2017年 03月 23日
「わたしは、ダニエル・ブレイク」
「I, Daniel Blake」2016 UK/フランス/ベルギー
イギリス北東部ニューカッスル。ダニエル・ブレイクは59歳の腕利き大工。長い介護の末愛する妻が亡くなり、子供のいないダニエルは孤独な一人暮らし。ある日、心臓が苦しくなったダニエルは病院で診察をうけ、医者から仕事を休むように言われ途方に暮れる…
ダニエル・ブレイクにデイヴ・ジョーンズ。
ケイティに「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出/2015」のヘイリー・スクワイアーズ。
デイジーにブリアナ・シャン。
ディランにディラン・フィリップ・マキアナン。
役所の職員アンに「オレンジと太陽/2010」のケイト・ラッター。
隣人チャイナにケマ・シカズウェ。
監督は「ジミー、野を駆ける伝説/2014」のケン・ローチ。
働けなくなったダニエルは国の援助を受けるべく役所に赴く。しかし役所の仕事は全て形式によって成り立っている。頑固な役所の職員に激怒しながら手続きに励むが中々はかどらない。大工のダニエルは接したことのないPCというの厚い壁に阻まれるのだ。
役所ってどこの国でもそうだが、ホント形式にこだわるなぁと切に感じる、映画だからより以上に執拗にこだわりを見せる。でもウイットに富んだやり取りはイギリスらしくて面白い。
ラスト、役所の壁にスプレーで自らの訴えを書き込んだダニエル。警察には捕まったけど集まった民衆から拍手喝采が起こる。彼に賛同した男性が”ダニエルにSirの称号を!”なんて言っていたのもイギリスらしい。
ケン・ローチ映画を見たのは「ジミー、野を駆ける伝説」以来2年ぶり。ケン・ローチ、ファンなので公開されるのをとても楽しみにしていた。NHKの夜のニュースでも紹介されていて巷でも本作は評判らしい。
「麦の穂をゆらす風/2006」に続き2度目のパルムドール受賞作は素晴らしかった。ラストはうるうるしてしまって、エンディングが終わって明るくなってちょっとうろたえてしまった。
しかしながらニューカッスルにはAED設置してないのか?なんて疑問が...。
テーマは違うが「この自由な世界で/2007」のシングル・マザー アンジーを思い起こす。
本作のシングルマザー、ケイティは父親の違う幼い二人の子供を抱えて、住み慣れたロンドンから地価の安いニューカッスルにやって来る。そしてケイティは役所で偶然出会ったダニエルと交流を深めて行く。心優しいダニエルは何かとケイティや子供たちの手助けをするようになる。しかしケイティはダニエルに甘えるわけにはいかない。ダニエルはダニエルで病気を抱え大変なのだから...。そこでケイティはもっとお金を稼ごうと売春に走ってしまう。
イギリスは貧困の差がかなり激しい国で、シングル・マザーは尚更生活が苦しい。食料配給所の列に並び、空腹から棚に並ぶ缶詰をその場で食べてしまうケイティの姿に悲しくなる。
ケン・ローチ映画の主人公は皆素晴らしい!本作のデイヴ・ジョーンズはホントに素晴らしかった。俳優ながら、街中にいる失業中のおじさんのように、とてもリアルにドラマに溶け込んでいる。
何となく見たことある顔と終始思っていたが、デイヴ・ジョーンズの映画は初めて。彼は人気コメディアンで映画初出演だそう。
新宿武蔵野館にて
ケン・ローチ監督らしい、骨太のしっかりとした社会派ドラマでしたね。
初日の第1回に見ましたが満席で、ケン・ローチ監督の人気を再認識しました。
日本の状況とも似ているところがあって、ドキュメンタリーのようなリアリティを感じました。
舞台出身の知らない俳優さんが多かったことが、功を奏していたのかもしれません。
全体的に厳しい展開でしたが、ケイティの家族や、やんちゃな隣室の若者、親切な職員の女性など
ダニエルが決して孤独ではなかったことに、少し救われました。
こんばんは。
ケン・ローチの作品は社会の底辺に生きる人々を描いた作品がいつも光りますね!
私も初日に見たかったのですが、行けなくて連休明けにした所、
満席じゃなくて良かったです。
ホント、ドキュメンタリーのようにリアリティがありました。
俳優の演技が上手いことも、一因だと思います。
ケン・ローチはリアリティを追求するため、映画界ではあまり知られていない俳優を起用
するのかも知れません。
ケイティの家族と一緒の時のダニエルは幸せそうでした。
ケン・ローチ監督は本当に素晴らしい監督ですよね。
このまま引退は撤回したままでいて欲しい位ですが…。
真面目に実直に生きてきた男の人生に思いをはせる作品でした。
こんばんは。
コメントとTBありがとうございました。
ケン・ローチ監督本当に引退するのでしょうか?
彼の作った作品の大ファンなので、引退されたら寂しいですね。
そう、真面目人間ほど苦労するのかも知れません。
想像通りのいい映画で、ダニエルとケイティの絆に
心打たれました。
ダニエルと福祉職員の会話は真面目なコント見てるようでした(笑)
こんばんは。
本作はケン・ローチ映画の中でもダントツで素晴らしかったと思います。
そう巷でも評判のようですね。
ダニエルとケイティの絆には私も胸がいっぱいになりました。
真面目なコントですか?なるほどです!