2016年 11月 09日
「ダゲレオタイプの女」
「La femme de la plaque argentique」…aka「Daguerrotype」「The Woman in the Silver Plate」2016 フランス/ベルギー/日本
ジャンはパリ郊外に建つ古い屋敷にスタジオを構える写真家ステファンのアシスタントとして採用される。ステファンはダゲレオタイプと呼ばれる技巧を使って写真撮影をしていた。その手法は決して動くことが許されず、全身を特殊な器具で拘束して撮影するためモデルにとっては苦痛を伴うものだった。しかしステファンの娘マリーは文句も言わずに今日もモデルを勤めている…
ジャンに「予言者/2009」「ある過去の行方/2013」「サンバ/2014」「消えた声が、その名を呼ぶ/2014」のタハール・ラヒム。
マリーに「女っ気なし/2011」のコンスタンス・ルソー。
ステファンに「ロゼッタ/1999/息子のまなざし/2002」「ある子供/2005」「ロルナの祈り/2008」「ゴー・ファースト 潜入捜査官/2008」「ジャック·メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック·エネミー)No.1と呼ばれた男 Part1/ Part2/2008」「少年と自転車/2011」「ヴィオレット-ある作家の肖像-/2013」「サンドラの週末/2014」のオリヴィエ・グルメ。
不動産屋トマに「クララ・シューマンの愛/2008」「ミステリーズ 運命のリスボン/2010」「皇帝と公爵/2012」「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密/2012」のマリック・ジディ。
ステファンの知人ヴァンサンに「青の寝室/2014」「あの頃エッフェル塔の下で/2015」のマチュー・アマルリック。
ステファンの亡き妻ドゥーニーズにヴァレリ・シビラ。
執事ルイに「ナインスゲート/1999」のジャック・コラール。
監督、脚本は黒沢清。
母親が亡くなり父親と執事のルイと共に暮らしていたマリーの元に青年ジャンが現れる。ジャンは次第に父親の芸術の犠牲者であるマリーを気の毒に思うようになる。そしてマリーは心優しいジャンに惹かれ始める。
植物が大好きなマリーはパリの植物園に仕事を求め面接に行く。面接官は空きがないから今は採用できないと言いつつ、マリーの植物への熱い想いを知り、トゥールーズの植物園なら採用があるかも知れないと推薦状を書いてくれる。やがてトゥールーズから面接に来てくれとの手紙が届き父親ステファンに報告する。しかしステファンはそれを無視してしまう。
ある時、マリーに突然キスをされたジャンは、驚きつつも彼女に惹かれてしまう。そしてマリーのトゥールーズへの思いを知ったジャンは、その地で彼女と新しい生活を送りたいと思うようになる。
自殺した妻ドゥーニーズの亡霊に悩まされるステファン。マリーを救ってやりたいと願っているジャン。そんな折、マリーが階段から転落する。
病院へ運ぶ途中車から消えてしまったマリー
やがて現れたマリーの額から怪我の傷が消えている
横たわるマリーの心臓の音が聞こえない
一時マリーが消えた場所に再びやって来たジャン
そしてその川を捜索する警察を目の当たりにする
不信なことばかり起きて、それは夢なのか?幻なのか?
ジャンとマリーが二人だけで結婚を誓った村の教会で真相が明らかになる
いつもの様に前知識なしで見たので、まさか?このような展開とは驚いたが、ドラマはダークながらも美しくファンタジーの雰囲気も感じられてナイスだ。
怪しくも切なくて哀しいラヴストーリーは素晴らしかった。
主人公を演じるタハール・ラヒムはお気に入りのフランス人俳優で、荒削りな反面優しい心を持つ青年を好演している。
タハール・ラヒム初来日したらしい。知らなかった…。
大好きなマチューも出演しているが数シーンにしか登場しないのが残念。
オリヴィエ・グルメは貫禄たっぷり。
そして邦画を全く見ないので残念なのことに監督の黒沢清については名前しか知らない。フランスを舞台にこのような哀しくも美しい映画を作る人物とはスゴい!
新宿シネマカリテにて