士。ある日、ドイツで暮らしていたヴォイキツァが修道院に住むアリーナを訪ねてくる。その修道院は人里離れた丘の上に建っていた。アリーナは心からヴォイキツァを愛しており、ドイツで一緒に生活しようと願っていたが、ヴォイキツァはルーマニアの地を離れることに躊躇する。それは他でもなく信仰に深く目覚めたことによるものだった。思い通りにならないアリーナは不満を募らせるが、ヴォイキツァからは信仰するよう説得される。しかしアリーナの心が自分ではなく神にあることを感じ始めたヴォイキツァは次第に精神を病んで行く...
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ヴォイキツァにコスミナ・ストラタン。
アリーナにクリスティナ・フルトゥル。
司祭(神父)にヴァレリウ・アンドリウツァ。
修道女長にダナ・タパラガ。
監督、製作、脚本は「4ヶ月、3週と2日/2007」のクリスティアン・ムンジウ。

「4ヶ月、3週と2日/2007」はルーマニアの独裁者ニコラエ・チャウシェスクが妻と共に処刑される2年前が舞台で、テーマは違法中絶でとてもヘヴィーでツラいドラマだった。本作は“悪魔払い”の儀式で亡くなった一人の女性と、その親友にスポットを当てている。

新天地を求め親友をドイツへと誘うアリーナ。ヴォイキツァは信仰に身を捧げ修道院暮らしがあっていたが、アリーナはそうではない。精神に異常をきたした際入院し、退院後は修道院へ引き取られる。それが悲劇の始まりであった。アリーナは信仰心に薄くヴォイキツァのようにはなれなかったから。彼女が修道院以外のところで暮らしていれば悲劇は起きなかったかも知れない。でもアリーナには暮らす場所がなかった。貧困が招いた結果が哀しい。

宗教というのは自身にとってあまりにも非日常的な世界で、おまけに舞台は東ヨーロッパ。2005年にルーマニアの修道院で実際に起こった事件というのだからますます理解しがたい世界。“悪魔払い”なんて中世の出来事で、映画「エクソシスト」の世界でしかあり得ないし…。
儀式が行われる舞台の修道院周辺は深い雪に埋もれ神秘的だが、シーンはとてもリアルに描かれていて驚く。

神に身を捧げるヴォイキツァと、彼女を愛するレズビアンのアリーナ...このとんでもないシチュエイションが悲劇を招いた哀しいヒューマン・ドラマは152分とかなり長い。でもそれほど長さは感じなかったかな。
ヴォイキツァたちを乗せ、町中を走る車の中で唐突に訪れるラストに絶句した。
ヴォイキツァとアリーナはもちろんのこと、司祭や修道女長も素晴らしいキャスティングで、みな迫真の演技を披露していて、重い、重いドラマながら意外や見応えあった。

ヒューマントラスト有楽町にて(4/26迄上映予定:午前中1回のみ)
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by margot2005 | 2013-04-21 01:01 | スペイン | Trackback(6) | Comments(0)