2016年 10月 05日
「トレジャー オトナタチの贈り物」
ルーマニア、ブカレスト。コスティは妻と息子の三人で慎ましやかに暮らしている。ある日、近所に住む男アドリアンが、“失業中で家のローンの支払に困っている。800ユーロ貸してくれないか?”と訪ねてくる。“家も余裕がなく貸す金などない。”と断るコスティに“800ユーロあれば曾祖父が共産党台頭前に庭に埋めた宝探しをすることができる。”と言い、“宝発見の折には分け前を折半する!”と怪しいながらも美味しい話を持ちかけてくる。半信半疑ながらアドリアンの話にのってしまったコスティは妻にも相談してなんとか800ユーロをかき集めるのだった…
コスティにクジン・トマ。
アドリアンにアドリアン・プルカレスク。
コルネルにコルネリュ・コズメイ。
監督、脚本はコルネリュ・ポルンボイュ。
ある日突然近隣の住民が訪ねて来て金を貸せと言う。胡散臭いなぁと思いつつも金を用意する主人公に驚くが、ドラマは実際に体験した人から聞いた話にもとづいて映画にしたと言う。あのゴージャスな宝を発見した二人はなんとラッキーなんだろうと羨ましくなる。
少々ファンタジーっぽい雰囲気は良いのだが、コメディ・ドラマとは思えないほど終始ペーソスが漂う。
金属探知機で地面をこする様と、穴掘り作業が延々と続き、スロー、ペースで盛り上がりも何もないシンプルなドラマは少々退屈だったかな?
当然宝は出てくる...発見した宝の入った箱を抱えアドリアン所有の空き家から出てきた二人は巡回していたパトカーの警察官に怪しまれ尋問される。警察に連行されモノによっては国に没収される可能性もあると告げられた二人は手放しで喜べない。あのシーンは気の毒ながら可笑しかった。
そしてあのラストにはびっくり!子供を喜ばせるお父さんは偉いが、フリーズしてしまった。あのお父さんはただただ息子を喜ばせたくて、息子のヒーローになりたかったに違いない。
コスティの妻と息子を演じるのはコスティ役のクジン・トマの実際の妻子で、怪しい業者のコルネルを演じるコルネリュ・コズメイは元兵士で金属探知を職業としているとのこと。
主演二人はプロの俳優ながら、なんとなく俳優ぽくなくて、近所のおじさんの雰囲気でナイス。
ヒューマントラストシネマ有楽町にて