2016年 11月 24日
「92歳のパリジェンヌ」
「La dernière leçon」…aka「The Final Lesson」2015 フランス
尊厳死を決断したジョスパン仏大統領の母とその娘との最期の日々を綴った実話「最期の教え」を基に描いたヒューマンドラマ。
ディアーヌに「ソフィー・マルソーの 刑事物語/1985」「仕立て屋の恋/1989/マドモワゼル/2001」「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇/1995」「灯台守の恋/2004」「親密すぎるうちあけ話/2004」 のサンドリーヌ・ボネール。
マドレーヌに「溺れゆく女/1998」マルト・ヴィラロンガ。
ピエールに「メトロで恋して/2004」のアントワーヌ・デュレリ。
ディアーヌの夫クロヴィスに「キングス&クイーン/2004」「真夜中のピアニスト/2005」「友よ、さらばと言おう/2014」のジル・コーエン。
ディアーヌの息子マックスにグレゴワール・モンタナ。
ヴィクトリアに「サンバ/2014」「1001グラムハカリしれない愛のこと/2014」のザビーネ・パコラ。
監督、脚本はパスカル・プザドゥー。
マドレーヌは娘ディアーヌの家で92歳の誕生日を迎え祝福されている。若い頃は社会運動に関わり、人知れず奔放な恋愛も重ねてきた元助産師。しかし一人暮らしで92歳となった今、出来ることが出来なくなった自分に我慢ならない。誕生日の最中マドレーヌは子供たちの世話にはなりたくないと言い、2ヶ月後に私は逝きます!と宣言する。
お気に入りのフランス人女優サンドリーヌ・ボネールが久しぶりで是非見たかった一作。母親思いの娘を演じる彼女は相変わらず素敵だ。
監督、脚本、撮影を担当した「彼女の名はサビーヌ/2007」は自閉症の妹を記録したドキュメンタリー。公開されたのは知っていたが残念なことに見ていない。本作を見て女優サンドリーヌは演技者ではあるが、きっと優しい心を持った人なんだと感じた。ドラマでのディアーヌ役が本人と被る。
母親の気持ちを理解し支え続けるディアーヌ。兄ピエールは狼狽え感情をむき出しにして、身勝手な判断だと母親を攻め立てる。
こういう時の男って役に立たないのか?動揺してしまって始末に負えない。しかしディアーヌは同じ女性ということもあって母親の気持ちが理解でき、悩みながらもなんとか受け入れることを決断したに違いない。
まぁとにかくこんなに優しい気持ちを持って母親に接することができる人って世の中に何人いるだろう?
娘のディアーヌの愛情は良くわかるのだが、孫のマックスの祖母に対する愛情の深さに感動する。そう言えば、「愛しき人生のつくりかた/2014」でも孫が祖母を深く愛している姿があったのを思い出す。
ヘルパーのような存在のヴィクトリアが、心からマドレーヌの世話をしている様子が素敵だった。
老人の尊厳死は「母の身終い/2012」でも描かれていた。
ジョスパン仏大統領の母は尊厳死を求め闘い続けたという。
将来自分の身に降り掛かることかも知れない事柄ゆえ、ドラマはとても興味深く考えさせられた。
相変わらず邦題が陳腐。
シネスイッチ銀座にて