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「サラエボの花」

「サラエボの花」_a0051234_014244.jpg「Grbavica」...aka「Grbavica: The Land of My Dreams」 2006 ボスニア・ヘルツェゴビナ/オーストリア/ドイツ/クロアチア
ベルリン国際映画祭、金熊賞(グランプリ)、エキュメニカル賞、平和映画賞受賞作品(2006年度)。
監督、脚本はボスニア・ヘルツェゴビナ出身のヤスミラ・ジュバニッチ。
ヒロイン、エスマにユーゴスラビア、ベオグラード出身のミリャナ・カラノヴィッチ。
エスマの娘サラにボスニア・ヘルツェゴビナ出身のルナ・ミヨヴィッチ。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボのグルバヴィッツァ地区を舞台に描く、母と娘のヒューマン・ドラマ。
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サラエボのグルバヴィッツァ地区に住むシングル・マザーのエスマ(カラノヴィッチ)。彼女には12才の一人娘サラ(ミヨヴィッチ)がいる。母エスマは娘には決して話せない過去を背負って生きていた。
生活のため、ナイトクラブで働き、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの内戦で心と身体に傷を持った女性たちが集まるセラピーにも参加する日々。
サラの学校で修学旅行が計画される。しかし費用を捻出する事が出来ないエスマ。
シャヒード (殉教者=信仰、祖国、思想など、何かの大義に殉じた人) の遺児であれば、費用は免除される。父親がシャヒード であることの証明を提出して欲しいと母に依頼するサラだが、母は聞く耳を持たない。
一方で同級生であるシャヒードの遺児サミル(ケナン・チャティチ)より、父親の事を聞かれたサラだが何一つ答える事が出来ない。頑に父親の事を話さない母エスマにサラは不信感を抱き始めるのだった...
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中盤くらいでエスマの秘密がなんとなく解って来て、後の展開が興味深くなる。
エスマがラストで、セラピー仲間の女性たちの前で、今まで語らなかった過去を話始めるシーンは辛い。
サラ役のルナ・ミヨヴィッチが体当たり演技をしていて素晴らしい。
かつてユーゴスラビア連邦共和国という国があった。映画の中で、ヒロインが女性たちと“チトー万歳!”という台詞(字幕)があるが、一時期チトーという大統領が存在した国であった。
戦争の犠牲となって死んで行く男...しかしその戦争による犠牲を背負って行きて行かなくてはならない女と子供がとても哀れである。
この映画を観て、テーマもストーリーも違うが「題名のない子守唄/2006」を思い出してしまった。
岩波ホールにて...
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Commented by JT at 2007-12-08 17:41 x
こんにちはー、今日は久々にゆっくり休んでいま~す。

>テーマもストーリーも違うが「題名のない子守唄/2006」を思い出してしまった。

結末は分からないなりにも、私もmargotさんのレビューを読みながら「題名のない子守唄」と「カルラのリスト」を思い出しました。こういった傷跡がどんどん映画化されていますが、よーく目を開けてみないといけないんでしょうね。
一番下の写真は、エスマ役のミリャナ・カラノヴィッチなのでしょうか?
なんか写真を見ただけで、重たいものを抱えてる感じがわかりますね。
Commented by margot2005 at 2007-12-08 22:26
J.T.さん、こんばんは!
私も本日家に籠っておりますわ。
12月に入って一年で一番忙しい日々となったのですが、仕事でストレス溜まるので、忙しくなると益々映画に逃避したくなって困ります。
今年、後、何回?シアターに足を運べるかなんて数えたりして...
岩波ホールは仕事&家の沿線で便利なので仕事帰りに観て来ました。
平日なのでシアターがらがらでした。
機会があればご覧くださいまし。
そうそうエスマ役のミリャナ・カラノヴィッチです。ナイス キャストでしたね。
「題名のない子守唄」と同じく辛くって、辛くって...
ジョン・レノンの命日にちなんで“War is over if you want too 〜”を聞きたくなりましたわ。
Commented by kimion20002000 at 2008-06-30 01:13 x
TBありがとう。
ルナ・ミヨヴィッチは、セルビア人女性ですからね。どちらかというと、セルビア人の陵辱が多く伝えられていますから、2重に複雑な気持ちで、役に立ち向かったんでしょうね。
Commented by margot2005 at 2008-07-03 00:32
kimion20002000さん、こんばんは!
いつもコメントありがとうございます!
戦争による悲劇を体験した女性は他者には想像ができないくらい辛いものがあるかと思えますが、それを訴える素晴らしい作品でした。
by margot2005 | 2007-12-07 00:56 | ヨーロッパ | Comments(4)