人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「イレブン・ミニッツ」

「11 minut」...aka「11 Minutes」2015 ポーランド/アイルランド
「イレブン・ミニッツ」_a0051234_23101643.jpg

ポーランド、ワルシャワを舞台にP.M.5時からP.M.5時11分の日常を描いた群像サスペンス・ドラマ。

映画監督リチャード・マーティンに「ベルファスト71/2014」のリチャード・ドーマー。
アンナ・ヘルマンにパウリナ・ハプコ。
アンナの夫にヴォイチェフ・メツファルドフスキ。
ホットドッグ屋の主人に「カティンの森/2007」「故郷よ/2011」「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー/2011」のアンジェイ・ヒラ。
バイク便の男に「イーダ/2013」のダヴィッド・オグロドニック。
登山家(女)に「ハミングバード/2012」のアガタ・ブゼク。
登山家(男)にピョートル・グロヴァツキ。
画家にヤン・ノヴィツキ。
救命隊のドクターにアンナ・マリア・ブチェク。
犬を連れた女にイフィ・ウデ。
元ボーイフレンドにマテウシュ・コシチュキェヴィチ。
少年にウカシュ・シコラ。
監督、製作、脚本は「アンナと過ごした4日間/2010」「エッセンシャル・キリング/2010」のイエジー・スコリモフスキ。

教会の鐘がP.M.5時を告げるポーランド、ワルシャワの街。
一人の男が家を飛び出し妻がいるホテルへと向かう。彼の妻アニャは女優で映画監督と会う予定だった。アニャの夫は嫉妬深く、映画監督は女好き。ホテルの前ではホットドッグ屋の主人が店を開いている。ホットドッグ屋の息子であるバイク便の男は配達に行った家の人妻と情事に耽るが夫が帰宅したため慌てて家を飛び出す。
その他、公園で元ボーイフレンドに預けていた愛犬を引き取る女、ホテルでポルノを見ながらセックスをする登山家のカップル、質屋に強盗に入るが失敗に終わる少年、河原でスケッチをする画家、急病患者の家に急行する救命隊のドクターなどなど、全く接点のない人々の日常が次々とスクリーンに映しだされる。

ドラマは5時から5時11分の間を描いている。それぞれの人物の日常は11分毎に描かれ、5時から11分後に全ての人物が集結してラストを迎える。あのラストには呆然となる。
もちろんドラマに台詞はあるけど、スタイリッシュな映像が物語る作品。ラストのスローモーションは圧巻。

ビルの谷間を低空で飛行する飛行機はアメリカの同時多発テロ(9:11)を連想してしまうし、何人かの人物が空を見上げ、”何かを見た!と主張する場面も…。彼らは低空飛行する飛行機のことを言っていたのだろうか?それとも他に何かを見た?

河原で写生をする画家のキャンパスにいきなりできた黒いシミや、登山家のカップルがいるホテルの部屋に突然飛び込んできた鳩など、不気味なシーンを絡めて描くのはあのラストにつなげるため?と頭の中に疑問がよぎる。
「エッセンシャル・キリング」や「アンナと過ごした4日間」のイメージが強烈なイエジー・スコリモフスキ。本作は全く趣の違う作品でびっくさせられた。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて
by margot2005 | 2016-09-08 23:53 | ヨーロッパ | Comments(0)