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「ヴェニスの商人」

「ヴェニスの商人」_a0051234_196947.jpg「The Merchant of Venice 」2004 USA/イタリア/ルクセンブルグ/UK

監督は「イル・ポステーノ/1994」のマイケル・ラドフォード。
余りにも有名なウイリアム・シェイクスピアの戯曲であるが、なぜか?英語圏で長い間映画化されなかったらしい。
「ハムレット」や「ロミオとジュリエット」は何度も映画化されているというのに??なぜに??
原作は戯曲であるため、映画の中でも、舞台で語るように俳優が演技しているのが素晴らしい!
アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズと役者揃いの中、ジョゼフ・ファインズが光っている。
この方恋する男を演じたら右に出る者はいないかと...彼のあの目が(パピー・ドッグの訴えるようなまなざしって感じも否めないが...)実に語るのである。この映画もジョゼフ狙いで観に行ったようなものだ...濃い系大好きなので...

主演の金貸しシャイロックにアル・パチーノ、富豪の女相続人ポーシャにテキサス出身の新星リン・コリンズ。リンは「エリザベス/1998」のケイト・ブランシェットを彷彿とさせる感じで古典にぴったり。賛否両論かどうか知らないが、私的には素敵なポーシャ役のリンである。
そしてシャイロックから3000ダカットを借りるはめになるアントーニオ役はジェレミー・アイアンズ「ダメージ/1992、永遠のマリア・カラス/2002」。
アントーニオの親友バッサーニオにジョゼフ・ファインズ「恋するシェークスピア/1998、キリングミー・ソフトリー/2002」。

16世紀のベニス、ユダヤ人たちはゲットーに隔離され、出かける時はユダヤ人と解るよう赤い帽子をかぶって出かけることが義務づけられていた。金貸し業を営むユダヤ人のシャイロック。ある日街中で貿易商アントーニオと出会う。挨拶をするシャイロックにつばを吐きかけ立ち去るアントーニオ...ここでシャイロックは恨み骨髄状態になるのか?アントーニオの親友である若きバッサーニオは、ポーシャに求婚するため、アントーニオに借金を申し込む。このあたりの映画の中での展開を思い返すと、バッサーニオの寝室での二人の会話、“My love!"とか言って二人は抱き合い、キスを交わす...この辺が新解釈なのであろうか?話はそれたが...愛するバッサーニオの頼みを断れるはずもなく、とりあえずキャッシュのないアントーニオはシャイロックにお金を借りるようバッサーニオに促す。

この映画の場合、余りにも有名なストーリーなのでネタばれも不問だと思うので、ここに続きを書く。ポーシャを無事妻にし、幸せの絶頂にいるバッサーニオは、アントーニオの手紙を受け取り呆然とする。アントーニオの所有する船が嵐に見舞われ、すべてが難破した。積み荷は海の藻くずと消え、彼は破産したのだった。3000ダカットの借金を3ヶ月以内に返済しない場合、シャイロックはアントーニオの肉1ポンドをいただくと言う条件を出していた。ラスト近く、裁判の場面で、ポーシャが男装役で登場する...今で言う弁護士か検事である、いわゆる法律に長けた博士役。「恋するシェイクスピア」でもグイネス・パルトロウ演じる男装のロミオが登場したが、リンは素晴らしい!結構男になりきっている。

このラストが見せ場で、シャイロックがアントーニオの胸にナイフを突き刺そうというその時、ポーシャが“ちょいと待てユダヤ人!”の台詞を放つ、その後“肉1ポンドきっかり!多くても、少なくてもダメだ!そして1滴の血を流してもならない!”の台詞。この物語はこれにつきるのである。ここでシャイロックは己の頑固さに愕然とする。血をたらさないで肉を切り刻むことが出来ようか?シャイロックは裁判に負けたのである。哀れなシャイロックに誰も同情しないが、パチーノが演じていると、なぜかシャイロック可哀想すぎ...と感じてしまう。パチーノさんどうも憎めないのである。

ポーシャがバッサーニオに送った指輪の話や、婚約者選びに、金、銀、鉛の箱を並べ、選ばせるという場面も登場する。この物語を読んだのは相当前なので細かい筋は憶えてないが、シャイロックの娘ジェシカについては記憶にない...新解釈なのか?とにかく映画は臨場感のある素晴らしいドラマ(劇)に仕上がっていて見応えがある。

ヴェニスでロケしたという映画の景色は素晴らしい!昨年の夏にシャークスピアの故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォンを旅した際、街中にシェイクスピア劇場があってシェイクスピアものを上演していたのを思い出した。
この映画も「理想の女/2004」もルクセンブルグが参加しているが人件費安いのかな?とふと思った。
新宿のテアトル・タイムズ・スクエアの12f.HMV前の広場(狭いが...)に下写真のシャイロック、ポーシャ、バッサーニオ、それぞれの衣装が飾ってある。
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Commented by ラクサナ at 2005-11-10 20:09 x
ひゃひゃ、↑このジョセフはなかなか素敵!
でもなんかこのヅラ似合わない気がしました~w!ってか本毛?(^^;
それにしても、さすがパチーノ!って感じのシャイロックでしたね。
ラストの娘の指に輝く指輪、切なくもちょっと癒された気がしました。
Commented by ラクサナ at 2005-11-11 20:59 x
トラバ有難うございました~♪
コチラもどんどん王妃の記事にトラバさせて頂きたく、ヨーロッパ映画鑑賞に勤しみたいと思います。^^
マダム、ジョセフやはり地毛でしたか!?(^^;
ジョセフというと『レオポルド・ブルームへの手紙』は、いつになったら
DVD出るんでしょうね~?

Commented by margot2005 at 2005-11-12 21:24
ヨーロッパ映画どんどん鑑賞してくださいませ!ハリウッドものも観るけど
やはりヨーロッパものはいいなぁ!
「レオポルド・ブルームの手紙」って?知らない__。kanashii...
Commented by Ken at 2005-11-24 22:02 x
TBありがとうございます!
うーむ、この映画、僕かなりダメだったんです・・・。
「いや、シャイロック、全然悪くないじゃん」って思ってしまって、そこからはみんなが寄ってたかってシャイロックを苛めているようにしか見えなかった。また、アル・パチーノが迫真の苛められ演技なものだから、さらにイライラと・・・。
ロケーションは雰囲気があって良かったんですけどね。
Commented by margot2005 at 2005-11-24 22:53
Kenさんこちらこそtrackbackありがとうございました。ダメでしたか?確かになぜにシャイロックばっかり悪いの?と感じますよね。しかし原作がUK人のシェイクスピアなのですからどうしようもないですね?わたしもパチーノが憎めなくて困りました。イタリア...ベニス...良かったですね!行
きたいです!!
by margot2005 | 2005-11-08 21:43 | Comments(5)