2019年 04月 27日
「リヴァプール、最後の恋」
「Film Stars Don't Die in Liverpool」2017 UK
1981年9月29日の英国ランカスター。ピーター・ターナーはかつての恋人グロリア・グレアムがホテルで倒れたとの知らせを受け急遽駆けつける。そしてピーターはリヴァプールへ行きたいと懇願するグロリアを自分の家に連れ帰る…
映画はリヴァプール生まれの英国人俳優ピーター・ターナーが1987年に発表した回顧録をもとに作られた。
ドラマの中に時折、恋する二人が暮らしたニューヨークのシーンが組み込まれる。
グロリアは乳がんだった。しかし若い恋人ピーターに知られたくなくて、病院に行くのに”エージェントに会いに行く”なんてメモを残して出かける。何度かあったこのことを不審に思ったピーターが”男がいるのか?”と問い詰める。真実を語れないグロリアはピーターに”出て行って!”と攻め立てる。
もう若くはない売れない女優の辛さが伝わりとても悲しい。アネット・ベニング大熱演で素晴らしい。
「リトル・ダンサー/2000」後これといった代表作がないジェイミー・ベル。ポスターに”ビリー・エリオット以来のパフォーマンス...”とあるようにジェイミー・ベルすごく良かった。
売れない舞台俳優のピーターは親の家に同居している。そこへグロリアを連れ帰ったのだ。ピーターの母ベラはグロリアを手厚く看護する。父ジョーはグロリアの大ファンで彼女を手放しで歓迎する。しかし時折実家に姿を見せるジョーJr.だけはグロリアを歓迎していない。そのことで諍いを始める兄弟。ラスト、病状が悪化したグロリアを息子が迎えに来る。そしてそこにはグロリアとはもう決して会えないと悟ったピーターに優しく声をかける兄ジョーJr.の姿があった。
実話ながらどこまで本当のことを描いているのかはターナー家にしかわからないが、この家族の優しさに胸が熱くなった。
グロリア・グレアムがアカデミー賞授賞式で助演女優賞を受け取り”Thank You!”とコメントするシーンでエンディングを迎える。
アネット・ベニングはグロリア・グレアムを演じるのを切望したらしい。そしてアネット・ベニングの声てあんなに高い声?と思ったけど、グロリア・グレアムに合わせていた?
アネット&ジェイミーの組み合わせって見る前すごく違和感あったが、見終わって予想外なカップルの共演はとても素敵だった。
コンスタントに映画出演するアネット・ベニングの一番印象に残る作品は「アメリカン・ビューティー/1999」かな?
グロリア・グレアムに「Dearダニー君へのうた/2015」「ハリウッド・スキャンダル/2016」「20センチュリー・ウーマン/2016」のアネット・ベニング。
ピーター・ターナーに「崖っぷちの男/2011」「ニンフォマニアック Vol.2/2013」のジェイミー・ベル。
ベラに「パディントン2/2017」のジュリー・ウォルターズ。
ジョーに「ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!/2007」のケネス・クラナム。
ジョーJr.に「ナチス第三の男/2017」のスティーヴン・グレアム。
ジーン・グレアムに「ローズの秘密の頁/2016」のヴァネッサ・レッドグレーヴ 。
監督、製作総指揮は「PUSH 光と闇の能力者/2009」「SHERLOCK(シャーロック)/2010」のポール・マクギガン。
新宿武蔵野館にて(4/26迄/YEBISU GARDEN CINEMAで時間限定上映中)