2009年 11月 17日
「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男」
「L'instinct de mort」...aka「Mesrine: Killer Instinct」 2008 フランス/カナダ/イタリア
ジャック·メスリーヌに「アレックス/2002」「スパイ·バウンド/2004」「オーシャンズ13/2007」のヴァンサン·カッセル。
ジャンヌに「ロシアン·ドールズ/2005」「モンテーニュ通りのカフェ/2005」のセシル・ドゥ・フランス。
ギドに「DISCO ディスコ/2008」のジェラール·ドパルデュー。
ソフィアに「アラトリステ/2006」「美しすぎる母/2007」のエレナ·アナヤ。
幼なじみポールに「世界でいちばん不運で幸せな私/2003」「ナルコ/2004」「ラヴ·イズ·イン·ジ·エアー/2005」
「パリ/2008」のジル·ルルーシュ。
ジャン·ポール·メルシエに「みなさん、さようなら/2003」のロイ·デュプイ。
父親に「サン·ピエールの生命(いのち)/1999」「親密すぎるうちあけ話/2004」のミシェル·デュショーソワ。
シルヴィアに「ぼくの妻はシャルロット·ゲンズブール/2001」「情痴アヴァンチュール/2005」「パリ、ジュテーム/2006」のリュディヴィーヌ·サニエ。
監督、脚本に「アサルト13 要塞警察/2005」のジャン·フランソワ·リシェ。
1959年。アルジェリア戦争からパリに戻ったジャック·メスリーヌ。幼なじみのポールにギャングのボス、ギドを紹介され、犯罪の道に足を踏み入れる。強盗に成功したメスリーヌはポールとスペインに高飛びし、美しいスペイン女性ソフィアと出会い結婚、子供をもうける。しかしソフィアとの堅気の生活は続かず、銀行強盗に失敗し服役の後出所した彼は妻子を捨てて悪の世界に戻る事になる。後に娼婦ジャンヌと出会ったメスリーヌは次々に犯罪を重ねて行く...
実在の人物であり、原作者はジャック·メスリーヌ本人。
しかしながら映画冒頭に“全ての映画にはフィクションの要素があり、一人の男の人生を忠実に描くことは出来ない..”という案内が出る。
映画解説に“大西洋を股にかけ、“社会の敵No.1”と呼ばれた伝説のギャング、ジャック·メスリーヌの壮絶な人生を映画化した犯罪ドラマ...”とある。フランスでは有名な人物らしい。メスリーヌ役のヴァンサン·カッセルはパーフェクト級に適役。
カッセル以下、Part1で殺されてしまうジェラール·ドパルデューを始めとして、Part2で登場するマチュー·アマルリック、オリヴィエ·グルメ、サミュエル·ル·ビアンにジェラール·ランヴァン。そして女性陣はセシル·ドゥ·フランス、リュディヴィーヌ·サニエ、アンヌ·コンシニとフランス映画界人気俳優がこぞって出演しているのも見応えあり。
セシル·ドゥ·フランスはこの上なくキュートだった「モンテーニュ通りのカフェ」とは別人。髪の色がブルネットなのでますます違って見える。メスリーヌが愛した女性は皆ブルネットの髪。ブロンドはキライだったのか?
32回の強盗と4回の脱獄を果たしたメスリーヌはフランスでは神話化した人物であるそう。次々と女性に愛された彼にはカリスマ的な魅力があったように見える。
女性にもてる男だったメスリーヌ。スペインで出会ったソフィアと結婚の後、彼に堅気生活が続くはずもなくギャングに戻って行く。しかしソフィアと別れた後3人の子供は自身の両親に預けている。刑務所に娘が訪ねて来るシーンで、子供の成長を気にし、愛していたメスリーヌに父親の姿を見た。
ソフィアと別れなかったら彼は堅気の生活を守れたかも?なんて思ったりもした。
50年代の終わりから始まる物語は、昔流行ったフランスのフリック・ストーリー(刑事もの)を彷彿とさせる。
Part 2 ルージュ編
「L'ennemi public n°1」...aka「Mesrine: Public Enemy No. 1」2008 フランス/カナダ
フランソワ·ベスに「キングス&クイーン/2004」「ミュンヘン/2005」「潜水服は蝶の夢を見る/2007」「007/慰めの報酬/2008」のマチュー·アマルリック。
チャーリー·ボーエルに「輝ける女たち/2006」「シークレット·ディフェンス/2007」のジェラール·ランヴァン。
ミシェル·アルドワンに「DISCO ディスコ」のサミュエル·ル·ビアン。
ブルサール警視に「ロルナの祈り/2008」「ゴー·ファースト 潜入捜査官/2008」のオリヴィエ·グルメ。
メスリーヌの弁護士に「灯台守の恋/2004」「愛されるために、ここにいる/2005」「潜水服は蝶の夢を見る」のアンヌ·コンシニ。
誘拐される大富豪に「愛されるために、ここにいる」のジョルジュ·ウィルソン。
1973年。カナダよりフランスに戻ったメスリーヌは銀行強盗を繰り返し、またもや捕まってしまうが脱走に成功する。しかし、メスリーヌを執拗に追いかけるブルサール警視によって隠れ家を襲撃され逮捕される。法廷で20年の刑を言い渡され、刑務所でフランソワ·ベスと出会う...
映画はとにかく過激、過激。メスリーヌが殺されるシーンはオープニングより繰り返し映し出される。
囚人に虐待を繰り返す看守たちがいるカナダの刑務所。脱獄したのその刑務所を襲撃するシーンは皆殺し状態で圧巻!
変装の名人で“千の顔を持つ男”と呼ばれたメスリーヌが、死の床につく父親の病院にドクターの変装で現れるシーンはよくぞバレなかったと関心する。
Part2で40代を演じたヴァンサン・カッセル(本人も40過ぎだが...)やけにお腹が出てるなぁと思いきや...なんと20キロも増量したそう。顔はあまり変化してなかったが、中年おやじの雰囲気は出ていた。
捕まっても、捕まっても、脱走し、また犯罪に手を染めるって何か彼なりのポリシーがあったのか?メスリーヌ?
フランソワ·ベス役のマチュー·アマルリック。この方はホントにスクリーンにいるだけで絵になる俳優。寡黙で、脱獄の名人ベスが似合っているのは語るまでもない。
シアターにはかつてのフリック・ストーリー(ジャン・ギャバンやアラン・ドロンの世界)ファンのojisamaも多くいた。
映画サイトにも同時上映と書いているように二本立て映画ではない。一日に二回(Part1とPart2)しか上映していない。Part1とPart2を違う日に観るなんて考えられないので一気に観るしかない。シアターにはきっと同じ人が座っていたに違いない。
TOHOシネマズ 日比谷シャンテにて