2020年 12月 19日
「パリのどこかで、あなたと」
「Deux moi」…aka「Someone、Somewhere」2019 フランス/ベルギー
パリ、モンマルトル。隣り合うアパルトマンに暮らすレミーとメラニーはどちらも一人暮らし。倉庫で働くレミーは同僚が解雇され彼だけが昇進したことに罪悪感を抱え、ストレスとなっている。一方でメラニーはがんの免疫治療の研究者。しかし失恋のせいで過眠症に陥っている...
スクリーンにツーショットが映る。それは駅へ向かう時だったり、食料雑貨店での買い物だったり。二人は知らない同士なのでもちろん会話はない。薬屋でほぼ同時に、レミーは不眠症の薬を、メラニーは過眠症の薬を求める姿が面白い。
食料雑貨店のオーナーが、買い物に来たメラニーに”米は南魚沼産が美味い”という台詞に、パリでも米は南魚沼産がオススメと知った。
監督のセドリック・クラビッシュと、レミー役のフランソワ・シヴィルの大ファンなのでとても楽しみにしていた。クラビッシュ映画は「パリの確率/1999」を見て以来のファン。ロマン・デュリスがお気に入りの様子だったが、最近のお気に入りはフランソワ・シヴィルのよう。
レミーは不眠症で、メラニーは過眠症。二人とも精神科医にかかり深刻なのだけど、笑えるシーンを織り込んで描かれるドラマはクラビッシュらしくてトレビアン!
二人のアパルトマンはモンマルトルで、時折丘の上の教会が姿を表す。アルプスのレミーの実家のシーン...雪に埋まる真っ白な景色が美しい。
レミーの学生時代の友人マチューを演じるピエール・ニネがワンシーンに出演。そのシーンの間一人でずっと喋っていたのが可笑しくて、今までのイメージが吹っ飛んだ。
脇を固める俳優たちも豪華で、とても素敵な映画で大満足。
レミーに「ウルフズ・コール/2019」「私の知らないわたしの素顔/2019」のフランソワ・シヴィル。
メラニーに「おかえり、ブルゴーニュへ/2017」のアナ・ジラルド。
L.Bマイヤー(レミーの精神科医)に「オーケストラ!/2009」「恋のベビーカー大作戦/2012」のフランソワ・ベルレアン。
メラニーの精神科医に「今宵、212号室で/2019」のカミーユ・コッタン。
食料雑貨店のオーナーに「消えた声が、その名を呼ぶ/2014」「盗聴者 /2016」「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!/2018」のシモン・アブカリアン。
レミーの母に「世界にひとつの金メダル/2013」のマリー・ビュネル。
マチューに「母との約束、250通の手紙/2017」のピエール・ニネ。
監督、脚本は「おかえり、ブルゴーニュへ/2017」のセドリック・クラビッシュ。
新宿シネマカリテにて