2020年 01月 03日
「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」
「L'incroyable histoire du facteur Cheval」…aka「The Ideal Palace」2018 フランス/ベルギー
19世紀末のフランス、ドローム県オートリーヴ村。郵便配達員のシュヴァルは妻を病気で亡くしてしまうが一人息子のシリルを男手一つで育てることができず親戚に預けることになる。月日がたったある日、シュヴァルは配達途中で未亡人のフィロメーヌと出会う。互いに伴侶を亡くしていた二人は結婚。そして娘が誕生する。雨の日も、風の日も郵便を配達するシュヴァル。そんなある日、配達途中で石につまずき、拾い上げた奇妙な形の石に心奪われる。そして石を積み上げて宮殿を作ろうと思い立つ…
自分の子供とも上手く接することができない父。しかし娘アリスのために宮殿を作ると決め、その作業にのめり込んでいく。宮殿は娘アリスに対する愛情表現で、そこに彼女を住まわせたかったのだ。
愛情を上手く伝える事ができない男シュヴァルは子供に対しても妻に対しても同じ。ある日、成人した息子のシリルが父を訪ねて来る。不器用な父は息子を抱きしめて迎えるわけではないが、顔に浮かんだ笑みが”会いたかった!”と語っている。そしてそんな夫を心から理解する妻が、側で静かに微笑んでいる。
村人に変人扱いされるほど人付き合いが下手で風変わりなシュヴァル。演じるジャック・ガンブランは不器用で頑固な男が限りなく似合っている。
妻フィロメーヌ役のレティシア・カスタもトレビアン。
”シュヴァルの理想宮”は33年に及ぶ月日をもって1912年に完成。現在は世界的な観光名所になっている。ロケは現存する”シュヴァルの理想宮”で行われた。
ジョゼフ・フェルディナン・シュヴァルに「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-/2013」のジャック・ガンブラン。
フィロメーヌに「キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け/2012」のレティシア・カスタ。
オーギュストに「隠された記憶/2005」「ザ・キャピタル マネーにとりつかれた男/2012」のベルナール・ル・コク。
フェリシエンヌに「ドーベルマン/1997」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」のブローレンス・トマシン。
ギャランスに「シャネル&ストラヴィンスキー/2009」のナターシャ・リンディンガー。
アリスにゼリー・リクソン。
シリルにルーカ・プチタ・ボレッリ。
監督、脚本は「オーロラ/206」「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-/2013」のニルス・タヴェルニエ。
角川シネマ有楽町にて