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「リトル・チルドレン」

「リトル・チルドレン」_a0051234_22372422.jpg「Little Children」2006 USA
「イン・ザ・ベッドルーム/2001」の脚本家であり監督のトッド・フィールドが、同じく監督、脚本を担当した“大人になれない大人”のメロ・ドラマ。
主演の3人は「ネバーランド/2004」「ホリデイ/2006」のケイト・ウインスレットと「オペラ座の怪人/2004」のパトリック・ウイルソン。
そして「ビューティフル・マインド/2001」でオスカーをゲットした「ブラッド・ダイヤモンド/2006」のジェニファー・コネリー。
原作は全米でベスト・セラーになったというトム・ペロッタの小説“Little Children”。
ブロンドのウインスレットとブルネットのコネリーの対比が素敵。
劇中に登場する、フランス人小説家フローベールが19世紀に書いた大不倫小説「ボヴァリー夫人」がウインスレット演じるヒロイン、サラとかぶってニクい。
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舞台はボストン郊外の閑静な住宅地ウッドワード・コート。
ビジネスで成功したリッチな夫リチャード(グレッグ・エデルマン)と、夫の母の残したリッチな家で暮らすサラ(ウインスレット)は英文学を学んだ才媛だが、今では子持ちの専業主婦。
娘ルーシー(セイディー・ゴールドスタイン)を伴って公園で午後を過ごす毎日...それもくだらない会話しかしない近所の主婦たちと...
ある日公園で息子アーロン(タイ・シンプキンズ)を遊ばすブラッド(ウイルソン)と出会う。ブラッドの妻キャシー(コネリー)はTVディレクター。ブラッドは何度か司法試験にトライしているが、実生活では妻に養われている。
ブラッドは主婦たちの間で“プロム・キング”と呼ばれている。そのプロム・キング、ブラッドにちょっとしたイタズラでキスをしてしまった事からサラは彼に恋をしてしまう。
一方で性犯罪で服役していたロニー・マゴーヴィー(ジャッキー・アール・ヘイリー)が実家に戻り、市民プールに現れたことから街は騒然となっていく...
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“ボヴァリー夫人/Madame Bovary”は私的には世界で一番の不倫小説に位置づけたい。19世紀に書かれたこの小説は当時パリで、淫らなため裁判になったという歴史を持つ。
小説と映画の結末は違う(時代が違いすぎる...)がサラとボヴァリー夫人が滅茶かぶって、今一度“ボヴァリー夫人”を読みたくなる。
いい年して“大人になれない大人たち”...分別のある人間は理性がそれを押さえるのだろうか?映画のエンディングは想像どうりでgood!
ブラッドとセックスの後”あなたの奥さんは美人?”と聞くサラ。返答に躊躇しながらも“スゴく美人だ!”と答えるブラッド。
二人は子供を伴ってしか逢えないので、週末は互いの家族と過ごす事になる。
ある週末の朝、サラはブラッドの家の近くに車を止め彼の妻キャシーを盗み見する。キャシーのゴージャスさに焦るサラ。この辺の描写が素晴らしい。女ってやはり嫉妬に燃えるのだろうか...
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サラ演じるケイト・ウインスレットとキャシー演じるジェニファー・コネリーは、それぞれに生活に疲れた主婦&ばりばりのキャリアー・ウーマン...互いにナイスな演技で、ナイスなキャスティングだなぁと思う。
失業中の“プロム・キング”ブラッドを演じたパトリック・ウイルソン。「オペラ座の怪人」のウイルソンは今イチだった。ブロードウェイ出身なので歌は上手かったが、印象に残らない「オペラ座の怪人」でのウイルソン。でもこの作品では素敵に元プロム・キングを演じている。ウイルソンは既に引退したポール・ニューマンや、最近ちょっとお年のケヴィン・コスナーのような、ハリウッドの正統派ハンサム・ガイって感じで素敵な俳優。
彼の「アラモ/2004」は観たが、俄然「ハード・キャンディ/2005」が観たくなって来た。
十数年ぶりに銀幕に戻って来たというロニー・マゴーヴィー役のジャッキー・アール・ヘイリーは70年代の「頑張れベアーズ」の少年。なんとなく見た顔だと思っていたが...
妖しい(危険な)役が似合い過ぎのジャッキー・アール・ヘイリー。
とにかくケイト&パトリックのメイク・ラヴ・シーンがインパクトある。ケイト・ウインスレットの脱ぎっぷりはさすが。
しかしジェニファー・コネリーってクールでゴージャスな魅力たっぷりの素晴らしい女優。
“大人になれない大人の不倫映画”と名付けたい作品で、これはどう見ても女性映画であるが、土曜の夜に観たためカップル多し。隣の中年カップルの男性は、ストーリーが始まるやいなや眠りに...
映画が終わってシアターの出口に向かう若いカップルの女性が“ずっと寝てたでしょ!”と男を責めている。
“こんな映画に夫や恋人を誘ってはいけませんわよ!”と言いたい私。
モチ一人で観に行った。
今年度私的ベスト10に是非に入れたいミニ・シアター作品。
日比谷シャンテにて...
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Commented by JT at 2007-08-09 00:52 x
ご覧になったんですね。
“大人になれない大人たち”のお話のようで、とても興味があり、
観たい映画です。
ケイト・ウインスレットは、タイタニックの大ヒット後つぶれることも無く、
しっかりと地に脚がついてる感じで、目覚しい活躍ぶりです。

この映画も、アメリカン・ビューティのように、病める?アメリカ庶民の家庭を描いているのでしょうか?
Commented by margot2005 at 2007-08-09 23:19
JTさん、こんばんは!
観ました!ずっと楽しみにしていた作品だったので....
かなりな不倫映画ですが、男性であるJTさんの感想聞きたいですね。是非ご覧になってくださいませ。
ウインスレットは「タイタニック」の後つぶれるどころか活躍しまくりですね。彼女の映画はやはり英国製作の作品が素晴らしいと思いますが、ハリウッドでも活躍していて素晴らしい女優だと思います。
「アメリカン・ビューテイ」とはちょっと違ってますね。
性倒錯者のロニーの姿は病めるアメリカを描いているように思えますが、ロニーもやはり“大人になれない大人”の一人で、彼の姿もとても興味深いものがありました。
Commented by バニ at 2007-08-22 07:47 x
margot2005さん、こんにちは。わたしは『アメリカン・ビューティ』のような映画だと思っていました。見てみて、びっくり、というわけでした。もうちょっと皮肉たっぷりでもいいんじゃないかと思いましたが、「女らしい」映画でしたね。おっしゃるとおり、男性は退屈しちゃうかもしれませんねぇ。
Commented by margot2005 at 2007-08-23 22:55
バニさん、こんばんは!
「アメリカン・ビューティ」のような作品かと思える作品なのでしょうか?
見てみて解るその違い...といったところでしょうか?
綺麗に描きすぎで退屈する人もいるかなぁ?なんて思いましたね。
こういった作品て、観る人によって感じ方が違うので面白いです。
by margot2005 | 2007-08-07 23:08 | Comments(4)