2017年 04月 05日
「サラエヴォの銃声」
「Smrt u Sarajevu」…aka「Death in Sarajevo」2016 フランス/ボスニア・ヘルツェゴビナ
第一次世界大戦のきっかけとなった“サラエヴォ事件”から100年。ホテル・ヨーロッパでは記念式典を行うための準備が行われている。仕事熱心なフロント主任ラミヤは客を迎える準備に忙しい。そして支配人のオメルは記念式典に出席するVIPのジャックをホテルに迎える。部屋に入ったジャックは早速式典の演説の練習を始める。屋上ではジャーナリストのヴェドラナが、サラエヴォ事件の皇太子暗殺者と同じ名前を持つ男ガヴリロ・プリンツィプに、戦争と結果についてのインタビューの真っ最中。そんな中、オメルはホテルの従業員の間で企てられているストライキを阻止しようと躍起になっていた…
ジャックに「シラノ・ド・ベルジュラック/2990」「地上5センチの恋心/2007」「(ほとんど)チャーミングな王子/2013」のジャック・ウェベール。
ラミヤにスネジャナ・ヴィドヴィッチ。
オメルに「サラエボ、希望の街角/2010」のイズディン・バイロヴィッチ。
ヴェドラナにヴェドラナ・セクサン。
ガヴリロ・プリンツィプにムハメド・ハジョヴィッチ。
監督、脚本は「美しき運命の傷痕/2005」「戦場カメラマン 真実の証明/2009」「汚れたミルク あるセールスマンの告発/2014」のダニス・タノヴィッチ。
先だって「汚れたミルク あるセールスマンの告発」を見たばかり。1週間の間にダニス・タノヴィッチの映画を2本見るとは異例なこと。
ホテル・ヨーロッパの屋上、ロビー、リネン室、キッチン、VIPゲストルーム、地下駐車場...それぞれの場所にいる人々を同時進行でリアルに描くスリリングな群像ドラマ。
大昔、社会の時間に習った”サラエヴォ事件”はボスニア・ヘルツェゴビナの人々にとって忘れられない歴史的事件。このような記念式典があったなんてことも全く知らないけれど、ダニス・タノヴィッチ独特のドキュメンタリーのような雰囲気を感じさせる群像ドラマは見応えがあった。
100年前サラエヴォで皇太子が暗殺された事件と、ドラマの中の銃撃事件とは全く関係がないながら、ラストの銃撃はとても衝撃的。
シネマカリテにて