2017年 01月 21日
「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」
「Der Staat gegen Fritz Bauer」…aka「The People vs. Fritz Bauer」2016 ドイツ
1950年代後半の西ドイツ、フランクフルト。検事長フリッツ・バウアーは妻と別居し仕事一筋の生活を送っている。戦後の経済復興が進み、戦争の記憶が風化しようとして行く中、理想主義者のユダヤ人バウアーはナチス戦犯の告発に執念を燃やし続けている。ある日、南米から1通の手紙がバウアーの元へ届く。それには逃亡中のナチス親衛隊中佐アイヒマン潜伏に関する情報が記されていた...
フリッツ・バウアーに「白いリボン/2009」「ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~/2010」「23年の沈黙/2010」「コッホ先生と僕らの革命/2011」「パリよ、永遠に/2014」「ヒトラー暗殺、13分の誤算/2015」のブルクハルト・クラウスナー。
カール・アンガーマンに「東ベルリンから来た女/2012」「あの日のように抱きしめて/2014」のロナルト・ツェアフェルト。
ヴィクトリアにリリト・シュタンゲンベルク。
監督、脚本はラース・クラウメ。
アドルフ・アイヒマンを描いた映画と言えば「ハンナ・アーレント/2012」「アイヒマン・ショー/歴史を映した男たち/2015」の2本。それぞれにアルゼンチン、ブエノスアイレスでモサドによって拘束された後、イスラエルで裁判にかけられるアイヒマンを描いている。
本作は1950年代の西ドイツ・フランクフルトを舞台に、ナチス戦犯の告発に執念を燃やす検事長フリッツ・バウアーが、ナチス残党による妨害や圧力にさらされながら孤立無援でアドルフ・アイヒマンを追いつめて行く姿を描く。
検事長バウアーの部下カール・アンガーマンは架空のキャラクターで同性愛者。そしてバウアー自身も同じ嗜好の持ち主で、ドラマでは二人の深い友情も語られる。
アドルフ・アイヒマンの罪をドイツ国内で裁きたいと願うバウアーは国家反逆罪に問われかねない危険も顧みず、単身モサド(イスラエル諜報特務庁)に乗り込み極秘情報を提供する。しかし今だ国内に寄生するナチスの残党からの妨害や圧力にさらされ孤立無援の苦しみを強いられる。
1950年代後半を舞台に描かれる「顔のないヒトラーたち/2014」も、ドイツ国民の間でナチスによるユダヤ人虐殺の事実は面倒な歴史として忘れ去られようとしていたことを案じた一人の検事が奔走し、1963年に“アウシュヴィッツ裁判”が行われることになったいきさつを描いた映画。このドラマを見た時にやはり「ハンナ・アーレント」を思い起こした。
50年代の西ドイツに熱心な検事がいたからこそアイヒマン裁判やアウシュヴィッツ裁判が行われたのだと感心した次第。
ドイツの名優ブルクハルト・クラウスナーが理想主義者のユダヤ人検事長フリッツ・バウアーを好演している。カール役のロナルト・ツェアフェルトも然り、そういえばちょっと太った?
怪しい女/男を演じるリリト・シュタンゲンベルクが強烈な個性を放っている。リリト・シュタンゲンベルク主演で今公開中の「ワイルド わたしの中の獣/2016」も見てきたのでレビューを書こうと思っている。
ヒューマントラストシネマ有楽町にて
フランツ・バウアーといえば「顔のないヒトラー達」の主人公の上役で、くぼんだような魅力があったあのひとでしょうか。
同性愛者だったのですね。2日前借りた「アイヒマン・ショー」を見るところです。「ハンナ・アーレント」は
彼の悪を凡庸さゆえと表現していますし、「帰って来たヒトラー」でも、扇動に対し民衆があっという間に燃え上がっていました、
さいきん英米で起こっていることもそれに繋がっていると感じます。
かと言ってどうすればよいのか??抗議デモに行くのか?精々できるのはブログで意見を発表することでしょうかね。
こんばんは。
今年も見に来て下さってありがとうございます!
こちらこそよろしくお願いいたします。
さてさて「顔のないヒトラーたち」のフランツ・バウアーについては
全く記憶がなくて今一度この映画を見てみたいと思っていた所です。
本作では同性愛者として語られており、それに関して脅されているような
シーンもありましたが...部下のカールは実在の人物ではありません。
>さいきん英米で起こっていることもそれに繋がっていると感じます....
そうですね。私も同感です。
アメリカの新しい大統領のようにツイートでもしましょうか?