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「シリアの花嫁」

「The Syrian Bride」...aka「La Fiancée syrienne」2004 フランス/イスラエル/ドイツ

“もう二度と帰れない、それでも私はこの境界線を越える。”
モントリオール世界映画祭(2004)グランプリに輝いた感動のヒューマン・ドラマ。
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長女アマルに「マリア/2006」「画家と庭師とカンパーニュ/2007」のヒアム・アッバス。
次女モナに「ワールド・オブ・ライズ/2008」のクララ・フーリ。
長男ハテムにエヤド・シェティ。
次男マルワンに「キングダム/見えざる敵/2007」のアシュラフ・バルホウム。
父親ハメッドにマクラム・J・フーリ。
ハテムの妻イヴリーナにイヴリン・カプルン。
TV俳優でモナの婚約者タレルにディラール・スリマン。
国連で働くフランス人女性ジャンヌにジュリー・アンヌ・ロス。
イスラエル警察の刑事シモンにウーリ・ガブリエル。
母にマルレーン・バジャリ。
製作、監督、共同脚本はエラン・リクリス。

父親ハメッドは親シリア派で、政治運動をし刑務所に投獄されていた過去を持つ。
長女のアマルは古い人間の夫とは会話もなく、二人の娘には自由に生きて欲しいと願っている。
ロシア人医師の妻と一人息子を伴って8年ぶりに故郷に戻った弁護士の長男ハテム。
次男のマルワンはフランス人ジャンヌにも言寄る必殺遊び人のビジネスマン。
そして次女のモナはTV俳優タレルと結婚するためウエディング・ドレスに身を包む。
結婚式だというのに浮かぬ顔のモナ。彼女には境界線を越えてシリアに行ってしまえば二度とイスラエルには戻れない運命が待っていた...
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公開されたら一番にと思っていた作品。やっと観る事が出来た。素晴らしい!ヒューマン・ドラマ。マイベストに入れたい!
現実に起きた事件に着想を得て作られたという作品。
モナの家族が暮らすゴラン高原のマジュダルシャムス村。元シリア領だが、現在はイスラエルの占領下にあり、イスラエルの国籍を取得する権利はあるものの、帰属意識を貫く人々は無国籍状態。
花嫁モナのパスポートには無国籍の文字。
イスラエルの係官がモナのパスポートに出国印を押印してしまったため、シリア側ではモナの入国を認めないという。
ゴラン高原、境界線(軍事ソーン)には“WELCOME TO ISRAEL”の看板が掲げられ、UN(国際連合)の事務所がある。国連で働く国際赤十字のジャンヌが、イスラエルとシリアの境界線を行ったり来たりしてモナのシリア側への入国に奔走する。
有名人であることを利用しタレルがシリアの大統領に掛け合うが連絡がつかない。おまけにシリアの係官は勤務時間終了で帰ってしまう。そんなこんなで一向に事ははかどらない。
まだか、まだかとイライラを募らせながら待つ家族。椅子に座って待つモナは場違いなウエディング・ドレス姿。
ラスト、車の通行で境界線のゲートが上げられた時、白いモナのドレスが揺れシリア側へと歩き始める。涙を流しながらその姿を見送る姉のアマル。振り返ったモナはアマルに向かって微笑み、花婿タレルの待つシリア側へ進んで行く...このラスト最高!(sorry!ネタばればれ...)
長い間、ハテムとロシア人女性との結婚を認めなかった父親も孫と会い、ラストではハテムを許し、ハテムの妻イヴリーナを親族に迎えるシーンにも感動を覚える。
妹を案じる姉役がとても素晴らしい演技のヒアム・アッバスはどこかで見た、見たと終始思っていた。フランス映画やハリウッド映画にも出演する国際女優の彼女は「画家と庭師とカンパーニュ」で庭師(ジャルダン)の妻を演じていた。
シリアスなストーリーながら、次男のマルワンや花婿タレルをコメディ・タッチで描いて笑わせているのもとても良い。
神保町 岩波ホールにて...
Commented by あすか at 2009-03-09 01:13 x
これ、私も好きでした。
淡々と進んでいくのに、途中なんかコメディぽかったり、
と思ったらなんだか感動させられたりと、地味なのに良作でしたよね。
私も最後はモナに拍手でした!
何が待つかわからない。元にも戻れない。
それでも"未来"を選んだモナに拍手です。幸せになってほしいです。
Commented by margot2005 at 2009-03-10 01:28
あすかさん、いつもコメントありがとう!
ただ淡々と描いただけじゃつまらなかっただろうけど、コメディぽく描いたシーンがありとても良かったですよね。
案じながらも“未来”選んだモナには、姉アマルの大きな後押しがあったようにも感じました。深い愛で結ばれた姉妹の姿に感動しましたね。
Commented by keyakiya at 2009-03-10 22:52 x
マイベストムービーです。
過酷な状況の中でも、あきらめず。
悲しみ嘆くより、希望を持って一つ前へ踏み出す。
人々の眼の輝きにハッとしました。
ある種の楽観主義が、鮮やかです。
Commented by margot2005 at 2009-03-11 01:21
keyakiyaさん、こんばんは!
コメントありがとうございます!
この作品ホントに良かったですよね。今年度の感動の一作です。
やはりマイベストムービーですよね。
女は強しとも感じましたが、あのような環境では一歩踏み出すのが大切な事かと感じます。
姉妹の愛情が素晴らしかったですね。
by margot2005 | 2009-03-09 00:37 | Comments(4)