「ライアンの娘」

a0051234_1354676.jpg「Ryan's Daughter」1970 UK
巨匠デイビッド・リーン監督が描く、激しくも美しい大不倫物語。

言葉が不自由な知的障害者マイケルを演じたジョン・ミルズがアカデミー助演男優賞に輝いている。

この映画は公開された時に観て以来、その後何度観ただろうか?
私的には不倫映画No.1に位置づけているのだが...

主演の学校教師チャールズにハリウッド俳優のロバート・ミッチャム。その妻となるローズにUK女優のサラ・マイルズ。
ローズの不倫相手、英国将校ランドルフにクリストファー・ジョーンズ。
村の神父にトレヴァー・ハワード。
ローズの父トーマス・ライアンにレオ・マッカーン。

ロバート・ミッチャムはありとあらゆる映画に出演しているハリウッド俳優。
彼以外の出演者は皆英国人だと思っていたが、英国人将校を演じたクリストファー・ジョーンズはテネシー出身のアメリカン。

舞台は1910年代のアイルランド、ディングル。
アイルランド独立運動は密かに行なわれていた。
パブを経営するトーマス・ライアン(マッカーン)の一人娘ローズ(マイルズ)は、ある日、妻を亡くした教師チャールズ(ミッチャム)と結婚する。ローズはチャールズの教え子であった。
結婚前、神父から“結婚とは何か?”と聞かされていた。
神父はローズに三つの事を告げる。“生涯互いに慈しむ事、子供をもうける事、そして最後に、肉欲の満足”。
結婚後、神父が告げた“肉欲の満足”に固執したローズは満たされない日々に悶々とする。
ある日若くてハンサムな英国人将校ランドルフ(ジョーンズ)が現れる。
父親の経営するパブでランドルフと運命的な出会いをしたローズは“肉欲の満足”へと旅立っていく。
そんな折、独立運動のため武器を海から陸揚げしようとした男たちが、何者かの密告により逮捕されてしまう。
将校との不倫が村人の知る事となり、彼らはローズを密告者に祭り上げる。
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アイルランドが舞台となる映画は色々と観ているが、これが一番最初に観たアイルランド舞台映画である。
どこまでも続く海岸線、そそり立つ断崖絶壁、麦の穂がゆれる砂浜。何れをとってもアイルランド...
映画は、サラ・マイルズ演じるローズが断崖から日傘を落としてしまうシーンから始まる。
とにかくアイルランドの風景が美しいのなんのって...言葉では言えない...映画を観るよりない。
ローズとランドルフが馬で森に入り、メイク・ラヴのシーン。あのシーンは多々あるラヴ・シーンの中、私的にはNO.1かとも思える。
うっそうとした森の中、ローズの深紅のブラウスが官能の世界へと誘なってくれる。
ランドルフが丘の上に現れる。夫が眠るベッドを抜け出したローズは丘に登って行く...そしてヒシと抱き合う二人。
教師の夫チャールズが“君の恋の情熱が冷めるのをずっと待っていた。”と言う台詞...あんな冷静な男いるのか??なんて思ってしまう。
妻が不倫して、情熱が去ってしまう迄我慢する男がこの世にいるのだろか?と少々理解に苦しむ。だが、妻は若く、自分は中年男、と言う負い目はあるのかも知れない...
惨めな中年男の哀愁を限りなく漂わせるロバート・ミッチャムが素晴らしい。
英国人将校を演じたクリストファー・ジョーンズは、辛い過去(戦争/第一次世界大戦)の傷を負った役が実にぴったりで、台詞も少なく表情(顔)で全てを語っていて素晴らしい!

クリストファー・ジョーンズ、誰かに似ていると思っていたが...ジェームス・ディーンである。
それはIMDbにも記載されている。
「ライアンの娘」の後、隠遁生活を送っていたジョーンズは、1994年にクエンティン・タランティーノの「パルプ・フィクション」のオファーを受けたようだが結局出演には至らなかった。
サラ・マイルズは三島由紀夫原作のUK映画「午後の曳航/1976」でヒロインを演じている。この作品は観たのだがどうも記憶に薄い。
サラ・マイルズは不倫映画が似合うのかもしれない...
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by margot2005 | 2007-03-01 01:44 | UK | Trackback(1) | Comments(14)
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Tracked from Big Screen at 2007-05-27 18:37
タイトル : ライアンの娘
○RYAN'S DAUGHTER ○ドラマ/ロマンス[名作] ○1970イギリス/195min 公開MGM 第1次大戦のアイルランドの田舎町での出来事。 あこがれの先生と結婚したロージー、でも結婚後の生活にはなぜか満足できない。自分でも良く分からないもやもやした気持ちを抱えていたときに、脚を負傷しこの町の英国軍駐屯地へ赴任してきたランドルフと出会う。出逢った瞬間から恋に落ちた二人は、逢瀬を重ねてゆく・・・ アイルランドの独立運動にも巻き込まれ、ロージー夫妻とランドルフの運命は大き...... more
Commented by Bianca at 2007-03-01 02:00 x
見ましたよ~。何といってもあのリンチシーンが一番印象的。
ところで、妻の不倫の情熱が冷めるのを待つ男、イギリスには結構いるようですね。この監督の1945年の「逢引」は大好きですがその通りです。それに、身の上相談では、賢い妻は夫の浮気に、じっと待てとよくいわれますし、そうしている女性は多いのでは?
Commented by claudiacardinal at 2007-03-01 02:36 x
こんにちわ、私もこれ最近観ました。ロバート・ミッチェムがこんな役をやっているとは!と驚いたものです。上のBiancaさんのコメントで「逢引」も出てましたが言われればデビッド・リーンの作品には妻の不倫の熱が冷めるのを待つ男がおおいですねぇ、そういえば昨晩TVでしていた「ブリジット・ジョーンズ・ダイアリー」のブリジットの両親もその類いでした。という事は私も不倫をしてもOKなのかしら???(相棒はイギリス人です)と勝手に想像しています。(笑)
Commented by margot2005 at 2007-03-01 22:25
Biancaさん、こんばんは!
リンチのシーンが一番印象的でしたか?私的には森のシーンですね...LOVEに弱いので...
お気に入りのイギリス人歌手ジョージ・マイケルが“Patience”と歌うように、我慢する男が多いのでしょうかしら??
「逢引」って観たと思うのですが...記憶に...
確かに待つのも良いかもしれませんが、新婚早々でもでしょうか?
中年になってからなら幾らでも待てますが...こっちも浮気しながら...
Commented by margot2005 at 2007-03-01 22:33
CCさん、こんばんは!
是が非でもイギリス人の不倫相手をご紹介くださいませ!!
上にも書きましたが、イギリス人て他のヨーロッパ人と違って“Patience”なのでしょうかしら??
コレがフランス人やイタリア人だとちょっと違うと思うのですが...
結婚すらならイギリス人ですわね。
ブリジットの父も妻の情熱が冷めるのを待ってましたね。中年夫婦でも夫は待ってくれるのですね?
生まれ変われるのなら、イギリス人の夫と愛人が欲しいですわ!
Commented by ドロップ at 2007-03-02 17:19 x
私は若かりし頃この映画を見たけどロバート・ミッチャム演じるダンナが気の毒でたまらなかった記憶しかありまへん。つい最近また見たけどやっぱり気の毒でしたなーー・・・。

この監督だったら私は「ドクトル・ジバゴ」の方が好みかな??これも不倫映画でしたね。
Commented by Bianca at 2007-03-02 19:46 x
この監督、私なら、「アラビアのロレンス」「逢いびき」が一推しです。
Commented by margot2005 at 2007-03-02 23:52
ドロップさん、いらっしゃいませ!
私も最初は若かりし頃に観まして...ミッチャムは気毒だし、サラの身勝手さにも呆れ返りましたが...obasanになってからは、サラの気持ちに共感し、ミッチャムはなんと惨めな男なんだろう...なんて思ってしまうんですが...如何でしょうか??
「ドクトル・ジバゴ」も好きですよ。何度も観ましたわ。
でもなぜか?「ライアンの娘」に引かれます。
Commented by margot2005 at 2007-03-02 23:59
Biancaさん、こんばんは!
やはり「アラビア〜」ですか?
なんとなくBiancaさんならそうおっしゃるような気がしておりましたわ。
「アラビア〜」はどうも砂漠&ラクダ映画ってイメージで困るんですが...
「逢いびき」ってトレヴァー・ハワードなんですね?観てみたい是非!
Commented by Bianca at 2007-03-03 01:49 x
マルゴさま、「アラビア~」は砂漠&らくだの映画じゃなく、若き男性の孤独とナルシシズムの映画です。色気があります、無名のオトゥールの愛らしく美しいことは、今の彼からは全く想像もできませんよ
もちろん、「逢びき」はお薦めですが。愛人(ハワード)も、夫も、素敵です。ヒロインも、少年ぽくて可愛いし。脚本のノエル・カワードがGAYだからかな。
Commented by margot2005 at 2007-03-04 02:40
Biancaさん、こんばんは!
さて突っ込み入ると思っておりましたわ。
大昔「アラビア〜」にハマってしまった同級生が、ピーター・オトゥールに惚れてしまって大変でしたわ。
オスカーでのオトゥールはかなりのじいさんでしたね?
オードリーと共演した「おしゃれ泥棒」は素敵でしたわ。
トレヴァー・ハワードはD.H.ローレンスの「息子の恋人」で惨めなoyajiw演じていてびっくりしました。
Commented by J.T. at 2007-05-27 18:44 x
WOWOWで、オンエアされたものをみました。
大作!とまでは行きませんが、描きたいことはよく分かったような気がしましたよ。
不倫というのがクローズアップされる作品ですが、そもそも、あこがれで結婚してしまったのがいけなかったような(汗)
社会性を持たせるために、強引にアイルランド独立運動を絡めたような気がしなくもないですが、当時はこういった作風が好まれたのでしょうかね。
それにしても、素晴らしい景色でした!見ながらアイルランドに行きたい!と本気で思いましたから(笑)
Commented by margot2005 at 2007-05-29 00:26
J.T.さん、こんばんは!
大作とまでは行きませんか??
「麦の穂を揺らす風」を観てこの映画を思い出したました。やはりアイルランド独立が描かれていましたので...
「ドクトル・ジバゴ」もそうですが、LOVE STORYに上手く社会性も取り入れて描いたのでしょうね?そう流行ったのかも??ですね??
アイルランドのサイトを見ると、やはりディヴィッド・リーンのこの作品が紹介されてますね。アイルランドは憧れの地です!いつか訪れてみたいですね。
Commented by おばさん at 2014-02-09 22:07 x
この作品を初めて見たのは、まだ10代半ばの頃でロージーと将校が初めて深まる森の場面と、村人達のリンチに辱められるシーンが強烈に印象に残り、またいつか見たいと思いつつ、日々に忙殺され
親の死や結婚、出産、子育ての終了、介護など一通りのいくつかの経験を済ませ、改めて見る機会を得て感じたのは、ロージーのランドルフに走る気持ち、押さえられぬ衝動、そして教師の夫の忍耐と諦念と、決別、マイケルの醸し出す、重くなりがちな映画全体への随所の純粋がゆえの哀れさがユーモアに変わる、俳優の演技の素晴らしさ。そしてセリフの少なさを代わりに表現して余りあるアイルランドの風景の美しさ、厳しさ。密告の真犯人でありながら、娘を犠牲にしてまでも、群衆の狂気と憎悪の前に言い出せぬ父親の卑小さと後悔の惨めさ。イギリス人将校の戦場の恐怖体験からの、現在のPTSDとも言える繊細な苦悩とロージーへの渇望。すべてが、人間の業、それと対比の圧倒される大自然を描いて、強く心に残る名作です
Commented by margot2005 at 2014-02-14 00:12
コメントありがとうございます。
本作が今頃ヒットした(多数の検索がありました)なんてとても不思議なのですが...生涯MY名作の一本です。

壮大なるアイルランドがバックにあるからこそ、素晴らしい作品になったことでしょう。
ロバート・ミッチャムはアメリカの名優の一人だし、サラ・マイルズも適役でした。

上に「午後の曳航/1976」は記憶に薄いと書きましたが、その後見る機会に恵まれました。
サラ・マイルズは三島由起夫原作で、英国を舞台に映画化された「午後の曳航」もとても印象に残る女優です。
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