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「イントゥ・ザ・ワイルド」

「Into the Wild 」2007 USA
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裕福な家庭に育った青年が文明を捨て荒野へと旅立つロード・ムーヴィー。

クリスに「卒業の朝/2002」のエミール・ハーシュ。
母親ビリーに「ポロック2人だけのアトリエ/2000」「ルイーズに訪れた恋は/2004」のマーシャ・ゲイ・ハーデン。
父親ウォルトに「キング 罪の王/2005」
「グッド・シェパード/2006」のウイリアム・ハート。
妹カリーンに「プライドと偏見/2005」のジェナ・マローン。
クリスが出会うジャンに「マルコヴィッチの穴/1999」「カポーティ/2005」のキャサリーン・キーナー。
老人ロン・フランツに「マジェスティック/2001」のハル・ホルブルック。
大農場を経営するウェインに「Mr.&Mrs.スミス/2005」
「ハニーVSダーリン 二年目の駆け引き/2006」のヴィンス・ヴォーン。
少女トレーシーに「パニック・ルーム/2002」のクリステン・スチュワート。
製作、監督、脚本は「ゲーム/1997」「21グラム/2003」のショーン・ペン。
原作はジョン・クラカワーのノン・フィクション小説“荒野へ”。


1992年、アメリカ。
ハーヴァードにも入学出来るほど優秀な成績で地方大学を卒業したクリス。
蓄えた学資金2万ドルを“世界の恵まれない子供たち”に寄付し、クレジット・カードにハサミを入れ、車に乗る。
両親には勿論、仲の良い妹カリーンにも告げす旅に出たクリス。
やがて車を乗り捨てた彼は、ポケットに残っていたドル札も焼き捨てヒッチハイクを始める。ひたすら荒野を目指して...
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カリーンのナレーションで物語は進む。
主演のエミール・ハーシュ作品はケヴィン・クラインの「卒業の朝/2002」と、未公開映画「ガール・ネクスト・ドア/2004」を過去にwowowで観た。
veryキュートな青年のイメージがあったので、この役での彼...特にラストはメイクもあるけど、役になりきっていて素晴らしかった!
ラストに出て来た本人の写真はとても、とても衝撃的で、久しぶりにエンド・クレジットが出た後席を立つのが辛かった。
この映画は賛否両論映画だろうなと強く感じる。
頭が良く、本の虫で、なんでもリサーチするクリスが、あのような荒野で野生の動植物を食べて暮らせるなんて思ったのは浅はかで考え甘い。
春になれば雪解け水で、川の水かさが増えるなんてことも考えなかったのだろうか?
でもなぜか?この青年の生き方に感動したのも事実。あこまで信念を貫く人間てそういないだろう。そういう意味ではスゴイ人!
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離婚にまで発展しそうな形だけの夫婦である両親。
父親が母親を罵る大げんかを見る度身体を震わせて泣いていた妹。
彼女を守ろうと少年期のクリスは必死だった。
金銭に固執する両親にも嫌悪感を抱き、精神的に辛い少年期を送った彼は、心のよりどころを見つけようと旅に出たのだろうか?
父親との葛藤に苦しんできた息子。その息子の死を知った父親が道路にへたり込んで哀しみを表現しているシーンは辛い。
ラストに書く日記“幸せは誰かと分かち合うもの=一人では幸せになれない"あのラインは胸に沁みる。

クリスが旅したアメリカの荒野。広い国土を持つアメリカのそれぞれの景色には素晴らしい!の一言。
見渡す限り雪に覆われた山々を見つめるクリスの目には、さぞや美しい景色と映っただろうが、そこで都会人が生きるのには余りにも過酷な現実。
映画を観る限り、アラスカの荒野に辿り着いた時のヒッチのドライヴァーを始めとして、クリスが出会った人々は、彼が荒野で生きる事に忠告(反対)している。
彼らの言葉に耳をかさず、ひたすら荒野へと入っていったクリスの気持ちは本人にしか分らない。
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老人との出会いと別れは素晴らしいエピソードだったが、同時にジャンとの出会いのエピソードにも強く惹かれた。
ジャンが語る別れた息子の話に“ここに座って一晩中話を聞こうか?”と優しく囁くクリス。他人にはあんなに優しくなれるのになぜ親には??まぁそんなものなのだけど...
体重も落として挑んだクリス役のエミール・ハーシュは大熱演。
キャサリーン・キーナーはお気に入り女優の一人でワケありの女が似合う。
老人ロン役のハル・ホルブルックは新聞の映画評でも絶賛していた通りとても良かった。もうちょっと出番あれば良かったのに...
ショーン・ペンは顔がダメで彼の映画は殆ど観てない。
これは彼が出演しないで監督のみ...是非観たいなぁと思い期待した作品だが、期待通りの素晴らしい映画。
ペンは俳優より監督の方がgoodかも知れない?
日比谷 シャンテ・シネにて...
Commented by 真紅 at 2008-10-02 19:45 x
margot2005さま、連日お邪魔します。
私も、この映画に物凄く感銘を受けました。ラストの写真を見て涙がどっと溢れて、なかなか席を立てませんでした。
クリスって家族の立場から見るとすっごい傲慢だし、身勝手だし、思いやりもないですよね。
でも、彼を責める気にはなれませんよね。。どうしてだろう?
彼に対する、監督の温かい視線をすごく感じたんですよ。
私たちも、ショーンの目を通してクリスを見つめたから、彼を責める気になれないのかもしれないですね。
TBさせていただきました! ではでは。。
Commented by margot2005 at 2008-10-03 23:22
真紅さん、こんばんは!TBありがとう!
連日のお越し嬉しいです!
さて賛否両論と言えど感銘を受ける作品でしたね。
ショーン・ペンは上手いと思いました。
あのラストは辛かったですね。ご覧になったご両親の気持ちはいかばかりかと感じます。
大ラスで“幸せな人生だった。”と書いているのは親に対してでしょうね。あの時点でクリスは親を許していたんだと思います。
ノンフィクションを書いたクラカワーは登山ものを書いているライターですが、迫力ありました。彼の力も大きいかと思いますわ。
Commented by くまんちゅう at 2008-10-07 22:57 x
親への反発から、独立しようと言う思いが極端な行動に結びついてしまったのでしょうか?
文明から逃れて荒野を彷徨いたいと言う気持ちは痛いほど判るのですが、
明確な目的と準備が少し足りなかったんじゃないかと思います。
本当は心の優しい好青年なのに、何かに取りつかれたような頑迷さが命取りになってしまったと感じました。
原作も読みましたが、映画は少し変えていました。
Commented by margot2005 at 2008-10-08 22:35
くまんちゅう さん、こんばんは!
同感ですね...親への反撥。でもちょっと彼の行動は過激過ぎましたね。
五木寛之の書いた“青年は荒野をめざす”という小説もありますが、文明から逃れ青年は荒野に憧れるのかも知れません。
リサーチが得意な彼でもやはり荒野はあまりにも厳しかったのでしょう。
くまんちゅう さんは読書家でいらっしゃるので、これもお読みなのですね?
少し変えてあった...原作に興味そそられます。
Commented by はっち at 2008-10-13 07:12 x
お邪魔します~♪
バカだし、無謀だし、自分勝手だし、調査不足だし・・・
何一つ、肯定できないクリスの行動だけど、何故か
否定する気になれない・・・ そんな不思議な映画
でした。
Commented by margot2005 at 2008-10-14 00:52
はっちさん、こんばんは!
とてもおバカな彼でしたが...そう惹かれるものがありましたね。
あの増水した川を渡れないと簡単に判断したシーンも...ノンフィクションを読んでいないのでなんとも分りませんが、彼は文明(これからの人生)の元へ戻りたくなかったのかも知れません...そんな気もします。
Commented by sabunori at 2008-11-24 00:17
margotさん、TBありがとうございました。
この作品は賛否両論でしょうね。
観る前は多分私は否定派になりそうだな・・・と思っていたものの、
賛成はできずとも全面的に否定する気持ちにはなれませんでした。
ただ、あれだけ他人とのコミュニケーションをキチンととれる青年なだけに
まわりの助言に少しだけでも耳をかしてくれればなぁ・・・と思いました。
Commented by margot2005 at 2008-11-25 01:21
sabunoriさん、こんばんは!
そうアメリカ本国でも賛否両論だったようですね。
あの頭の良い、人当たりの良いクリスが回りの助言に耳を傾けなかったというのは、彼自身耳を貸したくなかったのだと言う気がします。
それほど人を避けて迄辿り着いた最果てのアラスカで、人は一人では生きられないと悟ったのは皮肉としか言いようがないですね。
by margot2005 | 2008-10-01 00:49 | Comments(8)