2017年 07月 08日
「ありがとう、トニ・エルドマン」
「Toni Erdmann」2016 ドイツ/オーストリア/スイス/ルーマニア
ルーマニア、ブカレストのコンサルタント会社に勤めるイネスは仕事一筋のキャリアウーマンでシングル。ある日、悪ふざけが大好きな父がドイツから娘を訪ねてやって来る…
ヴィンフリート/トニ・エルドマンにペーター・ジモニシェック。
イネスにザンドラ・ヒュラー。
ヘンネベルクにミヒャエル・ヴィッテンボルン。
ゲラルロにトーマス・ロイブル。
イネスの秘書アンカにイングリット・ビス。
同僚でボーイフレンドのティムにトリスタン・ピュッター。
同僚のタチアナに「フィレーネのキライなこと/2003」のハーデヴィッフ・ミニス。
同僚のステフに「エンジェル/2007」のルーシー・ラッセル。
監督、脚本、製作はマーレン・アデ。
イネスの父ヴィンフリートがブカレストに現れたのは愛犬が亡くなり喪失感を埋めるためでもあったが、何といっても異国にいる仕事中毒の娘が気がかりだったから…。
ある日、ヴィンフリートはイネスの働く会社の受付で待ち伏せしていた。連絡もなく現れたことに戸惑うイネスをよそに娘のアパートに滞在を決め込む父親。不穏な空気が漂う中数日が過ぎる。しかしようやく帰ってくれたと思いきや、出っ歯の付け歯に変なカツラを被り“トニ・エルドマン”という名の別人に扮して再びイネスの前に現れる。
イネスが上司のゲラルロと話しているといきなり現れふざけるヴィンフリート。しかしながら神出鬼没の父親にも調子を合わせてその場をあしらうイネスがスゴい!
ちょっとクレージーな父親の娘は自らのバースデイ・パーティをNudeで参加すること!と決める辺り似た者親子だなと感心しつつ可笑しかった。
上映時間は2時間42分と少々長いが、意外にもダラダラした感じはなかった。でもヴィンフリートが娘のためにしでかす変な?イタズラ…彼の行為にかなり違和感を感じる観客もいるかも知れない。見終わってやはりこれは万人に受ける映画ではないなと思った。
ドイツ人て日本人同様真面目な人間が多いイメージがあるが、映画となると少々趣が違い、奇想天外なコメディが多く作られているような気がする。今年公開された映画では「僕とカミンスキーの旅 /2015」もかなりだったし、ファティ・アキンの「ソウル・キッチン(SOUL KITCHEN/2009」とか「帰ってきたヒトラー/2015」などなど。
ブカレストと言えばニコラエ・チャウシェスクが独裁政治で私腹を肥やし妻と共に贅沢な暮らしをしていた宮殿が有名。今では“国民の館”と呼ばれ、BSの旅番組で何度も見たことがある。映画の中でも、訪ねて来た父に娘が“宮殿見に行く?”と言う台詞があった。
イネスが顧客のヘンネベルクの妻を案内するショッピングモールはヨーロッパ最大とか…なぜブカレスト?と思ったけど土地があるからに違いない。
イネスは仕事の時は常に黒のパンツスーツに白のブラウス。しかし遊びとなると彼女のファッションは一変する。メリハリをつけたファッションが素敵だ。
ところでいつも感じるのはドイツ映画を見てあまり美しくないドイツ人女優たちの存在。ヒロインのザンドラ・ヒュラーも間違っても美人とは言えない。ドイツ人で美人女優と言えば絶世の美女“トロイのヘレン”を演じたダイアン・クルーガーと、往年の名女優ロミー・シュナイダー(正確にはウイーン出身)とナスターシャ・キンスキーくらい?
常に仏頂面のイネスを笑わせることに一生懸命のヴィンフリートはエラい!
新宿武蔵野館にて