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「ボヴァリー夫人」

「Save And Protect」...aka「Madame Bovary」1989/2009 旧ソ連/ロシア

エマ・ボヴァリーにセシル・ゼルヴダキ。
監督は「太陽/2005」「チェチェンへ アレクサンドラの旅/2007」のアレクサンドル・ソクーロフ。
原作はギュスターヴ・フローベール。
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年上で凡庸な夫シャルルとの田舎での単調な生活にふさぎ込むエマ。やがて夫の勧めもあり、近隣のロドルフと乗馬に出かけたエマは彼との情事にのめり込んで行く。しかしロドルフはエマを捨て外国へ行ってしまう。その後再会した若いレオンとの肉欲に溺れ、エマの浪費癖はますますエスカレートして行く...
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マダム・ボヴァリーと言えば、浪費(借金)、不倫(愛欲)、そしてヒ素自殺。
「太陽」や「チェチェンへ アレクサンドラの旅」の監督作ゆえ観に行った次第。
かつて“芸術か?わいせつか?”と議論された事があった。ロシアの巨匠と呼ばれるアレクサンドル・ソクーロフの描く世界は芸術以外の何ものでもないだろうがエロス・シーンは少々クドい。
スクリーンは終始エマの表情を捕らえ台詞も少ない。他の登場人物の台詞も同様。
原作に登場する人物は忠実に出て来るが、原作を知らないと映画を観ていてもストーリーが良く分らないかも知れない。3部作からなる原作。映画は相当端折ってある。オープニングで既に夫婦は田舎にあり、子供も生まれていると言う設定。
日の入るベッドルームの鏡の前で全裸で“私は恋をしている!”と喜びを表現するエマ...ロドルフとの逢い引きのシーン...それはまるで絵画のようにも映る。
買い物中毒で若い男に夢中の妻を全く疑わないシャルルって、映画で観ると凡庸というよりバカっぽく見える。
本を読む限りマダム・ボヴァリーは若くて美しい女性のイメージ。でも、女優でもなく、美しくもない普通のobasanをあえて選んだソクーロフって分らない。
結婚後、理想と現実の狭間で苦悩する様を“ボヴァリズム”と言う。この言葉最近耳にしないが、悩む前に別れてしまう今時の女性にはピンと来ないと感じる。
19世紀半ばが舞台ながらBackMusicにジャズが流れる。それが全然違和感ないのも不思議。エマの着るクリスチャン・ディオールのドレスは素敵だがセシル・ゼルヴダキは決して美しくはない。
ハエと羽(枕の中身)が舞うシーンは退廃的なストーリーにマッチしている。
D.H.ローレンスの“チャタレー夫人の恋人”と並ぶヨーロッパ文学の大不倫小説“ボヴァリー夫人”。
「チャタレー夫人の恋人」は何作か映画(TV版含む)で観ているが「ボヴァリー夫人」は初めて。イザベル・ユペールがエマを演じたフランス版(1991)が見てみたい。
渋谷 シアター・イメージフォーラムにて
Commented by manimani at 2009-10-31 00:36 x
こんばんは
当方ブログにコメントありがとうございました。
TBしっぱなしですみません。
そちらからTB飛ばない件ですが、
うちもmacでfirefoxなんですよww
なので、これがexiteとgooの相性が悪いんだと思います。
残念。

美しくない(というと語弊が??)人物を撮る映画ってワタシは好きで、ソクーロフもそうですけどファスビンダーとかすごいですよね。
そういう映画の系譜ってあるように思うのですね。特にヨーロッパには。
よく考えてみます。

では。
Commented by margot2005 at 2009-11-01 22:35
manimani さん、こんばんは!
コメントありがとうございます!
そうなんですか!同じ環境でも飛ばない時は飛ばないのですね?TBって摩訶不思議であります。

さて監督はわざと美しくないエマに設定したのでしょうね。
ヨーロッパの女性ってシンプルに綺麗ってわけじゃなく独特の美しさを持っているような気もしますね。
ファスビンダーってドイツの監督ですか?多分観た事ないかと思えます。「マリア・ブラウンの結婚 」とかタイトルは聞いたことありそうですが...
by margot2005 | 2009-10-17 23:45 | ヨーロッパ | Comments(2)