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「隠された記憶」

「隠された記憶」_a0051234_0542394.jpg「Caché 」...aka「Hidden」2005 フランス/オーストリア/ドイツ/イタリア
カンヌ国際映画祭監督賞受賞/2005
ヨーロッパ映画賞(作品、監督、主演男優)受賞/2005

監督、脚本は「ピアニスト/2001」のミヒャエル・ハネケ。
主演のジョルジュ、アンヌ夫婦にダニエル・オートゥイユ「王妃マルゴ/1994、メルシー人生/2000」とジュリエット・ビノシュ「ダメージ/1992」「綴り字のシーズン/2005」。
マジッド役にモーリス・ベニショー「アメリ/2001」。
「ピアニスト」でヒロインの母親を演じているアニー・ジラルド「若者のすべて/1960」が本作品でもジョルジュの母親役。
「ぼくを葬る/2005」で主人公の父親を演じたダニエル・デュヴァル「夜風の匂い/1999」が夫婦の友人ピエール役で出演している。
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TV 局の人気キャスター、ジョルジュ(オートゥイユ)は、出版社で働く美しい妻アンヌ(ビノシュ)、息子ピエロ(レスター・マクドンスキ)と平和に暮らしていた。しかしある日不気味な絵とともにジョルジュの元にビデオ・テープが送られて来る。そこにはジョルジュ家族の日常が映し出されていた。繰り返し送られて来るビデオや、不信な電話にアンヌはヒステリックになるが、ジョルジュは“警察は事件でも起こらない限り、何もしてくれない”と言うばかり。
だが、やがてジョルジュの脳裏に遠い過去の記憶が蘇り始める。そしてジョルジュはビデオの映像に映し出された街の名前をたどって、ある団地を訪れる。そこに住むマジッド(ベニショー)は、40年前ジョルジュと子供時代を一緒に過ごした人物であった。
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“ラスト・カットに全世界が驚愕!”と言う宣伝文句。心理サスペンスドラマである、この映画のラストをずっと楽しみに観ていた。盛り上がりも何もない、はっきり言って辛気くさいドラマである。まあこういったドラマは私的には好きなので飽きないでラストまで来た。しかしこのラストが...これを作った監督は“好きに理解してくれ!”と言うことなのだろうか?ここのとこフランス映画を何本も観ているが、久方ぶりでラストで悩んだ。移民問題がテーマなので、又また日本人にはピントこない題材だが素晴らしい映画であった。
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コメディが似合うオートゥイユの真面目な顔も堪能できるし、最近ハウス・ワイフ役が多いビノシュも素敵である。
アルジェリア移民がテーマとなっているこの作品...フランス人俳優はアルジェリア生まれの有名人が多々いるようだが、映画を観終わって、主演のオートゥイユも、モーリス・ベニショーもアルジェリア生まれということを知った。
この作品には音楽がない。映画と音楽は共同体のようなものだと思うが、この映画ではそうではない。映画はとても静かに、静かに...台詞のみで進行する。観ている観客も画面に釘つけ状態...。渋谷bunkamura近くの“ユーロ・スペース”で上映されていた。本当に映画を観たい人だけが、観に来ているというシアターでお気に入りとなった。原題は“隠し場/隠れ場”。
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Commented by KawazuKiyoshi at 2006-05-01 14:33
私の曲はクラッシックで、余り興味をお持ちにならないかも知れません。
でもよかったら一度聴きに来てみてください。
感想も、出来たらで好いですが、書いていただくと感謝します。

Commented by マダムS at 2006-05-01 21:27 x
2005年はパルムドールが『ある子供』で 監督賞がこれだったわけね。
両方とも”音楽無し” ”余計な説明一切無し” 
不親切極まりないったらね~~~汗;
こうなったらやっぱりグランプリの『ブロークン・フラワーズ』も絶対観なくてはねっ! これだけ違ったタイプですねきっと(爆)
Commented by charlotte at 2006-05-02 23:34 x
こんばんは!
もう音楽ないので緊張しまくりでした。私が見た日は満席でしたよ。
普段使わない頭つかっても痛くなり、ショッキングなシーンで気分も悪くなり・・・萎えました・・・苦笑
Commented by margot2005 at 2006-05-03 20:41
マダム!「ブロークン・フラワーズ」観たいですね。ビル・マーレィはちょっと苦手な俳優ですが、女優陣が豪華ですのね...。
ヨーロッパ映画って物語(人物)を掘り下げて描くので、backの音楽が多いとクドいのかもですね!?
反対にハリウッドものは描くタッチが軽いので、クドいくらいbacckが流れて、時にはウルサイなぁ!と思いますです。
Commented by margot2005 at 2006-05-03 20:47
charlotte さん、そうでした。映画が音なしなので、咳一つでも響き渡ってしまう感じでした。
フランス人て残酷なシーン好きですよね。わたしもあのシーンには“キャと!”言ったような記憶が...。
Commented by CaeRu_noix at 2006-05-05 15:33
ぼんじゅー。ハネケはもはやフランスで撮り続けるのでしょうかね?ジュルジュが母をたずねて語らうシーンはとってもフランス映画的だったり。
オートゥイユがアルジェリア生まれというのは私も今回初めて知りました。ビノシュも「綴り字のシーズン」なんかより断然よかったです。
Commented by 現象 at 2006-05-06 01:32 x
フランス人とアルジェリア人の問題は、
よほど詳しく学ばない限り日本人には理解しかねることのように思えて、
それはどの国の問題でもそうなんですが、
そうすると映画の理解度にも限界があるなぁと感じました。
血がぴゅーっと出るシーン。
僕のななめ後ろの人が「キャッ」もしくは「ヒャッ」と息をのんでましたが、
もしやmargotさん?w
Commented by margot2005 at 2006-05-07 00:13
ヴォンソワでございますCaeRuさん!
「ピアニスト」でもママ役の、往年のフランス女優アニー・ジラルドがあまりにもbasanでびっくりしました。フランス人の母と、息子の関係はスゴイ!なんて....「ル・ディヴォース」のシーンにありましたが...。
ビノシュは素敵ですよね。basanになっても映画に出演して欲しいものですわ。
Commented by margot2005 at 2006-05-07 00:20
いやいや、現象さん!隣の男性は現象さんだったかもしれません??
なんども息をのんで「きゃ...ひゃ...」をかなり小さめの声で叫んでいたようにも思えます。
フランスとアルジェリアって日本人にとって殆ど知識ないので、いつかこの問題を深く調べてみたいと思いますが...なんて...。
移民問題は戦後生まれの日本人には無理があるでしょうね?
そのうち日本も移民に頼らないと国が維持できなくなりそうですが?どうなんでしょう?
Commented by Ken at 2006-05-10 00:05 x
margot2005さん、毎度です!
>久方ぶりでラストで悩んだ。
僕はラストの仕掛け、そもそも何も気付かなかったです(涙)。
だけどそれでも面白い!と思えた作品でした。
ビデオのうまい使い方、常に観客を落ち着かない気分にさせる展開、そして突然血がビュー!
現代人の持つ何とはなしの不安をうまい具合に切り取った印象深い作品でした。

Commented by margot2005 at 2006-05-11 21:29
Kenさん、こちらこそ...いつもKenさんのレビュー楽しみしています!
何も気づかない??...いやあれじゃ何も??解りませんよね??
でもわたしもこの作品は好きです!!
>現代人の持つ何とはなしの不安...そうですね。そんな感じで解釈しても良いのではないでしょうか??
血がビューはフランス人お得意のギロチンでしょうか??フランス人は残酷系大好きな気がします。
ハネケの作品、ブノア・マジメル&イザベル・ユペーールの「ピアニスト」是非ご覧下さいませ。ちょっと暗いと言うのか?あれがハネケ・ワールドなんでしょうか??
Commented by ノラネコ at 2006-05-27 01:15 x
観た人の数だけ解釈が出来る、ある意味で映画の完成はそれぞれの観客の心の中で、という事なのでしょうね。
観終わって議論したくなる作品でした。
新ユーロスペースは初めて行きましたが、前よりゆったりした感じになりました。
インテリアとか北欧風で、けっこう良い感じでしたね。
Commented by margot2005 at 2006-05-28 00:05
ノラネコさんこんばんは!
そうですよね、それぞれに解釈すれば...そう心の中でですね。
道路でぶつかりそうになったアルジェリア系の若者に悪態をつく主人公の姿も印象に残りましたとっても...
ユーロスペース新しくなったようですね。斬新なデザインで(トイレまで)、お洒落で素敵なシアターでお気に入りとなりました。
Commented by sabunori at 2006-07-16 00:16
margotさん、おかえりなさーい!&TBありがとうございました。
margotさんがおかえりになってからTBさせていただこう、と思っていたら
先をこされてしまいました。(笑)
イタリア旅行のお土産話も楽しみにしていますね。
さてこの作品ですが、誰もが持つ弱さやずるさ故の保身などイヤだけれど
わかる人間の心情や行動などがジョルジュを通してたくみに描かれていました。
私もあのラストシーンに一体何が隠されていたのか(そもそも何かが隠されていたのか)
わかりませんでしたが、それでも十分観応えのある作品でしたね。
Commented by margot2005 at 2006-07-17 00:56
sabunoriさん!どうも又すぐイタリア行きたいモードに入っておりうますぅ!今回は夫を置いて行ったので、スッゴイ勢いで行きたがってますが...そのうち二人だけででゆっくりとイタリア半島を回りたいと思っています!
さてこの映画はあのラストに全てが...しかし監督はそれぞれに理解してもらえればとELLE japonにコメントしてましたね。
ラスト・シーン今一度ゆっくりと観たいです!!
Commented by kimion20002000 at 2007-05-20 19:44 x
TBありがとう。
原題は「隠し場」ですか。なるほど。この監督らしいですね。
Commented by margot2005 at 2007-05-21 00:53
kimion20002000さん、こんばんは!
こちらこそありがとうございます。
Englishタイトルも「Hidden」となってまして...「隠された記憶」は邦題らしいですね?
Commented by fizz♪ at 2008-03-15 00:23 x
margotさん、こんにちは~
意を決して(笑)観てみて、感想は書けそうにありませんけれどお邪魔します。
ハネケ監督は『ピアニスト』以来二作目でしたが、気になって観たくなる監督になりました。
隠しておきたい人間の暗部を、またまた暴き出して、いつも問題提起してくれますね。
彼はあの子に何を話し、あの子はその後何を思って生きていくのだろう…って考えるばかりで、ラストはさっぱり解りませんでした。
Commented by margot2005 at 2008-03-16 01:32
fizz♪ さん、こんばんは!
この作品はシアターで観て、wowowで放映された際も見たのですが...いや良く解りませんね。
ハネケ監督は私も「ピアニスト」以来に見たと思います。
それぞれが、それぞれに理解すれば良い作品て事で宜しいのではないでしょうかね?
フランス映画ってラストで考えさせる終わり方好きかな?なんて思いますがいかがでしょうか??
by margot2005 | 2006-05-01 01:19 | Comments(19)