2017年 06月 09日
「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」
「Lo chiamavano Jeeg Robot」…aka「They Call Me Jeeg Robot」2015 イタリア
荒廃するローマ郊外で育ったエンツォは盗品を売りながら孤独な日々を過ごしている。ある日、警察に追われたエンツォはテヴェレ川に飛び込みドラム缶の中身を浴びてしまう。翌日同じアパートに住むセルジョと盗品売買のトラブルに巻き込まれ唯一の友セルジョが殺されてしまう...
エンツォに「緑はよみがえる/2014」のクラウディオ・サンタマリア。
ジンガロに「ニーナ ローマの夏休み/2012」「グレート・ビューティー/追憶のローマ/2013」のルカ・マリネッリ。
アレッシアにイレニア・パストレッリ。
セルジョにステファノ・アンブロジ。
ヌンツィアに「重なりあう時/時の重なる女/2009」のアントニア・トゥルッポ。
監督、製作、音楽はガブリエーレ・マイネッティ。
ドラム缶の中身を浴びたせいで鋼の肉体と超人的なパワーを手に入れたエンツォは、セルジョを殺したギャングのボス、ジンガロに復讐を誓うが、同時にセルジョの娘アレッシアを守るハメに陥る。
アレッシアは日本のアニメ“鋼鉄ジーク”の大ファン。鋼鉄のアパートのドアを素手で破るエンツォを見て、“鋼鉄ジーク”の主人公司馬宙(シバヒロシ)だと思い込み、”ヒーローは人を救うべき!”と訴える。そう、アレッシアは空想の世界に生きる女だったのだ。
一方で地元ギャングのボス、ジンガロはシンガーとして芽がでず犯罪者として大成したいと願い、ヌンツィアをボスとするナポリ出身の犯罪組織と張り合っている。
そんなある日、突然超人的なパワーを身につけたエンツォが最初にしたことはATM強盗。街中に設置してあるATM現金自動預け払い機を壁から外して持ち帰る。やがて防犯カメラが捕らえたその映像はネット動画に配信され、それを見たジンガロはエンツォに興味を抱き始める。
不器用で冴えない男と現実と空想の世界がごっちゃになっているかわいそうな女。孤独な二人は次第に互いを求め合うようになる。いわゆるヒーローとヒロインとは全くかけ離れたダサいエンツォと普通じゃないアレッシアの組合わせがユニーク。ポルノ・ビデオとヨーグルトが大好きなエンツォもヒーローらしくない?
エンツォを演じるクラウディオ・サンタマリアのこのようなキャラはもちろん初めてで、クールでないヒーローが似合っている。
「ニーナ ローマの夏休み」ではイケメンのチェリスト役だったルカ・マリネッリが、ものスゴいキャラで怪演している。
ラスト、アレッシアが編んだニットのマスクをつけて夜の闇に現れたエンツォ…続あり?
イタリア映画祭2017(イタリア映画祭2016で上映された)で盛んに宣伝していた本作は日本のアニメをモチーフにしたヒーローもの。あまり興味はそそられなかったがクラウディオ・サンタマリアがヒーローを演じるというので見に行った。イタリアで大ヒットしたらしいが、東京でもヒットしている様子。
新宿武蔵野館にて