2019年 08月 17日
「存在のない子供たち」
「Capharnaum」2018 レバノン/フランス/USA
ベイルートのスラム街に暮らす少年ゼインはおよそ12歳。両親が出生届けを出さなかったため正確な自分の年齢も知らず、書類上彼は存在していない。家は貧しくて学校へは通わせてもらえず大家族を養うためゼインは1日中働いている。愛する妹サハルがゼインの心の支えだったが、11歳で強制結婚させられてしまう…
サハルがいなくなり絶望したゼインは家出を決意する。街をさまよううちシングルマザーのエチオピア人難民のラヒルと出会い、彼女の家に転がり込む。やがてラヒルは幼い息子ヨナスをゼインに預けて仕事に出かけるようになる。ところがある日ラヒルが家に帰って来なかった。次の日も、そして次の日も…。途方に暮れながらもゼインは食べ物を調達するためヨナスを連れて街に出る。
”僕が生まれた病院はどこだ?”と母に詰め寄るゼイン。しかし母は答えてくれない。
そして無理やり結婚させられたサハルが出産で命を落としたことを知る。
激怒したゼインは自分を生んだ罪で両親を訴える裁判を起こすのだった。
まるでノンフィクションのような社会派ドラマ。ゼイン・アル・ラフィーアが素晴らしい!
ゼインを始めとして皆俳優ではないが、役柄と似た境遇の人ばかりが選ばれたそうで、彼らによって衝撃的な物語が盛り上がりを見せている。
ラスト、満面の笑顔をカメラに向けるゼイン・アル・ラフィーアが実に可愛い。
ゼインにゼイン・アル・ラフィーア。
ラヒル・シファラにヨルダノス・シフェラウ。
ヨナスにボルワティフ・トレジャー・バンコレ。
母スアードにカウサル・アル・ハッダード。
父セリームにファーディー・カーメル・ユーセフ。
サハルにシドラ・イザーム。
商人(ブローカー)アスプロにアラーア・シュシュニーヤ。
監督、脚本、出演(弁護士ナディーン)は「キャラメル/2007」「歌声にのった少年/2015」のナディーン・ラバキー。
シネスイッチ銀座にて